姫川友紀「その手に掴むもの」 (138)
P「さて。この書類届けた後は、スタジオ寄って、みんな迎えに行って……ついでに買い物か」
P「女子が多いと、こんな時ほど頼りになるよな。うんうん」
P「ユッキは…いいや、放っとこ。どうせ忘れて寝てるか遊んでるんだろうし」
P「……メールの1つぐらい入れといてやろう」
コンコン
??「こ、こんにちは…」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505394052
P(…? 今、ノックと一緒に女の子の声がしたような…お客さんかな)
P「はいはーい、どちら様でしょう」
「お邪魔します」
P「あれ、君は確か…」
「どうも、お久しぶりです。友紀さんのPさん」
――
―
姫川友紀「ちょっとガーナに遠征してくる!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487242265/)
これの続きだったり 続きじゃなかったり
トリップミスったけど見なかったことにしてください()
【近所の公園】
ワーワー
姫川友紀「ほらほらー! もっと腰低くしないと、またトンネルだぞー?」カーン
「おねーちゃん、つよく打ちすぎだってばー」
友紀「弱音を吐くなぁ! そんなんじゃ甲子園はまだまだだぞ!」
「おれたち高校生じゃないんだけど」
「こうしえんはもう終わったよぉ」
友紀「まだ春のセンバツもある! 来年の夏に向けた闘いは、もう始まってるんだよ!」
友紀「闘魂を、込めろぉーー!!」カキーン
??「……あ! 見つけた」
「友紀さーん!」
友紀「んん? あたしのノックを受けたがってるのは誰…」クル
秋月涼「お久しぶりです、友紀さん」
友紀「……涼?」
涼「はいっ」
友紀「涼だ! うわぁ、ビックリした!」
涼「えへへ、また会えましたね」
友紀「ほんと、久しぶりだねぇ!」
涼「半年ぶり…いや、もっとでしょうか」
友紀「うんうん! 元気だった?」
涼「えぇ、元気です! ……元気、ですけど」
友紀「?」
涼「友紀さん、何をしてるんですか?」
友紀「何って、ノックだよノック! 受けてく?」
涼「え、遠慮しておきます…」
友紀「そっかー」
涼「…どうして、ノックなんてしてるんです?」
友紀「ふっふっふ……この辺の野球少年たちに有名な"ご近所やきゅうおねえさん"とは、ズバリあたしのことなのさ♪」
涼「は、はぁ」
友紀「たまにこうして、練習に付き合ってあげてるんだよっ」
「練習試合にも、前に飛び入りしたよねー!」
友紀「ああ、そんな日もあったねぇ!」
涼「何をしてるんですか……」
「おねーちゃん、この人だぁれ?」
友紀「あたしの友だち! 秋月涼…涼ちゃんっていうんだ!」
涼「ど、どうも」
「なんか見たことある気がするなー」
「りょーちゃんも野球するの?」
涼「いや、私は…」
友紀「参加してっても良いんだよっ」
涼「あ、いえ、その…今日は用事が」
友紀「用事?」
涼「はい。友紀さんに、ちょっとお話があって来たんです」
友紀「あたしに?」
涼「もし、忙しいようなら……いつか、また、出直しますけど」
友紀「ううん! そんなことないよ」
「おねーちゃん行っちゃうのー?」
友紀「ごめんね、今日はここまでってことで! また今度!」
「またねー」
「りょーちゃんも、ばいばーい!」
涼「ば、ばいばい」
友紀「じゃあ、ベンチにでも座ろっか!」
涼「はい!」
――
―
友紀「はい、スポドリ!」
涼「あ、ありがとうございます」
友紀「いやぁー、良い汗かいたなぁー!」ゴクゴク
友紀「……っぷはぁっ! うまい!」
涼「ふふ。運動した後って、いつもより美味しく感じますよね」
友紀「お、分かってるじゃん!」
涼「何だろう、身体に染み渡るっていうか」
友紀「汗をかいたらその分、ちゃんと水分取らないとね!」
涼「この公園には、よく来るんですか?」
友紀「うん! さっきみたく少年たちに混じったり……後は、みんなと遊びに来たり」
涼「事務所のみなさんと?」
友紀「そうそう。よく誘ってるんだよね、キャッチボール!」
涼「…ふふ」
友紀「ん? どしたの」
涼「友紀さんのPさんが、言った通りだったので」
友紀「へ?」
涼「さっき事務所に寄ったんです。……でも、友紀さんいなくって」
友紀「そ、そうだったんだ」
涼「そうしたら『多分ここの公園で誰かと野球やってるだろ』って、Pさんが教えてくれたんです。正解でした」
友紀「あちゃ~、ごめんね……」
涼「いえいえ。それと、伝言が1つあります」
友紀「伝言?」
涼「『こっちが良いって言うまで、今日は事務所に戻って来ないこと』って」
友紀「えっ」
友紀「……え、えぇっ?! なんで、なんで…?」
涼「ふふ、どうしてでしょうね」
友紀「どうして…? あたし、なにか怒らせるようなことしちゃったかなぁ……」
涼「あ、大丈夫です。怒ってた訳じゃなくって」
友紀「じゃあ?」
涼「色々と、準備があるみたいですよ」
友紀「準備…」
友紀「何の準備……? ね、ねぇ、なんであたし帰っちゃだめなのかな」
涼(『今日が何の日かすら覚えてないかもしれないから、ちょっと脅かしてみると良いよ』、なんてことも言ってたけど。本当に大正解だ…)
涼「……あっははは」
友紀「ちょ、ちょっと! 笑ってないで教えてよぉ」
涼「す、すみません……ふふっ、面白くって、つい」
友紀「あたしは面白くない…」
涼「実は、私の用事とも被ってるんですけどね」ゴソゴソ
涼「はいっ! 友紀さん」
友紀「へ? なに、この包み」
涼「お誕生日、おめでとうございます」
友紀「たんじょうび…?」
友紀「……あーっ!! 今日、あたしの誕生日かぁ!」
涼「やっぱり気付いてなかったんですね…」
友紀「うわわ…、貰っちゃっても良いの?!」
涼「はい、どうぞ」
友紀「ありがとー! ……ハッ。準備ってもしかして」
涼「事務所でちょっとしたパーティをするための、準備の時間が欲しいそうですよ」
友紀「そうだったんだ…そういうことかぁ…」
涼「ふふ。みんなでお祝いなんて、雰囲気の良い事務所ですね」
友紀「昨日、事務所でこっそり缶ビール開けたのがバレたのかと思ったよ……良かったぁ」
涼「あはは…それは……」
友紀「それにしても、あたしにナイショにすることないのに」
涼「い、一応教えるつもりはあったって言ってましたけど」
友紀「そりゃあ、気付いてなかったあたしもあたしだけどさー。言ってみれば、あたしは今日の主役でしょ? ヒーローインタビューだよ?」
涼「ヒーロー?」
友紀「主役を差し置いてパーティの準備なんて楽しそうなことしちゃって!」
涼「友紀さんがいない方が都合が良いからでは…?」
友紀「プロデューサーってば全く! 今夜は、朝までつきあってもらわなきゃ」プンスコ
友紀「とにかく、ありがとね!」
涼「どういたしまして」
友紀「……開けても良いかな?」ウズ
涼「良いですよ?」
友紀「わあい!」
友紀「…おぉー! キャッツのタオルと、リストバンド!」
友紀「え、え? なに? 涼ちゃん、もしかして野球知ってる? キャッツのファンだったの?!」
涼「あ、いえ、野球自体はそんなに。友紀さんがキャッツ好きって聞いてたので…」
友紀「そっかそっか、なるほど」
涼「なんだかすっごく普通のものになっちゃいましたけど…」
友紀「そんなことないよっ! 嬉しいなぁ!」
友紀「早速使うね!」スッ
涼「…ふぅ、良かった」
涼「チョコにしようか悩んだんです、本当は」
友紀「チョコ?」
涼「イベントの時にお世話になったお礼も兼ねて、何かプレゼントしよう…って決めてて。またチョコを作ってプレゼントにしようかなって思ったんです」
友紀「お礼だなんて、そんな…」
涼「改めて、友紀さん。あの時は、お世話になりました」
友紀「う、う~ん……お礼を言われるようなことは、何もしてないんだけどなぁ」
涼「私、たくさん学ばせていただきましたよ?」
涼「一度決めたら、迷わずとことんやりきること。ファン1人1人に応える気持ちが大事だってこと。それから…」
友紀(む、むず痒い…!)
涼「…あの旅でまた1つ、強く成長できました。本当に、感謝しているんです」
友紀「そ、そっか」
涼「友紀さんがグイグイ引っ張ってくれたからこそ、旅行もお渡し会も上手くいったんだと思います」
涼「だから、お礼を言わせてください。ありがとうございます」
友紀「……うん。そこまで言われたら、どういたしましてだね!」
涼「……だけど、やっぱり形に残る物の方が良いかなと思って。今日はなんとかバレンタインってことで、変な意味になってもいけないですし」
友紀「そっかぁ」
涼「大した物じゃないですけど、喜んでもらえたのなら良かったです」
友紀「すっごく気持ちのこもったプレゼントだよ? ありがとう!」
涼「……」
涼「それと、友紀さん。今日は……、」
友紀「涼はっ?」
涼「へ?」
友紀「涼の誕生日は、いつなの?」
涼「わ、私ですか…」
友紀「うん! 貰ったんだから、あたしも何かプレゼントしたいなーって」
涼「そんな、お気になさらず…」
友紀「気にするの!」
涼「いや、でも」
友紀「でもじゃない!」
涼「…えーっと」
友紀「はーやーくー!」
涼「……あ、」
友紀「あ?」
涼「明日、なんです」
友紀「そっか! 明日ね? 明日、あし、た……」
友紀「あした?」
涼「はい」
友紀「今日は、何日だっけ」
涼「9月の14日……って、友紀さんの誕生日でしょう」
友紀「そ、そっか。あたしのたんじょうび」
涼「はい」
友紀「で、明日が」
涼「15ですね」
友紀「誰が誕生日だって?」
涼「私です」
友紀「たんじょうび…」
友紀「…ちょっとぉ!」
涼「うわあ?!」
友紀「何でもっと早く言ってくれないの!?」
涼「ひえぇ……そ、そんなこと言われても」
友紀「危ないところだった……! みすみす見逃し三振するところだったよ……!」
涼「その、あまり気にしないでですね」
友紀「こうしちゃいられない!」
涼「えっ」
友紀「今から一緒に、プレゼント買いに行くよっ!」
涼「え、ええぇ!?」
友紀「ホームランを届けるんなら、本人の好みに合わせて狙い打ちした方が良いに決まってるもんね!」
涼「いやあの、ほんと大丈夫なので…」
友紀「もらってばっかりは、あたしの主義じゃない! 欲しくないの?」
涼「貰えるのなら、うれしい…ですけど」
友紀「それに、事務所に戻っても、なんだか準備中なんでしょ?」
涼「それは、まぁ」
友紀「しばらく戻れないんなら、あたしも都合が良いし!」
涼(僕の都合は~~~!!?)
友紀「ね、何が欲しい?」
涼「いきなり言われても…」
友紀「おねえさんが何でも買ってあげるよ」
涼「うわぁ、そこはかとなくアブナイ雰囲気が」
友紀「なにが?」
涼「あ、いえ……何でも」
友紀「何も無ければ、家に余ってる応援グッズ一式にしちゃうけど」
涼「えぇ…。嬉しいような、嬉しくないような…」
涼「そ、そんなすぐには出てきませんよ」
友紀「ふーん。あたしだったら、いっぱい思いつくのに」
涼「…例えば、何ですか?」
友紀「そうだなぁ。まず、新しいユニフォームは外せないよねっ!」
涼「ユニフォーム……。あ、ステージ衣装のことですか?」
友紀「違う違う、キャッツのユニフォームだよ」
涼「え…」
友紀「新しいシーズンが始まるとね、毎年違ったユニフォームを着て選手はプレイするわけ」
友紀「ホーム用とビジター用でも違ったりしてさ。新しいのは、やっぱり揃えたくなるんだ!」
涼「そ、そうなんですか」
友紀「それと、新しいバッティンググローブかなぁ」
涼「ばってぃ…?」
友紀「打席に入る時の手袋! あるのとないのとじゃ全然違うんだよ?」
涼「へぇー」
友紀「そうだ、グローブ磨くセットも新しくしなくちゃ。クリームにオイルでしょ、それに……」
友紀「あぁっ! ねこっぴーのパーカーが先週発売したんだった! あれ、着てみたいんだよなぁー」
涼「あはは……見事に野球ばかりですね」
涼(キャッツのグッズをプレゼントして、正解だったかも~…)
友紀「当然! あたしあるところに野球あり、だもんね」
涼「欲しいものがそんなにあるなんて、すごいなぁ」
友紀「へへっ。アイドルやるんなら、これくらい貪欲にやらなきゃ!」
涼「貪欲…」
友紀「絶対打つぞ!って、ガツガツ喰らい付いていかないと」
涼「……なるほど」
友紀「涼には、そういうのないの?」
涼「と、いうと」
友紀「趣味とか好きなことで、これだけはハズせない! っていうの」
涼「趣味かぁ……うーん」
涼「料理は、よくしますね」
友紀「……料理」
涼「はい。お休みの日には下ごしらえもして、けっこう本格的に。よく作りすぎちゃって困っちゃうんですけどね」
友紀「へ、へえ~……」
涼「大根のお味噌汁とか、上手にできると柔らかくてとっても美味しいんですよ?」
友紀「そうなんだ……みそしる……」
涼「友紀さんは、お料理したりするんですか?」
友紀「ふぇぁ?! あたしは……ま、まぁ、やるよ? うん」
涼「そうなんですか! 自分で1からしっかり作るの、楽しいですよね」
友紀「う、うん! た、楽しいよね、クッキング! ええと…おにぎりでしょ、おつまみに、チョコも…」
友紀「……レモンのはちみつ漬けって、料理に入る?」
涼「え? ま、まぁ、入れても良いと思いますけど」
友紀「だ、だよねーっ! セーフセーフ! あたし、料理できてる! よし!」
涼「……あ、そういえば」
友紀「?」
涼「料理で思い出したんですけど。エプロン、買わなきゃいけないんだったな…」
友紀「エプロン?」
涼「はい……前から使っててもうボロボロだったんですけど、洗濯したら破れちゃって」
友紀(エプロンって、ぼろぼろになるまで使うものなんだぁ)
涼「一応、縫えば使えないこともないんですけど。どうせなら新しくしようかなって思ってたところだったんです」
友紀「…ほほう」
友紀「なら、決まりで良いんじゃないかな」
涼「良いんですか?」
友紀「うん! こんなに良いもの貰ったんだから、あたしにも何かプレゼントさせてよ!」
涼「……なら、お言葉に甘えることにしようかな」
友紀「よーし決定! そうと決まれば、ダッシュで行くよ?」
涼「…」
涼「……本当に、大丈夫かな」
友紀「何が?」
涼「一緒に外出してるのなんて見られたら、友紀さんに迷惑じゃないかなって思って」
友紀「へ? 迷惑って?」
涼「えっと…パパラッチでもされて、アイドルなのにデートしてるなんて変な噂にでもなったら……」
友紀「…女の子2人で遊びに行くのって、そんなに変かなぁ」
涼「……ハッ」
涼(ぎゃおおおん! や、やってしまったあぁぁ!)
涼「ぁいや! その、事務所が違うのに一緒に遊ぶのは、おかしいかなと思ったというかっ 何というかっ!」
友紀「そう?」
涼「あ、あはは…」
友紀「……」
涼(うわあぁ やばい! 友紀さん、絶対変な目で見てるよぉ…!)
友紀「別に、大丈夫だと思うけど」
涼「…え」
友紀「あたしだって、他の事務所の人ともよく飲みに行ったりするよ?」
涼「そっ、そうですか!?」
友紀「うん。楓さんとか、美優さんとか」
涼「それくらい、普通なんですか!」
友紀「フツーフツー」
涼「そうなんだぁ、あー、良かったなぁ!」
友紀「それに、涼ちゃんは女の子なんだよね?」
涼「は、はい」
友紀「何かあっても、女子2人で遊んでるようにしか見えないって!」
涼「ですよねっ」
友紀「だから大丈夫、大丈夫!」
涼「そうですね、心配しすぎてました……あは、あはは…」
涼(あ、危ない危ない…なんとかなったかな)
涼(……ん、あれ?)
涼「友紀さん、今なんて…、」
友紀「それじゃあ気を取り直して! 行こっか、涼ちゃん!」
涼「ぎゃおおん! …ひ、引っ張らないでぇ~……!」
――
―
友紀「……と、いうわけで。そこそこ大きいショッピングモールに来ました!」
涼「どこ向いて喋ってるんですか?」
友紀「何でもない!」
友紀「エプロン、どこに置いてあるかなぁ」
涼「雑貨のところかな……あ、あそこに案内板がありますよ」
友紀「雑貨、雑貨…これ?」
涼「2階みたいですね」
友紀「よし、レッツゴー!」
涼「おー!」
【キッチン雑貨コーナー】
友紀「おぉー、カワイイのいっぱいあるね!」
涼「そうですね。あ、このミトンいいなぁ」
友紀「ミトン! 良いよねぇ。フィット感といい、軽量感といい……」
涼「買っちゃおうかな」
友紀「一緒に買ってあげようか?」
涼「でも…」
友紀「良いの良いの! 2対2の大型トレードってことで、ね?」
涼「……ありがとうございます!」
友紀「さてさて、肝心のエプロン置いてある場所は…あっちだっ」
友紀「涼ちゃんにはどんなのが似合うかな」
涼「うーん、緑とかは好きですけど」
友紀「緑、みどり……おっ、これとか」パッ
涼「ちょ、ちょっとかわいすぎないですか?」
友紀「あー、確かに。フリフリしすぎてるかな」
涼「もうちょっとシンプルな方が好きかも」
友紀「シンプルなやつ……むむむ」
友紀「……これっ」スッ
涼「無地っ!?」
友紀「ちょ、ちょっとシンプルすぎたか…」
涼「すごいや、もはやただの布ぐらい何も描かれてない…」
友紀「次! 次のやつ!」
友紀「エプロン1つ選ぶのもむっつかしいんだなー……あっ!?」
涼「どうしたんですか?」
友紀「こ、これはッ」
友紀「キャッツ公式、ねこっぴーエプロン、だと……!」
涼「ねこ…?」
友紀「しかも、地味に今年のバージョン…。なんてことだ…生きていたのか……」
涼「ええと、それもキャッツのグッズなんですか?」
友紀「うん! あたしの持ってるエプロンとは、別のやつみたい。ほら、ここのマークの位置が違ってて…」
涼「へ、へぇ」
涼(よく分からないけど…)
友紀「ヤバい、ヤバいよこれ……欲しくなってきた」
涼「あはは…」
友紀「涼ちゃんのエプロン買いに来たはずが、こんなものに出会えるなんて…」
友紀(エプロンあんまり使わないから、持っててもしょうがないかな。…でも、欲しい)
友紀(いつか使う日のために、今買っておくのが正解かも。着る機会なんてあるか分かんないけど)
友紀(着てるの見たら、何て言うかな。新しいのだよって、気付いてくれるかなぁ……)
友紀(……って、いやいやっ! なんでプロデューサーに見せる必要があるの?!)
友紀(そりゃ、見てほしいのはやまやまだけど。別に、今それ関係ないし!)
友紀(っていうかエプロン姿見せるって何!? どんなタイミングでエプロン着て台所に立つっていうのさ!)
友紀(意味分かんない! 満塁のファーストゴロで1塁踏みに行くぐらい意味がわからないよ! あたしのばかっ! 何のための前進守備だ!?)
ひめかわは こんらんしている ▼
涼「あの、友紀さん?」
友紀「……ハッ。な、何かな」
涼「なんだか顔が赤いですけど、大丈夫ですか」
友紀「ぅぁ……へ、へーきへーき! 料理のイベントでは着ないといけないもんね、エプロン!」
涼「イベント?」
友紀「お仕事なら仕方ないよね、うんうん」
涼「…ええと。良く分かりませんけど、それよりも」
涼「それ、買うんですか?」
友紀「う、うん。悩んでる」
涼「だったら、私にも貰えませんか」
友紀「え?」
涼「2つ買ってお揃いにしましょうよ」
友紀「でも……良いの?」
涼「はい! 友紀さんの好きな球団なら、私も興味あります」
涼「それに、普通のじゃなくこういうものの方が、友紀さんから貰ったーって感じがあって嬉しいですから!」
友紀「そ、そう? 涼ちゃんがそう言うなら……」
涼「お願いします! …って、貰う側なのに、偉そうにすみません…」
友紀「……あはは。涼ちゃん、ほんといい子だねぇ」
友紀「うん、買っちゃおっか! 自分へのプレゼントだ!」
涼「はいっ」
友紀(……よしっ)
アリガトウゴザイマシター
友紀「さて、目的はこれで達成した訳だけど…」
涼「まだ何かありますか?」
友紀「んー…せっかく来たのに、このまま帰るのも勿体ないなーって」
涼「なら、適当に回ってみましょうか」
友紀「だねっ! よーし、姫川探検隊、出発!」
――
―
涼「靴売り場、ですね」
友紀「スパイク売ってるかなぁ」
涼「いやあ…流石に置いてないかと」
友紀「そっかー」
涼「スポーツショップにはあると思いますよ?」
友紀「あ、確かにそうだね。次はそこに行こっか!」
涼「はい。…あ、このシューズカッコいいなぁ」
友紀「ほぉー、涼ちゃんこういうのが趣味なんだね。あたしは……」
――
―
涼「友紀さんは、スカートとかって穿きます?」
友紀「普段着では、あんまり…」
涼「あ、やっぱり」
友紀「動くのに邪魔だし、なんかスースーするのが気になるっていうか」
涼(わかる)
友紀「まぁ、着てみればそれなりに気に入ってくる時がほとんどなんだけどね」
涼(……わかる)
友紀「だから、こういうスカート売り場、しっかり見たことないんだ」
涼「なるほど…」
友紀「ステージではけっこう着てるし、衣装の方は着慣れてきたつもりなんだけど」
涼「ぼ……私は、衣装もまだ慣れない時が」
友紀「そうなの?」
涼「蒸れるし、ちょっとこすれるというか、食い込むのが苦手で……」
友紀「あぁー…。たまにいるよね、食い込んでくる手ごわいのが」
涼「そうなんです! 私だけじゃなく、みんなそうなのかなぁ」
友紀「んー、今度みんなにも聞いてみよう」
――
―
友紀「アクセサリーかぁ」
涼「友紀さん、こういうの好きですか?」
友紀「うーん。買うのはヘアピンと、たまにネックレスぐらいかな」
涼「…ヘアピン」
友紀「ピンだけは、けっこう数持ってるんだよ? あたし」
涼「そうなんだ…」
涼(プレゼント、その手があったのか……自分が普段使わないから、思いつかなかった)
友紀「チャラチャラいっぱい付けるの、あんまり好きじゃなくってね」
涼「ふふ、運動する時に邪魔だから、ですか?」
友紀「あははっ、そうかも!」
友紀「涼ちゃんは?」
涼「そうですね……私もあんまり付けないので、自分で買ったことはないかもしれません」
友紀「お。ってことは、貰う側だな?」
涼「はい、ファンの方々からよく頂くんです、アクセサリー」
友紀「モテモテだねぇ、このこのー」
涼「あはは…」
涼「でも、結局付ける機会が少ないから、ちょっと申し訳なくって」
友紀「それ分かるなぁ~。色々貰えるのはすごく嬉しいんだけどね」
涼「LIVEで衣装着る時に、付けれるものは少しでも付けるようにしてるんですけどね。腕輪とか、ブローチとか」
友紀「へぇ…」
涼「プレゼントちゃんと受け取ってます、ありがとうって。ファンの方に伝えられたら良いと思って」
友紀「な、なんて思いやりの心だ……」
友紀(その手があったか、なるほど。賢いなぁ)
涼「思いやりだなんて、そんな…」
友紀「アイドルの鑑だね。…おっと、これは」
涼「腕輪、ですか?」
友紀「うん。ちょっと目に入ったんだけど、どうだろ」
涼「ひまわりの腕輪かぁ。良いですね」
友紀「あたし、ひまわり好きなんだ!」
涼「ふふ。夏っぽい感じ、ぴったりです」
友紀「でしょ~? "サンフラワー"ってユニットもやっててさ」
涼「ユニット…」
友紀「うん。早苗さんでしょ、夕美ちゃんに唯ちゃん、それに仁奈ちゃん! 良いチームだなって自分でも思うよ」
涼「……実は私、ユニットって組んだことないんですよね」
友紀「あ、そうなんだ?」
涼「今までずっと、ソロの活動がほとんどでしたから」
友紀「あたしも、基本的には1人でやってくのが多いからなぁ」
友紀「でも、ユニット活動も良いものだよ? 他にも組んでる子は…智香ちゃんでしょ、晴ちゃん、幸子ちゃんに紗枝ちゃん、それから……」
涼「け、けっこういますね」
友紀「ふふ、まぁそれなりに。みんなと一緒に練習してステージに上がれるのって、それだけで楽しいし、心強いっていうかさ」
涼「ふむふむ」
友紀「何より、みんなで心を1つにできるって、なんだか嬉しいなって。やってて思った!」
涼(ユニットか。事情が事情だし、正直あんまり考えたことなかったけど)
涼「……ちょっと羨ましいかも」
友紀「涼ちゃんもいつか、いいユニット仲間に会えるよ、きっと!」
涼「そう、だと良いですね」
友紀「あれ…なんか他人事?」
涼「そ、そんなことないですよ! ユニット、組めると良いなぁ」
友紀「……ま、いっか」
友紀「よし、次行こう!」
涼「はい!」
――――――
―――
―
友紀「お買いもの、終わりー!」
涼「見て回るだけでも、楽しかったですね」
友紀「色々目移りしちゃって、ちょっと首が…」
涼「あはは。私もです」
友紀「大分時間潰したつもりなんだけどなぁ」
涼「連絡、ありましたか?」
友紀「うーん……電話もメールも来てない」
涼「そうですか」
友紀「呼ばれてないってことは、まだ帰っちゃダメってことだよね」
涼「ですね…」
友紀「……そうだっ、涼ちゃん、これからまだ時間ある?」
涼「はい? えぇ、大丈夫ですけど」
友紀「ちょっと行きたいところがあるんだよね」
涼「どこですか?」
友紀「すっごく気持ちいいところ!」
涼「……えっ」
友紀「なんか、身体動かしたくなってきちゃってさ!」
涼「ちょ、あの、それって…」
友紀「さあ行くよ! 付いてきて!」
涼「ぎゃおおおん! ちょっとぉー!?」
――
―
【バッティングセンター】
友紀「ヘイヘイ、カモーン! ピッチャーびびってるぅー!」キンッ
涼「……あの、友紀さん?」
友紀「ちょっと待って涼ちゃん、まだボール来るから!」
涼「あ、はい」
涼(気持ちいいところって…。どこかと思えば、バッティングセンターか…)
友紀「今日はオレ流ならぬ、あたし流 神主打法! ぃよいしょーー!」カーン!
涼「……良い当たりだなぁ」
友紀「おっ、分かる?」
涼「あっいえ、何となく。ボテボテより、上に飛んでく方が良いのかなと思って」
友紀「ふふ、良いセンスしてるね……っとぉ!」カキーン!
テーレッテレー♪
涼「えっ?」
友紀「おっ、ホームラン! 1本目~!」
涼「当たった…」
友紀「おじさーん、今のホームランあたしねーっ!」
「おぉーやるねぇ。はい、1回無料券」
友紀「すぐに使っても良いかな?」
「はいよ」
友紀「よっしゃー!」
涼「すご…」
友紀「やったね、バースデーアーチ! 今のホームランは、涼ちゃんに捧げる……よっ!」カキン!
涼「あっ、これも惜しい!」
友紀「ちぇ、2打席連続とはいかなかったかぁ」
涼「上手なんですね、友紀さん」
友紀「まぁね~。ちっちゃい頃からずっとやってた、しッ!」キーン
涼「小さい頃?」
友紀「うん、お兄ちゃんとキャッチボールしたりね」
涼「へぇー…」
友紀「未来の日本代表、なんて昔は言われてたもんよ!」
涼「そうだったんですか」
涼「そんなに上手なら、野球部でも大活躍だったんだろうなぁ」
友紀「………っ、」
ボスッ
涼(あれ、見逃しかな)
友紀「……う、うん。そう、だね」
涼「友紀さん、野球部だったんですよね?」
友紀「うん、入ってたよ。…マネージャーで」
涼「あれ? でもさっき、ずっと野球やってたって…」
友紀「…ぇと。選手としては、中学生ぐらいまで……だったかな。あんまり覚えてないや、あはは……」
涼「そうなんだ。すごいなぁ!」
涼(中学生っていうと、僕ぐらいの頃の話かな。僕、友紀さんぐらい運動できる自信ないよ……うん、すごいや)
友紀「………」
涼「ボール、来ませんね」
友紀「……ぁ。そ、そっか、もう終わりか。ボーっとしてた」
涼「? どうかしたんですか」
友紀「ううん、何でもない!」
友紀「そ、それより……ほら! 次は涼ちゃんの番!」
涼「えぇっ、私?! 友紀さん続けてできるんじゃ…」
友紀「良いから良いから! 1回分奢ったげる」
涼「でも私、やったことないですよ?」
友紀「大丈夫、とりあえずやってみなって! 楽しいから!」
涼「そ、そうですか。じゃあ……」
友紀「ふぁいとっ」
――
―
涼「ぜ、全然打てなかった…」
友紀「うーん、腕だけのスイングになっちゃってたねぇ」
涼「すみません…」
友紀「謝ることないって! 練習すれば、上手く打てるようになるから!」
涼「うぅ」
友紀「次、あたしのスイング見てて? もっとこう腰を使ってだね……」
涼「はい、今ケージから出ま…」
ガッ
涼「あっ」
涼(やば…、足元のでっぱりに躓いて……!)
友紀「体重は右足に残し…え?」
涼(目の前には友紀さんが……ぶつかる……っ!)
友紀「ちょちょっ、涼ちゃ、あぶなっ
むにゅ
友紀「ひゃっ…」
涼(ゆ、友紀さんに受け止めてもらう形になってしまった)
涼(両手に、何か柔らかいものがふにゅっと…ってそんなことより!)
涼「ご、ごめんなさい友紀さん! 大丈夫ですか?!」
友紀「ぅ、うん…だいじょうぶ、だけ、ど……」
涼「すみません、足元躓いちゃって…!」
友紀「あ、あぁ、うん。そう、なんだ」
涼「…ホッ、怪我がなくて良かった」
友紀「……うん」
友紀「…え、えーっと…」
涼「や、やっぱりどこか痛みますか?」
友紀「……ぁ、あたしの番かなっ! 打ってくる!」
涼「あ、はい。どうぞ」
友紀「よ、よーし…打つぞ~……」
友紀(今、触られたよね…?)
涼(やっぱり本物は、触り心地がちょっと良いんだなぁ)
友紀(ま、まぁ。涼ちゃんが相手なら、女の子に触られたみたいで割と平気、かな。うん)
友紀「……って、そんなわけあるかぁっ!」グワラゴワガキーン
涼「わぁっ すごい打球」
テッテレー
涼「またホームラン…」
友紀「あぁぁああ、もうっ! なんかすっごいモヤモヤする!」
友紀「涼ちゃん!!」
涼「は、はいっ」ビク
友紀「今日はこれから、あたしの気が晴れるまで付き合ってもらうから!!」
涼「えぇっ?! それ、どういう…」
友紀「青春の、バカヤローーッ!!!」ガッキーン
――――
――
―
《Side R》
涼「た、ただいま、公園…」
友紀「いやぁ、楽しかったねー!」
涼「そうですね…はは……」
友紀「いっぱい打てて、満足満足! ほんっと気持ちよかったよ!!」
涼(結局友紀さんは、あれから4回もホームランを打って大暴れだった)
涼(『今年の三冠王はいただきだ!』…なんて言ってたけど。三冠王って何だろう。ホームランをたくさん打てばなれるのかな)
友紀「んー、ちびっこ達はもう帰ってるかぁ」
涼「そうですね…って、まだやるつもりだったんですか」
友紀「いやぁ…流石にちょっと疲れちゃったし、もう無理だよ」
友紀「さてと。買い物もしたし、いっぱい遊んだし。今日はここらで解散かな」
涼「ですね」
友紀「明日はどこ集合にする? プレゼント渡すの、またここで良いかな」
涼「明日ですか…」
友紀「それとも事務所にしよっか。今度は、あたしが涼ちゃんとこに遊びに行こうかな」
涼「……それも、良いですけど」
友紀「あ。でもあたし、朝はダメかもないかもしれない」
友紀「ほら、明日起きれる自信なくって。できれば、集合も午後からだと嬉しいんだけどな……」
涼「…えっと、」
友紀「ん? どしたの」
涼「その、大変身勝手なんですけど」
涼「……貰うんなら、今が良いかな、なんて」
友紀「今? 別に構わないけど…。明日じゃなくって?」
涼「……実は明日、大事なミーティングがあるんです」
友紀「大事な…」
涼「武田さんのこと、覚えていますか」
友紀「うん。『プロ野球ハイライト』の」
涼「『オールド・ホイッスル』ですよ…」
友紀「あっはは! 冗談冗談」
涼「…武田さんと、うちの社長と。私の今後を左右する、大事な決め事をするんです」
涼「番組への出演ももう決まってますし、これからのスケジュールも埋まってしまってて」
涼「だから、明日からは時間が取れなくって……」
友紀「…そうなんだ」
友紀「じゃあ、はいっ」
涼「!」
友紀「へへ。1日早いけど…誕生日おめでと、涼ちゃん」
涼「…ありがとうございます。大事に使います!」
友紀「うん! ねこっぴーをよろしくね!」
涼「…あの、」
友紀「?」
涼「……。友紀さん、ちょっと良いですか」
友紀「ど、どしたの? 急に改まって」
涼「今日会いに来たのには、理由があったんです」
友紀「…あ、うん。プレゼント、ありがとね!」
涼「あぁ、いえいえ、どういたしまして……って、それだけじゃなくて」
涼「誕生日もそうですし、バレンタインの時お世話になったお礼をしに来たっていうのも、もちろんあるんですけど」
友紀「お礼なら、さっき……、」
涼「1つだけ、謝らなければいけないことがあるんです」
友紀「…謝る」
涼「はい」
涼「さっきも言いましたけど、明日からすごく大事な用事があるんです。私にとって、すごく大事な」
涼「もう少ししたら、私を取り巻く環境が色々変わって…しばらくドタバタするし、周りも騒がしくなると思うんです。きっと」
友紀「ふんふむ」
涼「今を逃したら、もう友紀さん達とは、しばらく会えなくなるような…そんな気がして」
涼「だから、今日直接会って伝えなくちゃ駄目だと思いました」
友紀「……前にも、こんなことあったよね」
涼「はい」
友紀「それは、必ず謝らなきゃいけないことなの?」
涼「アイドルとして、そんなのは些細なことだからと。前に友紀さんは、私を止めてくれましたね」
友紀「…そうだったかな」
涼「だからこそ。今日の私は…アイドルじゃない、秋月涼として。友紀さんに伝えに来たんです」
友紀「涼として…」
友紀「もしかして……アイドル辞めちゃう、とか」
涼「いえ。アイドルは、辞めません」
友紀「そ、そっか。良かった」
涼「…そうだな。まずはそちらの報告からしなきゃいけないですね」
涼「私、別のプロダクションに所属することになったんです」
友紀「…移籍するってこと?」
涼「あっいえ、移籍ではなく……名義を残して掛け持ち、というか」
友紀「??」
涼「今後は、2つのプロダクションに在籍しながら活動することになる…というか。あんまり上手く説明できないんですけど」
友紀「球団に所属しながらプロ野球の選手会にも入る、みたいな感じかなぁ」
涼「ええと…? まぁ、そんな感じだと思います……多分?」
友紀「ふーん?」
友紀「…ねぇねぇ、どこの事務所に行くの?」
涼「それは、」
友紀「涼ちゃんぐらいのアイドルなら、大手かな。765さんとか?」
涼「…」
友紀「あっ! もしかして…あたしたちのとこだったりして!」
友紀「謝るって、うちに来るの秘密にしてたから、とかかな?」
友紀「うちの事務所、ルームがあんまりおっきくないからなぁ。涼ちゃんが来たら、また狭くなっちゃうね! あははっ」
涼「……すみません、友紀さん」
友紀「…うん」
涼「とても、とっても魅力的なお話なんですけど。…友紀さんの事務所ではないんです」
友紀「じゃあ?」
涼「まだ、言えません」
友紀「まだ…」
涼「正式に発表があるまでは、私の口からは…」
友紀「……そっか」
涼「きっと、ビックリさせてしまうから」
涼「謝りたいというのも、それに関係してることなんです」
友紀「…」
涼「私、友紀さんに隠していたことがあるんです」
涼「友紀さんだけじゃありません。今まで私を見てくれていた人、みんなに」
友紀「……どんな、隠し事?」
涼「…それも言えません。今はまだ」
友紀「まだ、か」
涼「近い内に必ず、表沙汰になることなんですけど…上の偉い人たちから、箝口令が出てしまって」
友紀「…そういう業界だもんね」
涼「本当なら、この話題を出すことすらNGかもしれませんが…友紀さんなら内緒にしてくれると信じて、言いました」
涼「私からは何も言えないくせに、こんな話を持ち出してしまって…本当にすみません」
涼「自分でも分かってるんです。曖昧にぼかして、今はただ謝ることしかできないなんて……そんなの、ズルいですよね」
涼「でも、どうしても謝りたかったんです。みんなに嘘をついて隠している自分が許せなくて」
涼「友紀さんやお世話になったみなさんに、本当の自分を隠したまま、もうずっと会えなくなるんじゃないかと思ったら……そっちの方が、絶対に後悔しそうで」
友紀「それで、わざわざあたしに会いに」
涼「あっ…えっと、プレゼントを渡したかったのも、本当なんです…。ついでとかではなくってですね……」
友紀「ふふ、分かってるよ。ありがと」
涼「本当に…すみませんでした」
涼「許してください、だなんて言いません。ただ、どうしても謝りたかった。それだけなんです」
友紀「そっか」
涼「……ごめんなさい」
友紀「…許すもなにもさ、」
涼「え?」
友紀「別にあたし、怒ってなんかないけど」
友紀「誰にだって、隠し事の1つや2つあるって」
涼「で、でも」
友紀「大切なのは、相手を大切に想う気持ちがあるかじゃないかなぁ」
友紀「謝りたいって気持ち、涼ちゃんからはしっかり伝わったよ」
友紀「あたしたち、友だちで、仲間でしょ?」
涼「友紀さん……」
友紀「だったら、気にすることなんて何もないんだよっ」
涼「…良いんですか?」
友紀「うん! 気持ちを真っ直ぐ投げ込んできてくれて、ありがとね涼ちゃん」
涼「……どうしても都合が合わなくて、七海さんと裕美さんには、直接は会えませんでした」
友紀「なら、いつかあたしから言っておくよ」
涼「お願いします」
友紀「…1つだけ、良いかな」
涼「? 何でしょうか」
友紀「その新しい事務所ってさ…、」
友紀「涼ちゃんは、行くの嫌?」
涼「っ!」
友紀「本当はやりたいことがあるのに、仕方なく……とかだったら。それは良くないよね」
友紀「涼ちゃんはそこでちゃんと、やりたいことできる? 心に嘘、ついてない?」
涼「……」
涼「…嫌なんかじゃ、ありませんよ」
涼「むしろ、自分から進んで入りたいと思ったくらいなんです」
友紀「うん」
涼「私、夢がありました。憧れというか、目標というか…」
涼「アイドルになったのも、その夢を叶えるためだったんです」
涼「大変だったけど、自分なりに少しずつ進んできて……あと一歩のところまで来てるんです」
涼「夢を実現させるチャンスが、ようやく転がり込んできたっていうか」
友紀「…それが、その事務所なんだ」
涼「はい。このチャンス、逃す訳にはいかないんです」
涼「……諦めたくない」
友紀「…っ!」
涼「きっとこれからも、辛かったり苦しいことはたくさんあるかもしれない。所詮は、叶わない夢かもしれない」
涼「みんなに受け入れてもらえるか不安もあるけど、それでもやりたいんです!」
涼「夢は、夢じゃ終われないから」
涼「…僕が背負う夢は、もう僕だけのものじゃないから」
友紀「……そっか。なら、大丈夫だね」
涼「心配してくれて、ありがとうございます」
友紀「良いの良いの♪」
友紀「ねえ、涼ちゃん」
涼「はい?」
友紀「……いや、涼っ!」ガシッ
涼「は、はいっ」
涼(右手を、掴まれた)
友紀「…」ギュ
涼「友紀さん?」
友紀「……」ニギニギ
涼(手を調べられている…?)
涼「あ、あの」
友紀「うん。良い手してるね、やっぱり」
涼「へ?」
友紀「大きくて、力強くて、ガッシリしてて……」
友紀「これが…さっき、あたしの…っ」ゴゴゴ
涼「いだ、いだだだ! ちょ、友紀さ……?!」ミシミシ
友紀「……とにかく。立派な手だよ」
友紀「涼の手は、ちゃんと夢を掴める手だ」
涼「そう、でしょうか…あいてて……」
友紀「大丈夫、涼ならできる。きっと叶えられるよ」
友紀「正直で、真っ直ぐで、すっごくいいヤツだもん。涼の頑張りは、きっとみんな見てくれてる!」
涼「はい…」
友紀「それに、アイドル応援団長の、このあたしがついてるんだからね」
涼「…えへ、頼もしいなぁ」
友紀「でしょ~? へへっ」
友紀「涼の夢、あたしは応援する!」
涼「……ありがとうございます」
友紀「周りの目なんか気にしないで、強気でガンガンかっと飛ばしていけば良いんだよ!」
涼「大事なのは心、ですよね」
友紀「うんうん! 目指せ、アイドル界の二刀流! ってね」
涼(ッ!)
友紀「頑張るんだよ、涼!」
涼「…はいっ」
涼(友紀さん。あなたは、やっぱり……)
――
―
友紀「……もうこんな時間かぁ」
涼「あ…そうですね。日が暮れちゃう」
友紀「そろそろ、あたしも帰って良い頃かな?」
涼「えぇ、きっと」
友紀「今日ぐらいは、事務所でビールもおっけーだよね♪」
涼(昨日も飲んだんじゃあ…)
涼「…帰る前に、Pさんに連絡してみると良いんじゃないでしょうか」
友紀「うん、そうする! 楽しみだなぁ~」
涼「それじゃあ、私も帰ろうかな」
友紀「……そうだね」
涼「はい」
友紀「今日は、本当にありがとね。涼ちゃん」
涼「……こちらこそ、ありがとうございます。とっても楽しかったです」
友紀「へへっ。武田さんとか、夢子ちゃんにもよろしく」
涼「分かりました。お2人にも、どうかよろしく伝えてください」
友紀「まっかせて!」
涼「では、お元気で」
友紀「またねー♪」フリフリ
涼「また…」
テクテク…
涼「…」
涼「……っ」ピタ
涼「…友紀さん!」クル
友紀「お?」
涼「聞いてください、友紀さん! 私……ううん、」
涼「僕は! これからも、僕の夢を追い続けますっ!」
友紀「!」
涼「何があっても負けません!」
涼「今よりも、もっともっとカッコよくなりたいからっ」
友紀「…うんっ」
涼「夢を諦めた人、見失いかけてる人……そんな、誰かの力になりたいから!」
友紀「うん、うん!」
涼「絶対にあきらめない! 必ず、トップになってみせます!!」
友紀「よく言った!」
涼「だから、見ててください!」
涼「今度は、もっとカッコいい僕として! いつかまた友紀さんに会いに来ます!」
友紀「うんっ!」
涼「その時は! 一緒にキャッチボール、してくれますかーっ?!」
友紀「もっちろん! いつでもおいでー!」
涼「ありがとうございます!」
友紀「待ってるからねー!」ブンブン
涼「それじゃあ!」
友紀「ファイトー! 涼ーーッ!!」
タタタ…
友紀「強い子だな、本当に」
友紀「…」
友紀「手、か」
友紀「良いなあ……」
…pipipipi
pipipi…
友紀「…電話」
友紀「プロデューサーから」
友紀「………」
ピッ
友紀「もしもーし。あ、プロデューサー! お疲れさま」
友紀「そろそろ戻って良いの? ちょうど良かった、今行こうと…」
友紀「…ぅえ、迎えに来る? ……う、うん。そっか…。えっとね、今公園で……」
――
―
《Side Y》
P「…あ、いた」
友紀「おそーい」
P「悪い悪い、ちょっとちひろさんに捕まってな」
友紀「ちひろさん? なんで?」
P「領収書出せって。少しぐらいなら、経費で落とせるかもしれないんだと」
友紀「…なるほど」
友紀「何を買ってたのかなぁ? うん?」
P「いや何って……食べ物とか、飲み物とか」
友紀「ケーキもある?」
P「それは、これから取りに…。もしかして、秋月さんから聞いた?」
友紀「うん! 準備終わるまで帰って来るなって」
P「良かった。ちゃんと会えてたんだな」
友紀「で、ビールはあるの?」
P「お前なぁ…」
友紀「どうなの? ねえねえ!」
P「……500を1本。今日だけな」
友紀「うわーい! やったー!!」
P「どんだけ喜ぶんだよ」
友紀「それを聞いちゃ、うかうかしてられないね! 早く事務所に戻らなきゃ!」タッ
P「あっおい、待てって」
友紀「はやくはやくぅー!」タタタ
P「走ってもビールは逃げないぞー」
P「…って、足はえー……」
――
―
友紀「ケーキだぁ!」
P「ちょっと小さかったか…? 人数分大丈夫かな」
友紀「大丈夫だって! ほら、後は帰るだけだよ!」
P「待て待て、ケーキ持ってるんだから。流石に歩いてだろ」
友紀「……ん、そっか」
P「焦らなくて良いんだよ、ゆっくりで」
友紀「はーい」
P「…げ、もう薄暗い」
友紀「日が暮れるの、早くなったよね」
P「だな。この時間、こないだまではまだ明るかった気がするのに」
友紀「秋だねえ………っくしゅっ」
P「寒い? 上着いるか」
友紀「ううん、平気!」
P「なら良いけど」
友紀「きっと誰かがあたしのウワサしてるんだね。ほら、誕生日だし!」
P「なんだそりゃ」
P「風邪ひくなよ? 涼しくなってきたのは良いけど、薄着じゃもう肌寒いくらいなんだから」
友紀「涼しい…」
友紀「秋の月に涼しい、か。ふふ、この時期にぴったりだね」
P「ん? 月はまだ出てないぞ」
友紀「なんでもなーいよっ」
P「ああそう」
P「…で、ユッキは今日何してたのさ」
友紀「うん、涼と遊びに行ってたんだ!」
P「りょう? ……あぁ、秋月さんか」
友紀「涼もね、明日誕生日なんだって。知ってた?」
P「へぇ。いや、知らなかった」
友紀「2人でプレゼント選んだりしたの!」
P「どうせだったら、うちに寄ってケーキでも食べていけば良かったのに」
友紀「…ううん。明日から、ちょっと忙しいみたいだし」
P「そっか」
友紀「これね、涼から貰ったプレゼント!」
P「おー、リストバンドだ」
友紀「かっこいいでしょ? タオルも貰ったし、早速使っちゃった」
P「似合う似合う。その袋も?」
友紀「これは……自分にプレゼント!」
P「欲張りなやつめ」
友紀「へへへ。プロデューサーは、何をくれるのかなぁ」
P「……あげないって言ったら?」
友紀「FA移籍してやる」
P「大袈裟…」
友紀「誠意は言葉じゃなくってね…」
P「冗談だよ。一応用意してるから、後でな」
友紀「わーい!」
P「それにしても、珍しいね」
友紀「なにが?」
P「名前。呼び捨てにしてるの、初めて聞いた」
友紀「あぁー、そうだねぇ…」
P「秋月さんと何かあったの?」
友紀「……ふふっ。それは、プロデューサーにもナイショ」
P「ふーん?」
友紀「女の子には、秘密があるものなんだよ♪」
P「……何か変なモンでも食ったか」
友紀「どういう意味?!」
P「だって、そんな女子力に溢れた言葉、普段は使わないでしょ」
友紀「あ、ひっどーい! あたしだって正真正銘、花も恥じらう乙女座の女なんだよ?」
P「いや、それは知ってるけど…」
友紀「……ふんっ。今日はいつもより、女の子の気分なだけだし」
P「女の子の気分、ねぇ」
友紀「ふーんだ」
P「なに、少しは女の子扱いした方が良い感じ?」
友紀「…普段はしてないような言い方だね」
P「そんなつもりでもないけどさ」
友紀「良いもん、どうせあたしなんか」
P「なんなら、手ぇぐらい繋いでやろうかなって」
友紀「……っ」
P「ははは、なんちゃっ…
キュッ
P「……て?」
友紀「…」
P「あの、ユッキさん?」
友紀「左手、空いてたから」
P「お、おう」
友紀「今日くらい良いでしょ」
P「……別に良いけど」
友紀「…」ニギ
P「…」
友紀「……良いなぁ、男の人の手」ボソ
友紀「あたしも欲しかったなぁ」
友紀「…なーんて」
P「……ほんと、大丈夫かお前」
友紀「…大丈夫だよ」
P「つらいなら、少し休んでいこうか?」
友紀「平気。遊びすぎて、ちょっと疲れちゃっただけだから」
P「疲れてるなら尚更、」
友紀「大丈夫だってば」
P「…そ」
友紀「うん」
P「……まぁ、何があったのかは聞かないけどさ」
友紀「そこは聞いてよぉ」
P「あ、聞いても良いなら聞くぞ」
友紀「あー…やっぱりダメ。ナイショ」
P「どっちだ…」
P「…その、」
友紀「?」
P「何て言うか…アレだ。えーっと」
P「…んん~~…」
友紀「な、なに唸ってるの」
P「……よしっ」
P「俺は今から、超恥ずかしい独り言を言います」
友紀「う、うん」
P「できれば、耳を塞いでもらえると助かる」
友紀(手繋いでて塞げないんだけどな)
P「…なんでセンチになってんのかは知らないけど」
P「友紀が女の子で良かったって。俺はずっと思ってるから」
友紀「…へ」
P「男だったら、野球の道に進んでたのかもしれない。もしかしたら今頃、プロで活躍してたりして」
P「でももしそうだったら、今のお前とは会えてなかったし、こうして誕生日祝うなんてこともなかったと思う」
P「俺は今こうして横にいてくれる、女の子の友紀が好きだから。この出会いには感謝してるわけ…」
P「…で、だな……」
友紀「…」
P「……っだぁぁあ恥ずかしい!」
友紀「な、なな…っ、」
P「何だコレめっちゃ恥ずかし……」
友紀「す すすっ、すきって…」
P「…待て、もしかしたら今の超キモかったんじゃないか?」
友紀「あうぅぅぅ……っ」
P「落ち着け俺…。深呼吸、深呼吸」フー
友紀「あ、あたしも。吸ってー……」
P「…なんか、すまん。急に変なこと言って」
友紀「う、ううん…」
P「聞かなかったことにしてくれても、構わないから」
友紀「…」
友紀「……ふ、ふーん、そっかそっかぁ」
友紀「プロデューサー、あた、あたしが…す、すきなんだ」
P「いや、ちがっ、お前がってそういうことじゃなくて、」
友紀「…きらい?」
P「…嫌いじゃない」
友紀「じゃあ好きってことだね」
P「いやほら、好きっていうのはだな、お前が男じゃなく女だからというところに係ってるのであって」
友紀「へえ~、ふーん」
P「話をちゃんと…っ」
友紀「好きかぁ、へぇ…」
P「……もういいやそれで」ハァ
P「だから耳塞げって言ったんだ…」
友紀「いやぁ~聞いちゃったものはねぇ」
友紀(女の子で良かった、だって)
友紀「ふふ。そっかぁ」
友紀「……うん、ありがと。えへへっ」
P「…おう」
P「……なあ」
友紀「んー?」
P「もう手離して良いか」
友紀「なんで?」
P「すげー恥ずかしいから」
友紀「んー…」
友紀「ダメー♪」ダキッ
P「ちょっ」
友紀「あたしも、プロデューサーのこと好きだよっ!」
P「だから、そういう意味じゃ」
友紀「あたしのはそういう意味だから!」グイ
P「どういう……っておい引っ張んな、危ないから!」
友紀「ぎゅーっ」
P「力強すぎだろ! 放せっ」
友紀(……公園で待っている間、ずっと考えていたことがある)
友紀(涼の手が、夢を掴む手なら。あたしの手は何のためにあるんだろう、って)
友紀「ね、プロデューサー。聞いて?」
P「聞くけど…これ、歩き辛くない?」
友紀「つらくない!」
友紀(今ちょっとだけ、その答えが分かった気がするよ)
友紀「あたしさ、野球が好き」
P「お、おう。知ってるけど」
友紀(あたしの手では、どうしても届かなかった夢があって)
友紀「でね? 今はアイドルも好き!」
P「……何だ突然」
友紀「プロデューサーのことも好きだし、ファンも仲間も、みんなまとめて全部大好きだよ!」
友紀(でもだからこそ、今この瞬間がある。だったら…っ)
友紀(だったら。きっとこの手は、好きなものを掴むための手なんじゃないかって。そう思った!)
友紀「こうして好きがどんどん増えてくのって、すっごく幸せなことだなって思うんだ」
友紀「プロデューサーに会えて、ほんとに良かったよ! 好きをいっぱいくれて、ありがとね」
P「わかった、分かったから。一旦離れて…」
友紀「放さないっ」ギュ
P「いっだだだっ! 腕もげる!」
友紀(バットにマイク、ビールでもプロデューサーでも、何でもバッチ来いだよ)
友紀(1度掴んだ"好き"……あたしはもう、手放すつもりはないからね)
友紀「覚悟しててよ? 絶対、ぜーったい離さないから」
友紀「離れたくないってそっちからも言わせるぐらい、あたしのこと、もっと好きになってもらうからさ!」
友紀「これからもこうしてずーっと、あたしとバッテリー組んでいてほしいなっ! プロデューサー!」
P「……よくもまぁ、恥ずかしげもなく言えるなお前」
友紀「恥ずかしくなんかないよ? だって本音だもん」
P「さいですか」
友紀「うんっ」
友紀「…なんでこっち見ないの?」
P「見れるかバカ」
友紀「あ、もしかして、照れてる?」
P「うるさい。照れてない」
友紀「やーい照れてるー! 珍しいー♪」
P「しょ、小学生かお前は…」
P「……そっちこそ、覚えとけよ」
友紀「んー?」
P「さっき移籍するとかなんとか言ってたけど、そんなの知らん」
P「FAだろうがポスティングだろうが、お前には絶対させてやらないから。いいな」
友紀「…」
友紀「え、ちょ、今何て言ったの…?」
P「は?」
友紀「ごめん、周りの音でよく聞こえなくって」
P「……知らん!」スタスタ
友紀「うぁっ、ちょっとー!」
P「くっそぉ…。バカ、あほ、野球脳、たらし、ガサツ、バカ、声でかい、それから……、」
友紀「なんか悪口言われてる気がする!?」
P「うっさい! 帰るぞ、ほら」
友紀「待ってよぉ……とりゃっ」
P「ええい引っ付くな!」
友紀「良いじゃん、くっついてた方があったかいし!」
P「さっき寒くないって言ってたろ」
友紀「急に冷えてきたのっ」
P「嘘つけ」
友紀「あーさむいさむい! 今日は寒いなー♪」
P「やれやれ…」
P「……まぁ、寒いなら仕方ないか。うん」
おしまい
おわり
ユッキも涼ちんも誕生日おめでとう
重大発表する直前ぐらいの時間軸を想定……という補足だけ、最後にさせてください
ディアリースターズと876コラボイベントに思いを馳せつつ
乙
乙女なユッキはええのぅ
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