これは私が高校3年生の頃に体験した話です。

「うん、うん。元気だよ？」

両親は仕事で忙しく転勤も多かった事もあり私は高校生にして一人暮らしをしていたのです。

「うん。そうだよ？友達とも上手くやってるよ？部活を始めたから後輩も出来て…うん。そう言うの初めてだから皆可愛くて仕方ないの…うん。そうだね」

母親に電話で説明しながら部活の仲間と撮った写真を見た時、違和感がしたのです。

「希？どうしたの？」

「いや…何でもないよ？」

あれ？写真をあんな方向に向けて飾ってたっけ？

「大丈夫？疲れてるんじゃないの？生徒会もやってるんでしょ？」

「本当に大丈夫だよ…うん。じゃあ、また電話するよ。お休み」

翌日

「うっしっし。にこっちにはわしわしMAXやね」

「ちょっ、何でよ」

「そんなん、決まってるやん？成長してるか～チェックする為に決まってるやん」

「余計なお世話よ～」

「また、やってるね」

「にこちゃんも希ちゃんも毎回よく飽きないよね？」

「さぁて、次は凛ちゃんかな？」

「な、何で凛まで」

「にゃ～」

「全く…いつか、にこ達に逆襲されるわよ？」

「大丈夫やって。その時にはまたわしわしMAXやから」

「はあ…」

「えりちもやって欲しがったら言ってな？」

「結構です」

「ふう～、今日も１日疲れたなぁ…にこっちも凛ちゃんも可愛かったなぁ…あれ？」

また…また、写真の位置が変わっていたのです。それも、昨日とは明らかに違う場所に…

「希の勘違いなんじゃないの？」

「いや、本当やって。昨日も違和感を感じたんよ。だから…」

「誰かが部屋に入り込んでるって事？」

「それしか…」

「う～ん…何かがあってからじゃ遅いし…希？前に生徒会で使ったビデオカメラがあるでしょ？」

「うん」

「それを部屋にセットして」

「なるほど。ウチが居ない時を録画しとくんやね？」

翌日、私は学校に行く前にビデオカメラを部屋に設置してから家を出たのです

「ねえ？本当に誰か入り込んでたら…どうするん？」

「そんなの…警察に電話するしか…それよりも、今日はどうなの？写真の位置は？」

「写真は変わってないけど…お花の位置が…」

「変わってるのね？」

「うん」

「…とりあえずビデオを再生しましょう？」

「…うん」

「大丈夫。私がついてるから」

親友はそう言ってくれたのですが私は不安でいっぱいでした。

「それじゃあ、再生するわよ？」

「キャァァァァ」

その映像を見て目を疑いました。部屋の押し入れから髪の長い女が出てきたのです

「これって…」

「だ、誰？の、希の知り合いじゃ」

「ち、違うよ」

女は私の部屋をぐるぐる周り玄関から出ていきました。

「…ど、どうしよう」

「ははあーん」

「え？な、何？えりち？」

「やってくれるわね、にこ」

「にこっち？」

「映像を巻き戻してみて？」

「う、うん」

「ここで停止」

「…あっ」

そこには長い髪の間から部活の仲間の顔が覗いていたのです。

「やられたわね、希。こないだの仕返しをされたのよ」

「そっか…えりちとにこっちには鍵を渡してたから…」

「ふふふ」

「あれ？でも、これってカメラを設置してる前提じゃなきゃ…あ～えりちも共犯やね？」

「あら？ばれちゃった？」

「酷いよ、えりち」

「最近、希はイタズラが過ぎるからよ」

「もう、凄く怖かったんやからね」

「もぉ、にこっち酷いやん」

「これに懲りたら少しは自制するのね」

「もお、にこも調子に乗らないの」

「絵里だって楽しそうだったじゃない」

「そ、それは」

「もぉ～、ウチは傷ついたんやからね」

「アハハハ、ごめんなさい」

「笑い事ちゃうよ」

「2日前からやったかいが合ったわね」

「え？」

「え？何よ？」

「…そう言えば希…電話で…」

「は？」

「希、今日は家に泊まりなさい」

「…うん」

その日は家に帰るのをやめました

「カセットテープ」

ミーンミーンミーンミーン

「では、ことり。お邪魔しました」

「ことりちゃん、じゃあね」

「はーい。それじゃあ、明日も」

「うん。絶対に三人とも音ノ木坂合格しようね」

「そうですね」

「うん。頑張ろうね、穂乃果ちゃん」

「いやぁ、穂乃果には勉強の出来る幼なじみが二人もいるから夏期講習に行かなくてすむね」

「その分、私達が大変なのですが…特に数学」

「いやぁ、お世話になります…ん？」

「どうしました？」

「何か落ちてる…」

「え？」

「カセットテープを聞くやつだよ」

「レコーダーですか？」

「うん…テープも入ってるよ」

「やめなさい、穂乃果。きっと粗大ゴミですから汚いですよ。それにしても不法投棄ですかね？粗大ゴミは回収が大変だからって…」

カチッ

「穂乃果？何をしてるんです？」

「再生出来ないかなって」

「何を言って…だいたい、コード…」

ジージージー

『まさあきさん、お元気ですか？まさか、二人が結婚する事に…ジー…とは思いませんでした』

「え？」

「女の人？」

『二人はとてもお似合いだと思います。あけみちゃんは今頃赤いドレスを着て…ジー…かな？どうなのかな？とても不…ジー…快で楽しいです』

「な、何…これ」

「さ、さあ」

『今は…ジー…あきさんが…ジー…寂しいけど…ジー…結納の…ジー…ジー…ジー内、道へ…ジー…迎えに向かっ…ジーので…待って…ジー…下さ…い』

「あっ…あっ…」

『…ジー…みちゃ……ジー…しね。』

「いやぁぁぁ」

「ささやきさん」

学校には怪談話がつきもので、定番で言えばトイレの花子さんとかモナリザの絵画とか。

「ねえ、真姫ちゃん？」

「何よ？」

「ささやきさんって知ってる？」

「ささやきさん？誰よ？」

「それって最近よく聞くあれ？」

「流石かよちん。よく知ってるにゃ～」

「穂乃果ちゃん達もその話をしてたから…」

「何なのよ？」

「この学校に伝わる伝説だよ」

「伝説？」

「うん。学校の中にある鏡の前で…

ささやきさん、ささやきさん、ささやきさんって唱えてから二礼、二拍手、一礼をするんだって。そうすると、その日の内にささやきさんが耳元で囁いてくるんだってさ。でもね、その囁きには絶対に声を出して反応しちゃいけないの。反応しちゃうとね、ささやきさんは帰ってくれないんだってさ…」

「帰ってくれないとどうなるのよ？」

「…さあ？帰ってくれないとしか聞いてないし」

「バカみたい…だいたい、何で二礼、二拍手、一礼をするのよ？それは神様に対してするものでしょ？意味合いが変わって来ちゃうじゃない」

「そんな事を凛に言われても」

「絶対に作り話よ。だいたい、ささやきさんが居るとして呼んで何の特があるの？お願いでも叶えてくれるの？バカバカしい」

「まあ、確かに真姫ちゃんの言う通りかも」

「そうだねぇ」

ジャー ばたん

「はあ、全く…凛もお子ちゃまね」バシャバシャ

その時、私は何を思ったのかトイレの鏡の前で

「ささやきさん、ささやきさん、ささやきさん」

ペコ、ペコ、パン、パン、ペコ

「…ふふっ、ふふふ…やっぱり何も起きないじゃない…」

私は気づいてませんでした…ささやきさんを呼び出してしまった事に…

一つ目のやつ元ネタは知っているがよくわからん

「え～、真姫ちゃんささやきさん呼んだの？」

「だ、大丈夫だった？」

「大丈夫じゃなかったら今頃ここにいないでしょ？」

「まあ…」

「所詮は噂よ。本当にバカバカしいわ」

「まあ…うん、真姫ちゃんが無事なら何でも良いにゃ～。ね？」

「そうだね。凛ちゃん」

「な、何言ってるのよ。そもそも、凛がそんな話をするから…」

「照れてるにゃ～」

「い、いみわかんない」

キーンコーンカーンコーン

ガラララ

「ほら、チャイムなったぞ」

「あっ、先生が来たにゃ」

やっぱり、この世に幽霊なんて非科学的な者は存在しない。私がそう自信を持った時に

礼 お願いしまーす

「ありがとう」

「え？」

私の耳元で誰かがそう囁いたのです。もちろん、席を立ち歩いてる者など居ませんでしたし私の席は一番後ろなので私に囁く者など居るはずがありません

「はあ、バカバカしい。疲れてるよね、きっと…」

「下」

「え？キャアアアア」

「どうした、西木野？」

「お、女…」

机の下から私を睨んでいる女が確かに居たのです。

キーンコーンカーンコーン

「ん…んん…ここは？」

「あっ、真姫ちゃん。やっと起きたんやね」

「希？」

「真姫ちゃん…授業中に倒れたんやって」

「え？…あっ、お、女の人が…」

「ささやきさん…やったんやってね」

「聞いたの？」

「うん。凛ちゃん達から少しね」

「そう…どうしよう…まさか…だって…こんな事になるなんて…」ポロポロ

「何とかしてあげたいんやけど…ウチには…」

「…そんな」

「ただ、うちの母方の親戚にその筋の人が居るから…夕方には学校に来てくれるって」

「…希」

「確かな人だから安心して？」

「希…のぞみぃ…ありがとう…大好き」

「あらら、真姫ちゃんらしくないやん」

その後、私はしばらく希に抱きついて離れる事は出来なかったのです。

「でも、その前にウチ等もやる事はやっとかなきゃ…」

「さて、この部屋に資料が…」

「どういう事？」

「さっき言ってたウチの親戚の人…その人は音ノ木坂の超常現象部だったの。だから、その資料がこの元部室に保管されて…あっ、あった」

「え？本当に」

「うん。…えっと、ささやきさん…ささやきさん…ささやきさんっと…ほら、書いてある」

「どれ？」

「ここよ？」

「…ささやきさん。校内の鏡の前でささやきさんと三回唱えた後に…二回拍手をする…あれ？私がやったのとは違う…」

「噂なんてそんなもんやね」

「そっか…でも、確かに拍手を二回したから…」

「重要なのはその後…」

はよ

「ささやきさんの言葉に反応してはいけない。これは今も同じやね…でも、ここからが違うね」

「ささやきさんの言葉に反応するとささやきさんはあなたの事を友達だと思ってしまう。ささやきさんはあなたを連れて行くまで帰ってくれない…」

「連れてくって…どこへ？」

「…良い所ではないね」

「そんな」

「真姫ちゃん…大丈夫やから」

「ねえ？そもそも、ささやきさんって…」

「ここに記載されてる情報からだと昔のここの生徒の霊みたいやけど…」

「音ノ木坂のって事よね？」

「うん。それかもっと前か…」

「この学校が出来る前？」

「…うん…真姫ちゃん…ここを見て？」

「ささやきさんに帰って貰うにはささやきさんを鏡の前に連れ出す。そして、ささやきさんさようならと言って一礼をする」

「そんな方法が…でも、どうやって連れ出せば…」

「それはウチの親戚に任せるしか」

「ささやきさんって私が教室で見た女の人なのかしら」

「たぶん…真姫ちゃん。今日は夕方まで保健室で休み？ウチも一緒に居るからね？」

「うん」

ガラララ

「希？」

「あっ、おばちゃん」

「あっ…」

「この子が？」

「うん」

「あの…こんにちは…よろしくお願いします」

「そう…じゃあ、早速取りかかりましょうか」

「これから、希は鏡を用意して？なるべく、全身が映るくらいの」

「うん。それなら生徒会室にあるよ」

「あなたは…」

「真姫です」

「真姫は生徒会室まで一人で行って？」

「え？一人で？」

「私達が一緒だとたぶん出てこないから…教室で出てきたのはどうしてかわからないけど…一人を狙って来るから」

「はい」

「それと、生徒会室に向かってる途中に囁かれても絶対に反応しちゃダメよ？奴は声に反応するから」

「そうなん？」

「ささやきさん…見たんでしょ？どんな人だった？」

「確か…髪が短い女で…目を閉じてて…」

続編来たのか！今回洒落怖？成分多めっぽいな

「まっ、そう言う事」

「えっ？どういう事ですか？」

「…よし、では行こう」

私は恐怖と不安にかられながら一人下校時間の過ぎた闇の中を歩いていました。

「ねえ？」

確かに耳元で聞こえました

反応してはダメ

「聞こえてるんでしょ？」

怖い。でも、生徒会室はもうすぐだから…

途中何度も囁かれながらも声をころして私は生徒会室にたどり着いたのです。

「真姫ちゃん」

「希…」

希の声が聞こえて安心した矢先…声の方へ振り向いたら

「キャアアアアア」

あの女が居たのです

ガラララ

「あっ…」

私は無我夢中でした。生徒会室に入り鏡を見つけてその前に立ちました。その時に…

ガシッ

「い、いやぁ」

腕を掴まれたのです。しかし、鏡には何も映っていません。確かに、私の腕を掴んでいるのに…でも、

「ささやきさんさようなら」ペコ

そう言うと、私の腕を引っ張っていた力はだんだんと弱くなっていきました

「…あなたも友達になってくれないのね」

その言葉を残して…

「終わったのね」

ガラララ

「真姫ちゃーん」

「…希」

「大丈夫やった？」

「うん…希は？」

「おばさんに部室で待機しとくように言われたから…」

「そうだったの」

「うん。一緒にいてあげたかったんやけど…」

「ううん。その気持ちだけで嬉しいわ」

後から聞いた話なのですがささやきさんは遠い昔、学校でいじめを苦に自殺した生徒の霊だそうです。

「それにしても、真姫ちゃん…よく頑張ったね」

「希と希のおばさんのお陰よ…そう言えば、おばさんは？」

「え？そう言えば…」

プルルル

「あっ、おばさんからだ…もしもし、どこにいるの？…え？……………まだ、神奈川？……来てない？」

「え？…どういう事？」

「おばさん、渋滞にはまっちゃってまだこっちに来てないって…」

「言ってる事の意味が…じゃあ、あの人は誰だったの」

「確かにおばさんだったよ…でも…」

あの時のおばさんは一体誰だったのでしょうか…ささやきさん？…それとも…

oh…

「真夜中の電話」

プルルル

「はい、絢瀬です」

「絢瀬絵里さん」

「え？は、はい」

「迎えに行くよ」

「え？どういう事？どなたですか？どこに掛けてます？」

「今は地獄だよ」

「は？いたずらならやめてください！」

「僕は死んじゃったから」

「やめてください。何なんですか」

「僕は君のファンです…だけど…」

「え？…だけど…何？…もしもし？もしもし？」

「もしもし…？」

プツン

「な、何だったの？気味が悪いわ」

ピンポーン

「え？…びっくりしたぁ…今出まーす」

「こ、怖かったね雪穂？」

「そ、そうだね…」

「全部フィクション何だよね？」

「わ、私に聞かれても…」

プツンー

完

えぇ…

どういうことなの…

流石に解説が….