城ヶ崎莉嘉「あんなお姉ちゃん嫌だっ!」 (137)
※一応Rに立てましたがオカズには使えません
※キャラ崩壊
※どうあがいても冗長
ガチャ
本田未央「それでさー、その時しぶりんが――」
北条加蓮「あははっ、ホントにー?」
神谷奈緒「確かにあれはなぁ……」
渋谷凛「ちょ、ちょっと、未央っ! 卯月も何か言ってよ!」
島村卯月「ふふっ、でもそんな凛ちゃんも可愛いですよ」
凛「もう……。卯月までそんなこと言うなんて」
加蓮「みんな凛のことが大好きなんだよねー」
未央「うんうん。大好きだぞ、しぶりんっ!」
卯月「はいっ! 凛ちゃんラブですっ!」
奈緒「そうだな。凛のこと、愛してるぞ」
凛「へぇ……、奈緒はそこまで私のこと想ってくれるんだ」
加蓮「うっわ、奈緒、大胆だね……」
奈緒「えっ……?」
未央「これがツンデレかぁ」
卯月「な、なんだかこっちまでドキドキしちゃいますね!」
奈緒「ちょっ、いつの間にあたしが標的に!?」
凛「奈緒、さっきよく聞こえなかったから、もう一度言ってくれる?」
加蓮「なーおー! アタシのことは愛してくれないのー?」
奈緒「お、お前らなぁ……!!」
未央「やっぱ、かみやんはキュートだよねぇ」
卯月「ふふふっ! ――って、あれ……?」
莉嘉「………………」
卯月「莉嘉ちゃん、おはようございます!」
未央「おっ、莉嘉ちー、おはよー!」
莉嘉「あっ……」
莉嘉「……うん、みんな、おはよう」
凛「……どうしたの? なんか元気ない?」
莉嘉「えっ!? そ、そうかな……?」
莉嘉「べ、別に、いつも通りだよ……」
加蓮「うーん。でも、明らかに雰囲気暗いよ?」
未央「そうだよ。そんな部屋の奥で――しかもパーテーションの裏でしょんぼりしてるなんて、いつもの莉嘉ちーらしくないっていうか……」
奈緒「もしかして、美嘉とケンカでもしたか?」
莉嘉「えっ……」
莉嘉「あ、あの……その……」ワタワタ
凛「図星、って感じかな」
未央「ケンカかー。まあ、いっつも姉妹仲が良くっても、ケンカぐらいするよね」
莉嘉「け、ケンカってわけじゃないんだケド……」
加蓮「そうなの?」
卯月「じゃあどうして……」
莉嘉「……うぅ……」
凛「…………」
凛「……莉嘉」
凛「まあ、その……さ」
凛「もしかしたらそれは、城ヶ崎家の問題で、あんまり部外者の私たちが突っ込むべきとこじゃないのかもしれない」
凛「だから、話したくないって言うなら、私はこれ以上聞かないけど――」
未央「ちょ、ちょっと! しぶりん――」
凛「でも」
凛「話したいんなら、聞いてほしいなら――私たちは待ってるから、さ」
莉嘉「り、凛ちゃん……!」
未央「ぬわぁー、しぶりん、カッコいいことを……!」
未央「そうだよ莉嘉ちー! 私たち仲間じゃん!」
卯月「そうですよ! 私も、仲間の暗い顔を見るのは辛いですから……」
加蓮「むしろお姉ちゃんとか、家族に相談しづらいこととか、遠慮なく言っていいんだよ?」
奈緒「ああ。任せとけ」
莉嘉「みんな……」
莉嘉「うん……うん……! ありがとうっ!」
莉嘉「じゃあ、みんなに聞いてほしいんだけど――」
莉嘉「みんなはさ、お姉ちゃん――城ヶ崎美嘉が、ファンの人たちからなんて呼ばれてるか、知ってる?」
卯月「ファンの人たちから……?」
未央「それはやっぱり、『カリスマギャル』……じゃないの?」
加蓮「『カリスマJKギャルモデル・城ヶ崎美嘉』って、この前もテレビで取り上げられてたよね?」
莉嘉「うん、そう……。そうなんだけど……」
莉嘉「じゃ、じゃあさ! お姉ちゃんが、ネットではなんて呼ばれてるか……知ってる……?」
卯月「ネット……? 同じじゃないんですか?」
奈緒「あー……、あたし、なんとなく分かるかも……」
凛「奈緒、何か知ってるの?」
奈緒「いや……莉嘉には悪いんだけどさ……」
奈緒「そ、その、な……」
奈緒「美嘉のやつ、ネットだとな――」
奈緒「しょ、処女だって、言われてるんだよな……」
卯月「処女……? 処女って言うと――」
奈緒「ま、まあその! 男と付き合ったことがないとか、男に慣れてない、とか、そういうこと!」
奈緒「そんなことが書かれてるの、どっかで見たよ」
莉嘉「うん……そうなの」
莉嘉「『城ヶ崎美嘉は処女』だとか、『処女ヶ崎』だとか」
莉嘉「『カリスマギャルの癖に、男の一人も作ったことがない』……とか」
莉嘉「ネットだとね、お姉ちゃん、そんな風に言われてるの」
卯月「な、なるほど」
卯月「ええと、でも、それって何か問題なんですか?」
卯月「私も、男の人とお付き合いしたことって、ないんですけど……」
卯月「それに――」
未央「――確かに、私たちアイドルには『恋愛禁止』みたいな風潮とか、暗黙の了解みたいなのがある」
未央「『アイドルはファンみんなの恋人であって、誰か一人を特別扱いしてはいけない』みたいなね」
加蓮「その点で考えれば、美嘉に男性経験がないってのは、別に悪いコトじゃないけど……」
未央「ただ美嘉ねぇは『カリスマギャル』――みんなから尊敬され、引っ張っていくリーダー的存在」
未央「いつでも先に立ち、困った時は頼りになる経験豊富なお姉さん――ってキャラクターがファンのみんなには浸透してるし、そこが人気ってとこもあるからね」
未央「アイドルに大切なのは、何よりイメージ……だから」
加蓮「だからそんなカリスマギャルが、男性に関しては初心者の――小心者の生娘ってのは、そのイメージにはちょっとそぐわない、のかもねー」
未央「そりゃ、男を漁りまくってる、なんてよりはよっぽどいいけどさ」
凛「それじゃあ莉嘉は、美嘉に対するネット上の、そういう批評のせいで落ち込んでるの?」
凛「でもそういうのって――根も葉もない噂とか、都合のいい拡大解釈とか、執拗なバッシングとか……特に匿名のネットなら珍しくないよ?」
凛「私だって、所によっては変態とか中二病とか……色々こき下ろされてるけどさ」
凛「人気になったり露出が増えると、そういうのってどうしても出てくるものだし……」
凛「家族をそういう風に言われるのが辛いっていうのは、もちろん分かるけど――」
莉嘉「あ、ううん! それはちょっと違うの……」
莉嘉「ネットだと悪く言われもするのは、ずっとお姉ちゃんを見てて知ってたし」
莉嘉「――それに、ネットのそういう書き込みに根拠があるかは分かんないけど……」
莉嘉「でも、アタシが知る限りで考えると――お姉ちゃんに彼氏とかいたことないってのは、本当だと思う……」
奈緒「そ、そうなのか……」
加蓮(まあ確かに、美嘉と付き合いあれば、なんとなく分かるよね、その辺)
莉嘉「みんなの抱いてるようなイメージとか、ネットの『カリスマギャルの癖に彼氏もいたことないのか』って、そう思う人の気持ちも分からなくはないよ」
莉嘉「アタシも最初はちょっとびっくりしたし……」
莉嘉「でもね――アタシはそれでも、別にいいって思ってる」
莉嘉「彼氏がいなかったくらいで、お姉ちゃんのカッコ良さとか、セクシーさとか――カリスマがなくなるわけじゃないって」
莉嘉「そんなことで、城ヶ崎美嘉の魅力がなかったことになるわけじゃないって、そう思ってるの」
卯月「り、莉嘉ちゃん……!」ウルウル
未央「ええ話や……」ウルウル
凛「ふふっ……。やっぱり仲良し姉妹だね」
莉嘉「うん、アタシはそう思ってるの」
莉嘉「思ってるんだけど……」
莉嘉「当のお姉ちゃんは、そうじゃなかったみたいで……」
城ヶ崎美嘉『「城ヶ崎美嘉は、男性経験ゼロの生娘」……?』
美嘉『「城ヶ崎未貫通」……? 「カリスマオボコ」……?』ワナワナ
美嘉『「下ネタ振るとフリーズする」……? 「性知識ゼロ」……? 「赤ちゃんはコウノトリが運んでくると思ってる」……?』ワナワナ
美嘉『へ、へぇ……』ゴゴゴゴゴゴゴゴ
美嘉『じょ、上等じゃない……!!』ゴゴゴゴゴゴ
美嘉『だったら見せてあげるわよ……! カリスマギャルの意地ってやつを……!!』ゴゴゴゴゴゴゴゴ
美嘉『せ、性知識がなんぼのもんじゃいっ!!』
美嘉『カリスマッ!』カッ!
莉嘉「って、そう言って飛び出して行って……」
「「「えっ……」」」
未央(ね、ねぇ……、もしかしてこれって結構ヤバイ話……?)ヒソヒソ
凛(美嘉のことだから、滅多なことはしないと思うけど……)ヒソヒソ
加蓮(いや、でも……。意地はって勢いで――行きずりの男と、とか)ヒソヒソ
凛(その、いわゆる、援助交際……とか……?)ヒソヒソ
奈緒(い、いや、さすがにそれはっ! 大体、男慣れしてないんなら、いきなりそんなことできないんじゃ……)ヒソヒソ
加蓮(あんまりテキトー言うもんじゃないけどさ)ヒソヒソ
加蓮(でも、美嘉自身にはなくても――例えば、そういう経験がある友達なら美嘉にもいるかもしれないし……)ヒソヒソ
未央(うわぁ、なんか生々しい話に……。あんまり考えたくないなぁ……)ヒソヒソ
凛(そうも言ってられないでしょ。もしそれが本当なら、明らかなスキャンダルだよ。美嘉のアイドル生命だって危ういかもしない)ヒソヒソ
卯月(みんな、何話してるんだろう?)
卯月「ええと、それで莉嘉ちゃん」
卯月「そう言って飛び出して――それで美嘉ちゃんは、どうなっちゃったんですか?」
「「「!!!」」」
莉嘉「うん……。それでね……」
莉嘉「それで、帰って来てから、お姉ちゃんは……」
莉嘉「お姉ちゃんは――」
ガチャ
莉嘉「下ネタばっかり言うようになっちゃったの!!」
美嘉「いやー、今日は暑いなー! もうぬれぬれだよ、パンツまで!」
「「「ええぇ……」」」
莉嘉「『こんなに馬鹿にされるのは性知識が足りないせい』ってお姉ちゃん、思いこんだみたいで……」
莉嘉「『もう処女なんて言わせない』って、意気込んで出て行って――」
莉嘉「それで帰って来たら両手に、エッチな漫画とか雑誌が入った袋を持ってて」
莉嘉「で、昨日になってからは、ずっとあんな感じの……」
美嘉「まったくもう! こんなに濡れちゃってたら、ローターでも入れてんのかって思われちゃうよねー! あははー!」
莉嘉「ことあるごとに下ネタを言うようになっちゃったの……!」
莉嘉「あんな男子中学生みたいなお姉ちゃん嫌だよー!!」ビエー
「「「うわぁ……」」」
未央「えーとっ、あの……」
未央「ま、まあ、その! 男を食い漁るようになったとかいうよりは全然マシだって! うんうん!」
未央「ここは前向きにいこうよ!」
凛「前を向くより――まずはあの美嘉と向き合うべきだと思うんだけど」
未央「うっ……」
奈緒「あれだってアイドルとしては普通にアウトだしな」
加蓮「むしろ、今の美嘉からはカリスマ性なんて微塵も感じないよ」
莉嘉「う……うぅ……お姉ちゃん……」グスッ
卯月「ああ、莉嘉ちゃん! よーしよーし!」ナデナデ
卯月「あの……。大体、美嘉ちゃんはどういうつもりであんなことに……?」
加蓮「まあ、さっき言った、"イメージ"ってやつでしょ」
加蓮「うちの事務所のギャル諸君を見てると忘れそうになるけど――世間一般でギャルと言えば、ノリが軽くって、頭緩くって――貞操観念が低そうって印象があるからね」
加蓮「ああやって下ネタを口にすることで、自分もそうだって――いわゆるビッチだって思われたいんじゃない?」
奈緒「ギャルとビッチは、また違うものなんじゃないか……?」
加蓮「でもほら、経験済みのほうが"進んでる"って、特に若い子の間だと言われてるしさ」
未央「最近は小学生でも、ケッコー行くとこまで行ってるって話も聞くしねぇ」
奈緒「にしたって、なんか方向性がずれてる気がするが……」
奈緒「あれじゃ、確かに莉嘉の言う通り、尻軽女じゃなくて男子中学生だろ」
凛「どっちにしろ、美嘉があのままじゃ、処女ってことよりもよっぽどイメージにダメージ入ることは間違いないよ」
凛「なんとかして元に戻さなくちゃ……!」
奈緒「な、なんとかって?」
卯月「やっぱり、直接言うべき、ですかね?」
莉嘉「それは……多分、意味ないと思う」
莉嘉「それはもう、アタシがやったから……」
加蓮「そうなの?」
莉嘉「うん……。でも、お姉ちゃん、何言っても全然聞いてくれなくて……」
卯月「じゃ、じゃあどうすれば……」
未央「――みんな」
未央「まずは、私に任せてくれないかな?」
奈緒「未央……?」
未央「確かに、今の美嘉ねぇ、ずいぶんと変わっちゃってさ――正直、迷走してると思うよ」
未央「でもそれってつまり、それだけ美嘉ねぇ自身が悩んでるってことだと思う……」
未央「私も美嘉ねぇにはお世話になったり、頼りにしたりして、とっても感謝してる」
未央「だから今度は、そんな悩んでる美嘉ねぇに頼りにしてもらいたい。仲間として相談してもらいたいって、そう思うんだ」
卯月「未央ちゃん……!」
凛「うん。いいんじゃないかな」
凛「未央のコミュニケーション力はピカイチだからね。きっと未央になら、今の美嘉も心を開いてくれるって思うよ」
加蓮「そうだね。未央、成功したらポテト奢ってあげる♪」
奈緒「よ、よしっ! 頑張ってこい!」
未央「うん! 行ってくる……!」
未央「おっはよー! 美嘉ねぇ!」
美嘉「おっ、未央。おはよー!」
美嘉「今日はなんか暑いよねー。アタシ汗かいちゃってさー、大変だよー!」
未央「確かに、せっかくキメてきたメイクが落ちちゃったりするよね」
美嘉「いや、パンツがぬれぬれでさー!」
美嘉「もう歩くたびにピチャピチャいってねー」
美嘉「オナってんのかって思われちゃうよねー! あははー!」
未央「あ、あははー……」
奈緒「美嘉、いきなりぶっこんできたけど……。未央のやつ、大丈夫か?」
凛「未央だってあれくらいは想定内のはずだよ」
凛「今はただ、未央の勇姿を見守ろう……!」
美嘉「特に電車とかさー、逃げ場がないから大変だよね」
未央「う、うんうん、分かるよ! 私も電車だからさ」
美嘉「そっか、そうだよね。未央も事務所、毎日電車で来てるんだよね」
未央「うん、最近はもう慣れたけどね。最初のうちはそれはもう――」
美嘉「特に未央は大変だろうね」
美嘉「毎日、視姦されてさー!」
未央「!?」
未央「し、視姦って……!? な、なに言ってんのさ美嘉ねぇ!」
美嘉「えー? だって、電車に未央みたいなドスケベボディの女子高生が乗ってたら、そりゃあ男は見ちゃうでしょー」
未央「ど、ドスケベ……って……///」
美嘉「どうせ座ってる時とか、その脚組んで、エロい太ももを強調したりとかしちゃってるんでしょ~?」
未央「エロっ!?」
未央「い、いやぁ、未央ちゃん、こう見えて普段はおしとやかだから! 座ってる時もちゃんと膝をそろえて、脚閉じてるからっ!」
美嘉「そうなんだ。なるほどね~!」
美嘉「つまりそのスカートから伸びる柔らかそうな太ももを、ぴっちり閉じてるわけか~」
美嘉「男からしたら、挿入れたくてたまらないだろうね~?」
未央「いいいいれっ!?///」
未央「も、もう! からかわないでよっ!」
未央「さ、さすがの未央ちゃんでも、普段からそんなオーラとか出てないし! 男の人だっていちいち気にしてないだろうし――」
美嘉「あれ~? いつもは自信満々の癖に、こういう時は弱気なの~?」
未央「うっ、だって……その……」
美嘉「特に学校の男子たちなんてヤバイだろうね」
美嘉「きっとお世話になりっぱなしでしょ~」ニヤニヤ
未央「な、ないないっ! それこそないって!!///」アセアセ
未央「だだだってこの前さ! 友達の男子たちに聞いたんだよ! 『ニュージェネで好きなアイドルは?』って!」
未央「そしたらみんな酷いんだよー? この未央ちゃんが目の前にいるのにさ、みんな、しぶりんとかしまむーとかばっか好きって言っちゃってさー!」
未央「そりゃ、私も二人はすっごく可愛いと思うし、人気なのも当然だけどさ!」
未央「でも、気を利かせて目の前の未央ちゃんのことも少しは――」
美嘉「あはは、そりゃそうでしょ!」
美嘉「アンタが目の前にいるのに『未央が好き』だなんて、正直に言えないってば。男子にとってはほぼ告白だもん、それ」
未央「――――!!」
未央「そそそそ、そんなことないって!」
未央「みんな、私のことはあくまで友達であって、異性として見てるわけないじゃん!」
美嘉「アイドルやるほどの美少女を、男子が異性として見てないわけないでしょ」
美嘉「特に未央は誰でも隔てなくフレンドリーだし、身体も出るとこ出てるんだし……」
美嘉「単純に考えても――若い男は大きなおっぱいやお尻が好きってことくらい、アンタだって知ってるでしょ?」
未央「そそそ、それは……そうだけど……///」
未央「で、でも……私……ほら……」アセアセ
未央「あっ、ほ、ほらっ! 短髪だし! 外ハネだしっ! 性格だってこんなんだしっ!」
未央「やっぱり男子なら、しぶりんみたいな綺麗で長い髪の子とか、しまむーみたいな可愛くて守ってあげたくなる子とか好きだって!」
未央「私なんて――」
美嘉「今のそうやって赤くなってテンパってる未央――アタシには『可愛くて守ってあげたくなる子』に見えるけど?」
未央「ひぇ!? しょ、そんなことは――」
美嘉「それにね、未央」
美嘉「アンタのクラスメイトから言わせれば、たとえ、凛や卯月がどんなに可愛くても、どんなに好いていても――」
美嘉「でも彼女たちはあくまでアイドル。いいところファンとして、遠くから見ているくらいしかできない存在だよ」
美嘉「それに比べてアンタはアイドルだけど……でも同時に、学校に行けば生で会えるクラスメイト」
美嘉「気軽にお近付きになれて、しかも向こうから話しかけもしてくれる」
美嘉「――もしかしたら頑張れば、ファン以上の存在になれるかもしれない」
未央「ふぁ、ファン以上の、そ、存在って……///」
美嘉「そりゃあもう……未央を『アイドル』としてでも『友達』としてでもじゃない――」
美嘉「『女』として扱える存在に……」
未央「お、おおおおおんな……//////」
――――――
――――
――
未央「だ、だめでした……///」トボトボ
凛「未央がやられたか……」
加蓮「未央のコミュ力はアタシたちの中でも――最強」
奈緒「未央がやられても、第二、第三の未央が――ってわけにはいかないよな……」
未央「し、しまむー……! 私って……、そんなにいやらしい女かなぁ……///」プシュー
卯月「ああ、未央ちゃん! よーしよーし」ナデナデ
莉嘉「ま、まさか、あの未央ちゃんがこんなにされちゃうなんて……」
凛「腐ってもカリスマ……、美嘉も伊達や酔狂でその称号を名乗ってるわけじゃないみたいだね」
凛「莉嘉はさっき、美嘉が処女だからってカリスマ性がなくなるわけじゃないって言ってたけど――どうやらそれは、キャラが思春期男子になっても変わらないみたい」
奈緒「じゃ、じゃあ、どうすんだ……? そんなカリスマに対抗しつつ、美嘉を元に戻すなんて……」
加蓮「――じゃあ、次はアタシが行こうかな」
凛「加蓮……」
莉嘉「加蓮ちゃんが……?」
加蓮「うん。未央とはよくポテト奢ったり奢ってもらったりしてる仲だからね」
加蓮「それがやられたとあっちゃ、黙ってられないよ」
奈緒「で、でも、勝算はあるのかよ……!? あの未央がやられた相手だぞ?」
加蓮「『勝算がある』っていうか――」
加蓮「『敗因がない』って感じなんだけど」
奈緒「……? それってどういう――」
加蓮「とにかく任せてよ」
加蓮「未央の犠牲は無駄にしないから、さ」スタスタ
莉嘉「……ねぇ、加蓮ちゃんの言ってたこと、どういう意味なの?」
奈緒「『敗因がない』ってあれか? ううん……あたしもよく分からないけど……」
凛「――いや、結構そのままの意味だと思うよ」
奈緒「り、凛……?」
莉嘉「凛ちゃんには分かってるの?」
凛「うん。なんとなくだけどね」
凛「『敗因がない』――そして『未央の犠牲は無駄にしない』」
凛「あのセリフが、加蓮の考えを端的に表してる」
凛「まあ見てれば分かるよ」
加蓮「おはよう、美嘉」
美嘉「おっ、加蓮! おはよー!」
加蓮「ねぇねぇ、美嘉。アタシ、最近ネイルの腕上がってさー!」
加蓮「良かったら、美嘉で披露させてくれない?」
美嘉「えー、そうなんだ! それはマジ期待したいけど――」
美嘉「でもごめんね。アタシ今、そういうの全部外しちゃっててさ」
加蓮「そうなの? カリスマギャルがなんで?」
美嘉「いやー、いくらアタシでもさ――」
美嘉「ネイルしたままオナるのは怖くってさー! あははー!!」
美嘉「アタシってナカでイク派だからさ。やっぱツッコめないとねー!」
美嘉「ちなみに加蓮は、イク時はクリ派? ナカ派?」
奈緒「さっきと同じく、早速の下ネタだけど……」
莉嘉「加蓮ちゃん……」
凛「大丈夫だよ。加蓮なら」
凛「加蓮ならやってくれる……!」
加蓮「そうだねー、アタシは両方かなー」
加蓮「基本はクリでイクのが好きなんだけど――でも、それでイッたあとで、やっぱりナカが寂しくなっちゃってさー!」
奈緒「な、ななな……///」カァアア
莉嘉「加蓮ちゃん、お姉ちゃんの話に乗っかった……!?」
凛「――そう」
凛「あれこそが加蓮の狙い。カリスマ攻略のタクティクス」
凛「未央の犠牲、敗北を参考にした秘策」
凛「名づけるなら、そう――『更生のための攻勢』!!」
奈緒「こ、攻勢……?」
莉嘉「どういうこと?」
凛「みんなはあの誰とでも友達になれる、コミュ力のある未央が惨敗したことに――美嘉に手も足も出なかったことに驚いていたけど……」
凛「でも、それはある意味当然だったんだよ。未央の敗因――それはコミュ力が高かったことなんだ」
奈緒「高かったから……?」
凛「そう。未央の誰とでも友達になれるスキル――そのキーポイントは、『まず自分から心を開くこと』」
凛「だから彼女とコミュニケーションをとる時、人はそこに壁を感じない。それが未央のフレンドリーさの秘密」
凛「そうやって心を開き、相手に自分が無害で友好的だと言外に伝えることが、未央のコミュ力の要因の一つなんだよ」
凛「――ただ、それは一方で、無防備であるということでもある」
凛「無害であるということは、つまり無力であるということで――そして、それは今回の美嘉のような相手には攻めるべき、格好の弱点となる」
奈緒「……なるほどな」
奈緒「さっきの未央がやったことは、武装した敵軍相手に、不用意に城門を開けたようなもんか」
奈緒「まだ美嘉の様子が分かってなかったとはいえ――未央は交流を望んでいたのに、相手は侵略する気満々だったってことだもんな」
凛「そうだね。そして、それを踏まえての、加蓮のあの態度なんだよ」
凛「相手に交渉の余地がない――明らかな敵対的存在であると始めから分かっているわけだからね」
莉嘉「つ、つまり……、未央ちゃんと違って加蓮ちゃんは、最初から攻める気で行くってこと……?」
凛「うん。美嘉の猥談に乗っかった――加蓮も確かに城門は開けたけど、それは交流でも降伏のためでもない」
凛「敵陣の迎撃……! 他ならぬ開戦のための開門っ!!」
美嘉「へ、へぇ……! そうなんだー! もー、加蓮ってばエロいんだから!」
加蓮「あはは! いやほら、アタシ、昔は入院してたでしょ?」
加蓮「入院ってさ、してるほうとしちゃ結構――いや、かなり暇なものでね」
加蓮「できることも限られてるし、ごはんも美味しくなくて――だからストレスが溜まって溜まって……」
加蓮「やることなくって――ヤルくらいしかやることなくってさー!」
加蓮「ほとんど毎日、クチュクチュクチュクチュしてたんだよねー!」
美嘉「へ、へぇ……///」カァアア
奈緒「加蓮の言う通り、敗因がないってのは分かったけどさ……」
奈緒「でもこの場合、それこそ加蓮の言う通り――勝算だってないんじゃないか?」
奈緒「今、加蓮がやってることは単に美嘉と猥談で盛り上がってるだけだぞ? あれじゃ、未央みたいに負けることはなくても、勝つことだって――あたしたちの目的である美嘉を元
に戻すことだってできないんじゃないのか……?」
凛「――いや、そんなことはないよ」
凛「確かに、今の加蓮は美嘉から振られた話に合わせているだけだけど……」
凛「でも、美嘉のほうが同じく、加蓮の猥談に合わせられるわけじゃない」
凛「ねぇ、莉嘉」
凛「美嘉が下ネタ知識を仕入れたのっていつからくらい?」
莉嘉「そ、それはごく最近――ここ二、三日だけど……」
奈緒「どういうことだ?」
凛「簡単だよ。莉嘉の話から考えれば――」
凛「つまり――美嘉の下ネタレパートリーは、ここ数日間で、即席で身に着けたものってこと」
凛「その証拠に、さっきからの美嘉の振る話は、みんな『分かりやすい下ネタ』ばっかりなんだよ」
凛「表現だってみんなストレートだし、『とりあえず、下品なことを言っておけばいい』みたいな話ばっかりでしょ」
奈緒「た、確かに……」
凛「そしてなにより、美嘉はまだあの状態になってから日が浅い」
凛「つまり、完全に下ネタに抵抗がなくなってるわけじゃないはず。まだ以前の、それこそ下ネタを振られると赤くなるようなメンタルが残ってるってことだよ」
凛「一夜漬けの下ネタと、付け焼き刃のセクハラメンタル――未央がやられはしたけど、しかし今の美嘉の武装は案外脆い」
凛「持久戦に耐えられるようにはできてないんだよ」
凛「だったら、このまま加蓮と下ネタトークを続けていれば、いずれもたなくなるはず」
凛「そうやって、美嘉が改めて自分のやっていることの恥ずかしさに耐えられなくなれば、そこが解決の糸口となる!!」
莉嘉「は、話は分かったけど……」
莉嘉「でも、じゃあ加蓮ちゃんのほうには、そんなに下ネタのレパートリーがあるの?」
莉嘉「お姉ちゃんが恥ずかしくなる前にそれが尽きたら、意味ないんでしょ……?」
奈緒「……確かに加蓮は、下ネタ大好きキャラってわけじゃないが……」
奈緒「ただあいつ――特にあたしをからかう時は嘘でもなんでも、とにかく色々な手を使ってくるからな……」
凛「そんなにどきついのはなかったけど――でもその中にある程度はあったよね、下ネタ」
奈緒「ま、まったく加蓮は……! あたしが赤くなるとこが見たいとか言いやがって……!」
凛「まあ、そんな感じで加蓮は、相手を崩すのが得意だからね。今の――今にも崩れそうな美嘉相手なら、きっと楽勝だよ」
美嘉「あ、あはは……! そ、そっかー! そうなんだー!///」カァアアア
美嘉「か、加蓮がそんなにオナニストだったなんて、び、びっくりだよ////」
加蓮「まあねー?」
加蓮「だからさー、もし、いざ、男とヤるってなったら……、もう普通なプレイじゃ満足できないかもね」
美嘉「や、ヤるって……///」
加蓮「そうだなー。後ろから押さえつけられて犯されるのとか、いいかもねー!」
加蓮「こう、ガンガン突いてほしいカンジ? 獣の交尾みたいにさっ!」
美嘉「ああああ、あの……で、でも……///」
奈緒「おお……、言ってる内容はともかく……///」
奈緒「いい感じなんじゃないか? 美嘉が押されてるぞ……!」
莉嘉「このままいけば、お姉ちゃん、元に戻るよね……!」
凛「そうだね。これなら――」
美嘉「で、でもさ!」
美嘉「加蓮と、え、エッチするってなったら――相手の男の人は、やっぱり優しくしちゃうんじゃないかな……?」
加蓮「えー? そうかな? 別に――」
美嘉「だって、加蓮だってさ……、初めては好きな人にあげたい、でしょ……?」
美嘉「加蓮が好きになる人ってさ――多分、加蓮のこととっても心配したり、思いやったりしてくれる人だってアタシ思うけど……」
加蓮「えー? そうー? 逆に過保護なのってウザいって思うけどなー」
加蓮「大体、アタシが好きになる人って……」
加蓮「アタシのこと、心配したり、思いやったりって……」
加蓮「アタシの――――私が好きになる人……」
『加蓮――その……大丈夫か?』
『もう、さっきからそればっかり……。なに? もしかして私とするの、嫌……?』
『そ、そんなわけないだろっ!』
『ただ、俺だけが、その……』
『勝手に気持ちよくなってばかりで、お前に辛いだけの思いをさせるのは………』
『確かに、嫌だ……』
『もう……』
お?ここでカリスマパワーが
『大丈夫だよ。病弱だったのは昔の話だし、最近は体力だってついてきたの、知ってるでしょ?』
『そ、それはそうだが……』
『――それに、ね』
『大好きな人と、こうやって繋がるのが辛いだなんてこと、絶対ないから』
『ホントはね? とっても嬉しいよ』
『そうやっていつも心配してくれることも』
『そうやっていつも思いやってくれることも』
『そうやって――いつも見ていてくれることも』
『だからこそ、今日のこれは貴方へのお礼』
『大丈夫』
『私は、貴方の育てたアイドルで』
「なにより――」
『貴方の恋人、だから……///』
『か、加蓮っ!!』ガバッ
――――――
――――
――
加蓮「ふふふっ……もう、だめだよPさん……そんなにがっついて……」クネクネ
加蓮「優しくする……あん……んじゃなかったの? ふふ……」クネクネ
加蓮「でも、いいよ……私でいっぱい、気持ちよく――」クネクネ
奈緒「……おい」
奈緒「北条加蓮が純情可憐になって帰ってきたぞ」
奈緒「華々しく出陣した兵たちが、全員寝返ったみたいなもんじゃないか、これ」
莉嘉「加蓮ちゃん……」
凛「……勝負とは時の運」
凛「圧倒的不利な戦況を打ち破った逸話が数あるということは、反対に圧倒的有利でありながら大敗した事実が同じだけあるってことだから……」
凛「カリスマギャルとして人気と信頼を得つつも、純情な乙女の部分を持つ美嘉」
凛「今回、加蓮は、奈緒をいじるのと同じで要領で、そんな乙女の部分を攻めたんだろうけど……」
凛「でも、奈緒とは違って――反撃が来るってことを予想してなかった」
凛「そして自覚もしてなかったんだろうね」
凛「加蓮自身もまた、どうしようもなく純情乙女であるってことを」
凛「加蓮に敗因はなかったのかもしれない――ただ弱点はあったってわけだね」
奈緒「クソ……! もうあたしたちに美嘉を止める手はないのか……!?」
莉嘉「うぅ……お姉ちゃん……」
凛「まだだよ」
凛「まだ――諦める時じゃない」
奈緒「凛……まさか……」
凛「今度は私が行く」
莉嘉「り、凛ちゃんが……?」
奈緒「お、おいおい! 見てなかったのか!? 未央だけじゃなくて、加蓮までやられたんだぞ!?」
凛「だからこそ、だよ」
凛「ニュージェネとトライアド、それぞれから犠牲が出てるんだもの」
凛「こうなった以上、その二つのユニットに身を置く私が出るのは、理由としては十分だよ」
凛「それに消去法で考えても、あと戦えるのは私だけだしね」
凛「莉嘉は勿論、卯月だってこんなことには向いてないし……、奈緒は言わずもがな」
奈緒「そ、そりゃ、そうだけどさ……」
凛「なにより――これは私が負うべき責任でもあるんだよ」
莉嘉「責任……?」
凛「正直ね、私、美嘉のことを甘く見ていた」
凛「問題を楽観視し過ぎていた」
凛「だから、未央がやられたときは確かに驚いたけど――でも、次の、加蓮で解決できるって思ってた」
凛「でもそれは違った」
凛「それは違うって、噴飯ものの勘違いだって――ありありと、まるでそんな私の浅はかさを嘲笑うかのように、見せつけられた」
凛「その結果がこの惨状だよ」
未央「うぅ……。私、やらしくないもん……///」
卯月「よーしよーし! 未央ちゃんよーしよーし!」ナデナデ
加蓮「あんっ……! ふふ……もう、まだするの……? いいよ。私だってまだまだ――」クネクネ
凛「だから、今度は私が行く」
凛「私が終わらせる」
莉嘉「凛ちゃん……」
凛「――莉嘉」
凛「きっと。きっとまた、お姉ちゃんと一緒に楽しく笑い合える日が来る」
凛「だからそんな顔しないで」
凛「今はただ――信じて、待ってて」
凛「見守っていて」
莉嘉「うん……!」
奈緒「……はぁ、まったく……」
奈緒「凛がそこまで言うなら、もうあたしは止めないよ」
凛「奈緒……」
奈緒「お前はただ、前だけ見ていればいい」
凛「ごめんね」
凛「加蓮も私も、いつも奈緒をいじってばかりだけれどさ……」
凛「でも、それってユニットの年長者として、奈緒に甘えてたんだよね」
凛「なんだかんだ言っても、私たち、奈緒に頼りっきりだったから……」
奈緒「ばーか……」
奈緒「んなこと、今更言うなよな……」
凛「ホント、迷惑ばっかかける年下で、ごめん」
奈緒「まったく……」
奈緒「迷惑だなんて……思ってるわけないだろ」
奈緒「最年長として――かわいい年下から甘えられて、嬉しくないわけ、ないだろ……」
凛「……うん」
凛「ありがとう、奈緒お姉ちゃん」
凛「行ってきます……!」
凛「おはよ、美嘉」
美嘉「おっ、おはよー凛!」
美嘉「今日、なんだか暑いよねー!」
凛「うん。そうだね」スッ
スト
凛「………………」ペラッペラッ
卯月「あっ、今度は凛ちゃんが行ったんですね」
奈緒「おお、卯月。未央はもういいのか?」
卯月「はい。頭を撫でてたら、いつの間にか寝ちゃったみたいで」
卯月「それで――凛ちゃんのほうはどんな感じですか?」
奈緒「それが、まだなんとも言えないんだよな……」
凛「………………」ペラッ
凛「………………」ペラッ
奈緒「凛のやつ、さっきからソファに座ったっきり、雑誌を読んでるだけで、動きがないんだよ」
莉嘉「あれも凛ちゃんの作戦の内……なの?」
奈緒「一体、何を考えてるのやら……」
卯月「だ、大丈夫ですよ! 確かに私にも分からないけど……」
卯月「でも、凛ちゃんだって何も考えていないわけじゃないと思います!」
美嘉「はぁ~、しっかしここ最近で急に暑くなったよね」
美嘉「もういっそ、ブラ取っちゃおうかな~」
美嘉「ねぇねぇ、凛? この格好でノーブラってどうかなー?」
凛「……うん」ペラッ
美嘉「上着の陰になるし、案外ばれなさそうだよねー」
美嘉「ああでも、擦れて感じちゃって、乳首勃起しちゃったらヤバいかなー?」
凛「……そうだね」ペラッ
美嘉「あ、あの……、えっと……」
莉嘉「なんか凛ちゃん、お姉ちゃんに対して、リアクション薄い?」
卯月「そうですね。怒ってるわけじゃなさそうですけど……」
奈緒「……ふむ。なるほどな」
奈緒「なんとなく、凛のやりたいことが分かってきたよ」
莉嘉「どういうこと? 奈緒ちゃん。凛ちゃんは何をしようとしてるの……?」
奈緒「しようとしてるって言うより、もう凛の作戦は始まってるって言ったほうが正しいな」
卯月「さ、作戦……? あの、雑誌を読んでいるのがですか?」
奈緒「あれはただのポーズさ。それほど重要じゃない」
奈緒「美嘉に対して、無反応であれればいいんだ」
莉嘉「む、無反応……?」
美嘉「そ、そういえばこの前、乳首にローターくっつけてヤッてる動画を見たんだけどさー」
美嘉「あれって実際どうなのかなー? 女優はすっごい喘いでたけど……」
美嘉「凛はどう思う?」
凛「……さあ。やったことないし」ペラッ
美嘉「そ、そっか……。だ、だよねー!」
美嘉「あっ! でも、無線のやつを入れたまんま外出するのは、結構興味あるんだよねー!」
美嘉「ノーパンでやったら、すっごい興奮できそうじゃない……!?」
凛「……うん。そうかもね」ペラッ
莉嘉「確かに凛ちゃん、さっきからお姉ちゃんへの返しがそっけないけど……」
卯月「あれが、凛ちゃんの作戦なんですか?」
奈緒「……あー、そうだな」
奈緒「二人もさ、経験ないか?」
奈緒「例えば、笑いをとろうと思ってやったことが――思いっきりスベッたとかさ……」
卯月「えっと……、美羽ちゃんみたいな……?」
奈緒「ああいう場合、自分では面白いと思えば思ってるほど、その分、スベッた時のダメージは跳ね上がって――自分に跳ね返ってくるものなんだ」
莉嘉「まさか、凛ちゃんがやってることって……」
奈緒「ああ、そうさ」
奈緒「凛の作戦――それは、美嘉の話に徹底的に無関心を装うこと」
奈緒「未央みたいな和解でも、加蓮のような迎撃でもない。完全で鉄壁の守りの姿勢」
奈緒「戦術において重要な、攻めと守りの配分――それを凛はすべて守りに置いたんだ」
奈緒「まあ、完全に無視したんじゃ会話が終わっちゃうからな。最低限の反応は返す必要はあるが……」
奈緒「あれなら、美嘉が何を言ってきても、それにいちいち対応しなくていいから――そこで生まれる隙や弱点を突かれることがない」
奈緒「そして肝心なのはここからだ」
奈緒「凛はそうやって平静に冷静にしていればいいが、話を振る美嘉は違う」
奈緒「一度ならず二度、三度――自分の下ネタへのそっけない対応をされ続ければ、そのダメージは蓄積していく」
奈緒「強力なものを、どぎついものを、言えば言うほど、それは自分に羞恥となって帰ってくるわけだ」
奈緒「『攻撃は最大の防御』なんて言うが、これはいわば『防御による最適の攻撃』!!」
奈緒「さっき聞いた通り、美嘉は長期戦に耐えられる程の下ネタ耐性はない」
奈緒「対する凛は完全に長期戦向きの布陣だ」
奈緒「あとはただ、美嘉が自滅するのを待ってればいいだけだ!」
莉嘉「さ、さすが凛ちゃん……!」
奈緒「ああ。相手の損耗を前提とした籠城作戦なんて、恐ろしいことを考えるもんだ……」
奈緒「やっぱりそういうところ、あいつは"持ってる"よな」
美嘉「あ、あの! じゃあ凛は一人でする時、どんなオカズでしてるのかなっ!?」
美嘉「やっぱり男の人を妄想したりとかっ!? あ、あと、相手の匂いとか嗅ぎながらするの、結構盛り上がるらしいよっ!」
凛「……そう」パラッ
美嘉「する時になくてもさ! 嗅いだこととか思い出しながらすると、すっごいクるんだってさ!」
凛「……ふーん」パラッ
美嘉「ま、まあ変態っぽいけどさ! でも確かに、そういうほうが逆に興奮するっていうか――」
凛「…………」パラッ
美嘉「上級者になると、舐めてみたりとかもするんだって!」
凛「………………」パラッ
美嘉「す、すごい人だと、ものを直接こすりつけたりとか――」
凛「……………………」
莉嘉「お、お姉ちゃん、だいぶ残念なカンジだけど……」
莉嘉「でも、それだけ凛ちゃんが押してるってことだよね!」
莉嘉「これは、やったんじゃない?」
奈緒「だな。美嘉のほうも、もういっぱいいっぱいみたいだし」
奈緒「あとはもう、時間の問題で――」
卯月「あ、あの……」
奈緒「ん? どした、卯月」
卯月「い、いえ……。ちょっと気になって」
莉嘉「何か気づいたの?」
卯月「あの、些細なことなんで、もしかしたら関係ないのかもしれないんですけど……」
奈緒「なんだよ? 気になるって。言ってくれよ」
卯月「いえ、あの、凛ちゃんなんですけど……」
卯月「さっきからページをめくる手が止まってるなって――」
ガタッ
美嘉「あ、あれ……? 凛……?」
美嘉「突然、立ち上がって、どうし――」
凛「美嘉」
凛「今、なんて言った?」
美嘉「へ……?」
凛「『匂いとか嗅ぎながらする』ってやつ。そのあと、なんて言った?」
美嘉「え……? あ、あの……」
凛「『変態っぽい』って、そう言ったよね」
美嘉「あ、あー……! そうかもね……?」
凛「『舐めてみる』って、そう言ったでしょ」
美嘉「う、うん。そうかな……」
凛「『こすりつけたり』って、そう、言ったんだよ」
美嘉「う、うん……」
凛「この――」
凛「不心得者がァァァ!!!!」クワッ
美嘉「!?」
「「「!!??」」」
凛「いい!? クンカーっていうのは使用済み衣類たちの観測者であり理解者なんだよっ!!」
凛「その人の生活、行動、環境、人柄――すべてが複雑に絡み合い、融合したものが使用済みのワイシャツやコートやマフラーやパンツには詰まってる」
凛「それは遥かなる過去から作り上げられた雄大な大自然や、作者の情熱と才能の限りを尽くした芸術品のように精巧で希少で価値のあるものなの!!」
凛「私たちはそれを嗅覚で受け止め、心で感じる! クンカ行為ってのは嗅がれ手と嗅ぎ手との魂の対話であり、それは過去から未来へのメッセージなんだよ!!」
凛「そんなこの世の神秘、秘宝とも言えるものを、唾液やその他で汚すなんて、それは愚行であり蛮行だよ!!」
凛「大自然が生み出した圧巻で荘厳な景観を無秩序に開発するような、技巧の極地を備えた絵画へ短絡的で稚拙な思想で加筆するような、奇跡への冒涜であり芸術への侵略!!」
凛「ワイシャツにハチミツをぶちまけるがごとき所業っ!!!」
美嘉「え、えぇと……」
莉嘉「な、なに!? 突然どうしたの……!?」
卯月「あ、あんな凛ちゃん、初めて見ました……」
莉嘉「なんで凛ちゃん、あんなに怒ってるの……?」
奈緒「あー……」
奈緒「なんで凛が怒ってるのかは分からないけど――何が起こってるのかは分かるよ」
莉嘉「奈緒ちゃん、どういうこと?」
奈緒「あたし、それなりにアニメとか見るんだけどさ」
奈緒「中でも好きな作品は、本編見るだけじゃなくて、ネットでそれについて語ってるサイトにも目を通すんだ」
奈緒「で、そういう所で間々いるんだよな」
奈緒「なんて言うか、その……」
奈緒「知ったかぶりしてるやつってさ」
奈緒「その作品に無知っていうのは別にいい。これからどんどん知ってもらえればいいんだからな」
奈緒「作品に対して、自分とは別の意見っていうのもアリだと思う。賛成反対は別にして、いっこのアニメでも十人十色の解釈があっていいと思う」
奈緒「ただ、にわか、知ったかぶりだけは駄目だ」
奈緒「どっかからの聞きかじりの知識や、テキトーな情報を正しい意見のように主張する。しかもそれが自分の知識で考察であるかのように語る――騙る」
奈緒「そういうのが、人によっちゃすごく許せないことってあるからさ」
卯月「えっと、例えば、り――」
莉嘉「卯月ちゃんストップ!」モガッ
いな?
奈緒「そんな感じで、美嘉も凛のこだわり、凛の"持ってる"ものに火を付けちゃったんだろうよ」
奈緒「さっきの会話の中の、どの部分が凛の逆鱗に触れたのかは分からないけど、でも、考えてみたら美嘉の持ってる話題のカードは、ほとんど即席で仕入れた情報が元だからな」
奈緒「必然、その情報にも、調べが浅い部分はあるだろう」
奈緒「だから、凛のあの反応は予想外だったが――こういうことが起こるのも不思議じゃないってわけだ……」
凛「いい美嘉!? クンカーに大事なのは思いやりと謙虚さなんだよ! 古事記にもそう書いてある!」
凛「衣類を身に着けていた人物、彼が居なくちゃ、その芳醇なワイシャツも、熟成されたパンツも生まれることはなかったんだよ!」
凛「綺麗な水をもたらしてくれる山に、豊かな糧を生み出してくれる海に感謝するように、私たちは生産者たる人物と、そこからもたらされた恵みに感謝し、尊び、慈しむ義務があるっ!!」
凛「そんな心を忘れ、自らの欲望のままに舐めたり、こすりつけたりなんてするのは、いわば自然破壊であり、結果的にそれは自らの首を絞めることに――」
美嘉「ご、ごめん凛! ごめんってば!!」アセッ
凛「私に謝る前に、まずワイシャツに――」
美嘉「り、凛の言うことも分かるよ……! うん、アタシが軽率だったよ……!」アセッ
凛「いや、この程度じゃまだまだだよ。しょうがない、ここは朝までじっくり――」
美嘉「で、でもさ……!」
カリスマのターン!
美嘉「凛が言うには、ワイシャツとかって、その人の分身みたいなものなんでしょ……?」
美嘉「じゃあ、そんなその人の分身に、自分の唾液とか、あ、あいの蜜を付けるってさ……」
美嘉「その人を自分のもので汚して――染め上げるみたいでさ……」
美嘉「その人の匂いと、自分の匂いが混じって……」
美嘉「それでそれを、その彼がまた着てくれたりとかしちゃったら……」
美嘉「そう考えたら……ヤバくない……?」
凛「なっ、なに言って――!!」
凛「言って……」
凛「なに言って……」
凛「……………………」
凛「…………………………」
――――――
――――
――
凛「ワイシャツと匂いの二つが必要なんだそれは侵されざる神聖な領域なんだでもそこから自分までいなくなってしまったらそもそも意味がなくなってしまうしかしだからって自分勝手な欲望の捌け口にしていい理由にはならないでもそれは自分の意思を否定することになるのか自我で行動している以上どうしたって自分の主観が混じるのは当然であってならば自我と自分勝手使命と欲望との境界線はどう定義したらいいんだそもそもそんな風に使ってしてぐっしょりのシャツなんてまた着たりしないだろうしでも元々水気を帯びているものなら不自然にはならないかもしれない例えばいつもPが使ってるローショ――」ブツブツブツブツブツブツブツ
卯月「あ、あの……。凛ちゃん、どうしちゃったんでしょう」
卯月「こっちに戻って来てからずっとあの調子ですけど」
奈緒「思考のループにでも嵌ったんだろ……」
奈緒「多分、答えが出るまで帰ってこないよ」
莉嘉「答えが出たら危なそうだけど……」
莉嘉「でもそっか……。結局、凛ちゃんも駄目だったんだね……」
卯月「り、莉嘉ちゃん! 元気だしてください! 大丈夫ですよ、まだ――」
莉嘉「――ううん」
莉嘉「もういいの」
卯月「えっ……!?」
莉嘉「確かに今のお姉ちゃんは前のお姉ちゃんとは変わっちゃった」
莉嘉「アタシが知ってた、アタシの好きだったお姉ちゃんじゃなくなっちゃった」
莉嘉「でも、それって結局、アタシのワガママだから」
莉嘉「まあ、ファンの人はびっくりするかもだし、アイドル的にもまずいかもだし、もしかしたらみんな離れて行っちゃうかもだけど……、でも、お姉ちゃんならまた上手くやれるよ」
莉嘉「言ってたでしょ? 『腐ってもカリスマ』って……」
莉嘉「だから、お姉ちゃんは大丈夫」
莉嘉「それに、ほら、さっきからみんなと話して、お姉ちゃん、楽しそうだしさ……」
莉嘉「だからきっと、これでいいんだよ」
莉嘉「お姉ちゃんは、大丈夫で……」
奈緒「……駄目だ」
奈緒「駄目だ、それじゃ」
莉嘉「な、奈緒ちゃん……?」
奈緒「前と比べてどうとか、アイドル的にどうとか、ファン的にどうとか、美嘉的にどうとか……、その辺は、置いといてもだ」
奈緒「莉嘉、お前が大丈夫じゃないだろ」
莉嘉「い、いいんだよ! それこそ問題ないよ……」
莉嘉「これはアタシのワガママで、城ヶ崎家の問題だから……」
奈緒「いくら言葉を重ねたって、言い訳を連ねたって――そんな顔してるんじゃ意味ないぞ」
莉嘉「うっ……」
奈緒「それに凛も言ってたろ」
奈緒「『きっとまた、お姉ちゃんと一緒に楽しく笑い合える日が来る』ってさ」
奈緒「美嘉のためってのももちろんあるが――これは元々、莉嘉の頼みだろ」
奈緒「ワガママなんかじゃない――莉嘉の願いだろ」
奈緒「だったら美嘉だけじゃなくて、莉嘉もまた笑顔になれるような――」
奈緒「莉嘉が満足する結果じゃなきゃだめだ」
莉嘉「でも、これ以上、みんなに迷惑かけるなんて」
奈緒「それはさっき、あたしが言ったろ」
奈緒「かわいい年下から頼られて、それが迷惑だなんてことないってさ」スクッ
卯月「まさか……、次は奈緒ちゃんが行くんですか……!?」
奈緒「ああ」
奈緒「姉キャラと言えば美嘉だけどさ。あたしだって、一応お姉さんだからな」
奈緒「莉嘉の――仲間のそんな顔を、放っておくことなんてできない」
奈緒「それにこのままじゃ、凛たちに合わせる顔もないしな」
莉嘉「でも、奈緒ちゃん……」
奈緒「分かってるよ。自分で言うのもアレだけど――確かに、あたしは下ネタとか、そういうのてんで耐性ないからなぁ……」
莉嘉「だったら――」
奈緒「でもな、莉嘉。そんな弱点を、あたしは自分が戦わない理由にはしたくない」
奈緒「そんな風に逃げちゃダメだ」
莉嘉「だからって、戦ったって、勝てるわけじゃないんだよ!」
莉嘉「みんなみたいに、恥ずかしい思いをすることになるだけだよ!」
莉嘉「奈緒ちゃんだって、恥ずかしい思いはしたくないでしょ!?」
奈緒「確かに……加蓮とかにいじられて、何回味わっても、あの感覚は慣れないなぁ」
莉嘉「そうだよ! だから――」
奈緒「でも、だからこそ」
奈緒「ここで行かなきゃ、それこそ恥ずかしい。加蓮や凛や、未央にだって笑われちゃうよ」
莉嘉「奈緒ちゃん……」
奈緒「それにな、莉嘉――」ポンッ
奈緒「仲間のために恥をかくことを、あたしは、『恥ずかしい』とは思わない。」
莉嘉「――!!」
奈緒「あはは。まあ、恥ずかしさには慣れないけど――あたしでも、カッコつけた年上くらいなら成れるさ」
奈緒「じゃ、行ってくる」
スタスタ
莉嘉「奈緒ちゃん……、大丈夫かな」
卯月「し、信じましょう! 奈緒ちゃんだって、あの加蓮ちゃんや凛ちゃんと肩を並べるアイドルなんですからっ!」
奈緒「よ、よう美嘉! おはよう!」
美嘉「あ、奈緒ー! おはよー!」
未央「ほう……、ついにかみやんが出たんだね……!」ムクリ
莉嘉「未央ちゃん! 起き上がって大丈夫なの!?」
未央「しまむーの膝枕のおかげでなんとか持ち直したからね」
未央「それよりも……」
美嘉「そうだ! 奈緒にも聞きたかったんだけどさ」
奈緒「あ、ああ。なんだ……?」
美嘉「オススメのエロビデオとかある?」
奈緒「なななっ! なに突然言ってるんだよ!?」
美嘉「いいじゃんいいじゃん! 奈緒だってそういうのに興味あるでしょー!」
美嘉「ちなみにアタシはねー……! ぶっかけもので百連発とか――」
奈緒「は、話を進めるなよっ!!////」
莉嘉「ああ、やっぱり……。奈緒ちゃん、いきなりピンチだよ……!」
莉嘉「こんなことなら、もっとちゃんと引き留めておけばよかった……」
未央「――本当にそうかな」
卯月「未央ちゃん……?」
未央「確かに猥談なんて、かみやんのキャラクターじゃ無茶にも程があるかもね」
未央「でも、無茶であっても無理じゃない。かみやんは、そう判断したんじゃないかな」
未央「はっきり言って状況は絶望的だよ」
未央「でも、彼女はその絶望に、真っ向から立ち向かっている」
未央「目を逸らさず、全てを捉えている」
未央「そんな絶望と向き合った者こそが――最後に希望を迎える」
未央「私は、そう信じているよ」
莉嘉「希望……」
美嘉「ねー、いいでしょー? 女同士なんだし、遠慮はなしで行こうよ」
美嘉「今後のオカズの参考にするからさ!」
美嘉「奈緒ちゃんはどんなオカズでソロプレイしてるの?」
奈緒「そそそそ、そうだな……!///」
奈緒「あ、あたしは、その、あの……///」
美嘉「うんうん!」
奈緒「しょ、触手モノとか、かなぁ~」
美嘉「へ?」
未央「――――!!」
きっつw
未央「そうか! かみやん!」
未央「その手があったか!」
卯月「しょくしゅ……?」
莉嘉「知っているの未央ちゃん!?」
未央「かみやんが言った『触手』――それはマンガやアニメといった、いわゆる二次元カテゴリーの話題だよ」
未央「AVやヌードといったコンテンツがあるように――当然、二次元においてもアダルトな作品群は存在する」
莉嘉「う、うん、それは知ってるけど……。少女漫画とか、割と過激なシーンとかあるし、アニメでも、えんばん? になるとすごいんでしょ?」
莉嘉「でも、それがどうしたの? 別にリアルでもアニメでも、エッチなのには変わりがないんじゃ……」
未央「一つ、二次元作品がリアル作品より、圧倒的に有利な点がある」
未央「二次元作品はリアル作品に比べて、その描写できるものの自由度が圧倒的に高い!!」
卯月「自由度……?」
未央「つまりは、どんなアクションだろうとエフェクトだろうと、キャラクターだろうと、絵に描けば、二次元作品ではそれを存在させられる」
未央「現実ではありえないような物も事も、自由に、そして容易に登場させられるんだよ!」
「容易に用意できるんですね~。ふふっ」
莉嘉「それって……」
未央「あくまでフィクション。でもそんな絵に描いた餅だからこそ、いくらでも豪華にできる」
未央「いくらでも豪華に――」
未央「いくらでもエロくできるんだ!!」
莉嘉「――!!」
おいメープル
美嘉「しょ、触手……? それってどんなカンジなの……?」
奈緒「まあアニメとかマンガの話なんだけどな?」
奈緒「タコとかイカみたいな巨大な触手に、美少女が捕まって、イロイロされちゃうんだよ」
美嘉「い、イロイロ……!?」
奈緒「そうそう!」
奈緒「例えば、美少女がいくつもの触手に捕まって、身動き取れなくなってさ――」
奈緒「それで、服の中に触手がうねって入ってきてな?」
奈緒「そのまま胸とかお尻とか、そういうところに巻き付くんだよなー」
美嘉「えっ……、ええっ!?///」カァアア
奈緒「それで、触手の先端が美少女の敏感な部分を、こう、吸ったりしごいたりしてだな……」
美嘉「ええええっ!?///」
莉嘉「ありえないもの……」
莉嘉「じゃあ奈緒ちゃんの言ってた触手も、その一つってこと?」
未央「うん。筆頭と言ってもいいかもね」
未央「グロテスクな化け物に少女が一方的に辱められる」
未央「通常ではありえないシチュエーション、叶わない展開だからこそ、そこにはありとあらゆる人間の欲望が詰め込まれているんだ」
未央「オーク、スライム、拘束凌辱、催眠調教――――感度3000倍!!」
莉嘉「さ、三千倍っ!?」
未央「美嘉ねぇの下ネタは、即席で取り繕ったってのもあるけど――元々の美嘉ねぇの性格から考えて、こういうモンスター系でさらに凌辱系のジャンルは、そもそも知らなかった可能性が高い」
未央「そんな美嘉ねぇに、全く予想外の方向から、こんな淫蕩と背徳の権化をぶつけることは、もはや暴力にも等しい――彼女のキャパだって容易にパンクするはず」
未央「驚いたよ。あのかみやんが、これほど攻撃的な方法を取るなんてね」
奈緒「で、そのあとは当然、触手は女の子の大事な穴にも入りこんでくるんだ」
美嘉「あ、穴って!!///」
美嘉「だ、大体そんなの入ったら、い、痛いでしょ!?」
奈緒「ところが触手の粘液には媚薬効果があってな。痛みも快感に変わっちゃうんだよ」
美嘉「しょ、しょんな……!!/////」
奈緒「想像してみろよ、美嘉」
奈緒「例えば、高潔な女騎士とか――」
美嘉「お、女騎士っ!? ち、千秋さんがやったみたいな……!?」
奈緒「そうそう。あとは、美しいくのいちとか――」
美嘉「そ、それって、あやめちゃんみたいな……!?」
奈緒「ああそうだ。それから……」
奈緒「そうそう、可憐でキュートな魔法少女とかかな」
美嘉「ま、魔法少女!? ちちちち、千佳ちゃんみたいな!?/////////」カァアアアア
奈緒「そういう美少女たちが、おぞましい触手に捕まって、自由を奪われてさ――」
奈緒「それからさらに前の穴も後ろの穴も、上の穴まで好き放題に犯されまくってさ――大切な純潔も奪われちゃうんだ……!」
美嘉「おおおお、おかっ――!?///」ビクッ
奈緒「多数の触手で、身体中の敏感な部分を責められながら、容赦なく何回も奥を突かれて、媚薬の効果で何回も絶頂して、それでも離してもらえず――」
美嘉「は、はぅぅうう――!!////////」カァアア
奈緒「触手に対する嫌悪や犯される屈辱も、とめどなく与えられる快感に上塗りされていって――」
美嘉「はわっ……! はぁああああ////////」カァアアアア
奈緒「もはや使命も理性も失って、ただただ自分が肉人形であることしか分からなくなって――」
美嘉「に、にくぅ……!?////////////」カァアアアアアアア
奈緒「可愛い顔と、綺麗な身体を、涙と涎と汗と蜜とでグチャグチャにしながら、呂律の回らない口で、下品な嬌声をあげるんだ」
美嘉「ひゃ、ひゃあああああああ――!!!////////////」プシュー
莉嘉「あ、あのお姉ちゃんが手も足も出ない……!」
卯月「な、なんだかすごいですね、奈緒ちゃん……!」
未央「かみやんの戦法は、美嘉ねぇの想定の範囲外――レンジの外からの攻撃」
未央「例えるなら、そう、刀と騎馬の世における、種子島と三段撃ち!」
未央「今日ほど私は、かみやんを敵に回したくないと思った日はないよ……」ゴクリ
美嘉「うぅぅ……、そ、そんなのがあったなんて……///」プシュー
奈緒「おっと、美嘉にはまだ早かったか」
美嘉「お、女の子がそんなことされちゃうなんて……うぅ……」
奈緒「まあ、マニアックなジャンルだしな。無理もないか」
奈緒「まあ、美嘉には美嘉のペースがあるからさ」
奈緒「無理せずにさ、美嘉は美嘉らしくしていれば、それがいずれ誇らしくなって――」
美嘉「そんなのって……そんなのって……」
美嘉「そういうの、もっと教えてくれないっ!?」キラキラ
奈緒「えっ……」
莉嘉「えっ……」
莉嘉「あ、あれ……? 気のせいかな……?」
莉嘉「お姉ちゃん、なんかキラキラしてない……?」
莉嘉「奈緒ちゃんの話で……キャパオーバーしたんじゃ……ないの……?」
未央「……迂闊だった」
莉嘉「未央ちゃん……?」
未央「私たちはもっとよく考えるべきだったんだ」
未央「『腐ってもカリスマ』……『まだ以前のメンタルが残っている』……」
未央「そう――下ネタキャラになろうとも、根本は元の城ヶ崎美嘉のままであるって事実……!」
未央「ヒントはずっと前から示されていたのに……」
莉嘉「ど、どういうこと未央ちゃん!?」
莉嘉「一体、今、何が起きているの!?」
未央「当たり前だけど――美嘉ねぇだって生まれた時からカリスマギャルだったわけじゃない」
未央「最初はただの少女で、そしていつからかギャルに憧れ、誰かのファッションやメイクを真似たりしていた時期が必ずあるはずなんだ」
莉嘉「そ、それは、そうだね?」
未央「でも、そこから彼女は、ただの他者の模倣でなく――カリスマギャル・城ヶ崎美嘉としての立場を確立するに至った」
未央「つまり美嘉ねぇは、何かを吸収し、それを自らのものとするのが得意なんだよ」
未央「その持ち前の好奇心と適応能力が、彼女をカリスマへと押し上げた」
未央「――そして今、それと同じことがあそこで起こっている……!!」
莉嘉「そ、それって……!!」
美嘉「いやー、そんなジャンルがあるなんてねー! 偉そうにしてたのが恥ずかしいよっ!」
美嘉「だからさ奈緒! 今の話、もっと詳しく事細かく、教えてよー!」
奈緒「えっ、ええ!?」
奈緒「い、いやっ! 美嘉にはこういうの早いと思うぞっ!?」
美嘉「奈緒が知ってるんだから、同い年のアタシでも問題ないって!」
美嘉「それにこう見えてアタシ、結構、勉強家だからさー!」
美嘉「ねぇねぇ! それで? 触手に美少女は他にどんなことされちゃうの?」ワクワク
奈緒「えっ、い、いや、あの――」
未央「目の前に示された、触手という未知のジャンル」
未央「それに対し、美嘉ねぇの恐怖心や羞恥心よりも、好奇心が勝ったのさ」
未央「偏見も固執もなく――抵抗なく新しきを求め、節操なく自らに取り込む、その貪欲なまでの精神」
未央「どうやら織田信長は美嘉ねぇのほうだったみたいだね……」
莉嘉「そ、そんな! じゃあ奈緒ちゃんはどうなるの!?」
未央「有効ではあっても、かみやんの戦法は自らもダメージを受ける諸刃の剣だからね」
未央「対し美嘉ねぇにとっては、もはやかみやんの攻撃が、攻撃として成立しない」
莉嘉「で、でもお姉ちゃんだって、恥ずかしいってダメージが入るんじゃ……」
未央「元々、美嘉ねぇが下ネタキャラになったのは、処女というイメージから脱却したいという渇望ゆえにだよ」
未央「だから、エッチな話題を恥ずかしいと思っても――でも、求めていないわけじゃないんだよ」
未央「そこでかみやんの話を聞いて――目覚めたんだ、彼女が……」
美嘉「それでそれで? 触手に捕まった美少女たちは、どうなっちゃうの……!?」キラキラ
奈緒「そ、それは……、あのっ……///」
奈緒「ま、前の穴も後ろの穴も……攻められて……だな……///」
美嘉「うんうん! それで?」
奈緒「な、なか……に……! は、白濁した液体を出されたり……しちゃって……//////」カァアアア
美嘉「うわぁー……! どれくらい出されちゃうの?」
奈緒「た、大量に……そそがれて……///」
奈緒「ぎゃ、逆流とか……しちゃって……/////」
美嘉「うっわ! えぐいねー!」
美嘉「で、他にはないの?」
奈緒「あ、あとは……///」
奈緒「た、卵とか……しきゅうに……いれられちゃって……//////」プシュー
莉嘉「奈緒ちゃんの話に……食いついてる……」
未央「新ジャンルを自らに取り込んでいるというの……!?」
美嘉「卵!? なになにー!? それもいっぱい入れられちゃったりするわけっ?」キラキラ
奈緒「い、いっぱい入れられちゃって……お、お腹が……///」
美嘉「どうなっちゃうの……!?」キラキラ
奈緒「それで……お腹が……ボコッ……って……//////」
美嘉「えげつなく膨らんじゃうんだっ! へぇ……!」キラキラ
美嘉「んでんで? そのあとは!?」ワクワク
奈緒「た、卵が……いっこずつ……、あ、穴から産卵されて……//////」
美嘉「されて? それで?」ワクワク
奈緒「さ、さんらん……しゅるたびに……ぜっちょうを……///////」プシュー
莉嘉「もう見てられない!」
莉嘉「見たく……ない……!」グスッ
未央「か、かみやん……!」
美嘉「さ、産卵かー! そんなのもあるんだねー!」
美嘉「なるほど! マークしてなかったよー!」
奈緒(約束……したんだ……)
奈緒(莉嘉がもう……悲しまなくていいようにする……)
奈緒(だから美嘉……お前を……!)
奈緒「……戻してやる」
奈緒「戻してやる戻してやる……!」
奈緒「戻してやる戻してやる戻してやる……!」
奈緒「戻してやる戻してやる戻してやる戻してやる……!」グググ
未央「かみやん、まだ力が……!?」
莉嘉「やめて! もうやめて奈緒ちゃん!」
奈緒「戻してやる戻してやる戻してやる戻してやる戻してやる」グググ
奈緒「戻してやる戻してやる戻してやるモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤル」グググググ
奈緒「モドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤルモドシテヤル……!」グググググ
美嘉「いやー。まさかこんなマニアックなセカイがあったなんてねー!」
美嘉「でも、こんなに詳しいだなんて――」
美嘉「奈緒ってムッツリスケベだね!」
奈緒「」グサグサグサグサグサグサグサグサグサ
莉嘉「なおちゃぁああああんっ!!!」
奈緒「」チーン
未央「かみやん……活動停止……」
莉嘉「いやぁああ! 卯月ちゃん! 奈緒ちゃんが! 奈緒ちゃんがぁああ!!」ダキッ
卯月「わ、わぁ!? よ、よーしよーし……!?」ギュッ
未央「これでこちらの戦力は全滅……!」
未央「もう、美嘉ねぇを止める手段は……」
莉嘉「うぅ……! うわぁん……」グスッ
卯月「ええぇと……どうすれば……」ナデナデ
ガチャ
赤城みりあ「おはようございまーす☆」
「「「!!!!」」」
美嘉「み、みりあちゃん!」
美嘉「おはよう! 今日のその服、とってもカワイイね!!」
みりあ「あっ、美嘉ちゃん! おはようございます!」
みりあ「えへへ! これ、頑張って私なりにオシャレしてみたんだ!」
みりあ「褒めて褒めて♪」
未央「ここでまさかのみりあちゃんだけど……」
未央「これはチャンスだね。美嘉ねぇがみりあちゃんと話している間に、体勢を立て直そう……!」
莉嘉「そ、そうだね……!」
莉嘉「いくらお姉ちゃんでも、みりあちゃんにまで変なコトは言わないと思うし――」
みりあ「あれ? 奈緒ちゃん?」
みりあ「おはよー! どうしたの……?」
奈緒「」チーン
美嘉「あ、ああ! 奈緒とはさっきまで話してたんだけどねー?」
美嘉「ちょっとお互いエキサイトしちゃってさ」
みりあ「お話? 何を話してたのー?」
美嘉「えっ……、何ってそれは――」
美嘉「ナニの話を……」
莉嘉「えっ、う、嘘だよね……?」
莉嘉「さすがにお姉ちゃん、みりあちゃんまでは巻き込まないよね……!?」
未央「いや、これはマズイ……暴走しているっ!」
未央「さっきまでのかみやんとのトークのせいで、自制心の歯止めが効いてないんだ!」
莉嘉「そんなっ! それは駄目だよっ!」
莉嘉「みりあちゃんまで犠牲になるなんて……!」
未央「こうなったら、もう一度、私が――」
莉嘉「そ、それも駄目だよ! 未央ちゃんだってまだ完全に傷が治ってないでしょ!?」
未央「じゃ、じゃあどうすれば……!」
美嘉「みみみ、みりあちゃんも、アタシたちのお話……興味あるかな……!?」ハァハァ
美嘉「お、お姉ちゃんが……色々、教えてあげるから……」ジリジリ
みりあ「お話……?」
美嘉「そうそう!」
美嘉「大人の……!」
美嘉「大人のおはなし――」
みりあ「あっ、お話と言えばね!」
みりあ「美嘉ちゃん、最近、莉嘉ちゃんとお話しした?」
美嘉「え……?」
美嘉「莉嘉、と……?」
みりあ「莉嘉ちゃんはね、いつもみりあに美嘉ちゃんのお話、いっぱいしてくれるんだ」
みりあ「『この前、お姉ちゃんとこんなことがあった』とか、『今日はお姉ちゃんに叱られた』とか」
みりあ「『この時のお姉ちゃんがカッコよかった』とか、『自分もお姉ちゃんみたいにステップが踏めた』とかね!」
みりあ「莉嘉ちゃん、本当に嬉しそうに、楽しそうに話してくれるの☆」
美嘉「へ、へぇ……?」
みりあ「そうやってお話を聞いてるとね、私、お姉ちゃんの話をしてる莉嘉ちゃんも、そんな風に愛されてる美嘉ちゃんも、もっともっと好きになるんだっ!」
みりあ「でも最近、お互い忙しいんでしょ?」
みりあ「美嘉ちゃん、ちゃんと莉嘉ちゃんとお話できてる?」
美嘉「アタシ……アタシは……」
美嘉「あれ……、最後に莉嘉と話したの……」
美嘉「あの子の話、聞いてあげたの……いつだっけ……」
莉嘉「お姉ちゃんの動きが止まった……!?」
未央「これは一体……!?」
卯月「――莉嘉ちゃん」
卯月「今ですよ」
卯月「今です。行ってあげてください」
卯月「美嘉ちゃんのところに」
莉嘉「卯月ちゃん……?」
卯月「それで伝えるんです。莉嘉ちゃんの気持ちを」
莉嘉「で、でも! お姉ちゃんはアタシの話なんか――」
卯月「届きますよ、今なら」
卯月「むしろ今しかないです!」
卯月「言いたいこと、莉嘉ちゃんの思ってる通りのこと、全部、伝えてきてあげてください」
莉嘉「――――!!」
美嘉(あれ……、なんでアタシ、こんなことしてるんだっけ……?)
美嘉(処女って言われたくなくて……認めてもらいたくて……)
美嘉(それで……だから……)
莉嘉「お姉ちゃんっ!!」
美嘉「莉嘉っ!?」
莉嘉「お姉ちゃん! もうやめよう?」
莉嘉「処女だって言われるからって、下ネタを振りまくなんて、そんなの、もうやめようよ!!」
美嘉「り、莉嘉……」
美嘉「だって……アタシは……」
美嘉「アタシ、カリスマギャルなんだよ……!?」
美嘉「みんなの先に立って、引っ張って、頼られて……、そういう存在なんだよっ!?」
美嘉「そんなアタシが処女なんてこと、あっちゃいけないでしょ!?」
美嘉「処女のアタシなんて……」
莉嘉「なんで!? なんでそう思うの!?」
莉嘉「アタシ、お姉ちゃんに憧れてアイドルになった」
莉嘉「お姉ちゃんみたいにカッコよくて、セクシーで、キラキラしてるアイドルになりたいって思ってた!」
莉嘉「お姉ちゃんみたいに、輝きたいって、思ってた!」
莉嘉「――でも、実際にアイドルになったら、大変なことばっかりだったよ」
莉嘉「レッスンはキツいし、お仕事も少ないし、オーディションは落ちてばっかりだし、やっとお仕事来ても、地味なことばっかりだし」
莉嘉「ステージなんて、全然、見えなくって……」
莉嘉「でもね、だからこそ思ったよ」
莉嘉「やっぱり、お姉ちゃんはすごいんだって!」
美嘉「莉嘉……?」
莉嘉「アイドル業は、アタシが想像してたよりずっと大変だった」
莉嘉「でも、そんな大変なアイドル業で、あんなに大変な思いをして――それでも、あんなに輝いてるお姉ちゃんは、やっぱり最高にカッコイイって!」
美嘉「――――!!」
莉嘉「お姉ちゃんがカリスマギャルになったのは、お姉ちゃん自身が頑張ったからでしょ?」
莉嘉「お姉ちゃんが努力して、苦労して――その結果が、今の城ヶ崎美嘉でしょ!?」
莉嘉「そうやって積み重ねてきたことが、処女ってことぐらいで崩れちゃうの!?」
莉嘉「お姉ちゃんがここまで経験してきた本当を、そんな嘘で台無しにしちゃうの!?」
美嘉「でも……だって……アタシ……」
美嘉「処女なんだよ!? カリスマギャルなのに……恋愛相談とか受けたのに……、彼氏とかいたことないんだよ!?」
莉嘉「彼氏も作らず頑張ってたから、カリスマギャルなんでしょ!」
莉嘉「恋愛相談だって、お姉ちゃんなりに勉強して、お姉ちゃんのセンスで考えて、答えたんでしょ!」
莉嘉「彼氏はいなくても、大事に思える人たちは、いっぱいいるじゃん!!」
莉嘉「莉嘉がここにいるじゃん!!」
美嘉「――――!!」
未央「……どうして、今になって莉嘉ち―の言葉が美嘉ねぇに届いたんだろう」
卯月「それはきっと、美嘉ちゃんが気づいたからですよ」
未央「気づいた? 何に?」
卯月「自分の、求めていたもの、かな」
卯月「私、いつも思ってたんです」
卯月「美嘉ちゃんはすごいって」
卯月「同い年なのに、私より人気もあるし、歌やダンスも上手いし、頼りになるし、輝いているし……」
卯月「いつも、いつでもカッコイイなって」
卯月「でも、こうも思ってたんです」
卯月「私には、レッスンが上手く行かなくても、お仕事で振るわなくても、励ましてくれる、凛ちゃんや未央ちゃんたちがいます」
卯月「それに家に帰れば、温かく迎えてくれるママとパパがいます」
卯月「私には、凛ちゃんや未央ちゃん、ママとパパ――そういう場所があります」
卯月「でもじゃあ、美嘉ちゃんはどうなのかなって」
卯月「いつもカッコよくて、輝いていて、頼られている美嘉ちゃんが、失敗しても、調子が悪くても――それでもいていい居場所は、ちゃんとあるのかなって」
未央「いてもいい場所……心の居場所」
卯月「多分、美嘉ちゃん自身が一番、不安だったんじゃないかな」
卯月「美嘉ちゃんは、事務所では私たちの前で、お家では莉嘉ちゃんの前で、お姉ちゃんであり続けているけど――」
卯月「もし自分がお姉ちゃんじゃなくなったら、カリスマギャルでなくなったら、そんな自分の居場所は、どこにもなくなっちゃうんじゃないかって……」
卯月「未央ちゃんは最初、美嘉ちゃんが迷走してるって言ってたけど――」
卯月「でも、美嘉ちゃんが迷って――見失っていたのは、行くべき道じゃなくて、帰るべき所だったんじゃないかな」
未央「帰る所――それが莉嘉ちーってこと?」
卯月「はい!」
卯月「生まれた時から美嘉ちゃんを、カリスマギャルじゃない美嘉ちゃんを知っていて、いつも傍で見ていた莉嘉ちゃん」
卯月「カリスマギャルじゃない、アイドルじゃない自分でも迎えてくれる存在」
卯月「莉嘉ちゃんがそういう存在で、そういう存在が、心の在処がちゃんと自分にもあるって、美嘉ちゃんもやっと気づけたんですよ」
美嘉「莉嘉……いいの……?」
美嘉「アタシ……処女なんだよ……?」
美嘉「……カレシいたことないし……合コンとかも……行ったことないんだよ……?
莉嘉「いいじゃん……! 処女だって!」
莉嘉「アタシだって処女だもん! カレシもいないし、合コンも経験ないよ!」
莉嘉「……アタシたち姉妹なんだからさ。いつもお姉ちゃんは先に行っちゃうけど――」
莉嘉「それくらいはおそろいでいようよ☆」ニコッ
美嘉「……莉嘉……★」ジワァ
美嘉「りかぁ!」ダキッ
莉嘉「おかえり、お姉ちゃん」ダキッ
未央「いやー、一時はどうなるかと思ったけど」
卯月「これにて一件落着ですね!」
みりあ「んー? よく分かんないけど、でも二人が仲良しなのはみりあも嬉しいな♪」
美嘉「莉嘉、ごめんね……?」
美嘉「猥談とかされていやだったよね……?」
莉嘉「いいの、お姉ちゃん」
莉嘉「もういいんだよ」ギュゥウ
みりあ「わいだん……?」
未央「あ、ああー! みりあちゃん! わいだんっていうのは、『わいわい談笑する』の略で――」
みりあ「あっ、知ってるよ!」
みりあ「みりあもよくやるから!」
「「「!?!?★!?☆!?」」」
未央「えっ、えっと……」
美嘉「みりあちゃん……?」
みりあ「学校の友達とよくするんだっ!」
みりあ「例えば、友達のえりこちゃんはね? カレシがいつも求めてきて大変なんだって!」
みりあ「でも、カレシのが小さいし、しかもえーぶいのまねばっかで、あんまり気持ちよくないんだってさ」
みりあ「あと、あさみちゃんは、相手が喜ぶからって、声を出してあげてるみたい」
みりあ「ホントはかんじてないけど、そうやって演技したほうが相手が喜んでくれるんだって」
みりあ「でも、早すぎてこっちが満足できないのはやっぱり不満なんだって」
みりあ「あとあと、まやちゃんはねー! せめるほうが好きって言ってたかな」
みりあ「足でしてあげたり、あと、うしろをかいはつ? を最近はよくやってるって」
みりあ「でも、男の子とするより、おじさんとしたほうが気持ちいいって――」
美嘉「」バターン
莉嘉「お姉ちゃん!?」
莉嘉「お姉ちゃん! しっかり! しっかりして!!」
美嘉「」ブクブクブク
莉嘉「しっかり! 意識を保ってっ!!」
未央「え、衛生兵っ!? 救急車!? お医者さんっ!?」
卯月「ええと! ええと! ――坊さん?」
ワーワー
ギャーギャー
ア、アナタ、ソロソロフタリメヲ
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ
みりあ「――って、私はよく意味が分からないから、いつも聞いてるだけなんだけど……」
みりあ「あ、あれ? みんな?」
莉嘉「お姉ちゃん! しっかりしてー!!」
莉嘉「お姉ちゃんっ! イヤァアアアアアアアア!!!!」
終
おまけ
美嘉「よいしょっと……。これで縛って……」
美嘉「ふう。これで買い漁った雑誌類は全部かな」
美嘉「しかし改めて見てると……これとか……ま、丸見え……だし///」カァアア
美嘉「気の迷いとはいえ、よくこんなもの買えたなぁアタシ……」
美嘉「これ、どうやってゴミに出そう……」
美嘉「って、そうだ。そういえばパソコンのほうにも、色々なサイト、ブックマーク入れてたんだっけ……」カチカチ
美嘉「うぅ……/// ホント黒歴史。これも全部消しちゃお……」カチカチカチ
美嘉「………………」
美嘉「ま、まあ、でも、もう一生、こんなの目にすることとかないんだし……」
美嘉「そのつもりもないし」
美嘉「――せ、せっかくだから、最後にちょっとだけ……」カチカチ
美嘉「……うっわぁ……これ、マジでやってるの……!?」カチ
美嘉「え、ええっ!? そ、そんなところまで見えちゃうの……!?」カチ
美嘉「アレ!? も、モザイクは!? は、はわっ、な、何その大きさ……」カチ
美嘉「あ、ああ……す、すごい声出てる……!」ゴクリ
美嘉「うわぁ……! うわぁあ……!!」モゾモゾ
莉嘉「お姉ちゃーん! ご飯できたってー!」ガチャ
美嘉「ぎゃあ!?」ガタッ
美嘉「あ、あの、莉嘉!? こ、これはね!?」ワタワタ
美嘉「ち、違うの!! み、見ないで! 見ないでぇ!!」ワタワタ
莉嘉「あー……」
莉嘉「あはは。いいよいいよ、続けてなって」
莉嘉「お姉ちゃんの年頃で、そういうの興味あるのって普通だし」
莉嘉「邪魔してゴメンね」
莉嘉「ああでも、ご飯が冷めないうちに来なよー」ガチャ
バタン
美嘉「………………」
美嘉「あっ……」
美嘉「あんな妹嫌だっ――!!」ガビーン
了
キャッキャウフフなガールズトークがやりたかった
誤字脱字、苦行ともいえる長さはごめんなさい
読んでくれてありがとう
オチがひでえww
乙!
乙
加蓮ちゃんは純情可憐…ふふっ
乙、これは酷い
乙
莉嘉がかーちゃんになってしまった
莉かーちゃん…
ママ・・・ママーッ!
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