※ふみあか妄想SS。ややキャラ崩壊注意かもです。
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とある日の昼下がり。鷺沢文香の部屋には似つかわしくない、豪快な扉の開閉音が響いた。
茜「ボンバー!! 私が来たからにはもう大丈夫ですよ文香ちゃん!!」
文香「けほっ……んんっ……茜……さん?」
茜「そうです日野茜です!! プロデューサーさんから、文香ちゃんが風邪で寝込んでいると耳にしたので、お見舞いにやって来ました!」
文香「……わざわざ来て下さったのですね、ありがとうございます、茜さん」
茜「いえいえ! それより、凄い汗ですよ文香ちゃん!? まだ熱は下がっていないのですか!?」
文香「んっ……はい、どうやらそのようです……」
茜「それはいけません! さぁ早く横になりましょう! 風邪のときは安静にするのが一番です!!」
茜「喉渇いていませんか!? 汗、拭きましょうか!? お腹空いてませんか!? お薬はどうしますか!?!?」
文香「……ありがとう、ございます。ですが、まだ頭がボーっとしているので、少し眠ります……」
文香「わざわざ来て頂いたのに、申し訳ありません、茜さん……」
茜「分かりました! 私、今日はオフなので、しばらく文香ちゃんに付き添っていたいのですが、よろしいでしょうか!?」
文香「はい……誰かが一緒に居てくれる、というだけで、少し安心します……」
茜「ありがとうございます!! では、おやすみなさい文香ちゃん!!」
日野茜の到来により、いつもは静寂に包まれている文香の自室は瞬時に賑やかなものへと相成った。ゆっくり静かに眠るには相応しくないかもしれない。
だが、文香は少しだけ安堵していた。風邪などの体調不良で寝込んでいると、どうしても心細くなるものだ。
自分を気遣って訪れてくれた茜の賑やかな振る舞いに、気分が軽くなった文香は心地良いまどろみの中へと落ちていった。
――文香が眠って間もなく
茜「……文香ちゃん、よく眠ってますねぇ」
茜「相変わらず、綺麗なお顔です!」
茜「髪サラサラで、まつげも長い……」
茜「……」
茜「……はっ!?!? いけませんいけません!! 思わず見とれてしまいました!!」
茜「これじゃ私は何をしに来たのか分かりません! 何か、何かしましょう!」
茜「……そうだ! 風邪をひいたら家事をこなすのも大変ですよね! 私が代わりにやっておいてあげましょう!!」
茜「まずは……そうですね、お風呂掃除!」
茜「風邪が治ったら、綺麗なお風呂に入って貰いましょう!!」
~浴室~
茜「おぉ! ここが文香ちゃんのお風呂!! 可愛らしいですねぇ!!」
茜「ふむふむ……文香ちゃんはこういったシャンプーを使っているんですね」
茜「たまにふわっと香ってくる文香ちゃんの髪の匂い、好きです!!」
茜「……ではなく! お掃除ですお掃除!!」
茜「では、ピッカピカにしてあげましょう!」
茜「蛇口にホースを繋いで……準備完了!!」
茜「いきますよおぉぉぉ!! ボンバーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
~文香の部屋~
文香「……んっ……んぅ……」
文香「……あれ、茜さんはどちらに……?」
うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! と、止まってーーーーーー!!!!!!
文香「……今のは、茜さんの声……」
文香「浴室の方から、でしょうか……?」
鉛のように重い身体をなんとか起こし、文香はよろよろと浴室へ向かった
~浴室~
文香「茜さん、どうかされま……した、か……」
茜「ふ、文香ちゃ~~ん!!」
文香が見た光景は、暴れ馬の如く縦横無尽に動き回るホースと、それを必至に抑え付けようとする茜。そして、水浸しになった浴室と脱衣所だった。
文香「申し訳ありません……この蛇口、少し捻るだけで勢いが凄いんです……」
茜「全力で捻ってしまいました……」
ホースを抑えるのではなく、水を止めれば良いだけの話だが、慌てふためいた茜はその考えに至らなかったという。
結局文香が水を止めたのだが、おかげで全身ずぶ濡れとなってしまった。
茜「あぁ文香ちゃん! ごめんなさいごめんなさい!! 風邪ひいてるのにびしょびしょにさせてしまって……」
文香「……大丈夫ですよ茜さん。汗かいて暑かったですから……気持ち良いくらい、です」
文香「どちらにせよ着替えるつもりでしたから……お気になさらないで下さ……くしゅんっ!!」
茜「ダメですよほら! 早く拭きましょう!」
茜は分かっていた。自分に負い目を感じて欲しくないがために、文香が少し強がっていることを。
茜「起こしちゃってごめんなさい文香ちゃん! さぁ、早くベッドへ行きましょう!」
文香「……はい、ありがとうございます、茜さん」
~文香の部屋~
再び文香が寝静まったのは、それから30分後。
茜「……」
茜「逆に文香ちゃんに負担を掛けさせてしまいました……」
茜「文香ちゃんはああ言ってくれましたけど…やっぱりまだ身体は辛そうです」
茜「……よし! 今度こそ文香ちゃんのために何かしてあげましょう!!」
茜「そうです! ご飯を作ってあげましょう!! 風邪なんか一撃で吹っ飛んでしまうようなご飯を作りましょう!!」
茜「そうと決まれば! 藍子ちゃんに相談です!!」
~1時間後~
茜「藍子ちゃんに訊いた材料、全て買ってきました! 準備はバッチリですよぉ!」
茜「あとはこの送ってくれたレシピ通りに作ればいいのですね!!」
茜「ふむふむ……これくらいなら私でも簡単に作れます!!」
茜「ふふふふ、汚名返上です! いきますよおおおぉ!! ボンバーーーーーーーー!!!!!!!!」
~さらに1時間後~
茜「あ! 文香ちゃん! お目覚めですか!?」
文香「はい……よく眠れました……ん、この匂いは……?」
茜「はい! 先ほどはご迷惑をお掛けしてしまったので、罪滅ぼしの意味を込めてご飯を作りました!!」
文香「そんな……気にしなくても良かったんですよ……?」
茜「そういうわけにはいきません!! それに、風邪のときは栄養をたくさん摂った方が良いんです!! さぁさぁさぁ、もう出来ましたから、食べて下さい文香ちゃん!!」
文香「……ふふ、ありがとうございます。茜さんの手料理、とても楽しみ……です」
少し落ち込んでいた様子だったので、茜がいつもの調子に戻って文香は安堵した。やはり、茜は元気に満ち溢れているのが一番だ、と文香は思う。
茜「それでは取り分けます! えーっと、お皿お皿」
茜「奥の大きなお皿にしましょう!」
戸棚の奥へと手を伸ばす。文香はその一瞬の様子を見逃さなかった。
茜「よいしょっ! ……え?」
文香「危ない茜さん!」
しかしその声は僅かに遅く……次の瞬間、甲高い音が室内に響き渡った。
茜が奥の皿を取ろうとした際、手前の数枚重ねられた皿に肘が当たってしまったのだ。それらは全て床へと落下し、無残な破片へと変貌してしまった。
割れた枚数は5枚か6枚、であろうか。かなり広範囲へと破片は散らばってしまっている。
茜「……!!」
茜「ごごご、ごめんなさい!! 私またっ……!!」
茜「すぐに掃除します!」
しゃがみ込み、茜は割れた破片を拾おうとした。
文香「ダメです茜さん! 素手で触っては怪我をしてしまいます!」
茜「え……」
文香「まずは箒で大きい破片を集めましょう。その後掃除機で細かい破片を吸い取ります」
文香「持ってきますから、危ないので茜さんは動かないで……痛っ!!」
茜「!? 文香ちゃん!?」
茜「あぁっ……!!」
見ると、文香の足の裏に小さな破片が刺さってしまっていた。痛々しい鮮血が床を濡らしていく。
文香「このくらい……大丈夫です。それより、動いては危険です茜さん……」
茜「大丈夫じゃないです! 待っていて下さい! すぐに救急箱と掃除用具、持ってきます!!」
後始末を終え、文香の傷口の治療が済んだのはそれから30分後だった。幸いそこまで傷口は深くなかったので、程なくして出血は止まった。
台所は、重苦しい雰囲気に支配されている。まるで先ほど割れた皿のように、いつも見せている茜の笑顔は粉々に散ってしまっていた。
文香「茜さん、どこか怪我をしたりは……していませんよね?」
茜「……はい、私は全然大丈夫です……」
文香「……」
茜「……」
文香「……」
文香「……あの」
茜「ダメですねぇ……私」
文香「……え?」
それは普段の茜とは全く異なる、搾り出すようなか細い声だった。
茜「お見舞いにきたのに……逆に文香ちゃんに迷惑ばっかりかけて……」
文香「そんな……迷惑だなんてことは……」
茜「風邪ひいてるのに、寒い思いをさせて、怪我までさせてしまって……」
茜「がさつで、なんにもまともに出来なくて……全、然……ダメで……」
茜「っ……! わたし……ただ、文香ちゃんが心配で……看病、してあげたくって……!」
茜「う……っく……ごめっ……! ごめんな……さぃ……ごめんなさい……ふみ……か……ちゃん!」
茜「ひっく……わたしなんかと……一緒に居ても……いつも……迷惑ですよ……ね……」
文香「……!!!!」
文香「違います!! そんなこと、少しも思ったことはありません!!!!」
茜「……ぇ?」
文香もまた……普段とは全く異なる、大きな声を張り上げた。透き通るような蒼い瞳は、真っ直ぐに茜を見ていた。
文香「私が、茜さんを迷惑だなんて思ったことは、ただの一度もありませんよ?」
茜「……あっ」
――そっと、文香の手が茜の小さな手を優しく包み込む。
文香「いつだって……私には無い、あなたのその元気さと明るさに助けられています」
文香「今日だってそうです。失敗はしてしまったかもしれませんが……茜さんは、心から私を気遣ってくれていました」
文香「なら……そのお気持ちだけで私は本当に嬉しいんです。茜さんの、そのお気持ちだけで」
文香「実は……昨日からずっと独りで心細かったんです」
文香「ですから今日こうして茜さんが来てくれて……その……凄く、安心しました……」
文香「茜さんが傍に居てくれるだけで……私はこんなにも心安らぐのだなと」
茜「……文香……ちゃん! 文香ちゃん!!」
抑え切れず――といった様子で、茜は文香に抱き付いた。こんなにも自分を受け入れて貰えている……そう感じた茜は、文香のことがとても愛おしくなってしまった。
茜「その……そう言って頂いて、ありがとうございます! 今日の失敗を無かったことにはしません……だけど、文香ちゃんがそんな風に思ってくれているのなら、日野茜、いつまでもクヨクヨしません!!」
文香「ふふっ……はい。茜さんは、いつも元気でいてくれるのが一番です」
文香「あ……それと……茜さん、その……そんなに抱き付かれますと……風邪がうつってしまいます……」
茜「大丈夫です! そしたら一緒に寝ましょう文香ちゃん!!!」
まだ茜の瞳は赤く、涙の跡もくっきりと残っているが、それを跳ね除けるような眩しい笑顔だった。
茜「……それと……あのぉ……こ、こんなことお願いするのもどうかと思うんですが~……」
文香「……?」
茜「えっとぉですねぇ……そのぉ……」
茜「……あ……」
茜「頭を……頭を! 撫でて貰えませんか!?!?」
文香「……! 頭を撫でる……ですか?」
茜「あのあのあのあの! 別に深い意味とかはないんですけど! こうして文香ちゃんに抱き付いていましたらですね! 何だか撫でて頂きたくなったと言いますか!!」
茜「そのそのそのその! 嫌だったら無理にとは言いません! やって頂けるのな……ら……」
文香「はい」
文香の胸元にすっぽりと納まった茜の頭を、やさしく撫でた。すると茜は瞬時に真っ赤になり……
茜「ぁ……ぁぁ……っ」
茜「……えへへ、文香ちゃん……文香ちゃん……!」
文香「……茜さんの頭、撫でるとフワフワで気持ち良いです……」
茜「ん~~~♪ もっと撫でてくださぁい文香ちゃん……♪」
文香「ふふ……こんな甘えたがりな面もあるのですね……」
茜「だ、誰かに言ったりしないで下さいね! 恥ずかしいですから……」
文香「こういう茜さんも、魅力的だと思うのですが……」
茜「だ、ダメです!! こういう姿は、文香ちゃんにしか見せません!!」
茜「って、私さっきから恥ずかしいことばかり言ってます!!」
茜「ううぅぅぅ…………ボンバーーーーー!!!!!」
~後日~
P「で、今度はお前が風邪、と」
茜「ぶえっくしょーーーーん!! はい! 風邪です!! 文香ちゃんの風邪です!!」
P「看病に行く、とすっ飛んでいったようだが」
茜「そうです!!!!!! でも何もしてあげられませんでした!!!!!!」
P「はぁ~……まぁ文香はもうすっかり治ったけどな。でも茜、何もしてあげられなかったっていうのは嘘だろ?」
茜「はい??」
P「お前が作ってくれた雑炊、すげえ旨かったってさ」
茜「……あ」
そういえば、と茜は思い出した。あの後すぐに帰ってしまい、作ったご飯のことなど完全に忘れてしまっていた。
茜「……そうですか、私、文香ちゃんに喜んで貰えること、出来てたんですね!!!」
P「それどころか、文香は最近茜さん茜さん、口を開けばそればっかりだ」
P「仕事の調子も良いし、お前は充分文香にとってプラスになっているぞ」
茜「……当然です!! 私は文香ちゃんのベストパートナーですか……ら……ぶえっくしょーーーーーん!!!!」
P「とても風邪をひいてる様には見えん。ま、お前らしいな」
P「……おっと、そのベストパートナーがやってきたぞ、茜」
茜「……え?」
文香「……失礼します。茜さん、体調はいかがですか?」
茜「文香ちゃん!! 来てくれたんですね!!!」
END
駄文妄想にお付き合い頂きありがとうございました。雑な展開ですが、とにかく泣いている茜が書きたかったんです……
こんなの茜じゃねぇ!という茜Pの方がいましたら、お目汚し大変失礼致しました。
乙
ふみあかはよいぞ
泣く茜ちゃんも珍しいが読んでみたかったから助かる
ふみあかイイ…
乙
乙
よわい茜ちゃんもいいしふみあかもいい
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