御子柴「お、このヒロインは中二病か」野崎「なんだそれは?」 (29)

御子柴「ん? なんだよ野崎、中二病知らねぇのか?」

野崎「あ、ああ……新種の病気か?」

御子柴「ちげえよ……いいか、中学2年ぐらいになると丁度背伸びしたくなるだろ?」

御子柴「その時に見られる症状を総じて中二病って言うんだよ」

御子柴「んで、ゲームやアニメで大抵扱われる中二病ってのが……」

『ふっふっふっ……どうやら私の左腕をそろそろ開放する時が来たようだな』

御子柴「所謂邪気眼系ってやつだ」

御子柴「野崎の周りにも中二の時にファンタジーめいたやつがいただろ?」

野崎「いない」

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『ぐおお!! 静まれ、私の左腕!!!』

野崎「これはただの子供の時の遊びの延長線上じゃないのか?」

野崎「というかこれは……ただうざいだけじゃないのか?」

御子柴「……なんも分かってねぇなお前は。 いいか、普段はこんな喋り方だけど……」

御子柴「そこから段々主人公に心を開いて……そして主人公の前だけで……」














『うん……私も……いいかな?』














御子柴「普通に喋った時のそのギャップに萌えるんじゃねえか!!///」

野崎「」

野崎(とりあえずみこりんがやっているところを隣で見てみよう)

『くっ……まさかこんなところで再び出くわす事になるとは……』

『やはり……この腕が覚醒している者同士が惹かれ合うという逸話は本当だったみたいだな』

『さぁ剣を抜け勇者よ……ここで決着をつけようぞ!!』

『……』

『///』

野崎(あれ、既視感がある)

御子柴「つぅわけでよ!! 中二ヒロインのトゥルーエンドがすっげぇよくてよ!!」

佐倉「へ、へぇ~」

御子柴「やっぱりギャップって大事だよな!! 激しければ激しい程破壊力は計り知れないぜ!!」

佐倉「た、戦いでもするの?」

御子柴「ちげぇよ!!」

佐倉「ご、ごめん……」

別の日

女子「ねー千代、野崎には告白したのー?」

佐倉「え、ええ!?」

女子「あ、もしかしてまだなの?」

佐倉「う、うん……したのはしたんだけど……うまく伝わらなくて……」

女子「もーそんなんじゃいつまで経っても進展しないよ」

女子「そーだよ。 もっと積極的に行かないと!!」

女子「あの手この手使って野崎を振り向かせないと!!」

佐倉「う、うん……」

女子「千代っていつもと野崎といるじゃん?」

佐倉「? うん」

女子「だからさ、普段一緒にいることの有り難みを野崎に教えるべきだよ!!」

佐倉「え、ええ!? どうやって!?」

女子「例えばさ、素っ気ない態度をとったりとか、無視したりまともな会話をしなかったりとか……」

佐倉「そ、そんな!! 野崎くんを無視なんてできないよ!!!」


















佐倉(一緒にいることの有り難み、かぁ……)

佐倉(でも野崎くんが私の事をどうでもいいって思ってたら……やっても意味ないよなぁ……)

佐倉(……)

佐倉(……って、そんな事考えちゃ駄目だよ!! もっとポジティブに考えないと私!!)

佐倉(でも仮に実行するとして……何をどうすればいいのかな?)

佐倉(……)

佐倉(……)

佐倉「……!! そうだ!!!」

御子柴「はぁ~疲れた」

御子柴「さっさと家に帰ってギャルゲーでも……」

佐倉「みこりーーん!!」

御子柴「? 佐倉? そんなに慌ててどうしたんだよ?」

佐倉「……にびょう」

御子柴「?」

佐倉「中二病について教えて!!」

御子柴「は、はぁ!!?」

御子柴「じゃあなんだよ、お前は中二病風に野崎に話したら振り向くと思ってんのか?」

佐倉「う、うん。 流石に無視とかはできないから……変わった喋り方をして心配をかけさせるって方法で振り向かせてみようかなって思って」

御子柴「……つってもな、ギャルゲー家に溜まってあんだよな。 わりいけどまた今度……」

佐倉「お願い!! こんな事頼めるのはみこりんしかいないの!!」

御子柴「……っへ、よく分かってんじゃねえか。 いいぜ、教えてやるよ。 恋のレッスンをよ☆」

佐倉「ありがとうみこりん!!!」

御子柴「中二病を演じるにはまずは格好からだ」

佐倉「形から入るってこと?」

御子柴「そういうことだ、まずは眼帯をつけろ」

佐倉「が、眼帯?」

御子柴「おう。 中二病キャラあるあるでな、眼帯をつけるってのがあるんだ」

御子柴「そいつをつけることで片方の目の暴走を抑えるってことでな」

佐倉「へ、へぇ~」

御子柴「ほら、早速つけてみろ」

佐倉「う、うん……どうかな?」

御子柴「お、似合ってんじゃねえか?」

佐倉「本当!? 野崎くん振り向いてくれるかな!!?」

御子柴「喋り方で振り向かせるんだろ……」

御子柴「そんであとはマントだ、見た目はそんなもんでいいだろ」

佐倉「な、なんか恥ずかしいね……」

御子柴「まぁ演劇の格好だのハロウィンのコスプレだのって風に考えたらいいんじゃねえか?」

佐倉「!! そっか!!」

御子柴「そんで喋り方なんだけどな……まずは……」










佐倉「要するに……自分だけが特別な力を持ってたりっていう設定とか……専門用語を色々言えば言いんだね?」

御子柴「まぁそんなとこだな。 後は自分でアレンジを入れたりとかな」

御子柴「じゃあ早速俺にやってみろよ」

佐倉「え、ええ!? ここで!!?」

御子柴「ちゃんとできるかどうか俺が見てやるよ」

佐倉「で、でも……やっぱり恥ずかしいよ……」

御子柴「……まぁそう思うのも無理はねぇな」

御子柴「なんせこの永遠のラブハンター……御子柴実琴様と一対一で話すんだからな☆」

佐倉「いや、そういう理由じゃなくて……」

御子柴「///」

佐倉「う、腕が疼く……」

御子柴「おう、そんな感じだな」

御子柴「けど微妙に羞恥心があるな」

佐倉「わ、私に近づくな!! 力が暴走する!!」

御子柴「俺を誰だと思ってんだ? その力も俺に惚れて……俺の前では無力になるぜ☆」

佐倉「呪文発動!! 顔面赤化!!!」

御子柴「うるせえ!!!///」

佐倉「うん!!! だいぶ慣れた!!」

御子柴「そっか。 ならよかったぜ」

佐倉「ありがとうみこりん!! 私、行けそうな気がする!!」

佐倉「明日、野崎くんに中二病風に振舞ってみるね!!」

御子柴「おう、応援してるぜ」

別の日の学校

野崎「最近は徹夜ばかりで頭が痛い……」

佐倉「……」スタスタ

野崎「ん、あの後ろ姿は佐倉か。 挨拶しないとな」

佐倉「……」

野崎「佐倉、おはよう」

佐倉「……」クルッ

野崎「!! さ、佐倉……?」

野崎「その……その眼帯は……? 目を怪我したのか? それにそのマントは……」

佐倉「……制御」

野崎「せ、制御?」

佐倉「我が力を制御する為の眼帯だ」

野崎「!!!?」

佐倉「これを外せば……貴様にも影響が及ぶ」

野崎「!!!!!!?」

野崎「佐倉!!? 急にどうしたんだ!!?」

佐倉「佐倉……? 私はそのような名前ではない……」

佐倉「我が名は……チェリーブロッサム・サウザンド!!」バサッ

野崎「」










御子柴「……」

御子柴「マジでやってやがる」

佐倉「……ではさらばだ」スタスタ

野崎「……」ポカーン

野崎(佐倉に……一体何があったんだ?)






佐倉「……」スタスタ

鹿島「あ! 千代ちゃんおはよー!」

佐倉「……今日も会ったな、白き王子」

鹿島「……へ?」

佐倉「貴様の光は……私には効かない」

佐倉「私が唯一貴様を倒せる存在なのだ」

鹿島「……」

鹿島(あれか! 即興劇ってやつだね!! 堀先輩がいつもやってるやつ!!)

鹿島「そうだね……確かに君は……僕を唯一倒せる存在……」

鹿島「けど……忘れちゃいけないよ」

鹿島「僕が……君を倒せる唯一の存在であることも」

佐倉「!!!」

鹿島「今日……どっちかの命が消える」

佐倉「……リミッターを解除しろ」

鹿島「……はあああああああ!!」

佐倉「行くぞ!!」

堀「何やってんだお前ら」

瀬尾「おっす千代ー……ってどうしたのその眼帯」

佐倉「私の前でそれはタブーだ」

瀬尾「そ、そっか……」

佐倉「時にローレライ……貴様は戦う準備はできてるか?」

瀬尾「は?」

佐倉「ふふふ……ついに始まるぞ……」

佐倉「ラブ・ウォーズが!!!」

瀬尾「……」












瀬尾「眼帯っておかしくなる効果でもあんのかな」

若松「へ?」←眼帯つけると人格が変わる

放課後

佐倉「……」

佐倉(ど、どうかな……効果あるのかな)

佐倉(今の所、大きな変化は見れないけど……)

佐倉(……次は今日のアシスタントにかけるしかないね!!)

野崎「今日は佐倉と御子柴がアシスタントに来るが……」

野崎「まさか佐倉は……またあの格好なのだろうか」

ピンポーン

野崎「! 来た」

ガチャ











御子柴「よ、よう野崎……」

佐倉「私の力を必要としているみたいだな……」

野崎「……」

御子柴『佐倉、それいつまでそれやるんだ?』

佐倉『わ、私は佐倉などという名ではない……』

御子柴『』

御子柴(こいつ、佐倉じゃなくて佐倉の皮を被った誰かじゃねえか?)

















野崎「え、ええと……じゃあ佐倉。 ここにベタを頼む」

佐倉「ほう、神に指示を出すとは……恐怖を知らないのだな貴様は」

野崎「……す、すいません」

野崎「……御子柴」

御子柴「な、なんだよ?」

野崎「佐倉がどうしてこうなったか……分かるか?」

御子柴「……」

御子柴「わ、分かんねえ……朝会った時からああなってて……」

野崎「そ、そうか……」

野崎「……このまま佐倉が元に戻らなかったらどうしよう」

御子柴(こいつ、どっぷりハマってるからな……あり得なくはねぇ)

佐倉「神を前にして私語とは……わが左腕が再び動く時が……」

野崎「!! す、すいません」

佐倉「さて、始めるか……」スッ

佐倉「……」ベタベタベタベタ

野崎(普通に仕事してる……)

佐倉「……」ベタベタベタベタ

野崎「……」

御子柴「……」

佐倉「……」ベタベタベタベタ

佐倉「……野崎くん」

野崎「!!!?」

佐倉「この展開凄くいいと思うよ!!」

佐倉「これだったら剣さんにもボツ喰らわないね!!」

野崎「佐倉ーーーー!!!」ギュウウ

佐倉「ほわーーー!!!?///」

野崎「佐倉!! やっと戻ってくれたんだな!!」

佐倉「……あ!! ベタに夢中で忘れてた!!」

野崎「俺はやっぱりいつもの佐倉が一番だ!!!」

野崎「中二病というわけの分からない喋り方よりも自然体の佐倉がいい!!」

佐倉「……」










佐倉「みこりん!! ほかにおかしな口調知らない!!? さっきみたいに……」

御子柴「これ以上野崎振り回すなよ、めっちゃ心配してたぞ」

終わり

おつ
おもしろかったです

原作知らないけどなんか楽しかった

おつおもしろかった

おつ
結果オーライ?

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