学者「恐竜大量死の謎に迫る」 (27)
私がこれから行う報告は信じがたいものかもしれない。
受け入れがたいものかもしれない。
しかし、紛れもない事実なのである。
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きっかけは某国に存在する≪インビジブル・バレー(底が見えない谷)≫の調査であった。
落差数百メートルともいわれるこの巨大な谷は、長年人が立ち入ることを拒み続けてきた。
政府もまた、神聖な土地として立ち入りを禁止していた。
このような知る人ぞ知る秘境なのであるが、粘り強い交渉の末、ついに谷底を調査する許可が下りたのである。
経験豊富な学者や熟練の探検家といった人材を集め、調査チームを結成した私は、
入念な準備を経て谷底への降下に挑んだ。
当初の目的は、古代のままになっているであろう地質を調べることで、
数千万年前、数億年前の生態系の手がかりを得ることであった。
ところが、谷底に降りた我々を待っていたものは――
大量の恐竜の化石であった。
数は数万、いや数十万か。
巨大な谷の底は、恐竜の化石で足の踏み場もないほど埋め尽くされていた。
とても数え切れるものではない。
これには、精鋭を誇る我が調査チームの一同もさすがに面食らったことはいうまでもない。
調査を開始してすぐ、おびただしい数の化石はどれも同一種のものであることが分かった。
この谷底で暮らしていたのだろうか。
だが、化石はどれも激しく損傷しており、彼らは元々この谷底に住んでいたのではなく、
なんらかの原因で谷底に転落したと見るのが自然であった。
ならばなぜ、これほどまで大量の恐竜が転落死を遂げたのか。
このような習性がある生物だったのか。
津波などにまとめて流されてしまったのか。
地上で環境の激変が起こり、避難のためにやむなく飛び降りたのか。
我々はいくつも仮説を立てたが、どれもピンとくるものではなかった。
こうなると、もはや地質調査どころではない。
我々は予定を大きく変更し、調査目的を「恐竜大量死の原因究明」とする方向に舵を切った。
谷底でこの恐竜の化石を調べていくうちに、次のようなことが分かった。
・この恐竜は比較的小さい(人間と同じぐらい)。
・首が長く、手足は短い。
・もし仮にこの恐竜が現存していたとしたら、乗用に適した形状をしている。
しかし、手持ちの装備では、大量死の原因究明までには至らず、
我々は状態のよい化石をサンプルとして持ち帰り、研究所で詳しい分析を行うことにした。
なにこれめっちゃワクワクする
持ち帰った化石を最新機器で分析した結果、驚くべき事実が明らかになった。
化石はいずれも、背骨部分が大きく歪んでいたのである。
これは落下時の衝撃によるものとは考えられず、
ようするに、彼らは背中に強い衝撃を受け、それにより谷底に転落させられた可能性が高い。
さらにその歪みを分析すると、恐竜の背中に衝撃を与えたのは、
ちょうど我々人類のような生物の「足」であることが分かったのである。
これらのことから、我々が達した仮説はこうなる。
<仮説>
谷底で大量死していた恐竜は、同一時代に生息していた人類(に似た生物)によって、乗用されていた。
この人類は極めて高い脚力を持っており、谷の端から端へと移動する際、この恐竜を踏み台に使っていた。
(たとえば、恐竜に乗った状態で恐竜を跳躍させ、さらに恐竜を踏み台にして自らも跳躍すれば、
かなりの距離の空中移動が可能になる)
踏み台にされた恐竜たちはむろん転落死し、時が経ち、谷底には大量の化石が出来上がった。
荒唐無稽すぎて何がなにやらといった感じだが、こうとしか考えられないのである。
あ・・・(察し)
以上が、現時点で分かっていることの報告となる。
さらに調査が進めば、この恐竜を踏み台にしていた者の正体や、
なぜ恐竜は自分が犠牲になる運命を受け入れていたかなど、新たな事実が判明するかもしれない。
むろん、調査は今後も継続していく予定である。
― 終 ―
んふ
んふぅ
でっていう
どういうことなの…
>>15
なるほど
理解
そういうことか(わからん)
>>7で察した
面白かった
鞍までへこませる配管工流石の脚力
あれは恐竜なんだろうか…?
しかし、少しくらい谷底でつぶれた配管工の化石が出土しそうなものだが
でっていうで察した
つうかどんだけの難所がその先に有ったんだよww
そこで人類(に似た生物)の化石もほぼ同数見つかると思うんだが
土管ではなく火口の上で下ボタンを押さなければいけない時代
使い捨ての道具だからな……
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