【モバマス】違和感の理由 (10)

この日、俺はこの芸能事務所に所属することになった。

タレントとしてではなく、アイドルのプロデューサーとしてだ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508051751

元々俺は別の事務所でプロデューサーをやっていたが、今の事務所の社長と仲良くなり、成り行きでこの事務所に所属することになった。

アイドル達に挨拶をし、この事務所のやり方を学ぶ。

そして次の日から本格的にプロデュースをすることになった。

え、おわり?
確かに文章としては完結しているけど

このSSと言うにしても短すぎる文章の違和感の理由を探れと

彼女達は皆素直で、こっちの言うこともすぐに理解してくれる。

相手に迷惑をかけず、仕事もきっちりこなす。ほとんど手がかからないと言ってもいいくらいだ。

プロデューサーとの距離も絶妙で、お互いに干渉もしない。

だが、一つ気になることがある。

ほんの少し、違和感があったのだ。

こっちとの話をするときや引き受ける時、何か機械的で、たまに人形と話しているんじゃないかと思ってしまうくらいだ。

距離感もそう、何故か避けているかのようだった。

最初のうちは、新しいプロデューサーだから慣れてないんだろうと思っていた。

だが、それは1ヶ月半も続いている。そろそろ慣れてもいい頃だと言うのに。

ある日、喫煙所も兼ねた休憩所で、その違和感について考えていた。

彼女達の態度は、事務所の方針なのだろうか?それとも、何かあったからなのか、と。

事務所の方針であれば、俺にもそう教育するだろうし隠す意味もない。

そう考えるとやっぱり何かあったんだろうか。

普段なら、余計なトラブルを避けるために割り切るのだが、今回は何故か気になってしまう。だが、今いきなり聞いたって聞けはしないだろう。

そう考えていると、黄緑の制服を着た女性が現れる。

千川ちひろ。俺にこの事務所のことを教えてくれた人だ。

「お疲れ様です。ちひろさん。」

「お疲れ様です。プロデューサーさん」

俺が挨拶をすると、彼女も同じように返してきた。その後俺に一言聞いてくる。

「これ、吸っていいですか?」

彼女の手には、加熱式のたばこが軽く握られている。

「構いませんよ。勝手に吸ってください。」

そう聞いた彼女は、たばこを吸い始めた。

正直、彼女がたばこなんか吸うような人とは思わなかった。人は見た目で判断出来ないと改めて思う。それはいいとして、俺は一つ質問をすることにした。

「あの…ちひろさん…」

「なんですか?」

「あのですね…」

「今ドリンクは売りませんよ。」

「いや、そうじゃなくて…」

彼女は、ドリンクのことだと思ったようだ、たばこを口から取って返した。だが聞きたいのはそれじゃない。

「この事務所って、アイドルに対して何かしらの方針とかあるんですか?」

「方針、ですか?」

「例えば、機械的に接したりとか出来る限り異性を避けるとか…」

俺は聞いた。すると、ちひろさんは答えた。

「そんなものはありませんよ。」

聞いたところ、事務所の方針ではないようだ。だったら、何故あんなに人形みたいな感じなんだろうか。

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