橘ありす「あれは・・・あすかくらげ!?」 (16)
ありす(・・・もうこんな時間ですか)チラッ
ありす(レッスンも終わってプロデューサーが寮まで送ってくれるというからこうして事務所に戻ってきていますが・・・遅いですね)
ありす(トレーナーさんと話すことがあるから少し時間がかかるとは言っていましたが・・・それにしても遅いです。どこかで道草でも食っているのでしょうか)
ありす(プロデューサーのことだから他のアイドルの仕事に駆られていてもおかしくはありませんが・・・待ちぼうけの身もいじらしいものですね)
ありす(こんなときに限って事務所に誰も居ませんし・・・何して暇を潰しましょうか)
ありす「・・・ぎーんのりゅーのーせにーのーってー・・・」ゴンゴン
ありす(っと、来客ですか。いまはちひろさんも居ませんし、私が応対するしかないですね)
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ありす「はい、どなたでしょうか?」
??「その声は・・・ありすか。不躾な願いだとは分かっているが、この扉を開けてくれないか?」
ありす(・・・飛鳥さん?寄りたいところがあると言って別行動になったはずじゃ・・・?)
ありす「何が言いたいのかよくわかりませんが、今開けますね・・・っ!?」
飛鳥?「あぁ、すまないありす。どうにもこの体は不便ばかりで仕方がない・・・」
ありす(その声の主は、間違いなく飛鳥さんでした。)
ありす(けど、私の知ってる「二宮飛鳥」との情報の一致はほとんどそこで途切れていて)
ありす(つまり、何が言いたいかという、と、)
ありす「あ、あ、飛鳥さんが・・・首だけで・・・浮いて・・・!?」
ありす「・・・きゅう」バタム
飛鳥「おい、ありす!ありす!!」
ありす(長い、とても長い夢を見ていました。私がトップアイドルへと成長を遂げた夢)
ありす(その過ぎていく時間の中で、色んな人と会って、色んなことがあって。)
ありす(嬉しかったとき、悲しかったとき、疲れたとき、心が折れそうになったとき。)
ありす(そのいつでも誰かがそばにいてくれて、前に一歩進む勇気と強さをくれました)
ありす(待っててくれましたかプロデューサー。私はここまで大きな人間になることができました)
ありす(・・・プロデューサー?何やってるんですか?何でそんなーーー)
ありす「ハーレムエンドは日本じゃ受け入れられません!!!!!」ガバッ
飛鳥「おっと・・・ようやくお目覚めだね。かれこれ30分か。寝言はともかくとして、元気そうで何よりだ」
ありす(そうでした・・・ドアをノックする音が聞こえたから開けると飛鳥さんの首だけが浮いていて・・・気絶したんでしたっけ)
飛鳥「さてありす・・・この事務所にはキミ一人だけなのかい?」
ありす「橘です。今はちひろもさんもいませんので、完全に私一人でしたね」
飛鳥「美玲か小梅がいれば都合が良かったのだが・・・まぁいい。それはそうとありす、そんなところで横たわっていてはせっかくの服が汚れてしまうよ」
ありす「橘です!・・・もう。気絶してるところをじっとみてるなら起こしてくれても良かったじゃないですか」
飛鳥「何回も声をかけたんだが・・・それにこの体ではいくら小学生の体重であろうと運ぶのは不可能だった。やれやれ、こんなカタチで十全な四肢の重要性を思い知ることになるとはね」
ありす「それは確かにそうですね・・・ところで飛鳥さん」
飛鳥「なんだい?ボクが答えられることならなんでも答えよう」
ありす「・・・いつからそんな、頭だけで浮いているんですか?」
飛鳥「話し始めると長くなるが・・・レッスンを終え、少しばかりボクはうたたねをしてしまったんだ。起きたら首から下が見事綺麗さっぱりなくなってしまったんだ。以上が顛末さ」
ありす「短いっ!?それに無くなったって簡単に言いますけど、なんで頭だけになってそんな落ち着いてられるんですか!?」
飛鳥「・・・キミはまだ知らないだろうけど、人生というものは非常に複雑怪奇でいつどんな災難に襲われるか分かったもんじゃないまさに迷宮ともいえるものさ。迷い続けている間にやがて人は不慮の事故に強くなっていく。強くなるんだ、ありす・・・」
ありす「何で逆に私が諭されてるみたいになってるんですか!?」
飛鳥「とはいえ、唐突にこの姿になってしまってボクと言えど全くの平然とは言えないくらいには焦っていた。何せ頭だけが自立稼働で自由に浮かぶものだからね。開いていたレッスンルームの窓から脱出を試み、人目につかないように空からここまで飛んできたんだ」
ありす「あやうく自衛隊案件!?」
飛鳥「途中カラスに髪の毛を啄まれかけたが・・・何とか事なきを得たよ。全く、歪なりとも鳥になれたと思ったらこれだ。動物社会というものは弱肉強食ということを嫌でも思い知らされたよ・・・」
ありす(カラス側も人間の頭部が浮いていて驚いたんじゃないでしょうか・・・)
飛鳥「そうだありす、先んじて警告しておくがこのエクステには触らない方がいい。キミを蝕む毒になるだろう」
ありす「何ふざけたこと言ってるんですか。人間の髪の毛に毒なんてあるわけないです」
飛鳥「・・・同じことをプロデューサーは言ったよ。ひたすらボクの髪をもみくちゃにした挙句痙攣しながら気絶中だ。とはいえ彼ならもう目覚めていることだろう」
ありす(帰ってこないと思ったら何をやってるんですかあの人は・・・)
飛鳥「ふよふよと浮く頭部、毒を持つエクステ・・・まるでクラゲだな」
ありす「クラゲは空中には浮きませんよ。サメ映画の観すぎじゃないですか?」
飛鳥「のあさんが勧めてくるから・・・そのまま奏も巻き込んでオールナイトシャーク・・・」
ありす「仕掛け人が意外すぎる!?」
飛鳥「こうしてボクが事務所に戻ってきたのも、この状態じゃ1人じゃ何もできなかったからさ。精々ボクにできるのは触手と化したエクステを自由自在にアレンジできることくらいさ」ヒュンヒュン
ありす(瞬く間にエクステが三つ編みになっていく・・・)
飛鳥「やはり痛感させられるよ、ボクは弱い存在なんだとね。そこでだありす」
ありす「・・・何ですか?」
飛鳥「もしキミさえよければ・・・こんなボクを、友達として認めてくれるかい?」
ありす(・・・いつもはニヒルな笑みを浮かべている飛鳥さんが寂し気な表情をしている・・・)
ありす「・・・何言っているんですか」
飛鳥「・・・」
ありす「同じユニットで歌を歌って、一緒に仕事をして、それなのに友達じゃないなんておかしいです。論破です」
飛鳥「ありす・・・」
ありす「私は、まだ飛鳥さんのことをあまりよく知りません。けど、これから知っていくことは私にだってできます。まだ聞きたいことはたくさんあるんです」
飛鳥「・・・その、なんだ・・・ありがとう」
ありす「さっきクラゲみたいって言ってましたけど、水中でも浮いたりできるんでしょうか?」
飛鳥「・・・ありす?」
ありす「もしそのエクステがクラゲの触手に類似した器官なら、暗闇で光ったりするんでしょうか?」
飛鳥「ありす?なんだか目が怖いぞ?」
ありす「なんだか見慣れてきたら可愛く見えてきましたね!マスコット的可愛さとでもいうのでしょうか?小さくて可愛いです!エクステに毒があるなら地毛はどうなんでしょう?」
飛鳥「ありす!ありす!!」
ありす「少しだけ髪の毛が痛んでますね・・・ちゃんとヘアケアが必要みたいです。あっでも頬が柔らかい!」ギューッ
飛鳥「誰か!!芳乃!!」
芳乃「ありす殿ー」
ありす「へっ?」
芳乃「お昼寝の時間でしてー」カッ
??「・・・す・・・あり・・起き・・・」
ありす「んぅ・・・ふぁ・・・あれ?プロデューサー、何故ここに?」
モバP「何故って・・・ありすを寮まで送るって約束だったじゃないか」
ありす「そういえば・・・そうでしたね。・・・あれ、飛鳥さんはどこですか?」
モバP「飛鳥?飛鳥ならそこのソファにいるけどどうかしたのか?」
ありす「っ・・・飛鳥さん!」
モバP(無視された・・・)シュン
飛鳥「目覚めて早々元気がいいね。なんだい?」
ありす「首から、下!体戻ったんですね!?」
飛鳥「・・・?おかしなことを言うね。人間の体がそんなホイホイバラバラになろわけないだろう。ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし」
ありす「それはそうですけど・・・」
飛鳥「夢でも見たんじゃないか?きっとレッスンの疲れがまだ残っているんだろう。この事務所にたどり着いてからずっと眠りこけていたんだ。今日はもう帰ってゆっくりベッドで寝るといいよ」
ありす「そう・・・ですね。明日もハードなレッスンですし、その通りにします」
飛鳥「あぁ、次のステージへ飛び立つために、休息は必要経費さ。それこそおかしな夢を見ないようにね、ありす」
ありす「橘です!・・・じゃあ、お先に失礼します」
飛鳥「・・・」
芳乃「何か、お悩み事でもー?」
飛鳥「芳乃。体探しから何まで、今回は感謝が筆舌に尽くしがたい。ありがとう」
芳乃「おやすい御用でしてー。それより、ありす殿が気がかりですかー?」
飛鳥「あぁ・・・少し動揺していたとはいえ、不用心にこの姿でありすの前に出てしまった。妙な偏見を持たれていないといいんだが・・・」
芳乃「その心配はご無用でしてー。ありす殿は優しき気に満ち溢れていますがゆえー」
飛鳥「そうだよな・・・」
芳乃「ありす殿だけでなく、この事務所のあいどる達はみな優しく、そのような心配は不要かとー」
飛鳥「いつかこの人ならざる姿が、皆に受け入れられる日は来ると思うかい?」
芳乃「ええ、その日は近く、踏み込めばたちまちに広がるでしょうー」
飛鳥「そうか、じゃあそんなセカイへーーーー」
飛鳥「さぁ、往こうか」
芳乃「無理やり〆なのでしてー」
終わりです。HTML依頼だしてきます。
乙乙。
>>13
確かに似てるがwww
やめろwww
デレステのルームの後ろ姿のことかと思ったぜ
クソコラグランプリ開こうぜ
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