●注意●
・短編形式
・日常系
・嘘知識、誤情報、超偏見、謎集団が見受けられます
・独自解釈している点が多々ありますので、ご了承ください
●登場人物●
櫻井桃華、他
http://i.imgur.com/SYbBRVX.jpg
http://i.imgur.com/9OLsjk9.jpg
●前作●
櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、休日に」
櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、休日に」 - SSまとめ速報
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【サークル本部】
桃華「さてっ!」
千秋「………」
ゆかり「………Zzz」
桃華「本日はこの事務所より足をのばし、街中にての素敵な庶民文化探求をと考えておりますが……」
千秋「(あぁ、また始まるのね)」
千秋「(今日こそマトモな活動になることを祈ろう)」
ゆかり「……ふぁ」
ゆかり「………」ゴシゴシ
千秋「……水本さん、おはよう」
ゆかり「あ……、千秋さん。おはようございます」
ゆかり「今、お話はどのあたりですか?」
千秋「(この子、ひょっとしていつも寝てるのかしら)」
桃華「早速、本日の活動を始めたいと思うところですが……」
桃華「まずは、良いニュースと悪いニュースがありますわ」
桃華「千秋さん。どちらから聞きたいですか?」
千秋「ん、……そうね」
千秋「(悪いニュースって、なんだろ?)」
ゆかり「(う~ん……、誰かメンバーがこのサークルを抜ける、とかでは?)」
千秋「(まあ、その程度なら……)」
千秋「じゃあ後味悪いのもイヤだし、良いニュースは最後に取っておこうかしら」
千秋「櫻井さん。悪いニュースからお願い」
桃華「かしこまりましたわ。では……」
桃華「………………その……っ」
千秋&ゆかり「……?」
桃華「……っ。皆さん…………皆さんは………………」
桃華「『上級国民』、という言葉をご存じですか……?」
千秋「(想像の斜め上にディープなのが来たわね……)」
ゆかり「(……)」ウトウト
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【幕間①】
━━七曜会・喧伝━━
生き甲斐と夢を持ち、
充実したアイドル人生を送りたいとお望みならば、
是非とも七曜会に入りましょう。
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【七曜会本部】
千秋「(私の名前は、黒川千秋)」
千秋「(職業は学生、兼、アイドル…………兼……)」
千秋「(このサークル『七曜会』の一員)」
千秋「(……)」
千秋「(端的にこのサークルを表現すると『常識知らずの箱入り娘が世俗に触れる』……と言ったところかしら)」
千秋「(経緯はいろいろあるけど、庶民の文化や生活に慣れ親しめるよう……)」
千秋「(処世術と知識を学ぶために、私はこの奇妙なサークルの活動に勤しんでいる)」
千秋「(……)」
千秋(水曜日)「(七曜会のメンバーはそれぞれ曜日の名が割り振られ、独特な合言葉で挨拶をしたりする。ちなみに私は水曜日)」
千秋「(変なルールも存在するけど……それが何を意味するのかは皆目見当がつかないし、むしろ庶民の文化探求よりコッチの謎の方が気になる時もあるのは、内緒の話)」
千秋「(……)」
千秋「(……………)」
桃華「───で、あるからして!」
桃華「例え専門的な見地から鑑みたとしても、思慮が足りないと申しますか、浅はかな発言と断ぜざるを得ませんわ! 庶民とその文化を愛するわたくしにとって、まことに残念でなりません。このような軽はずみな一言を発端に、わたくし達のような、いわゆる客観的に比較・分類される富裕層・上流家庭・社会的立場や地位が上位に位置する立場の人々と、世間一般に認知される庶民の方々との偏見や軋轢が───」
千秋「(……さて)」
千秋「(櫻井さんが上級国民について熱く語り始めて、早1時間が経過するわ)」
ゆかり「………Zzz」
千秋「(水本さんも演説開始5分でこの有り様だし)」
千秋「(……そろそろ声をかけた方が良さそうね)」
千秋「……櫻井さん。そろそろ1時間が経つわ」
千秋「早く活動しないと、日が暮れちゃうわよ?」
桃華「ハッ……!」
桃華「そ、そうですわね。では、私個人の見解はまた後日と致しましょう」
千秋「(……また後日、か)」
ゆかり「………Zzz」
桃華「さて、では本日の活動を……」
千秋「あれ?」
千秋「待って櫻井さん。あの……」
桃華「??」
千秋「一応その、『良いニュース』………は?」
桃華「あぁ! そうそう、忘れていましたわ」
桃華「本日より、新たなメンバーがこの七曜会の活動に加わりますの♪」
桃華「その扉の向こうに待機していただいておりますわ♪」
千秋「(ッッ!?)」
千秋「ちょ……!? い、1時間っ!!!」
桃華「時子さん、どうぞ入っていらして♪」
千秋「財前さん!? よりによって!?」
ゆかり「………Zzz」
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【幕間②】
━━七曜会・要綱(現在)━━
庶民の文化を愛し、尊び、じかに触れ学び、
自分達の見識を広めることを唯一の目的とし、
理解しあえる可能性の発見を至上の喜びとする。
最終的な到達点は、
処世術として殊勝な振る舞いと正しい知識、
そして家柄や境遇は違えど良き隣人として対等に、
偏見や固定観念を払拭し隔てなく、
仲間たちとのより良い関係を円滑に築ける交流の形と心構えを身に付ける。
(以下略)
━━━━━━━━━━━━━
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【七曜会本部】
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨…
時子「……」
千秋「ヒッ……」ガクガク
桃華「ヒエッ……」プルプル
ゆかり「わぁ……♪」パチパチ
桃華「こ、こちらが……し、新人の財前時子さんですわ!」
桃華「新人の財前時子さんですわ!!!」
千秋「ヨ、よろしく……」オドオド
時子「…………」
桃華「チ……!!」
桃華「チンチコーール!!!(挨拶)」
時子「…………」
桃華「と、時子さん! これが我が七曜会の挨拶ですわ!!」
桃華「挨拶ですわ!!!」
桃華「ほ、ホラ皆さんも!!!! ハイッ!!!!!」
千秋「(櫻井さん、珍しく狼狽してる。大声を振り絞って恐怖心を吹き飛ばそうとしてるのね)」
千秋「(あの財前さんが相手なら委縮するのも無理ないわ……)」
桃華「水曜日さん、土曜日さん!!!」
千秋「ち……チンチコール……」
桃華「さ、さあっ!! 時子さんもご一緒に!!」
桃華「ご一緒に!!!!」
桃華「チンチコーーーールッッ!!!!」
時子「アァ?」
千秋「ヒエッ…」
桃華「ヒグッ…」
時子「待ったわ。少し」
千秋「オ、お待たせイタシマシタ……ゴメンナサイ…」プルプル
時子「で、なに?」
桃華「ア……あいさつ……」オロオロ
時子「なにが?」
桃華「……コ、これは、『七曜会』の伝統と格式ある………たぶん……」ビクビク
時子「私が?」
桃華「ソ、その……一応…………ハイ……」
時子「…………」
桃華「マ……まぁ、その、ム、無理にとは……デ、でも出来れば……」
ゆかり「チンチコーレ(祝福)、時子さん」
千秋「!!?」
ゆかり「水本ゆかりです、何卒宜しくお願いします。普段は事務所であまりお話をする機会はなかったですが……」
ゆかり「貴女もこの会に入っていただけるという事は、経緯は違えど、志はきっと同じはず」
時子「……」
ゆかり「今日から、共に頑張りましょう。時子さんのような、俯瞰的な観察力と忌憚のない発言力を備えた人は貴重な存在です」
ゆかり「楽しく、和気藹々と。よろしくお願いします♪」
時子「…………」
ゆかり「ふふっ。時子さんも加わり、これで全ての曜日が揃いましたね。楽しくなる予感がします」
桃華「(ゆ、ゆかりさんっ……!)」
千秋「(水本さん……、財前さんが明らかに不機嫌な顔してるのに、動じてない!)」
千秋「(天然……いえ、想像以上にタフだわ。この子、ストレスを抱え込まないタイプね。きっと長生きするわ)」
時子「………ハァ」
時子「で、なに? だから、私はなにをすればいいのかしら」
桃華「と、とりあえず、では………さきほどの挨拶を……」
桃華「挨拶、を…………」
ゆかり「……♪」パチパチ
千秋「(……)」ドキドキ
時子「なに、さっきの?」
桃華「え、えぇ」
時子「嫌よ」
ゆかり「(ですよね)」
桃華「(全く誰ですの!? こんなふざけた挨拶を考えたのはッ!!!!)」
千秋「(いや貴女が言ったらダメでしょう!?)」
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【幕間③】
━━七曜会・合言葉━━
「チンチコーラ」(疑問・質問)
「チンチコーリ」(意義・否定)
「チンチコール」(挨拶・宣誓)
「チンチコーレ」(祝福・賛成)
「チンチコーロ」(禁句。意味は不明)
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【七曜会本部】
桃華「今回のテーマは!!」
桃華「ズバリ!!」
時子「……」モグモグ
ゆかり「……」パクパク
桃華「『庶民生活における需要』の調査ですわっ!!」
千秋「需要?」
桃華「いかにも!」
桃華「必要と需要の違いとでも言いましょうか、見えない欲求の調査と言いましょうか」
桃華「基本的に不可欠・須要となる物資ではなく、生活の質や幅がよりよく快適に向上するような物品の調査」
千秋「つまり……、無くても平気だけど、あれば便利な物?」
千秋「ということは……」
桃華「察しがよろしくてよ、水曜日さん」
桃華「本日わたくしたち七曜会は!!」
桃華「街中へ!!」
桃華「買い物に出かけますわっ!!」
時子「これ、美味しいわね。誰が買ったの」モグモグ
ゆかり「これは、今日は欠席の月曜日さんが以前買い置きしてくださったカヌレとダージリンです」パクッ
時子「へえ」カプッ
桃華「本日は庶民の方々が頻繁に利用する、とある2つの店舗で散策をと考えておりまして」
千秋「……」
桃華「わたくし、今日のため差しさわりのない程度に、ある程度の予備知識は確認しましたわ」
ゆかり「……」モグモグ
桃華「前回はグルメというテーマのもと、実際の料理を火曜日さんが能く堪能しつつ庶民の方々の食文化や作法について学びを深めましたが……」
時子「……」ズズズ
桃華「今回は『庶民生活における需要』」
桃華「わたくしの家の者に用意させた催しを通じ、その文化のありように存分に触れたいと思います」
桃華「さあ、では皆さん!」
桃華「はりきって参りましょう!!」
千秋「チンチコーレー……(賛成)」
ゆかり「ふぃんひほぉーえー♪(賛成)」モグモグ
時子「……」
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【幕間④】
━━七曜会・規律━━
ルール1:活動中は基本的に相手を見ること
ルール2:日曜日には基本的に服従
ルール3:基本的に本名を出さない
ルール4:処分を受けた者はその処分者に基本的に従う
ルール5:セクハラは基本的に厳罰
ルール6:七曜会のヒミツは基本的に漏らさない
ルール7:恋愛可。お金で買えない価値がある
ルール8:常に視野を広げ目標に邁進すること
ルール9:???
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【The・ダイソー】
桃華「着きましたわ!!」
千秋「……ここは?」
ゆかり「ダイソー……、ひゃくきん……?」
時子「なによ、それ」
桃華「良い質問です、金曜日さん」
桃華「このお店は庶民一般でいわゆる『100円ショップ』と呼ばれる……」
桃華「格安小売店ですわ!」
千秋「格安……」
ゆかり「……小売店」
桃華「店舗に置いてある商品を原則として1点100円均一で販売する形態の小売店。別名『百円均一』および略した『百均』(ひゃっきん)と呼称するとのこと」
桃華「加工食品や化粧道具や日用品から、インテリアや園芸用品まで幅広いラインナップで庶民のニーズに対応する……」
桃華「簡潔に言えば『何でも揃っている』、庶民御用達の代表的な店舗ですわ」
時子「何でも?」
桃華「ひっ!?」ゾクッ
千秋「例えば、カップやフォークみたいな簡素で小さい食器とか?」
桃華「ええ、当然ですわ!」
ゆかり「じゃあ、楽器はどうでしょう? リトミックなどの遊戯で使う、子供用の……」
桃華「はい! 須らく、備えております!」
時子「……クルーザーは?」
桃華「もちろんですわ!!」
千秋&ゆかり「(クルーザー……?)」
桃華「100円というキリのよい価格設定が、手軽で安いワンコインというイメージとあいまって人気を博す……」
桃華「まさに前回紹介したコンビニエンスストアと同じく、安くて何でも手に入る夢のようなお店ですわ!」
千秋「ん。………ちょっと待って櫻井さん」
桃華「はい?」
千秋「一つ疑問なのだけれど」
千秋「ワンコインで買えるという事は、実際の価格は消費税抜きで『92円』以下なのかしら?」
桃華「ッ!!!」
桃華「ぁ……い、いいえ」
ゆかり「えっ!?」
桃華「あ、あくまでワンコインはイメージです。正確には表示価格が『100円』であるので……」
桃華「……お会計するときには消費税を含め、1点『108円』になりますわ」
千秋「そ……、そうなんだ。まあ誤差ね」
桃華「え、えぇ……」
ゆかり「……」
ゆかり「………失望しました」シュン
桃華「!!!」
時子「詐欺じゃない。小狡い魂胆が庶民の代表的な店舗と言われる所以なのかしら?」
桃華「そ、そんなことは……!」
時子「どうせなら潔く、いっそ名前を渋谷みたいに『108』とかにすればいいのに」
ゆかり「あー、なるほど。分かりやすいですね」
桃華「す、すみません…………すみません……っ」ポロポロ
千秋「(泣いた……)」
ゆかり「桃華さん、ごめんなさい。貴女を追い詰めようとしたわけでは断じてないんです……ごめんなさい」
桃華「いいえ、良いのです」
桃華「こればかりは目の逸らしようのない、彼らの罪過の烙印なのですから……」
時子「……」ナデナデ
千秋「気を取り直して、そろそろ中に入らない?」
桃華「あっ! 待って下さいまし、水曜日さん」
千秋「??」
桃華「今回まず入るのはそちらの【ダイソー】ではありませんわ」
千秋「………」
千秋「……………え?」
桃華「わたくし、事務所を出る前に皆さまに申しあげたハズ」
桃華「家の者に座興を用意させましたので、初めにそちらを楽しんでいただけたら……と」
千秋「ざ、座興……?」
黒服『お嬢様、その御友人の方々。こちらへどうぞ』
千秋「っ!?」
ゆかり「ダイソーの隣に、お店の内装を模った感じの……これは?」
時子「……スタジオのセットみたいね、まるで」
【 http://i.imgur.com/NlIq5Dd.jpg 】
千秋&ゆかり「だ、ダイタイソー……?」
時子「『ほぼ100円ショップ』……?」
桃華「さあっ、こちらですわ♪」
━━━10分後━━━
【The・ダイタイソー】
千秋「百均で商品を見物して、買い物をするだけだと思ったら……」
千秋「(嫌な予感が……)」
ゆかり「桃華さんっ、これから何が始まるんですかっ!?」キラキラ
千秋「(うわっ、この子すごいテンション上がってる……何で?)」
千秋「(さっきまで眠そうに目を擦ってたのに)」
時子「……で」
時子「目の前の台にある、ガラクタの山は何なの?」
桃華「ここは『ほぼ100円ショップ・The・ダイタイソー』ですわ♪」
桃華「時子さんが仰いましたように、これら100円商品の中に実は、稀に超高額な商品が混じっていましてよ」
千秋「この中に超高額商品………(あっ!)」
ゆかり「(あら?)」
時子「(……!)」
桃華「千秋さん。わたくし前回の活動の際、添加物たっぷりのジュースに驚愕する月曜日さんに対し、こう申しましたわ。覚えていまして?」
千秋「前回……」
桃華「出来栄えではなく『本物』というステータスに囚われ、その物の本質を見失う。断じて、あってはならない事………と」
千秋「ええ。偽物であっても、本物と変わらない価値がある………という話だったかしら」
桃華「その通りです」
桃華「製作者や難しい技術にこだわって、高品質や難易度の高い技術そのものが『価値』であると考えている人が多いのではないかと思いますの」
桃華「有名ブランド品であれ、貴金属であれ……」
桃華「しかし実際は違う。求める人がいなければ、いかに多機能でも綺麗でも由緒があっても、それは無用の長物同然なのです」
桃華「わたくしだって、そうですわ」
桃華「殿方が何を求めているのか、その欲求を満たすためにわたくしに何が求められているのか……常に思案しております」
千秋「(??)」
ゆかり「(ファンの話………でしょうか?)」
時子「(……?)」
はねトビ懐かしい
桃華「分かりやすく言い換えましょう。つまり価値とは、『役に立つかどうか』です」
桃華「そして結論を申しましょう。『高い物が良い物とは限らない』ですわ」
千秋「櫻井さんが言っているのは実用的価値のことね」
ゆかり「つまり『価値』と『値段』は違う、ということですね」
桃華「はい。庶民の方々は、効率を重視する」
桃華「まさに適材適所、ガラクタに使いどころを見出し、価値を創造する」
桃華「それらは、常にわたくし達の理解と想像を遥かに凌駕します」
桃華「彼らの鮮やかな創意工夫と環境で育まれた知恵、そして独特な発想力の結晶にこそ………わたくしは価値があるのだと考えています」
時子「……」
桃華「わたくし達は、物の価値判断が出来ない………、いわゆる『値段が高いから良い物だ』という短絡的で安直で」
桃華「財力に胡坐をかいて、ただ意味も価値も知らず大金をはたき、これ見よがしに無為に物を使用してきただけの、滑稽な道化ではなかったのか……」
桃華「いまこそ貴女達の審美眼、この七曜会リーダー日曜日こと櫻井桃華が見届けさせていただきますわ!!」
時子「……ふぅん」
千秋「えっと……つまり」
千秋「100円商品の中に潜んでいる、高額商品を当てればいいの?」
桃華「いいえ、逆ですわ。それも趣があって良いですが……」
桃華「趣向としては、『高額商品を避ける』座興ですのよ」
ゆかり「へえぇー……♪」キラキラ
━━━━━━━━━━
★櫻井桃華学習帳★
・ほぼ100円【名詞】:ほぼひゃくえん
多くの無課金ユーザーをリボ払いの泥沼へ誘う、巧妙な販促文句。
●用例)「プロデューサーさん! 今なら各種アイテムが期間中、全品ほぼ100円ですよっ♪」
━━━━━━━━━━
━━━━1回戦━━━━
桃華「さあ参りましょう、誰からでもよろしくてよ♪」
桃華「決心が付いたら商品を手に取り、こちらのレジへいらして下さい♪」
千秋「(……)」
店員K「いらっしゃいませー♪」
店員L「いらっしゃいませですよー」
千秋「(…………)」
千秋「ねえ……、櫻井さん。あの店員さんって、まさか───」
時子「はい、コレ」
───ポン
千秋「早っ!!」
時子「なによ」
千秋「イ、いえ……」
時子「要するに高価な物以外を当てればいいんでしょう? 一目瞭然じゃない」
時子「ほら、この汚らしいガラクタに実用的にも見た目的にも価値なんて皆無よ。触れる事すら躊躇われる」
時子「ブランドにも歴史的にも名のある物じゃあなさそうだし」
千秋「(あっ、やっぱりそういうの目敏く分かるんだ)」
時子「さっさと終わらせたいの。今日は用事があるのよ」
千秋「用事?」
千秋「(……でも、しっかりルールに則って参加はするのね、財前さん)」
店員K「この商品でよろしいですね?」
時子「ええ」
店員L「ではでは、こちらの商品はー?」スッ
───ピッ!
【???】
時子「はあ?」
千秋「」
ゆかり「あら?」
桃華「こちらの商品は、100円ではございませんッ!!」
店員K「ございませーん♪」
店員L「ございませーん」
桃華「100円では!!」
桃華「ございませぇーーーんッ!!!」
時子「……ちっ」
桃華「ヒッ! ご、ゴメンナサィ……」
千秋「その形は……腕時計のようだけど」
ゆかり「アンティーク……には見えませんね」
時子「なんなのよ、このガラクタは」
桃華「この腕時計は、Pちゃまが新人時代に付けていた代物ですわ♪」
時子「……アァ?」
桃華「ひっ! そ、その……Pちゃまが……」
時子「……なんですって?」
桃華「ひぐっ! そ、その……、し、新人時代に……付けていた…………」
時子「…………………」
桃華「……………た、ただのガラクタですわ」
千秋「(負けた……)」
ゆかり「(無言の威圧……)」
千秋「ま、まあまあ財前さん」
千秋「実用的価値以外にも、その、思い出的な主観的価値とかあるし……ね?」
ゆかり「そうですね。思い出はその人にとって本当に掛け替えのない宝物です」
時子「興味ないわ。そんな曖昧な不確定要素を引き合いに出されちゃあ分かるワケないじゃない」
時子「で。いくら」
桃華「そ、その……っ」
桃華「ち、ちひろさん曰く……」
桃華「い……一部の人間には需要があるかもしれないと……」
時子「で?」
桃華「ご、5000円相当と……」
時子「……」ポイッ
桃華「あ゙ぁ゙っ」
━━━━2回戦━━━━
【終盤】
時子「……」
ゆかり「さぁ、次は千秋さんの番ですね」
千秋「(………………)」
桃華「……っ」ソワソワ
千秋「(残り2品、うち1品が高額商品)」
千秋「(確率的には二分の一)」
千秋「(櫻井さん、すごい期待した眼差しで見てる……)」
千秋「(何? それは何の期待?)」
千秋「(これ、ひょっとして外す場面? 空気読むところ?)」
千秋「(……)」
千秋「(傍から見て……一つは『陶器』、一つは『歯ブラシ』)」
千秋「(…………でも)」チラッ
時子「……」
ゆかり「……」
千秋「(二人とも、多分気付いてる。それであえて避けたと思う)」
千秋「(あれ、有名な老舗陶磁器メーカーの『ロイヤルコペンハーゲン』のイヤープレートよね)」
千秋「(芸術的評価も高く、年代によっては結構いい値段がしたはずよ)」
千秋「(……それに比べて)」
千秋「(もう一つは何の変哲もないただの歯ブラシ……。本当に何の変哲もない)」
千秋「(まさか、これもプロデューサーの私物とか変なこと言わないわよね?)」
千秋「(でも……)」
千秋「(櫻井さんも、私達の目利きはある程度想定してるはず。だからそこが怖い、十重二十重に裏を読んできている可能性が……)」
千秋「(ひょっとしてレプリカ? 精巧に模倣された贋作という線も……)」
千秋「(いやでも、だとしても………歯ブラシは普通の歯ブラシにしか見えない)」
千秋「(選ぶなら、絶対に歯ブラシの方。ロイヤルコペンハーゲンは地雷すぎるし……)」
千秋「(……………………)」
桃華「(……………………)」ジー
千秋「こ、こっちで」スッ
店員K「この商品でよろしいですね?」
千秋「はい」
店員L「ではでは、こちらの商品はー?」スッ
───ピッ!
【???】
千秋「あ゙あ゙あ゙ぁ゙っっ!!」
桃華「こちらの商品は、100円ではございませんッ!!」
店員K「ございませーん♪」
店員L「ございませーん」
桃華「100円では!!」
桃華「ございませぇーーーんッ!!!」
ゆかり「100円ではございませーんっ♪」
千秋「な、なによ! みんなで寄ってたかって言わなくてもいいじゃない!!」
時子「…………100円ではございません」
千秋「ヒッ!! す、スミマセン……」
店員K「こちらのお皿は、王室御用達で名高いデンマークの高級陶磁器メーカー『ロイヤルコペンハーゲン』の1942年製造イヤープレート“ユトランドの鐘楼”でございます♪」
千秋「知ってた!! 知ってたのにぃぃっ………、くぅ……」
桃華「あら、ご存じでいらしたの?」
千秋「深読みしすぎたの! 私が知りたいのはむしろ逆!」
千秋「その歯ブラシは、一体なんなの!?」
桃華「……?」
ゆかり「……???」
時子「……ただの歯ブラシじゃない」
千秋「え」
桃華「如何にも! この歯ブラシは隣のダイソーで100円で売っている歯ブラシですわ!」
桃華「使い勝手が良く、毛先が柔らかいので歯槽膿漏・知覚過敏・口内炎でもなんでもござれ! 老若男女が安心して使うことが出来ます」
桃華「隅々まで入念に手入れをされている感触が実に心地よい、品質確かな一品ですの♪」
桃華「今朝まさにそこの物を使いながら、100円商品の残りひとつを何にしようか悩んでいた時に、その使い心地が天啓の閃きをわたくしに与えてくださったのですわ」
桃華「『この使い心地ならば100円以上の価値があるハズ、騙せる……!』と」
千秋「これ使用済み!? というか騙せないわよ!!!」
ゆかり「あの、でも千秋さんは……」
千秋「だ、騙されましたっ……。いやでも、使い心地とかは特に、その……」
千秋「…………うぅ……、…あぅぅ……っ」ショボン
時子「……ふー」
店員K「では♪」
千秋「?」
店員L「こちらのお値段はー?」スッ
───ピッ!
【150,000円】
千秋「!?」
千秋「あっ、えっ!? 本当に買うの!?」
桃華「もちろん。それがルールですわ」
時子「……」←【メラミンスポンジ(100円)購入】
ゆかり「……♪」←【ミラーサングラス(100円)購入】
千秋「」
千秋「わ、分かったわよ…………買う」
桃華「お買い上げありがとうございます♪」
店員K「ありがとうございましたー♪」
店員L「ありがとうございましたー」
──────
────
──
今日はここまで。ゆっくり更新していきます
また来週
乙、懐かしいなー、はねとび
そして、なんだかんだ付き合ってくれる時子様、すき
つーことはP時計も時子様買ったんだな
なんだかんだ大事にしてそうなの想像すると可愛い
月曜日さんがいないとな…?
店員KとLが気になる
気になるもなにも不参加の二人やろ…
気になるもなにも不参加の二人やろ…
気になるもなにも不参加の二人やろ…
──
────
──────
【ホームセンター】
桃華「ここはホームセンターです。表面上は」
千秋「……」
桃華「日用雑貨や園芸用品をはじめ、木材や工具などのDIY関連商品や自動車用品、さらには食品や衣服まで……」
桃華「百均やコンビニなどとは比較にならない規模で商品を販売する小売店ですわ!」
千秋「……」
時子「……」
ゆかり「……♪」ワクワク
千秋「(……)」チラッ
時子「(……)」チラッ
ゆかり「(……♪♪)」チラッ
━━━━━━━━━━
□位【T-FAL調理器具】
□位【首肩こり解消バイブ】
□位【フレキシブルモップ】
□位【お手軽保存容器】
□位【スポンジ・激落ちパパ】
□位【便利収納ボックス】
□位【フルフラット式座椅子】
□位【小顔に見えるお得マスク】
□位【サクサク野菜皮むき】
□位【伸縮ハンガーフック】
━━━━━━━━━━
時子「(……)」
千秋「(向こうにあるフリップと、そこに載ってる写真と文字を見て、だいたい次に何をやらされるか察せられるわね)」
桃華「さて皆さま、想像を膨らませましょう」
桃華「お菓子が作りたければ、そのお菓子がお手軽に作れる魔法のような器具を。貯金をしたければ、ついついお金を入れたくなるようなユーモアな貯金箱を」
桃華「お湯を沸かさずともパスタが作れる容器を。お部屋をオシャレに彩るステッカーを。お部屋のお掃除を簡単に済ませる、画期的な商品を」
桃華「生活の質や幅がよりよく快適に向上するような物品……、彼らは無意識的に何を欲しているのかを」
桃華「わたくし、とあるツールを使用し入念に調査を進め、割り出しましてよ」
桃華「それをまとめ、順位付けしたものがコチラですわ!!」
千秋「(とあるツール?)」
時子「(……これ、庶民全体の需要というよりは、かなり偏った局所的な意見なんじゃないの?)」
千秋「(私もよく分からないです、正直)」
桃華「さあさあ、皆さまコチラへ♪」
ゆかり「わぁー♪」トコトコ
千秋「櫻井さん、このランキングは順位の部分がシールで隠れているけど……?」
桃華「良い質問ですわ、水曜日さん」
桃華「皆さまには、今から庶民の方々の家庭での需要を想像しながら……」
桃華「最も需要がある商品、つまり『1位』を当てないようにし、2位から10位のみを言い当てて頂きますわ♪」
桃華「題して、『1位を当ててはいけまテn───
ゆかり「じゃあ、私から行きますね♪」
ゆかり「気になっていたのが【小顔に見えるお得マスク】です。一般の女性は、モデルさん達のように綺麗な小顔に憧れるはず」
ゆかり「マッサージなども勿論ですが、このマスクなんかはお手軽でいいのではないでしょうか? 値段も実に安いですし……」
ゆかり「……えいっ!」グイッ!
───ペラッ
ゆかり「!! や、やりました!」
ゆかり「皆さん見てください、『1位』ですよ! わぁっ……♪」
ゆかり「あら……? でもこのマスクは矯正をするものではないのですね」
ゆかり「お肌のたるみや小皺を解消する効果があるのかと思えば……普通のマスクのようにも見えますが……」
ゆかり「…………」ガサガサ
ゆかり「どうです、時子さん千秋さん? 私、小顔に見えますか??」クルッ
時子「えぇ、見えるわ」パチパチ
桃華「……」ギギギ
千秋「血涙!? 櫻井さん、あっさり終わってそれ程まで悔しいの!?」
ゆかり「えっ?」キョトン
ゆかり「1位を当てるゲームじゃなかったんですか?」
桃華「ぁ───」
時子「いいえ、その通りよ」スッ
ヴィィィィィィン!!
桃華「あうっ!?」ビクッ!
桃華「びびび、ビックリしましたわ!? なっ……!?」
桃華「何をするんですの!! 金曜日さんッ!?」
時子「なに、肩がこってると思ったのよ」
桃華「ア、ありがとうございます…………で、でもそこは肩じゃないですし、そのバイブはそういう使い方をするものではあ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙っ゙!!!」ヴィィィン!
ゆかり「どうですか千秋さん、小顔に見えますか?」
千秋「ウン、確かに見える。不思議ね」
千秋「でもマスクとミラーサングラスの組み合わせは………ちょっとやめた方がいいと思う。怖いわ」
ゆかり「折角100円ショップで買ったのですし、何か有効に使えればと思って♪」
千秋「(ウーン……、この保存容器かわいい。買おうかなぁ)」ジー
━━━20分後━━━
桃華「では、気を取り直してこのホームセンターを散策しますわ!」
桃華「先ほど紹介しましたのは、表面上の需要です。これからわたくしが案内しますのは……ホームセンターにおける庶民の方々の需要の核に迫る部分」
桃華「斬新な魅力で豊富な品揃えの数々はきっと、貴女達の琴線に触れ、探究心をくすぐり、未知なる世界へ導いてくれることでしょう!!」
千秋「(櫻井さん、タフね。さっきまでは、折角企画した催しが破綻してあんなに残念そうだったのに)」
千秋「(……)」
千秋「(斬新な魅力で豊富な品揃え……、か)」
千秋「(………)」←【お手軽保存容器、購入】
ゆかり「(………♪)」←【小顔に見えるお得マスク、購入】
時子「(………)」←【首肩こり解消バイブ、購入】
桃華「あっ!」
桃華「皆さま、ご覧くださいまし。これは『ヘルメット』ですわ♪」
千秋「ヘルメット?」
桃華「はい♪」
千秋「コレは……工事現場でよく見かけるわね」
ゆかり「スタジオのセットを移動している時も、スタッフの皆さんが付けてますね」
時子「……」コンコン
桃華「あくまで業務用のものではありますが、最近は災害に備えて家庭で購入する方もいらっしゃるとか」
桃華「このヘルメットは、簡素な見た目に反し高機能の防御性を内包しているのですわ!」コンコン
ゆかり「へぇー……」
桃華「落石物や飛翔物、転落や転倒、フェンシング……」
千秋&ゆかり「(フェンシング……?)」
桃華「起源は、戦闘を想定され製作された兜の事を指します。故に……」
桃華「この『ホームセンター』にヘルメットが大量に備付されているのは、……やはりあの事実は明明白白なのでしょう」
千秋「あの事実?」
桃華「……ええ」
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★櫻井桃華学習帳★
・ヘルメット【名詞】:へるめっと
頭部を衝撃から保護する頑強な保護帽・兜のこと。近年では技術の進歩により、耐熱・耐電・耐衝撃・耐候、耐ビームライフルなど強化と軽量化が両立している。
●用例)「ヘルメットが無ければ即死だった……」
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桃華「わたくしの知人の、帝愛の庶民の殿方が仰っていましたわ」
千秋「!?」
桃華『特権者はいかなる事態においても、快適に、リッチに暮らしていかなければならない』
桃華『巨大シェルター都市および強大な力を持つ者こそが、最高の強者となる』
桃華「……ならば、いち庶民はいかにするのです?」
千秋「な、なにが?」
桃華「戦争、武力衝突、未曽有の自然災害、バイオハザード……!!」
桃華「有事の際、貯蓄も備蓄も心許無い彼らは、いかにこの危機を乗り切るのですか?」
千秋「それは……、行政の指示とか避難勧告に則───」
桃華「ホームセンターですわ!!!」
千秋「───と……」
千秋「…………」
桃華「ホームセンターですわ!!!!!!」
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★櫻井桃華学習帳★
・地下王国【名詞】:ちかおうこく
“非常時でも金持ちは安全にリッチに生活しなければならない”という理念の元、超人海戦術で建造されている超豪華な核シェルターである。某企業に大きな貢献をした者に対し、居住権を与えることとしている。居住権を与えられることは一般に、王国入りと言われる。
●関連人物)
王国入り1人目:元内閣総理大臣、橋爪竜蔵
王国入り2人目:黒崎義裕(別荘 王国特A居住権を獲得)
王国入り3人目:櫻井桃華(別荘 王国特A居住権を獲得)
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桃華「わたくし、一つの仮説に行き着きましたの」
桃華「食糧や日用品や雑貨ばかりか、衣服、寝具、住宅設備機器、木材、救急道具……」
桃華「果てにはヘルメットを初めとした防具、武具まで蓄えられています。不自然なまでに、過多に、このホームセンターという設備には」
千秋「ぶ、武具って!?」
桃華「あちらをご覧になって。金曜日さんが持っているバール、そして土曜日さんが興味津々に眺めているチェーンソー」
千秋「いや、ただの大工道具、電動工具でしょう!?」
桃華「水曜日さん……、ヘルメットの防御力も然りですが」
桃華「一見工具に思えるあれらの品々は、こと戦闘においては甚大な威力を発揮する武具として庶民の間では周知の事実ですのよ」
千秋「!? ……そ、そうなの?」
桃華「はい。故に、聡明な水曜日さんならお分かりでしょう」
桃華「富裕層にとって一家に1シェルターが当たり前な御時世」
桃華「有事の際、自衛や自給自足の術が乏しい庶民の方々が、何を求めるか」
桃華「その真の需要とはなんなのか」
桃華「……このホームセンターの本来の役割、そして庶民の需要……」
千秋「それは、つまり……」
桃華&千秋「戦略的防御拠点(シェルター)……!!」
時子「ゆかり」
時子「向こうに【ペットエリア】とあるけど」
ゆかり「わぁっ、是非とも行きましょう♪」
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【幕間⑤】
『櫻井桃華学習帳(通称・モモカ学習帳)』
櫻井桃華学習帳とは、庶民文化探究を目的とする七曜会リーダー・日曜日である櫻井桃華が活動に支障が出ないよう、とあるツールを使って独自に収集・調査した庶民文化の用語や知識や解説がまとめられた手記であり、全4巻から成る汗と涙の結晶である
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多分次で終わりです。
また次週
乙
なんだかんだ付き合ってくれる時子様かわいい
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【マクドナルド】
千秋「……それで」モグモグ
千秋「櫻井さん? 行く前に事務所(空き室:七曜会本部)で“2つの店舗”と行っていたけど……」
千秋「今日の活動は、これで終了?」
桃華「あら? その物足りなさ気な言い方はもしかすると水曜日さんは───」
千秋「いいえ、何も言ってないけど」
桃華「わ、わたくしも何も言っていなくてよ……?」
時子「……」モグモグ
ゆかり「……♪」パクッ
桃華「そうですわね。ひとまず今日のところはお開きとしたいところですが……」
桃華「もし各々お暇でしたら、もうひとつ行きたい場所がありますの。付き合って頂けるでしょうか?」
千秋「別に構わないけど」
ゆかり「はい。いいですよ」
時子「これまでのようね」
千秋「?」
時子「いくら寛容な私といえど、これ以上は下らない座興に付き合うほどの暇と精神は持ち合わせていないの」
時子「あとは貴女達だけでやりなさい。失礼するわ」スッ
千秋「あぁ、たしか用事があるとか言ってたましたね」
ゆかり「また事務所で会いましょう、時子さん」
時子「……ええ。また」
桃華「お待ちください、時子さんっ!」
時子「……」ピタッ
千秋&ゆかり「(??)」
桃華「時子さん……金曜日さん!」
桃華「今日の活動……いえ、これから赴く場所は、貴女のために用意したといっても過言ではありませんわ!」
時子「……ハァ?」
桃華「千秋さん、ゆかりさん!」
桃華「これからわたくし達が向かう場所、それは……」
桃華「不動産屋ですわっ!!!」
時子「……」ピクッ
千秋&ゆかり「不動産屋?」
桃華「左様です! 題して───」
桃華「───『財前時子さん、家を買う!』───」
桃華「ですわっ!!」
ゆかり「家を……」
千秋「買う……」
桃華「いいえ、正確には家を借り───」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨…
時子「……」
桃華「ヒッ!?」
千秋「(櫻井さん!? ちょっ、何をしたの!?)」
千秋「(今までの財前さんの雰囲気とは遥かに違って、明確な敵意が……!!)」
時子「何故……貴女が知っているのかしら」
桃華「ひっ、そ、その……」
時子「……話しなさい」
桃華「その……、と、時子さん……」
時子「……」
桃華「わ、我が七曜会に入会して頂いたのは大変嬉しかったのですが……」
時子「……」
桃華「あ、あまり話したことがありませんでしたので……不安で……、その……」
時子「……」
桃華「あ、ある方に、その……」
時子「何を」
桃華「ち、調査を……」
時子「何の」
桃華「す、素性の……」
時子「誰よ」
桃華「そ、それは……」
時子「……」
桃華「い、言えません……」
時子「貴女達とはここまでのようね」
桃華「!!!!」
桃華「と、時子さん……」
時子「さようなら、日曜日」クルッ
───スタスタ
桃華「!!」
時子「……」スタスタ
桃華「ま、待ってください! 時子さ───」バッ!
時子「……」スタスタ
桃華「───ぁッ!!」
───ドテッ!
時子「(…………)」
───バサバサッ
千秋「さ、櫻井さん! 大丈夫?」
桃華「も、問題ありません……」
ゆかり「なんですか? この……書類の束は」
時子「……」
時子「……」
時子「……」クルッ
時子「………………」
時子「……八神マキノね」
桃華「!!」
時子「その痛いところを突かれたかのような顰めた表情、当たりのようね」
桃華「あ、あぅ……」
時子「あの女……。最近視界の端でチョロチョロ目障りだと思ったら……そういうこと」
時子「次に会ったら、許しを請うまで躾をしてあげようかしら」
桃華「い、いえ……元はと言えばわたくしが……」
時子「あの女とは、少し縁があるの」
時子「それより……脚は大丈夫かしら」
桃華「はい、これしき大丈夫ですわ」
時子「その書類の束は何かしら」
ゆかり「えーっと……、『物件詳細』『間取り図』……」バサッ
千秋「……都内の地図に、観光案内誌もあるわね」ペラッ
時子「……」
桃華「…………」
時子「…………桃華」
桃華「は、はい!!」
時子「貴女にどんな地位があって、どんな目的があるか」
時子「そんなこと知った事じゃないし、知っていても関係ない」
時子「……人の秘密を覗き見るような身勝手な振る舞い、自由を制限するような言動」
時子「私はそんなもの、友好とは捉えないわ」
桃華「……肝に銘じますわ」
時子「……」
時子「いいわ、殊勝な態度を示すなら」
時子「……もう少し付き合ってあげても」
━━━━5分後━━━━
【マクドナルド】
時子「桃華が言ったから、もう話してしまうけど……」モグモグ
時子「家を探しているのよ」チュー
千秋「これから、一人暮らしされるんですか?」パクッ
時子「ええ」チュー
ゆかり「大学とお仕事の兼ね合いですか?」パクパク
千秋「その中間くらいに有ればベストね、立地的に」カサカサ
時子「そうね。立地条件は通勤・通学がイーブンで、出来れば郊外。勿論、都心の一等地も魅力的ではあるけれど」チュー
時子「価格も手ごろであれば、とりあえず良いわ」チュー
時子「気に入らなければ、新しい物件に変えればいいだけのことだから」チュー
桃華「あまいっ!」
桃華「あまいですわ金曜日さん! 庶民の方々のお部屋選びにおける需要は、確かにお勤め先や学校などの近場が第一ではありますが……!」
桃華「そのほかにも駅へのアクセス、周辺のコンビニや商業施設の有無、日当たり、築年数、収納スペース、バス・トイレ別、wi-fi環境、耐震性、ペット可否など多岐にわたり……」
時子「だから、貴女がいるんじゃない」
時子「ホラ。口より手を動かして、早く最適物件を調べなさい」
時子「あとシェイクおかわり」
時子「ストロベリーね」
ゆかり「あっ、ポテトも追加で♪」
ゆかり「Mサイズをお願いします」
千秋「じゃあ、私はホットアップルパイを」
千秋「2つ」
桃華「はいっ………ただ今…………」シクシク
━━━3時間後━━━
【とあるアパート 『206号室』】
不動産屋案内人(以下、案内人表記)「……桃華お嬢さ───」
案内人「……おほん」
案内人「いかがでしょう、お客様?」
桃華「いかがですか、時子さん!?」
桃華「いかがですか!!!」
時子「……」
時子「……ふぅん」
千秋「外観は普通だったけど、内装は悪くないわね」
千秋「壁紙もシックで、床もクッションフロア」
ゆかり「東のバルコニーと南側に窓があり、風通しが良くて日当たりも良好」
ゆかり「価格もかなり良心的です」
桃華「それだけではありませんわ!」
桃華「まず大前提として通学・通勤距離がほぼ同じ!!」
桃華「徒歩10分圏内に駅、コンビニ、スーパー、ジム、公衆浴場、図書館、病院、ブックオフ、ファミレス、吉野家、その他飲食店……!」
桃華「通りから1本離れた区画なので喧騒から少し離れ、わりと物音静かで……!!」
桃華「角部屋、築3年、バス・トイレ別、大きめのCL有り、通信環境有り、都市ガス、オープンキッチン、etc……!!!」
時子「……」
千秋「どう? 財前さん」
時子「5件目だし、そろそろ疲れて来たわね」
ゆかり「まあ、個人的にここの物件がいちばん『アリ』かとは思います」
桃華「……っ」ドキドキ
時子「……」
時子「…………」
時子「………………及第点ね」
桃華「っ!」
桃華「や、やりましたわ水曜日さん、土曜日さんっ!!」パアァ
ゆかり「良かったですねー♪」
千秋「(今までの物件で一番まともな表現だわ。失望した、論外、次、監獄…………、で及第点)」
千秋「ここで決まりですか?」
時子「探せば、好条件の物件はまだあるかもしれないわ。けど……」
時子「とりあえず引き延ばすのも性に合わないから、ここで契約しようかしら」
案内人「はい、ありがとうございます」
桃華「時子さんがお気に召して下さいまして、わたくし何よりですわ♪」
時子「……何より、奴隷───」
時子「下僕───」
時子「……いえ、桃華が見つけた家だから」
桃華「マ、待ってくださいまし。わたくし奴隷でも下僕でも無いですわ……」
時子「褒めてあげるわ。いい働きだったと」
ゆかり「ふふふっ、勿体無いお言葉です♪」
桃華「ソレはゆかりさんの台詞ですの!? あ、あれ……!?」
時子「あぁ、でも待ちなさい」
千秋「?」
案内人「? はい……?」
時子「とりあえず『この部屋』は見たから、他の部分を見せなさい」
時子「私の住居となるのだから、当然の権利よね」
千秋「あっ、そうですね。玄関とサブキッチンはこの部屋だとして……リビングと、書斎とかは……一体どこに?」
ゆかり「食堂はどこですか? というか、他のお部屋につながる扉が少なすぎる気が……」
桃華「では、引き続き案内をお願いしますわ」
案内人「……えっ???」
桃華「はい?」
案内人「あ、いや、その……」
桃華「どうなされました?」
案内人「わ、1DKですので……こ、ここのお部屋と隣の一室で……」
案内人「以上……、となります」
千秋&ゆかり「ッ!?」
桃華「」
時子「ハァ?」
案内人「(!?)」
千秋「そ、そんなっ!?」
ゆかり「こ、ここの建物全部じゃないんですか!?」
案内人「!? いや、いや……」
案内人「…………ええぇっ!?」
千秋「ど、どおりで安いと思った……。ここは使用人の部屋とかではなく、ここが本人の居住区なのね……」
千秋「そうなんだ………」
ゆかり「ァ、あぁ……っ」ガクガク
桃華「(───ハッ!!)」ビクッ!
桃華「と、時子さん!!」クルッ
時子「…………」
時子「…………」ムスッ
桃華「」
桃華「ちょ、ちょ、ちょっとお伺いいたしますわアナタ!!!」
案内人「は、はいィ!!」
桃華「ここは2階でしたわよね!?」
案内人「はいッ!!」
桃華「ここの隣の部屋に入居者はおりますの!?」
案内人「それはっ……、も、桃華お嬢様、個人情ほ───」
桃華「お願いします何でもしますから!!!」
案内人「お、おりません!!!」
桃華「その隣はッ!?」
案内人「こ、高校生が一人ッ!!!! た、確か元有名子役で───」
桃華「ならば、この206号室に隣接していてかつ入居者がいない部屋の壁を上下左右、余すことなく全てぶち抜いてこの部屋と繋げなさい!!!!!」
案内人「ッ!?」
案内人「し、しかしお嬢さ、……お客様!! それはあまりにも───」
桃華「アナタの不動産会社は、いったい『誰』の傘下企業ですのーーーーっっ!!!?」
案内人「お、お勉強させていただきますぅぅぅッッ!!!!!!」
時子「……ペットも」
桃華「ペットも可ということで変更してくださいましっ!!!!」
ゆかり「良かったですね、丸く収まりそうで♪」
千秋「……良いのかな?」
━━━━その後━━━━
【アパート前】
千秋「何だかんだで、もう夕方ね」
桃華「では、今度こそお開きにいたしましょうか」
ゆかり「今日は楽しかったです、ありがとうございました♪」
ゆかり「今度は“庶民の娯楽”や“庶民の遊び”について学んでみたいです♪」
桃華「なるほど。えぇ、前向きに検討しておきますわ」
桃華「最近多忙の木曜日さんも、是非次回は参加していただきましょう」
時子「……」
時子「……ハァ」
桃華「時子さん、今日は如何でしたか?」
時子「……フン」
時子「“庶民生活の需要”とやらが今回の部屋探しの……」
時子「いいえ、私のために僅かにでも役に立ったと言えるのなら……」
桃華「庶民の方々の文化を知ること、こういった日曜日を過ごすのも悪くはないと………そうお思いですか?」
時子「……」
桃華「ならば、わたくしとしてはこの上なく満足ですわ」
時子「……想像に任せるわ」
ゆかり「ふふふっ♪」
ゆかり「それにしてもアパートで独り暮らし、楽しそうですね。時子さん?」
時子「……さあね」
千秋「そうね……。楽しいかは別として、実際一人で暮らすってどんなものか想像できないわ」
千秋「私も今は実家通いだけど、これからどうなるか分からないし……」
千秋「ご飯とか、どうするの?」
時子「作るに決まってるでしょう、当然自分で」
時子「誰かに頼るなんて、性に合わないわ」
桃華「あっ! では……!」
千秋&ゆかり「??」
桃華「もしよろしければ今度、時子さんのお部屋に遊びに行きたいですわ!」
桃華「そ、その……こ、これからの親睦も兼ねて……」
千秋「え、えぇ……いいかもね」
千秋「その、実際生活してみての感想とかは……わりと興味あるかも」
ゆかり「いいですね♪ お部屋に遊びに行って、一緒にゲームをしたり、ご飯を食べながら楽しくお話したり、……」
ゆかり「近所の散策とかも、面白そうです」
ゆかり「時子さん、いかがですか??」
時子「……なに、私の家に?」
ゆかり「はいっ♪ 是非……♪」
千秋「(……)」ドキドキ
桃華「(…………っ)」
時子「嫌よ」
ゆかり「(ですよね)」
桃華「(まだまだ溝は深いですわ……)」
千秋「(これから仲良くできる気がしない……)」
☆終わり?
──
────
──────
【オマケ①】
【事務所 応接室】
千秋「……」キョロキョロ
千秋「(今日は、いないかな)」
───ガチャ
時子「……!」
千秋「あっ、財前さん!」
時子「……貴女が事務所で私の素性を嗅ぎまわっていると聞いたわ」
千秋「ち、違いますよ」
千秋「櫻井さんから言伝を頼まれたんです」
時子「言伝?」
千秋「これは新人の時子さんと、私と、あと……」
千秋「……木曜日さんに対しての言伝らしいですけど」
時子「……」
千秋「とりあえず、この紙を」カサッ
時子「ずいぶん立派な羊皮紙ね」
千秋「中身はそれぞれ、周囲に人がいないところで確認するようにとのことで」
千秋「……あと」
時子「(……)」
~~~~~~~~~~
日曜日『いいですこと、水曜日(千秋)さん、金曜日(時子)さん、木曜日さん?』
日曜日『我ら“七曜会”は各々、七つの巡礼を行うことを義務付けられています』
~~~~~~~~~~
時子「七つの巡礼? なにそれ」
千秋「……分かりません」
~~~~~~~~~~
日曜日『この巡礼は、本来であれば入会式を迎えてからすぐに実行に移していただくのですが……』
日曜日『特別サービスです。この羊皮紙を受け取ってから……』
日曜日『とりあえず1年以内には必ず行ってくださいまし。感想も伺いますわ』
日曜日『サボりは厳禁ですわ! 必ず行ってくださいまし♪』
~~~~~~~~~~
千秋「……」
時子「……なるほど」
時子「とりあえず、取るに足らない内容だってことだけは中身を見ずとも十分に伝わったわ」
千秋「(正直、同意見)」
時子「木曜日の居場所を知っているから、私が引き受けるわ」
千秋「えっ!? い………、いいんですか? 預けても」
時子「なによ」
千秋「い、いいえ……お願いします。ありがとうございます」スッ
千秋「あっ」
千秋「そう言えば、どうですか時子さん。一人暮らしは」
時子「……まあ」
時子「……思ったより、悪くないわ」
千秋「へえぇ。今度良ければ、その……招いて頂くまでもないですけど」
千秋「お話、聞かせてください」
時子「……」
時子「気が向いたらね」
千秋「はい。是非」
━━━その後━━━
【黒川邸】
千秋「あ……、そうだ」
千秋「櫻井さんから渡された紙の中身の確認、まだだったわ」
千秋「開けるのも怖いけど……、どれどれ?」カサカサ
~~~~~~~~~~
【宿題:庶民の謎行動を体験レポート】
①電気の紐で1時間ボクシングをしよう
②マグロの刺身を1時間口の中でキープしよう
③扇風機の前で熱唱しよう
④上半身全裸、下半身ジーパンで寝よう
⑤ノーパン健康法を実践しよう
⑥左手に包帯を巻いて黒い眼帯も付けて街を練り歩こう
⑦本音と建て前を逆に言ってみよう
~~~~~~~~~~
千秋「な」
千秋「なに、これ…………」
━━━━━━━━━━
【木曜日邸】
木曜日「時子さんから貰った折り畳みの紙……、桃華ちゃんからの伝言って聞いたけど……」
木曜日「うぅん……ひょっとして、あのサークルのことでしょうか? 最近活動に参加できていないし……」
木曜日「よ、ようし! せっかくだし頑張ろうっ!」カサッ
~~~~~~~~~~
【宿題:庶民の娯楽を体験レポート】
①スーパーの試食を5往復しよう
②ラーメン屋訪問ブログを開設しよう
③好きな音楽を一日中聞いてみよう
④漫画喫茶で─────
~~~~~~~~~~
木曜日「え」
木曜日「えぇー……」
━━━━━━━━━━
【財前家】
時子「……」
~~~~~~~~~~
【宿題:庶民の娯楽を体験レポート】
③───を一日中聞いてみよう
④漫画喫茶で漫画を読み漁ろう
⑤動画投稿サイトに動画を投稿しよう
⑥吉野家で1時間粘ろう
⑦町内会に参加しよう
~~~~~~~~~~
時子「………………」
──────
────
──
──
────
──────
【オマケ②】
http://i.imgur.com/zuS5tPY.jpg
──────
────
──
☆終わり
以上です、ありがとうございました。
続きはないです。
HTML化依頼してきます。
おつおつ
まだ行ける行ける
乙
部屋番号といい、これひょっとして某作品と繋がってたりする?
乙
>>62
俺もそれ思ったけど、ここの時子様クラスが及第点出せるアパートに牛丼好きのあの人が住めるのかひっかかる
牛丼さんいろいろあって随分と貧乏だしなぁ
でもアイドルだし事務所から家賃負担あるんじゃないかな
日曜日が健気で泣ける…
時子様とマキノの因縁が気になりますねえ
あっちののあさんと一緒に続き期待してるぞ!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません