高寿「ぼくらの」 貴樹「あの頃」 (4)
「はぁはぁ...ちょっと寝過ごしちゃった...」
一人の青年が京の街をかける。
季節は、土面が霜のアクセサリーを身につけ、ふみつければスナック菓子の咀嚼音のような音が響く季節だ。
朝陽を浴びながら、先斗町の川沿いをかける青年、南山高寿は、走るたびに大きく揺れる黒いリュックを背に、ネイビーのダッフルコートに身を包み、自分の職場に向かっていた。
髪型は高寿が最も気に入っている、マッシュチックの黒髪ショートだ。
高寿は遅刻しまいと無心で走っていた。
走っていると、段々と目先を歩く一人の青年の姿が、高寿の視界の中で大きくなっていく。
京の景観に馴染んだ民家等の建物など一切目に入ってない高寿が気づいた時には、ブレーキなどかけられす、思いっきり青年にぶつかった。
ブラウンのコートに身を包み、ビジネスバッグを手に持っていた青年は地面に手をついて転倒。一方の高寿は尻餅をついてしまった。
青年の鞄の中から書類が飛び出て、ティッシュ、ハンカチ、ペンケース、名刺ケース等の小物も、川辺の地についた。
「あっ、ごめんなさい!すぐ拾いますね!」
「いえいえ、私もボーッとしてたのが悪いですから」
高寿は飛び出た鞄の中身をそそくさとかき集める。一方の青年はそんな高寿をみて、切ない表情を浮かべて一笑すると、高寿のように鞄の中身を拾い始めた。
二人の手や足の動かし方はどこか似通っていた。決して遅くはないペースだが、非常に落ち着いた動きぶりからはどこか哀愁が漂っていた。
「あっ、最後にこれ」
「ああ、ありがとうございます」
高寿は回収し損ねた最後のものを手にとって、目の前の青年に渡した。
「あの...ぶつかってごめんなさい」
「別に気にしてないから大丈夫ですよ。
ほら、急がなくちゃいけないのでは?」
「あっ、そうだ!じゃあ、僕はこれで...
朝は寒いから、お身体に気をつけてください!」
ドジっぽいところいい加減直さなきゃなあと独り言を呟いた高寿はその場を後にした。
青年からみて高寿の姿がどんどん遠のいていく。
「お身体に気をつけて、か...明里...」
青年は、自分の名である遠野貴樹と印字された名刺を手にしたまま、京の蒼い空を仰いだ。
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とり変更
この物語は、同じような境遇を持つ二人の青年が出会い、
人を愛するとはどういうことか
人に愛されるとはどういうことか
生きていくとはどういうことか
それぞれの気づきを得るまでの過程を描いた、お話。
青いまま枯れていき、互いに好きなまま消えていかれた二人の答えを追求する物語である。
本日分書き込み終了です。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする×秒速5センチメートル
クロスssです。
映画を見て、雰囲気が秒速に似てるなーと思った人は俺だけじゃないはず。
back numberのハッピーエンドも良曲じゃないかと思われ。
誰かハッピーエンドと秒速映像でのmad作ってください、
えみと明里が何でもするんで!
ということで、亀更新にはなるかもだけど、読みたい方は読んでくださると嬉しいっすな。
おつ
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