果南「ルビィはなんでも知ってるの?」 (49)
――土曜日
果南(ちょっと早く着きすぎたかな)
果南(みんなまだ来てないだろうなぁ)
果南(……あれ? 部室から何か……)
ルビィ「素直になーらーなーくちゃ」
果南(ルビィの声だ)
ルビィ「打ち明けてみようほんとのこーとー」
果南(……何の歌だろ)
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ルビィ「ピギッ……あっ、果南さん」
果南「まだルビィだけ?」
ルビィ「はい、おねぇちゃんは生徒会のお仕事が残ってるって言ってました」
果南「そっか。それじゃあ鞠莉も一緒かな」
ルビィ「たぶん、そうだと思います」
果南「……」
ルビィ「……」
果南(正面に座ったはいいものの)
ルビィ「……」
果南(何を話せばいいものか)
ルビィ「……ふあぁ」
果南「……ふふっ。眠そうだね、ルビィ」
ルビィ「あっ、ごめんなさい……」
果南「ううん。昨日遅かったの?」
ルビィ「ちょっとだけ、歌の練習してて」
果南「歌……さっきの?」
ルビィ「はいっ。ユニットの曲を作ってて」
果南(そういえば、新曲作るって言ってたっけ)
果南「どんな歌なの?」
ルビィ「えと……千歌さんと曜さんがケンカしちゃったときの歌みたいで――」
果南「うんうん」
果南(……かわいいなぁ)
ルビィ「それでねっ」
果南(いつからだっけ)
ルビィ「ルビィも、おねぇちゃんとケンカしたこと思い出して――」
果南(幼なじみの……ダイヤの妹じゃなくなったの)
ルビィ「タイトルもいいんですよ! 『夜空はなんでも知ってるの?』っていうんですけどっ」
果南「……じゃあさ」
ルビィ「……?」
果南「ルビィは、なんでも知ってるの?」
ルビィ「……え?」
果南「例えばさ。私のきm「おはよーそろー!」
曜「渡辺曜、ただいま参上しました!」
千歌「高海千歌、同じく参上!」
梨子「はぁはぁ……二人とも速いよぉ……」
果南「……おはよ。二年生は朝から元気だねぇ」
梨子「私はそんなでもないですけど……」
ルビィ「あの、果南さん……?」
果南「喉、渇いちゃった。飲み物買ってくるね」
千歌「果南ちゃん……?」
曜「行っちゃった」
梨子「まだ二人だけ?」
ルビィ「……」
梨子「ルビィちゃん?」
ルビィ「あ、はっ、はい」
曜「どうかした?」
ルビィ「いえ、なんでも……ないです」
千歌「ふーん……」
果南(なに言っちゃってるんだろ、私)
果南(あんなの、ルビィを困らせるだけじゃん)
ダイヤ「まったく、理事長の仕事も溜め込むなんて」
鞠莉「だーかーらー、何度も謝ったじゃないっ」
ダイヤ「あんなヘラヘラした態度で謝られても許す気にはなりませんわ!」
鞠莉「んもぅ! なによ、ダイヤのばーか!」
ダイヤ「んなっ、ばかとはなんですの! そもそもあなたが……あら、果南さん?」
果南「はぁ……」
ダイヤ「行ってしまいましたわ」
鞠莉「浮かない顔、してたわね」
ダイヤ「……」
鞠莉「追いかけてみる?」
ダイヤ「……いえ、部室に向かいましょう」
鞠莉「いいの?」
ダイヤ「ええ。あなたが口を出したらややこしいことこの上ないですし」
鞠莉「む、なによそれ」
ダイヤ「さぁ、皆さんもう待っていますわよ」
――部室
鞠莉「シャイニーっ! みんなおっはよー!」
善子「遅い」
千歌「ぎりぎりに来た善子ちゃんが言う?」
善子「ヨハネ! 間に合ったんだからいいじゃない!」
花丸「……マル、知ってるずらよ」
善子「な、なにをよ」
花丸「昨日も遅くまで配信とかいうのしてたってこと」
ダイヤ「まだやっていたのですね……」
善子「別にいいでしょ!」
花丸「よくないずら。毎朝電話して起こすマルの身にもなるずら」
善子「ちょっ、ずら丸!」
千歌「へぇー?」
曜「私の知らないところで何が……」
鞠莉「あらあら」
善子「ほらぁ!」
梨子「私は、いいと思うわ」
善子「何がよっ!」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「おねぇちゃん……」
ダイヤ「果南さんと、なにかありました?」
ルビィ「う、ううん。なにも、ないよ」
ダイヤ「……果南さんが戻ってきたら練習始めますわよ」
ルビィ「うん……」
――
ダイヤ「いったん休憩にしましょう」
花丸「よしこちゃーん……オラつかれたずらー……」
善子「だからってもたれかかってくるのやめなさいよ」
千歌「よーちゃんおみずー」
曜「ちょっと待ってー」
梨子「それくらい自分で取りに行きなさいよ……」
果南「……」
鞠莉「果南……?」
ダイヤ「鞠莉さん」
鞠莉「でも」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「……もうちょっと」
ダイヤ「だそうです」
鞠莉「?」
――練習後
千歌「あー……もうあしがうごかないよーよーちゃーん」
ダイヤ「千歌、さん……はっ……情けな、はっ……いですわ、よ……はぁっ」
曜「ダイヤさんが一番きつそうに見えるけど……」
鞠莉「No!! それは言っちゃだめって教わらなかった?」
梨子「誰にですか……」
善子「ずーらーまーるー」
花丸「なーんーずーらー」
梨子「あっちはあっちでうんうん」
曜「梨子ちゃん……あれ? 果南ちゃんは?」
鞠莉「果南? そういえば……」
ダイヤ「果南さんなら、もう帰りましたわ」
善子「あれ、ルビィも帰ったの?」
ダイヤ「え、えぇ。お母様に用事を頼まれたらしくて」
鞠莉「ダイヤにじゃなく?」
ダイヤ「たまにはそんなこともありますわ」
鞠莉「ふーん……」
千歌「よーちゃんおんぶー」
曜「あはは……私たちももう帰ろっか」
梨子「そうね。私も疲れちゃった」
鞠莉「おっけー! じゃあ今日はもう解散!」
ダイヤ「ゆっくり休んでくださいね」
「「はーい」」
――
ルビィ「……」
果南(なんだろ)
ルビィ「……」
果南(なんで、ルビィと一緒に歩いてるんだろ)
ルビィ「……」
果南(……何もしゃべってくれないし)
ルビィ「あ、あの!」
果南「う、うん。どした?」
ルビィ「さっきの」
果南「……」
ルビィ「ルビィね、知ってるんだ」
果南「えっ……」
ルビィ「果南さんのこと、なんでも知ってるんだ」
果南「どういう……こと?」
ルビィ「そのまんまの意味だよ」
果南「……」
ルビィ「……明日、ルビィのおうちに来てもらってもいい、ですか?」
果南「う、うん。わかった」
ルビィ「じゃあ、待ってますね」
――翌日
ダイヤ「ようこそ」
果南「ん」
ダイヤ「ルビィなら部屋で待っていますわ」
果南「そっか。じゃあ上がらせてもらうね」
ダイヤ「果南さん」
果南「ん?」
ダイヤ「ルビィのこと、頼みましたわ」
果南「……ダイヤは、なにか知ってるの?」
ダイヤ「なにか、というのは?」
果南「やっぱりいい。どうせ教えてくれないだろうし」
ダイヤ「わたくしからは何も言えません」
果南「ほら」
ダイヤ「……さ、ルビイが待っていますわ」
果南「はいはい」
果南「ルビィ」
ルビィ『あ、果南さん……』
果南「入るよ」
ルビィ『はい』
果南「おはよ」
ルビィ「……おはよう、ございます」
果南「初めて、かな。ルビィに誘われたのって」
ルビィ「そう、かな」
果南「ほら、ルビィってダイヤの後ろにくっついて歩いてたこと多かったから」
ルビィ「うん」
果南「ルビィの部屋に入るのもいつ以来だろ」
ルビィ「……」
果南「……あれ?」
ルビィ「!」
果南「そこの写真って」
ルビィ「あ、あの」
果南「だいぶ昔のだね。鞠莉が転校してきたくらいかな」
ルビィ「……はい」
果南「……」
――数年前、黒澤家
ダイヤ『それにしてもいきなりハグなんて、びっくりですわ』
ルビィ『……?』
果南『でも、外国の人はハグがあいさつってテレビで見たよ?』
ダイヤ『外国の、というか、あの子はハーフですわよ』
果南『はーふ……よくわかんないけど、なかよくなれそうだよねっ』
ダイヤ『それは……まぁ』
ルビィ『ねぇ、おねぇちゃ』
ダイヤ『あら、ルビィ』
ルビィ『はぐってなに?』
ダイヤ『そ、それは』
果南『ルビィちゃんもしてみる?』
ダイヤ『か、果南ちゃん』
果南『なにごともけいけんだよ』
ダイヤ『ですが……』
ルビィ『うゅ……』
果南『まぁまぁ。おいで、ルビィちゃん』
ルビィ『うん!』
果南『ハグ、っていうのはね』
ルビィ『?』
果南『こうやって』
果南『ぎゅーっ』
ルビィ『ぴぎっ』
果南『ってすることだよっ』
ダイヤ『果南ちゃん、ルビィがびっくりしていますわ』
果南『えー、そうかなぁ。ねぇルビィちゃん、ハグ、どう?』
ルビィ『……あったかい』
果南『ね?』
ダイヤ『もう……あ、そうですわ』
――
果南(思い出した)
果南(あのときの、ルビィとハグした時のだ)
ルビィ「……」
果南(ダイヤが思い付きで写真撮ってくれたんだっけ)
果南「懐かしいね、ルビィちゃん」
ルビィ「え?」
果南「あっ」
果南「なんか、思わずルビィちゃんなんて……あ、あはは」
ルビィ「……その時から」
果南「ん?」
ルビィ「果南さんは、おねぇちゃんのお友達じゃなくなりました」
果南「!」
ルビィ「はじめは、よくわからなかったけど」
ルビィ「そのあとも一緒に遊んでいるうちに、だんだんと意識するようになってきて」
ルビィ「でも……」
果南「ルビィ」
ルビィ「はい」
果南「昨日、聞きそびれたことなんだけどさ」
果南「ルビィは、その……」
ルビィ「知ってます」
果南「え……」
ルビィ「果南さんのことなら、なんでも」
果南「なんでも、って」
ルビィ「ずっと、見てたから」
ルビィ「だから、今度は」
果南「る、ルビィ」
ルビィ「ルビィのこと、果南さんに知ってもらいたいんです」
果南「ち、近い……よ」
ルビィ「だめ、ですか?」
果南「……ううん。ルビィのこと、たくさん教えてよ」
ルビィ「はい――」
――数日後、練習後
善子「あっつ……」
花丸「その真っ黒の練習着やめればいいと思うずら」
善子「これは譲れないわ」
梨子「でも、汗すごいよ? はいタオル」
善子「あ、ありがと」
鞠莉「今日の練習もvery hardだったわね……」
曜「そうかな? なんかもう慣れちゃったよ」
鞠莉「Oh……さすが曜ね」
ダイヤ「さ、みなさん。もうすぐ完全下校の時間ですので、急いで部室に戻りますわよ」
千歌「かーなーんーちゃーん」
果南「なに、千歌。にやにやしてさ」
千歌「いやー、なんといいますか」
果南「もう、なんなの? はっきり言ってよ」
千歌「よかったなー、と思いまして」
果南「む、どういうこと?」
千歌「ルビィちゃんとのこと」
果南「! 千歌、どこでそれをっ」
千歌「気づかないとでも思った? 伊達に幼馴染やってないからね!」
果南「まったく……変なとこで鋭いんだから」
千歌「まぁ、ほんとはちょっと前に二人とも元気なかったことあったから気になってたんだ」
果南「……そっか。心配かけちゃったかな」
千歌「ううん。気にしないで」
ルビィ「果南さーん!」
千歌「お、ルビィちゃんだ。じゃあ、私も先に部室に戻ってるね」
果南「りょーかい。私たちもすぐに戻るよ」
千歌「うん。みんなにもそう言っとくね」
ルビィ「あ、千歌さん」
千歌「ルビィちゃんも、変なことしてないで早く戻ってくるんだよー」
果南「ちょっ、千歌!」
千歌「えへへー、お邪魔な千歌はさっさと退散するのだ! さらば!」
果南「もう、千歌のやつ……」
ルビィ「果南さん?」
果南「ん。なんか、私たちのこと感づいてたみたい」
ルビィ「そう、ですか。なんか恥ずかしい……」
果南「ね。あんまり言いふらさないように言っとくよ」
ルビィ「……」
果南「ルビィ?」
ルビィ「んっ」
果南「……ハグ、しよっか」
ルビィ「はいっ」
果南「ぎゅーっ」
ルビィ「ぎゅー!」
果南「もう、二人になるとすぐこうなんだから」
ルビィ「……果南さんには言われたくないです」
果南「んー……それを言われちゃうとなぁ」
ルビィ「果南さんの甘えんぼ」
果南「ちょっと、それ以上言うとさすがに怒るよ」
ルビィ「そんなこと言っていいんですか?」
果南「あ、あはは。ほら、そろそろ戻ろ? ダイヤも怒っちゃうよ?」
ルビィ「……逃げるんですか?」
果南「そういうわけじゃ」
ルビィ「今週末」
果南「……」
ルビィ「続きを、楽しみにしてますねっ」
果南「……はい」
――終わり
ルビかなは可能性の塊なのではないでしょうか。
以下過去作宣伝
海未「『やんやんっ 遅れそうです』?」
海未「もうすっかり秋ですね」
海未「うっみうっみうー、とか」
など
ありがとうございました。おやすみなさい。
乙乙
宣伝はいらんし
乙
ルビィちゃんえっろ
梨子ちゃんェ…
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