魔法使い「隕石を落とす魔法を極めた」 (17)
記者「お待たせしました。すみません、トイレが長引いてしまいまして」
魔法使い「いえいえ」
記者「では取材を始めさせていただきます」
魔法使い「よろしくお願いします」
記者「さっそくですが、あなたは隕石を落とす魔法を極めた、とか?」
魔法使い「はい、極めました」
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記者「極めたということは、やはり……」
記者「とんでもなく大きな隕石を降らせることができるようになった、ということでしょうか?」
魔法使い「いやいや、そんなことは魔力さえあれば誰でもできること」
魔法使い「ものすごい怪力を用いて剣で岩を砕いて、剣を極めた、というようなもの」
魔法使い「大きさや破壊力を誇るような魔法使いは、しょせん二流なのです」
記者「これは恐れ入りました……」
記者「ではずばり伺いましょう」
記者「あなたはどのように、隕石を落とす魔法を極めたのですか?」
魔法使い「……まずは、精密性をお見せしましょう」
記者「……は」
魔法使い「どこでもいいです。地面に小さく円を書いて下さい」
記者「は、はい。分かりました」
記者「これでいいですか」カリカリ…
魔法使い「結構です」
記者「はぁ……」
魔法使い「では始めます」
魔法使い「落ちよ、隕石!」パァァァ…
ヒュルルルル……
記者「あっ、落ちてきた!」
魔法使い「…………」
記者「ま、まさか……」
ボトッ!
記者「おおっ! 私が書いた円の中に正確に落ちた!」
魔法使い「……ね?」
記者「もう一回やってもらってもいいですか?」
魔法使い「どうぞ。円を複数書いてもらっても結構ですよ」
記者「じゃあ、次はこことここと、ここ」カリカリ…
魔法使い「落ちよ!」パァァァ…
ヒュルルルル……
ボトトトッ!
記者「す、すごい……!」
記者「昔、どんな小さな的にも矢を命中させる弓の達人を取材したことがありますが……」
記者「あの時と同じぐらい……いやそれ以上に驚いてますよ」
魔法使い「ありがとうございます」
魔法使い「しかしですね、こんなものはまだ序の口です」
記者「……え!?」
魔法使い「私ぐらいになると、こんなこともできます」
魔法使い「あ~……肩こったなぁ~」モミモミ
記者「あ、よかったら肩叩きでもしましょうか?」
魔法使い「いえいえ、大丈夫です。自分で叩きますから……」パァァァ…
ヒュルルルル……
記者(隕石が大量に落ちてきた……?)
記者(おいおい、まさか……)
ならば今すぐ
トトトトトトトンッ!
魔法使い「あ~……気持ちいい!」
記者「まさか、隕石で肩叩きするなんて……!」
記者「コントロールと力加減を誤ったら、命さえ落としかねないのに……とんでもない絶技だ!」
魔法使い「お褒めの言葉をありがとうございます」
魔法使い「――しかし!」
魔法使い「私の魔法にはまだ先があるのです」
記者「まだあるんですか!」
魔法使い「ええ……隕石を落とす練習をし続けた結果、私の魔法は――」
魔法使い「隕石だけでなく、あらゆる石に作用するようになったのです!」
記者「な、なんですって!?」
プラネット・ウェイブスかな?
記者「つまりその辺の石や岩を落とすこともできるようになったと!?」
魔法使い「そうです」
記者「となると、自在に落石を引き起こしたりすることも可能ですね」
記者「落石の危険がある箇所で意図的に落石を起こし、安全性を高めることができます」
魔法使い「さすが記者さん、いいアイディアです」
魔法使い「ですが、もっと小さい石に対しても私の魔法は役に立つんですよ」
記者「小さい石……?」
魔法使い「今からあなたに、ちょっと魔法をかけてみましょうか」パァァァ…
記者「……え?」
ポトッ
記者「あっ……! 長年つっかえてた尿管結石が……痛みもなく体外に落ち……!」
魔法使い「トイレが妙に長いと思ったら……やはり、ね」
記者「ありがとうございますぅぅぅぅぅ!!!」
記者「あなたは最高の魔法使いだ!!!」
おわり
なにこれすごい
記者さん良かったネ!
結石の苦しみを知っていればこの魔法使いが神に思える…
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