女「……あっためてあげよっか」友「おー」 (54)




ヒュウゥ…


友「うぅ、さむ……」

友(もうすっかり冬かあ……)

友「」ハー

友(息白い)


友「……」


友(こんな気温で……女、起きてこられるかな)

友(今日は必ず来るって意気込んでたけど)

友(……)

友(やっぱり迎えに行かなきゃダメかな)


友「……」



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友(……あ)

友(もうこんな時間)

友(……来ないな)

友(じゃあやっぱり……家まで行ってあげないと……)

友「……」

友「……!」


女「……」


友「……ぁ」

女「……」

友「あぁ、すごい、ちゃんと来たじゃん。迎えに行くとこだったよ?」

女「……寒い」

友「うん」

女「……んですけど」

友「もうすっかり冬の季節だね」

女「……帰りたい」

友「だめだめそんなこと言っちゃ。今日はしっかり学校行くんでしょ?」

女「……」

友「偉かったじゃん。一人で起きてこれて。さ、ほら」

友「行こ?」

女「……///」

友「?」

女「そっ……そんなこと言われても嬉しくないし、ていうか一人で起きてくるなんてそんな偉くないし、誰だって出来るし」

友「でも今日こんな寒かったから女布団から出てこれなくなっちゃうかと思って」

女「……確かに……しばらく出れなかったけど」

友「それでもここまでこれたじゃん。だからがんばったねー って」

女「……」

友「……」

女「……」ゴニョゴニョ

友「?」

女「がっ……学校に行く、…… じゃなくて、友に会える、…… と思ってきたから、がんばれた、…… ていう か ……」ゴニョゴニョ

友「わっ、結構時間経っちゃったよ?バスでちゃうちょっと急がないと。ほら、行くよ」スタスタ

女「あっ……ちょ、ちょっと」

友「? 何?」クルッ

女「ぇ……っと……」

友「……?」

女「な……なんでもない。行こっか」

学校の廊下


ワイワイガヤガヤ


女「……………………」

友「大丈夫?顔色……」

女「なんか……色んな人にチラチラ見られてる気がする……」

友「んー、そう?」キョロキョロ

女「久しぶり……だったから……学校来るの……」

女「なんか……やだ……」

友「そんな心配しなくてもいいと思うけどな」

女「誰かにからかわれたりしないかな……やだなあ……ほんとに」

友「大丈夫だって。みんなそんな、とやかく言ったりしないよ」

女「でも半月ぶりくらいだし……」

友「ほら教室ついたよ」

女「ぁ……」

友「みんなおはよ……」

女「っ!待って!まだ開けないで、ちょ、ちょっと……タンマ」

友「どした?」

女「心の準備が……」

友「大丈夫だよーそんなに緊張しなくても。ほら、教室きっとあったかいよ?入ろ」

女「うう……」

友「……大丈夫」

女「……」

友「大丈夫」

女「……ん……」

友「おはよー」ガラッ


アー トモオハヨー オハヨー


女「…………!!」カクレ

友「もー、背中に隠れることないでしょー」

女「だってぇ……」

友「」クス

友「でもこれ、二人羽織みたいでちょっとおかしいね、ふふ」

女「お……おかしくないよお……」

友「ほら女、席」

女「……」

友「……」

女「…………」ギュウ

友「座らないと。授業受けられないでしょ?」

女「……」

友「大丈夫」

女「……」

女「」オズオズ

女「……」スワリ

友「ん。おっけ」

女「……」

友「授業始まるまで、ここにいてあげるから」

女「……はい」

友「がんばったがんばった」

女「……///」

授業中


教師「えー等式を証明するというのはその等式が恒等式である事を……」



女「……」


友「……」


女「……」


友「……」



教師「一般に等式A=Bを証明するには……えー……」カッカッカッ


女「……」

女「……」スマホポチポチ


ム゛ーッ ム゛ーッ

友「!」

友「」ポチ




女 <『死ぬ』




友「……」ポチポチ

                既読『大丈夫』>

女<『だいじょばない』

              既読『平気だって』>

女<『席とおすぎ』

     既読『この前席変わっちゃったからね』>

  既読『なんか私すごい前の席になっちゃった』>

女<『不安でやだ』

                既読『うーん』>

女<『あの』

                既読『なに?』>

女<『見てていいですか』

               既読『なにを?』>




友「……」

友「」クルッ


女「……///」ジー


友「……」





女<『安心するんです』

               既読『いいよ』>

           既読『それで大丈夫?』>

女<『うん』


女「……」ジー


友「……」カリカリ


女(友……)

女(距離が……遠い……)

女(……)

女(落ち着かない……)

女(居心地悪い……)

女(友……)

女「……」ジー


友「……」カリカリ

休み時間


女「……やっぱ帰ろうかな……」

友「えー、なんでー」

女「だってやっぱりあんま……馴染めないし……今更……」

友「昨日言ってたじゃん。一日いるんだって。頑張るって」

女「そうだけど……どうしてもだめっていうか……なんてか……」

友「んー」

女「……」

友「じゃあどうすれば頑張れるかな」

女「どうすれば……って……」

友「今日も朝頑張って来てたよね。だから多分、大丈夫だと思うけど。でもどうすればって思って」

女「……」

友「そんな弱気になることないと思うよ?女。頑張らなきゃいけないときは頑張れるって、私思ってるから」

女「……」

女「……私そんな……そんなんじゃない……」

友「んー、そーぉ?」

女「でも……」

友「……」

女(友と一緒なら頑張れるって……)

女(友と一緒なら、頑張れる、)

女(って……)

友「……」

女「……」

友「……でも?」

女「……」

女「……こんな寒くなければもっとがんばれた……」

友「えー、なにそれー」

女「周りの空気の冷たさはやる気が削がれる……って……」

友「でも気候はおてんとさんが決めることだから私達にはどうしようもないねー」

女「うん……わかってるけど」

友「あー、でもさ、気温を直接変えることはできなくても、私ら側でどうにかしてさ、あったかくすることはできるよね」

女「ん、そだね」

友「寒くなければやる気でるって話だよね。私のカーディガン一枚かしてあげよっか」

女「え、いいよそんな……友が寒くなっちゃうじゃん」

友「へーきへーき私寒いの強いよ?子供の頃雪遊びとかすっごいしてたからね、女と違って」

女「う……私だって多少はしたし……」

友「えー、女、ちっさい頃私がどんなに誘ってもこたつの中でうずくまってるだけだったじゃんー」

女「そんなことないよぉ……」

友「まあとにかく、これ一枚着てな、ほら」ヌギ

女「!」

友「ん」

女「……ぁ」

友「?」

女「ありが、と、……うん」

友「よし、これで今日一日乗り切れ!」

女「……」

可愛い

女(友のカーディガン……友が今さっきまで着てたカーディガン……)

女(まだほんのりあったかい……人肌の温度だ……)

女(……)

女「……///」

友「ん、どした?」

女「っ、っだあっ!!」

友「うえっ!?何!?」ビクッ

女(ななななにを考えてるんだ私は!それは流石に……いきすぎてる……ただのカーディガンだぞこれ!)

女(変態っぽい……すごい変態っぽいぞ私………!)

友「なんかあったか」

女「う、ううん、なんでもない。それより、もうすぐ授業になっちゃうね」

友「着ないの?それ」

女「へっ?」

友「折角だから着てほしい」

女「別に、今じゃなくても……」

友「んー、なんとなく?」

女「えー……」

友「」ジー

女「………」

女「き、着ました」

友「どう?あったかい?」

女「あったかい……なんか……」

女「これ……外側から友に包まれてるみたいで……安心する……」

友「……ほお」

女「……あ」

女「あ、ぁ、あっ、ちが、違う!なんか……なんかキモいこと言っちゃってる私!そんなんじゃなくて、え、えっと」

友「あはは、いやーぁキモくないよ?いい感想だよー、なんだっけ、外側から?私に?」

女「やめろー!言うな!恥ずかしいからー!それ!!」

友「あはは」

再び授業中


女「……」

女(帰りそびれた……)

女(やっぱり……一日居るしかないかー)

女(まあ私が決めたことだし……友にもそう言ったし)

女(不安だけど……頑張らなきゃ、がんば……がんばる……って……)

女(頑張るってなんだろう、がんばるって、それでなにか報われるのかな、なにか救われるんだろうか)

女(友は……頑張れって、言ってくれるけど。あと、大丈夫、とも言ってくれる)

女(嬉しいな……というか、優しい。今日も私が来るまで待っててくれたし。迎えに行くつもりだったとも言ってくれた)

女(友……)

女「……」



友「……」


女(遠い……)

女(後ろ姿しか、見えない……)

女(真面目に勉強してるんだろうなー……私と違って……)

女(振り向いてくれないかなー……)

女「……」


友「……」


女(……だめか)

女(このカーディガンすごいあったかい……というか、このカーディガンが別の意味で私の体温をあげてる、というか)

女(まあ結果オーライ?なのかな)

女(でもほんとに友がそばにいてくれてるみたい)

女(落ち着く……)

女(……)

女(うっく……私、またなんだか気持ち悪いことを……)

女(変かな……今日朝起きて、寒くて、布団から出たくなくて、学校行きたくない時でも)

女(真っ先に考えるのは友のことだったもんね。きっと友が待っていてくれてるって。だから来れたんだ)

女(ちょっと意識しすぎ……というか、友達、なのに)

女(ずっと友に頼りっきりで、申し訳ないというか)

女(なんか普段から友のこと考えすぎ……今だってそうだし)

女(今私がこんなに友の事ばっかり考えてるって知ったら本人どう思うかな……引くかな……)

女(……)

女(……自立しなきゃいけないんだろうけど)

女(なにも言われなくても自分で頑張れる人間にならなくちゃいけないんだろうけど)

女(友の優しい言葉も、自分への甘やかしも、全て断ち切って、ちゃんと自分として生きていかなきゃいけないんだろうけど)

女(……)

女(……うぅ)

女(友ー……)

女「……」

女「……」スマホポチポチ


ム゛ーッ ム゛ーッ

友「?」

友「」ポチ



女 <『もう少し、あなたのことを考えていていいですか』



友「……?」



女<『ごめんやっぱなんでもない授業の邪魔してごめん』



友「……」


女(……)

女(こういうところが気持ち悪いというか、中途半端というか)

女(私……)

女「……」

帰り


友「わーっ」

女「わあ……」

友「見て!女ほら!雪降ってるよ!すごい!」

女「ほんとだあ……もう雪なんて降っちゃうんだ」

友「きれーい」

女「そうかな……」

友「そう思わない?」

女「まあきれいだけど……余計寒くなっちゃうなあ……って……」

友「ほんとー、寒いの弱いんだねえ」

女「だって身動きとれなくなるし……」

友「身動き?」

女「うん。寒いとちぢこまる感じ、わかるかな……それで身動きとりづらくなる……みたいな……」

友「あー、確かに女、寒いと体ちぢこまってるよねー」

女「ちょっとわかりづらいけど……そんなイメージ、私」

女「ただでさえ行動するのに気だるさがつきまとうのに、それでちぢこまっちゃったらもうどこへも行けないよ」

友「困っちゃったねー、帰れないね」

女「いや流石に帰るのは頑張るけど……でもやだなあ寒いの……きっとこれから毎日こんな感じなんだろうな……」

友「まあ色々言ってても仕方ないよ、帰ろ?ん、私この、雪踏む時の、ざく、ざく、って音好きだな」ザクザク

女「……」

友「わー」ザクザク

女「……」

友「? どうしたの?帰らないの?」クルッ

女「あっ……ん、帰る」

友「なんかあった?」

女「……ううん、なんでも」

女(雪にはしゃぐ友に見とれてた……なんて)

友「~♪」

女(正直に言ったら友、なんて言うかな……)



ザク ザク ザク


友「あっ、見てつららー、あれとか大きいねー」

女「……」

女(なにをもやもやしてるんだろう……なにも問題なんてないのに……なにが問題かもわからないのに)

女(こうやって友の後ろ姿とか、横顔とかを見ることになにか意味があるのか)

女(友がはいてる白い息の、すぐ消えてしまうような尊さを、触れられないけど、触れたいような)

女(ずっと溜め込んでるような気がするけど……それがなんなのかわからない)

女(なにか、なにかほんのちょっとでも、私が友に動けたら)

女(どんなつたない言葉でも、友に伝えられたら)

女(……少しは形となるだろうか)

女(でも……寒いから、そんなことできないかも)

女(がんばれ、ないって)

女(……)

女「……」

友「……」ノゾキコミ

女「んあ、何?」

友「ふふ、んあ、だって。やっぱり疲れちゃった?ちょっと元気ないもんね」

女「え……そ、そんなことないよ。そんなことない……はず」

友「下ばっか向いて歩いてると危ないよ?ほら、バス停ついた。ちょっと早かったかな。待とうか」

女「うえ、こんな寒い中……」

友「そうだねー、ちょっとやだねー、まあ、がまん、がまん」

女「……」

友「……」

女(友の言うとおり……私、ちょっと疲れてるのかも)

女(疲れたってことにしておけば……ちょっとくらいのわがまま、許されるかな)

女「……」

友「……」ハー

女「あっ……あのさ」

友「なに?」

女「あるいて……歩いて帰らない?今日」

友「へっ?」

女「……」

友「……」

女「ど、どかな」

友「び、びっくりしちゃったー……女がそんなこというなんて」

女「うんっ、だからさ……多分疲れてるんだと思うんだよ、こんな気まぐれおこすなんて」

友「疲れてたら、歩こう、とは言わないんじゃない?」

女「いや、うん……そうだけど」

友「どうして?」

女「あ……えと、雪とか、きれいだからさー……歩いて帰ればいっぱい見れるかなー ……って」

友「さっき私がきれいーっていったらそうかな……って言ってたよ?」

女「あーうん……まあ、きれいだし。ていうか気まぐれだし?」

友「まあ確かに、ここでバス来るまで縮こまってるよりか、体動かして、歩いて帰ったほうがいいかもね」

女「そ、そでしょ?」

友「……じゃあそうしよっか」

女「うん」


ザク ザク ザク

女(……あ)

女(友、鼻の頭赤くなってる)

女「……」ザクザク

友「……」ザクザク

女「ごめん、やっぱ寒いよね」

友「ん、まあ寒いけど、歩いて帰るのもたまには悪くないと思うよ?謝ることないって」

女「でもやっぱ遠い気がしてきた」

友「もう弱音ですかー?うりうり」

女「やっぱり寒いのはだめかも……ちぢこまっちゃう」

友「いつも思うんだけどさー、ここの通りっていっつも人いないよねー。今も私たちしかいないし」

女「そう……だね」

女(今、ふたりっきりか、私達)

女「……」

友「……」

女「……」

友「……」


ザク ザク ザク


女「……」

友「……」


ザク ザク ザク


女「……」



女「…………」




女「………………ぁ」





女「あの、さ」

友「?」






女「……あっためてあげようか」

友「おー」

友「どうやって?」

女「……ん」

友「……」

女「……に、二人羽織」

友「二人羽織?」

女「そ……」

友「朝の?」

女「朝の、もっと密着してるバージョン、みたいな、」

女「こう、お腹と背中くっつけて、こう、一緒に歩けないかなって、みたいな」

友「……ほー」

女「おしくらまんじゅう方式、ってか、作戦で、あったかく……なれないかなって……」

友「あ、じゃあさじゃあさ、私のマフラー二人で一緒に巻けないかな?」

友「このマフラー二人で巻くには随分短いけど、でもそれだけ密着するんだったらちょうどいいよね」

女「あ……うん、そうしよう」

友「どっちが前?」

女「そりゃ……友」

友「ふふ、やっぱそっか」

女「……なんだろう、隠れたい性分なのかな、私」

友「そーかもね」

友「ほら」クルッ

女「え……私から抱きつくの」

友「じゃなかったらなんなのさー」

女「な、なんか恥ずかしくて……」

友「もー、女が言い出したんでしょー」

女「……じゃ、じゃあ……」

友「ん、背中かしたげる」

女「おじゃま……します……」

女「……」

友「……」


ギュ

女「……///」

友「……」

女「……///」

友「ほら、マフラ」

女「……ありがと」

友「このまま歩くの?」

女「そ、そう」

友「ん、よいしょ」


ザク ザク ザク


友「あはは、ちょっと歩きづらいね」

女「そだね……」

友「……でも……」

女「ん……あったかい……」

友「……気がする」

女「……な、なんかさ、もっとこう……前に手、回す感じでやってみていい?」

友「うんどうぞー」

女「……」

女(友……)

女(…… 友―――……)


ギュ


女「///」

友「~♪」


ザク ザク ザク

女(……やっぱり寒いのは苦手だ)

女(空気が張り詰めてると、自分も縛られて、動けなくなるような気がするんだ)

女(周りの空間、人も、場所も)

女(辛いような、厳しいような、冷たい空気にさらされて、自分の無力さを感じるような)

女(……ちょっとだけ……自分の居場所がほしい)


ザク ザク ザク


女(―― 友)

女「友」

友「うん?」

女「えっと……」

友「……」

女「あの、さ、今日、ありがとね、なんか、色々」

友「いやあ~大丈夫だよ~平気平気」

女「わざわざ、私なんかに、あわせてもらちゃって」

友「でも今日女すごいがんばってたじゃん。ちゃんと一日学校にいられたしさ、この調子。そう思うよ?この調子、って」

女「……あ、ありがと」

友「明日も来れるといいねー」

女「明日は無理……無理だと思う」

友「えーなんでー」

女「だって……私そんなにがんばれない……」

友「んー……そんなことないと思うけどなっ、弱気じゃよくないよー」

女「でも……」

友「明日も待ってるからさ」

女「それでもわからない……」

友「……そっか」

女「……」

友「……」


女「……」



友「……」




女「……私」


女「私、優しくしてくれるのが友だけだからこんなこと思うのかな……」

友「?」

女「こうやって……近くでふれていてくれると……すごい後ろめたいというか、やるせないというか、そういうのもあるんだけど」

女「それと同時に……安心して、ほっとして、幸せなの……」

友「……」

女「顔もあつく、て」

女「なんていうか、私ずっと友のことばっか考えてるっていうか、なんかそんなことばっかり」

女「そんな……」

友「……」

女「ぁ……ちが、えっと……ごめ、や……やっぱなんでも」

友「ううん、いいよ、つづけて」

女「ぇ……あ、うん……」

友「……」

女「……」


ザク ザク ザク

女「あ……甘えてるだけなのかなって思うの」

友「……」

女「ほかのみんなはさ、みんなすごいよね……ちゃんと朝起きて、ちゃんと毎日学校通って、」

女「学校じゃない人も、みんななにかしら毎日がんばってる……どんなに寒くても、ちゃんとして動いてる」

女「すごいな……なんでみんなそんなにがんばれるんだろう……気疲れしちゃうし……ほんのちょっとのことですぐ気疲れしちゃう私は」

女「なんでみんなそんなに……って……おもっ……て……」

友「……」

女「そんな風に、いつまでもお茶濁してやっていってたら、私いつまでたっても大人になれないのかな」

女「友はさ、優しくて、昔っから私のこときづかってくれて、待っていてくれて、声かけてくれて」

女「そうやって……嬉しいけど……でもだから……これはただ私が友に甘えてるだけなのかな……って……」

女「そういう理屈を……」

女「まあ……そうだとしても……何もできないけど……」

友「……」

女「……でも、でもね?」

女「友、私によく大丈夫って言ってくれるでしょ?私ね、友に、大丈夫、って言われると、ほんとに大丈夫な気がしてくるの」

女「ほんのちょっとだけだけど、寒さの中でも動いてみようっていう気になれる、感じなの」

女「私わかりやすいのかな……友がただ単に優しくしてくれるからそう思うのかな……でも」

女「友が一緒にいてくれると、友が私に会ってくれると、こう、さっき言った、理屈、みたいなものが、溶けて柔らかくなる」

女「すごく、体がポカポカしてね、すごい、幸せ、っていうと大げさかもしれないけど……」

女「……あったかい、あったかいんだ」

女「だから……」

女「……」

友「……」

女「…………」

友「つまり女は、私のことが好きなの?」

女「えっ……いや、まあうん……好きだけど」

友「ふうんそっか。友達だもんね」

女「友達……っていうか」

友「ん、それは違うんだ」

女「違う……っていうか」

友「つまりどういうことなんだろう」

女「えっと……明らかにさ、友達、っていう普遍的な間柄の相手に抱く、ような、ものじゃないと思うんだよね。でも、なんだろう、」

友「好きとは違うの?」

女「……それはどういう」

友「テレビのドラマとかさ、映画とかで、みるような、好き」

女「……それは……」

友「………」

女「……わかんない。でも近い、気がする」

友「………」

女「でももしかしたらそうなのかもしれない……」

友「なんか、私も女も女の子なのにね」

女「ぁ……」

友「……」

女「……」

友「……」

女「……き、気持ち悪い、かな、やっぱり」

友「うふふ、そうは思わないかな、なんかちょっと嬉しいし」

女「あ……そうなんだ」

友「うん、どうやってもね、人の気持ちなんてわかんないなーって思うことがあるから。はっきりそう言ってくれると嬉しいのかも」

女「……」

友「……」

女「……す」

友「……」

女「すき、です」

友「……」

女「……好きです……」

友「……」

女「…… 友――― …… 好き…………」


ギュ

えんだぁぁぁあああ

友「……」

女「……」

友「……」

女「甘えなんかじゃないよね、もし、甘えだったとしても、それでも、いいよね」

友「……」

女「あは……すごいあったかい……全然、寒くない……」

友「……」

女「友、どうかな」

友「私も。全然寒くない。すごいね、二人羽織、これいいね」

女「そうだね……ふふ」

友「……ありがとね、嬉しかった」

女「あ、……わ、私も。なんか……聞いてくれてありがと」

友「……うん」

女「……」

友「……」

女「……」

友「」クルッ

女「あ、あれ、どうしたの」

友「ねえ、じっとしてて」

女「え、なんで」

友「いいから」

女「……」

友「……」


女「………」



友「…………」



女「……………」




友「………………」












ギュ















チュ






















おわり

終わりです ありがとうございました

もう最高だったよ。ああ甘い


いい百合だった


最近見た中で一番よかった

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