142'sとちょっと怖い話【モバマスss】 (128)
注意:大して怖くありませんが一応ホラー物です。
142sが解説役でゲストのアイドル達が一人一話ずつちょっと怖い話をしていきます。
デレマスの某百物語ssをパクr……リスペクト&真似して書いています。ご了承ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482766270
輝子「…」
小梅「…」キラキラ
幸子「えー…」
小梅「うん…」キラキラ
幸子「始まってしまいました…アイドル怪談…」
小梅「うん…!」キラキラ
輝子「フフ…小梅ちゃんの目の輝きがハンパないな…」
小梅「うん…!今すっごいわくわくしてる…!」
幸子「ボクはもう帰りたいですけどね!いや帰りませんけども!?仕事ですから!!怖くても!!!仕事ですから!!!!」
小梅「そ、そう…。解説や進行役…だもんね…!」
輝子「えー…この番組は私達CGプロダクションのア、アイドルたちが…」
小梅「自身に起こった怖い話を…話してゆく番組です…」
幸子「基本的に毎回ゲストでアイドルをお呼びして、そのアイドルの方達にお話をしてもらいます」
輝子「ほ、本日も素敵なゲストのアイドルをお呼びしています…」
小梅「人気爆発中…純情Midnight伝説も好評発売中の…」
幸子「炎陣の皆さんです!どうぞ~!」
ワーパチパチパチ
拓海「」ガチガチ
里奈「どもども~☆」
涼「はいはい!どーもー!」
亜季「本日はよろしくお願いします!」
夏樹「よろしくなー!」
キャー!ワー!ナツキチー!タクミーン!キャー!リョウサーン!アキー!ワー!リナチャーン!
輝子「おお…さ、流石…凄い盛況だな…」
幸子「CDランキングにも数週間上位キープでバラエティ番組にもひっぱりだこですからね…。ボクも見習わなくてはいけませんね。まあカワイさではボクが一番ですけど!」
里奈「お!さっきはガッチガチだったけどいつもの調子が戻ってきた感じ~?」
幸子「ええまあ!もう開き直りましたよ!スカイダイビングやアマゾンで謎の部族に追い掛け回されるのと比べたら命の危険がない分マシですからね!」
夏樹「それはそれでどうなんだ…」
亜季「幸子殿はサバイバルもいけるのですね!それなら今度の休日にキャンプに行く予定ですが、良ければ一緒にどうですか?」
幸子「普通のキャンプならぜひお供しますよ?虫とか食べずに普通にBBQするようなのなら…」
亜季「幸子殿はいったい何を体験してきたんでありますか!?」
輝子「フヒヒ…そ、そろそろ皆の緊張も解れてきたかな…?」
幸子「カワイイボクは緊張なんてしていませんよ!」
輝子「フフ…そういうことに…しておこう…」
涼「まあ…。こっちにまだガチガチになってる奴がいるんだけどな」
夏樹「おーい大丈夫かー」
拓海「」ガチガチ
里奈「たくみんマジびびりすぎっしょ~☆普段と全然ちがくて超ウケる~!」
拓海「びび、びびってなんかねーし!む、武者震いだよ!」
夏樹「いやもう怖いの苦手なの丸判りだからなソレ」
亜季「拓海殿は意外と怖がりなのでありますな!」
拓海「うるせー!」
幸子「えー…では拓海さんの意外な一面が判明した所でさっそくお話し行ってみましょうか?」
小梅「さ、最初は誰かな…?」
拓海「え?も、もうやんの…?」ガクガク
亜季「さすがにその足の震え方は武者震いで済ませられるレベルではありませんよ?」
涼「いい加減覚悟決めろよ…。最初はアタシからだな」
小梅「わあ…りょ、涼さんからなんだ…楽しみ…!」キラキラ
涼「お、おう…。まあ小梅の希望に添えるくらい怖い話かは分からないけど…それでもアタシが体験した中じゃ一番怖い話だ。ま、ほどほどに期待しててくれ」
小梅「うん…!」
幸子「では記念すべき一回目のお話。涼さんのお話です」
涼「これはまだアタシが中学生の時の話だ」
一話目
『手』
当時は中学二年か一年くらいだったかな?まだ幸子や小梅と同い年くらいの時さ。
その時はまだバンドをやるなんて考えてすらなかった頃だね。まあ、一応楽器はそれなりに弄ってたけど。
で、アタシの趣味は小梅ならよく知ってるだろ?そ、ホラー映画鑑賞。
元々少し大人になりたくて色々背伸びしてた年頃だったしね。
その年じゃ借りれないホラー映画なんかを見て大人な気分に浸ってたのさ。ああもう茶化すなよ里奈…
で、ここからが本題。ある日突然変なものが画面に映るようになった。
え?幽霊の顔?そんな分かりやすいものじゃないさ。
――――『手』が映ってたんだ。
そう、手だよ。体の一部のな。
それが画面の端っこに見えるんだ。映画の内容と関係ない『手』がひらひらと手を振ってたのさ。
何て言うんだろうな…。そう、写真のフレームみたいな感じなんだ。画面があってテレビの枠があって…。
その枠の部分から出てきたように見えたんだ。画面の映像とは全然関係なかったしね。
最初は埃とかのゴミが画面の中に入っちゃったのかな?とかテレビが壊れちゃったのかな?と思ってたんだけどね。
だんだん別の物、テレビ以外にもいるようになった。
パソコンのモニターとか、鏡とか。
いつしか、ずっと見えるようになったんだ。それ。
最初はさ、変だなと思って友達や家族に見えるかどうか聞いてみたんだけど…。全員見えなかった。アタシだけしかその手は見えないんだ。
害は無いんだ。ただ手を振ってるだけ。でもずっといる。ずっとどこかにいたんだ。
友達から来たメールの確認で携帯の画面を見たらその画面の枠内の端でひらひら手を振ってる。
少し遠くにある戸棚を見たら端っこにちらちらとその手が見えた。窓とか鏡の枠にも見えるようになってきた。
とにかく、枠になるもの、そう見えるものに必ずいたんだ。そしてずっと手を振っていた。
もうその頃になると怖くて堪らなくてさ。ホラー映画なんか見るんじゃなかったとか思ってたし、勉強も手が付かなかった。元々そんな得意じゃないけどね。
まあ、そんな感じでだんだんその『手』が見える場所が増えていって…。
とうとう、目の端にずっといるようになった。
そうなったらもう半狂乱さ。だって考えても見ろよ。目を開けたらずっと視界の端に小さな手が見えるんだ。手を振り続けてるのがな。
ホラー映画なら怖くても見れるさ。だって自分には関係ないことだから。でもこれは自分の事だった。
情けないけどさ…怖くて、恐ろしくて…。次はどうなってしまうのか。次はどこに『手』が来るのか、それを考えただけで叫びたくなるくらい怖かった。
だからその時、見えなくなればいいと考えちゃったんだ。
簡単だと思ったよ。ペンケースからシャーペン出して、それを使って目を潰せばもう手は見えなくなる。こんな恐ろしい思いはもうしなくて済むんだ、なんてね。
きっと精神的に参っちゃって一時的におかしくなってたんだろうな。でもその時はそれがベストな考えだと信じて疑わなかったよ。全然そんな事ないのにな。
ペンを握るときもずっと手は視界の端に映ってた。今までに無いくらいの勢いで手を振ってたのを覚えてる。
いつもはひらひらと手を振っているのに、その時はぶんぶんという音が聞こえそうなくらい勢いよく振ってたな。
いつもと違うそれが…ことさら怖く感じた。でももう大丈夫。目を潰せば見えなくなる。さあ目を潰すぞ。ペンで目を刺す――――
がしり、と手首をつかまれたんだ。
あの『手』だと思った。視界の端にはもういなかった。
ペンで目を潰そうとしたアタシを止めたみたいだった。
びっくりしてペンを落として…そしたらその手は消えちゃってた。視界の端にももう何も映らなかった。
これが、アタシの体験した怖い話さ。
ザワザワ…
幸子「…」
輝子「…」
小梅「…」キラキラ
涼「…どうだった?楽しんでもらえたかい?」
小梅「うん…!とっても…!」
涼「そりゃ良かった」
里奈「せんせー!こっちで泡吹いてる子がいまーす!」
拓海「」ブクブク
夏樹「あーあ…話の途中で気絶しちゃったかなこりゃ」
亜季「メディーック!!」
※拓海さんは通りすがりの清良さんの介抱によって目が覚めました
拓海「怖ええええよ!!!!」
夏樹「しょうがないだろそういう番組なんだから…」
涼「ていうかそんな怖かったか?」
輝子「怖い…というかふ、不思議な話…みたいな感じだったな…」
亜季「確かに色々不思議ではありましたな…。枠内に出現する手…でも害ある物ではなく自傷しようとする涼殿を止めて消えるとは…」
幸子「良いおばけ?だったんですかね?」
夏樹「まあその手のせいで自傷しようとしたんだけどな」
里奈「確かに視界の端に良く分からない『手』がずっと映ってるなら怖いよねー…」
小梅「でも…悪いものじゃない…と、思うな…」
里奈「そうなの?」
小梅「うん…多分嬉しかったんだと思う…な…」
夏樹「嬉しい?」
小梅「そう…気付いてもらえて嬉しい…もっと近づきたい…って」
小梅「手を振っていたのは…きっと気付いてもらいたいから…」
小梅「寂しいから…気付いてもらえて嬉しくて…もっと近づきたくて…」
小梅「枠を飛び越えて…一緒にいたいと思ったから…」
輝子「な、なんだか…ボノノさんの書いてた恋愛物のポエムみたいだな…」
小梅「それに…涼さんは最後…その『手』が悪いものだと…思わなかったでしょ…?」
拓海「えっマジかよ…」
亜季「そうなんでありますか?」
涼「ああ、まあな…」
涼「ずっと小さくでしか見えなかったから分からなかったけどさ」
涼「アタシの手を掴んだ『手』は、ボロボロで傷だらけで…血が滲んでて…。幽霊のイメージそのまんまな手だったけど…」
涼「でも触れた時、温かかったんだ」
涼「アタシがとち狂って目を潰すのを止めてくれたってのもあるけど…。触れた時からなんか怖いと思わなくなってさ」
拓海「い、意外と勇気あるんだなおめー…」
里奈(たくみんがびびりすぎなだけだと思うなー)
夏樹「そういやまだ趣味にホラー映画鑑賞があるもんな。普通ならトラウマになって見ようだなんて思わなくなるだろうし」
涼「まあ…あれ以来もう『手』は見えなくなったしな。また見ることがあったら止めてくれたお礼くらい言おうかと思ってるけど」
夏樹「余裕あるなオイ」
拓海「もうアタシはお前と一緒にホラー映画見るとか絶対しねーからな!」
涼「お前は元々誘っても来ないだろ!」
ドッ!ワハハハハ…
――――――――――――
幸子「そういえば枠内じゃないと見えないというのがありましたがそれはどういう事なんでしょう?」
小梅「昔から…自分の場所には…線を引くでしょ?」
小梅「ボール遊びする時も線で陣地を作るし…自分の家や部屋も壁や塀で囲って線を作る…よね」
小梅「じ、実体の無いものだからこそ…自分をはっきり示せる場所が…必要だったのかも…」
小梅「だから…枠を使って分かりやすくして…。自分の場所はここ、自分はここだよ…なんてアピールしてたんだと思う…な」
幸子「な、なるほど…?」
一話目 終
とりあえず一旦ここまで
また書き溜めが貯まったらその内
アイドル全員分はさすがにやるつもり無いけどそこそこの人数分は書いていきたいと思ってます
おつおつ
冬のホラーもなかなか
乙
待ってる
>>1です
社畜に正月休みなど無かった
一話だけ何とか書けたので投稿します
里奈「んじゃまーりょーちゃんの話が終わりましたし?次は誰の番だっけ?」
夏樹「一応次はアタシだけど…」
拓海「よし!分かってるな!?怖くない話をしろよ!?」
夏樹「番組の内容変わっちゃうだろそれ…普通に怖い話するからな」
拓海「ヒィ…!」プルプル
輝子(拓海さんが今まで見たことが無いくらいプルプル震えてる…)
幸子(チワワみたいですね…)
亜季(いつものイメージと全然違いますね…)
夏樹「まあ…怖いって言っても別に大した話じゃないさ。多分な」
夏樹「アイドルになる前の話だ。スカウトされるほんの少し前だったかな…」
二話目
『立ち上がった』
知っての通り、アタシの趣味はツーリングだ。拓海とか里奈とかはよくどっかに行ってるから分かってるだろ?
輝子も後ろに乗っけて2ケツしたことあったな?
そうそう、覚えてるよな。あの時一緒に行ったフェスは最高だったもんな。
ま、そんな感じでよくバイクに乗ってるわけだ。
そうすると…よく見るものがある。ああ…うん。言いにくいが事故とかで死んだ動物の死体とか、な。
ロードキルってやつだな。夜の山道なんかじゃ街灯も少ないし、動物によってはライトにビビッて立ち止まっちゃうのもいるらしいから。
幸運にもアタシは事故ったことはない。ライトで止まるらしいって言ったのは聞いただけの知識だ。
同じツーリング趣味の奴と話たりするとそういうことを聞いたりするんだよ。今の知識も聞いたから知ってるだけで実際に体験したわけじゃない。
ただ…事故ることは無くてもその場にアタシが居合わせることもある。目の前で電柱や対向車と衝突した奴や、スリップしてこけたりした奴を見たりな。
ロードキルもそうだ。轢かれる瞬間を見たことは無いが死体はそこに残るからな。否が応でも目にする機会はある。
今まで見たのだと…たぬきや鹿、珍しいのだとイノシシとかな。
ああ、分かってるだろうが死体はそういう野生動物だけじゃない。
野良や逃げ出したペットの猫や犬も死んでたりする。
…前置きはこのくらいか?まあ分かるだろうが、この話はそのロードキルの話さ。
野良かどうかは分からないが…。猫が轢かれていた話さ。
その日は休日で遠出して遊びに行っていた日だった。
少し帰るのが遅れちまってな。夏の終わり頃だった事もあって日は既に落ちてて真っ暗だった。
食料品を買ってたし、まだ暑い日は続いてて汗ばんでたからシャワー浴びたかったからさっさと帰りたかったんだ。
ああそうそう、その時住んでた茨城のアタシんちは少し入り組んだ所にあってね。かなり郊外の方に住んでたんだ。バイクがないとろくに移動できないくらいにね。
遊びに行った所から帰るなら、山を越えたほうが早かったんだ。輝子もあの辺に一回連れてったことあったろ?そうそう、近くにある山の名前見て興奮してたよな。
まあそんな訳で…暗い山の夜道、人のいない道を走ってたのさ。
いつも通ってる道だった。でも今思えば少し変だったかもな。
普段なら暗くなってもアスファルトに熱が残ってて夜でも暑いんだが…。その日は妙に涼しかったよ。
少し肌寒いし、多少は帰るのが遅れても良いからスピード落とそうかな?と思って速度を落としたら…。
ボロボロになった何かが数メートル先にあった。
びっくりしてブレーキかけてバイクを停めて、何が落ちてるのか確認したんだ。
でも、分からなかった。
…頭が砕けちまってたんだ。車に何台か轢かれたのか体もボロボロで…よーく見て何となく猫だって分かったくらいだった。
グロいし不気味だし怖いし…。見なかった事にしてそのまま帰っちまおうかと思ったんだが。
人通りが無くても時々車は通るし、その度にこの死体は轢かれていく…。
それを想像しちゃうとそのままにしておくのは可哀想っつーか…何か嫌だなと思ってな。
買った物をかばんや別の袋に無理やり押し込んで、一つだけ空いた紙袋に死体を入れたんだ。
冷たくて硬くて血で濡れててドロドロしてて…正直泣きそうだったが何とか全部紙袋に入れた。
時間にしたら多分10分もしなかったと思う。でも小さい猫の死体を紙袋に入れるだけだったが既にへとへとに疲れてたよ。
でも気力を振り絞って道端の地面を軽く掘って、そこに紙袋を埋めた。
お供え代わりに買った物の中にあったツナ缶を開けて、軽く手を合わせた。
全部終わって時間を見たら大体30分か40分くらい経ってたと思う。
疲れたし、気に入ってた手袋も血と泥で駄目になっちまったが…まあ悪い気分じゃなかったよ。
達成感というとちょっと違うかな…。まあ、偽善的でも良い事したかなとは思ったさ。
さて帰るか、という時にぱらぱらと雨が降り出してきたんで急いで戻った。
スリップしない程度の速度でなるべく早く走り続けた。街灯もあんまり無くて危なかったからな。
でも…いつまで経っても同じ道のままだった。
迷子になるはずは無いんだ。いつものように通ってる道だしそもそも一本道だ。
30分、40分、50分、一時間、とずっと走らせても風景は変わらなかった。ずっと同じ暗い山道のまま。
おかしい、と思い始めた時。
視界の端にあのボロボロの頭が砕けた猫が映った。
見間違いかと思った。捨てられた粗大ゴミかなんかを見間違えたんだ!…ってな。
埋めたはずだし…そもそも死んでて起き上がれるはずが無かったしな。
雨で濡れたせいもあったが、尋常じゃない寒気がしてそのまま全力で走り続けた。スリップするのとか考えずにな。
でも抜け出れなかった。コースでも走ってるみたいに同じ場所が延々と続いてた。
…そして何度も視界の端に、道端にあの猫が映るんだ。
ずっとこっちを見ていた。頭は砕けてて目があることなんて分からないのに…『見てる』ってはっきり分かった。
もうその時は全力で逃げることしか考えてなかった。
多分今までに無いくらい泣いてたし、恥も外聞も無く叫んじまってたな。
でもとうとう限界が来た。元々遊びに行っててそこそこ疲れてたし、混乱しまくって訳も分からなくなってて…そんな状態で雨の山道を全力疾走だからな。
事故らない訳が無い。
視界が揺れて横倒しになった後、ふわっとした感覚があった。で、アスファルトが迫ってきて…。顔から地面にぶつかる衝撃があって…。
目が覚めた。
起きた瞬間も混乱しまくってたな。
確かにスリップした事は覚えてる。雨に濡れて寒かったのも覚えてる。…あの、猫の死体のことも。
でも気付いたらアタシの部屋のベッドの上。翌日の朝になっていた。
親にどうやって帰ったか聞いても『遅くに普通に帰ってきて、そのまま部屋に入ってすぐ寝た』って事しか分からなかった。
体にどこも傷はなかったし、バイクにもスリップして倒れた傷はなかった。
…それでも、手袋に血と泥はこびり付いていた。
そのまますぐ猫の死体を生めた場所に行った。
アタシが置いたツナの缶詰があるからすぐ分かったよ。中身はそのままだったしね。
土を掘った痕跡も、何かが埋まった跡も無かった。
…怖かったけど、念のため掘り起こしてみた。
昨日掘ったのと同じくらいの位置に埋まった紙袋が、すぐに出てきた。
掘った痕跡も無かったのに。何故か、ね。
…紙袋には何も入ってなかった。
夏樹「これでアタシの話はおしまいだ。どうだったかな?」
ザワザワ…
幸子「おおう…」
小梅「す、凄かった…」キラキラ
輝子「前に連れてってもらった場所の近くだから…何となくイメージできちゃうんでこ、怖かったな…」
拓海「…」
里奈「お?たくみんどしたん?」
涼「アタシの話より怖かったしブルって声も出ないか?」
拓海「いや…なんつーかさ。アタシも猫飼ってるからさ」
夏樹「あー…そういやそうだったな。猫飼ってる奴にこういう話は厳禁だったか…?」
拓海「そういうわけじゃねーよ。でもさ、さっきの涼の話の手みたいにそんなに怖い猫じゃないのかもしれないぜ?」
亜季「どういうことでありますか?」
拓海「あいつらも生き物だし人と大差無い感情があるんだ。嬉しいときには擦り寄ってくるしイラっとしてたら近寄ってもこない」
拓海「嬉しい時に擦り寄ってくるみてーに、きちんと弔ったのを感謝してお礼を言いたかったのかもしれないぜ?」
亜季「お礼、ですか…」
拓海「それにスリップしても何も無かったんだろ?怖かっただけで悪いことはなんもしてないしな。」
涼「確かに、さっきのアタシの話みたいな感じではあるな」
夏樹「そういう考えもあるか…」
里奈「でもでも?どうして紙袋には何も入ってなかったん?」
小梅「ふふ…猫に九生有りなんて言葉通りに…生き返っているのかも…ね?」
亜季「九生…九つの命があるでありますか?」
小梅「そう…これは古いイギリスの本に書いてあった言葉だけど…」
小梅「もっと昔から…それこそ古代エジプトとかでも魔翌力のある生き物として崇められたたんだ…。日本でも…色々あるでしょ…?」
涼「そういや猫又とか化け猫とか猫の怪物は怪談には付きものだもんな」
亜季「招き猫とか幸運の象徴でもありますね」
小梅「中国の金華猫とか…アイルランドのケットシーとか…もね」
輝子「こうしてみると…。け、結構…猫の不思議な力みたいなのは有名なんだな…」
幸子「ふむ…となると拓海さんの言葉も少し説得力が増してきましたね…」
拓海「だろ?」
夏樹「ま、そういう考えかたの方が気は楽になるな…」
二話目 終
とりあえずまた一旦ここまで
もうちょい頑張って書き溜めしてきます
乙
無理せずやってくれゆっくり待ってるから
次、投下する時で良いんだけど、この猫の話って1の創作とか実体験?
去年、同じような経験したんだけど...
二話ほど書けたんで投稿します
寝落ちしちゃったらごめんね
>>43
基本的に
・実体験
・友人から聞いた話
・ネットの怖い話
・創作
の四つをごちゃまぜにして書いていく予定です
一話目の涼さんのは創作、二話目のなつきちのは友人から聞いた話に創作したものを追加した話となっています
二話目の友人から聞いた話はロードキルされた死体を埋めた後走ってる道がループしてた。その間何者かにずっと見られてた気がする、気付いたら帰ってたくらいです
動物が猫なのと掘り起こして確認したのは創作です
この後の三話目はネットの怖い話+創作
四話目は実体験に創作を追加したものです
幸子「二話目が終わりましたね…」
輝子「な、なかなかスタジオも…雰囲気出てきた…な。フヒ…」
小梅「ふふ…観客の皆も…いい顔…だね」
夏樹「アタシの次は亜季だったか?」
亜季「ええ!私がサバゲーやってた時に体験した出来事です!」
輝子「サバゲー…さ、鯖…?」
亜季「サバイバルゲーム、略してサバゲーですね!BB弾を撃てるモデルガンで模擬戦闘をして遊ぶゲームのことです!」
輝子「な、なんだか…危なそうだな…」
亜季「私服でそのまま撃ち合えば危険ですが、ゴーグルやジャケットを使用しますしBB弾も自然に還るタイプのものを使用してますからね。モデルガンを使うということで危険なイメージはありますが、きちんとマナーを守れば安心安全なんですよ!」
輝子「おぉ…」
幸子(ボクがよく番組でやるサバイバルゲームとは違うんですね…)
小梅「じゃ、じゃあ…亜季さんは…そのサバイバルゲームで体験した怖い話を…してくれるの…?」
亜季「…」
小梅「…?」
亜季「と、思ったんですけどねえ…」
里奈「どしたん?」
亜季「いえ、あまり話題に出した事は無いんですが…私、他にも趣味がありまして…」
涼「あれ、そうだったか?てっきりミリタリー趣味ばかりかと思ってたが」
亜季「ああいや…これもミリタリー趣味とそんな変わらないんですよ。ただサバゲーよりも一般的な女性の趣味らしくないですし話す機会も無かったので」
夏樹「なんだよ。そんなもったいぶらずに言っちまえよ」
亜季「その…プラモデル収集が好きなんです…戦車や戦艦、戦闘機に限らずアニメのロボットや機械なんかも好きで」
幸子「へぇぇ…初耳ですね…」
亜季「一応プロフにも書いてあるんですけどね…。まあ同じ趣味のP殿やスタッフの方とたまに話すくらいで、アイドルの方と話す機会は無かったので知らないのも仕方ありませんが」
涼「じゃあそのプラモの怖い話なのか?」
亜季「ううん…それとも少し違うような…」
涼「ええ…」
拓海「いったいどんな話をするんだよ!」
亜季「いやあ…怖いというか不気味なのは確かなんですが…」
拓海「怖いからって怒りゃしねーよ。こうして焦らされる方が嫌だぞ」
亜季「そうですか…。では話しましょう。これは…プラモに関する話というか、プラモを作ってたときの話なんですよね」
小梅「作ってた…時…?」
亜季「ええ。あんまり言いたくないんですが…これ、寮での話なんですよね」
三話目
『曲がる』
プラモ作りをしている人なら分かると思うんですけど、小さいプラモでなくても大きくてそこそこの値段のする良いプラモは細かいパーツが多いんですよ。
作らない人には分かり辛いとは思いますがこの細かいパーツが中々に厄介なものでして…。
あ、お客さんの中に頷いてる人がいますね。
そうそうこの細かいパーツが枠(ランナー)から切り取ったり、その切り取り痕を削る時とかにどっかに飛んでったりするんですよね。
『その時』もちょうどそんな時でした。
作ってたプラモはその時期にやってたロボアニメの主役ロボのプラモでしたね。発売したばかりでした。
光殿や奈緒殿に誘われて観始めたらはまってしまいましてね。ロボもそうなんですが武器のデザインがリアルで細かくて素晴らしい出来なんですよ。
そう、その武器を作ってる最中のことでしたね。
ランナーから切り離しその痕を削ってる時、つるりと手が滑ってしまったんです。
そのパーツがライフルのバレル…砲身の事ですね。撃ったときに弾が通る筒の部分です。なので細いんですよ。
細くてつまみにくく、プラスチックでできた物ですから強くつまむと破損の恐れがあります。だから作業中に落としてしまうことは良くあるんです。
そしてこういう風に手が滑った時、恐ろしい事態になってしまう事が二つあります。
一つは削るために使っていたナイフが指に刺さって怪我をすること。
二つ目はそのパーツが床に落ちてしまった時、パーツを見失ってしまうこと。
その時は後者でした。バレルのパーツがどこかに行ってしまいました。
私は急いで床を探し始めましたが見つかりませんでした。
机の下の隅っこなどをライトで照らしながら探しましたが影も形もありませんでした。
…こういうことありますか?文房具…ペンや消しゴムなんかが落ちて見失ってしまうのって良くありますよね。そして忘れた頃に見つかるんです。
この時もそういう物だと諦めていました。幸いにも剣などの他の武器が付属していましたし、そちらを持たせて飾って満足することにしました。
そうしていたら既に時間が深夜になっていることに気付きました。
お風呂や歯磨きも夕飯後にすぐ済ませていましたし、もう寝ようとベッドに寝転がりました。
首元に軽い違和感を覚えました。
プラスチックのような物がうなじ辺りに触れる感覚。
まさか、と思い電気をつけ枕元を見ました。
ライフルのパーツが落ちていました。
ぐにゃり、とめちゃくちゃに曲がって
…その時は眠気が勝っていたのかそのままパーツをゴミ箱に捨てて寝てしまいました。
翌日になって改めて思い出すと恐ろしくなりました。
床に落ちたはずのパーツが何故ベッドの枕元に?
そして何故あんなに変形し曲がってしまったのか?
ゴミ箱に捨てたパーツを探し出し、手にとりました。そしてさらに恐ろしい事に気付きました。
何故ぐにゃぐにゃに曲がってしまっているのか、ということに。
普通、プラスチック製のものを曲げようとしたら曲がるより先に折れてしまうはず。
それなのにこのパーツは折れずに…まるで針金を曲げたように変形してしまっている。
パーツが枕元にあっただけなら飛んでいった際に見失っただけで、床ではなくベッドに落ちたりや服にくっついていただけとも考えられる。
…でも曲がったのは?
いくら考えてもどうしてそうなったのかという答えは出ず、そのパーツも気持ち悪くなってしまいごみと一緒に処分してしまいました。
普段なら原因を解明しようとか思うんですが…。
丁度アイドルの活動が忙しくなってきた時期だったためすぐに忘れてしまったんですよね。
それ以降お菓子とかテレビのリモコンが机から落ちても特に何とも無かったから、というのもあります。
ですが忘れていた頃、再度同じことが起こりました。
季節は夏場でした。
大西殿や荒木殿と夏の祭典へ行ってきた後の事でしたね。
あの祭典はアニメやゲームの同人以外にも自分の好きなものを本にして頒布するお祭りでもあるので、軍事関連の本が結構出ているんです。
ライブが終わり、打ち上げ後の事だったのでつい調子に乗って色々買い込んでしまいました。
普通に買った本も練習で読む暇がありませんでしたので、それも含めて部屋で本を読み耽っていた時です。
読み終わった本は机の上に積んでいましたが、重ねて置いた時にバランスが悪かったのか一冊の本が落ちてしまいました。
仕方ない、読み終わった本だし後で拾おう。と、その時は思ってたんですが。
…違和感に気が付きました。落ちた音がしないんです。
床にはラグが敷いてありますし、落ちた本も薄い文庫本でした。
それでも、音がしないのはおかしい。
ふとライフルのパーツのことを思い出しました。
まさかと思いベッドに向くと、やはり本がありました。
…パーツと同じく、ぐにゃぐにゃになった本が。
一ページずつ水に濡れてから乾いた時のように、たわんだようにくしゃくしゃになっていました。
どうやったのか、背表紙もS字を描くようにぐにゃぐにゃと…。
驚きも、混乱も、恐怖もありましたが、何よりも理解が追いつきませんでした。
すぐにP殿や寮母さんを呼んで同じような状況で同じような本を落として再現しようとしました。
しかし当然ながら再現することなどできませんでした。
…あの時、P殿と寮母さんには私の姿はどう映ってたんでしょうね?
くしゃくしゃになった文庫本を手に、「おかしい、こうなった筈だ!」と半狂乱になりながら机の上から何度も本を落とす姿…。
私の姿の方ががホラーに見えたかもしれませんね。
何度も本を落としている私に「疲れているんだ。少し落ち着こう」とP殿が言いました。
いつの間にか寮母さんが紅茶を淹れ、果物と一緒にお盆に載せて持ってきていました。
お茶を飲んで落ち着いて、少し冷静になれば原因も分かるかもしれない、と。
不服ではありましたがそれに従いました。疲れていたのは事実ですしね。
しかしそこで寮母さんが床とラグとの隙間に足を取られて躓いてしまいました。
カップと果物が床に散らばってしまいましたが幸いにもP殿や私に当たることはありませんでした。
…ええ、紅茶も、果物を切るためのナイフも私達には当たりませんでした。
最初に気付いたのはP殿でした。
紅茶は全てベッドの上に広がって染み込んでいました。
ナイフも、血のように広がった紅茶の染みと同じ場所に突き刺さっていました。
…やはり、ぐにゃぐにゃに曲がって。
これが…私の経験した話です。
ザワザワ…
輝子「ヒエッ…!」
拓海「…」ガタガタ
幸子「え、ちょ、終わりですか!?その後どうなったんですか!?」
涼「その部屋はどうなったんだよ!」
亜季「あー…流石にやばいと思ったらしく別の部屋に移させてくれましたよ。その部屋は使用中止にしてドアを塞いでしまったようです」
小梅「まあ…そうだよ…ね」
夏樹「そういえば…開かずの部屋がひとつあったっけ…?」
亜季「あ、そこが前の私の部屋でありますね」
涼「それで良いのか…?」
幸子「ボクだったら絶対寮出て一人暮らしコースですよ…」
里奈「うーん…」
拓海「…どうした?」
亜季「何かありました?」
里奈「いやさ?あっきーの部屋がたまたまそうなっただけなのかな?とか思ってさー」
亜季「と、言いますと…?」
里奈「このどっかにワープ?して曲がっちゃうのが他の部屋で起きたりするのかなー?とかさ」
拓海「…!」ビクッ
亜季「あー…い、一応部屋を移ってから同じような事が起こってないので多分大丈夫だと思いますが…」
里奈「あとワープしたのは本とかそんなのだったけど生き物がワープしたらどうなr」
拓海「」チーン
夏樹「拓海ぃー!?」
幸子「はい!次の話題!次の話題にしましょう!」
三話目 終
拓海「くっそー…びびらせやがって…」
里奈「ごめんってばー…」
幸子「まあ、そういう番組ですから…」
輝子「しょ、しょうがないね…フヒ」
小梅(とっても楽しいのになあ)
涼(小梅が「とっても楽しいのに…」みたいな顔してるな…)
幸子「次は…拓海さんでしたか?」
拓海「…おう」
夏樹「…大丈夫か?」
拓海「大丈夫に決まってんだろ!バリバリに怖い話してやるっての!」
涼「最後の方に『それはおまえだー!』みたいに大声出してびっくりさせる系の話も駄目だからな?」
亜季「小学校の修学旅行とかによくされる話でありますな!」
輝子「な、懐かしいな…」
拓海「そんなんじゃねーよ!ちゃんと体験した話だっつーの!」
夏樹「拓海の場合怖い体験しても気絶したりしそうだからな…」
里奈「あー…」
拓海「『あー…』じゃねーよ!ガキの頃にきちんと体験した話だよ!」
小梅「子供の…頃…?」
亜季「幼少期の思い出でありますか?」
拓海「ああ、小学校入る前だったから…4歳か5歳くらいだったか」
拓海「ハッキリと覚えてるぜ。父親が帰ってくるのを待ってた月曜日の日だった」
四話目
『坂』
なんでハッキリ覚えているかっつーとアレだ。テレビ番組があったんだよ。毎週月曜日の夜にやってたヤツ。
コタツに入って寝転がっている母親のことも覚えてるから…多分冬だったのかな。
番組はたしか今でも続いてる番組だったはずだ。
それを毎週夕飯の後に見るのが楽しみだったんだ。今でもそれを覚えてる。
その頃の親父は仕事が忙しくてな。夕飯に間に合わないんで休日以外はお袋と二人で夕飯を食べてた。
いつもと同じようにその日もお袋と二人で夕飯を食べて番組を見てたよ。
親父はだいたい、その番組が終わる頃に帰ってくる。
いつも車で通勤してるから、エンジンの音とタイヤが砂利を踏む音で帰ってくるのが分かる。
でもお袋はコタツでウトウトと眠ってて、家のドアが開く音で目が覚めて…。そして親父に夕飯を出して一日の出来事を仲良く話し合うんだ。
その日もいつも通り車の音が聞こえた。お袋も眠っちまってる。
番組は丁度終わったところだし、玄関に行って「おかえりなさい!」と出迎えようと思ったんだ。
…ああ、言い忘れたがアタシんちは小さいけど二階建てでね。
リビングが二階にあるんで玄関に行くには階段を下りなきゃいけない。
ガキの頃のアタシはその階段が苦手でね。古い家だったのもあって、子供の足じゃ降りるのも登るのも少し辛いくらいの段差だったんだ。
しかもUターン階段だったんで、下で物音がしたり話し声が聞こえても二階からじゃ一階の事が何も分からないんだ。
だからその出迎えも普段はやらなかった。夜にその階段を下りるのが怖かったしな。
…今思うと、何で怖いのにその日は出迎えようと思ったんだろうな?
ま、そんな訳で階段を下りようとしたんだ。
夜だし当然、照明をつけるよな。
でも電気をつけてもそこに階段はなかった。
…『坂』があったんだ。
そう、坂道だ。
Uターン階段だから本来は壁があるところなのに壁も階段も無い、真っ直ぐな下り坂が続いていた。
階段の照明の色より濃いオレンジ色で…ああ、夕焼けみたいな色だったかな…。先が見えないほど長い下り坂だった。
…当たり前だけどよ、ビビッて逃げ出すよな。ガキだし。
その時はリビングで寝てる母親に泣きついたんだ。
半泣きだったし「階段が変になってる!」って感じの事しか言えてなかったけどな。
まあ…普通は信じないよな。寝る時間に近いし寝ぼけてるだけだと思われて当然だ。
でもその時お袋から「お父さんはまだ帰ってきてないしもう寝ちゃいなさい」と言われた。
そんな馬鹿な、と思ったね。
だって車の音がして表の駐車場に止める音も聞こえたんだぜ?
でもそれを主張してもお袋は聞いてくれなかった。そりゃ親父が帰って来てたらもう家に入ってるもんな。
でもそのときのアタシは「あの坂があったから帰ってこれないんだ!下りてお父さんを迎えに行かなきゃ!」としか思ってなかった。
…あの頃のアタシは怖がりだったはずなのに、何でそんな事を考えたんだろうな?
まあ…そんな感じでまた階段のところに行ったのさ。
階段を下りて親父を迎えに行くためにな。
でも下りようとしたら…坂の途中に人がいることに気付いた。
一瞬、父親かと思って喜んだが…違った。親父より痩せてたんだ。
…いや痩せてたというより皮と骨ってくらいガリガリだった。でも頭だけ妙に丸くてデカかったのを覚えてる。
それにこっちに背中を向けていた。親父が帰ってきたなら下から来るはずだしこっちを向いてるはずだしな。
でも、つい言葉に出して言っちゃったんだ「お父さん?」ってな。
聞こえたのか、それともアタシが来た時の足音で気付いたのか、ソイツがこっちを向いた。
……。
…こっちを向いたのかな?
…いつの間にか目がそいつの頭の真ん中にあった。
こっちを見てたんだ。
もうその時には坂を下りようとかそんなの考えられなかったね。
すぐに照明を消した。
真っ暗になって坂も階段も見えなくなった。
…でも見えなくなったのがもっと恐ろしく感じた。
この見えない中から何かが来るんじゃないかと思ってな。
母親のさっき言った言葉に従って寝室に行って布団をかぶった。
アイツが来ませんように、父親が帰ってきますようにってね。
目が覚めて朝になったら親父はちゃんと帰ってた。
…でも昨日の事を聞くと親の言う事とアタシの体験したことが全く食い違ってた。
昨日親父は番組が終わる頃と同じくらいに帰ってきていた、らしい。
アタシも起きてて両親と一緒に話をしていた、らしい。
母親は昨日アタシが階段の事で泣きついた事を覚えていなかった。
あれは夢だったのか?と思った。
でもな。アタシはこれは夢じゃ無いと確信してる。
アタシは布団をかぶって寝る前にあることをしたんだ。
その頃の朝にやってた子供向け番組に怖い話のコーナーがあってね。
バナナの絵を寝室に置いておくと怖い奴に襲われず、大丈夫だったという話があったんだ。
全然関係ないのにその話の通りにバナナの絵を布団の足元に置いて寝たんだ。少しでも安心したかったからね。
…バナナの絵は同じ場所に置いてあった。
あれは夢じゃなかったんだ。
…どうして、アタシの記憶と両親の記憶が食い違ってたんだろうな?
これで、アタシの話は終わりだ。
ザワザワ…
幸子「下り坂と、記憶が食い違った現象、ですか…」
輝子「さ、坂の話だけならともかく…絵を置いた証拠があるのか…」
里奈「たくみんも結構怖い体験してたんだねー…」
小梅「お、面白かった…ね」
拓海「どうよ!めっちゃ怖かっただろうが!」
夏樹「あ、今の言葉で不気味さがすげー薄れたわ」
拓海「なっ…!」
涼「しかしなんで坂道だったんだ?階段だったから?」
小梅「そうかも…ね。昔から…階段もだけど…扉とか、エレベーターみたいに…『此処から何処かへ移る』ものは不思議な話が多いし…ね」
亜季「エレベーターや階段の怖い話は確かに多いですからねえ…」
輝子「さ、坂道をそのまま下りてたら…どうなってたんだろう…?」
小梅「案外…黄泉の国へ繋がる黄泉比良坂…だったりして…ね」
拓海「や、やめろよ…実家に帰れなくなるだろ…」
四話目 終
ひとまずここまで
残りはふじりなの話ですがもう少し続けるつもりです
良ければもう少しお付き合いください
乙
いいよーいいよー
おつ いいね 結構怖いし面白い
りなぽよは能天気ぽく見えて意外とヤバイ経験してそう
ここまでの反応もいまいち薄いしどうなるかな
何が恐ろしいってこれが実話ベースから来てるところだよな
どこが脚色されてるにせよ
はいよ
>>1です
父方の親戚の結婚式や母方の祖母が亡くなり、葬式やらで時間が無かったのでまだ書き終わってません
一応今月までには何とか終わらせるつもりですので今しばらくお待ちください…
>>1です
本当にお待たせしました
二月中に終わらせるつもりがどうしてこうなった…
全部風邪ひいたり仕事が忙しいのが悪いんや…
とりあえず仕事から帰った夕方頃にふじりなの話を投下します
待ってた!
これからふじりなの話を投稿します
幸子「四話目が終わりましたね…」
小梅「とうとう…最後の話になっちゃった…ね」
里奈「最後はアタシかー」
輝子「ど、どんな話をするんだ…?」
拓海「おめーとホラーってあんまイメージ合わないしな」
里奈「たくみんひどーい!一応アタシだって怖い目にあってるしー!」
夏樹「へえ…いつ頃の話なんだ?」
里奈「んー…ちょっと前の話かな。スカウトされる前にちょっち一人暮らししてたときあってさー。そん時の話」
亜季「では、私と同じように結構最近の話なんですね」
里奈「うんうん。色々あってドカタやりながら暮らしてたんだけどさー。住んでた所でこれまた色々あってねー…」
涼「親元を離れて一人暮らしってのは、確かに怖い体験しそうだよな。ホラーじゃ定番っちゃ定番だけど」
小梅「ネットとかでも…一人暮らしでの怖い体験とかの書き込み…よくあるもんね…」
拓海「一人暮らしだとホラー以外にも色々怖い目に合うのはありそうだけどな。泥棒とか」
輝子「私なら…なんかの勧誘とか…怖いかな…フヒヒ」
里奈「んー泥棒とか勧誘とかは無かったかな。少なくともアタシの部屋じゃ怖いことは起きなかったし」
夏樹「…お前の部屋の事じゃないのか?」
里奈「うん。アタシの部屋じゃなくて、隣の部屋で起きたことなんだ」
五話目
『なにもなかった部屋』
まずアパートの話からしよっか。
やっぱお給料的にそんないいとこ住めないから安めのアパートだったんだよね。
でもドアは頑丈できちんとした鍵が掛けられるし、ちゃんとしたベランダつき。窓も針金入りで簡単に割れないヤツ。
郊外なんで近場の駅まで歩いて三十分以上かかるし、スーパーやコンビニもちょっと遠かったけど…。その辺はバイクあったしね。
東京でもこんなとこあるんだなー…って思ってたけど不動産の人も大家さんも優しかったしその部屋を選んだんだ。
まー、安アパートだけあって外にある国道の音が聞こえたり、ドアの開け閉めも結構聞こえたりするんだけどねー…。
アタシの部屋は二階の6号室。一つの階にで7号室まであって三階建てのアパートだったな。
7号室には会社の出張で大阪から来たおっちゃんが住んでて、5号室は空き部屋だった。
ああうん…そのおっちゃんの事じゃないんだ。5号室の方。
その5号室からいつの間にか音がするようになったんだ。
…家鳴りじゃない『誰かがいる音』が。
最初はね、がさごそ何かが動くくらいの音だったんだよね。
衣擦れみたいな?あと靴下履いてすり足で歩いたとかそんな音なんかも。
空室ってのは聞いてたし隣に何もいないのは分かってたんだけどさ。
音が聞こえる度に、何かいるのかな?何か怖いし嫌だなーって思ってたけど…。
まあそのうち気にならなくなったんだ。テレビ見てたり携帯で音楽聴いてたら気になんないくらいの音だったし。
それまでは、何も無かったしね。
マジヤバってなったのはそっから半年くらいかな?
その日は仕事が長引いちゃってクタクタに疲れてたんだよね。
ご飯も帰る途中で食べてきたから帰ってシャワー浴びてそのまま寝ちゃったんだ。
普段の寝る時間よりそこそこ早めだったし…深夜の三時くらいかな。
微妙な時間に目が覚めたんだよね。
部屋にある時計の音と冷蔵庫のブーンって音に混ざって、隣から音が聞こえてきた。
いつもの衣擦れみたいな音じゃなかった。
擦る音…ううん…引っかいてる音、みたいな?
5号室からこっちの6号室へ向かって壁をガリ、ガリ、って引っかいてた。
音が出てくる位置から何となく、壁に向かって立ってる向こうにいる何かが爪で引っかいてるように思えたな。
…うん、とても怖かったよ。
今まではただ単に衣擦れとかすり足みたいな音しかしなかったけど、はっきりと『こっちに向かって』音を出してるのは初めてだったしね。
それにさ。今までアタシが気付かなかっただけで、今まで夜はずっとこんな感じだったのかも…とか考えちゃうと、ね。
壁を引っかいてくるってのも訳分かんなかったし…。
それに何分待っても引っかく音が終わんなかったしね。
もうすっかり目が覚めちゃったんだけど体がうまく動かなかったな。
ああ、金縛りとかそんなんじゃなくて、怖くて使ってた毛布に包まって震えっぱなしだったから。
で、つい言っちゃったんだ。
『誰かいるの?』って。
その声が聞こえたのかな。引っかく音はすぐ止まったんだ。
一瞬ほっとしたけどすぐに別の音が響いた。
今度はもっと大きい音でドンッ!って。
今で言う壁ドンってやつ?
でもまあ…これも何となく、音の出る位置で殴った音じゃないって分かるんだよね。
…多分、頭をぶつけたのかも。音の出てた位置がそんな感じだった。
凄い大きい音だったよ。ドン、ガン、ガツンって感じの叩き付けるような音。普通だったらおでこが割れて血が出たり骨が割れるくらいの勢い。
警察呼ぶのが普通なんだろうけど…そんなの考えられる余裕は無かったねー…。
毛布かぶって耳塞いでもうやめて!って願うくらいしかできなかったね…。
気絶したのか、いつの間にか寝ちゃったのか…。
気付いたら朝になって音も止んでた。
なんかもうダメダメな感じでさ。仕事あったんだけど休みの電話入れて。
で、すぐ不動産と警察に電話しちゃった。
空き部屋の隣に誰かいる!ってな感じで。
女のアタシが電話したからなのか不動産の人もおまわりさんもすぐにやってきたよ。
でも…何も見つからなかったんだよね。
隣の空き部屋を確認しても誰かがいた跡も、入り込んだ跡も無かったんだって。
ま、ここまでなら寝ぼけたアタシの夢とか幻覚で済むし笑い話だったんだけどねー…。
念のため他の部屋の人にも聞き込みしたら聞こえてたんだって、その大きな音。
1号室とか2号室までは聞こえなかったみたいだけどね。上や下の階でも隣り合ってた部屋なら聞こえてたみたい。
流石にこれは事件かもしれないという事で、おまわりさんたちも周辺の見回り強化と不審者の聞き込み調査に乗り出してたよ。
不動産の人もその空き部屋に泊まって様子を見るってことになった。
30代くらいのおじさんと新人の20代のお兄さんだったかな。
夜食代わりにカップ麺を買って来てたけどガスや水道が出ないからアタシの部屋のを貸したんだ。
良く覚えてるよ。一緒にカップ麺食べたし。
そんな感じで不動産の人たちが隣にいたし、おまわりさんも周りを見回ってくれてる。
本当なら安心なんだけど…。何となく落ち着かなくてさ。
テレビ見たり携帯弄って時間潰しながら、寝ないで夜遅くまで起きてたんだ。
…そしたらその内また聞こえてきた。壁から引っかくような音。
不動産の人たちの声は聞こえなかった。気付いてない?それとも不動産の人たちが出した音?とか思ってたらまたあの大きな音が聞こえてきた。
しかも今度は部屋中ドタンバタンって暴れ回るような音だったよ。転げ回ってるみたいな音だったかも。
ヤバ!ってなったけどさすがに2回目だったしすぐ警察を呼べたよ。おまわりさんも巡回中の人がすぐ来てくれた。
おまわりさんが来た頃には空き部屋の音は何も聞こえなくなってた。
音が大きかったからか他の部屋の人も何人か起きて様子を見に来てたっけな。
おまわりさんとアタシ、それにおまわりさんに連れられて来た大家さんに他の部屋の人を入れて6人くらいいたかな?
…だから、全員その部屋のことをちゃんと見てたはずだったと思う。
急いで部屋の確認を!ってな感じでみんなが空き部屋の前に集まった。
おまわりさんが先頭で部屋のドアを開けた、大家さんから鍵を渡されてたけど鍵はかかってなかった。
部屋にはなにもなかった。
うん。なにもなかったんだ。
『誰もいない』普通の空き部屋だった。
不動産の人がコンビニで買ってきたお菓子の袋とか、明かりを付けるためのスタンドライトとか。
表の駐車場に停めてある不動産の車から持ってきたクッションも、暇つぶしで持ってきてた本も。
…全部無かった。
不動産の人たちもどこにもいなかった。靴も無くなってた。
最初に入居したアタシの部屋みたいになにもない部屋だった
みんなあっけにとられてたけど、おまわりさんだけすぐに応援を呼んで調査し始めてた。
誘拐とか何かの事件かもしれないって事で調査してたけど…。アタシはここから先は良く知らないんだ。
その後すぐ丁度良いタイミングでスカウトされて寮に移っちゃったからさ。
でも少し前に7号室にいたおっちゃんに偶々会ったんで話を聞いたんだ。
おっちゃんもそこまで詳しい話は知らないみたいだけど…。結局、不動産のおじさんとお兄さんはまだ見つかってないんだって。
あの空き部屋とアタシのいた部屋も警察が調査するためって事で封鎖してるんだってさ。
警察も一応調査は続けてるけど証拠とかそういうの、全然見つからないみたい。
がりがり引っかく音も、どんどん叩く音もしてたし普通なら絶対誰かがいたはず…だよね?
引っかく音に反応しなければこんなことにならなかったのか、それともアタシがどうにかなっちゃってたのか…。
なにもない部屋だったけど、本当は『何か』がいたのかな?
…あの音はいったい何だったんだろうね。
ザワザワ…
里奈「とりあえずアタシの話はこんな感じかなー」
幸子「えっと…」
輝子「こ、これまでとは一味ち、違った、な…」
亜季「被害者というか…行方不明者が出てるとは…」
小梅「不謹慎なのかもしれないけど…こ、怖かった、ね…」
拓海「ウン…」
涼「今更言うのもアレだがこれ話して良かったのか?」
里奈「あー…一応許可は取ったよ。警察以外にも、不動産の人とか関係者の人もおじさんとお兄さんを見つける為の情報を探してるみたいだしねー…」
涼「ああそっか、証拠全然見つからないとか言ってたっけ…」
里奈「あ、そうだ」ゴソゴソ
夏樹「ん、どうした?」
里奈「これ見せとかないと」トン
夏樹「これは…?」
里奈「えー…捜索者願いとかのサイトでこの写真は見れるみたいなんですけどー…」
里奈「○○ ○○さん(34歳)と○○○ ○○さん(26歳)の二人を探しています。知っている方がいましたらぜひテロップの所まで情報をお願いしまーす」
輝子「ヒエッ…!」
夏樹「な、生々しいなおい…」
涼「ここで紹介するのか…」
五話目 終
幸子「えー…そろそろ番組も終わりの時間がやってきました」
小梅「た、楽しかった…ね」
拓海「楽しいより怖いの気持ちの方が勝ってるけどな…」
亜季(ほぼ全部怖がってた気がしますが…)
夏樹「次の回はどうなるんだ?」
輝子「さ、佐藤心さんと安部菜々さんが次のゲスト…だな」
涼「濃いメンツだな…」
幸子「ではでは!番組のラストの締めということで!」
夏樹「お?」
幸子「炎陣の皆さんに歌ってもらいましょう!『純情Midnight伝説』です!」
涼「ステージとアタシ達の楽器がなぜか向こう側にあると思ったらやっぱりか…」
里奈「まあアタシ達のいい宣伝になるし、モヤっとした空気も吹き飛ばせるし丁度良いっしょ!」
亜季「それもそうでありますな…では行きますか!拓海殿!掛け声を!」
拓海「オッシャ!」ガタッ
拓海「…あれ?」
亜季「…どうしたでありますか?」
夏樹「オイオイまさか怖い話の影響で何か変なことでも…」
小梅「え?本物の怪奇現象が…」キラキラ
拓海「いや…その…」
拓海「腰が抜けて、立てない…」
全員「「「「……」」」」
夏樹「…まあいいや。輝子、お前拓海の変わりやってくれ。いつものライブの感じで」
拓海「!?」
輝子「え、い、良いのか…?それにヒャッハーしちゃうと曲に合わない気が…?」
夏樹「良いよ良いよ、全然平気。むしろバッチ来いだ。行くぜ輝子!」
輝子「そ、そうか…ならが、頑張らないとな…」グググ…
輝子「ヒィィィャッハァァーーー!!!」ババーン!
涼「ついでだし幸子と小梅も来いよ。一緒に歌おうぜ」
幸子「良いんですか?」
里奈「おっけーおっけー!人数多いほうが盛り上がるしね!」
小梅「わあ…楽しそう、だね…!」
亜季「夢のユニット完成ですな!行きましょうか!」
拓海「おいこら!アタシを置いてくな!ていうか一人にするな!待て!」
拓海「待ってぇーーーー!!!」
142'sとちょっと怖い話 終
その2へ続く…?
とりあえずこれでいったん終わりです
長いことお待たせしていた方がいらっしゃいましたら本当に申し訳ありませんでした
html依頼出してきます
おつおつ まってた
今回も怖かった…
人生経験豊富なしゅがはさんとウサミンの怖い話も期待してるよ
>>84にてふじりなの話が終わってからも続くとかほざいてますが
長くなっても読みにくいだけだと思い、いったんこれで終わりにします
また次の話まで一ヶ月~とかやってたら終わらなさそうですしね…
五話区切りということで、書き溜めできたらまたスレ建てしてその2を書いていきます
よければまたその時にお付き合いしていただけたら幸いです
ちなみに、こんなんも書いてます
しょーもないギャグssばかりですが暇つぶしにでも良ければどうぞ
輝子「プロデューサーの足が臭い…」
輝子「まるまゆ」
森久保乃々「最近休みが無いんですけど…」
氏家むつみ「牛丼屋の世界レベル」
乙、面白かった
続きも期待してます
筋肉モリモリ久保乃々の人だったか
乙
さっちゃんの話は未だにトラウマだ
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