駄文ながらラジオネタです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506540923
そう
ウェールカームソーンヒトツニナールコーコーロー・・・
希「9月27日お昼休み特別企画! のぞえりラジオガーデン!」
絵里「・・・」ムスー
希「この番組はお昼の放送をお借りして、のぞえりがおしゃべりしたり、皆さんからの質問に答えたりしようと新企画なのです!」
絵里「・・・」
希「お、お相手は東條希と・・・っ!」
絵里「・・・絢瀬絵里です」
希「そ、それではのぞえりラジオガーデンスタート!」
絵里「・・・」
希「というわけで、さっそくですが、こののぞえりラジオガーデンは三つのコーナーを設けて進行していくのですが・・・」
絵里「・・・」
希「・・・つ、次えりち読む番やで。この三行目・・・」ボソッ
絵里「・・・ひとつめのコーナーはフリートークですさまざまなわだいについてのぞえりがトークしていきます・・・」ボソボソ
希「・・・あ、あは・・・。えりち流れるような読み方やね・・・」
絵里「・・・」
希「ふ、フリートークやで! そ、そういえばえりちは好きな食べ物とかある?」
絵里「・・・」ムスーッ
希「・・・えりち、いい加減機嫌治して?」
絵里「・・・」
放送日も時間も遅刻だぞ
でも期待
希「そして二人で楽しくラジオしよ?」
絵里「・・・嫌よ」
希「えりち~・・・」
絵里「だって私たちなんの説明もなしにいきなりこんなことやらされてるのよ? 非常識にもほどがあるわ。私だってあらかじめ知らせてくれてたらちゃんと準備もするのに」
希「でももう放送始まっちゃってるわけやし、がんばろうよ」
絵里「・・・がんばるって言っても、これってフリートークでしょ?」
希「そうやけど、それがどうしたん?」
絵里「突然のことだったし、なにを話せばいいのか全然考えてないわよ。それに、聞いているみんなには申し訳ないけど、特に話したいことも思い付かないし」
希「大丈夫! えりちの話ならどんな話でもきっとみんな聞きたいはずやで!」
絵里「いい加減なこと言わないでよ。とにかく、私は真面目にやる気はないわ」
希「あかん・・・頑固になってしまった。えりちの悪い癖が出てるやん・・・」
絵里「悪いのは一方的に押し付けてきた穂乃果たちよ」
希「そ、そうやったね。ごめん」
絵里「・・・」
希「・・・え、えっと」
絵里「そもそも」
希「え?」
絵里「そもそもなんでこんな放送をしようと思ったのかしら。穂乃果たちの考えがわからないわ」
希「ああ、それなら手元の原稿にいきさつが書いてあるね。今年やってほしいイベントアンケートで、たくさんの希望が生徒会に集まったみたい」
絵里「・・・そうなの?」
希「それで穂乃果ちゃんたち生徒会がアンケートを元にこれを実現しようってことになったらしいね」
絵里「なんだ。穂乃果の突拍子のない思い付きじゃなかったのね」
希「うん。これは生徒たちの要望よ」
絵里「要望・・・」
希「もしかして少しはやる気になった?」
絵里「でもまだ納得いかない」
希「むぅ・・・」
絵里「だって生徒の要望って、つまり私と希のおしゃべりが聞きたいってことでしょ? それのどこに魅力なのか理解できないわ」
希「うーん」
絵里「イベントならもっと他に有意義なものがたくさんあるでしょ。どうしてこんな校内放送なのよ」
希「こればっかりはうちらにはわからんのかも」
絵里「どういうこと?」
希「きっとファンってうちらが思ってる以上に色々考えてるものなんやと思うで」
絵里「そうなのかしら」
希「なによりアンケートで決まったことなんやし、このラジオが生徒の希望なのは事実なんやしね」
絵里「そうなのよね・・・」
希「だから一緒にがんばろう?」
絵里「・・・それでも納得いかない」
希「え~・・・」
絵里「ちがうの。希の話で、生徒がこれを望んでるんだってことはわかったし、それならやる意味もあるって思うわ」
希「じゃあなにが不満なん?」
絵里「穂乃果たちの対応よ。生徒の希望ならなおさらちゃんとやるべきなのに、どうしてこんな突然マイクの前に座らされるのよ。これじゃ最低限の準備もできないし、計画や見通しだって立てられないじゃない」
希「たしかにそれは乱暴やね。なんとなく穂乃果ちゃんたちのおふざけの雰囲気を感じるわ」
絵里「でしょ? というか希はどうしてそんなにやる気なのよ。私とおんなじ状況でしょ?」
希「だって、始まってしまったものはしかたないし、それに楽しそうやん」
絵里「・・・あなたののんきさがうらやましいわ」ハァ
希「それだけやなくて・・・」ニヤッ
絵里「?」
希「このラジオを通して、えりちのあんな姿やこんな姿をファンのみんなに見せるチャンスやしね~、うふふ」ニヤニヤ
絵里「は、はぁ? なによそれ・・・」
希「えりちって実はこんなにカワイイんやでー、ってことをみんなに伝えるん。真面目でお堅い元生徒会長ってだけやないんやってことを教えるんよ♪」
絵里「え、えぇ・・・」
希「えりちの意外な面を知ったら、ファンも急増! まず手始めにおもちゃのチョコレートの話をしようか」
絵里「やめなさいっ!」
希「ウフフッ。なんかうちラジオの使い方わかってきた気がするわ。今めっちゃ楽しい!」
絵里「希は最初からずっと楽しそうだったじゃない」
希「最初のほうは盛り上げようとがんばってたところもあってん」
絵里「そうだったの? ぜんぜんそうは見えなかったけど」
希「誰かさんのせいで失敗したんだけどね」
絵里「し、しょうがないでしょ! 今だって穂乃果たちを許してないんだから! これが終わったらお説教よ!」
希「そんなえりちはしかし、この前おもちゃのチョコレートを間違えて──」
絵里「やめなさいっ!」
希「え~、みんな聞きたいと思うよ」
絵里「そんなこと言って、私のミスを笑いたいだけでしょ!」
希「ちがうよ~。うちはただえりちがカワイイからつい」
絵里「からかわないで。私だって希の恥ずかしい話知ってるのよ!」
希「そんなムキにならんでも」
絵里「むぅ・・・」
希「それで、えりちは真面目にラジオやる気になったん?」
絵里「・・・まあ、原稿をなぞるくらいなら・・・ね。たしかに始まっちゃものを途中でやめるわけにはいかないし」
希「少しでもやる気になってくれたならよかった」
絵里「それでもあんまり乗り気ではないの。それでもいい?」
希「ええよ。さっきよりはやる気出してくれてるみたいやしね。これからよ」
絵里「これから・・・か」
希「じゃあとりあえず、これでフリートークのコーナーは終わりでいい?」
絵里「いいけど、今振り返ってみると、私ひどいことしか言ってないわね。やる気ないとか言っちゃった。なんだか申し訳ないわ」
希「状況が状況やししょうがないよ。えりちが怒るのももっともやし」
絵里「でも聞いてくれてるみんなはきっと退屈してるはずよ」
希「えりちは学院で大人気のアイドルなんやし、きっとみんな喜んでくれてるよ」
絵里「希だっておんなじアイドルでしょ」
希「えりちの人気っぷりはものすごいから」
絵里「そうかしら・・・?」
希「とにかくこれからがんばればいいんよ。だから次のコーナーいくで!」
絵里「そうね。私はあんまり面白いこと言えないけど、聞いてくれているみんなのために頑張るわ」
希「その調子!」
絵里「ええ!」
希「じゃあえりちお願い」
絵里「・・・え? なに?」ポカーン
希「次のコーナーはえりちが始めるんよ。原稿読んで」
絵里「・・・あっ、ほんと。ごめんなさい」
希「カワイイポンコツえりちが見れたみんなはラッキーやね!」
絵里「ポンコツってなによ。誰だってちょっとのミスくらいあるでしょ」
希「ふふふ、ごめんごめん、こっちの話やし気にしないで続けて」
絵里「なんなのよもう・・・コホンッ! えーと、次はのぞえり質問コーナーです。のぞえりがみんなの質問に答えます。みんなの質問待ってます・・・え、待つってどういうこと?」
希「どういうことって?」
絵里「待つって、リアルタイムで募集してるの?」
希「そうみたいやね。質問はスマホで簡単に送れるんやって。で、質問はこのパソコンの画面に映るから、それを読み上げて、うちらが答えるって流れになるんやね」
絵里「じゃあメールが来るまで待ってればいいわけね」
希「そうやね」
絵里「・・・」
希「いや、なんか話そうよ」
絵里「なにを話すの?」
希「そこは適当に雑談とかあるやん」
絵里「さっきも言ったけど特に話したいことないもの。困るわ」
希「それで黙られたら聞いてるみんなが困るやん」
絵里「じゃあどうするのよ」
希「うーん、じゃあここは場持たせにえりちのカワイイ『あれ』をやるしかないな」
絵里「『あれ』? なにかあったかしら」
希「ほないくで?」
絵里「えっ、な、なに? なにが始まるの?」
希「かしこいっ!」
絵里「えっ・・・?」
希「かわいいっ!」
絵里「な、なに・・・?」
希「・・・」
絵里「えっ、どういうことなの・・・?」
希「・・・もう、えりち。かしこいかわいいときたら『あれ』しかないでしょ?」
絵里「もしかして『あれ』って私が小さい頃おばあ様に呼ばれてたあれのこと?」
希「そうそう! ほな改めていくで~?」
絵里「ま、待って・・・」
希「かしこいっ!! かわいいっ!!」
絵里「・・・こんなところで言うの恥ずかしいわ」
希「えりち~・・・」
絵里「だってあれはμ`sのみんなだから、子どもの頃の話をしただけなのに」
希「でもいまやファンにも有名なことなんやし、ここはひとつファンのためにやってみない?」
絵里「こんなところですることじゃないのに」
希「・・・ダメ?」
絵里「も、もう・・・一回だけよ?」
希「やった! さすがみんなのアイドルえりちや!」
絵里「なんでこんなことになったのかしら。子どもの頃のあだ名ってだけなのに・・・」
希「ほなはりきっていくで!」
絵里「ええ・・・来てっ・・・」
希「かしこいっ!! かわいいっ!!」
絵里「・・・エ、エリーチカァァァ!!」
希「ハラショーー!!」
絵里「・・・わ、私がんばったわ、おばあ様・・・」
希「これでファンも喜んでくれるで!」
絵里「・・・恥ずかしいわ。言っとくけどこれはあくまで子どもの頃にこう呼ばれてただけで、今は違うんだからね」
希「うちもそんなんほしいな」
絵里「希は子どもの頃のあだ名とかないの?」
希「うちはほら・・・ずっと独りやったから、ふふ・・・」
絵里「あっ、ごめんなさい」
希「いいんよ、今はえりちもいてくれてるし、ふふ・・・」
絵里「・・・え、えぇ、そうね・・・」
希「ふふ・・・」
絵里「・・・じゃ、じゃあっ、こういうのはどうっ?」
希「え?」
絵里「希といえばスピリチュアルパワーでしょ? だから、聞いてくれてるみんなにスピリチュアルパワーを送るの。縁起もいいしみんな喜ぶと思うわ!」
希「うーん・・・イマイチやな」
絵里「どうして?」
希「だって正味スピリチュアルパワーなんてうちやなくてもええわけやし。なんかエリーチカみたいに名前を叫びたいん」
絵里「いいと思ったんだけど」
希「・・・あっ、でもこれなら・・・ウフフッ・・・」
絵里「えっ、なに? なにか思い付いたの?」
希「とびきりいいのを思い付いた!」
絵里「ほんと? 聞かせて」
希「いくで~」
絵里「ええ!」ワクワク
希「希パワー注入! ハーイ、プシュッ!!」
絵里「・・・」
希「どう? いいでしょ?」
絵里「ちょっと意味がよくわからないわ。まず希パワーの説明からしてくれない?」
希「元気が出ていいやん! ちゃんと名前も入っててうちらしいし! そうや! みんなの代表でえりちが希パワーをもらってほしいな!」
絵里「・・・え?」
希「うちがプシュッってやったあとに、いただきましたーって叫ぶん」
絵里「叫ばないといけないの?」
希「うん」
絵里「わ、わかったわ。希のためだもの。協力するわ・・・」
希「よしっ! いくで~?」
絵里「え、えぇ。来てっ・・・」
希「みんなに希パワー注入! ハーイ、プシュッ!!」
絵里「い、いただきましたぁー!!」
希「どう? 元気受け取った?」
絵里「え、ええ。なんだか叫んでみると案外楽しかったかも・・・」
希「よかった。希パワーはともかく、えりちが楽しんでくれてることがなによりよ。最初はどうなることかと思ったけどね」
絵里「うっ・・・そう言われるとつらいわね。聞いてくれてるみんなには悪いことをしたわ」
希「みんなのことを考えるなら、まずはえりち本人が楽しまないと、ラジオも楽しいものにならないと思うな」
絵里「楽しむか・・・さんざん言ってるけど、急なことだし私がなにを話したいのかわからないし、だからさらに楽しむなんてことは余計に難しいのよね」
希「そんなに深く考えなくてもいいと思うけどな。さっきみたいに流れで楽しくなることもあるし」
絵里「私も希みたいに気軽になれればいいんだけど、自分にこだわっちゃうのよ。やっかいな性格よね、私」
希「まあとにかくやっていこ? それにしても、質問メール来ないね」
絵里「たしかにそうね」
希「うーん・・・」
絵里「もしかしたらみんなこの放送に興味ないのかも」
希「そんなことないと思うけどな」
絵里「やっぱりダラダラ話してたのが悪いんだわ。私なんて愚痴ばっかりだし、そりゃ聞いてても楽しくないわよね。希の言うとおり、話してる本人が楽しんでないから、当たり前よね」
希「そうひがむこともないやん」
絵里「だからあらかじめ知らせてくれれば準備もできたのに、ほんとに穂乃果たちの対応が腹立たしいわ」
希「あっ、来た」
絵里「え、なにが?」
希「メールよ、メール! 待ちに待った質問メールやで!」
絵里「ほ、ほんと? ・・・あ、ほんとに来てる」
希「一通だけやけどね」
絵里「だれか聞いてくれてる人が送ってくれたんだ・・・」
希「よかったね」
絵里「たった一通なのにこんなに嬉しいのはなぜかしら」
希「うちも嬉しい。じゃあ読んでみるね」
絵里「ええ、頼むわ」
希「おっ、ラジオネームの欄もあるやん。雰囲気出るね。えーと、ラジオネーム9月27日・・・ってこれ今日の日付やん」
絵里「もしかして書く欄間違えたんじゃない?」
希「いや、日付の欄なんてないし」
絵里「ラジオネームとして書いたのなら変わってるわね」
希「とにかく読むね・・・『ラジオ楽しく聞いてます。絵里さんの素直さが伝わってくる素敵な放送ですね』・・・だって」
絵里「楽しんでくれてたんだ。ほとんど愚痴しか言ってないのに・・・」
希「嬉しいね」
絵里「嬉しいけど、これでますますさっきまでの態度が申し訳なくなってきたわ。この人のためにもこれからはがんばりたい・・・」
希「うん、その意気や。じゃあ質問の続き読むで・・・『のぞえりのお二人に質問なのですが、お互いに一番好きなところはどこですか?』・・・以上です」
絵里「この質問に答えればいいのよね。つまり私は希の好きなところを言えばいいのよね・・・」
希「うちはえりちの好きなところいっぱいあるよ?」
絵里「ふふっ、ありがとう。でも、一番を決めなくちゃいけないんでしょ?」
希「そうやったね。うーん。これは意外と難しい質問かも」
絵里「そもそも友達の好きなところなんてなにが一番とか決めることじゃないわ」
希「でも質問に答えないとコーナーが成り立たへんで」
絵里「そうなのよね。うーん・・・」
希「じゃあ先にうちが発表してもいい?」
絵里「えっ、できるなら別にいいけど・・・」
希「じゃあいくよ! うちがえりちの一番好きなところは、えりちは自分をしっかり持ってることです!」
絵里「自分を持ってる?」
希「うん。えりちはどんなときでも自分の考えや気持ちを曲げずにしっかり持ってて、かっこいい!」
絵里「そうかしら。自分を曲げることなんてたくさんあるけど」
希「自分ではわからんのかもね。でも、うちは知ってるよ。そばでずっと見てきて、自分の気持ちを大切にしてるえりちが羨ましいなって思ってたん」
絵里「希・・・」
希「でも、たまにはその強い自分を曲げてくれないと困るで? このラジオもそうやしね」
絵里「今回は頑固すぎたわ。反省する。それにしても希が私のことをそんな風に見てるなんて知らなかった」
希「うちだっていつものんきにしてる訳やないんやで~?」
絵里「そうだったのね。覚えておくわ、ふふ」
希「あれ、なんかバカにしてない?」
絵里「バカになんてしてないわよ。それに、私だって希のこと羨ましいなって思うところがいっぱいあるわ」
希「えりちが? うちなんかのどこに・・・」
絵里「いつも楽しそうなところとか、のんきなところよね」
希「・・・あ~、たしかにえりちは堅苦しいところあるもんね。うちみたいにもっとリラックスすれば気が楽やのに」
絵里「でも、それだけじゃないわ。一番うらやましいなって思うところは他にあるの」
希「・・・他に?」
絵里「それは、希がとっても友達思いなところよ」
希「・・・と、友達思い? そんなん言われたの初めてなんやけど・・・」
絵里「私は感謝してるのよ。だって、こんな風に希と楽しくお話しできるのは、希があの時声をかけてくれたからでしょ?」
希「うちらが一年のときのこと? まだえりちがツンツンしてた・・・」
絵里「ええ。あのときの私は誰にも話しかけられずに、今から思えば寂しくて、孤独だったの。だから希には感謝してる」
希「うちがえりちに近づいたのは、さっき言った、えりちがしっかり自分を持ってる強さに惹かれたからなんよ」
絵里「・・・そんな風に言われちゃうと照れるわね。あの頃の私はただ子どもみたいに意地を張ってただけなのに」
希「うちにもしばらくツンツンしてたね」
絵里「ええ。だからそんな私のそばにずっといてくれたことにも感謝してるわ」
希「・・・ふふっ」
絵里「なにかおかしい?」
希「ううん・・・うちもなんか照れる。えりちに感謝とかされることあんまりなかったから」
絵里「今だって感謝してるのよ。ラジオを嫌がる私に辛抱強く付き合ってくれてるもの」
希「それはうちもえりちと一緒にこのラジオを楽しみたかったからってだけで・・・」
絵里「いえ、私にはわかるわ。私は希の友達思いなところが大好き。これが質問に対する私の答え」
希「・・・やっぱり照れ臭いけど、ありがとう、えりち」
絵里「ええ!」
希「ふふっ、うちらなんでこんな話してるんやろ。ラジオで個人的な話なんておかしいやん」
絵里「私はそうは思わないわ」
希「えりち?」
絵里「さっき言ったことは、希の隣にに二年間ずっといて、でもなかなか言えなかったことだもの。だから今とってもすっきりしたわ!」
希「・・・うん。それはうちもやな」
絵里「たぶん私が言いたかったことはこれなのよ。ラジオで言いたかったことがわかった気がするわ!」
希「ほんまに? それはよかった」
絵里「ええ!」
希「でも始めは言いたいことが思い付かないとか言ってたのに」
絵里「どうやら希と話してるうちにわかったみたい。今とっても嬉しいわ!」
希「うちもえりちから感謝の言葉を聞けてよかった」
絵里「ええ。でも、それだけじゃないの」
希「どういうこと?」
絵里「ラジオで言いたかったこと。希に感謝の気持ちを伝えるだけじゃなくて、聞いてくれてるみんなに、希の魅力を伝えたかったの。友達思いのいい子だってね」
希「・・・うちのことなんてどうでもいいのに。えりちのほうが人気なんやし」
絵里「だってこれは『のぞえりラジオガーデン』でしょ? 生徒の希望は、私と希のふたりだわ」
希「・・・えりちのバカ」
絵里「ふふっ、前の仕返しよ。さんざん私をからかったんだから」
希「でも、いい答えが出せたね。ラジオネーム9月27日さん、これで満足でしょうか?」
絵里「きっと満足してくれてると思うわ。だって私たちが満足なんだもの──」
ドンドン
のぞえり「?」
希「あれ、扉が──あっ、もうお昼休み終わる時間やん」
絵里「えっ、じゃあラジオも終わるってことじゃない」
希「まずいやん・・・まだコーナーひとつ残してるのに」
絵里「でも授業もあるし時間を伸ばすわけにはいかないわ」
希「うん・・・だから最後のコーナーはできないし、カットするしかないね・・・」
絵里「予定通りに進行できなくて申し訳ないわ。最初に私がさんざん嫌がってたから、それで時間を潰しちゃったんだわ」
希「それよりも、うちらが二つのコーナーで時間使いすぎちゃったんが大きいと思う。お話ししすぎちゃったね」
絵里「どっちにしろ反省点は多いわね」
希「でも大丈夫だから安心して! また次回で挽回すればいいんよ!」
絵里「そうね。また次回で──え? ・・・次回?」
希「あれ、知らなかったの。原稿の最後に『また来週お会いしましょう! さようなら~』って書いてあるやん」
絵里「次回・・・」
希「さすがにもう嫌なんて言わへんよね」
絵里「嫌よ!」
希「えぇっ!? えりちなんで・・・」
絵里「だって今回こんなにグダグダだったのよ? もう二度とやりたくないわ」
希「でもそれはラジオで言いたいことが思いだせなかったからやろ?」
絵里「そうよ。そして、もう言いたいことが言えたんだから、もうなにも言うことはないわ」
希「えぇ・・・」
絵里「ほら、もうチャイムが鳴りそうよ! 早く終わらないと。そして、穂乃果たちにお説教するんだから」
希「ほ、ほんまに次やらへんの?」
絵里「そうよ・・・コホンッ! それではみなさん、ありがとうございましたー!」
希「えぇ~・・・」
絵里「さようなら♪」
希「ほんまのほんまに──」
キーンコーンカーン
希「終わったぁ!」ガーン
おわり
終始のろけてた感じがするけどそこが良かった乙
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