モバP「終わりから始まるヒナの物語」 (82)




※キャラ崩壊




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11歳


赤城みりあ「アイドルの卵からデビューして半年。みりあもいっぱしのアイドルになったんじゃないかなー!ねー、プロデューサー!!」

みりあ「え?まだまだヒナ?……お雛様?つまり、みりあはお姫さま!!いつのまにかアイドルのテッペンだぁ!!すごいすごい!!」

みりあ「えー!違うのぉ?ひよっこって意味?む~」

みりあ「実はお内裏様とお雛様は同じ意味?お姫様ポジションをお雛様というのは誤用?……よくわかんない!!」

みりあ「えへへ。とにかくみりあはまだまだなんだね!よーし、お姫さまみたいになれるよう今日もお仕事頑張るぞー!!」



みりあ「着くの早過ぎちゃったね。ん~……そうだ!」

みりあ「ね、ね!お仕事までまだ時間あるから、積み上げゲームしよっ?一緒に新記録に挑戦したいな!」

みりあ「え?新記録もいいけど勝負?うん、いいよっ!高く積み上げた方が勝ち!負けたら何でもいうこと聞くことねっ!!えへへ~、なにしてもらおうかな~」

みりあ「みりあ積み上げゲーム上手だもん!もう勝った気でいるんじゃなくて、勝つのは当然なんだから……わわっ!積み上げるの早いよ!みりあもやるっ!!」


みりあ「むむ……あと一枚で追いつくけど、プロデューサーはもういいの?」

みりあ「そっか、崩れたら負けだもんね。よ~し!あと二枚……慎重に慎重に……」

みりあ「……!やった!追いついた!ふぅ……次、成功すれば勝ち……うぅ、ドキドキする~」

みりあ「手も震えるよ~。プロデューサー、ぎゅーってして~」

みりあ「んっ!ありがと~!これでみりあは完全体!ふふ~、自分のしてしまったことに今更顔を青くしても遅いよ。これを……」


ガシャ


みりあ「あぁ!!負けそうだからってダイブして崩すのはズルいよぉ!!もうもうっ!!」

みりあ「これはみりあの勝ちね!寝たふりしても駄目なんだからっ!!」

みりあ「……プロデューサー?」

みりあ「心配しなくても変な命令はしないよ?」

みりあ「どうしたの……プロデューサー」

みりあ「……プロデューサー!プロデューサーっ!!」


ドサッ


みりあ「ぁ、ぁ……だれか……だれかぁ!!プロデューサーが、プロデューサーがぁ!!」


―――

みりあ「ぅぅ……早く元気になってよぉ……」

みりあ「わかったって言ってよぉ……困った顔しないでよぉ……」

みりあ「みりあが勝ったんだから、いうこと聞かないといけないんだよ……」

みりあ「ぅぅ……ひっく……みりあもいうこと聞くからぁ……元気になってよぉ……」

みりあ「ぐすっ……?それじゃあ、約束?」

みりあ「うん…………わかった。でも、傍にはプロデューサーがいること。いつまでも一緒だってことだよ?いい?」

みりあ「ん……約束だからね!ふぅ……えへへ!みりあもう泣かないよっ!アイドルは笑顔が大事!!」

みりあ「かわいい?当然っ!!」

みりあ「あっ!笑った!!馬鹿にしちゃダメー!!」

みりあ「あはは……って、もう!みりあを元気にしても仕方ないでしょー!プロデューサーが早く元気にならないと!」

みりあ「その困った顔禁止!!」


千川ちひろ「みりあちゃん?そろそろお仕事ですよ?」


みりあ「あ、ちひろさん!」

ちひろ「あら?いつもの元気なみりあちゃんですね。最近塞ぎこんでたから心配してたんですよ」

みりあ「プロデューサーと約束したの!だから、もう大丈夫!」

ちひろ「約束?」

みりあ「うん!プロデューサー、明日もお見舞いに来るからちゃんと起きててね?それじゃちひろさん、いこー!!」

ちひろ「走ったら危ないですよ~。……プロデューサーさん。みりあちゃんを元気にしてくれたのはありがたいんですが、あまり無理なさらないで下さいね」

ちひろ「……はい、任されました。ここからは私が完璧にサポートします。だから、安心して休んでください。少し顔色悪いみたいですし」

みりあ「ちーひーろーさ~ん!!」

ちひろ「はーい。みりあちゃん、病院では静かに~。……では、プロデューサーさん。行ってきますね」

みりあ「いってきま~す!!プロデューサー!!!」

ちひろ「こらっ!!みりあちゃん!!静かにっ!!」

みりあ「ちひろさんも、しー!!」

ちひろ「おぅぐ……っ!」



ちひろ「今日は一段とキラキラしてましたね。みりあちゃん絶好調?」

みりあ「えへへ。ありがとー!プロデューサーと約束したからね!!」

ちひろ「病院でも言ってましたね。どんな約束を?」

みりあ「いつまでもみんなを笑顔にする元気なアイドルでいること。プロデューサーはそんなみりあの傍にいること。つまりいつまでもみりあと一緒!それが約束!!」

ちひろ「ふふ、そうですか。あ、少しごめんなさい。……もしもし。今ですか?タクシーに乗ったところです。みりあちゃんを送って……え!?」

みりあ「……?」

ちひろ「う、運転手さんっ!○○病院までお願いします!!急いでっ!!」

みりあ「ちひろさん?○○病院って……」

ちひろ「プロデューサーさんの容態が急変したって……!かなり危ない状態だって!!」

みりあ「……ぇ」



ちひろ「プロデューサーさん!!」

社長「千川君……」

医師「手は尽くしたのですが……」

ちひろ「そんな……」

みりあ「え?え?」

社長「赤城君も来てしまったのか……。突然の事で千川君も動揺したんだろうが、私も軽率だったな……」

みりあ「社長?なんでそんなにつらそうな顔してるの?なんでちひろさんは泣いてるの?」

社長「……今日は帰りなさい。送らせるからロビーに……」

みりあ「プロデューサー?寝てるの?社長来てるよ?起きないと」

ちひろ「っ……ぁぁ……ぅぁぁ……」

みりあ「ちひろさん泣いてるよ?慰めないと。ねぇ、プロデューサーってば」

社長「赤城君……」

みりあ「あ、みりあわかっちゃった。これドッキリでしょ。こんなのプロデューサーが死んじゃったみたいで、ありえないもん」

ちひろ「ひぐぅ……ぅぅ……」

みりあ「ちひろさんもう演技しなくて大丈夫だよ?カメラはどこかなー?」

社長「赤城君……もう……」

みりあ「ねぇねぇ。先生も仕掛け人なんでしょ?もう俯かなくて平気だよ?」

医師「……私はしばらく席を外します」

社長「……すいません。ありがとうございました」

みりあ「……なんでみんな演技やめようとしないの?みりあもうドッキリってわかっちゃったんだよ?」

ちひろ「みりあちゃん……っ!」

みりあ「ちひろさん、抱きつかなくてもみりあ平気だよ?だってドッキリだから悲しくないもん」

ちひろ「ぁぁぁ……っっ、ぅぁぁ……」

みりあ「ほら、プロデューサーもいい加減起きよ?ね、もういいでしょ社長?」

社長「……」

みりあ「……なんでまだ続けるの?ねぇ、プロデューサーってば……ねぇ……ねぇねぇ!!プロデューサーっ!!」

ちひろ「みりあちゃん!みりあちゃん!!」

みりあ「離してっ!プロデューサー約束したでしょ!いつまでも一緒にいるって!!」

みりあ「なんでこんないじわるするの!?いやだ、いやだよっ!!こんなのいやだよ!!」

みりあ「みりあなにか悪いことしちゃったの!?ごめんなさい!ごめんなさいっ!!」

みりあ「いい子になるから!みりあもうわがまま言わないからぁ!!」

みりあ「おきてよぉ!!ぷろでゅーさー!!ぷろでゅーさーってばぁ!!」

みりあ「なんでっなんでぇぇ!!」

みりあ「一緒にっいるって、言った、言ったのに!うそつきぃぃ!!」

みりあ「やだぁああ!やあああああ!!!」

ちひろ「っっ……っっっ!!」

社長「ぐぅ……!」

みりあ「ああああ!!うあああああ!!!」



―――――――――

――――――

―――


12歳


みりあ「……」

依田芳乃「そろそろ出番なのでしてー」

みりあ「……え?あ、うん……」

芳乃「……これを」

みりあ「鈴?」

芳乃「これは魔を払い、困難を切り開くものー。そしてー、存在を伝える導きの音ー」

みりあ「存在を伝える?」

芳乃「私はここにいるとー、良き魂に繋ぐ架け橋ー」

みりあ「良き魂に繋ぐ……」

芳乃「……あの方の望みはなんだったでしょうかー。少なくともファンの方々を心配や不安にさせるものではないかとー」

みりあ「わかってる……わかってるけど……」

芳乃「みりあはあの方との約束を守らないのでー?」

みりあ「え?どうしてそれを……」

芳乃「ちひろから聞いたゆえー」

みりあ「そっか……」

芳乃「いつまでもみなを笑顔にする元気なアイドルでいること……あの方とみりあが交わした契り。最期に託した想い、無駄にはして欲しくないのでしてー」

みりあ「けど……プロデューサーは約束破った……」

芳乃「……あの方はズルいところがありますがー、約束は破らない人柄ー」

みりあ「そんなこと言っても、いなくなっちゃったもん……」

芳乃「最期を悟っていたからー、魂になっても見守っている所以を言外に含ませていたのでしょー」

みりあ「どういうこと?」

芳乃「心はいつも一緒だとー。あの方に言わせるなら、みりあの傍にいるのに体も心も大差ないー、大事なのは絆の強さだー、てところでしょうかー」

みりあ「あはは……大差あるよぉ……ホントにズルいなぁ……」

芳乃「しかして、今のような暗き心の音では、その鈴の音をもってしてもあの方はみりあを見失うのでー」

みりあ「そう、だね……。このままだとプロデューサー迷子になっちゃうね」

芳乃「みりあがみりあで舞えばすぐ見つけてくれるでしょー」

みりあ「あはは、なにそれー。でも……うん!わかった!!みりあはみりあで歌って踊る!それで、プロデューサーには見守らせるだけじゃなくて一緒に踊らせよー!」

芳乃「おー、その意気でしてー」

みりあ「だけど、みりあ達の出番に間に合うかなー?天国にいるだろうから時間かかっちゃうよね」

芳乃「かくりよの時や距離の概念はー、うつしよのそれとは異なるゆえー、心配ないかとー」

みりあ「ん?ん?かくりよ?うつしよ?がいねん?」

芳乃「すぐ来てくれるということでー」

みりあ「そっか。じゃあ、芳乃ちゃんもプロデューサーをノリノリにさせるんだよー!がんばろーね!!」

芳乃「かしこまりー」

みりあ「あはは、はは……。芳乃ちゃん……ありがとね」


『依田さん、赤城さん。スタンバイお願いしまーす』


芳乃「ふふ。それでは、みなの幸せを願って……そして笑顔にする為に舞いましょー」

みりあ「おー!!」




―――――――――

――――――

―――

18歳


天海春香「さあ、いよいよ大賞の発表ですっ!」

如月千早「司会の私達も緊張しますね」

四条貴音「アイドルを引退した身でも今だ熱くさせられます」

春香「初めてエントリーされたときの興奮……かすりもしなかった賞……そして会場の外で泣きながらアカペラ披露……なんだこれは……大体、一年で結果を求るのがおかしい……誰だ、こんな縛りを決めたのは……社長?よし、シメよう……迎えた二年目……私達は」

千早「春香……春香っ!!」

春香「……ハッ!当時を思い出して、つい」

貴音「致し方ないかと」

千早「とにかくっ!発表よっ!!」

春香「了解っ!では……本年度アイドルアカデミー大賞、大賞の受賞者は……」

貴音「せぇの……」


春香・千早・貴音「「「346プロ所属、赤城みりあ!!」」」


みりあ「!」

春香「さあ、みりあちゃん壇上へカモーン!!」」

みりあ「!」

春香「あはは、気持ちはわかるけど気をしっかり持って!なんとも言えない絶妙な表情になってるよ!……どうやるの?それ」

みりあ「!」

春香「!」

貴音「!」

千早「……二人共、あまりふざけない。赤城さん、大丈夫ですか?」

みりあ「……え?あっ。すいません!!」

千早「ふふ、ではこちらへ」

みりあ「はいっ!やった、やったよぉ!!みんなぁ!!」

貴音「346プロの皆様も大いに盛り上がっておりますね」

春香「すごい迫力ですね~。今の346プロ何人在籍してるんだろ……っと、いらっしゃい!みりあちゃん!!」

みりあ「お邪魔します!……わ~、すごい眺め……」

春香「そう……この広い会場にいる数多のアイドル。そのトップが今の君だ……誇りたまえ……」

貴音「そして、みなのもの!触れ伏しなさい!姫の御出座ですっ!!」

千早「…………。改めておめでとう、赤城さん。この二人は気にしないでね」

春香「千早ちゃん!?」

貴音「千早っ!!」

千早「しっ!!」

春香・貴音「「!」」

みりあ「あはは!ありがとうございますっ!!」

千早「今の率直な気持ちを聞かせてもらえますか?」

みりあ「はい!先ほど春香さんがアイドルのトップだと言ってくれましたが、先代の方々を筆頭に、遥か高みで輝いてるたくさんの星をまだまだ見上げるばかりです。運良くこの賞を頂けることになりましたが、そんな皆さんに恥ずかしくないように、そして驕ることなく更なる飛躍を目指し精進していきたいと思っています!」

貴音「しっかりとした答えですね。慎み深さの中に確固たる決意を感じます」

千早「えぇ、良い意識の持ち方です。大賞を受賞したのも頷けます」

春香「特に先代の方々を筆頭にっていうところに如才のなさを感じるね!もっと春香さん達を敬ってもいいのよ?」

千早「……さりげなく受賞経験をアピールしないで。恥ずかしいでしょ……」

貴音「何を恥じることがあるのですか。ここで謙遜などしてはみりあに」

千早「しっ!!」

貴音「千早っ!!」

みりあ「あははは!でも、ホントにお三方を尊敬してますよ!貴音さん、姫って言ってくれたけど、私の中でお姫様は貴音さんなんです。なので……抱き付いていいですか!?」

貴音「断ることなんて出来ましょうか。この体みりあに預けましょう」

みりあ「わー、ん~!やわらかい!いい匂い!お姫ちんマジお姫ちん!!」

貴音「ふふ、昔の亜美真美を思い出しますね」

春香「あら~」

千早「んん゛っ!!今回久しぶりのソロでの受賞ということになりますが、そのあたりのお気持ちは?」

みりあ「ん~……支えてくれた人がたくさんいるのでソロっていう意識はあまりないですね。……ずっと見守ってくれてる人もいますから」

春香「分かるな~。私達はユニットで受賞だったけど、支えてくれた人みんなのおかげだって身に沁みてたもん」

みりあ「ですよね!だから、みんなありがとぉ!!……大好きぃ!!」

貴音「なぜ後ろを振り返って大好きと?面妖なっ!!」

みりあ「……照れ隠しっ!!」

春香「まっ!!かわいい!!」

千早「ふふ。では、そろそろ歌ってもらいましょうか。赤城さんスタンバイお願いします」

みりあ「はーい!よろしくお願いしまーす!!」


貴音「……見守ってくれてる人ですか。ふふ……後ろではなくて、舞台袖ですよ」



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―――

21歳



城ヶ崎美嘉「今日のゲストはー?」

城ヶ崎莉嘉「アタシ達の大親友!」

美嘉「デビュー10年目にしてついにシンデレラガールとなった」

莉嘉「赤城みりあちゃん!!」

美嘉・莉嘉「「はりきってどうぞー!!」」

みりあ「……え!?なにをっ!?出ていいの!?」

美嘉・莉嘉「「どうぞー!!」」

みりあ「わ、わーい!みりあだよ!公開生放送での無茶ぶりに驚きを隠せないみりあだよー!!面白いことなんて期待しちゃダメー!!イェイイェ~イっ!!」

莉嘉「あははっ!!みりあちゃん充分充分!!そのヤケクソ感最高っ!!」

美嘉「久しぶりに聞いたみりあって一人称もイイね!グッときたよ!!」

みりあ「も~……勘弁してよ~」

美嘉「ごめんごめん。それじゃ、改めて赤城みりあちゃんだよ!」

みりあ「今日はよろしくお願いしまーす!」

莉嘉「さっそくだけど、シンデレラガールおめでとー!」

みりあ「ありがとー!そして、投票してくれたみんなもありがとー!」

美嘉「アイドルアカデミー大賞から三年……ついに成し遂げたね」

莉嘉「選ばれるシステムが違うとはいえ、アタシはすぐなれると思ってたんだけどなー」

みりあ「あはは。そんなに甘くはなかったね。でも……だからこそ、アイドルアカデミー大賞で得た自信が傲慢にならなくて良かったと思ってるんだ」

美嘉「みりあちゃんが傲慢に~?ナイナイっ!裏表なくてナチュラルな善人はいい意味で変われないから安心しな」

みりあ「買い被り過ぎだよぉ」

美嘉「でもまぁ、傲慢なみりあちゃんでもアタシは受け入れるけどねっ!」

莉嘉「……あの子調子乗ってるね。みりあの前でいい度胸だよ……。美嘉?ちょっと教育してくるから見張ってて」

美嘉「やめてっ!みりあちゃんはそんな事言わないっ!!」

莉嘉「駄目じゃん」

みりあ「……美嘉?ちょっと教育してくるから見張ってて」

美嘉「や、やだ……ちょっといいかも……」

莉嘉「駄目じゃん」

みりあ「あはっ!美嘉ちゃんはいつも面白いねっ!」

美嘉「は、話を戻そう!」

莉嘉「お姉ちゃんが脱線させたんじゃん」

美嘉「莉嘉もノッてきたでしょっ!」

莉嘉「はいはい、話を戻すよ。……なんだっけ?」

美嘉「選挙の話!……そうそう、楓さんの壁は厚かったよね」

莉嘉「ねー!言い方悪いけど35歳にして今だトップランカーなあたり化物だよね。ホント憧れちゃうなぁ」

美嘉「……あれ?憧れはお姉ちゃんじゃ?」

莉嘉「……え~?」

美嘉「みりあちゃ~ん。最近莉嘉が冷たい~」

みりあ「よしよし。でも、私も楓さんに憧れるよ。35歳でアイドル……それも変わらない美しさで。私の目標とするアイドル道と重なる部分がいっぱいあるから、楓さんがいてくれてホント良かった」

莉嘉「だよね~。いいよね~楓さん。アタシも35歳までアイドル出来るかなぁ」

みりあ「大丈夫!お互い頑張ろう!!」

莉嘉「うん!とりあえず目標は35歳だっ!」

みりあ「おー!」

美嘉「みりあちゃん!もっとアタシを構って!ちょっとおざなりだよっ!」

莉嘉「そういうとこが駄目なんだよ、お姉ちゃん!」

美嘉「ひどいっ!!」



高垣楓「褒めてくれてるのはわかるんですが、35歳の連呼はつらいです……。ね、菜々さん」

安部菜々「……なぜナナに振るんですか」

楓「だって……」

菜々「……ナナはっ!じゅうっ!ななさいっ!ですっ!!」

楓「ななさんじゅうななさい!ですね」

菜々「あ゛あ゛あ゛っ!!」



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―――

32歳



渋谷凛『―――はい、幸せです。でも、ここまで待たされたのでもっと幸せにしてもらうつもりです。ふふ』


アナウンサー「タレントで元アイドル、渋谷凛さんの幸せ結婚会見でした。いや~、いい笑顔でしたね」

みりあ「ですね~。凛ちゃんキレイだったなぁ」

アナウンサー「ちなみにお相手は一般の方ということですけど、赤城さんはご存知なんですか?」

みりあ「はい、知ってますよ。なんていうか、表現しづらい人ですね……とか言ってると凛ちゃんに怒られそうなのでこれ以上はやめときます!」

アナウンサー「ははは、そうですか。では、赤城さんにはおられないんですか?結婚を考えてるようないい人は」

みりあ「いないですいないです!いつまでもみんなを笑顔にする元気なアイドル、赤城みりあ32歳ですっ!あはっ!」

アナウンサー「……え~、そんな赤城さんに対するファンの方達にアンケートをとってみました。アイドル赤城みりあ32歳、結婚はありかなしかっ!」

みりあ「んな!?何でそんな事を……!悪意を感じる流れっ!!」

アナウンサー「純粋な好奇心です。てことで、ドーン!あり、5%!なし、95%!……えぇ!?」

みりあ「なんですか、その驚愕はっ!!も~……みんな~、みりあはみんなのアイドルだから安心してね~」

アナウンサー「……え?もう一つある?」

みりあ「ん?」

アナウンサー「……ほう。なしと答えた95%の人達を対象にしたアンケートがこちら!赤城みりあ32歳、結婚はありかなしかっ!」

みりあ「んん!?」

アナウンサー「アイドル赤城みりあではなく、赤城みりあ個人に対する質問です!はいっ、ドーン!あり、88%!なし12%!」

みりあ「なにそれー!」

アナウンサー「理由は……『正直32歳だし……普通に心配』『みりあちゃんには幸せになって欲しい。けど黙っててくれたらありがたい』等々」

みりあ「32歳はまだ若いでしょー!!心配するような歳じゃないよぉ!!……たぶん」

アナウンサー「12%の方達も『凛ちゃんは36歳まで我慢したから、それ基準にしたほうがいいのかなと』『なんとなくみりあちゃんがこの回答を望んでる気がするから』など、あからさまな否定はないですね」

みりあ「凛ちゃんは我慢してた訳じゃ……激戦の末……」

アナウンサー「え?」

みりあ「そ、そうそう!結婚といえば、私の妹が最近結婚したんですよっ!子供も生まれましてそれがかわいくてかわいくてっ!」

アナウンサー「強引な話題転換ですね~」

みりあ「凛ちゃんの子も早く見たいなぁ!!凛ちゃんガンバだよ!ガンバっ!!」

アナウンサー「おおっと!きわどい展開になりそうなので一旦CMっ!」

みりあ「あはは!とにかく凛ちゃんおめでとぉ!!」



―――――――――

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―――

44歳


リーン


鷹富士茄子「……ん?鈴の音?」

みりあ「よっ!はっ!ん~……とうっ!」

茄子「……みりあさん?」

みりあ「え?あ、茄子さん。珍しいですね、レッスンスタジオで会うなんて」

茄子「えぇ。何故か気になっちゃいまして覗いてみたんです。……すごい汗だくですね」

みりあ「ミュージカルの出演オファーがあったんです!結構激しいダンスもあるみたいだから予習もかねて体力づくりです!ほっ、やっ!」

茄子「そうですか。でも、ツアーが終わったばかりですよね。あまり無理されないほうが……」

みりあ「大丈夫ですよ!まだまだ若い子には負けられな……い?……あら?なんか……ぐるぐると……」


ドッ


茄子「みりあさんっ!」

みりあ「はっはっはっ……あ、あれ?立てない……ぅっ……吐きそう……」

茄子「もしもし!?救急ですっ!場所は――― 」



みりあ(あれ?ここどこだろ?なにしてたんだっけ……)

みりあ(……さみしいな。みんなどこだろ……)

みりあ(あっちかな……)

みりあ(ん?だれ?まぶしくてみえないよ。そっちにいけばいいの)

みりあ(ぁ……て……あったかい……つれてってくれるんだね。ありがとう)

みりあ「……ん」

茄子「あ、気がついた?みりあちゃん」

みりあ「茄子……さん?」

茄子「そうですよ~。茄子さんです。みりあちゃん、気持ち悪かったりしない?もう大丈夫?」

みりあ「は、はい……。手、握っててくれたんですね」

茄子「あっ。ごめんなさい!みりあちゃ……みりあさんが子供のように見えて……」

みりあ「ふふ。みりあちゃんでいいですよ?」

茄子「んもう……割と余裕がありますね。では、ここからはお説教です」

みりあ「え~?」

茄子「え~、じゃありません!自主練は結構ですが、トレーナーの方がいない状態でろくに水分補給をせずに激しい運動など笑止千万っ!」

みりあ「しょ、しょうしせんばん……」

茄子「熱中症を甘く見てはいけません!あの時私が覗いてなければ、最悪死もありえたんですよ!?」

みりあ「ぅぅ……。猛省します……」

茄子「頑張るなとは言いません……でも頑張り過ぎないでください。みりあさんならわかってくれるでしょう?」

みりあ「……はい」

茄子「……ん。それじゃ、お説教はおしまいです。これからは自分の歳も考えて行動しなきゃ駄目よ?」

みりあ「は~い。それにしても、茄子さんが来てくれて良かったぁ。私ツイてましたね」

茄子「ホントに良かったです。あと……みりあさんを助けられたこと、これまでの人生で一番の幸運でした。ありがとうございます」

みりあ「あはは。ありがとうは私のセリフですよ」

茄子「いえ。なんとなく言っておきたかったんです。……ね?」

みりあ「……?誰かいるんですか?」

茄子「ふふ」


―――――――――

――――――

―――

52歳


宮本フレデリカ「フーンフ、フンフ、フーンフ、フンフ、フーフーフーフー、フンフフー!」

みりあ「……」

フレデリカ「……」

みりあ「……あ。もう始まって……」

フレデリカ「ファーファファ、ファファファ、ファーファファ、ファファファ、ファーファーファーファーファー!」

みりあ「……」

フレデリカ「……」

みりあ「……はい。赤城み」

フレデリカ「ファファファ、ファーファーファーファー、ファーファファー!フーンフンフンフーン!!」

みりあ「ええい!やかましい!テーマ曲を自分で歌わないっ!!」

フレデリカ「え?今のSEだよ?」

みりあ「嘘っ!?」

フレデリカ「うん、嘘!ということで、フレ子の部屋へようこそー!!」

みりあ「な……っん……ん゛~っ!!」

フレデリカ「どしたん?」

みりあ「どしたんって……相変わらずですねフレデリカさん」

フレデリカ「うん!お久ー!みりあちゃんおっきくなったねー。みりあもやるー!ってぴょこぴょこしてたときが懐かしいよ」

みりあ「そりゃ40年近く経てばおっきくもなりますよ。……ほら、そんなに前じゃなくて去年に会ってるでしょ、おばあちゃん」

フレデリカ「みりあちゃんっ!台本通り進行しなきゃ駄目っ!ほらっココ!2ページ目!赤城みりあです、本日はお招きいただきありがとうございます!でしょっ!」

みりあ「……赤城みりあです、本日はお招きいただきありがとうございます。還暦を迎えられた長年の友人の番組ということで、心が弾んでおります」

フレデリカ「もー!後半アドリブ入れないっ!次のセリフは……真っ白だ!」

みりあ「いかにフレデリカさんが自由にやっていたか分かっちゃう台本ですね」

フレデリカ「ちょっとスタッフー、スタッフー?適当なのはいけないよー……ヘイ、ディレクター。なんで鏡を向ける?」

みりあ「あはは。それにしてもフレデリカさんも年齢気にするんですね。ちょっと意外かも」

フレデリカ「去年まではあんまりだったんだけどねー。60の壁は結構クるんだよー……」

みりあ「そうなんだ。でもかなり若く見えるから気にしないでいいと思いますよ?」

フレデリカ「ホントにー?じゃあ、またアイドルしちゃおうかなー!」

みりあ「いいですね!みんな引退しちゃって寂しいんですよ!また一緒にやりましょう!!」

フレデリカ「じゃーやっちゃうー?みりあちゃんも復帰してー!なんてー」

みりあ「やだなー。復帰もなにも私引退してないですよー」

フレデリカ「も~、みりあちゃんまで適当なこと言い出すと収拾つかなくなるよー。ま、それもいいけどねー」

みりあ「あれー?同じ事務所なのにひどいですよぉ。一応最年長アイドルとして活動してますよ?」

フレデリカ「……マジ?歌手じゃないの?」

みりあ「マジマジ。歌手とは似て非なる者!いつも元気にみんなを笑顔にするパッションアイドルみりあだよ!キツっ!とか言ったらグーでパーンチ!……なんてね、あははっ」

フレデリカ「……っ。……んまー!力強い笑顔っ!漫画とかでよく見る顔マークみたい!」

みりあ「誰がぽげムたですかっ!!」

フレデリカ「おぉぅ?ぽげムた?」

みりあ「記号BA-90ですっ!!」

フレデリカ「あーはいはい。スターウォーズだよねー。わかるわかるー」

みりあ「……私の妙な知識を拾わずに自分のフィールドに落とし込むとは」

フレデリカ「そこんとこさすがフレちゃんだよねー。際立ってるー」

みりあ「褒めてませんよ……。でも、それでこそフレデリカさんです!ホントに復帰しませんか?」

フレデリカ「正直ないです!」

みりあ「え~?その個性、もう一度アイドルとして花咲かせましょうよ~」

フレデリカ「むーりぃー」

みりあ「そこをなんとかっ!」

フレデリカ「フレちゃんのライフはもうゼロです」

みりあ「どうしても?」

フレデリカ「……」

みりあ「むむ……」

フレデリカ「……よーし!みりあちゃんっ!一万年に一度くらい見せるフレちゃんシリアスモードを出しちゃうぞー!」

みりあ「考えてくれるってことですか!?」

フレデリカ「んー…………。えーと……あのね?アタシの花は41年前に枯れちゃったの。どんなに咲かせようとしても根っこが腐っちゃってるから芽すら出ないんだよ」

みりあ「っ!」

フレデリカ「アタシにとってアイドルの畑は心が吸い取られる毒の沼。そんな辛い場所だから今まで距離を置いてた。みりあちゃんが現役だったのを知らなかった理由でもあるね」

みりあ「……」

フレデリカ「それでもまだ芸能界にいるのは、全部忘れて捨てちゃえるほどの心の強さは持っていなかったから。……アタシ弱いんだよ」

みりあ「……」

フレデリカ「だから……ごめん。出来ないよ……」

みりあ「……」

フレデリカ「でもね?さっきのみりあちゃんの笑顔で少し救われた。……ずっと続いてたんだね。想いは途切れなかったんだね。出来なかった事を紡いでくれてたんだね。……意志はそこにあるんだね」

みりあ「……ぁ」

フレデリカ「……笑顔が重なって見えたよ。逃げちゃったアタシが言うのはおかしいけど……悲しませないでいてくれてありがとう。笑顔でいてくれてありがとう。一緒に生きていてくれてありがとう」

みりあ「ぁぁ……ぅぁぁ……」

フレデリカ「アタシに……お礼を言わせてくれてありがとう。……だから、最後に……ありがとうございました。アイドル生活……楽しかったですっ!」

みりあ「ぅぅ……ぅぅぅ……」

フレデリカ「……ふふ」

みりあ「んく……フレデリカさん……」

フレデリカ「なんてー!!なんやかんや言ったけど、つまりは60のおばあちゃんにアイドルとか常識的にありえないってことー!ホントむーりぃー!ていうか、52のアイドルってのもパンチ効いてるよねー」

みりあ「ふれでりかさ~ん!!うあぁぁ!!」

フレデリカ「うぉっと!フレちゃん今ディスったよ?なのに抱き付かれたら困惑しちゃうよー」

みりあ「あああ!うあぁぁぁ!!!」

フレデリカ「ん~……よし!カットだっ!色んな意味でここのやりとり使えない!!あとで撮り直しっ!いいでしょー?」

スタッフ「撮り直しはオッケーですけど、カットは要相談でー」

フレデリカ「じゃあ346プロ本丸と要相談でー」

スタッフ「カット頂きましたー!ありがとうございまーす!」

フレデリカ「あはは!おっけおっけ!!じゃあ休憩っ!!」

みりあ「ぅぅぅ……すいません……」

フレデリカ「よしよし。お茶でも飲んで気分を落ち着かせよー。番茶あるよ番茶」

みりあ「……ホントにおばあちゃんですね」

フレデリカ「こらー!」

みりあ「あはは。冗談ですよ」

フレデリカ「……52歳もだいぶ」

みりあ「すとーっぷ!私が全面的に悪かったです!」

フレデリカ「わかればよろしいっ!」




―――――――――

――――――

―――

68歳


記者「―――退任するにあたり一言お願いします」

みりあ「はい。先代、千川社長からバトンを受け取って10年。芸能活動と社長業の両立に目まぐるしくも充実な日々を送れました。それはひとえに社員、友人、家族、そして応援してくださった皆様の支えがあったからこそ。この場を借りて今一度、心から感謝申し上げます。ありがとうございました」

記者「では、後任の方に何かメッセージを」

みりあ「そうですね……。引継ぎで言いそびれたことがあったのでそれを。んん゛っ!……一アイドルに戻るけど、元社長だからって気を使っちゃダメだよ?駄目なことは駄目ってちゃんと言ってね!けど、アイドル辞めろっていうのは無しでっ!」

記者「ははは。今だツアーを完売させる方をそうそう切れないでしょう」

みりあ「ふっふっふ……。受け継がれているアンチエイジングが勝因だね。例えおばあちゃんだろうがみんなを元気にする若々しさが溢れ出てるものっ!はっはっはー!」

記者「あ、赤城さん?」

みりあ「……あら。ちょっとテンション上がり過ぎちゃいましたね」

記者「そ、そうですか。え~……先ほど触れちゃいましたけど、これからの予定を一応お聞かせ願えますか」

みりあ「はい!勿論ツアー……の前に、ちょっとオフがあるので、孫と遊ぼうかなと」

記者「え?ご結婚されてましたっけ」

みりあ「いえ、妹の孫……姪孫です。もうすぐ中学生なんですけどダンスバトルを申し込まれまして、軽く揉んであげようかなと」

記者「げ、元気ですね~」

みりあ「それが私のモットーですからっ!!」



―――――――――

――――――

―――

××歳


女の子「おばあちゃん!!みりあおばあちゃん!!」

女性「こらっ!病院では静かにしなさいっ!」

女の子「おかあさんも、しー!」

女性「この子は……」

みりあ「あはは、子供の頃の私にそっくりだねぇ」

女の子「そうなの!?やったー!みりあおばあちゃんといっしょー!」

みりあ「あらあら。ちょっと元気過ぎるけどねぇ。ふふ」

女の子「だってだって!アイドルは元気が……そうだ!おばあちゃん聞いて!」

みりあ「はいはい。聞いてるよ、なんだい?」

女の子「私オーディション受かったの!アイドルになれたんだよっ!」

みりあ「そう……なのかい?」

女性「ええ。みりあおばあちゃんの様になるんだよね?」

女の子「うん!今はまだひよっこだけど、頑張ってアイドルのテッペンにいくんだっ!」

みりあ「そっか。……どんなアイドルになりたい?」

女の子「ん~とね!いつまでもみんなを笑顔にする元気なアイドル!」

みりあ「あはっ。ホントに私とそっくりだ。……うれしいなぁ」

女の子「みりあおばあちゃんが目標だもん!ずっとみんなを笑顔にするんだ!」

みりあ「ふふ……。じゃあ、これをあげようか」

女の子「なになに!?……鈴?」


リーン


みりあ「悪いものを払って、大切な人に想いを届けてくれる音。私がずっと持っていたお守りだよ」

女の子「へぇ!すごい鈴なんだねっ」

みりあ「これから先、辛い事や悲しい事があるでしょう。そんな時、一人で抱え込まないで俯かないのよ?あなたの周りにはたくさんの幸せがあるの。どうか、辛くても顔を上げて。俯いたままだとそれを見つけられず笑顔になれないのだから」

女の子「ん~……と?とにかく落ち込んでも笑顔でいようってこと?」

みりあ「あはは。そうだね。それが難しい時はこの鈴が助けてくれるから……あなたの大切な人が助けてくれるからね」

女の子「そうなんだっ!ありがとう、おばあちゃん!大切にするねっ!」

みりあ「ふふ。その笑顔があればあまり心配はなさそうだ。その調子で、たくさんの人に元気と笑顔を届けてね?」

女の子「まっかせてー!私はやるよー!」

みりあ「ふふふ……後を託せるんだね……」

みりあ「……これで、ようやく……ホントの引退かな……」

みりあ「……なんか安心した……なぁ……」

女性「……おばあちゃん?」

女の子「おねむかな?」

みりあ「…………」


女性「……疲れちゃったのね。静かにしよっか」

女の子「うん。そうだね」

女性「ん~、いい天気。窓、開けよっか。……ふぅ、いい風」


リーン


女の子「あ、鈴鳴っちゃった」

女性「ふふ。いい音ね」

みりあ「……プロ……デューサー……?」

女の子「起こしちゃったかな……?」

みりあ「ぁぁ……やっと……逢えた……」

女性「……え?おばあちゃん?」

女の子「涙?夢見てるのかな?」

みりあ「みりあ約束守ったよ……ほめて……くれる……?」

女性「……ぁ。ま、まって……だめ……」

女の子「おかあさん?泣いてるけど悲しい夢じゃなさそうだよ?」

みりあ「えへへ……これからは……ずっと……」

女性「おばあちゃん……みりあおばあちゃんっ!」

女の子「もー、おかあさんってば。静かにしないとダメでしょ」

みりあ「ぃ……ょ……」

女性「ぁ……ぁぁ……」

みりあ「……」

女の子「ふふ。嬉しそうな顔してる」


女の子「おやすみ。おばあちゃん……ゆっくり休んでね」





あのね!みりあ積み上げゲーム上手になったよ!

今度は勝負じゃなくて、一緒に新記録目指そうねっ!


一緒にだよっ!プロデューサー!!









                                         ハッピーエンド




                                                ’

―――――――――

――――――

―――




荒木比奈「映画化決定っ!!!」


モバP「……色々ダメ出しをしたいところだけど」

比奈「ダメ出し!?この力作に対して!?」

モバP「うん。この割と背景も書き込まれてる漫画に対して」

比奈「ひどいッス!なにが不満なんスかっ!」

モバP「……いつ書いたの、これ」

比奈「……」

モバP「三ヶ月前から休みをとってる荒木さん。復帰するまではそっとしておいて欲しいと言ってた荒木さん」

比奈「……」

モバP「いつ書いたの、これ」

比奈「……っ」

モバP「あっ!逃げんな、こら!」






                                           終わり

ハッピーエンド・・・例のシリーズの人なのかな、おつおつ

(本人は)ハッピーエンド

リーン


あぁ……終わっちゃったスね……。意外とあっけないもんス。

泣いちゃってたな……。楽しく終わりたかったッスけど……ベタな展開は感情は入りやすいから仕方ないか。

……けど、アタシは笑えてたから良しとしよう!悔いはなしっ!!……じゃあ、行くッスよ!


リーン リーン


…………


リーン リーン リーン 


…………楽しかった……なぁ……



―――――――――

――――――

―――

モバP「―――で、急に同人誌を見せてきてどしたんよ」

比奈「たぶん、このままじゃ悔いが残るからだと思うんス」

モバP「……何が?」

比奈「ここにアタシが存在しているという事象」

モバP「……話が噛み合ってない気がするんですが。中二感が凄いんですが」

比奈「あぁ、すいませんッス。同人誌の事ッスよね。まぁ、誰かに見てもらいたかったんスよ」

モバP「軽いな。ていうか、まだ3月なのにもう出来てんの?コミケって8月じゃなかった?」

比奈「……え?」

モバP「違うの?」

比奈「そこじゃないッス。今、4月でしょ?」

モバP「……時間の感覚が月単位で狂ってんの?部屋に籠り過ぎるのも大概にしなさいよ」

比奈「いやいや。ほら、カレンダー4月9日になってるッスよ?」

モバP「え?……ホントだ。麗奈の悪戯か?」

比奈「なんで4月だって認めないんスか」

モバP「そりゃ昼にひな祭りのパーティーをしたからだよ」

比奈「ひな祭り……。旧暦で祝ったとか」

モバP「だとしても、4月3日だろ」

比奈「う~ん……」

モバP「ていうか、普通に生活してたら暦は間違えんって。荒木先生の生活リズムがおかしいんですよ」

比奈「……」

モバP「比奈?」

比奈「……いや。そうッスよね。ここに居る事自体おかしなことなんスから」

モバP「……?さっきからちょいちょい噛み合ってないけど、マジで中二病に罹患しちゃった?」

比奈「してないッスよ。けど、今のアタシ達って夢の住人……みたいッス」

モバP「……」

比奈「憐れみの目で見つめないで欲しいッス」

モバP「……頑張って社会復帰しような?」

比奈「もー!なら、証拠を見せるッス!……やぁ!」


フワッ


モバP・比奈「「飛んだぁ!?」」

モバP「って、なんで比奈まで驚いてるんだよっ!」

比奈「飛べる気はしたんス!けど、いざホントに飛んじゃうとビビるッス!」

モバP「なんだそりゃ!ていうか……ホントに夢だったのか。……もしかして俺も飛べちゃう?」

比奈「夢ッスから」

モバP「だよなだよなっ!じゃあ……はぁぁっ」

比奈「……」

モバP「……はぁぁっ!!」

比奈「……ぶふっ」

モバP「……飛べないんだけど?」

比奈「ふふっ……んふふふふ!イメージは悟空ッスか?うひゅひゅひゅ……へ、変な笑いが出ちゃうッス……!」

モバP「……」

比奈「ふひゅひゅひゅ……!」

モバP「……パンツ見えてるぞ」

比奈「ふひゅ!?」

モバP「ほ~れほ~れ、夢だから俺は見続けるぞ!スカートありがとう!ありがとうスカート!!」

比奈「へ、変態ッス!うぅ、ジャージにすればよかった……」

モバP「人の恥を笑うと自分にも返ってくるという教訓だな!ふふんっ!」

比奈「……。はぁぁっ!!」

モバP「あ、テメっ!このやろっ!」

比奈「なんスか!やるんスか!?かめはめ波出しますよ!?」

モバP「おーし!上等だっ!!白パンティーさん、かかってきなさいっ!!」

比奈「なぁ!?もう容赦しないッス!!変態は処すッス!!」

モバP「やってみろやぁ!!」



―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


渋谷凛「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

凛「……渋谷です」

モバP「あ、あぁ……渋谷か……」

凛「……」

本田未央「おっと。般若」

島村卯月「阿形じゃないかな」

モバP「あれ?なんでソファで……あぁ、そっか。昨日帰らずそのまま寝たんだっけ」

凛「……プロデューサー」

モバP「なん……え、嘘、怖い」

凛「私の名前を言ってみて」

モバP・卯月「「君の名は!?」」

凛「あまりふざけないで」

モバP「……そうだぞ。卯月、未央」

未央「おうこら。私まで巻き込むな」

モバP「だって、あの渋谷さん世紀末感が凄いんだもの」

凛「……泣くよ?」

モバP「凛。おはよう。起こしてくれてありがとう」

凛「まったく……。こんなとこで寝てたら身体壊すよ」

卯月「そうですよ。ちゃんとお家帰って寝ないと」

モバP「帰るまでの時間を睡眠に充てたいこの頃です。ふわっ……寝む……」

未央「そうだとしてもちゃんと仮眠室で寝ないと。寝る姿勢が悪いと悪夢を見やすいらしいし」

モバP「ういうい。でも、このソファ凄い寝心地いいんだよ。悪夢を見るような苦しい体勢にはならんの」

凛「でも、さっき叫んでたよね。ひなぁ!って。……ひなって何?もしかして比奈さん?どんな夢見てたの?」

モバP「なぜそんなグイグイくる……。どんな夢って……どんなだったかな?……覚えてないわ」

凛「……ホントに?」

モバP「ホントだって。ふわぁ……駄目だこれ。ちょっとシャワー浴びてくる……」

凛「むぅ……」

未央「まあまあ。夢ってすぐ忘れちゃうもんじゃん。嘘は言ってないと思うよ。それよりも、覗きに行かないようにね!」

凛「……私を何だと思ってんの」

未央「あははっ!冗談冗談!!……しまむー、ストップだっ!!」

卯月「な、なにかな?プロデューサーさんにコーヒーでも淹れようと……」

未央「そっか。ごめんごめん。給湯室は出て左だからね。知ってると思うけど」

卯月「知ってるよぉ。やだなぁ、未央ちゃんったら。じゃあ、行ってくるね」


トトッ


未央「……左に行ったか。流石のしまむーも……」


ダッ


凛「あの子方向替えたっ!!」

未央「なにその無駄なフェイントっ!流石に覗きはいけな……」

凛「っ!」

未央「あっ!蒼鬼が解き放たれたぁ!!しまむー逃げてぇ!!」

卯月「きゃあぁぁぁぁ…………………………………………ぅっ」

コラー!ロウカデアバレナーイ! リンチャンガトルコガリヲッ!!チヒロサーン!タスケテクダサイー!マウントトラレマシター!

未央「……ん。ニュースでも見よ」



―――――――――

――――――

―――

モバP「……おはよう」

比奈「おはようッス」

モバP「やっぱこれ、夢?」

比奈「夢ッスねぇ」

モバP「……明晰夢と思っていいの?」

比奈「ちょっと違うと思うッス。胡蝶の夢みたいなものだと思うんスよね」

モバP「胡蝶の夢?荘子?」

比奈「いや~……なんていうか……夢ではあると思うんス。けど、現実でもあるんス。だから、カレンダーも正しい日付に戻ってるッス」

モバP「……?どゆこと?」

比奈「あ~やめましょう。頭がこんがらがるだけッスね!プロデューサーにとっては夢!これで結論ッス!」

モバP「……そうだな。この前起きたら全部忘れてたし考えても仕方ないか」

比奈「……忘れてたんスか?」

モバP「え?……あぁ。夢ってそういうもんだろ」

比奈「そッス……よね……」

モバP「……?どした?」

比奈「……ん!なんでもないッス!」

モバP「なんか無理してない?」

比奈「してないッスよ~。それよりもっ!そこの変態プロデューサー!」

モバP「お?この前の続きか?白パンティーには負けんぞ!黒パンティーだと危なかったけどなっ!」

比奈「さっぶい事言ってないで説明するッスよ!」

モバP「……ひっどい事言うなよ。説明って?」

比奈「アタシの力作に対して、ダメ出しをしたいって言ってたことッスよ!これで的外れな事ばっかり指摘するしょーもない批評家様だったらキレるッスよ!?」

モバP「もうキレてるじゃん。そもそも専門家じゃなくて素人。そこら辺ちゃんと考慮してくれるんならダメ出しをしてやらんこともないよ?」

比奈「じ、自分でダメ出しをしたいって言っといて!この変態すんごい偉そうッス!!」

モバP「こらこら。せめてプロデューサーはつけよ?ダイレクトに変態って言われるとナチュラルボーン感が出てくるじゃん」

比奈「出てくるもなにも存在が変態なんだから別にいいと思うッス!」

モバP「パンツ見られたくらいで変態とか子供ですかー?」

比奈「見てた時の顔面が弩級の変態面だったんスー!」

モバP「自意識過剰ー」

比奈「潜在的犯罪者ー」


モバP「……」

比奈「……」


モバP「かかってこいやぁ!子供パンツー!!」

比奈「飛べない変態はただの変態なんスよ!ばーかばーか!」

モバP「飛ぶのは卑怯だぞっ!!こ、このっ……!降りてこい」



―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


双葉杏「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

杏「杏だお」

モバP「あ、あぁ……杏か……。この前と同じような寝起きだな……」

杏「そんなんどうでもいいから、おいたん早くどいて。そこは杏の特等席」

モバP「おいたん言うな。……お前、ここで寝るつもり?」

杏「なに当たり前なことに疑問を持ってんの?」

モバP「事務所来て早々寝ようとするのが当たり前なの……?あん?」

杏「……わかった。整理しよう。まず杏が事務所に来たことを褒めよ?」

モバP「で?」

杏「そんで、ご褒美にそのソファで寝かせよ?」

モバP「何が整理だ。キミは、今日、レッスン、だ」

杏「そうやって念を押すように言っても無駄無駄。プロデューサーは杏に甘いんだから結局は許しちゃうんだよ。ほら退いた退いた」

モバP「……ほう。一理ある」

杏「お?素直じゃん。じゃ、そういう事で」

モバP「……きらりー!きらりー!!」

杏「馬鹿めっ!きらりは今日オフなんだ!杏が調べてないとでも思ったか!そういうとこも甘いんだよ!!」

ニョッワー!!

杏「……覚えのある声が聞こえたんだが?」

モバP「気のせいだといいなぁ?……予言しよう。一分後にお前はレッスンスタジオへ向かっている。小脇に抱えられて」

杏「い、嫌だっ!杏は寝るって決めたんだ!こ、このぉ!!」

モバP「あ、あほっ!隙間に入ろうとすんな!お、落ちるっ!!」

杏「落ちちゃダメだよ!そのまま杏の盾になるんだ!!」

モバP「訳の分からん事をっ!!」


凛「なに……してんの……?」


モバP「……杏のせいで面倒くさいぞ」

杏「はいはい。なんとかするって」

凛「なにしてんのか聞いてるんだけど?」

杏「同衾だね」

モバP「なに言ってんの!?なに言ってんのぉ!?」

凛「ふーん」

モバP「ま、まて凛!これには事情がっ!!」

凛「ちひろさんと社長。どっちに怒られたい?」

モバP「くそぅ!!」

杏「この隙に杏は隠れて……」

諸星きらり「杏ちゃん、みーっけ!!」

杏「くそぅ!!」



―――――――――

――――――

―――

モバP「よっ!三回目ともなると慣れるもんだな」

比奈「そッスね。アタシとしてはいつの間にかソファで寝てる人に軽くビクつくんスけどね」

モバP「だからって、起こすのにスリッパで叩くのはどうかなぁと思う訳よ」

比奈「前二回とも喧嘩してるのに急に消えるからッスよ」

モバP「意外と好戦的ね……」

比奈「……すぐ居なくなっちゃう方が悪いんス」

モバP「一回目は結構居たろ」

比奈「……なかなかこっちに来ないし」

モバP「そう言われても。なんか事務所で寝たらこの夢を見るようだけど、基本家で寝るからね」

比奈「……プロデューサーはもっと仕事を増やすべきッス。それこそ家に帰れないくらい」

モバP「ひでぇ!週一でも事務所に泊まるのは異常なんだぞ!それが最近は3,4日に一回……おおぅ……もぅ……」

比奈「だって……」

モバP「わかったわかった。今日はだいぶ疲れてたし、早めに寝たから長く居れると」


―――


モバP「……ん。便所……」

モバP(夢って一瞬で忘れるなぁ。なんか見てたんだけどな……ま、いっか)


モバP「ふぅ。…………寝よ」


―――


バーン!!


比奈「言ってるそばから消えるってどーゆー了見スか!?」

モバP「うわぁ。スパーンじゃなくてバーンって鳴ったよ?そのスリッパ」

比奈「その程度で済んで感謝して欲しいくらいッスよ!!」

モバP「うん、流石にタイミング悪かった。ごめん。でも、生理現象は仕方ないと思うんだ」

比奈「っ……。はぁ……もういいッスよ」

モバP「理解していただけて何より。にしても~そんなに~感情的になるなんて~そんなに俺と居たいの~?ひなさ~ん?」

比奈「………………。それじゃ、この前の続きするッス」

モバP「う~ん……はしゃいだ結果、スルーされるのはキツイと知れ?」

比奈「うるさいッスよ。ほら、ダメ出しするんでしょ?はよう」

モバP「いいけど、あんまり怒らないでね?」

比奈「……善処するッス」

モバP「じゃあ、まず……これ、許可とった?実名バンバン出てるけど」

比奈「それはほら……同人ってグレーなとこあるじゃないッスか」

モバP「おいおい」

比奈「冗談ッスよ。みんなオッケーしてくれたし、社長にも許可得てたりするんスよ。我ながらよくお願い出来たなと思うッス」

モバP「……俺は聞いてないんだけど?」

比奈「ははっ」

モバP「え、なにその笑い」

比奈「765さんにも許可得てるんで安心して下さいッス」

モバP「……俺への許可は?」

比奈「ははっ」

モバP「……。このキャラ崩壊って何?」

比奈「予防線ッス!怒られない為にっ!」

モバP「日和ったってことね」

比奈「いやいや、繊細な人を傷つけない為でもあるんスよ?○○ちゃんのイメージがぁ……ってならないように!もしかしたら、モデルになってくれた子達も自分とのギャップにショックを受けるかもしれないッスから」

モバP「なるほど、読者とモデルへの配慮って訳か。けどさ……俺のモデル、いきなり存在が崩壊してるよね」

比奈「ははっ」

モバP「……。その乾いた笑いヤメよ?またバトルが始まるよ?」

比奈「望むところではあるんですが、今回はちゃんと感想を聞きたいので謝ってあげるッス。サーセン」

モバP「てめぇ……まぁいい。じゃあ……これ、なんの病気で逝ったの?」

比奈「さあ?」

モバP「さあって」

比奈「医療漫画じゃないんだから、それっぽい感じで描いてたら勝手に脳内補完してくれると思うんス」

モバP「ふんわりしてんなぁ。取材とかせんのん?」

比奈「してるッスよ?芳乃ちゃんとみりあちゃんのくだりとか、765さんの逸話とか、加蓮ちゃんの話とか」

モバP「加蓮?出てたっけ?」

比奈「あぁ、熱中症の話ッス。加蓮ちゃんが倒れて割とマズイ状態だったとき、茄子さんが手を握っててくれたおかげで帰って来れたって言ってました」

モバP「何それ!?加蓮倒れたの!?初耳なんだけど!?帰って来れたってどういうこと!?」

比奈「加蓮ちゃんが固く口止めしてたッスからね。心配させ過ぎてプロデューサーの重荷になっちゃうのは嫌だからって。みんなはもちろん、ちひろさんも気持ちを汲み取って黙ってたんス。ちひろさんの口の堅さはホント信頼出来るッスね」

モバP「最近ちひろさんが加蓮の様子をよく聞いてくるのはそれでか。他の子の事もよく見る様に念を押してくるんだよな……。ていうか、お前言っちゃってるけどいいの?」

比奈「プロデューサー起きたら忘れるじゃないッスか……。けど、ごめんなさいッス加蓮ちゃん……ちひろさん」

モバP「そうか……。くそぅ……起きても何も気付いてないままか」

比奈「……はいはい、次いきましょうっス」

モバP「……だな。えっと、この退任会見のシーンだけど、346プロの社長をするなら芸能活動と兼任なんて絶対無理だぞ?みりあがどうこうって意味じゃ無くてな」

比奈「そこはロマンじゃないッスか。トップアイドルにして企業のトップ!私最強っ!!」

モバP「68歳でトップアイドルっていうのもシビれるけど……そこはもういいや。けど、先代がちひろさん……これは駄目!怖いっ!!」

比奈「……きっと今よりいい会社にしてくれるっス」

モバP「俺にとっていい会社かどうかは分からんでしょ!給料スタドリになったらどうすんの!」

比奈「流石にちひろさんに失礼ッスよ。んで、あとはラストシーンだけッスけど、まだ何かありますか?」

モバP「うん、一番大事なとこが残ってる。この……ハッピーエンドは納得いかないっ!!」

比奈「え~?感動の終わりじゃないッスか~。そりゃ最後は息を引き取りましたけど、それをバッドエンドっていうのはどうなんスか?」

モバP「違うっ!そもそも始まりがおかしいんだよ。『いつまでもみんなを笑顔にする元気なアイドルでいること』これ、完全に呪いじゃん。みりあ、俺の言葉にずっと囚われてるじゃん」

比奈「なんてこと言うんスか!この物語の根本ッスよ!?」

モバP「だって結婚もせず死ぬまでアイドルとか……。俺はみりあには幸せになって欲しいのっ!」

比奈「作中のみりあちゃんは幸せでしたよ!それをたかだか読者の分際でキャラに価値観を押し付けるとは図々しいッス!」

モバP「それをいうなら、作者の分際でキャラの心情を決めつけて欲しくないねっ!」

比奈「むぅ……!」

モバP「ここは退かんぞっ!」

比奈「……はぁ。まぁ、プロデューサーの言いたいことも分かるッスよ?でも、キャラ崩壊のくだりでも言いましたけど、繊細な方への配慮って意味もちょーっとはあるんス」

モバP「配慮ってそんな」

比奈「じゃあ、正直に答えてくださいッス。凛ちゃんの結婚会見のとこ……少しイラっとしたでしょう?」

モバP「……いや?」

比奈「……その間がどういった意味を持つのかは聞かないで置くッス」

モバP「な、なら、なんで凛の結婚設定は入れたんだ?配慮っていうなら……」

比奈「……凛ちゃんたっての希望ッス」

モバP「は?」

比奈「裏設定でお相手はプロデューサーということになってるッス」

モバP「はぁ!?じゃあ、みりあのプロデューサーは俺じゃないの!?うわっ!色々と恥ずかしいんだけどっ!!」

比奈「いえ……みりあちゃんのプロデューサーもちゃんとあなたッス。少なくともみりあちゃんはそのつもりッス」

モバP「……は?」

比奈「モバPは複数いる……」

モバP「なにそれ怖い」

比奈「というように、人によって捉え方は変わるのでこの結末もなんら問題はないってことッス」

モバP「うそ……この子強引……」

比奈「完全論破ってことで、しゅーりょー」

モバP「えぇ……」

比奈「それじゃ、これで入稿するんであとはプロデューサーに任せるッス」

モバP「……何を?」

比奈「あ、データはこのメモリーカードに入ってるんで」

モバP「いや、だから何を?」

比奈「夏コミの申し込みと、受かった場合の売り子とその他もろもろの手配。印刷は……覆面で宣伝もしないッスからね、50部でお願いするッス」

モバP「……キミは何を言ってるの?」

比奈「いやいや、分かってるッスよ?50は多過ぎだって。正直5部も売れれば御の字ッスよね。残りは協力してくれたみんなに配ろうかなっと思ってるんス」

モバP「違う違う。そうじゃない。何で俺が任されてんの?」

比奈「……アタシじゃ色々と無理なんス」

モバP「確かに売り子で参加したらパニックになりかねんけど」

比奈「アイドルだから無理とかじゃなくて……。お願いッスよ。少しでも悔いは残したくないんス」

モバP「どういうこと?」

比奈「……そういえば、プロデューサー起きたら忘れるんでしたね。じゃあ、お願いしても意味ないッスね」

モバP「比奈?」

比奈「そうだ!プロデューサーのパソコンにこのメモリーカードをぶっ刺しとけば、現実に反映される可能性がワンチャンあるかもッス!」

モバP「おーい。いきなり俺の存在を無視されると軽いホラーを味わうんだけど」

比奈「……失言したんスから空気読んでくださいッス。どう見ても誤魔化してるでしょ」

モバP「えぇ……」

比奈(……にしても、この世界とアタシの言動で察することが出来そうなもんスけど……。アタシの隠しておきたい気持ちがプロデューサーに影響してるんだろうな。やっぱりこの世界はアタシの……)

モバP「な、なに?そんなに見つめられると照れちゃう」

比奈「……はっ」

モバP「……気持ち悪かったからって、そんな吐き捨てるような笑いは駄目でしょーよ」

比奈「吐き捨てるようなじゃなくて吐き捨ててるんス」

モバP「……上等だ。何を誤魔化してるんか知らんがあえて乗ってやろう。今日こそ屈服させてやる」

比奈「どうやって?」

モバP「え!?それは、ほら……お尻ペンペンとか?」

比奈「うわっ!変態ッス!!やっぱ変態ッスー!!ナチュラルにお尻を対象にしてきたッスー!!」

モバP「ち、ちがっ!!今のは冗談!!あ、あれだ!シッペとかデコピンだよ!!」

比奈「は~……すぐ日和るんスね。ちょっと引かれたくらいで情けないッス。プロデューサーってヘタレッスよね」

モバP「な!?んなことあるかいっ!やったらぁ!!ケツ出せやぁ!!」

比奈「ひぃ!煽ったら本性を出してきたッス!ほとんど野獣っす!性の暴れん坊ッスー!!そんな人だとは思わなかったッスよー!!」

モバP「お、おまっ!なんなのおまえはぁ!!」

比奈「あははっ!プロデューサーは面白いッスねー!」

モバP「もー許さん!変態だろうがなんだろうがそのケツをシバくっ!覚悟せぇやぁ!!」

比奈「いいッスよ~。捕まえることが出来るのなら甘んじて受け入れるッスよ~。プロデューサーの変態性をやさしく包み込むように受け入れてあげるッス~」

モバP「吐いた唾は飲めんからなっ!……あ!また飛びやがった!!卑怯だぞっ!!」

比奈「ジャージのアタシは最強ッスよ~」

モバP「この……っ!」

比奈「あははっ!」


―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


北条加蓮「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

加蓮「……北条です」

モバP「あ、ああ……またこのパターンか……。おはよう、加蓮」

加蓮「ん、おはよ」

凛「……ねぇ」

未央「おっと。般若」

卯月「阿形だよ」

神谷奈緒「二人共慣れてるな」

凛「私の時と対応が違うんだけど?」

モバP「なにが……って、加蓮!お前のことを秘密にされるほうが俺は……!」

加蓮「え、え?」

モバP「俺は……何?」

加蓮「恋人……かな?」

凛「!」


奈緒「すげぇな加蓮。即座に乗っかったぞ」

未央「しぶりんの表情がもう例えらんない」

卯月「!」

奈緒「ふ、ふふ……顔で例えるなよ……んふふ」


凛「卯月……後でおしおき」

卯月「!!」

凛「加蓮。冗談でも言って良い事と悪い事ってあるんだよ?」

加蓮「ごめんね凛。プロデューサーは秘密にされるのが嫌なくらい私のことが好きみたい。私もプロデューサーのこと好きだからイコール恋人になっちゃうの。もう一回言うね?ごめんね凛」

凛「寝ぼけて混乱してる人の発言を本気にしてむなしくないの?」

加蓮「建前とか打算とかないフラットな状態での発言とも言えるよね」

凛「……」

加蓮「……ふふ」

モバP「ふわぁ……シャワー浴びよ……」


奈緒「Pさんもすげぇな。まったく相手にしてないぞ」

未央「お互い本気じゃないって思ってるんでしょ。甘いよね」


モバP「あぁ、加蓮。秘密って、たぶん夢の中で体調のことを隠されてたとかそういう事だと思う。変な意味はないから安心してくれ。じゃ、また後で」

凛「……ふふ」

加蓮「……」


奈緒「うーわー、火に油。そして自分はとっとと離脱」

未央「二人の行く末が気になるとこだけど……しまむー、ストップだっ!!」

卯月「な、なにかな?流石にもう覗こうなんて……」

凛「っ!」

卯月「り、凛ちゃん!?」

凛「フッ!」

卯月「や、まっ……ぅっ!」


奈緒「トルコ刈りするアイドルなんて初めて見たよ……」

未央「トルコ刈りとかいう技を知ってるかみやんも大概だよ」


加蓮「……」

卯月「か、加蓮ちゃん!助け……え!?なんで撮ってるの!?」

加蓮「……」

卯月「しかも動画だっ!や、やめっ!動けないっ!!未央ちゃん、奈緒ちゃん!助けてっ!!」

奈緒「……なんか飲む?お茶淹れてくるけど」

未央「あ、私も行くよ。おいしい紅茶があるんだー」

卯月「ちょっ!あ゛あ゛あ゛っ!!」


―――――――――

――――――

―――

モバP「さて、比奈さんや」

比奈「……なんスか」

モバP「俺としては前回ケツをシバキ損ねて、今回こそはと決意を新たにしてるんだけど」

比奈「……変態」

モバP「うん、そう。変態と誹られても仕方ない事言ってる俺だけども。そうやって涙目で手を繋がれたら、心の置き所がわかんない」

比奈「……プロデューサーは勝手ッス。はしゃいでる時に急に消えられる辛さをわかってないッス」

モバP「そう言われても……」

比奈「それだけじゃないッス。前回も言ったのにまた日を空けたッス」

モバP「……まさかと思うけど、俺が居なくなってもずっとここに居るの?」

比奈「そんな訳ではないッス。プロデューサーが居なくなってちょっとしたらぼんやりと全てが曖昧な感じになって、次に気付いたらプロデューサーが寝てるんス」

モバP「良かった……。ずっと夢の世界に閉じ込められてる訳じゃないんだな」

比奈「良くないッス……。カレンダーを見た時、一週間経ってて……アタシ……アタシ……ぅぅ」

モバP「うん。ゆっくりでいいから。不安な事があるんなら、溜め込まずに少しずつでも吐き出していこうな?」

比奈「…………アタシに残された時間が……もう……」

モバP「……残された時間?……ぁ……いや、これは夢で……」

比奈「………………。3時間くらいッスかねぇ!!今までの統計からしてっ!!」

モバP「……は?」

比奈「でも油断出来ないッスねぇ。プロデューサーの睡眠時間3時間もない時がありますからねー。ホントどんだけ社畜なんスか」

モバP「おまっ……!あんな言い方するから最悪な展開を想像して……して……。ん?どんな想像したんだ?」

比奈「……。気にしなくていいッスよ。それよりもっ!!」

モバP「な、なんだよ」

比奈「プロデューサーの社畜根性からして、今回アタシに残された時間はわずかッス!!」

モバP「しゃ、社畜じゃないもん!」

比奈「きもい!ということで、前回ゴタゴタした所為で忘れてたメモリーカードをプロデューサーのパソコンにドーン!!」

モバP「ねぇねぇ。雑な突っ込みヤメよ?Pちゃん悲しい」

比奈「ホントきもい!そして電源オーン!」

モバP「ホントひでぇ。……この夢は電気通ってるんだな」

比奈「蛍光灯が点いてるんだからいまさらッスよ。えっと……デスクトップにファイル置いとけば気付くッスよね?」

モバP「そらまぁ。ただ、それが現実に反映されればな」

比奈「駄目元ッスから。もし上手くいったら夏コミよろしくッス!」

モバP「起きたらこの夢忘れてるのに無茶ぶりッスよ」

比奈「まーまー。プロデューサーなら気合いでなんとか出来るっスよ……っと」

モバP「適当な……って、何してんの?」

比奈「性癖チェック。この衣装資料ってフォルダが怪しいッスね」

モバP「っ……。その名の通りただの資料だって。ていうか、人のパソコンを弄るのはどうかなーって。ましてや仕事用のパソコン」

比奈「これ夢ッスから。それにただの資料ならアタシが見ても問題ないッスよね?やましいことなんて無いんでしょ?」

モバP「ないけど、そこはほら仕事には機密が付きもので……」

比奈「……ん~。cu.1 pa.1 co.1……いっぱいあるッスねぇ」

モバP「普通に開くなよぉ。けど、これで分かったろ?ホントにただの資料って」

比奈「……この pa.ex が怪しいッスね」

モバP「やめろぉ!!機密は外部に漏らしたら責任問題になるんだぞっ!!」

比奈「ビンゴッスね!その反応!pa.exって何をパッションさせてるんッスかねぇ!さあ、癖チェーック!!」

モバP「そんな下ネタ言う子に育てた覚えはない……って、ホントやめてやめて!」

比奈「その手を放すッス!!これはプロデューサーの癖を知る事によって自衛する意味もあるんスから!」

モバP「どういう意味だこらっ!やらせん、やらせんぞっ!!」

比奈「うぐぐっ!!」

モバP「こ、この……!ホントやめろやぁ!!」


―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサーさん


千川ちひろ「プロデューサーさん!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

ちひろ「……千川です」

モバP「あ、ああ……社長。おはようございます」

ちひろ「誰が社長ですか。ほらほらお仕事の時間ですよ。さっさと顔洗うなり、シャワー浴びるなりしてください」

モバP「は、はい。……なんで社長なんて言ったんだ?おっそろしいな……」

ちひろ「なにか言いました?」

モバP「なんでもないッス!シャワー浴びてきます!」

ちひろ「まったくもう……」



モバP「……ん?なんだこのファイル」

ちひろ「どうしたんです?」

モバP「文字化けした見知らぬファイルがあるんですけど……」

ちひろ「ホントに覚えがないなら削除が妥当ですけど」

モバP「う~ん……。まずありえないと思いますけど、大事な物がバグって文字化けしてる可能性もあるんですよね」

ちひろ「そうですねぇ。それじゃ、セキュリティソフトでスキャンして問題ないようなら、このノートPCに移して見てみましょう」

モバP「いいんですか?」

ちひろ「はい。使わなくなった予備ですから」

モバP「すいません、じゃあ遠慮なく。……ウイルスなどは無いようですね。じゃあ、移します」

ちひろ「……どうです?」

モバP「PDFですね……漫画?」

ちひろ「……あ、これ……」

赤城みりあ「たっだいまー!プロデューサー!みりあ、凛ちゃんとお仕事頑張ったよー!」

凛「ふふ。お疲れさまです」


モバP「おー。おつかれー。凛、お守ありがとなー」

みりあ「むー!子供扱いしちゃダメっ!……何してるの?」

モバP「お仕事してんのよー」

みりあ「えー。漫画見てるのに……あ!これ比奈ちゃんの絵だっ!」

凛「あぁ。完成したんだ」

モバP「二人共知ってんの?」

凛「夏コミに向けてジックリ書きたいんだけどって出演?のお願いされてね。社長の許可も得てるからーって」

みりあ「みりあが主役のやつ!?読みたい読みたーい!!」

モバP「……社長の許可?みりあが主役?ちひろさん知ってました?」

ちひろ「えぇ。実は私も出演してたり……」

モバP「マジっすか……」

みりあ「ねーねープロデューサー!早く読もうよー!」

モバP「わかったわかった……どうせだったら印刷するか」



モバP「これはまた……。俺はどう反応したらいいんだ」

凛「ふふ……幸せになろうね?」

モバP「どした?急に」

凛「この結婚会見の一般男性ってプロデューサーの事だよ?」

モバP「……え?」

凛「比奈さんにお願いしたの。相手はプロデューサーでねって」

モバP「うわ……色んな意味でめっちゃ恥ずかしいんだけど……みりあのプロデューサーとばかり……」

みりあ「……ん」

モバP「みりあ?なんで膝の上に座る?」

みりあ「……えへへ」

モバP「えへへ?」

ちひろ「あらあら。ちょっと影響されちゃったかな?」

モバP「……みりあ。この漫画でお亡くなりになったのは別のどこかのプロデューサーらしいぞ?」

みりあ「……みりあのプロデューサーはプロデューサーだけだもん」


凛「みり」

ちひろ「凛ちゃんダメ。大人になろう」

凛「……まだ何も言ってないじゃん」


モバP「そうだな。まあ漫画だから、あんま気にすんな?」

みりあ「……別に気にしてないもん」

モバP「そっか。にしても、この漫画のみりあすごい人生だなぁ。社長にまでなっちゃってるよ」

みりあ「あはは。ちひろさんの跡目を継いじゃった!」

モバP「……なぁ。ちひろさんも社長だったことにホラー感を味わっちゃったよ」


ちひろ「おい」

凛「ちひろさんダメ。大人になろう」

ちひろ「……ここで意趣返しされるとは」


モバP「最初と最後のシーンで積み上げゲームが出てくると少しやりたくなるな。よし!久しぶりに新記録に挑戦してみるか?」

みりあ「……みりあやんないよ?」

モバP「やんないの?」

みりあ「プロデューサーもやっちゃダメだよ?」

モバP「なして?」

みりあ「ダメなものはダメ!」

モバP「え~?」

みりあ「ん~!ん~~!!」

モバP「あぁ、グズっちゃった」

ちひろ「みりあちゃんのなかで積み上げゲームが死亡フラグになってますねぇ」

モバP「みりあ~?さっき気にしてないって言ってたろ?所詮漫画だぞ?」

みりあ「ん~!ん~!!ん~~~!!」

モバP「み、みりあ。後頭部で攻撃はやめよう?ハートブレイクショットになってるからね?」

みりあ「むぅ~!!!」

モバP「グリグリもやめよう!地味に肋骨が痛いっ!」

ちひろ「プロデューサーさん。後ろを拝見」

モバP「え?」


凛「……なにイチャイチャしてんの?」


モバP「うわっ!めんどクセっ!!」

凛「……ロリコン」

モバP「はいはい。好きに呼べよ、もう」

凛「……」

モバP「写真はダメだろ!?や、やめっ!」

ちひろ「……」

モバP「なんであんたも撮ってんだよ!!」

凛・ちひろ「「「……」」

モバP「やめろやー!みりあもピースするんじゃありません!!」

凛・ちひろ「「「…………」」

モバP「しつこいってー!!」



―――――――――

――――――

―――

モバP「―――その後、事務所に来た奴らみんな読んだけど、わりかし好評だったぞ?」

比奈「良かったぁ。ただみりあちゃんには余計なトラウマを与えちゃったッスね……」

モバP「トラウマってほどではないと思うけど、まぁ事前にどんな内容かは言っとくべきだったな」

比奈「……ッス。反省ッス」

モバP「あと、俺がロリコン扱いされたことも反省して?」

比奈「まるで意味がわからないッス」

モバP「……」

比奈「なんでそこで黙るんスか。それについてはプロデューサーの対応ミスだと思うッス」

モバP「いや、今日は最初っから機嫌いいなと思ってな」

比奈「連チャンで来てくれたっスからね~」

モバP「それって、イコール俺の仕事量がハンパないって事ッスよ?」

比奈「アタシにとっては良いことッスね!」

モバP「……。ホント俺のこと好き過ぎるんだから~比奈ちゃんったらぁ」

比奈「そうかもしれないッスねぇ」

モバP「ひ、ひな?」

比奈「なんたって、pa.exにあったエチィ画像、眼鏡とパーマがかかった子が心なしか多かった気がするんスよね~。そりゃちょっと意識するってもんッスよ~」

モバP「んな!?お前なに見てんの!?ていうか、お前の髪はパーマなんてもんじゃなくてただのボサボサだっ!!」

比奈「ステージ上がるときは軽くあててますー。んもー素直になるッスよー」

モバP「こ、この……!」

比奈「あはは!冗談ッスよ。でも、プロデューサーの事を好きッていうのは冗談じゃないッスよ?」

モバP「お、おちょくってからに!」

比奈「……ふふ。まぁ、そんなどーでもいいことより今日は遊ぶッスよ」

モバP「……遊ぶって、いつも遊んでるような気がするんだけど」

比奈「ちゃんとした遊びッス。そッスね~……せっかくだから積み上げゲームどうっスか?」

モバP「ほう。もちろん罰ゲームはあるんだよな?」

比奈「……そんなにアタシを剥きたいんスか?」

モバP「最近のキミは下ネタが過ぎるよ?」

比奈「だってプロデューサーのいう罰ゲームって……そういう事しか……」

モバP「よし、わかった。今日は遊びじゃなくて説教だっ!!」

比奈「あぁ!嘘ッス、嘘ッスよ!いよっ!ミスター紳士!!」

モバP「はいはい。じゃあ、俺が勝ったらジャージはやめること」

比奈「変態紳士だったッスー!」

モバP「なんでだよ。普通にもう少しおしゃれしろってことだろうが」

比奈「そうやってスカート穿かせてまたパンツを覗く気ッス!」

モバP「……そういうこと言ってるとマジで覗くぞコラ」

比奈「むぅ~。じゃあ、アタシが勝ったら女装してくださいッス。ふざけた感じじゃなくてガチのやつ!」

モバP「……いいけど、意外と美人になるとか絶対ないぞ?漫画じゃないんだから」

比奈「当たり前じゃないッスか。なに自意識過剰気味な心配してるんスか?アタシはただただ気持ち悪いプロデューサーを心から笑ってやるんスよ!」

モバP「……オーケーオーケー。勝負だおらぁ!」

比奈「高く積み上げたほうが勝ちッスよ!じゃあ、スタート!」

モバP「スタートってどこに……うおっ!いつの間にかある!夢って凄ぇ!!」

比奈「制限時間は1分ッスから!」

モバP「え!?おま、ズル!」

比奈「もたもたしてるのが悪いんスよ!」

モバP「なめんなぁ!」

比奈「なぁ!なんスかその速さっ!チートッスか!!」

モバP「みりあと鍛えた俺の積み上げ力を甘く見てたな!!うははっ!」

比奈「積み上げ力って……!くぅ!」

モバP「ほらほらどーした?急がんとダブルスコアつけちゃうぞー?」

比奈「~~!!……あ、ああ~!」


ガシャ


モバP「あぁ!?お前何ダイブしてんの!?」

比奈「謎の病気で倒れちゃったッス~」

モバP「自分の漫画リスペクトすんな!」

比奈「これじゃ勝負は無効ッスね~。残念ッス~」

モバP「無茶苦茶いうなっ!」

比奈「あ~あ~」

モバP「転がんな!」

比奈「もう、どっちが積み上げたやつか分かんなくなっちゃったッスね~。あれ?そうするとアタシが勝ってた可能性も出てきたのでは?」

モバP「あ゛あ゛!?」

比奈「なんスか?文句があるんなら証明してくださいッス。自分の方が積み上げてたって。出来るものならぁ!!あはは~!!」

モバP「転がんなやぁ!てめっ……!」


―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


宮本フレデリカ「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

フレデリカ「そう比奈だ」

モバP「……おはよう、宮本」

フレデリカ「名字!新鮮!」

モバP「……元気ね」

フレデリカ「オール明けでね!ナチュラルハーイ!!」

モバP「……オール、ダメ絶対」

フレデリカ「今日オフだからへーきへーき!でも、ちょっと寝たいからそこ退いて」

モバP「……キミはもう少しアイドルの自覚を持って?」

フレデリカ「も~。変なことはしてないからちょっとくらいいいでしょ~。早く退いてよ~、ね~む~い~」

モバP「……漫画のフレちゃんはあんなにもいじらしかったのに」

フレデリカ「ひょ!?」

モバP「あのフレちゃん良かったなぁ。60歳でも凄い魅力的だったなぁ~」

フレデリカ「で、でしょ~?比奈ちゃんはフレちゃんのこと良く分かってるよね~」

モバP「そうなの?」

フレデリカ「え!?そ、そうだよ?」

モバP「漫画のフレちゃんだいぶ俺に依存してた感じだけど?」

フレデリカ「あくっ!」

モバP「そっか~、フレちゃん俺のこと憎からず想ってくれてるのか~。うれしいな~」

フレデリカ「~~!!」

モバP「おおっ!珍しく照れてる!んはは」

フレデリカ「…………。けど、ホントに比奈ちゃんはフレちゃんのこと良く分かってるよ」

モバP「はは……は?」

フレデリカ「プロデューサー絶対居なくなっちゃ嫌だよ?……アタシ弱いんだから」

モバP「ふ、フレちゃん?」

フレデリカ「大好きな人が居なくなっちゃうと、アタシ忘れられずにずっと立ち止まっちゃうから。だから……ずっと傍に居てね?」

モバP「え、えっと……うん。なんていうか……」

フレデリカ「ぶふぅ!顔真っ赤ー!プロデューサーの方が照れてるー!!あははー!!」

モバP「なぁー!ちょっと本気にしたろーがぁ!!」

フレデリカ「え?別に嘘って言ってないよ?」

モバP「っ!」

フレデリカ「ぷふぃー!照れ度凄ーい!」

モバP「おまー!」

フレデリカ「あははっ!」


凛「イチャイチャすんなぁ!!」


モバP・フレデリカ「「!!」」

未央「よし、般若」

卯月「阿形だって」

奈緒「……お前ら、それ好きだな」



―――――――――

――――――

―――

比奈「ふふ~ん」

モバP「楽しそうねぇ」

比奈「だって最近日を空けずに来てくれるんスもん」

モバP「何回も言うようだけど、その分俺激務なんだからね?」

比奈「お疲れ様ッス!肩揉んであげましょうか?」

モバP「ここにくると疲れが無くなるから意味ないけど、頼むわ」

比奈「いッスよ~。よいしょよいしょー」

モバP「……こういうボケ潰しは軽くパニックになるんですけど」

比奈「甘んじて受け入れることッスね。それにアタシにとっては意味があることなんで、ボケなんて知ったこっちゃねぇッス」

モバP「……機嫌良すぎて逆に怖い」

比奈「ふふ」


―――


比奈「はぇ~。みんな凄いッスね~。仕事のスケジュールぎっちぎちッス」

モバP「これを管理してる俺ってちょっとおかしいよね。どうやってんの?」

比奈「それはちひろさんがプロデューサーを……はっ!余計なことを口走るとこだったッス。危ない危ない」

モバP「……ねぇ。知らんがなみたいな突っ込み待ちだったんだけど、そういうのヤメて?冗談として処理出来ないの」

比奈「……」

モバP「や、やさしく微笑むなや!」

比奈「ぶはははっ!」

モバP「爆笑しろって意味じゃねぇ!」


―――

モバP「積み上げゲーム以来、服が毎回変わってるよな」

比奈「まぁ、一応負けは認めたってことッスよ」

モバP「その律儀さは感心するとこなんだけど……」

比奈「なんスか?」

モバP「その服どっから?」

比奈「え?頭の中で思い浮かべて……」

モバP「変身的な?」

比奈「……もしかしてアニメのような変身バンクを期待してるんスか?」

モバP「べ、べつに?」

比奈「うわ……」

モバP「ひ、引くなや。べつにって言ってるでしょーが!」

比奈「そッスか。見せてあげてもいいかなって思っ」

モバP「ぜひ!」

比奈「……んふ。こんなしょーもないノリで笑っちゃったから、特別に見せてあげるッス」

モバP「え!?すまん!冗談だって!流石に全裸を見るのは……」

比奈「とーう!ジャージにメタモルフォーゼ!」

モバP「……光ってるね。それはもう何も見えないくらい輝いてるね」

比奈「アニメでも大抵そうでしょう?そうじゃないといくらノリでも流石に恥かしいッスよ」

モバP「え?これは恥ずかしくないの?」

比奈「だって今のアタシ輝いてる!アイドルの星ッスよ!ふははー!」

モバP「……身体のラインはめっちゃはっきり見えてるけど」

比奈「……ふぃぃ」

モバP「急激に照れんなや」


―――

比奈「……おはようッス」

モバP「おぉ、おはよう。今日はどうするよ」

比奈「ん~。プロデューサーが仕事してるとこ見てたいッス」

モバP「え!?夢の中でも仕事!?」

比奈「ほら、事務所に泊まるくらいだから仕事いっぱい残ってるんじゃないんスか?」

モバP「残ってるけど夢じゃん!ここでやっても不毛過ぎるじゃん!」

比奈「アタシの漫画は現実に反映されたんスから、ここで仕事しても無駄じゃないッスよ」

モバP「ひなさ~ん……あれ文字化けしてたしどんな感じで反映されるか分かんないッスよ~。なにより、夢でまで仕事したくないッス~」

比奈「いいじゃないッスか~。プロデューサーが仕事してるとこ見ておきたいんスよ~。今日だけッスから……」

モバP「……わかったよ。けど、ここで出来ることなんてスケジュール調整とか企画書の見直しくらいだぞ。そんなん見て楽しいか?」

比奈「いいんスよ。ほらほら、働く男のカッコイイとこ見せてくださいッス」

モバP「よーわからん奴だな……。よし!やるからには真剣にするか!」

比奈「その意気ッス!……ふふ」


―――


モバP「五日ぶりだな」

比奈「……そうッスね」

モバP「怒ってはる?」

比奈「ちょっと……寂しかっただけッス」

モバP「そんなしおらしくされると罪悪感が……」

比奈「……。今日は女の子の日なんス」

モバP「下ネタはやめなさい!」

比奈「あはは……。今日は駄弁って過ごしましょう?最近の事務所事情とか知りたいッス」

モバP「事務所事情?そうだなぁ……卯月がアルパカと―――」

比奈「……」


―――

モバP「……起きた時、女の子が抱き付いてたら色んな意味で焦るわけですよ」

比奈「……ぅぅ」

モバP「比奈?泣いてんのか?」

比奈「……怖いッス……だんだん終わりが近づいて……ふぐぅ……プロデューサー……どこにも行っちゃ嫌ッスよ……」

モバP「……行かないよ。よしよし、怖くない怖くない」

比奈「ぅぁぁ……」

モバP「……」


モバP「落ち着いたか?」

比奈「……ん。でも、手は繋いでて」

モバP「うん。で……何かあったのか?終わりって……」

比奈「……ここに来てもう少しで一ヶ月……悔いを残さないよう、出来るだけ楽しくはっちゃけようって……けど……」

モバP「……うん」

比奈「……やっぱり一人じゃ抱えきれないッスね。ごめんなさいプロデューサー。嫌の気持ちにさせちゃうッス」

モバP「嫌の気持ちって……え?嘘だよな?終わりって……変な意味じゃないよな?」

比奈「はは……もう明かそうって思ったらすぐ察しちゃいましたね。アタシに都合がいい世界ッス」

モバP「なに……言って……」

比奈「アタシ……明後日4月9日に……この世からさよならするんス」

モバP「え……」

比奈「三ヶ月前、妙に怠くなっちゃって病院に行ったんス。そしたら厄介な血の病気が発覚しまして」

モバP「そんなこと全然知らない……」

比奈「……社長とちひろさんは知ってるッス。けど、他の人には絶対に言わないでとアタシがお願いしたんス。特にプロデューサーには」

モバP「なんで……」

比奈「治療の副作用で……あまり見られたくないなと……。アタシも女の子ッスから」

モバP「……ごめん」

比奈「なんでプロデューサーが謝るんスか。ただのアタシのわがままなんスから。……黙っててごめんなさい」

モバP「けどっ……!」

比奈「……ちひろさんにも悪い事しちゃったスねぇ。治った加蓮ちゃんの口止めだけならまだしも、アタシの進行形が上乗せされたんスから」

モバP「……」

比奈「プロデューサー?」

モバP「あ、ああ!よく考えたらこれ夢じゃん!比奈が……なんて、ないない!俺ってば疲れ過ぎっ!はは」

比奈「……そうッス。夢ッス。これは最後にアタシに起きた優しい奇跡。アタシの望んだ世界」

モバP「ち、違う!これは俺の夢!現実には何も関係ない俺の夢!比奈は現実ではただサボって漫画書いてんだよ!」

比奈「……プロデューサー」

モバP「っ……」

比奈「無茶を承知で言うんスが……あと残り二日……一緒に居てください」

モバP「……約束……する……」

比奈「ふふ……優しい嘘にしちゃ駄目ッスよ……」


―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


凛「プロデューサー!」

モバP「……凛」

凛「うん。凛だよ。ふふ」


卯月「最近、比奈ぁ!起きを期待してる私が居たんだけど、凛ちゃんのあの笑顔を見るとちょっとしか悔しくないね」

未央「ちょっとは悔しがるとこがもうね」

卯月「なにかな?」

未央「またトルコ刈りされるんだろうなぁって」

卯月「……凛ちゃんの笑顔を見ると嬉しくなっちゃう」

未央「遅い遅い」


―――――――――

――――――

―――

比奈「来て……くれた」

モバP「……約束しただろ」

比奈「ふふ……偶然なくせに」

モバP「……明日も絶対来るからな」

比奈「約束ッスよ?」

モバP「うん……約束だ……」

比奈「うん……」

モバP「……」

比奈「今日はこのまま手を繋いでおしゃべりするッスよ」

モバP「昨日と一緒だな」

比奈「昨日は滅入る話だったッスから、今日は楽しい話をするッス」

モバP「どんな?」

比奈「そこは男がリードして女を楽しませるとこッスよ?」

モバP「きびしいなぁ。じゃあ、凛が卯月にトルコ刈りしたのを見たヘレンさんが」

比奈「んふふ。その時点でもう楽しいッス。合格」

モバP「あざっす。それでな――― 」

比奈「あはは。……こういう何でもないおしゃべりが一番幸せなのかもしれないッスね」

モバP「……そっか」

比奈「なんか昨日のことが嘘のように心穏やかッス。もう何も怖くない」

モバP「……」

比奈「う~ん、すべったッスね。けど、本心ッス、ホントに怖くないッス]

モバP「……」

比奈「……明日が最後ッス」

モバP「それは……」

比奈「そうッスね。今日で最後かもしれないッスね」

モバP「そうじゃなくて!」

比奈「……プロデューサー。こんなアタシをアイドルに」

モバP「最後じゃないから!そんな事言うな!」

比奈「……ふふ。そうやって言うなら明日絶対来てくださいよ?」

モバP「……わかったから……別れの言葉なんて……言うな……」

比奈「はいはい。それじゃ、くだらない話の続きをしましょうっス。プロデューサーがあっちで起きるまで」

モバP「……ん!そうだな。それじゃあ、川島さんのアンチエイジング失敗談を」

比奈「全然くだらなくないッス!どういう事ッスか!?あはは!」

モバP「どういう事ってそりゃ――― 」


―――



……サー…………ロデューサー……プロデューサー


川島瑞樹「プロデューサー!」

モバP「うわっ!川島さん!?ごめんなさいっ!!」

瑞樹「……そのリアクション、なんか引っかかるわね」

モバP「す、すいません。ちょっとびっくりしちゃって……」

瑞樹「もう……。最近ここで寝泊まることが多いみたいだけど、ちゃんと家に帰って寝ないと駄目よ?」

モバP「え、ええ。でも、なんかここで寝たいんスよね。仕事も落ち着いてきたんですけどねぇ……」

瑞樹「それなら家で寝なさい。体を壊したらみんなが悲しむのよ?」

モバP「ッス。今日はちゃんと帰って寝るッス!」

瑞樹「よし!……あんまり心配させないでね?」

モバP「はい!ありがとうございまっす!」


依田芳乃「……」

みりあ「芳乃ちゃん?なにしてるの?」

芳乃「わたくしにできることをー」

みりあ「?」

芳乃「うつしよとかくりよの時間と距離の概念は違うゆえー」

みりあ「あ、漫画でそんな事言ってたね!」

芳乃「……あとは本人の気持ち次第ー」

みりあ「??」



―――――――――

――――――

―――

モバP「っ!!」

比奈「遅いッスよ」

モバP「すまん!一回家に帰ってた!」

比奈「ははっ。じゃあ、帰ったのにまた事務所に寝に来たんスか。傍から見たらただの変人ッスね」

モバP「自分の第六感に従って良かった……」

比奈「それでどうッスか?この格好」

モバP「……いいね」

比奈「季節外れ感は拭えないッスけどね。麦わら帽と白のワンピース……ホントはひまわり畑でかくれんぼとかしたいッス」

モバP「ベタだな」

比奈「アタシの憧れッスよ。ベタ最高っ!」

モバP「じゃあ今度やろう。つきあってやるよ」

比奈「……そッスね。つきあってください。どうせなら、生まれ変わったら幼馴染になりましょう。それで許嫁にでもなりましょうか。うはぁ、これもベタッスねぇ」

モバP「……生まれ変わったらとかじゃなくて」

比奈「嫌……なんスか?」

モバP「言い方ズルいぞ……。嫌ではないって」

比奈「じゃあ決定~!」

モバP「……ていうか、俺でいいんかい」

比奈「妥協してあげるッス!」

モバP「ははっ……きびしいなぁ……。じゃないって。俺は今の比奈とひまわり畑で遊ぶつもりだからな」

比奈「……いじわるッスよ」

モバP「俺は諦めが悪いんだよ」

比奈「……どうにもなんないッスよ」

モバP「なんとかするから」

比奈「……」

モバP「だから……あえて言うぞ。誕生日おめでとう」

比奈「……覚えてくれてたんスね。ありがとうッス……。けどやっぱり複雑ッスよ」

モバP「なんでだよ。俺は来年も言うからな!再来年も!その次も、次も次も!ずっと言うからっ!」

比奈「あ、あはは……プロデューサーには困ったもんス。ほとんどプロポーズじゃないッスか……」

モバP「お、おい……」

比奈「あぁ……そろそろみたいッスね……透けてきちゃった」

モバP「ま、まって……」

比奈「それじゃ……最後はアイドルらしくいきましょうか」

モバP「だめだって……」

比奈「こほん。……最後まで応援ありがとー!もう応援してもらうことは出来ないけど、アタシはいつまでも応援してるからねー!ずっとずっと大好きだよっ!!今までホントに、ホントーにアリガトー!!」

モバP「おいって……聞いてくれよ……」

比奈「……なんて、ガラじゃないッスね!けど、スッキリした―――これで、もう―――」

モバP「比奈?」

比奈「―――あぁ、楽しかったなぁ―――こんなに楽し――――――おかげ――――――」

モバP「聞こえんって……冗談やめろよ……」

比奈「―――」

モバP「なんだよ……なんで笑ってるんだよ……」

比奈「―――」

モバP「手を……振るなって……なぁ……」


バイバイ  


モバP「ひな?……比奈っ!!」





モバP「……ぁ」

モバP「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


―――

モバP「比奈ぁぁ!!!」

卯月「わっ!びっくりした!起こす前の比奈ぁ!起きだ」

モバP「………………卯月?」

卯月「はい!おはようござ……います……。プロデューサーさん涙が……」

モバP「え?ホントだ……なんでだろ」

卯月「悲しい夢でも見ました?」

モバP「泣くほどのか……ん?」


リーン


卯月「……?落ちましたよ。鈴」

モバP「鈴?」

卯月「はい、どうぞ」

モバP「あ、うん。……っ!?」


『夢の住人……みたいッス』『アタシの力作に対して、ダメ出しをしたいって言ってたことッスよ!』

『それじゃ、これで入稿するんであとはプロデューサーに任せるッス』『……この pa.ex が怪しいッスね』

『アタシ……明後日4月9日に……この世からさよならするんス』『アタシの憧れッスよ。ベタ最高っ!』

『ずっとずっと大好きだよっ!!今までホントに、ホントーにアリガトー!!』

モバP「思い……出した……」

卯月「思い……出した!!」

モバP「すまん卯月!ちひろさんは!?」

卯月「あ、はい。もう来てますよ。あっちに……」

モバP「サンキュー!あ!茄子を呼んでてくれないか!?ここに大至急!!」

卯月「か、茄子さんですか?わかりましたけど……あ、行っちゃった……」


モバP「ちひろさん!!」

ちひろ「あ、おはようございます」

モバP「比奈の入院先は!?」

ちひろ「……どこでそれを」

モバP「説明はあとで!口止めされてるのも知ってます!けど、お願いします!教えてください!!」

ちひろ「でも……」

モバP「やれることは……やっておきたいんです!あの夢には絶対なにか意味があるはずなんです!」

ちひろ「夢?」

モバP「お願いします!お願いします!!もう時間が……!!」

ちひろ「……。もしもし?346プロまで一台お願いします」

モバP「ちひろさん……?」

ちひろ「○○病院です。今は何も聞きません。ただ……比奈ちゃんをよろしくお願いします」

モバP「あ、ありがとうございます!行ってきます!!」


鷹富士茄子「おはようございます。卯月ちゃんから連絡が……」


モバP「流石茄子!!タイミングバッチリ!……巫女装束!?」

茄子「はい。芳乃ちゃんが今日は神聖な服を着てくるのが望ましいかとーって、何か有無を言わせずって感じで。……ちょっと恥ずかしかったです」

モバP「芳乃が?」

芳乃「でしてー」

モバP「うおっ!居たのか!」

芳乃「そなたー。それは良き魂に繋ぐ架け橋ー。想いを込め茄子と共に比奈の手へー」

モバP「……わかった!任せろ!」

茄子「比奈ちゃん?鈴?」

芳乃「わたくしはー、そなたらが過ごしたここで導きの音をー舞をー」

モバP「……大事な事なんだな!頼むっ!それじゃ茄子急ぐぞっ!」

茄子「え?え?」

モバP「あぁ!足袋かっ……!すまん茄子!担ぐぞ!!」

茄子「えぇー!?ひゃあ!!」


芳乃「気をつけて行くのでしてー」

卯月「……プロデューサーさんが茄子さんを姫抱っこ……」

ナニシテンノー!!

卯月「あ、凛ちゃんの叫び」

芳乃「さてー卯月ー。ここの机などを端に寄せててくださいー」

卯月「え!?なんで!?」

芳乃「舞うには少々手狭でしてー。わたくしは準備があるのでー、でわー」

卯月「舞う!?芳乃ちゃん!?ま、まって」

芳乃「頼むのでしてー」

卯月「私一人で!?」

芳乃「でしてーでしてーでしてー」

卯月「雑ドップラー!!」


茄子「―――なるほど。それで私を」

モバP「加蓮の話を聞いて……ホントにすまん。急にこんなこと……」

茄子「何言ってるんですか。私の力が比奈ちゃんの助けになるのなら何でもしますよ」

モバP「そっか。ありがとう」

茄子「とは言っても、手を繋いで呼びかけることしか出来ないんですが……」

モバP「いやいや、もうすでに茄子さんパワー発揮されてるから。信号に一回も捕まらずいつもは混んでるこの道も何故かガラガラ」

茄子「ふふ。それなら良かったです」

モバP「……比奈」

茄子「……大丈夫です。比奈ちゃんはまだうつしよとかくりよの狭間にいると思うんです」

モバP「……え?」

茄子「プロデューサーさんとの夢の話……比奈ちゃんはここで終わる運命では無かったはずなんです」

モバP「……」

茄子「だから神様が今際の際に、比奈ちゃんの大切な場所……そして大切な人の夢に時を超えて送ってくれたんだと思います」

モバP「……」

茄子「そこで決めなさいと……自分が生くか逝くか」

モバP「……」

茄子「だから……比奈ちゃんが生きたいと思う限り大丈夫です。……ね?」

モバP「……うん。ありがとう、少し楽になった」

茄子「いえいえ。お姫様抱っこしてくれたお礼です。比奈ちゃんに感謝ですねー。流石私!ツイてます~」

モバP「はは。なんだそりゃ」

茄子「ふふ。……そろそろですね」

モバP「うん。……運転手さん。着いたらすぐ出るんでお金は今渡します。お釣りはとっておいてください」

茄子「……待っててくださいね、比奈さん」


―――



楽しかった……なぁ……


『うわぁ。スパーンじゃなくてバーンって鳴ったよ?そのスリッパ』『変態だろうがなんだろうがそのケツをシバくっ!覚悟せぇやぁ!!』


ふふ、ろくでもないッスね


『ホント俺のこと好き過ぎるんだから~比奈ちゃんったらぁ』『お、おちょくってからに!』


ホントアホッス……


『や、やさしく微笑むなや!』『よーわからん奴だな……。よし!やるからには真剣にするか!』


ホント……


『……行かないよ。よしよし、怖くない怖くない』『……約束しただろ』


……


『じゃあ今度やろう。つきあってやるよ』『俺は今の比奈とひまわり畑で遊ぶつもりだからな』


ぅぅ……


『あえて言うぞ。誕生日おめでとう』『俺は来年も言うからな!再来年も!その次も、次も次も!ずっと言うからっ!』


悔いなんて……ないはず……なのに……


なんで……なんでっ!!プロデューサーのばかぁ!!最後の最後にこんな気持ちにさせるなんてぇ!!


まだ生きていたいッスよ!笑い合ってずっとずっと……!みんなと……あなたと一緒に……まだぁ!!んぐぅ!!ぅぅぅ!!


リーン リーン リーン


ふぅぅ……ぅぅぅ……


リーン リーン リーン


……?


リーン リーン リーン


鈴の音?……あぁ、お迎えッスか……ホントに最後なんスね……


リーン リーン リーン


そっちに行けばいいんスか?……あ、手暖かい……連れてってくれるんスね


リーン リーン リーン リリリリリリリ




―――

モバP「比奈!!戻ってこい!!」

茄子「比奈ちゃん!お願いっ!!」

比奈「……」

看護師「脈戻りましたっ!!」

医師「……!」

看護師「先生お願いします!!」

医師「あ、ああ!まずは消毒を!いや、移動したほうがいいか……。とにかくあなた達は出ていって!ここは無菌室です!もういいでしょう!?」

モバP「すいません!よろしくお願いします!!」

茄子「ご迷惑おかけしました……あとはよろしくお願いします」

看護師「まったくどうやってここまで入って来れたんですか……ほら、行きますよ」

モバP「すいませんすいません……ふぐぅ……」

茄子「ぅぅ……良かった比奈ちゃん……」




―――――――――

――――――

―――




「「「完治おめでとー!!そしてハッピーバースデー!!」」」


パーン パーン バァァン!!


比奈「!」


ちひろ「こらー!バズーカはダメって言ったでしょ!!」

フレデリカ「そうだぞ晴ちん!めっ!!」

結城晴「おまえだ!あほっ!!」


比奈「……ビックリしたぁ……」

卯月「ほら!入って入って!!」

比奈「う、うん……。凄いッスね……なんスかこれ」

未央「どう見ても比奈先生へのサプライズパーティーでしょ!」

比奈「マジッスか」

卯月「マジッス!」

比奈「はぇ~……」

モバP「ほらほら、アホ面下げてないで気の利いた一言をはぶっ!」

比奈「誰がアホ面ッスか!!頭突くッスよ!!」

モバP「頭突いてから言うな……」

未央「……最近二人仲良いよねー」

卯月「気のせいですかねー」

比奈「き、気のせいッスよー」

モバP「うん。気のせいだな」

比奈「ふんっ!」

モバP「おごっ!……顔面はやめよ?ね?キミの頭結構固いから」

比奈「それならデリカシーを覚えることッスね!」

モバP「はいはい」

比奈「む~!!」

未央「……イチャイチャだ。イチャイチャしよる」

卯月「そこでこの人ですよ」


凛「……比奈さん。主役なんだからここ座って?ほら早く」


比奈「ひっ……」

未央「久しぶりの般若!」

卯月「阿形だってば」


佐久間まゆ「うふふ……さぁ、こちらへ……」


比奈「ひぃ!!」

未央「おっとおかわりだ」

卯月「これは見物だねっ!」

比奈「プ、プロデューサー……助け……」

モバP「………………………………ハハッ」

比奈「あ!この男っ!」


和久井留美「いいからいいから」

三船美優「主役なんですから」


比奈「わあぁ!!」

未央「特盛だね!」

卯月「比奈さん普通に叫んじゃったね!」

奈緒「……お前らいつも楽しそうだなぁ」


比奈「ぅぅ……えらい目にあったッス……」

モバP「はは。お疲れ」

比奈「軽いッスね……。にしても、みんなめっちゃ踊ってますね。いいんスかこれ」

モバP「……二年前もこうやってここで踊ってたんだよ」

比奈「……え?」

モバP「最初は芳乃がお前を導く為にここで踊り……いや、舞ってたんだ。あの鈴をつけて」

比奈「あの時の……音……」

モバP「……舞始めはお前の気配が遠くなっていくようで焦ってたみたいだぞ?生きる意志がないと音は届かないってな」

比奈「あ、あぁ……」

モバP「でも、だんだんと気力を感じ繋がっていったんだと。それで舞っているうちにみんなも混ざって踊りだしたんだって」

比奈「みんな……」

モバP「最終的にハイファイ☆デイズ踊ってたみたい」

比奈「んふ……確かに最後荒ぶった鈴の音が……」

モバP「……聞こえてた?」

比奈「……はい。みんなのおかげで戻ってこれました」

モバP「そっか。ホントに……よかったなぁ」

比奈「けど……プロデューサーと夢で過ごした日がなかったら多分ここには居なかったッス。だから……ありがとうプロデューサー」

モバP「な、なんだよ急に」

比奈「生きる気力を取り戻したのはプロデューサーが約束してくれたことが大きいんだと思うんスよ」

モバP「約束?……なんだっけ」

比奈「約束っていうか……ずっと誕生日におめでとうって言ってくれると……。うぅ……照れるッスね……」

モバP「ああ!そうだな!おめでとう比奈!!これからも毎年祝うからな!」

比奈「う~……ありがとッス」

モバP「うはは!照れんな照れんな!」

比奈「……ああもう!開き直ったッスよ!ひまわり畑で遊ぼうとも言ったッスよね!」

モバP「おお!大丈夫。抜かりは無い!この夏にちゃんと押さえてる!」

比奈「……仕事としてじゃないッスよね?」

モバP「も、もちろん!ただ、ちょーっと撮影があるかなぁ?」

比奈「はぁ……。まあいいッスよ。アタシが重要視してるのはそこじゃないッスから」

モバP「だ、だよな?でも重要視……?」

比奈「どうせなら、生まれ変わったら幼馴染になりましょう。それで許嫁にでもなりましょうか」

モバP「……は?」

比奈「プロデューサーがひまわり畑で遊ぶのを付き合ってくれると言った後のアタシの言葉ッス」

モバP「うん?」

比奈「それを嫌じゃないと言ったッスよね?忘れたとは言わせないッスよ」

モバP「う、うん……?」

比奈「アタシ一回心停止してるんです。所謂死です。その場に居たんだから知ってるッスよね?」

モバP「あ、ああ」

比奈「そこからまた息を吹き返した。広義的な意味ではアタシ生まれ変わってるんス」

モバP「うん!?」

比奈「つまりあの日からアタシ達は幼馴染で許嫁ッス!!」

モバP「はあ!?」

比奈「冗談ぽく言ってるけど本気ッスからね!幸せにしてくださいよ!!」

モバP「まてまて!お前あの時妥協とかなんとか……!」

比奈「あのですねぇ……元々憎からず想ってた人にあんだけ足掻いてもらった挙句、奇跡的な適合率で命を救われてるんスよ?まさに一心同体!運命感じるのは当たり前ッスよ!正直ベタ惚れッス!!」

モバP「え、いや、おま……ええ!?」

比奈「開き直ったアタシは最強ッスよ!!みんなー!聞いてくださいッスー!!アタシたち婚約したッスよぉ!!!」

モバP「ちょっ!?」



アイドル達「「「」」」


モバP「お、おい……時が止まったぞ……」

比奈「ここで誓いのキスでもしちゃえばまたいつもの騒がしさに戻るッスよ!んっ!」

モバP「んん!?」

比奈「これからもアタシを守ってくださいね?……具体的には凛ちゃん達から!!」

モバP「勝手なことを……!や、やばいやばい!特にまゆがやべぇ!!!」

比奈「あぁ!いきなり放置されたッス!!ひどい男ッスー!!」

モバP「うるせぇ!!逃げるぞ!!……ほら、手!」

比奈「……!はいッス!離しちゃ駄目ッスよ?」

モバP「わかったから!おい、卯月!硬球を投げんなぁ!!」

比奈「あはは!なんで硬球が事務所にあるんスか!ホント面白いとこッスねぇ!!」

モバP「笑えんわ!……って、バズーカはやめろ!バズーカはやめろぉ!!!」

比奈「あははははっ!!」






                                         ハッピーエンド

今度こそ、はぴはぴだにぃ

紛うことなきハッピーエンドだな、改めておつおつ


終盤ちょっとしんみりしながら読んでたのに、ハイファイ☆デイズで笑ってしまった

なんで濃厚な
乙としか言えない

稀に見る傑作だった

こんな展開になると思わなかった
すげー良い、ちょっと泣いた



良かった

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