【艦これ】時雨の秋刀魚祭り (29)

リアル秋刀魚祭りに行きたいけど行けないので、秋刀魚祭りの話を書きました。
短いです。

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~夏イベント後 鎮守府某所~

時雨「提督とデートしたい」

海風「どうしたんですか、急に」

時雨「知ってのとおり、鎮守府では色んな行事がある。そのたびに僕は頑張ってるよね」

海風「はい。サンタ姿でプレゼントを渡したり、バレンタインにはチョコも作りました」

時雨「でも提督は、時雨可愛い!って言ってくれない。いや、それだけが目的じゃないんだけど」

海風「みんなの前で露骨に贔屓するようなことは提督はしませんよね。そういうところも好きって言ってたじゃないですか」

時雨可愛い!

時雨「でも、江風や海風の制服姿は可愛いって言ってたじゃないか」

海風「それはまあ、そうですけど。でも、去年鹿島さんが着た時だって可愛いって言われてましたよ」

時雨「僕は言われた記憶ないのに」

海風「仲のよい子にはかえって言いづらいものですよ」

時雨「そうかなあ。でも、僕は提督にもっと可愛いって言ってもらいたいんだ。みんなみたいに」

海風「恋する乙女ですね」

時雨「提督のことが好きなのは僕だけじゃないよ。だから特別が欲しいわけじゃない。せめてなんとかしてみんなと並びたいだけさ」

海風「で、デートですか?」

時雨「そう!デートで普段の僕とのギャップを感じてもらうんだ。美味しそうに食べ物を頬張る僕を見たら、普段見せない姿に可愛いって言わずにいられないはずだよ!」

海風「前も牛丼ぱくぱく食べてたし、普段とあまり変わらないような……」

時雨「何か言った?そうそう、新しい服も買ったんだ。伊達眼鏡も買ってきたよ、これで知的な印象もアップ!」

海風「……そんなことしなくても、提督はぞっこんなのに(小声)」

~秋刀魚祭り1ヶ月前 提督執務室~

時雨「失礼します。提督、次の作戦の相談?」

提督「任務お疲れ様。さっそくだけど、これを見てくれ」

時雨「この地図、海域のマーキングは……もしかして」

提督「そう。今年もアレがある」

時雨「秋刀魚漁の季節だね。僕も頑張るよ」

提督「流石時雨、話が早い」

時雨「提督の秘書艦として、これぐらいはね」

提督「今年も秋刀魚漁支援をしてもらうことになった。休暇取得中の子もいる中で申し訳ないがお願いしたい」

時雨「秋刀魚漁は今年は大変そうだ。僕も本気で行くよ」

提督「やけに気合入ってるな。確かに今年は不漁だけど」

時雨「今年は秋刀魚祭りもあるし、そこで出す分もこの作戦で確保するらしいって、さっき大鯨から聞いたよ。ちゃんと数を確保しておかないと、お客さんが楽しめないから頑張らなきゃね」

提督「そうなんだよ。鎮守府秋刀魚祭り。地域貢献の一環として秋刀魚を振舞う鎮守府一大イベント」

時雨「大鯨中心でメニュー、夕雲中心でイベント進行を考えてるね」

提督「今年は色々重なったから、鎮守府全体がバタバタしてるよなあ」

時雨「秋祭りとハロウィンのステージイベント組、スポンサー企業の宣伝部隊でけっこうな人数が忙しくしてる。僕も頑張らなきゃ」

提督「時雨の姉妹も出張多いよな。海風ぐらいか? 同室で通常シフトなのは」

時雨「海風も先月まで少し江風の手伝いをしてたから、最近イベント従事がないのは僕だけかな」

提督「なあ、時雨。最近の攻略作戦は時雨に重要局面を任せることが多かったよな。イベント従事したくないか?」

時雨「僕が無理してるんじゃないかってこと?」

提督「そういうこと。最近はうちの鎮守府も余裕ができて、イベント従事組は攻略作戦の編成から外してるからね。ほかの子に気を遣ってるのかなって」

時雨「手当は通常シフトのほうがいいし、そっちが性に合う子もいるけどね。僕は提督の役に立てればいいんだ。言ってくれれば、昔みたいにイベント従事しながら攻略作戦だってできるよ」

提督「あんまり無理するなよ。それにほんとはイベント好きだろ。サンタ衣装とかめっちゃ可愛かったな(小声)」

時雨「……イベントが好きじゃなくて、提督が好きなんだよ(小声)」

提督「ん?すまない、聞き取れなかった」

時雨「ううん。なんでもないよ」

提督「秘書艦の仕事は大変だと思う。今まで時雨の働きぶりに甘えてしまった部分もあったし、自分としては改善していきたいんだ。だから何か要望があったら言ってほしい」

時雨「そんなこと……、いやそれなら、要望とは少し違うけど、秋刀魚祭りを二人で一緒に見て回ろうよ。お互いに労いの意味を込めて。提督はその日、秋刀魚祭りの見回りだったよね。そのついでに……だめかな?」

提督「もちろんオッケー。秋刀魚も食べような、きっと美味しいから」

時雨「やった! ……どうやって誘おうか悩んでたけどよかったあ(小声)」

~秋刀魚祭り数週間前 鎮守府海域~

時雨「たくさん秋刀魚がとれたよ!」

大鯨「ありがとうございます!料理の味見、していってくださいね。私ももっと試食したいんですけど、バルジが……、時雨さんは大丈夫ですけど、私気をつけなきゃ……」

赤城「足りませんね。もっとです!ふむふむ、この秋刀魚カレーは美味しいですね、ただもう少し秋刀魚を多めに使ってもよいのでは?」

大鯨「ありがとうございます!もうちょっと改良を加えて出しますね!」

提督「……赤城さん、あなたはスポンサーさんのところでポスター用の写真撮影をやっているのではなかったのですか?あと、数十匹単位で勝手に焼かないこと!」

赤城「何のことやら。ああ、そういえばスポンサーさんの看板メニューの親子丼美味しかったですよ」

提督「時雨、すまない……」

時雨「大丈夫。でも、少し鎮守府海域で取れなくなってきてる感じはするよ。あ、大淀丸と夕張丸のデータが来たよ。なるほど……」

提督「目が真剣だ。プロだ」

時雨「次の漁場は北がいいかもしれない。ポイントを変えてみよう」

提督「頼りになる秘書艦だ!」

赤城「私の分の秋刀魚祭り用の法被を追加発注してきます」

提督「絶対当日ただ食いする気だ!ヤメテ!」

~秋刀魚祭り数週間前 北方海域~

大淀「今回は私たちがメインですね」

夕張「そうね。じゃんじゃん取りましょ」

川内「探照灯持ってきた!夜戦で秋刀魚集めよ!あれ、神通は?」

那珂「那珂ちゃんも真っ青の鬼の形相で秋刀魚集めに行ったよ。せっかく浴衣着たのに提督と会わないまま秋刀魚漁直行だからねー」

~秋刀魚祭り当日 鎮守府~

敷波「秋刀魚祭りだよー、美味しい秋刀魚だよー」

時雨「すごい、猫耳だ……、ふだんとのギャップが魅力的だ、負けた」

提督「お、おおっ!おはよう、時雨。あっ、敷波頑張ってるよな」

時雨「敷波可愛いよね」

提督「ああ、みんなもふだんと違う格好が新鮮だよな。……時雨めっちゃ可愛い(小声)」

時雨「僕も私服新調してみたんだけど、どう、かな?」

提督「い、いいんじゃないか? ……胸元も(小声)」

時雨「うう……」

提督「どうしたんだ?」

時雨「なんでもない! ……可愛いって言ってほしかった。眼鏡も、寄せて上げた胸も意味なかった(小声)」

提督「見回りながらだけど、ステージイベント確認して、秋刀魚食べにいこうか」

時雨「そうだね……」

~秋刀魚祭り当日 飲食ブース~

大鯨「あっ、提督、ちょうどいいところに!時雨さんも!」

提督「大盛況なようだけど、何か問題があったのか?」

大鯨「予想以上にお客さんがいらっしゃって……」

提督「赤いのとか?」

大鯨「はい……」

提督「よし、あまり力にはなれないかもしれないけど手伝うよ」

時雨「僕も!任せて!」

大鯨「ありがとうございますぅ……、ああっ、扶桑さん、そっちの秋刀魚が!」

扶桑「……」

提督「だ、大丈夫!次頑張ろ?」

扶桑「は、はいっ!」

提督「ちょっと手の空いている子はこっちを手伝ってほし、……え?」

磯風「この磯風が出よう。心配はいらない」

提督「えっ……、い、磯風?今年は秋祭りのほうに行って、なかったなあ……」

磯風「秋刀魚はな、こうやって丁寧に焼きあげて……、おかしい、おかしいぞ。浦風に聞いていたのと、何か違う」

提督「ヒィィ!」

赤城「おかわりはまだでしょうか!」

提督「そうか、焼きながらつまみ食いしてるんだな。だが、つまみ食いのほうが多い!もうちょっと手伝おうよ!」

大鯨「ザラさんはお上手ですね」

ザラ「ふふ、何事も粘り強くが大切なのよ」

時雨「よし、塩焼き上がり、こっちもよし。うーん、眼鏡が曇っちゃうな。提督に褒めてもらえなかったから、外しちゃってもいいかな……」

大鯨「……提督、ちょっといいですか?」

提督「なんだい?」

大鯨「落ち着いてきたので、こちらはもう大丈夫です。ありがとうございました。あと、時雨さんのこと、フォローしてあげてくださいね」

提督「やっぱり、何かよくなかったのかな?」

大鯨「何があったのかは分からないですが、提督はもっと時雨さんに対して自然に接してあげればいいと思うんです」

提督「面目ない」

~秋刀魚祭り当日 ステージ~

ウォースパイト「サンマ焼きましょう」

阿賀野「きらりーん!阿賀野も焼くよ!」

赤城「慢心しては駄目!」

提督「赤城さん、あんた本当にすごいよ」

~秋刀魚祭り当日 夜~

提督「色々あったけど、楽しかったな」

時雨「うん、お仕事以外で久しぶりに提督といっぱい話せて楽しかった」

提督「秋刀魚もらってきたよ。焼いて食べよう」

時雨「あっ、実は僕ももらってきたんだ……、お腹すいたし、2匹ずつ焼こうよ」

提督「よし、協賛のこの麦酒杯で、乾杯!」

時雨「乾杯!」

提督「今日はごめん。なんだか時雨の気持ち汲み取ってあげられなかったみたいだ」

時雨「僕が悪かったんだよ。提督に自分の気持ちを押し付けてしまったから」

提督「じゃあ、おあいこなのかな」

時雨「そうだね。あっ、そろそろ焼けたかな?」

提督「いい匂いだ。そういえば、眼鏡は取ったんだな」

時雨「曇っちゃうからね」

提督「ああ、それなら仕方ないな。いや……、その、眼鏡の時雨も可愛かったから」

時雨「えっ?」

提督「眼鏡の時雨、可愛かったよ。今も可愛いけど。私服姿がとても似合ってる」

時雨「……もう、ちょっと遅いよ。でもすごく嬉しいな」

提督「みんなの前だとなんだか照れちゃうんだよな。今だって、少しお酒が入ってなかったら言う勇気出なかったかも」

時雨「じゃあ、今存分にどうぞ」

提督「いつも似合ってるよ。サンタも水着も。ほんとに可愛い。秘書艦として接しようって思うから難しいんだ、みんなにはばれてるんだろうけど。時雨を困らせるかもって思ったというのも言い訳だよな」

時雨「それって」

提督「し、時雨のことがす……、あっ、秋刀魚が!」

時雨「あ、ああっ!」

提督「あー、焦げちゃったか」

時雨「そうじゃないよ!もう!……でも、僕はそんな提督のこと、……大好きだよ」

おしまい

リアル秋刀魚祭り行く人は存分に楽しんできてください。



みんな大好き、大天使時雨

乙乙

乙乙乙

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