勇者「魔法を使うやつが大っ嫌いなんだ」(133)
勇者さんが左に剣を構え、力を溜める。
勇者さんお得意の回転斬りだ。
―――シュンッ!!
風を切る一瞬の音。
崩れ落ちる魔物。
私がこのパーティに加わってから何度も見てきた技だ。
この技を食らって、上半身と下半身がつながったままでいられた魔物は、一匹もいない。
戦士さんが大きな斧を上段に構える。
ミルキィアークスというそうだ。
可愛い名前に似合わず、恐ろしい外見をしているが。
―――グチャァアッ!!
怖気の走る音を立てて、魔物が叩き潰された。
何度も振るううちに切れ味は悪くなる一方だが、戦士さんの腕力によってより凶暴な武器となっている。
岩や鎧の魔物でさえ、戦士さんの腕力によってことごとく潰されてきた。
コテがおかしい……!?
まあ、ええか
武闘家さんが目を閉じて正拳の構えを固める。
鍛え抜かれた肉体は、細身ながらも恐ろしいオーラを放っている。
どんな者が見ても、一目で「達人だ」と結論を出すだろう。
達人の構えは一瞬で解かれ、目に見えない速度のこぶしが魔物に叩き込まれる。
―――ボシュッ!!
こぶしから放たれた衝撃波は魔物を貫き、大きな穴をあけた。
力の使い方によっては、穴をあけずに力を体内に残し、爆発四散させることもできるそうだ。
盗賊さんが魔物の死体からモノになりそうな素材をナイフで切り離している。
珍味として重宝されているアンデッド系魔人の脳みそ。
ローブの材料や調合の品として使われる鳥人系の魔物の羽根。
爬虫類系の魔物からはうろこや爪、とがった歯など。
これらの品は高く売れたり、旅を楽に進めるための道具や武器防具に変わる。
さすがに目ざとく、どうやれば最も効率よく素材を得られるか、考えられている。
このパーティで、最も頭が切れるのは彼だろう。
一方私は、といえば。
体が強くもなく。
強力な装備品に守られているわけでもなく。
一撃必殺の強力な技もなく。
できることは傷を癒す回復魔法。
それから敵の魔法を無効化する魔法バリア。
それから火の魔法に氷の魔法に雷の魔法……
魔法には自信がある。
でも……
「魔法を使うやつが大っ嫌いなんだ」
勇者さんのその言葉は私の心を貫いた。
このパーティで、私に発言権はない。
勇者さんの視線は、いつも私を貫いた。
恨みのこもったような。
視線で殺そうとしているかのような。
魔法を使う者すべてを憎み、恨み、目の敵にしている。
理由はわからない。
そんな勇者さんは、今も私をパーティの一員として認めてくれていない。
私は必死だった。
このパーティに入れてもらおうと必死だった。
魔王の支配によるこの世界の混沌を終わらせたい。
そう切実に願っていたからだ。
それを叶えてくれるであろう勇者の一行に出会えたのは本当に奇跡だった。
すべてのプライドをかなぐり捨てて、私は頭を下げ続けた。
「勇者、お前の言うこともわかるが、旅に魔法は必要だぞ」
「こいつの魔法は、確かに強力だった。お前も見たんだからわかるだろう?」
「酒場で突っぱねた魔法使いや僧侶どもなんかより、よっぽど芯があると思うんだが」
「意地張らずによ、入れてやってもいいと思うんだがなあ」
私を推してくれたのは、他ならぬ戦士さんだった。
無骨そうな外見に似合わず、とても紳士的だった。
私が勇者さんに冷たくされていても、優しく声をかけてくれる。
「ふん、一番脳筋のはずのお前がそう言うとはな……」
勇者さんはあきれ顔でそう言っていた。
「私は差別はしない」
「魔法が使えようが使えまいが、関係ない」
「勇者が連れていくというのならそれに従うだけだ」
「しかし魔法というものを完全に信頼しているわけではない」
「私も最終的には、勇者と同じく『信じる物はこの身だけ』と思っている」
武闘家さんは寡黙だ。
でもこのときばかりは、少したくさんお話ししてくれた気がする。
「いや、だからおれは連れて行く気は……」
勇者さんは、なおも困ったような怒ったような表情を浮かべていた。
「あ、おれは危なかったらどんどん回復してね、弱いからさあ」
ひひっと笑って言う盗賊さんは、軽薄そうに見えてとても気遣いのある人だった。
「勇者さーん、こいつがいてくれたら、薬草や回復薬に回すお金が浮くんっすよねー」
「ただでさえ今、魔法がないから道具に頼ってるわけですしー」
「勇者さんに対して極力魔法を使わないって約束して、あくまで魔王を倒すのは勇者さんの剣ってことでー」
「それでサポートをしてもらえたら、このパーティのカネを管理してるおれも、ちーっとは助かるんっすけどねえー」
盗賊さんは、ニヤニヤ笑ってはいるが、まじめに考えている人だなあ、と思った。
「……魔法なんかなくても、強いパーティを組んだつもりだったのにな」
勇者さんは皮肉ではなく、諦めのような感情でそう言った。
こうして、私は曲がりなりにも、魔王を倒す旅に連れて行ってもらうことを許された。
勇者さんは魔法が嫌いだ。
だから私はできるだけ謙虚に、影の努力を続けた。
「私の魔法のおかげで」旅がうまくいっている、なんて、おくびにも出さない。
派手に魔法を放つと勇者さんににらみ殺されてしまう。
少しの傷で勇者さんを回復すると、怒鳴り散らされる。
だから、いつも気を遣っていた。
だけど、そんなこと、苦にもならない。
ここにいられることが、嬉しい。
私は今の立場になんの文句もない。
世界を魔王の支配から解放するためなら、どんなことでもする。
私はただただ、力任せの戦闘の邪魔をしないようコソコソと立ち回って、勇者さんたちが殺し損ねた魔物にとどめを刺して回った。
強力な魔法を使うタイプの魔物相手には、魔法バリアを張る。
決して出しゃばらず、目立たず、勇者さんに嫌われないように一生懸命立ち回った。
実際、ほとんどの魔物に対して、みんなはあまりにも強すぎてサポートのヒマもなかった。
力任せの戦闘で、最果ての小さな島国から、こんなにも魔王城の近くまで旅してきた人たちなのだ。
強いに決まっている。
一部の魔物たちは、恐れて近寄ってこない。
それほど、勇者さんたちは強かった。
鬼のように強かった。
という感じで、また明日です ノシ
続き楽しみです
乙
がんばり屋さんだな
仲間も良い奴らっぽい
掘り下げが楽しみな感じですな
カランカラン
酒場のベルが鳴る。
今日も宿で休む前に、酒場に来ている。
ほうぼうの町を転々と渡り歩いては、周囲の魔物を狩る。
そして盗賊さんが素材を売って、そのお金で旅をする。
稼ぎがあるときは毎晩、酒場で酒盛りをしてから寝るのが習慣だった。
「いつものでいいっすか?」
盗賊さんが気安く声をかけてくれる。
私はこくんと頷いた。
みんなは泡の出るお酒をたらふく。
私は果実のジュースを一杯だけいただく。
隅っこで目立たないよう、ちびちびと飲みながら、みんなのお話に耳を傾ける。
大きな帽子を深くかぶって、できるだけ存在を消すように、そこにいる。
「いやあ順調順調、最近、道具に回してたお金がいい感じに浮いてるんすよねー」
「勇者さん、そろそろ一回り大きくて丈夫な剣、買っちゃいますか?」
盗賊さんが上機嫌で提案している。
暗に、私のおかげであることを匂わせてくれているけれど、浮かれてはいけない。
勇者さんはそんなことで、私を認めてくれない。
だから私は、それを聞いても隅っこで縮まったままだった。
「無駄遣いはしない」
「おれは今の剣で十分戦える」
「金が浮いたというのなら、前進するスピードを上げるか」
「それとも戦士、お前のあのへんな名前の斧、買い替えるか」
「ずいぶん切れ味も悪くなった」
勇者さんはむすっとした顔のまま言った。
この人は、お酒を飲んでもあまり陽気にならない。
「へんな名前って言うんじゃねえ!」
「おれは大丈夫だ、まだまだ戦える」
「それよりよ、ほれ、新しい杖とか、魔力の込められた腕輪とか、そういうの、いらないか?」
「お前さんの活躍で、金が浮いてるわけだし」
戦士さんは私の方をうかがう。
とんでもない!
私なんかの装備品を買ってもらうだなんて、恐れ多い。
第一、勇者さんがそんなの許すはずがない。
私はぶんぶんと首を振って、辞退の意を表した。
「それこそ無駄遣いだ」
ぎろり、と勇者さんが戦士さんをにらむ。
それ以上言わない。
戦士さんも、興が削がれたように、また黙ってしまった。
盗賊さんは、いつものようにへらへらしているものの、「まずい話題振っちまったかな」ってな顔だ。
武闘家さんはすでに酔いつぶれて寝ている。
大体、いつも通りの酒の席だった。
カンカンカン!!
鐘が鳴っている。
カンカンカン!!
町の鐘が鳴っている。
なにかが起きた。
私はベッドから飛び起きた。
「なにごとだ!!」
戦士さんが怒鳴っている。
「魔物だ! 出るぞ!」
勇者さんが剣を担いで宿屋を飛び出した。
戦士さんも慌てて後を追う。
「武闘家さんは酔いつぶれてて使いもんにならねえ、おれも行くっすよー」
盗賊さんも飛び出そうとした。
そして……
こちらを振り返り、優しく言った。
「武闘家さんの介抱、よろしく頼むっす、出てきちゃだめっすよー」
どれほど時間が経ったろう。
宿屋の外は、なかなか静かにならなかった。
魔物が町を襲撃している。
それ自体は珍しいことじゃない。
だけど、これは少し規模が大きいのではないか。
みんなは無事だろうか。
私は武闘家さんのベッドのそばで、ただ祈ることしかできなかった。
「どうして出て来なかった!!」
帰ってくるなり勇者さんは私に怒鳴り散らした。
「あれだけの騒ぎを聞いておきながら、よく宿にこもっていられたもんだな!!」
「見ろ!! こいつはこんなになるまで戦い続けたんだぞ!!」
「戦いが本職じゃねえってのに!!」
「おらぁ!! 武闘家!! てめえも酔いつぶれてんじゃねえこの馬鹿が!! 役立たず!!」
ものすごい荒れようだ。
こんなにも荒れている勇者さんは見たことがなかった。
私はあわてて、大けがを負っている盗賊さんに回復魔法をかけた。
「……ヒトニエ……」
ぽう、と私の手のひらが青く光り、傷を癒す。
「ありがとっすよー、気持ちいいっすー」
盗賊さんはやせ我慢をしている。
こんな傷で、軽口を叩ける方がおかしい。
「おれが、出てきちゃだめって言ったんすよ……」
「この町なら、他にもたくさん戦える冒険者がいそうだったし……」
「巻き添え食っても危ないじゃないっすか……」
「だから……怒らないでやってくださいっす……」
盗賊さんがかばってくれている。
「それに……武闘家さんはいつものことじゃないっすか……」
「勇者さんがいつも無理に飲ませるからっすよ……」
「おれのこと心配してくれんのはありがたいけど、もう、ほら、大丈夫っすから……」
盗賊さんは、ほんと優しい。
こんな私にも、平等に接してくれる。
こんなにも、気を遣ってくれる。
「チッ」
勇者さんも八つ当たりを反省したようで、少し落ち着いたようだ。
「お前が朝まで面倒見ろよ」
そう言い残して、戦士さんを連れて部屋にどかどかと戻っていった。
「へへ……迷惑かけて悪いっすね……」
そんなことありません、と私はぶんぶん首を振った。
涙が出そうになったが、大きく息を吸ってごまかした。
手に込める魔力を絶やさないよう集中しているうち、盗賊さんの寝息が聞こえてきた。
町のために、本当に、お疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
という感じで、また ノシ
おつ
魔法使いちゃんの健気な感じ、可愛い
報われてほしい
なかなかに胸が痛い
魔法の名前らしきものから凄く嫌な予感を感じるんだが……
「どうしてそんなに魔法を毛嫌いするんだ?」
たき火を囲んで、今日は野営だ。
しっかり準備をして、今日と明日でこの大きな洞窟を抜ける予定だ。
暗くて光源のない、じめじめとした洞窟。
だから私は、火の魔法であたりを照らしていた。
勇者はとてもいやそうな顔をしたが、盗賊さんの「松明を用意する金も馬鹿にならないんすよ」の一声でしぶしぶ認めてくれた。
旅は順調だった。
洞窟内でも、みんなの力技は無類の強さを発揮した。
勇者さんが『回転斬り』で魔物をぶった切る。
戦士さんが『極潰し』で魔物を叩き潰す。
武闘家さんが『稲妻正拳』で魔物を爆発四散させる。
盗賊さんが高価な宝箱を察知し、お宝をどんどん得る。
旅は、順調だった。
少しの油断があった。
火の魔法で洞窟なのに明るいこと。
みんな、桁外れに強いこと。
魔物たちがそれに恐れおののいていたこと。
そこに、わずかな油断があったのだろう。
魔物の瀕死の一撃が、思いもよらぬダメージを勇者さんに与えた。
「おい! 勇者! 目ぇ開けろ!! おい!!」
勇者さんを戦士さんが揺り動かす。
勇者さんは目を開けない。
こんな状態の勇者さんは、見たことがなかったのだろう。
武闘家さんもさすがに顔色が悪い。
盗賊さんもおろおろするばかりだった。
「おい! 回復魔法! 急いで!」
戦士さんがこちらに向かって叫んだ。
「ヒトニエ!!」
ぽう、と私の手の魔力が勇者さんを癒す。
まだ間に合うはずだ。
勇者さんは死んでいない。
でも、魔法で回復して勇者さんは気を悪くしないだろうか。
そんな考えがふと頭をかすめたが、命あればこそだと思いなおした。
目を覚ました勇者さんは、私に怒鳴ることはなかったものの、見たこともないほど不機嫌になった。
不快だ。
汚らわしい。
魔法の力で命を救われただなんて。
魔法の力で蘇ったなんて。
そう言いたげな顔だった。
「ぞっとしたっすよ、目を覚まさないんじゃないかと思って」
「勇者殿がいなければ、このパーティも意味をなさない」
「いやあ、無事でよかったよかった、がっはっは!!」
みんな勇者さんの無事を喜んでいた。
そして、私に気を遣っていた。
そしてその夜、たき火を囲んで、戦士さんが勇者さんに尋ねた。
なぜそんなにも魔法を忌み嫌うのかと。
自分の命が救われたとしても、嫌いなのかと。
勇者さんは答えにくそうにうつむいたままだ。
言うべきがどうか、迷っている。
そんな感じだった。
「言いたくねえのなら無理には聞かねえけどよ」
「でも、これからさらに魔物も強くなるっすよ。無事に旅が続けられるよう、聞いといた方がいいっす」
「勇者殿が私たちを信頼するなら、話をしてほしいな、今後のためにも」
>>45 ミス
そしてその夜、たき火を囲んで、戦士さんが勇者さんに尋ねた。
なぜそんなにも魔法を忌み嫌うのかと。
自分の命が救われたとしても、嫌いなのかと。
勇者さんは答えにくそうにうつむいたままだ。
言うべきかどうか、迷っている。
そんな感じだった。
「言いたくねえのなら無理には聞かねえけどよ」
「でも、これからさらに魔物も強くなるっすよ。無事に旅が続けられるよう、聞いといた方がいいっす」
「勇者殿が私たちを信頼するなら、話をしてほしいな、今後のためにも」
「……おれは町に住む前、山の中の小さな小屋で育ったんだ」
勇者さんがぽつりぽつりと話し出した。
「山ん中で両親と育った。山猿みたいな生活だった」
「でもおれは、それで、十分幸せだったんだ」
少し言葉を切る。
遠い昔を思い出しているようだった。
私も遠い昔のことを思い出して、ふと、悲しくなった。
「ある日、山賊が小屋を襲った」
「今のおれや戦士みたいな力任せの山賊ではなくて、魔法で相手をねじ伏せる山賊だった」
「おれを守ろうとした両親は、山賊にむごたらしく殺された」
「おれは部屋の隅で死んだふりをすることしかできなかった」
「……両親が……死んでいくのを見ていることしかできなかった……」
「そもそも人間は、魔法なんか使えなかったんだ」
「魔王が生まれて、魔物が世の中を我が物顔で歩くようになって、そのうちに人間も魔法が使える種が生まれて……」
「魔法なんてもんは、魔物の呪いみたいなもんだ」
「今人類は、魔物の呪いにやられている」
「魔法名だって詠唱だって、なに言ってるかわかんねえし」
「もともとは魔物のもんなんだ」
「だからおれは、この身一つで、魔法なんかに頼らずに、魔王を倒したいと思ったんだ」
「魔法なんて必要ない、平和な世の中を取り戻したいと思ったんだ……」
誰も、しばらく口を利かなかった。
両親の敵。
魔法を憎むのに十分すぎる理由だった。
それも、魔物ではなく人間が使った魔法。
歪んだ恨みが彼を育てたのだろう。
「こいつの魔法は……魔王を倒すために必要だ」
「それは……理解している」
「今日もおれの命を救った」
「だが……」
葛藤があるのだろう。
魔法が両親の命を奪ったことは、消せない事実なのだ。
だから迷い、悩み、あがくのだろう。
私はその歩み寄りだけで、十分に嬉しかった。
「勇者さん、理由はよーっく分かったっすよ」
「おれたちも、もっと己を磨かなきゃあなあ」
「私も精進しましょう、世界の平和のために!」
みんな、勇者さんの話に心を動かされている。
私の魔法は魔王を討ち取るためにある。
そして、勇者さんの命を守るためにある。
そのために、できることはなんでもやる。
そう、決意を新たにした。
という感じで、また ノシ
乙
主人公の正体が鍵な感じか?
ふむふむ
乙
「これは、魔力を増幅させる力のある腕輪のようだ」
武闘家さんが差し出したその腕輪は、私が憧れていたものだった。
高名な魔女がかつて生み出したという「叡知の腕輪」だ。
武闘家さんが吹き飛ばした魔物の腕に、それが残っていたのだ。
「盗賊殿、これは高く売れるのだろうか?」
盗賊さんを振り返って言う。
「あー、まあ、売れるっちゃ売れるっすけど、今現在そんなにカネには困っては……」
ちら、と勇者さんを見る。
勇者さんは見て見ぬふりをしてくれた。
使ってよい、ということらしい。
「とりあえず使ってみて、具合を確かめてみたらいいんじゃねえか?」
「そうっすそうっす、魔法の威力が上がればもうけもんっすよ」
という訳で、叡知の腕輪は、私の腕にはめられた。
やった!
私なんかが、この腕輪を手にすることができるなんて。
勇者のパーティに入れてもらうまで、そんなことは夢にも思わなかったのに。
私は夢見心地で、腕にはまったその腕輪を愛おしく撫でた。
「パライゾ!」
―――ズゥゥウン!!
―――ズゥゥウン!!
―――ゴォォォォォォォオオオオオオオオ!!
見たこともない大きさの火柱が上がった。
「すんげえ……」
戦士さんが硬直している。
「なんも素材が残んないっすねえー」
盗賊さんが口をあんぐりと開けている。
「ま、洞窟内では使わないでくれよ、はっはっは!!」
「おれたちを燃やさないでくださいっすよー」
「今のを使うときは相手をよく見るようにお願いしたい」
みんなからは散々な言われようだったが、私はとても嬉しくなった。
これなら、みんなの力技にも引けを取らない、立派なサポートができるのではないかと考えた。
勇者さんも、少しは認めてくれるのでは……
くらっ。
あれ?
私は膝をついていた。
「あれ? どうしたっすか?」
「めまいでも起こしたのか?」
くらくらっ。
あれあれ?
力が入らない。
そのまま、空と地面がさかさまになった。
しばらく経って私が意識を戻したとき、もうすでにそこは宿屋だった。
「お、起きたっすね。心配したんだからー」
「急激な魔力の消費で、体がびっくりしたみてえだな」
「……すまないな」
なぜか武闘家さんが謝った。
「慣れないものを使わせたせいで、体に負担をかけた……」
「申し訳ない」
あ、謝る必要なんて!
私はなぜか、とても恥ずかしい気持ちになった。
私が調子に乗って叡知の腕輪で魔法をぶっ放して、それで倒れたのに。
それを武闘家さんに謝らせてしまったことが、とても恥ずかしくなった。
私は無言で腕輪を武闘家さんに渡した。
私なんかが使うには、高尚すぎると思ったからだ。
武闘家さんは困った顔をしている。
戦士さんも、盗賊さんも、どうすれば正解か、わからないという顔をしている。
「……いいんじゃねえか」
すっと勇者さんがそばに来て、腕輪を私に返した。
「お前の魔法は必要だ、って言ったろ」
勇者さんが私に声をかけてくれる。
珍しく優しく。
「持っとけ。使う使わないは、お前に任せるからよ」
「うまく使いこなせ、な」
そして、ぽんと私の肩を叩き、部屋を出ていこうとした。
「じゃ、今日はもう休んでろ」
勇者さんが、私に声をかけてくれる。
優しく、力強く。
それがとても、嬉しい。
「ありがとうございます」
そう言おうとして、結局、もごもごとうまく言葉にできなかった。
「馬鹿、なに言ってっかわかんねえよ」
そう言って勇者さんは笑った。
「わかるけどよ」
ああ。
私の目から涙があふれた。
という感じです ノシ
あと3区切りくらいです
おつー
和解できてよかった
乙
ブーストしたにしても強すぎだろ
なぁに元々高い素養があったみたいだしマダンテだと思えばこんなもんこんなもん
どっか緊張感があってハラハラするぜ
乙
【魔王城】
魔王の城には、トラップが山のように隠されていた。
動く床。
槍の突き出る壁。
炎を吹き出す宝箱。
動き出す石像。
纏わりつく死者たち。
恐ろしい仕掛けがたくさんあった。
しかし、盗賊さんの危険察知力とトラップ解除能力により、そのほとんどは無力化された。
死者たちは、恐れを知らぬ。
死者たちは、疲れを知らぬ。
私たちがどれだけ強くとも、恐れずに何度も向かってくる。
それに、死者たちは魔法で操られているため、首を飛ばしたくらいでは倒れない。
しかし、戦士さんと武闘家さんの技の前では、その生命力(?)も無駄だった。
ことごとく粉々にされ、私たちが通った後には破片しか残らなかった。
「おーおー、さっすが魔王の城だ、腐臭がひでえ」
「さすがにこの臭いは、目に来ますね」
「とっとと魔王やっつけちゃって、風呂に入りてえもんっすねー」
魔王の城だというのに、みんな軽口を叩いている。
ここまでの旅で、勇者さんたちはあまりにも強くなりすぎた。
そもそもが魔法に頼らず魔王を倒すためのパーティだったのだ。
それが現実になりそうで、人間の底力のすごさを私は実感していた。
「今日はなかなか張り切ってるじゃねえか、その調子で頼むぜ?」
戦士さんが私の肩をぽんと叩く。
「魔法で筋力を底上げするというのは便利なものですね。私も自分の限界というものが見えなくなってきましたよ」
武闘家さんが冷静に、でも少し嬉しそうな声で私に言う。
「こんなに早く走れて、こんなにモノがよく見えるってのは最高の気分っすよー」
盗賊さんがひひっと笑う。
身体能力を上げる魔法をうまく使えるようになったことで、みんなの邪魔をせず、戦闘を楽に進められるようになった。
みんな、それを存分に活かしてくれている。
そもそもの身体能力が桁外れなメンバーなものだから、その跳ね上がり方も半端ない。
―――ズシュッ!!
遠く離れた魔物の上半身が、下半身とお別れした。
勇者さんの回転斬りだ。
あんなに遠くまで衝撃を飛ばすことができるようになっている。
勇者さんも私の強化魔法を、文句を言わずに受け入れてくれている。
勇者さんが魔法を嫌うわけを聞いてから、私は魔法を使うことをためらわなくなった。
魔物がとても強くなってきたこともあるが、目的が明確になったからだ。
私の魔法は、決して勇者さんの両親を殺すことはない。
決して勇者さんを傷つけることはない。
勇者さんのために、魔王討伐のためにだけ使う。
その強い意志をもって魔法を使った。
―――ズズゥン!!
最後の扉が破られた。
この先にはもう魔王の部屋しかない。
周りの門番の魔物たちは蹴散らした。
魔王に心酔した人間たちも戦意を失わせた。
後は、魔王だけだ。
勇者さんがこちらを振り向き、目で合図する。
タイミングを合わせ、一斉に突入した。
『クハハハハハ、よくぞきた、勇者よ』
玉座でふんぞり返って私たちを待ち構えていたのは、不敵に笑う魔王だった。
誰も警護に就かせていない。
トラップもない。
それほどの自信があるということなのだろう。
赤く光る眼、逆立った髪の毛、ローブの上からでもわかる盛り上がった歪な体格。
恐ろしい魔力量のオーラ。
敵を殺すことになんのためらいもなさそうな邪悪な笑み。
私の魔法と……魔王の魔法は……絶対に別物だ!!
私の魔法は……世界を救うための魔法だ!!
『お前の評判はよおーく聞こえてきたぞ、勇者よ……』
魔王の声は、腹に響いた。
いやな声だ。
耳をふさいでも聞こえてきそうな、いやな声だった。
『魔法嫌いで、自らの腕力だけでのし上がってくる勇者だ、とな……』
魔王はそこで言葉を斬り、ちらっとこちらに目をやった。
ひるみそうになったが、私も負けじと睨み返す。
『それがどういう心変わりだ? 信じるのは己の身一つではなかったのか?』
揺さぶりをかけているのか?
『そのような者を連れてくるとは……』
『魔法に頼るようになったとは……』
『さすがの勇者も、魔法なしで魔王を倒すのは無理と諦めたわけか……』
『愉快愉快……クハハハハハハハハハハ!!』
魔王はいやな声で笑った。
昔の私なら、とうに下を向いていただろう。
でも。
「そんな揺さぶりには乗らねえぞ、魔王」
勇者さんは冷静に言い返す。
「お前は今日、ここで死ぬ」
「『人間の底力』と、そしておまえ自身ともいうべき『魔法』で死ぬんだ」
「さあ、さっさと終わらそうぜ!!」
余裕がある。
そして、慢心はない。
勇者さんが飛び出した。
「テラシオン!!」
私は魔法のバリアを張った。
この日のために鍛え上げた魔法だ。
魔王の魔法など、一つだって通さない。
勇者さんの牙が魔王に届くまで。
ためらわない。
戦士さんも武闘家さんも魔王に襲いかかる。
戦士さんの恐ろしい斧は、まだ健在だった。
武闘家さんの構える時間は、恐ろしく短くなった。
魔王を取り囲んで鋭い剣撃と打撃を繰り出す。
「ぐぁっ!!」
血しぶきが飛ぶ。
「ヒトニエ!!」
私はすかさず回復魔法を飛ばす。
誰もが戦い続けられるように。
魔王を休ませないように。
盗賊さんのサポートは万全だ。
トラップを解除したときに得た毒や槍を、魔王の動く先々に仕掛けて回る。
自分の城に配置したトラップにやられたとなると、恥ずかしいことこの上ないだろう。
言葉にはしないが、魔王がイライラしているのがよくわかる。
余裕がない。
行ける。
押している。
私に一瞬、隙ができた。
『チマチマとした戦い方をしおって……』
『ならばその根源をまず潰すとしようか!!』
魔王の矛先がこちらを向いた。
大丈夫、魔法ならバリアで無効化できる。
そう油断したのがいけなかった。
―――ザシュッ!!
魔王から繰り出されてきたのは、なんの変哲もない、爪での一撃だった。
ピピピピンチ!!
といったところで、また ノシ
乙
ふおう
乙
『クハハハハッ!! 油断したな!! そいつの魔法がなければ、もう戦えまい!!』
悔しい。
でも! 私の魔法がなくても! みんな強い!
負けやしない!
……あれ?
そこで気づいた。
痛みがない。
意識もはっきりしている。
確かに魔王の鋭い爪がこちらに向かってきたのに。
傷もない。
私と魔王の間に、いつの間にか勇者さんがいた。
魔王の爪は勇者さんの腕に深々と突き刺さっていた。
「勇者殿!!」
「おい!! 無事か!!」
一瞬、みんなに隙ができた。
その瞬間を見逃さず、魔王は体を振り払って、全員をなぎ倒した。
「ぐはぁっ!!」
「うわあああ!!」
『フン……つまらん……そのような者をかばって自分が傷つくとはな……』
『噂に聞いていた精力たぎる勇者といっても、所詮は噂だけだったようだな……』
『ここまでだ……あっけなかったな……フン』
悔しい。
私をかばって勇者さんが傷ついてしまった。
そんなこと、あってはならないのに。
私が勇者さんの盾にならなければいけない立場なのに。
勇者さんを絶望的な気持ちで見つめた。
謝罪と、そのほか色々な感情を込めて。
「ふん、なに死にそうな顔してんだ、馬鹿……」
勇者さんが私に言い放った。
「早く……回復しろよ……あいつをぶっ飛ばせねえだろ……」
「なんのために……お前をかばったと思ってる」
そして笑った。
私もつられて笑った。
「オラァ魔王! もういっちょだコノヤロウ!!」
「お前が倒れるまでやめねえからな! 覚悟しろオラァ!!」
元気になった勇者さんはまた魔王にかかっていった。
不意を突かれた魔王は、勇者さんにさらに押されるようになっていった。
そして。
―――ガキィン!!
勇者さんの一撃が、魔王のバランスを大きく崩した。
行ける。
勇者さんが剣を大きく左に構えた。
あの構えは!!
「伏せてろ!!」
勇者さんが叫ぶ。
至近距離からの回転斬りだ。
私も伏せながら、最後の力を振り絞って魔法を放った。
「テラシオン!!」
魔法バリアを放った。
勇者の剣に向かって。
―――ドシュッ!!
勝負は一瞬でついた。
魔王の体は、見事両断された。
「油断するな!」
すかさず武闘家さんが稲妻正拳を叩き込む。
―――グォッ!!
爆発四散。
「とどめだ!!」
―――グチャッ!!
―――グチャッ!!
―――グチャァアア!!
戦士さんが見かけに似合わない細かな作業で潰して回る。
静寂。
復活の気配はない。
そこでようやく、みんな肩の力を抜いた。
魔王の支配は終わったのだ。
これから世界中に残った魔物を制圧していかなければならないが、それも時間の問題だろう。
人間と共生できるものは共生を。
牙を剥くものは殲滅を。
これまでの旅で、みんなで決めたことだった。
しかし、魔物には魔物にしか使えないテレパシーのようなものがある。
魔王が死んだことは、魔物にすでに伝わっただろう。
となれば、降伏したり、逃げたりする魔物も多いはずだ。
やはり、時間の問題に思えた。
「よし、凱旋するぞ」
「王に報告をして、報酬をもらって」
「魔物の制圧は、そのあとだ」
「お前たちとは、魔王討伐までという契約だったから……その……」
「魔物の制圧は、仕事に含まれていないんだが……」
勇者さんが歯切れ悪くつぶやく。
言いたいことは分かったが、みんなの思いも一つだった。
「そんなん、おれたちも行くに決まってるっすよ」
「最後まで付き合おう」
「ここまでやって、後はケツまくるなんて性に合わねえからなあ、がっはっは!」
勇者さんは、「お前は?」とこちらを向く。
私も当然、それに付き合う。
私なんかの力をこれからも必要としてくれるのならば。
こくこくと頷くと、勇者さんは嬉しそうな顔をした。
それを見て、私も嬉しい気持ちになった。
だけど、魔王を倒したからだろうか。
心にぽっかりと大きな穴が開いたような気がした。
これから、どうしよう。
魔物の制圧は確かに重要なのに、私は大きな目標を見失ったような気がした。
はてさて、旅も終わり、王都への凱旋でラストです
ではまた ノシ
どう着地するんだろう
乙
念入りに魔王潰しててワロタ
なぜかハラハラする
おつです
どう落とすのかなあ
しかし魔王が害虫か何かのようだw
乙
【王の間】
「おら、顔あげろ」
「勇者の一行がそんな辛気臭い顔しててどうすんだ」
「胸張って前向いてろ」
「喋るのはおれがやるから」
「お前ら、後ろで見守っててくれたらいいから」
「じゃ、行くぞ」
勇者さんを先頭に、ぞろぞろと王様のいる部屋へと入っていく。
王様が椅子にふんぞり返って勇者さんの報告を聞いている。
魔王の支配が終わったことを喜んでいるけれど、その態度は少し偉そうだ。
戦士さんも、武闘家さんも、盗賊さんも、退屈そうだ。
大きな戦いが終わったから、目標を見失ったような感じだ。
私も同じ。
これからどうしようか。
魔物の制圧の旅をするとしても、いつから? どうやって始める?
そんなことをぼんやりと考えていた。
「で、だ」
王様が話を切った。
「魔王討伐の仲間たちというのは、そこに並んでいる者たちなのかね」
心なしか聞きにくそうに、王様が勇者さんに尋ねている。
「ええ、そうです」
勇者さんは目を逸らしながら答える。
私はぎゅっと胸が痛んだ。
私を仲間と認めてくれる発言は嬉しいけれど、勇者さんが困らされるのは辛い。
「そ、そうか……」
「そ、その、右端の者は……その……」
王様がなおも歯切れ悪く勇者さんに尋ねている。
私はさらに胸が痛くなった。
逃げ出したくなった。
「私なんて仲間と名乗る資格もない、大した存在じゃないので、お暇します!」と言いたい。
「ええ、そいつも、おれの大事な仲間です」
「そいつの魔法がなければ、危なかったでしょうね」
前の勇者さんからは考えられないセリフだ。
嬉しくて涙が出る。
私はぎゅっと帽子を目深にかぶって、顔を隠した。
こんな顔は、勇者さんに見せられない。
「しかし……その者は……その……」
「……魔物……ではないか……」
王様の言葉が胸を突きさす。
これまで勇者さんからどんな視線を浴びたときより、どんな言葉をかけられたときよりも、ひどい気分になった。
「それがどうかしましたか?」
「魔王城には、魔王に心酔した人間だっていたし、おれたちはそれを倒してきましたよ?」
盗賊さんがなんでもないことのように言う。
「おれたちみたいな筋力だけのパーティでは、魔王を倒すのは難しかったですね」
「ほら、猪突猛進のバカばっかりだから、はっはっは!」
戦士さんが豪快に笑い飛ばす。
「大切なのは結果ではないでしょうか」
「私たちは、このメンバーで、魔王を討伐した、それだけです」
武闘家さんが冷静に言い切る。
「と、いうわけで報告、終わります」
勇者さんがさっさとこちらに帰ってくる。
「報酬の話は、また後日、ということで」
「なんせ疲れているものでね」
もう王様の方は振り返らない。
「さ、行くぞ」
そう言って肩で風を切り、王様の部屋を後にする。
私は戸惑いながらも、みんなについていく。
なんだかみんなの背中が、とても頼もしかった。
今から思えば、勇者さんは「魔物だから」私を嫌ったり目の敵にしたりしたことはなかった。
町の魔道士さんたちにも、同じように恨みのこもった目線を送っていた。
彼にとって重要なのは「魔法を使うかどうか」だけだった。
他のみんなも、私を魔物扱いもしなかったし、人間と区別されることもほとんどなかった。
そんなことに、今更気づかされた。
「とりあえず、打ち上げがてら、酒でも飲みに行くか」
首をぐりぐりと回しながら、私の方を見て言う。
私はもちろんこくこくと頷く。
ほかのみんなも異論はなさそうだった。武闘家さんも含めて。
「今日くらいは、飲もうぜ」
勇者さんがにやりと笑う。
私も、笑った。
心から。
★おしまい★
なんか予定より長くなりました
みんながこの後も旅を楽しんでくれたらいいのですが……
∧__∧
( ・ω・) ありがとうございました
ハ∨/^ヽ またどこかで
ノ::[三ノ :.、 http://hamham278.blog76.fc2.com/
i)、_;|*く; ノ
|!: ::.".T~
ハ、___|
"""~""""""~"""~"""~"
コテがおかしい……
janeでは正常なのに……orz
お疲れ様でしたー
乙
トリじゃね?
>>117
ほんとだ酉か 間違えました
まあこのままいくしかないですかね……
ハムちゃんだったか。
おつおつ、いい話読ませてもろたよ。
おつおつ!
ほっこりしました
読み返すと伏線いっぱいでやばい
回復魔法がヒトニエで人贄と同じ音だから鬱展開あるかと思ったけどよかった
オチ見てから読み返すとああーなるほどーってなるとこいっぱいあったな
乙、魔法使いちゃん可愛かった
ハッピーエンドで良かった
乙
最後まで健気で可愛かったな
頭なでたい
乙
魔法使い魔物だったのか!
リザードマンの姿で脳内に浮かんだ
ぶっちゃけ実は魔王かもと勘繰っていたのでオチがやや弱く感じてしまった
自分で勝手にハードル上げただけなんだけども
反射的にエルフで思い浮かんでた
じゃあ結局ヒトニエってなんだったんだ
結局ヒトニエってなんだったんだ
人に癒
とか?
ともかく乙。
どゆこと?
魔物発祥の魔法は不穏な響き
ヒトニエ
パライゾ
人間が生み出した魔法は希望のありそうな響き
テラシオン
他にも魔法あった気がしましたが登場せず終わりました
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