【艦これ】伊14「光作戦発動!」 (18)

スレ立て代行

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意味不明

てす

初投稿!
今から投下していきます。手間取ってすみません

※地の文あり
※Ifあり

「E1」

 

5/10

春も終わる白い日差しが、瀬戸内の穏やかな海に降りそそぐ。あぁ、泳ぎたいなぁ! でも、と鎮守府の窓から外を眺めていた私は心の中でため息をついた。

でも、あの海、いっぱい機雷が浮かんでるんだろうな。あの昔は優しかった海に無数の機雷が漂っていることを考えると少し悲しい。

「と言うわけで、爾後の潜水艦隊は舞鶴と七尾港で訓練することになった」

提督が参謀長からの電報と作戦文書を読み上げ、今後の大まかな方針について説明していた。はっ、として私は提督の顔に視線を戻した。ぼんやりして、話をまったく聞いてなかった。

提督は私の顔をじっと見つめて「聞いていたか? 伊14?」と言った。

聞いていない。とはいえ怒られるのもイヤだ。私は内心の焦りを隠した。「うん! もちろん!」こういう時は勢いと笑顔で乗り切るっきゃない。

「本当か……?」提督は訝しげな表情を浮かべながらもそれ以上の追及をしようとはしなかった。よしよし、あとでお姉ちゃんにきいておこう。

「君たちとはお別れになるが、いまや内海ですら危険な状況だ。たとえ舞鶴・七尾への回航といえども油断せぬように」

提督が文書を机に置き、語る。諸君らは日々西に東の奮闘をしているが敵の活動はとどまるところを知らず、最近は頻繁にこの呉鎮守府でも空襲警報が鳴る。これはひとえに司令部の働きが悪いせいで誠にすまない。

ときどき奴らが落としていく機雷のおかげで、艦隊の訓練すらもままならない状況は重々承知だと思う。

先日も伊366が訓練中に触雷し、小破した。各艦の水上行動は当面差し止めとなり、このところ君たちも鎮守府で暇を持て余していることだろう。

ここ呉にいつまでもいては練度が下がる一方だし、安全な日本海側への回航は君たちに良い訓練海面を提供してくれるだろう。

「日時の詳細は決まっていないが、じきに君たちは出港となるはずだから、しっかり準備をしておくように」

そう提督が締めくくってその場は解散となった。

※あらかじめネタバレ
伊13は史実通りの運命を辿ります
ご了承ください

「お姉ちゃん。わたしたち、離れ離れになったりしない?」

居室で荷物をまとめていると妹の伊13が心配そうに尋ねてきた。

夕暮れの陽光が、窓ガラスを通して居室にさしこむ。ガラスの破片飛散防止のテーピングが畳に細い影を落とす。潜水艦の躾として、あまり私物は置いていないがそれでも私たちの憩いの場となった二人の部屋。ここともお別れと考えると感慨深いものがある。

妹の心配も当然だった。潜水隊の解隊・再編成が相次ぎ、今まで一緒に戦ってきた仲間たちとも長いこと会っていない。

「大丈夫。……きっと一緒に行けるわ。……きっと、提督がそのように采配してくれるわよ」

「だといいなぁ」妹はベッドに寝転がって天井を眺めている。

「……荷物、まとめちゃいなさい。イヨちゃん」

「はーい!」

妹は元気よくベッドから飛び降りた。

それを見て私はくすりと笑った。妹には言えないが実のところ、私も離れ離れにならないか不安だった。

5/27

「しゅっこーよーい」

輝かんばかりの朝陽の中、ピカピカに磨かれたラッパが吹奏され、わたしは久しぶりに海に足をつけた。ひやっ、と冷たい感触と磯の香り。うーん、やっぱり海はいい!

「じゃあ、伊14も元気でな」

岸壁にまで提督が見送りに出てきてくれていた。

「イヨちゃーん! わたしもすぐ追いつくから、待っててねー!」ドックで修理中のしおいちゃんもいた。旗艦のしおいちゃんが入渠中なのは、ちょっと心細い。

「うん! 提督、いってきまーす! しおいちゃん、まってるからー!」わたしは手を振り、ゆっくりと速力を上げていく。

お姉ちゃんは一足先に門司に向けて出港していた。とっても嬉しいことに七尾北湾でも一緒に訓練ができるらしい。

「おっとっと」

あやうく足をとられそうになった。身体、にぶっているかも。

「おいおい、大丈夫か?」見送りに来ていた人たちからからかわれる。ちょっと恥ずかしい。

「だいじょーぶだよ! みんなー、お世話になりましたー! またねー!」

「おう、頑張って来いよ!」

岸壁で帽振れが始まった。速力を原速にすると、ぐんぐんと提督たちの姿が小さくなる。すぐに見えなくなった。

誰も見えなくなると少しさびしい。機雷を避けるため、海図を見ながら慎重に掃海水道を走る。見慣れた山陽の緑濃い山々が後ろへ消えていく。

「あれ?」

前方に黒煙が吹き上げている。異常な量の煙は水平線下から吹き上がっていた。近づくとその正体が現れた。

「油槽船……」

掃海水道上で炎上する油槽船が半ば海中に沈みつつあった。救助艇が周囲を取り囲み、民間人の移乗を促している。

見れば、通過する伊14への敬意か油槽船の旗竿には日の丸が半揚されようとしていた。

「救助しなきゃ」

わたしたちの重油もあの人たちが南方からわざわざ運んでくれているのだ。

進路を右に転じようとすると、油槽船から手旗で信号が送られてきた。『救助ハ無用。武運長久ヲ健闘ス』

「……でも」

あの人の言うことはもっともなのだ。内海とあって救助艇は多数駆けつけているし、わたしは移動とはいえ任務の途上なのだ。しかも、救助に駆けつけて周辺の機雷に巻き添えを食らわないともかぎらない。

「ごめんね」

掃海水道上とはいえ絶対の安全じゃない。機雷への警戒を厳にしながら、わたしは先を急いだ。

今か今かと妹の到着を待っていた。触雷した油槽船を見てからというもの、妹が無事に門司まで来れるか心配でたまらない。

岸壁から透かし見る水平線の彼方に艦影が浮かび上がる。太陽はすでに山の向こうに沈み、闇夜に包まれる門司港に、妹の伊14が到着した。

「おねえちゃん!」元気に手を振りながら停止する、妹の姿に安堵を覚える。

「イヨちゃん、無事で……よかった」

「もー、大丈夫だよ。今日はここで一泊でしょ? それで、それで、そのあと鎮海まで一緒に行って、さらにそのあとの舞鶴までも一緒だよね!」

「そうよ。……さぁ、挨拶を済ませてきなさい」

先発していた私はすでに港長への挨拶を済ませてある。

「はーい」

妹が挨拶をすませ、遅めの夕食を一緒に取っていた時だった。

突如として山あいの門司にブザーが鳴り響く。

『福岡県、警戒警報』

『福岡県、警戒警報』

聞きなれたブザー音。すぐに空襲であるとわかった。それを裏付けるように、ブザーはサイレンへと変わる。

『空襲警報。23時30分、敵の編隊は北上し……』

「目標はどこだろうねー」妹は持ち前ののんきさで、酒の湯飲みを片手に空を見上げている。

私はおそらく北九州の工業地帯だろうと見当をつけた。この頃、よく爆撃されていると聞く。

数条の探照灯が夜空を切り裂き、敵機を捕えようと目まぐるしく駆け回る。ひと筋が敵大型航空機を捉える。

『敵大型機数機、八幡、小倉の工業地帯に侵入しました』

『まもなく小倉の高射砲が斉射を始めますので、注意してください』

「あはは、黄色いたこ焼きだー」妹はすでに酔っているのか、単縦陣で侵入してくる敵機を見て歓声をあげた。

「イ、イヨちゃん……、灯火管制下だから……」

たしなめる私の声も聞かず、妹は一口酒を飲み、その明るく楽しそうな笑顔を私に向けた。空を指さし無邪気に笑う。そんな顔で見られるとどうしても強く言えなくなってしまう。

高角砲と対空機銃の迎撃音が山にこだまする。

「見て! 見て! 落ちるよ!」

妹の声につられて空を見上げると、編隊の後方を飛んでいた陸爆が夜空に爆発の炎を焦がし、墜落していく様子がはっきりと見えた。

思わず気分が高翌揚する。妹はひときわ歓声を挙げ、私はその光景に見とれていた。

燃える機体は線香花火の火玉のように、一条の紅の放物線を描きながら門司の山向こうへと落下していった。

とりあえず今日はここまで
また書きためたら更新します
お読みいただきありがとうございましたー

6/3

お姉ちゃんと一緒の回航を終え、七尾北湾に入港した。すぐに晴嵐が4機飛んできて、お姉ちゃんと手分けして揚収する。

これからしばらく、お姉ちゃんとこの晴嵐の使い方について訓練ができる。

と思った矢先のこと。

「すみませんでした!」

わたしは司令に頭をさげねばらなかった。お姉ちゃんも一緒に謝罪についてきてくれているのが嬉しくも申しわけない気持ちだ。

晴嵐を受け取って訓練数日目、格納のときに間違ってフロートを壊してしまったのだ。もともとあまり予備部品のない機体、しかも新鋭機とあっては大目玉を食らうのも当然だった。

「本当に申し訳ございません。……妹のほうには私からきつく言っておきますので……」

何も悪くないお姉ちゃんの謝罪を聞くのは泣きたくなる。

「今回のことは慣熟訓練中のことであったし、間違いというものは、そう、誰にでもある」そう諭す司令の顔は明らかに怒っていた。

新しいフロートはすぐに届いた。訓練は再開となり、わたしは慎重には慎重をかさねて晴嵐を運用した。最初は心配そうに射出と格納を見守っていたお姉ちゃんも数日すると、信頼してくれたのかわたし一人に任せてくれるようになった。

でも、問題は他にもあった。

「なにこれー。なんなのよー」

晴嵐の整備が難しくてうまく飛ばないのだ。

「お姉ちゃんずるいよー」    

お姉ちゃんの晴嵐は2機とも空に舞い上がり、パイロットの妖精さんたちがご機嫌に翼を並べている。

一方でわたしはと言えば……、1機はなんとか上がったけれど2機目がどこか故障していてカタパルトから射出できないでいた。妖精さんが汗を流しながら整備してくれているけど、今日は飛びそうにない。

「……こればっかりは……しかたないわ」

お姉ちゃんが気の毒そうに慰めてくれるがやっぱり悔しい。明日は2機とも飛ばしてみせるんだから!

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