女騎士「ふっ…化水素っ!」(41)
女騎士「えっ、歯に塗るんでっか?」
後の八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故である
ガラス腐食させるやつか
凄まじい痛みらしいな…
いくらリョナ御用達の女騎士と言えど…
オーク「オーク族に伝わる治療法。歯、すぐ治る」
女騎士「本当か…お前が歯科医師の免許を持っているというから信用したが、不安になってきた」
オーク「大丈夫、オーク、嘘つかない」
女騎士「そうやって怪しげな喋り方をするっ!」
オーク「どうでもいいから、早く横になるよろし」
女騎士「分かったよ」
ヌギッ ゴロン
女騎士「さぁ、好きに、好きにしなはれ!」
オーク「別に裸になる必要は無い。治療するのは歯だ」
女騎士「気にするな。私は裸になりたい、ただそれだけなんだ」
オーク「分かったある」
ガサゴソ
オーク「治療の準備する、しばらくそのままでいるよろし」
女騎士「なるべく早くしてくれ。こちとら裸なんだ、風邪をひいてしまう」
オーク「分かったある」
ガサゴソ
オーク「フッ化水素、ピンバイス、チャッカマン」
オーク「塩、蒸留水、毒虫」
女騎士(毒虫ってなんだ)
オーク「準備できた、では」
カチャ ゴー
オーク「まずはチャッカマンで口の中を殺菌する」
女騎士「いやいやいや、火傷どころでは済まないだろそれ!」
オーク「安心しろ。チャッカマンは魔法の杖、火傷はしない」
女騎士「嘘つけ、絶対ただれ
グイッ ゴー
女騎士「あ゛あ゛お゛お゛お゛!?」
オーク「動かない方がいい、うかつに動いたら死ぬぞ」
女騎士「お゛う゛え゛え゛え゛!」
ゴー
女騎士(口内が焼ける…粘液が乾いて、喉がひりつく…これは…地獄だ…さすがにマゾな私でも…)
ジュワッ ヌレヌレ
女騎士(くっ…体は正直、という事か…私も、まだまだだな)
オーク「では、このままピンバイスで虫歯を削るるる」
女騎士(ピンバイス…?あれはミニ四ドリルじゃあないのか…)
オーク「動くな、ピンバイスでの治療は精密作業…少しでもずれれば、死ぬ」
女騎士(早く…早く削って…削ってクレアラシル…)
ビクビクン
オーク「では、いく」
グイッ グリグリ
女騎士「うほぉぇぉぇぉぇぉ!」
グリグリ ガリッ
オーク「あっ」
女騎士(!?)
オーク「あ、いや、なんでもない」
アセ ダラダラ
オーク「なんでもないぞ」
女騎士(嘘だ、絶対なんかやらかしただろ!)
オーク「そんな不安そうな顔するな、俺は歯科医師免許を持つオーク。歯の治療は得意あるよ」
女騎士(くっ、今は信じるしかないのか…)
オーク「では治療を続ける」
カチャカチャ
オーク「では、いよいよフッ化水素の出番あるよ」
ヒタヒタ
オーク「口の中は殺菌したから問題無い。虫歯に直線フッ化水素を塗るるるる」
ヒタヒタ
女騎士(本当に大丈夫なのだろうか…)
オーク「では、いくあるよ」
ペッチャーン
女騎士「…」
ジュク…
女騎士「あ。」
ジュクジュク ジワ
チリチリチリ
女騎士「ん。」
キリキリキリ
女騎士「めぽ。」
ズガン
女騎士「しぬふ。」
死んだ。
オーク「しまった」
アセアセ
オーク「やはり女騎士にオーク族の治療法は耐えられなかったあるか」
女騎士(やはりって何だやはりって)
オーク「おや、生きているあるか?」
女騎士「死んでる」
オーク「おどかしやがって」
オーク「しかしまずいある。このままでは俺はやぶ医者になってしまうね。せめて女騎士の歯だけは治療しないと」
ガサゴソ
オーク「虫歯を抜いて別のものを詰める…オーク的にこの治療法は気に入らないけど、仕方がないある」
グイッ
オーク「まずは女騎士の口を開ける…死後硬直が始まる前に、だ」
オーク「セイッ」
クパァ
女騎士(んほぉ!?)
オーク「間違えた、下の口を開けてしまった」
オーク「…」
ゴクリ
オーク「オーク的に、死者を辱めるのは、いけないこと…だが、俺は…本能に勝てるだろうか」
ビキビキッ ビンッ
オーク「駄目だ…静まれ…静まれ俺の真ん中の足!」
ビンッ
オーク「ぜんっぜん萎えない…くそっ、勃起の波に襲われるのがオークというのなら、俺は!」
ビンッ
オーク「オカンオカンオカン…オカンをイメージして萎えさせるッッ!」
ビンッ
オーク「おかまいなしかい」
オーク「急がねば歯の神経が死んでしまう。早く女騎士の虫歯を抜くッッ!」
ズモォ
オーク「俺の手で歯を!」
グイッ
ガシッ
オーク「オーク族の握力なら人間の歯を引き抜ける!」
グイッ
女騎士(あいだだだだだ!?)
ジタバタ
オーク「ぬっ、今動いたか」
女騎士「うごひてなひでふ」
オーク「おどかしやがって」
女騎士(危ない危ない…死んだフリがばれるところだったわ)
オーク「さて、再度歯を…」
グイッ
オーク「俺の力を指先に集中!」
グイッ
オーク「今なら、引き抜ける!」
グイッ
スポーン
それは
麻酔の無い抜歯。
オークの規格外の握力による
神経ごとの抜歯。
引き抜かれた歯からは
鮮血を滴らせながら
紐状の、なにかが伸びていた。
女騎士(んほお゛お゛お゛ん、うぼらららアルギニン!)
ビクビクン
ジョロロロロ
オーク「死体が失禁…?馬鹿な…っ、まさか貴様ァァ!」
ニヤリ
女騎士「その、まさかだ」
オーク「死んだフリとは、姑息なマネを」
女騎士「フリっていうか、マジで死ぬところだったんだが。歯にあんなもん塗る歯医者がどこにいる!」
オーク「オーク的には常識。だからお前がのたうち回るさまは、実に愉快だったぞ、ニンマリ」
ニンマリ
女騎士「気持ちの悪い笑い方をするっ!」
オーク「しかしこうなっては…生かしておけない」
女騎士「なぜだ」
オーク「女騎士のひとりも治療できないなどと、変な噂を流されては困るのでな」
女騎士「歯医者としての、くだらんプライドだ」
オーク「そのプライドで生きているッッ!」
女騎士「なら仕方あるまい…来い、簡単にこの命をやる訳にはいかんのでな」
オーク「なら遠慮、しないある」
シュパッ
オーク「歯医者忍法…死肉炎!」
フウッ
ゴウッ
女騎士「オークの口から炎が!?」
歯医者忍法、死肉炎っ!
それは死者の国、すなわち地獄の底から吹き出すような
真っ黒な炎を口から吹き出す技である!
しみるよねー
ボワァァァ
女騎士「熱い!これは焼け死ぬに違いない!」
オーク「ぶふぅぅぅ!」
ボワァァァ
女騎士「だがな、あらゆる責め苦を体験した私だ…焼け死ぬくらい、何度も体験した!」
ブンッ
女騎士「私は不死身の女騎士だ!」
シュゥゥゥ
オーク「気合いで炎を消した…?」
不死身でも歯は悪くなるのであった
女騎士「私を殺すなら核ミサイルでも持ってくるがいい!」
ヌギッ
女騎士「この鍛え抜かれた鋼の肉体を、なんぴとたりとも傷つける事はできぬと知れ!」
オーク「た、たくましかぁ…」
ビンッ
女騎士「!」
ザザッ
女騎士「今だ、手刀!」
シュバッ
ぼとり
オーク「…?」
ジワ
オーク「あ、あぁあ…あ?」
ブシュゥゥゥゥゥ
オーク「ひぎゃうぁぁぁぁ!?俺の肉欲棒が!切り落とされてぇぇぇ!?」
女騎士「服を脱ぎ、勃起させた相手のチンポを手刀で切り落とす…これが女騎士のやり方だ!」
痛そう
全裸、からの全裸
女騎士には皮膚すら服なのだよ…知らなかったのかね?
オーク「あ…チンポが無い俺は…もはや…」
ブルブルブル
ジュクジュク カパッ
女騎士「チンポの断面が…くぼんで穴に…?」
ヒダヒダ クロズミ
ビラーーン
女騎士「あ…馬鹿、な…オークのチンポ断面が…女性器に…!?」
オーク「そうよ…あたいは…いえ、あたい等オークは、自由自在に性転換できるのよ!」
女騎士「なるほど…オーク族には雄しかいないのに、なぜ種が絶えないのかと不思議に思っていたが…なるほど、そういうカラクリか、なるほどなるほど」
オーク「で、どうするのよ。このまま雌になった私に治療されるの、されないの?」
女騎士「ふぅむ…そうだな。先ほどの痛みをまた味わうのも悪くない、か…よかろう、治療を再会したまえ!」
オーク「がってんしょうちのすけ!」
カチャカチャ
オーク「じゃあ、虫歯に直線フッ化水素を塗るわよ」
ペッチャーン
女騎士「…」
ジュク…
女騎士「あ。」
ジュクジュク ジワ
チリチリチリ
女騎士「ん。」
キリキリキリ
女騎士「めぽ。」
ズガン
女騎士「しぬふ。」
死んだ。
オーク「だわよね、てゆーか、デジャヴ?」
この後
女騎士は再び生き返り
オークに治療を施された。
そして女騎士は死に、また生き返る。
そのループは、終わらない。
ループが終われば
女騎士は死んでしまう。
このループはきっと
女騎士を死なせないための、もの。
誰かが永遠に女騎士を生かすために
繰り返し、繰り返す。
塗る。
死ぬ。
生き返る。
塗る。
死ぬ。
生き返る。
塗る。
死ぬ。
生き返る。
それはさながら
永遠に終わらないワルツのような――
『あぁ』
『今日も大丈夫』
『ちゃんと生きてるね』
『心配ないさ』
『俺が終わらせない限り』
『終わらないさ』
キュルルルルルル!
ぷつん。
【完】
深いな
永劫回帰もたまにはいいよね!
乙
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