ラフィエル「それは…恋ですよ、サターニャさん」 (48)

※時系列がかなりバラバラですので、2年生の夏休み後だとでも思ってご覧下さい。

サターニャ(夏休みが終わって久しぶりの登校日!)

サターニャ(この夏の間に英気を養った私は今度こそガヴリールをボコボコにするわ!)

サターニャ「ガヴリール!久しぶりね!早速だけど、勝負よ!!」

ガヴリール「よ、サターニャ。元気にしてたか」

サターニャ「元気ありあまってるわ!」

ガヴリール「サターニャ少し髪伸びた?そのぐらいの長さ、いいじゃん」

サターニャ「……!?そ、そそそう!!??」

ガヴリール「なんか一皮むけたカンジ。夏は人を成長させるって本当なんだなー」

サターニャ「ふ、ふふん!ようやくガヴリールもこの私の魅力に気付いたようね!」

ガヴリール「気付いた気付いた」

ガヴリール「人の魅力ってのは離れて初めて気付くもんなんだな」

サターニャ「~~~~な、なな!!!//」

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サターニャ宅

サターニャ「~~~なんなのよ~!!!!」

サターニャ「なんなのよもう!ガヴリールのやつ!」

サターニャ「今日ずっとあんな調子で、勝負どころじゃなかったわよ!」

サターニャ「おかしい、おかしいわ…何かの戦略かしら」

サターニャ「…髪、伸ばしてるの気付いた」

サターニャ「……//」

ラフィエル「あらあら、サターニャさん。なんだか乙女な顔してますねえ」

サターニャ「うわっ!!ラフィエル!あんたまた勝手に忍び込んで!!!」

ラフィエル「サターニャさんのいるところが、私のいるところですよ」

サターニャ「限度があるでしょ!限度が!」


ラフィエル「それで、何かあったんですか?」

サターニャ「当たり前のように続けてくるわね…」

サターニャ「…き、今日学校で、久しぶりだしガヴリールに勝負を挑んだのよ」

サターニャ「そしたらガヴリールのやつ、私の髪が伸びた事を…?褒めてきて」

サターニャ「私の魅力に気付いた…とか言ってて」

サターニャ「とにかくなんか!たくさん褒めてくるのよ!!」

サターニャ「今までのガヴリールとは何かが違ってて、私をはめるための罠を張り巡らせてるんじゃないかと疑ってるわ…」

ラフィエル「…なるほどなるほど」

ラフィエル「それで、サターニャさんはどう思ったんです?」

ラフィエル「ガヴちゃんに褒められて」

サターニャ「この胡桃沢=サタニキア=マクドウェルの真の魅力にやっと気付いたわね!という気持ちね!」

ラフィエル「…なるほどなるほど」

ラフィエル「それで、サターニャさんはどう思ったんです?」

ラフィエル「ガヴちゃんに褒められて」

サターニャ「この胡桃沢…ってループしてるわよね!?」

ラフィエル「そんな事ないですよ」

サターニャ「あるわよ!」

ラフィエル「ただサターニャさんが私の問いに答えてくれていないだけです」

サターニャ「答えてるじゃない…」

ラフィエル「もっと正直に、一番初めに湧き上がった感情を思い出してみてください」

サターニャ「え………う、嬉しかった」

ラフィエル「もうひとつ前です」

サターニャ「ええ?!これが最初よ!これが!」

ラフィエル「そんなはずありません」ゴゴゴ

サターニャ「こ、怖いわよ顔が……えーと、ん~~と…」

サターニャ「………ドキッとした……?」

ラフィエル「…はい、きっとそれが一番初めに思った事です」

サターニャ「なんであんたにそんな事分かるのよ」

ラフィエル「…あんな乙女な顔を見たら誰でもわかりますよ」


ラフィエル「サターニャさんは自分の気持ちに対して素直ではないですよね」

サターニャ「何よ。そんなことないわよ」

ラフィエル「そんなことあるんです。そういう所、今のガヴちゃんに少し似てますよ」

サターニャ「私とガヴリールが似てる!?う、嬉しくないわよそんなの!?」

ラフィエル「随分嬉しそうなお顔ですね♪」

サターニャ「もー!!あんたもなんなのよ!!」


ラフィエル「サターニャさんはきっと、その気持ちに気付けません」

サターニャ「私が自分の気持ちに素直じゃないから、かしら?」ムカー

ラフィエル「そうです」

ラフィエル「心が高鳴ったその理由に、素直になれないからです」

サターニャ「その理由とやらをラフィエルはわかるっていうの?」

ラフィエル「はい」

サターニャ「じゃあ言ってごらんなさいよ」

ラフィエル「……」

ラフィエル「それは……恋ですよ、サターニャさん」

サターニャ「……???」

サターニャ「は…??こい……来い?鯉?」

ラフィエル「人を恋しいと思う、恋です」

サターニャ「………恋?」

ラフィエル「はい♪」

サターニャ「はあああああああああああ!?!?」


学校

サターニャ(私がガヴリールに恋ですって??!あの天使の顔した悪魔め!変なことばっかり言って!)

サターニャ(ガヴリールに恋なんてするわけないじゃない!)

サターニャ(ハッ!もしやあの天使二人で私をはめようとしている…??)

サターニャ(………)

サターニャ(でも……)

サターニャ(…あぁ~!!なんだかモヤモヤするわ!)

サターニャ(こうなったら!)

サターニャ「ガヴリール!私と勝負よ!」

ガヴリール「またかよ。何するんだ」

サターニャ(…やっぱりおかしいわ。普段なら相手にもしないくせに)

サターニャ「放課後あんたの家に行くわ」

サターニャ「将棋で勝負よ!」

ガヴリール「将棋?サターニャ将棋弱いじゃん」

サターニャ「ククク…以前の敗北を経て私は夏の間修行をしたのよ!」

サターニャ「もうコンピューターの初級クラスには勝率60%よ!」

ガヴリール「おお」

サターニャ「どうかしら?今から降参してもいいのよ」

ガヴリール「すげーじゃんサターニャ。頑張ったんだな」

サターニャ「なっ…!!// と、当然よ!敗北のまま終わるなんて私の主義に反するわ!」

ガヴリール「それじゃあ放課後だな。…楽しみにしてる」

サターニャ「ふ、ふん!!震えて待ちなさい!」


授業中

サターニャ(このドキドキ…勝負前の緊張?…いえそんなカンジじゃないわ)

サターニャ(自分で気付けない感情…)

「……み…わ」

サターニャ(自分の気持ちに素直になれない…)

「…る…ざわ!」

サターニャ(恋…)

「胡桃沢!!!」

サターニャ「わっ、なにっ!?」

「胡桃沢、ここの問題を解いてみろ」

サターニャ「え…き、聞いてなかったわ」

「…うるさくないのはいいが、授業はちゃんと聞け」

ガヴリール「…」


ガヴリール宅

サターニャ「さあガヴリール!勝負よ!」

ガヴリール「よし、やろうぜ」

サターニャ「じゃあ先攻を…」

ガヴリール「まった」

サターニャ「なによ。水を差すには早いんじゃないのガヴリール」

ガヴリール「罰ゲームはないのか」

サターニャ「ふふふ…ちゃんと考えてあるわ!」

サターニャ「勝った方が負けた方になんでも好きなことができる!これよ!」

ガヴリール「ああ…まあいつも通りだな。よしやるか」

サターニャ「行くわよ!!」

サターニャ「………」チーン


ガヴリール「はい私の勝ち」

サターニャ「そ、そんな…私の修行の成果が…」ポロポロ

ガヴリール「いや、悪くなかったよ。またいきなり王様から動かしたりするんじゃないかってビビってたけど」

ガヴリール「ちゃんと歩から動かせるようになってて感動したわ」

サターニャ「ぐっ…!!慰めの言葉なんかいらないわ!!」

サターニャ「早く私を好きにすればいいじゃない!この悪魔!」

ガヴリール「天使なんだが…。まぁいいや、サターニャ後ろ向いてよ」

サターニャ「後ろ…?はい、向いたわよ」

ガヴリール「それ」シュルッ

ガヴリール「サターニャこっち向いて」

サターニャ「忙しいわね…」

ガヴリール「……」

サターニャ「な、何ジロジロ見てるのよ。髪紐ほどいてこれからどうするつもり…」ガタガタ

ガヴリール「いや、サターニャへの罰ゲームはこれで終わりだよ」

サターニャ「へ?」

ガヴリール「見たかったんだよ。おまえいっつも髪結んでるからさ」

サターニャ「えっ、こんなのでいいの?なんでも命令できるのよ??」

ガヴリール「こんなのとは失礼な。私は今とっても満足している」

ガヴリール「…ほどいてみたら、やっぱり可愛かったな」

サターニャ「…~~~~!!//」ボシュー

ガヴリール「?お、おいサターニャ?」

サターニャ「……」ボシュー

ガヴリール「これは死んだか?」

サターニャ「………ガヴリール」

ガヴリール「うおっ、生きてた」

サターニャ「あんたに聞きたいことがあるわ」


ガヴリール「なんだ?」

サターニャ「最近、あんたおかしいわ。私に対する態度が今まで違う…というか」

サターニャ「今まで私と話すとき、いっつも嫌そうだったじゃない!!」

サターニャ「最近はずっと…その…優しい…というか」

サターニャ「ちちち調子が狂うのよ!!」

ガヴリール「…今の私は嫌いか?」

サターニャ「…嫌いじゃないわ」

サターニャ「…ただ理由が知りたいだけよ。また私をはめようとしてるんじゃないかって」

ガヴリール「私は何も企んでなんかないよ、サターニャ」

ガヴリール「優しくしようと思って優しくしてるんじゃないし」

ガヴリール「言ったじゃん、登校日初日に。おまえの魅力に気付いたって」

サターニャ「でもそれは…!」

ガヴリール「二度は言わない」

ガヴリール「嘘、ついてないから」


サターニャ宅

サターニャ(わからない…わからないわ)

サターニャ(あの罰ゲームも、ガヴリールの言葉の意味も)

サターニャ(わからない…それでも一つ、わかったことがあるわ)



サターニャ「……好き」

ラフィエル「誰をでしょうか?」

サターニャ「ぬわあああああああああ!!!!!!!///」


サターニャ「ラフィエル!!あんた本当に怒るわよ!!!」

ラフィエル「サターニャさんのいるところが、私のいるところですから」

サターニャ「もう何度も聞いたわよ!!!」

ラフィエル「まぁまぁ落ち着いてください」

サターニャ「これが落ち着いていられるわけないでしょ!!」ウガ-!

ラフィエル「ではお詫びに高級メロンパンを差し上げますので…」スッ

サターニャ「うっ…!!し、仕方ないわね」

ラフィエル「本当にちょろくて助かります~♪」


ラフィエル「それで…気付きましたか、自分の気持ちに」

サターニャ「…知らないわよ」

ラフィエル「本当に素直じゃありませんね、サターニャさん」

ラフィエル「これではガヴちゃんの方がずっと大人です」

サターニャ「なっ!私がガヴリールより子どもだっていうの!?」

ラフィエル「そうです。…サターニャさん」

ラフィエル「自分の気持ちを隠してしまっても、辛くなるだけですよ」

ラフィエル「それが恋心だと…もっとです」

サターニャ「………ぐぐ」

サターニャ「……す、好きよ」

サターニャ「わ、私はガヴリールのことが好き!!!これで文句ないかしら!!//」カァァ

ラフィエル「はい♪よくできましたね、サターニャさん」

サターニャ「本当に子どもみたいじゃない…」


ラフィエル「それでは、ガヴちゃんと両想いになろう作戦を練りましょう!」

サターニャ「ま、待ちなさいよ!!そんな勝手に!!」

ラフィエル「どうしてですか?」

サターニャ「どうしてってそんな…は、恥ずかしいじゃない…!」

ラフィエル「大悪魔翌様でも恥ずかしがることがあるんですね」

サターニャ「そ…そうよ!…恥ずかしいのよ」

ラフィエル「ふふっ、素直になってきましたね」

ラフィエル「でも今はそれではいけません!」

サターニャ「ええ!?」

ラフィエル「想いを繋ぐにはアタックあるのみ!そう!」

ラフィエル「ガヴちゃんをデートに誘いましょう!」

サターニャ「え、ええええ!??!」


学校

サターニャ「すーー、はーー」

サターニャ(落ち着くのよ、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル)

サターニャ(ガヴリールを遊びに誘う。そう考えればいいのよ!)

サターニャ(…って、昨日家に行ったじゃない!何よ!楽勝じゃない!)

サターニャ(…今、昨日と同じことが言えるかしら)

サターニャ「………//」ブシュ-

ガヴリール「顔真っ赤だぞサターニャ、風邪か?」

サターニャ「ガ、ガヴ、ガヴリール!!??」

ガヴリール「うおっ、びっくりした」

ガヴリール「大丈夫かよ、お前」

サターニャ「だ、だ、大丈夫よ!!それよりガヴリール!」

サターニャ「昨日のリベンジよ!!勝負しなさい!!」

ガヴリール「ああ、いいよ」

ガヴリール「昨日はサターニャが何するか決めたから、今回は私が決めていい?」

サターニャ「いいわよ!なんでもかかってきなさい!」

ガヴリール「じゃあ100m走、やろうぜ」

サターニャ「…いいの?あんた100m走る体力ないじゃない!」

ガヴリール「いいんだよ。負けたら昨日と同じ罰ゲームで」

サターニャ「ふっふーん!分かったわ!私の運動神経がいかに優れているか見せてやるわ!」

ガヴリール「じゃ、放課後グラウンドで」


グラウンド

ラフィエル「さあやって参りました!ガヴちゃん対サターニャさん、100m走勝負!」

ラフィエル「スターターは私、ラフィエルが務めさせていただきます」

サターニャ「準備はいい?ガヴリール!」

ガヴリール「ああ、いつでもいけるよ」

ラフィエル「では位置について、よーい…」

ラフィエル「どん!!」

サターニャ「うおおおおおおお!!!」


ラフィエル「勝者、サターニャさん~!」

サターニャ「完璧な勝利…!最高の気分よ!」

サターニャ「ガヴリール、見たかしら!」

ガヴリール「……」ゼーハー

サターニャ「今にも死にそうな顔してるわね…」

ガヴリール「…や、やるじゃん。完敗だよ」ゼーハー

ガヴリール「…やっぱ、50mにしとけばよかったか…」

ガヴリール「…いやまぁ…かっこいいところ見せてもらったよ」

サターニャ「何ブツブツ言ってるのよガヴリール!」

サターニャ「罰ゲーム!受けてもらうわ!」


ガヴリール「で、私に何させるんだよ」

サターニャ「今週の土曜日、近くの神社で祭りがあるわ!」

ガヴリール「祭り?まだやってるところあんのか」

サターニャ「とある情報筋から入手した有力な情報よ!そこでガヴリール!」

サターニャ「…わ、わた、私と!!」

ガヴリール「サターニャと?」

サターニャ「その…私と…!!」

ラフィエル「サターニャさん、ファイトです♪」

サターニャ「う、うっさいわね!」

サターニャ「ガヴリール!!」

ガヴリール「はいはい」

サターニャ「私と!!祭りに行く権限を与えてあげるわ!!!」ドキドキ


ガヴリール「……!」

サターニャ「どうかしら?罰ゲームというよりむしろご褒美よ!」

サターニャ「この大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様と祭りに行けるのよ?!」

ガヴリール「……」

サターニャ「光栄に…ってガヴリール、俯いちゃってどうしたのよ」

サターニャ「えっと…私と一緒に行くの…嫌かしら…?」

ガヴリール「…ううん。行こうよ。…というか、行きたい」

ガヴリール「おまえの言う通りだよ、全然罰ゲームじゃない」

ガヴリール「…楽しみにしてるから」ダッ

サターニャ「え?ちょ、ガヴリール!?どこ行くのよ!?」

ガヴリール「帰る!!じゃーな!サターニャ!!」

ガヴリール「ラフィも、ありがとう!」

サターニャ「……」

サターニャ「ラ、ラフィエル…」アワアワ

ラフィエル「大成功ですよ、サターニャさん」

サターニャ「ほ、ほんと!?ほんとに!?」

ラフィエル「はい♪これ以上ないほどに」

サターニャ「よっしゃー!!!」


サターニャ「流石私ね…あっさり作戦を成し遂げてしまったわ!」

ラフィエル「デートの方もその調子で頑張りましょう!」

サターニャ「あ………」カチーン

ラフィエル「?サターニャさん?」

サターニャ「そ、そうじゃない!!!そっちが本番じゃないの!!」

サターニャ「どどどーしましょう!!?」

ラフィエル「あら~」


金曜日 夜 サターニャ宅

サターニャ「も~~明日どーすればいいのよ~~!!」ジタバタ

サターニャ「一緒にお祭りに行って、それで、それで…」

サターニャ「あ~~!!ラフィエル!何かアドバイスしなさいよ!」

ラフィエル「アドバイスですか…」

ラフィエル「サターニャさんはもう、何をすればい良いのか分かっている筈では?」

サターニャ「う…」

ラフィエル「何がサターニャさんを躊躇わせているのでしょう」

サターニャ「そんなの…沢山あるわよ」

サターニャ「ガヴリールは女の子で、天使よ」

サターニャ「私も女の子で、悪魔よ」

サターニャ「躊躇う理由なんて…いくらでもあるわ」


ラフィエル「そうでしょうか」

ラフィエル「人が人を想う事に、性別は関係ありません」

サターニャ「悪魔が天使を好きなのはどうなのよ!」

ラフィエル「サターニャさん、私とサターニャさんは友達ですか」

ラフィエル「ガヴちゃんとヴィーネさんは、友達ではありませんか」

サターニャ「……友達よ」

ラフィエル「なら、そこが恋人に変わってもおかしくはないでしょう」

サターニャ「友達と恋人じゃ、全然違うわよ…」

ラフィエル「そうかもしれませんね。すみません、ここは少し強引でした」

ラフィエル「ねぇサターニャさん、一番の理由は自分に自信がないからではないでしょうか」

サターニャ「……」

ラフィエル「私なんかじゃガヴリールと両想いにはなれない、そう感じていませんか」

サターニャ「…そうよ」

ラフィエル「サターニャさんは普段、誰もが自分を慕うようになれと声高らかに仰っていますが」

ラフィエル「その実、あなたへ尊敬の念を向ける方はいません」

ラフィエル「サターニャさんの振る舞いはむしろそれを遠ざけます」

サターニャ「…うっ」グサッ

ラフィエル「でも、だからこそ私はサターニャさんが好きですよ。ヴィーネさんも、もちろんガヴちゃんも」

ラフィエル「それはきっとサターニャさんがどこまでも純粋に全てを受け止める方で」

ラフィエル「他の誰よりも素朴な方であり、無邪気であり、何より…」

ラフィエル「かわいらしい女の子だから、です」

ラフィエル「自信を持ってください。貴方のような方は二人といません」

ラフィエル「女の子同士だからって、相手がガヴちゃんだからって、サターニャ様にかかればイチコロです♪」


サターニャ「ラフィエル…」

サターニャ「…覚悟はできたわ」

サターニャ「私、ガヴリールに好きだって伝える!!!」

ラフィエル「はい♪きっと成し遂げることができますよ」

サターニャ「ラ、ラフィエル!」

サターニャ「その……い、色々とありがと」

ラフィエル「……!」

ラフィエル「……はい」


当日 神社前

サターニャ(意気込んだのはいいけど、緊張で全然眠れなかったわ…)

サターニャ(浴衣、変じゃないかしら…)

サターニャ(ガヴリール、早く来て欲しいような、来て欲しくないような)

サターニャ(ダメよ!胡桃沢=サタニキア=マクドウェル!弱気はダメよ!)ブンブン

ガヴリール「よっ、サターニャ」

サターニャ「ガ、ガヴリール!」

サターニャ「敗者が私より遅く来るなんていい度胸ね!」

ガヴリール「すまんすまん」

サターニャ「と言うかあんた!浴衣の一つくらい着てきなさいよ!」

ガヴリール「着るのも脱ぐのもめんどくさくて」

サターニャ「まぁ、あんたらしいわ…」

ガヴリール「サターニャは浴衣、似合ってんな」

サターニャ「……あ、ありがと」

ガヴリール「水色?か、いい色だな」

サターニャ「みずあさぎ…?って言う色らしいわ!」

ガヴリール「へぇ~なんか知らんがかっこいい名前じゃん」

サターニャ「まるで私のようね!」

ガヴリール「よし行くか」

サターニャ「無視すんなあ!!」


ガヴリール「人多いなぁ」

サターニャ「そうね、9月なのに意外だわ」

ガヴリール「はぐれんなよ」

サターニャ「ガヴリールこそ。あんた小っちゃいんだから見つけるのに苦労しそうだわ」

ガヴリール「その時は空でも飛ぶから、見つけてくれ」

サターニャ「ガヴリールにしてはなかなか名案じゃない!」

ガヴリール「ツッコミの存在って大事なんだな」


ガヴリール「……ん」スッ

サターニャ「な、何よ。手なんか出して」

ガヴリール「手、握ってよ」

サターニャ「は!?…は!!?//」

ガヴリール「はぐれんの嫌だろ」

サターニャ「しっ、しし仕方ないわね!」

ガヴリール「手冷たっ、おまえ冷え性か?」

サターニャ「た、たまたまよ。…嫌なら離すけど」

ガヴリール「…いや、冷たくてちょうどいいわ」

サターニャ「そう…」

サターニャ(こうやって、お互いに触れ合うのは初めてな気がする)ドキドキ

サターニャ(小さくて、暖かくて、柔らかい手ね…)


サターニャ(胸の鼓動がこんなに早くなったのは初めてだわ)

サターニャ(顔が熱くて、それでも緊張で手は冷えて)

サターニャ(とっても幸せなんだけど…想いを告げるのが怖くなってくる)

サターニャ(弱気ね…いつもの私はどこに行ったのかしら)

サターニャ(大悪魔失格…ね)

ガヴリール「………」チラ

ガヴリール「サターニャ」

サターニャ「な、なによ」

ガヴリール「金魚すくいで勝負しようぜ」

サターニャ「珍しいじゃない。ガヴリールから勝負を持ちかけるなんて」

ガヴリール「たまにはな。負けた奴は出店でなんか奢ること!」

サターニャ「いいわね!今からなにを買ってもらうか迷うわ」

ガヴリール「勝つ気満々だな」

サターニャ「とーぜんよ!」


ガヴリール「多くすくい上げた方が勝ちな」

サターニャ「ふん、ここにいる全てをすくいきってやるわ!」

サターニャ「とりゃーー!!」ビリ

サターニャ「え゛っ」

ガヴリール「うわ、こいつ早速破りやがった」

サターニャ「ちょ、ちょっとなによこれ!すぐ破れるじゃない!」

ガヴリール「そういうもんなんだよ」ヒョイ

ガヴリール「はい、私の勝ち」ニヤリ

サターニャ「くっそ~~!!!!」


ガヴリール「サターニャよっわ~い」

サターニャ「う、うっさいわね!まぐれよまぐれ!」

ガヴリール「私はかき氷が食べたいぞ」

サターニャ「わかったわよ…何味にするの」

ガヴリール「いちご」

サターニャ「…あんたらしいチョイスね」


サターニャ「はいどーぞ」

ガヴリール「サンキュ」

ガヴリール「自分の分買ってこなかったのか」

サターニャ「私はいいわよ」

ガヴリール「そっか、おー頭キンキンする」

ガヴリール「サターニャはいちご嫌いか?」

サターニャ「好きよ!いちごオレはよく飲むわ!」

ガヴリール「じゃあハイ、あーん」

サターニャ「ちょっ!恥ずかしいからそんなことできないわよ!//」

ガヴリール「いいから口開けろ、ほっぺたつねるぞ」

サターニャ「う…わかったわよ」

ガヴリール「はい、あーん」

サターニャ「あ、あーん」

ガヴリール「どう、うまい?」

サターニャ「うん…美味しいわ」ドキドキ

ガヴリール「そりゃよかった」ニコッ

サターニャ(味なんて…わからなくなるわよ…)


ガヴリール「次は射的やろうぜ」

サターニャ「射的…私に射的で挑もうとはいい度胸じゃない!」

ガヴリール「お、自信ありげじゃん」

サターニャ「魔界のガンマンと呼ばれた私に敵うやつなんていないわ!」

ガヴリール「絶対呼ばれてないだろ」

サターニャ「まぁ見てなさい!全て撃ち落としてやるわ!」

ガヴリール「なんかさっきも同じようなセリフ聞いたな」


ガヴリール「私はあのくまさんのぬいぐるみが欲しい」

ガヴリール「あれを撃ち落とした方が勝ちだ」

サターニャ「これ、どっちが勝ってもあんたにとっておいしい話じゃないの!」

ガヴリール「まぁさっきと一緒で負けた奴はなんか奢るのはそのままだし、な?」

サターニャ「な?じゃないわよ!丸め込もうったってそうはいかないわ!」

ガヴリール「未来の大悪魔翌様は心が狭いですなぁ~」

サターニャ「ぐぬぬ…わかったわよ」


ガヴリール「よしじゃあ私から行くぞ」

ガヴリール「うりゃ!」パン!

ガヴリール「外した…だと…?」

サターニャ「あーっはっはは!下手ねえガヴリール」

ガヴリール「くそ…じゃあ魔界のガンマンさんの腕前、見せてもらうか」

サターニャ「ふん…見てなさい!まず弾はできるだけ奥まで詰め込んで…」

サターニャ「銃を標的に出来るだけ近づけて…」

サターニャ「撃つのよ!!」パンッ!


ガヴリール「おお…私の手にくまさんが…」キラキラ

サターニャ「勝ったのに微妙な気分ね…」

ガヴリール「この功績は大きいぞ、サターニャ!」

ガヴリール「ありがとな」ニコッ

サターニャ「……!」ドキッ

サターニャ(もう心臓がもたないわよ…こんなのじゃ…)

ガヴリール「サターニャ何食べたい?」

サターニャ「…そうね。綿菓子がいいわ」

ガヴリール「子供っぽいな」

サターニャ「あんただっていちごのかき氷食べてたでしょ!」

ガヴリール「じゃあ似たもの同士だな」

サターニャ「そう…ね」


ガヴリール「はい、綿菓子買ってきてやったぞ」

サターニャ「敗者のくせに随分と上からね」

ガヴリール「へいへいすみませんでした」

サターニャ「あんた絶対思ってないでしょ」

ガヴリール「早く食えよ、溶けちまうぞ」

サターニャ「え!!綿菓子って溶けるの!?」

ガヴリール「そうだぞ早く食べろ~」ニヤニヤ


サターニャ「ん~おいし~!」

ガヴリール「よかったな」

サターニャ「あら~?ガヴリールも食べたそうな顔してるわね」ニヤニヤ

ガヴリール「顔ウザい。やめろ」

サターニャ「食べたければ特別にわけてあげてもいいわよ?」ニヤニヤ

ガヴリール「…じゃあくれ」

サターニャ「やけに素直ね…。ほ、ほら、食べなさいよ」

ガヴリール「なんだよ、さっきみたいにしないのかよ」

サターニャ「さっ、さっきのって何よ!」

ガヴリール「あーんってやつ」

サターニャ「あ、あんたに羞恥心ってやつはないの!?」

ガヴリール「あるに決まってるだろ」

ガヴリール「いいから早く」

サターニャ「…う。はい、あ、あーん」

ガヴリール「あーん…ん、うまい」

サターニャ「…よ、よかったわね//」


サターニャ「……」チラッ

サターニャ「もうそろそろね」

ガヴリール「ん?何が?」

サターニャ「もう少しで花火が上がるのよ!」

ガヴリール「花火か、そりゃいいな」

サターニャ「とある情報筋から得た、花火がよく見えて人が来ない場所へ案内するわ!」

ガヴリール「とある情報筋さんに感謝だな」

サターニャ「さあ行くわよ!早くしないと間に合わなくなるわ!」

ガヴリール「へいへい」


ガヴリール「へー、本当に人いないんだな」

サターニャ「そうね…あそこのベンチに座りましょうか」

ガヴリール「よく見えそうだ……おっ」

ヒュ~~~~~~ドンッ

サターニャ「きたわね!」

ガヴリール「おー…綺麗だな」

サターニャ「……そうね」

ガヴリール「……」

サターニャ「……」

ガヴリール「……今日さ」

ガヴリール「…本当に罰ゲームじゃないよ、こんないい場所まで連れてきてもらって」

ガヴリール「…なぁサターニャ、どうして私を祭りに誘ったんだ」

サターニャ「そ、それは…」ドキッ



サターニャ「……」

サターニャ「……ガ、ガヴリールと祭りに行きたかったからよ」

ガヴリール「それなら普通に誘ってくれればいいじゃん」

サターニャ「勝負事にしないと、来てくれないと思ったし…」

ガヴリール「なんでだよ」

サターニャ「だって…!ガヴリールは私のこと、嫌いなんじゃないかって思って…」

ガヴリール「……嫌いだったことなんて一度もねーよ」

サターニャ「そ、そうなの?」

ガヴリール「うん。確かにおまえはウザい時も鬱陶しい時もあるけど」

サターニャ「…うっ」グザッ

ガヴリール「なんだろうな…愛おしい奴だなって、思うよ」

サターニャ「ガヴリール…」ドキッ

サターニャ「……」

サターニャ「あ、あの、ガヴリール」

ガヴリール「なんだ?」

サターニャ「そ、その、わ…わ…」

サターニャ「私…っ!」ドキドキ

サターニャ「私…!ガヴリールのことが好き!!あんたのことが他の誰よりも好き!!」


ガヴリール「え……?」

ガヴリール「サターニャ…今なんて…」

サターニャ「…す、好きって言ったのよ!二度も言わせるんじゃないわよ!//」

ガヴリール「好きって…私を…?そ、それは友達として…?」

サターニャ「……恋愛感情よ」

ガヴリール「………マジか」ポカーン

サターニャ「……マジよ」

ガヴリール「私…夢でも見てんのかな」

サターニャ「ガヴリールは…?」

ガヴリール「…えっ?」

サターニャ「ガヴリールは私のこと、どう思ってるのよ…」

ガヴリール「私は……」

ガヴリール「…私も、サターニャが好きだよ」


サターニャ「へ……?」ポカーン

サターニャ「……ほ、ほんとに…?」

ガヴリール「ほ、本当だよ!文句あるか」

サターニャ「全然、文句なんてないけど…」

サターニャ「こんなに…こんなに嬉しいことはないわ」ドキドキ

ガヴリール「…私もさ、サターニャと同じこと考えてた。多分こいつは私のこと嫌いだろうって」

ガヴリール「それでも私はサターニャが好きで、どうしたもんかと悶々と過ごしてたんだけど」

ガヴリール「随分と、遠まわりしてたんだな…」

サターニャ「…なんだか私たちバカみたいね」

ガヴリール「バカはサターニャだけで十分だってのに」

サターニャ「ちょっと!誰がバカよ!」

ガヴリール「自分から言いだしたんだろ!まぁでも…」

サターニャ「なによ」

ガヴリール「…私から好きだって言うつもりだったんだけどなぁ」

ガヴリール「うまいこと、いかないもんだ」


ガヴリール「…サターニャ、ぎゅってしてもらってもいい?」

サターニャ「…は?!何?!何?!//」

ガヴリール「ハグだよハグハグ」

サターニャ「ハグ!??//」

ガヴリール「いやならいいけど」

サターニャ「い、嫌じゃないわよ!でも恥ずかしいじゃない…」

ガヴリール「大悪魔翌様はハグもできないんですか~?」

サターニャ「くっ…!わ、わかったわよ!!ほら!」ギュッ

ガヴリール「ぐえ、きついきつい!プロレスじゃないんだぞこら!」

サターニャ「ご、ごめんなさい」オロオロ


ガヴリール「あー全てが報われていくようだ…」ギュー

サターニャ「…大袈裟ね」

サターニャ「…ねぇ、聞いてもいいかしら」

ガヴリール「なに」

サターニャ「いつから私を好きだったのよ。後、なんで好きなのよ」

ガヴリール「…羞恥心で私を[ピーーー]気か」

サターニャ「こうやってハグしたお礼で、答えなさいよ」

ガヴリール「えー…夏休みの間に、好きになった」

サターニャ「ほとんど会ってないじゃない」

ガヴリール「だからかな。夏の間、サターニャにあんまり会わなかったじゃん」

ガヴリール「家でゲームばっかしてたよ。でもさ、なんかつまらなかったんだよね」

ガヴリール「むしろ夏休み前の方が退屈していなかった事に気付いたんだ」

ガヴリール「なんで今の方がつまらないんだろうって考えたら、おまえの顔が浮かんだんだよ」

ガヴリール「いつだって予想外の反応をするサターニャを見てるのが楽しくて」

ガヴリール「いつだって純粋に物事を受け止めるサターニャを思い出して」

ガヴリール「おまえがいたから私は楽しかったんだって気付いたんだよ」

ガヴリール「同時にこの気持ちが、友情とは少し違うことにもさ」

ガヴリール「それからは、ずっとサターニャのこと考えてた」

ガヴリール「んーこう考えるとあれだな、いつ好きになったかは少し訂正する」

ガヴリール「自分の気持ちに気付かなかっただけで、私はずっと前からサターニャが好きだったんだ」


サターニャ「そ、そそそうだったの//」

ガヴリール「そうだよ…はー…はっず」

サターニャ「…あんたが登校日初日からやけに優しかった理由がわかったわ」

ガヴリール「別に優しくしようとして優しくしてたわけじゃない」

ガヴリール「…気持ちが態度に出ただけだ」

ガヴリール「そういや疑ってたもんな、サターニャ」

サターニャ「あ、当たり前よ!何かよからぬことを企んでいるに違いないと思っていたわ」

ガヴリール「…ま、今そのよからぬことをしてるようなもんだけどな」

サターニャ「……ばか」



「悪魔が乙女に変わる頃」 完

以上となります。お目汚し失礼しました。

ガヴドロSSでこういうのも書いてます。お暇があれば是非読んでみてください。
ヴィーネ「ガヴリールの大切なものって…何?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488603115/)

相変わらず素晴らしい

素晴らしい乙

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