【モバマス】違和感の理由 (10)
この日、俺はこの芸能事務所に所属することになった。
タレントとしてではなく、アイドルのプロデューサーとしてだ。
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元々俺は別の事務所でプロデューサーをやっていたが、今の事務所の社長と仲良くなり、成り行きでこの事務所に所属することになった。
アイドル達に挨拶をし、この事務所のやり方を学ぶ。
そして次の日から本格的にプロデュースをすることになった。
え、おわり?
確かに文章としては完結しているけど
このSSと言うにしても短すぎる文章の違和感の理由を探れと
彼女達は皆素直で、こっちの言うこともすぐに理解してくれる。
相手に迷惑をかけず、仕事もきっちりこなす。ほとんど手がかからないと言ってもいいくらいだ。
プロデューサーとの距離も絶妙で、お互いに干渉もしない。
だが、一つ気になることがある。
ほんの少し、違和感があったのだ。
こっちとの話をするときや引き受ける時、何か機械的で、たまに人形と話しているんじゃないかと思ってしまうくらいだ。
距離感もそう、何故か避けているかのようだった。
最初のうちは、新しいプロデューサーだから慣れてないんだろうと思っていた。
だが、それは1ヶ月半も続いている。そろそろ慣れてもいい頃だと言うのに。
ある日、喫煙所も兼ねた休憩所で、その違和感について考えていた。
彼女達の態度は、事務所の方針なのだろうか?それとも、何かあったからなのか、と。
事務所の方針であれば、俺にもそう教育するだろうし隠す意味もない。
そう考えるとやっぱり何かあったんだろうか。
普段なら、余計なトラブルを避けるために割り切るのだが、今回は何故か気になってしまう。だが、今いきなり聞いたって聞けはしないだろう。
そう考えていると、黄緑の制服を着た女性が現れる。
千川ちひろ。俺にこの事務所のことを教えてくれた人だ。
「お疲れ様です。ちひろさん。」
「お疲れ様です。プロデューサーさん」
俺が挨拶をすると、彼女も同じように返してきた。その後俺に一言聞いてくる。
「これ、吸っていいですか?」
彼女の手には、加熱式のたばこが軽く握られている。
「構いませんよ。勝手に吸ってください。」
そう聞いた彼女は、たばこを吸い始めた。
正直、彼女がたばこなんか吸うような人とは思わなかった。人は見た目で判断出来ないと改めて思う。それはいいとして、俺は一つ質問をすることにした。
「あの…ちひろさん…」
「なんですか?」
「あのですね…」
「今ドリンクは売りませんよ。」
「いや、そうじゃなくて…」
彼女は、ドリンクのことだと思ったようだ、たばこを口から取って返した。だが聞きたいのはそれじゃない。
「この事務所って、アイドルに対して何かしらの方針とかあるんですか?」
「方針、ですか?」
「例えば、機械的に接したりとか出来る限り異性を避けるとか…」
俺は聞いた。すると、ちひろさんは答えた。
「そんなものはありませんよ。」
聞いたところ、事務所の方針ではないようだ。だったら、何故あんなに人形みたいな感じなんだろうか。
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