城ヶ崎美嘉「ダルウェイの廃屋に妹がいる」 (18)
『―――おねえちゃーん! 元気ー!? アタシがいなくて寂しくない?』
『今日はお姉ちゃんに! いいニュースと……いいニュースがあるんだー☆ だからこうやってビデオレターを送ったの!』
『ふふーん、何だと思う? ねーえー、何だと思うー!?』
『それはねー……』
『凸レーション!』
『あーんど、ゼッケンズ!!』
『ツアー、in、USA!!!』
『大・成・功!! いえーい!!』
『それでねそれでね! 今は船でテキサスまで行くところなんだー☆』
『テキサスって言えばカウガール! カリスマカウガールJC城ヶ崎莉嘉! いいでしょー?』
『…んー? お姉ちゃん、アタシのカウガール姿見たいー?』
『しょーがないなー、あとで写真撮って送ってア・ゲ・ル☆』
『船で友達も出来たし、帰ったらお姉ちゃんにも紹介するねー♪』
『それじゃ、みりあちゃんやきらりちゃんが来る前に……バイバー……』
『……』
『……お姉ちゃん。ホントはね、莉嘉すっごく寂しいの』
『すっごい離れたところでライブやって。楽しいけど、でもお姉ちゃんに会いたい』
『だから帰ってきたら…がんばったご褒美に、いっぱいお話してね?』
『……えへへー、それだけ!』
『大好きだよお姉ちゃん! それじゃバイバーイ!』
「……」
ギシッ
カタカタカタ
ジジ……
「お姉ちゃん」
「ゴメンね、莉嘉とんでもないことしちゃった」
「もしお姉ちゃんがこのメッセージを見てるなら……」
「アタシを探さないで」
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バイオハザード7×モバマスのssです。
配役および重要アイテムや菌の設定、話の展開など一部変更。
全年齢板だけどグロ描写については多分大丈夫。
ギャグです。
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~3年後~
Prrrr
美嘉「もしもし? アタシだよ。美嘉」
凛『美嘉? 急にいなくなって何してたの!? 連絡もなくて皆心配したんだよ!?』
美嘉「それは……ほんとにゴメン!」
凛『美嘉のプロデューサーもいないし…!』
美嘉「急いでて、連絡入れるのが遅れちゃって……今から話したいことがあるの」
凛『話?』
美嘉「うん」
美嘉「莉嘉が生きてた」
美嘉「連絡が来たんだよ」
凛『嘘……見つかったの!? どうして!? 何があったの!?』
美嘉「詳しい事はアタシにも分かんない。分かんないけど……とにかく莉嘉から連絡があった」
美嘉「アタシ達のワールドツアーを知った人のイタズラかもしれない。でも、迎えに来てって」
凛『……莉嘉はどこに?』
美嘉「ルイジアナ州のダルウェイ。そこにいるって」
美嘉「……『みんなも一緒だよ』って書いてあった」
美嘉「『あの子』の名前も……」
凛『……!』
凛『……待って。もしそれが本当なら私だって嬉しいよ。嬉しいけど……』
凛『もう3年も経ってるんだよ? 「あの子」がいなくなってからでも1年過ぎてる』
凛『本当に信じられるの?』
美嘉「分かってるよ! 分かってるけど……本当にあの子だったら?」
美嘉「何があったか知りたいの」
凛『……分かった。でも、無茶しちゃダメだよ』
――――――――――――――――――――
ブロロロロ……
ガチャ
美嘉「ありがと、プロデューサー。ワガママ聞いてここまで送ってくれて」
美嘉P(以下P)「美嘉の頼みだ。別に構わない……けど……」
P「……本当にここなのか?」
美嘉「うん、確かにここだって書いてある。ルイジアナ州、ダルウェイ……」
美嘉「―――ベイカー農場」
美嘉(――3年前……妹の乗った船が事故にあって、莉嘉はアメリカで行方不明になった)
美嘉(――必死に探したけど、手掛かりはなくて……)
美嘉(――1年前に、諦めないで皆を探しに行ってくれた『あの子』も……どこかに行ってしまって帰ってこない)
美嘉(――そして、一緒にツアーに行ったきらりちゃんやみりあちゃん、ゼッケンズの皆も含めて)
美嘉(――今ではもう、妹は完全に『死んだもの』扱いになった)
美嘉(――でも)
美嘉(――今度はアタシ達の世界ツアーが決まって、アメリカにやって来た日の夜)
美嘉(――アタシ達が出演する番組のメールアドレスに、莉嘉からメールが来た)
美嘉(――内容は、ここの場所と、そこにいるメンバー全員の名前)
美嘉(――そして『迎えに来て』の一言だけ)
美嘉(――あの子の死から立ち直ろうとしてたアタシは、居ても立ってもいられなくて)
美嘉(――プロデューサーの車で、この屋敷に来た)
~ベイカー邸 正門前~
美嘉「すみませーん!」コンコンコン
ガチャガチャ
P「…本当に人がいるのか?」
美嘉「……分かんない。インターホンも壊れてるみたいだし」
P「あっちにも道がある。行ってみよう」
――――――――――
P「…ひどく蒸し暑いな。虫も多い」
P(それに、さっきの……『恵みを受け入れろ』って……?)
美嘉「靴がべちゃべちゃ……動きやすさも考えたつもりだったんだけど、オシャレしない方が良かったかな……」ハァ
P「オシャレは我慢って言ってなかったか?」
美嘉「うっ……それでも限度があるでしょ!?」
P「…帰りに服屋寄るか? あるか分からないが」
美嘉「……うん」
美嘉「…それにしても、こっちの道どこに続いて―――――」
美嘉「……!?」
美嘉(――一瞬、アタシの目の前を幽霊が通り過ぎたのかと思った)
美嘉(――3年会わなくても、その子をすぐに思い出せた)
美嘉(――髪も肌の色も、なんだかくすんでて、まるで泥だらけだったけど……)
美嘉(――それでも、忘れることなんかない。あれは……あの大きな体は……!)
美嘉「……きらりちゃん?」
美嘉(――気が付いたら、アタシは無我夢中で走りだしてた)
美嘉「っ……きらりちゃん! 待ってきらりちゃん!」
P「! おい美嘉! 待て!」
美嘉「生きてる! プロデューサー早く来て! きらりちゃんがいたんだよ!? あの子が生きてた!」
美嘉「それなら、莉嘉も! みりあちゃんだって……!!」
美嘉(――道を曲がったところで死骸に群がるカラスに出会って、驚いて飛び立ったカラスにぶつかってシャツが破れた)
美嘉(――趣味の悪いオブジェを潜り抜けようとして、髪に赤いものが絡みついた)
美嘉(――それでもアタシの足は止まらなかった)
美嘉(――だって、もう死んだはずの妹が)
美嘉(――もう会えないって思ってた家族が)
美嘉(――今はすぐそこに―――――!!)
ガラッ
美嘉「!!!」ドサッ
P「美嘉!!」
美嘉「だ、大丈夫! 滑り落ちただけ!」
美嘉「服はボロボロだけど、ケガはしてない!」
美嘉「……プロデューサーは車に戻ってて!」
P「はあ!? お前、何を言って……」
美嘉「この崖、降りたら登れないから……ちょっと回って、正門の方に戻れないか試してみる!」
美嘉「莉嘉達を連れて戻るから、すぐに帰れるようにエンジン入れといて!」
P「ちょっと待て……」
美嘉(――プロデューサーの制止の声は、アタシにはもう聞こえてなかった)
美嘉(――妹に会いたい。ただそれだけが頭に残ってて、アタシはぼろぼろの廃屋に踏み込んだ)
美嘉(――廃屋の中は、人が住んでるとは思えないほど荒れてた)
美嘉(――テーブルに置いてある鍋のフタをあければ、その臭いと手についた虫の感触で、思わず吐きそうになった)
美嘉(――奥を探しても2階に上がっても誰もいない。あったのは、一本の古いビデオテープだけ)
美嘉(――なぜか電気の通っていたテレビに挿して、中身を見る)
美嘉(――撮られた日付は、1年前のもの)
美嘉(――今アタシがいるこの廃屋を、取材しに来た人たちのビデオだった)
――――――――――――――――――――
レポーター『おい、こいつ大丈夫か?』
アンドレ『しょうがないだろ、志願してきたこの子しかカメラマンやってくれる子いないんだし』
レポーター『カメラ「マン」? 女だろ? しかも日本の』
レポーター『おい嬢ちゃん。行方不明になった友達を探したいだのなんだので俺達にくっついて来るのはいいけどよ』
レポーター『ビビッてまともに仕事できないようじゃ置いてくぞ?』
『そ、ソーリー! ちゃんと撮影しますから……!』
アンドレ『まあ、いいだろ? このネタだって、その子が半分くれたようなもんだぞ?』
レポーター『ケッ。こう言うのはアルバイトだからって甘やかしてちゃ駄目なんだぞ』
アンドレ『じゃ、行くか。……ドアの立て付けが悪いな』グッ
ドカッ
レポーター『さっさと着いてこい』
レポーター『……んで? ここに住んでたのは誰だって?』
アンドレ『ベイカー夫妻だ。息子のルーカスは不良だったらしいな』
アンドレ『何でも、日本人の女共を連れ込んでからおかしくなったらしい』
レポーター『娼婦共が家を乗っ取ったってか? そりゃいい』
レポーター『嬢ちゃん。この絵を背景に撮ってくれ』
レポーター『アンドレ! どうだ?』
レポーター『……アンドレ?』
レポーター『くそっ! アンドレの野郎、この隠し通路まで使って何処に行く気だ?』
レポーター『番組はもういい。嬢ちゃんには悪いが、アンドレを見つけて帰るぞ』
レポーター『先に梯子を降りろ。俺が降りる姿を下から撮ってくれ』
レポーター『……何かいるか?』
『……!』
『いました! すぐそこです! 何か棒立ちのままだけど……』
『……あの、アンドレさん? もう番組はいいから帰るよって……』ポン
アンドレ『』グラッ
ドサ
アンドレ『』ドロォ
『……え?』
『……い』
『―――――いやああアアアァァアアアアアッ!!!?』
――――――――――
美嘉(――カメラマンの女の子の叫び声と一緒に、映像は途切れた)
美嘉(――終わる瞬間、カメラマンに向かって歩いてくる誰かの足が見えたような……)
美嘉(――ううん。そんなことより)
美嘉(――カメラマンの声。アタシには聞き覚えがあった)
美嘉(――1年前に休みを取って、皆を探すってアメリカまで行って、そのままいなくなった……まさか……)
美嘉「―――未央?」
美嘉(――ビデオの通りに暖炉のレバーを引くと、同じように隠し通路が開いた)
美嘉(――同じように梯子を降りると、途中で折れて、落ちた)
美嘉(――もう、後戻りはできない……)
美嘉(――先に進むしかなくなって……でも、先にあったのは、汚い水路)
美嘉(――服が完全に台無しになるどころか、鼻がおかしくなりそうな水に浸かって進んだら……)
アンドレ with UZI「」プカァ
美嘉「ひいっ……!?」
美嘉(――死体なんて初めて見た)
美嘉(――いやだ。はやく帰りたい)
美嘉(――こわい。くさい。きたない)
美嘉(――莉嘉が、こんなひどい所にいるわけ……!)
美嘉「……」
美嘉「……明かり?」
美嘉(――水路を抜けると、電球で照らされた部屋を見つけた)
美嘉(――部屋の奥のベッドで、倒れるように寝てる女の子がいた)
美嘉(――髪がすっかり黒くなってて、身長がすごく伸びてるけど……)
美嘉(――ぜったいそうだ)
美嘉「ッ……」フラ
バチン
「……ん……?」
莉嘉「……お、姉……ちゃん?」
美嘉「~~~~~ッ!!!」
ギュウ
美嘉「莉嘉っ……莉嘉ぁ!!」
莉嘉「えっ……ええ!? お姉ちゃん、どうしてここに!?」
美嘉「そんなことどうでもいいでしょ!? どれだけ心配かけたと思ってんの!?」
美嘉「お姉ちゃん、ずっと莉嘉が死んじゃったって思ってて……諦めかけてて……!」
美嘉「……う……ッ」
美嘉「―――うああああぁああああん!!」ボロボロ
美嘉「良かった……生きてたよお……莉嘉が生きてた……!!」ボロボロ
美嘉「会いたかったよーっ……!!」ヒック
美嘉(――死んだはずの妹が、大好きな妹が、また目の前にいてくれて。抱きしめることが出来て)
美嘉(――その時だけは、アタシは『カッコいいお姉ちゃん』にも『カリスマ』にもなれてなんかなかった)
――――――――――――――――――――
美嘉(――なのに)
莉嘉「……ヴ…………ヴあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
美嘉(――これは何?)
莉嘉「ア゛ダシに構うなあ゛あ゛あ!!!」
美嘉(――どうして莉嘉が?)
莉嘉「ふざげんな゛この゛クソ野郎!! おまえ゛も同じ目に遭え゛え!!」
美嘉(――どうしてアタシが)
莉嘉「お姉ちゃん。……お姉ちゃん……」
莉嘉「だいすきだよ」
美嘉(――どうしてアタシが、この子を殺したの)
きらり「 お ま え も 家 族 だ に い ☆ 」
バキッ
――――――――――――――――――――
「―――起きてよ。まだ死んじゃ駄目なんだ、やってもらうことがある」
「あたしはゾイ。ミリアも無事だよ。ちゃんとあたしが保護してる」
「変わっちまった元仲間と戦うのは辛いと思うけど……」
「お願い。ミリアとあんたの妹のために戦って」
――――――――――――――――――――
美嘉(――目を覚ますと、アタシは椅子に縛り付けられてた)
美嘉(――莉嘉はどこにもいなかった。その代わり……)
カチャカチャ
ジュルジュル
ベチャッベチャッ
美嘉(――髪はぼさぼさ、肌も死んだような色、うち4人は仕草がもう人なのかどうかも分かんない)
美嘉(――それでも、アタシにはすぐわかった。そして信じたくなかった)
美嘉(――今、目の前で気持ち悪い『なにか』を食べてる、7人の女たちは……)
美嘉(――きらりちゃん、輝子ちゃん、愛梨ちゃん、藍子ちゃん、茜ちゃん、ユッコちゃん)
美嘉(――未央)
美嘉(――みんな、行方不明になった筈の友達だった)
美嘉「ここはどこ……? どうなってんの……?」
輝子「フヒヒ……ようやく起きたのか、ねぼすけさん。夕食の時間だぞ……」
美嘉「みんな、どうして……莉嘉は、みりあちゃんは……?」
輝子「ぐだぐだ言ってないで食えよ!! …美味しいぞ?」
未央「アッハッハッハ!! このバカには何言っても通じやしなーいよっ!」ブンッ
美嘉「っ…」ベチャア
輝子「未央ちゃん!? 何しやがるテメエーー!!」
きらり「もおっ!」ザクッ
きらり「未央ちゃん、ダメっ!!」ブチイッ
未央「も~~~! 何すんのさあ勘弁してよきらりーん!」ゲラゲラ
きらり「ほーらっ、美嘉ちゃんもお、好き嫌いはダメだゆ? あーんして?」
美嘉「うっ……おえええええ!!」
輝子「何だよこのクソ野郎吐きやがったよ! きらりちゃんコイツ吐きやがった!!」
きらり「輝子ちゃんはあっち行ってて!」
輝子「せっかく作ってやったのに! 行くぞみんな!」
茜「キシャアアア」
藍子「キシャアアア」
裕子「キシャアアア」
愛梨「キシャアアア」
きらり「んもう! 美嘉ちゃんもダメ!」
きらり「これは我が家じゃとっておきのご馳走なんだにぃ☆」グサー
美嘉「いっ゛……いあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ」
きらり「さあ行くよお☆ うううううう~~~!!」グイッ
チュドーン
クリス「待たせたな」
新アンブレラのおかげで皆治った。
~HAPPY END~
バイオ7のゾイルートで流れる
イーサンがスマホを投げ捨てるシーンと
「ミアの死から~まだ光は見えない」の一連のセリフが
城ヶ崎姉妹にすごく似合うなーと思って書き始めました。
書く前はそれなりに悲壮感のある切ない内容になりそうだなと思ったのですが
ギャグにしかなりませんでした。
だって書いてるうちに絶対飽きるって気付いてたもん。
考えてたルートとか設定の変更点とか下にまとめたので暇な人は見てください。
クソss失礼しました<(_ _)>
http://imgur.com/KaXIQS9
過去作
卯月「同物同治、ですか?」
輝子「歌うために……トモダチを殺すしかない……!」
美波「霧の中で、あまりにもひどい結末を」【ミスト】
一週間頑張りましょう。
後書きがくっさ
プレイしながらここにクレスとかレオン来たら俺TUEEになるなとは思ってた
レオンが来てたらゾイ助けられなくてまた女関連のトラウマが増えちゃう
あるいは意地でも助けようとするのかもしれんが
最後まで見たかった
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