姫川友紀「かおる´sキッチン」 (80)
【事務所】
姫川友紀「スポーツ欄スポーツ欄っと…」
友紀「さてさて…昨日のキャッツの大勝利は、どんな記事になってるのかなぁ♪」
ガチャ
龍崎薫「おっはようございまー!」
友紀「…おっ、薫ちゃん!おはよう!」
薫「友紀ちゃんだ!おはようございまー!」
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友紀「今日も元気だね~。さすがは、我らがひまわりエースだ!」
薫「えへへ!大きいこえであいさつしようねって、ママといつも言ってるんだ!」
友紀「うんうん、元気なのは良いことだよ!」
薫「友紀ちゃんも元気いっぱい!はなまるだね!」
友紀「おぉっ、嬉しいなぁ。ありがと!」
薫「へへー」
薫「友紀ちゃん、なにしてたのー?」
友紀「あたし?あたしは…事務所のお留守番!」
薫「おるすばん?」
友紀「うん。暇だったから、遊びに来たんだよね」
薫「あそびに!」
友紀「今日のレッスンは夕方からなんだけど…家に居てもやることなくってさー」
薫「うんうん」
友紀「テレビつけてぼーっとしてるだけなのもなんか嫌だから、事務所に来てみたんだけど」
友紀「…でもやっぱりやることないから、とりあえず新聞読んでた」
薫「しんぶん!?すごーい!オトナだー!」
友紀「でしょー?へへへ」
薫「かおるね、まだしんぶん読めないや…」
友紀「ふんふむ」
薫「わからない漢字がたっくさんあるんだぁ」
友紀「あー…難しい漢字、多いよねぇ。わかるわかる」
薫「たとえばね…これ、なんて読むの?」
友紀「んー?どれどれ」
[頭部死球]
友紀「これはね、"とうぶしきゅう"。頭にボールがぶつかっちゃうことだよ」
薫「おぉー!じゃあ…この字は?」
[あわや乱闘!]
友紀「"らんとう"だね。まぁ…喧嘩することかな」
薫「すごーい!友紀ちゃん、学校の先生みたい!」
友紀「どやぁ!」
薫「かおるも友紀ちゃんみたいに、しんぶん読めるようになるかなぁ…」
友紀「なれるなれる!国語のお勉強、頑張ろうね!」
薫「…はーい!」
友紀「学校でいっぱい勉強して…あれ?」
薫「?」
友紀「…うん?勉強?」
友紀「そういえば、今日って平日だよね?学校は…?」
薫「あっ、そうだ!えっとね、今日ね!かおるの学校、"かいこーきねんび"なんだって!」
友紀「あぁ~、なるほど…開校記念日」
薫「だから、お休みなの!」
友紀「あったなぁ、そんなイベント…」
薫「それでね。せんせぇいるかなぁって思って、あそびに来たんだ!」
友紀「なるほど!じゃあ、あたしと同じだね!」
薫「おんなじー!」
友紀「…でも、残念だけど。プロデューサー、今いないんだよ」
薫「え?」
友紀「イベントの打ち合せあるからって、さっき出掛けちゃったの」
薫「えぇー!」
友紀「ちひろさんも用事で今日は出張だし…『丁度良いや、留守番頼むぞユッキ』なんて言ってね」
薫「…そっかぁ」
友紀「『もし電話きた時は、午後には戻るから、後で折り返しますって伝えといて』とか言い残してさぁー」
薫「…」
友紀「折角あたしが会いに来てやったってのに、酷くない?」
薫「せんせぇ、いないんだぁ」
友紀「…っとと。こんなこと、薫ちゃんに言っても仕方ないか…」
友紀「なんかごめんね?」
薫「…ううん。友紀ちゃんいたから、かおるはへいきだよ?」
友紀「薫ちゃん…!」
薫「かおる、せんせぇ来るまで待ってる!」
友紀「…よし、一緒に待ってよっか!」
薫「うん!」
グーー
友紀「…?」
薫「あー!友紀ちゃん、おなかなったでしょー?」
友紀「いや、あたしじゃ…」
友紀「…」
友紀「…あ、あはは。そうそう、お腹空いちゃってさ」
薫「朝ごはん食べてないの?」
友紀「んー…朝は、パンだけだったなぁ」
薫「だめだよ!ごはんはちゃんと食べなきゃ!」
友紀「…薫ちゃん。大人になるとね、今日は食べなくて良いや、っていう朝もあってさ…」
薫「食べなきゃだめー!」
友紀「は、はい…ごめんなさい…」
薫「あっ!じゃあ、かおるがお昼ごはん、作ってあげる!」
友紀「へ?薫ちゃんが?」
薫「うん!かおる、お料理じょうずなんだ!」
友紀「う、うん…それは、知ってるけど」
薫「ママのお手伝いもしてるんだよ?」
友紀「いやぁ…あたしはコンビニとかで良いよ…」
薫「でも、ちゃんと食べなきゃ…」
友紀「気持ちは嬉しいけどね?」
薫「…だめ?」
友紀「うーん…ほら、料理って、火とか使うんでしょ?危なくないかなぁ…」
薫「…そっかぁ。火は1人で使っちゃダメよ、って…ママにも言われてるんだった…」
友紀「んー…」
薫「からあげ教えてもらったのに…」ショボーン
友紀「…唐揚げ」ピク
薫「せんせぇとか友紀ちゃんにも、いつか作ってあげたかったんだけどなぁ…」ショボボ
友紀「…」
友紀「……」
友紀「………」
友紀「唐揚げ……」
友紀「………………」ムムム
友紀「…よし!薫ちゃん!」
薫「?」
友紀「お腹空いたから、ご飯作ってくれる?」
薫「…良いの?」
友紀「うん。あたしも見てるからさ!保護者がいるから、まぁ大丈夫でしょ」
薫「やったぁ!」
友紀「どうせならいっぱい作って、プロデューサーとかみんなにも食べてもらお?」
薫「わぁ…!かおる、ごはん作りまー!」
友紀「今10時半ぐらいでしょ?」
薫「うんっ」
友紀「お話しながらゆっくり作れば、お昼には丁度良いんじゃないかな」
薫「え?ゆっくりって、どのくらい?」
友紀「んっと…1時間とか?」
薫「そんなにかからないよ?」
友紀「あれっ」
薫「それに、てきぱきやらなきゃ冷めちゃう!おいしくないよぉ」
友紀「…あれ?もしかして、あたしより相当料理上手だったりする…?」
薫「ママに"あいさいべんとう"教えてもらってるもん!とくいだよ!」
友紀「…じゃあ、今日は薫ちゃんが先生だね!」
薫「!かおる、料理の先生?」
友紀「うん!しっかり教えてね、せんせ!」
薫「わーい!かおるがせんせぇだ!」
友紀「ふふ」
友紀「…さて、」
薫「さて?」
友紀「んー、どうせならみんなで作りたいなぁ、って」
薫「みんな?」
友紀「ちょっと待っててね…」
薫「?友紀ちゃん、せんせぇの机、どうかしたの?」
友紀「良いから良いから♪」ゴソゴソ
友紀「よいしょっと」スポン
「フヒャ?!?!」
薫「わぁ!?」
薫「ビックリしたぁ…!輝子ちゃんだ!」
星輝子「ゃ、やぁ…どうも…」プラーン
友紀「輝子ちゃん、一本釣り打法!ってね」
薫「せんせぇの机から、輝子ちゃんが生えてきたの!?」
輝子「ち、ちが…生えてるのは、キノコだけだヨ…」
きのこ……唐翌揚げ……あっ
薫「輝子ちゃんいたの、かおるわからなかったー!」
輝子「あ、はい…。実は、いました…フヒ…」
友紀「あたしが来た時から、もう机の下に居たよね」
輝子「き、気づかれてた…」
友紀「キノコノコーって時々聞こえてくるからさ。あぁ、居るんだなーって!」
輝子「ぁうぅ…口からも、漏れてたのか…。は、恥ずかしい……」
薫「輝子ちゃんも、かいこーきねんび?」
輝子「ぁ…いや、私は違うぞ…」
友紀「…言われてみれば確かに。学校休み?」
輝子「あの…午後から、お仕事で…。準備の都合もあって…今日は、欠席なんだ…」
薫「そうなんだ!」
輝子「家でやることも済んだから…机の下のマイフレンズたちの、お世話をしようと思って…」
友紀「じゃあ、あたしたちとお同じだねっ!」
薫「おんなじー!」
輝子「そう、か…?フ、フフ…そうだな…仲間、だ…フヒ」
友紀「ご飯のことも、聞いてた?」
輝子「あ…うん。聞こえてた…けど」
友紀「じゃあ話が早い!」
薫「いっしょにお料理しまー!」
輝子「いや…わ、私は、いいよ…」
薫「えぇー!」
友紀「ありゃ」
薫「…輝子ちゃん、お料理きらいなの?」
輝子「き、嫌い、とかではない、けど…」
友紀「けど?」
輝子「その…みんなで、台所とか…ちょ、調理実習を、思い出して…うぅ…」
薫「ちょーりじっしゅー?」
友紀「あー…」
輝子「ひとり、余ったからって…よく知らない子たちのグループに入れられて…」
輝子「エプロンとか…三角巾とか、褒め合うんだ…あいつらは…」
輝子「『カワイー!』なんてな…フヒ…」
薫「う、うん…」
輝子「なのに…私には、ノータッチ…フフ…知ってた…」
輝子「それで、いざ始まっても…やっぱり、やることが、ないんだ…。みんな、他の子がやっちゃうから…」
輝子「『卵割っといてー』とか、些細なことしか頼まれない…!レシピを決めてた時、私はそこに、いなかったから…!」
輝子「私は、ただ、数合わせなだけの…食べて、皿を拭くダケの子……」
輝子「…卵?…フ、フフフ…」
輝子「フ…、フ……」
友紀「(あ、やばい)」
輝子「フ ザ け ん なァ!!!」バーン
薫「うわー!ばくはつしたー!」
輝子「なぁにが卵割ってだ!てめえらの頭をカチ割ってやろうかぁ!!アァ!?」
輝子「いっつもそうだ!日陰者だからって、触れず近寄らず微妙な扱いしやがってェ!!」
輝子「人並みに料理だってできるんだよォ!!指示さえあれば良いモノを!」
輝子「欲しいのは卵じゃねえ!キノコだ!!キノコを寄越しやがれェー!!!」
輝子「ヒィーーやっ」
友紀「はーい輝子ちゃんストップ~」ユサユサ
輝子「ハァぅううぅぅ…」グワングワン
薫「おさまった!すごーい!」
――
―
輝子「す、すまん…取り乱した…」
薫「輝子ちゃんも、お料理できるんだね!」
輝子「う…うん、まぁ、キノコの調理なら、だいたいは…」
友紀「なら、手伝ってくれる?」
輝子「い、いや…そんな、大したことは、できないんだ、ぞ…?」
薫「かおる、輝子ちゃんの料理も食べたーい!」
友紀「あたしもー!」
輝子「でも…」
グー
輝子「あぅ」
薫「あ!輝子ちゃんも、おなかなったね♪」
輝子「…うぅ、恥ずかしい、な…」
友紀「お腹、空いてるんでしょ」
輝子「う、うん…。トモダチのお世話をしてたら…自分が食べるの、忘れてて…」
友紀「あー、分かる分かる。ご飯中、キャッツの試合に見入っててうっかり冷めちゃうとか、あたしもよくあるなぁ」
薫「もー!2人とも、ちゃんとごはん食べなきゃだめだよー!」
友紀「はーい」
輝子「…い、いや…私はともかく、友紀さんは…」
薫「友紀ちゃんもさっきおなかなってたんだよ?全くもー!」
輝子「いや、だから…さっきのも、わた……ウゥ!」
友紀「まぁまぁ、良いから良いから♪」ユッサユッサ
輝子「…お、ぉふ…振らないで…」
薫「こうなったら、輝子ちゃんにもおなかいっぱい食べさせなきゃ!」
友紀「だって。どうする?」
輝子「私は…」
薫「ごはん食べなきゃだめだよー!」グイグイ
輝子「わ、分かった、よ…食べる…食べるから、服を引っ張らないでくれ…」
薫「はーい♪」
輝子「ご馳走に、なります…ハイ…」
友紀「ふふ、そうこなくっちゃ!」
輝子「なんか、ごめん…友紀さん…」
友紀「ん?何が?」
輝子「だって…」
友紀「?」
輝子「…いや。やっぱり、何でもない、よ…」
友紀「うん!」
輝子「…あ、それと…」
友紀「なに?」
輝子「そ、そろそろ…降ろして、ほしい…なんて…」
友紀「あぁっ、ごめんね!」ストン
輝子「フヒ…高かった…」
薫「友紀ちゃん、ちからもちだねー!」
友紀「へへっ。まぁ、これくらいはね!」
輝子「ひゃ、142センチに…あの目線は、キク、ラゲ…。なんちゃって…」
友紀「輝子ちゃん軽いんだもんなぁ。もっと食べなきゃダメだよ?」
輝子「ぁ、あぅ…、スルー…」
友紀「という訳でさ。お昼ご飯、一緒に食べよう!」
薫「お料理しまー!」
輝子「ぉ、おおー…」
――
―
【事務所・台所】
友紀「包丁よし!」
薫「まないたよーし!」
輝子「ガスは…あ、ちゃんと火は点くな…よし…」
友紀「よーし、やるぞー!」
薫「れいぞうこ、あっけまー!」
ガチャ
玉ねぎ「やぁ」 ポツン
友紀「…」
輝子「…」
薫「からっぽだ!」
友紀「玉ねぎしか入ってない、だと…」
輝子「…お前も、ボッチだったのか…うぅ…」グスン
薫「輝子ちゃんが、たまねぎ切ってないのにないてるよー!?」
【近所のスーパー】
友紀「あたし、最初野球ボールかと思っちゃった!」
輝子「いや…それはちょっと、わからない、な…」
友紀「でも考えてみればさ。事務所の冷蔵庫に、いっつも食材が揃ってることの方がおかしいんだよね」
輝子「…い、言われてみれば、確かに…」
薫「おっかいもの!おっかいものー♪」
友紀「さ、ちゃっちゃと済ませるぞー!」
輝子「事務所空っぽのままは…流石にマズいもんな…うん…」
薫「お肉!」
友紀「唐揚げといえば、やっぱりももかなぁ」
輝子「最近は…ムネ肉も流行り、らしいぞ…」
薫「どうちがうの?」
輝子「ムネだと…ちょっとヘルシー、らしい…」
友紀「美味しければ、どっちでも良いと思うけどね!」
薫「おやさい!」
友紀「と言っても、キャベツの千切りぐらいだよね」
輝子「買うのはキャベツだけ…キャベツ畑の、キャベツ茸…なんちゃって」
薫「あっ!かおる、プチトマトも食べたい!」
友紀「よっしゃあ!薫ちゃん、ゴー!」
薫「わーい!さがしてくる!」タタタ
輝子「ぁゎわ…ちょっ、待って…」
友紀「あっはは!元気だねー」
友紀「…おっ、パセリだ」
友紀「……」
薫「きのこ!」
輝子「おぉ…!キノコが、たくさん…!素晴らしい…ブラボーだ…!」
友紀「さぁ輝子ちゃん、何にする?」
輝子「あ、うん、そうだな…。唐揚げの横に添えるなら…うーん…」
薫「きのこいため?」
輝子「焼くのも、良いけど…あくまで、唐揚げがメイン…主張しすぎない、キノコ…キノコ…」
友紀「つまり…?」
輝子「シンプルに…みそ汁とか、どうかな…?なめことか…フヒヒ」
友紀「おぉー!」
薫「なめこのおみそしる!かおる、好きー!」
薫「のみもの!」
薫「オレンジジュースも買っていいかなぁ?」
友紀「どんどん入れちゃえ!」
輝子「わ、私は…普通に、お茶で…」
友紀「あたしは…」チラ
友紀「あ!これ、CMでやってた新商品かぁ…」
友紀「唐揚げにビール…飲みたいなぁ…」
友紀「…い、いやいや!今日は薫ちゃんも輝子ちゃんもいるし…」
友紀「何より事務所だし…」
友紀「……」
友紀「い、1本だけ…」
――
―
【再び事務所】
輝子「うぅ…日差しの下…キツい…」
薫「ただいまー!」
友紀「おかえりー」
輝子「オカエリー! …フヒ…今のは、袋の中のナメコくん…ナメナメ」
薫「いっぱい買ったね!」
友紀「うん!持つの手伝ってくれてありがとね、薫ちゃん、輝子ちゃん」
薫「おもくないからへいきだよっ♪」
輝子「私の袋も、全然…」
輝子「友紀さん…やっぱり、腕力あるよな…」
友紀「んー…あたし、力強いんだろうなぁ」
薫「ちからもち!」
友紀「前にもね、幸子ちゃんに撫で方が乱暴だーって言われたことあってさ」
輝子「ぁ、いや…そんなつもりじゃ、ないんだけど…」
薫「背もおっきいからねー!」
友紀「けっこう運動してたし…マネージャーの仕事で、重いものもよく運んでたし。まぁ、こんなもんだよ!あははは!」
友紀「さ、プロデューサーが帰ってくる前に、作っちゃうぞー!」
薫「がんばりまー!」
輝子「う、うん…」
友紀「よろしくお願いします、薫せんせ!」
薫「うん!」
友紀「あっ。言っとくけど、料理シーンもダイジェストでお送りするからね!」
輝子「…?どこ向いて、喋ってるんだ…?」
薫「お手々をあらいましょー♪」
――
―
輝子「みそ汁…作るのは、良いんだけど…」
友紀「どうかしたの?」
輝子「私…豆腐、切るの…苦手なんだ…」グシャ
輝子「ぁ…」
薫「かおる、おとうふ切ったことないなー」
輝子「やって、みる…か?」
友紀「猫の手…いいや、ねこっぴーの手だよっ、薫ちゃん!」
薫「そーっと、そーっと…」
薫「…あっ」グシャ
友紀「アウトー!」
――
―
薫「おっけー、ってやってみて!」
輝子「?…こう、か…?」オッキュー
友紀「おっ!チェンジアップ投げるの?」
薫「ちぇん…?じゃなくて、これくらいの大きさで、お肉を切るんだよ!」
輝子「おぉ…なるほど…」
薫「ひとくちサイズ!」
――
―
輝子「卵…」
友紀「前にね、卵でキャッチボールしようとしたら…プロデューサーに怒られちゃってさ」
輝子「たまご…タマゴ……ウゥッ!」グシャリ
友紀「げっ」
輝子「…ハッ…やって、しまった…」
薫「輝子ちゃーん!にぎりつぶしちゃだめだよぉ!」
友紀「布巾布巾…」
――
―
友紀「こういう粉見てると、ロージンバッグ思い出すなぁ…」
薫「ろーじん?おじいさん?」
輝子「あぁ…指に粉つけてる、アレか…?」
友紀「うん。パフパフしてると、右手が粉まみれになっちゃってさー」
薫「こんなかんじ?」
友紀「あはは、そうそう!薫ちゃんの指も、真っ白だね!」
――
―
薫「油のおんどはね、おはしを入れるとわかるんだよ!」
輝子「へぇ…」
薫「ママがね、『唐揚げする時は、箸がシュワシュワするまで温めるのよ』、って言ってた!」
友紀「んー…危ないから、それあたしがやるね」
薫「はーい」
友紀「…おぉっ、ホントにしゅわしゅわしてるー!すごーい!」
薫「でしょ~?」
輝子「ゆ、友紀さん…箸じゃなくて、お肉、揚げなきゃ……!」
――
―
輝子「…い、一回、油から出すのか…」
薫「"にどあげ"っていうんだって!これもママが言ってたの!」
友紀「2度上げ?」
友紀「…あっ、2段モーションのことか!なるほどっ」
輝子「いや…多分、違うと思う…ぞ」
薫「5ふんぐらい冷ましてあげると、おいしくなるんだって!」
友紀「ほへー…技巧派なんだなぁ、薫ちゃんのママさん…」
輝子「…」
薫「…」
友紀「…」
友紀「待ってる間、ちょっと暇だね…」
輝子「う、うん…」
友紀「…あ!そうだそうだ!」
薫「?どうしたの、友紀ちゃん」
友紀「うん、ちょっとね!輝子ちゃん、火の方よろしく!」
輝子「フヒャ?…あ、おぅ…良いけど…。玉ねぎと包丁持って、何するんだ…?」
友紀「へっへっへー、まぁまぁ♪」
薫「んー?」
――
―
友紀「盛り付けて、っと…」
薫「できたー!」
輝子「おぉ…やったな…。美味そう、だ…」
薫「トマトとパセリで、からふるー!」
輝子「パセリなんて…いつの間に、買ってたんだ…?」
友紀「定食とかでも、よく乗ってるじゃん?あれ思い出したんだ!」
輝子「後は…親友が帰ってくるのを、待つだけ…」グー
輝子「…ぁぅ」
友紀「あはは、お腹空いたよねぇ」
薫「かおるも、ちょっとおなかすいた…」グー
薫「…おなかなっちゃった…」
輝子「面目ない…」
友紀「んー、先に食べちゃおっか!」
薫「でも…」
友紀「大丈夫だって、お昼には戻るって言ってたし!」
輝子「あぁ…私も、問題ないと、思う…ぞ」
薫「そうなの?」
輝子「今日の…午後の収録、スタジオまで送ってくれる予定だったから…」
友紀「そうだったんだ!」
輝子「お昼も…ついでにどこかに寄って食べよう、って話だったんだ…元々…」
輝子「だから、もうすぐ来ると思う…ぞ」
薫「そっかぁ!」
友紀「食べ過ぎてなくなったりしなきゃ、平気平気!食べよ?」
薫「わーい!」
輝子「…あっ」
友紀「え?なに?」
輝子「みそ汁盛ったら…お茶碗が、足りなくなった…」
薫「あ」
友紀「えぇ…」
友紀「…おにぎりにしよう!」
薫「おにぎり!」
友紀「うん!」
輝子「なるほど…」
薫「かおる、おにぎりも作りまー!」
――
―
薫「できたー!」
輝子「いっぱい、作ったな…フフ」
薫「かおるのおにぎり、ちっちゃいからすぐわかるね!」
輝子「薫ちゃんは…手が、まだ小さいからね…。カワイイ、おにぎりだな…」
薫「輝子ちゃんのは、まるだったり、しかくだったり、いろいろだね!」
輝子「ぅ、うん…おにぎり、初めてだったから…ぶきっちょで、すぐ分かる…」
薫「輝子ちゃんのおにぎりも、"こせーてき"でかわいいよ?」
輝子「うぅ…照れる、な…」
薫「かわいー♪」
友紀「…おっ!ちょっと見ない間に、いっぱいできてる!」
薫「あ、友紀ちゃん!もうごはん、のこってないよ?」
友紀「うんうん。たくさんあったのに、あっという間だねぇ」
輝子「友紀さんのおにぎりは、綺麗だな…さ、さすがは、マネージャー…」
薫「うん!ママがにぎったみたい!」
友紀「へへっ!おにぎりには、自信あるんだ!」
薫「でも、今までなにしてたの?」
友紀「それはね…」
友紀「じゃーんっ」
輝子「…おぉ?」
薫「ゆでたまごと…」
輝子「玉ねぎの、みじん切り…?いつの間に…」
友紀「ふっふっふ。玉ねぎは水分取って、卵も細かく刻んで~…」
薫「いっしょにしちゃうの?」
友紀「うん!」
輝子「…あ。わ、分かった、ぞ…フフ…」
友紀「はい薫ちゃん!」
薫「…ふぇ?」
友紀「ボウルを渡して、パスボール!なんちゃって!」
薫「う、うん」
友紀「ネクストバッターは、マヨネーズくん!どばーっ!」
薫「え、まよ?」
友紀「混ぜろー!」
薫「え?え?」グルグル
友紀「さて、包丁とまな板は…」
輝子「パセリ、刻んでおいたぞ…」
友紀「おっ、サンキュー!よく分かったね、輝子ちゃん!」
輝子「本命は…こっち、だったんだね…フヒ」
友紀「いえーす!はい薫ちゃん!」
薫「はいっ」
友紀「パセリと、ちょっとの塩コショウで…」
友紀「完成!」
薫「わぁ…、タルタルソースだぁ!」
友紀「唐揚げにかけて、食べようね」
薫「すごいすごーい!」
輝子「やるな、友紀さん…」
友紀「いやぁ…お母さんが作ってたの見てて、覚えただけなんだけど」
薫「ねえ、ちょっとなめてみてもいい?」
友紀「良いよ?」
薫「…」ペロ
薫「おいしー!」
友紀「うふふ。宮崎といえばチキン南蛮。チキン南蛮といえば、タルタルソース!ってね」
輝子「これが、本場の味か…」
友紀「本場…。いやぁ、そこまでの物じゃないと思うけど…」
輝子「じゃあ…おふくろの味…って奴かな…フフ」
薫「友紀ちゃんはママのあじー♪」
友紀「…ん!そういうことにしよっか!」
薫「じゅんびバッチリだね!」
友紀「さ、食べよ…」
ガチャ
P「…戻りましたー。輝子、いるかー?」
P「…なんか良い匂いする」
輝子「おぉ…タイミングも、ばっちりだな…」
友紀「おかえり!」
薫「せんせぇ!」
P「おっす、ただい…ま?」
P「えっ、薫…?なんで?」
薫「あのね!かおる、かいこーきねんびで、あそびに来たから、ごはん作ったの!」
P「…??」
輝子「正確には…開校記念日で、学校が休みだった…らしい…」
友紀「お腹空いたから、みんなでご飯作ろ!ってことになってさ」
P「な、なるほど…?」
薫「せんせぇ、見て見て!から揚げ!」
P「ほー、こりゃすごい」
薫「上手にできたでしょ?」
P「…えっ、薫が揚げたの?」
薫「うん!」
P「…1人で?」
薫「ひとりじゃないよ!輝子ちゃんと友紀ちゃんに、てつだってもらったの!」
P「危なくなかった?」
友紀「うん!薫ちゃん、全然手馴れてるんだもん!ビックリしちゃった」
P「…そっか」
薫「かおる、ひとりで火つけちゃだめー!って、ママに言われてるんだよ?」
P「そうだな…。うん、ちゃんと判断できたのは、偉いな」
薫「ほんと!?」
P「偉い偉い」
薫「えへへー!」
P「ユッキも輝子も、お疲れ様」
友紀「全然!なんてことないよ!」
P「留守番任せちゃって、悪かったよ」
輝子「これくらい、朝飯前だ…」
輝子「朝ごはん、食べてないから、朝飯前……フ、フフ…字余り…」
P「…それは感心しないな」
輝子「…ぁう」
薫「せんせぇも、お昼ごはん食べよ?」
P「え?良いの?俺食べても」
友紀「当ったり前じゃん!待ちきれなくて、先に食べちゃうところだったんだから!」
輝子「ほら、おにぎりも、あるぞ…フフ」
友紀「輝子ちゃんの味噌汁!」
薫「タルタルもー!」
P「わ、よく見たらすげー豪華」
薫「みーんなで作ったんだ!」
友紀「これぞ、チームプレーって感じだよね!」
輝子「早く食べないと…冷めちゃう、ぞ…。ほら…私の収録も、あるだろう…?」
P「…確かに」
P「それじゃ、お呼ばれしようかな」
友紀「うん!」
P「少し片付けることあるから、ちょい待っててな」
輝子「フヒ…なら、ちょっとだけ…みそ汁、温めなおそうか…」
薫「早くはやくー!」
P「はいはい…」
薫「それじゃあみんな、手をあわせて…」
薫「いっただっきまーっ!」
\\いただきまーす!//
おわり。
グッド!
乙
お姉ちゃんしてるユッキイイゾ~これ
乙
薫輝子と輝子ユッキの年齢差が同じくらい
こういう年齢差の組み合わせもいいな
これはいいパッション
暖かいわ… すき...
乙
和んだ
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