道明寺歌鈴「熱くて痛い、幸せな口付け」 (21)
道明寺歌鈴ちゃんのSSです。
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むくりとベッドから身体を起こします。
───眠れない。
明日も学校があるからと早めに床についたのが23時過ぎ、今こうして枕元に置いた時計を確認すると暗闇でも分かるようにと蛍光塗料の塗られた時計の針は1時過ぎを指していました。
いつの間にこんな時間に、と軽く驚いていると未だに寝室へとやって来ないプロデューサーさんのことが頭に浮かびました。
確かまだお仕事があるからとパソコンと睨めっこをしていたプロデューサーさんに夜食を差し入れした時は後少しで終わるから、と言っていました。
しかしこんな時間になっているというのにまだ眠りに来ていないということはあれは見栄を張った発言なのか、もしくな予想外に長引いているのか。どちらにしてもプロデューサーさんの様子が気になりました。
ベッドから降り、音を立てないようにこっそりと寝室から出てプロデューサーさんがお仕事をしているリビングへと向かい……ってああっ! ばたばたんっ! と盛大に転けてしまいました。
痛たた……と身体をさすっているとぱたぱたと足音が。廊下とリビングを仕切るドアが開いてプロデューサーさんがやってきました。
「歌鈴!?」
「ぷ、ぷろでゅーさーさぁん……」
慌てて私の方へと駆け寄ってくれるプロデューサーさんに思わず抱きついてしまいます。
「ど、どうしたんだ歌鈴」
「うぅ……また転けちゃいました……」
ぐすん、と小さく鼻を啜りながらプロデューサーさんの胸元へと顔を埋めます。よしよしと撫でてくれるその手の温かさと優しい手付きにほっとします。
「落ち着いたか?」
「ふぁい……」
こくんと頷いて顔を離します。
「なにがあったんだ?」
「その、寝れなくて、だからプロデューサーさんにって……」
「そっか」
そう言うとプロデューサーさんはくすりと笑って私の頭を撫で続けます。子ども扱いしないでくださいと言おうと思いましたが、それが心地よくてにへらと頬が緩んでしまいます。
そんなことを感じているとひょいっとプロデューサーさんに抱き上げられ視界があがります。突然のその行動に身体が硬直してしまいます。
「ぷ、プロデューサーしゃんっ!?」
「んー?」
「な、なにするんでつかぁっ!」
「はっはっは」
笑いながら私を運ぶプロデューサーさんにぽかぽかと小さく叩いて抗議の意を示します。
けれどプロデューサーさんったらそんなことは気にしない様子です。
「と、ほら、着いたぞ」
「ふぇ……?」
プロデューサーさんはそう言ってベッドへと私を降ろしました。何故、と首を捻ります。
そんな私の様子を見てプロデューサーさんが。
「もう俺も寝ようかと思ってたからさ、さっき歌鈴も少し泣いたしもう寝れるだろ?」
そう言うプロデューサーさんに、むうっと頬を膨らませて見つめます。なんだか上手いようにプロデューサーさんにあしらわれた気がします。
と、そこであることを思い出しました。
まだキスしてもらっていません。いつもは寝る前におやすみのキスをしてから眠るのですが今日はお仕事で忙しそうにしていたのでやめておいたのです。私が眠れないのはきっとそれが原因でしょう。
そうと分かれば早速おねだりです。目を閉じてんーっと唇を強調させます。目を閉じているのではっきりとは分かりませんが、プロデューサーさんの顔が近付いてくるのが分かります。
ドキドキと高鳴る鼓動が聞こえないかと心配になりつつもその時を期待して……あいたっ!
「ふぇぇっ!?」
「全く、さっさと寝るぞ」
私が待っていたというのに、プロデューサーさんはデコピンをして、こてんと横になっていました。
むむむっとそんな彼を見つめます。さっきから弄ばれていい加減頭にきました。
……というわけで、寝転がって眠りに就こうとしているプロデューサーさんにがばっと覆いかぶさります。
「か、歌鈴?」
ふふふ。困っているようです。私だってやる時はやるんだということがこれで分かったことでしょう。自然と誇らしげな表情になっているのが自分でも分かります。
と、そんな風に余裕を見せていたら。突然ぐいっとプロデューサーさんに抱き寄せられてキスをされました。
余りにもいきなりなその行為に身体がぴくりと震えます。
するとプロデューサーさんは私を安心させるかのように優しく髪を撫でられながら舌先で私の唇を舐められました。
思わず口が小さく開いてしまうと、それを待っていたかのようにプロデューサーさんの舌が私の口内へと侵入してきました。
ふぁ、と私の声が自然と漏れてしまいますがプロデューサーさんはお構いなしに私の舌と彼の舌を絡めてきます。
それに応えるように私からも舌を絡めかえしながらプロデューサーさんの手をぎゅっと握ります。
私がぎゅっと手を握るとプロデューサーさんも握りかえしてくれて。すると一気に身体が熱くなりました。嬉しいという気持ちや幸せな気持ち、少し恥ずかしい気持ちなど様々な感情がごっちゃに混ざりあい、ただひたすらに目の前のプロデューサーさんが愛おしいという気持ちでいっぱいになります。
プロデューサーさんもきっとそんな気持ちなのでしょう。段々と舌の動きが激しくなってきて、私を強く求めているのがわかります。
そんな激しい行為に私はどんどんぼーっとしてきて。そんな幸福感に身を任せているとぐいっと抱きしめられます。私を離さない。そんな主張でしょうか。歌鈴も同じ気持ちです、と応えるように抱きしめかえします。お互いがお互いを求めあい、ひたすらにキスを重ねて。
どれくらいお互いを貪ったのでしょうか、どちらからともなく唇を離すと唾液がお互いの口を糸のように繋いでいました。
なにも言葉を発さず見つめあいます。目を閉じて顔を近付け、唇を再び重ねました。今度はいきなり激しく舌を絡め合います。
貴方を感じたい。ただそれだけで。次第に唇を重ねていき、唾液をそっと流し込みます。
プロデューサーさんは少し驚いたかのように目を開けると彼の方から唾液が流し込んできました。それはとっても甘くて。けれど苦くも感じられて、それでいて火傷するかのごとく熱くて痛いものでした。
だけどやっぱりそれは嬉しくて幸せで。ピチャピチャと音を立てて唾液を夢中で交換し続けます。唾液を送り、送り込まれ、口の端から溢れた唾液がお互いの服やシーツを濡らしていきます。言葉など発さず、けれどお互いの口から漏れる声にならない声が寝室に響き渡ります。
多幸感に包まれ、私とプロデューサーさんがアイドルとプロデューサーという関係だなんてことも気にならなくなってしまって。
心の奥底から溢れてくるこの感情が抑えられなくなって。それはプロデューサーさんも同じようです。
プロデューサーさんの瞳に映るのは私だけで、もちろん私の瞳に映るのもプロデューサーさんだけで、ただひたすらに、ただひたすらにお互いを求め合います。
どれくらい経ったのでしょうか。30秒も経っていないようにも感じられ、でも何時間をも超えているようにも感じられます。
そんなことを続けて、いつからか私の身体がぴくぴくと小刻みに震えてきて。ああ、我慢ができない。なんて分かってしまいました。
プロデューサーさんもそんな私の様子を理解したのでしょう。これまでで一番激しく求められ、一番強く抱きしめられ、逃げることなど叶わずに私の身体は我慢しようとする自身の意思に反して大きく跳ねてしまいました。
一気に身体から力が抜け、プロデューサーさんの身体の上へと倒れ込んでしまいます。
唇を重ねたまま、被さっていた私と被せられていたプロデューサーさんの位置が逆になってしまいました。
そこで永遠にも続くかと思われたキスが終わり、唇が離れて透明な橋がお互いを繋ぎます。
はー、はーと息を荒げながらプロデューサーさんを見つめます。すると、プロデューサーさんが私の寝間着をするすると脱がしていき。私は抵抗せずにやっぱり彼を見つめ続けていて。
そんなプロデューサーさんの目に映る私は頬を真っ赤に染めていて、それでいて物欲しそうな顔をしていて。
ああ、やっぱり私は──────
「愛してます……プロデューサーさん……」
以上です。
読んでくださりありがとうございました。
過去作です。
道明寺歌鈴「温かなこの想いを抱きしめて」
道明寺歌鈴「温かなこの想いを抱きしめて」 - SSまとめ速報
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おつー
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