メトロイド×艦これコラボSSです。
コラプションクリアで、プライムシリーズ全制覇記念に。
一応殆どのメトロイド作品に目を通してはいますので、プライム以外の要素も少々入れているようにしています。
作品の特性上、プライム2のファンタジー要素が多めとなります。
サムスの性格はアザーM、ボンボン版、マガジン版漫画の折衷を意識しています。
ミッションファイル
ナンバー 03604---
フェイザの消滅により消滅したはずのフェイゾン反応を持つ未知の惑星を確認。
原住民の生息アリ。名称を地球と呼称している。
コントラクト承諾---
フェイゾンの確保、または再度の消滅。
データ確認---
反応地点は、次元断層により隔絶された星系に所属。
フェイザ消滅に伴い次元断層が消滅したことで、銀河連邦未踏の惑星である。
名称:銀河系・地球
ミッション内容再確認終了。バリアスーツ・起動―――
[バイオハザートスキャン終了。バリアスーツオンライン]
[メインパワーオン。
システムチェックが開始されます。
Chozo Battle Suit Ver SA1-4468-VM6-P システム起動。]
(サムスがスターシップより出る時のジングル)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474977204
定期レポートシステムを送信後、眠りについていた私は再び朝日溢れる部屋の一角で意識を取り戻した。
私の覚醒とともにゼロスーツに連動した脳波検出システムがパワードスーツの起動を促し、華奢な私の身体は赤の金属鎧へと姿を変える。
スターシップと随時連動しているスーツのメインコンピューターが、異常無しを示した直後、外から元気そうな足音とともに提督室と呼ばれる私がいる部屋の扉が勢い良く開かれた。
「「サムス提督、おはようございます!」かも!」
黒髪と銀髪の少女だった。名を暁と秋津洲と言う。
私の名前はサムス・アラン。フリーのバウンティハンターだ―――
だが今は、この世界の軍の職業、通称提督を受け持っている。
私がこの世界に降り立ったのは一月ほど前のことだった。
惑星フェイザ原産、超常物質フェイゾンを巡る戦いから間もなくして、銀河連邦からの緊急メッセージが私のもとに舞い込んだ。
今私が踏みしめている星・地球にてフェイゾン反応が確認されたというのだ。
汚染除去プログラムを衛生機関から定期的に受けていたばかりの私は、晴れて通常通りの任務遂行が可能に成るやいなや、この辺境の惑星に派遣された。
今回は連邦も異常事態として万全に期すように私に求めたのか、これまでターロンⅣ(プライム1)、テルリアン星系(プライム3)における武装を全て持参した上で任務に付くように命じられている。暁がいつも元気でここに来る前は、スーツの拡張機能の確認、及びフェイゾン汚染からの治療プログラムの進行形でいる私は朝の目覚めと同時にスーツの機能不全を確かめているのが日課だった。
「おはよう。いつも元気だな、お前達は」
「えっへへ。私達の提督がいなくなって、サムス提督が来てから私達も精一杯頑張っているからねっ。元気はいつもの挨拶から始めるのがレディの嗜みよ」
「嗜みかどうかはともかく、壊滅状態だったここをサムス提督のお陰でたった一月で復興できたのは、さすがの手腕かも!暗黒海域もだいぶ後退したし、目指すは深海聖域の親玉を潰すだけかも!」
「大したことはしていない。私は銀河連邦の依頼をこなしているだけだ」
暁が「謙遜なんてしちゃって」と言い、マスクの下で苦笑する。
今私がついている提督としての任務は、『暗黒海域と呼ばれる、超常生物が占領した汚染海域を解放しろ』という内容だ。
それは深海棲艦と呼ばれるフェイゾン変異生命体が原因であり、彼女らは体内で生成した凝縮液状フェイゾンを海に垂れ流し、新たなこの星をフェイザにしようと本能で動いているようだ。オーロラユニット313の精神感応能力による弊害で、私達の宇宙からフェイゾンは総て消え去ったはずと思われていた。だがこの星は次元断層と呼ばれる現象により、私達の宇宙とは隔絶されていた。その事が結果的に、次元断層ができるより前にフェイゾンを載せた隕石、リバイアサンがこの地球に墜落してことが私の調査で明らかとなった。
「サムス提督も、現地に赴かずに海は私達に任せていつもは普段着でこの提督室で腕を組んで堂々としていればいいのよ。その方が大人のレディっぽいし」
「済まない。私は任務はいつもこの姿だ。気にしないでもらえると助かる」
彼女達、艦娘も―――フェイゾン生命体だ。
正確にはこの地球のヒューマノイドの一種なのだが、彼女達はタダの人間であった頃、戦時中何らかの要因で命を落とし、フェイゾンの影響で地球に漂う旧大戦の英霊と、フェイゾンで構成された、艤装と呼ばれている無機的パーツとの融合生物だ。
スキャンバイザーからのログによると、私のパワードスーツと類似特性を有しているらしく、普段は何の変哲もない現地のヒューマノイドとして生きている。だが深海棲艦との戦いではその変質した身体に宿した高エネルギーで生成した艤装を実体化させ、多種多様な兵装を駆使して深海棲艦と戦うのだ。
もちろん私も任務を受けている以上彼女達だけに任せっきりではない。いざ戦いとなれば赴くのは私もだ。だが、私の所持している兵装は、深海棲艦に対しては有効ではない。
「毎日朝早くから元気だが、明石の毎朝の健康診断は受けてからちゃんと来ているのか?」
「もちろんよ提督?私の身体をどこをみても変じゃないでしょ」
「確認する」
スキャンバイザー。鎮守府と呼ばれるこの施設に停泊させているスターシップ内の生体コンピューターとマスクのバイザーを直結させて彼女の身体を解析する。
[バイオハザードスキャン終了。ステータス:クリア。艤装展開:オフライン
対象「駆逐艦娘:暁」は正常な生体反応を示しています]
「……どうやら嘘はついていないようだ」
「もう!そんな大げさなことしなくたって暁は大丈夫よ!ぷんすか!」
もし暁が嘘をついていたのならばすかさず医療班を呼びつけて緊急入院をさせていたところだ。彼女達はフェイゾンとの融合体だが、身体そのものへのフェイゾン汚染が見られた場合、嘗ての私のように検査してもらう必要がある。
暗黒海域……すなわちフェイゾンがダークエネルギーに変質した海域では、抵抗能力を持っていない生命体は深刻な悪影響を受ける。
このバリアスーツでさえ急速なエネルギーダウンが発生するのだ。
せめてルミナス族のテクノロジー(プライム2)を引き継げていたならばと私は思う。
惑星エーテルで借り受けていた能力は全て返却済みだ。銀河連邦を通じて当時の協力者であるU-Mosにフェイゾン除去用のライトエネルギー照射装置の提供要望を送って入るものの、復興途中の惑星エーテルにおいてあまり余裕はないのだろう。鎮守府の港に人一人入れるサイズの浄化装置が一つだけあるだけだ。深海棲艦からフェイゾン汚染を浄化させるには欠かせないので、あれ一つだけでも任務はかなり進歩している。
「そうそう、サムス提督!先日ドロップした戦艦陸奥の汚染除去作業が終了したかも。今はドックで自分の艤装の様子を見ているかも!」
「……報告は正確に行うんだ、秋津洲」
「正確かも!簡潔明瞭かも!」
「……」
彼女の口癖についてはこれ以上追求しないこととし、先日海域にてドロップ―――現地の専門用語で『深海棲艦の捕獲』を指す言葉だ―――した戦艦級深海棲艦の報告を受ける。
浄化終了後、整備班に持たせている銀河連邦性ハンドスキャンバイザーから送られたデータに目を通してみる。視線誘導、ログブック起動。
「戦艦陸奥。データ上ではハイスペックを誇る艦娘か」
「今、整備班が艤装にライトエネルギー改修を行っているかも。これで陸奥さんも私達と同じ、深海棲艦のダーク属性に対抗できるかも」
「ライトエネルギーの照射によるダークエネルギーの中和……その結果特定の深海棲艦は艦娘へと戻すことができる……これでまた新たな戦力が追加されたということだ」
彼女の情報に目を通したところで豪勢な椅子から降りる。陸奥の様子を見るためだ。
二人も彼女の様子を見たいと希望したので、隣室の総務班長兼任の艦娘・大淀に留守を伝える。
暁が嬉しそうに先導する中、木製の廊下を歩き続ける中、基地所属の艦娘が次々に挨拶をしてきた。
「サムス提督!おはよーございまーすっ!今日も走り込み、がんばりますよー!」
「グッモーニング、テイトク!今日もオレンジ色のパワードスーツが光ってますネ―!」
「おっ、提督じゃん。今日も物騒な右腕だなァおい。フフ、オレの刀と一度手合わせをしてみないか」
「ちわーっ、提督!サムス提督のお陰でこの鎮守府は百人力だよ―っ!」
次々と声を掛けられる中ほど無くして私はドックに着いた。
現地では既に艤装整備班の兵士が陸奥の艤装を細かく検査しており、その中には整備班に所属している艦娘、明石や夕張の姿もある。秋津洲も彼女達と同じ班である。だからこうして報告に来てくれたというわけだ。
「おはようございます、提督。提督の健康もその様子だと異常ないようですね」
明石が私の身体を一瞥した後に微笑む。
私は頷き、くだんの戦艦娘・陸奥をスキャンしようと促した。
初めてみた彼女の身体は成熟した女性のものだった。外見の年齢換算は恐らく私と同程度だろう。戦艦では取り立てて珍しいケースでもなかった。彼女の情報はここに来るまでにあらかた頭に入れておいたので、話しかける。
「私がここの管理人……臨時だが、提督だ」
「……驚いた。女性とは聞いていたけれど、全身フル装備の人だなんてね」
「例外なくそう言われる」
茶髪のショートヘアの彼女は興味深そうにバリアスーツをまじまじと眺めてきた。その間にログブックに彼女のステータスを記録し、私は午後から計画していた侵攻作戦のデータをバイザーに写す。
……問題ない。彼女には、今日の作戦に出てもらおう。
「単刀直入だが、1400より北方海域全域における決戦でお前が出てもらうこととなった。技量はまだ確認できていないが、ステータス上は問題ないだろう。着任早々悪いが、引き受けてもらえるだろうか」
酷な言葉とは思う。彼女は数時間前まで自分が何者かを理解していない存在だったのに。艦娘としての知識をドロップ時にインストールされたばかりの彼女達を戦いの道具のように扱わなければいけない現状が腹立たしく思った。
「ええ、まかせて。戦艦陸奥、快く出撃させてもらうわ」
それに微塵も反発することもなく。提督である私の言葉に従う彼女達がまるで機械のような反応でいることに、私の拳は気付けば固く握りしめられていた。
同日出港し、翌々日、北方海域現地にて―――
「作戦エリアに入った。これより詳細を下達する」
「「「「「「了解!」」」」」」
私の言葉に口々に答える6人の艦娘。彼女達は私が渾作戦において必要だと選びだした、鎮守府の精鋭とも呼べる存在だ。
各個人をスキャンバイザーでステータス確認を取る。
―――ログブック更新。
[駆逐艦娘・暁改二
軍艦・暁の英霊をその身に宿した艦娘です。
第二次改装を終え、艤装ステータスオンライン。
鎮守府内でいつも背伸びをする発言をすることが多い少女です。
頭部を他者の掌部で極めて軽い衝撃を当てられることを嫌う口ぶりですが、
心拍数の上昇が見られます。虚言の可能性大。
戦闘レベルは駆逐艦娘の中でも高位です]
[駆逐艦娘・ヴェールヌイ
軍艦・響の最終改装時の英霊をその身に宿した艦娘です。
第二次改装を終え、艤装ステータスオンライン。
体内にフェイゾンを検出。軽度の汚染がみられます。
ダークエネルギーへの抵抗力低下の可能性あり。
艤装データは暁の姉妹機ですが、本人の生体データに血縁上の関係は無し。
ですが、暁の親友と呼べる存在です。
普段は口数が少なく、北国の言葉を時折口にしますが、暁と同じ国の出身の少女です。
精神に若干の負担の可能性あり。髪色はその影響で変色したと思われます。
戦闘レベルは暁に迫りますが、砲撃能力より雷撃能力に重みが見られます]
[重巡洋艦娘・摩耶改二
防空巡洋艦への大規模改装に適した艦娘です。
その兵装は、軍艦摩耶の戦闘データが顕著に反映されています。
暁など、駆逐艦娘の姉貴分的存在です。肉体データはティーンエイジャー相当、
健康的な状態です。対空能力に秀でており、サムスのパワービーム以上の
連射力を持つ機銃を装備しています。
戦闘レベルは標準クラス以上ですが、その運用方法は艦隊の支援能力向きです。
同程度の対空能力を有する艦娘を鎮守府に数隻確認]
[戦艦娘・陸奥改
対象は急増の改装を施されています。
戦闘レベルは艦娘の中でも高位に相当します。
スキャニング終了。彼女の戦闘能力は他の艦娘と遜色ない
ポテンシャルを秘めています。しかし戦闘経験値が少なく、技量面に不安が見られます。
心拍数に乱れあり。プレッシャーによって士気の低下が見られます]
[航空戦艦娘・扶桑改二
艤装の原型機に構想されていた改装プランを元に強化改修を受けた艦娘です。
戦闘レベル・最高位。艤装内に多数の小型射出端末の存在を感知しました。
フェイゾン汚染レベルが進行しています。
彼女の艤装は改修の際原因不明の変質作用が発生しており、その影響で通常、
艦娘が射出するライトエネルギーを封入した砲弾に、極めて高いダークエネルギーを検出しました。これはサムスが嘗て装備していたダークビームと同質の特性を備えています。
麻痺させた深海棲艦は、衝撃性の爆発で粉砕することが可能です]
[装甲空母艦娘・翔鶴改二
艦娘の中でも総数が少ない、装甲空母への適性を得た翔鶴です。
コンバート改装が可能な特殊な艤装を装備しています。
軽度の汚染が見られます。艤装内部に扶桑以上の射出体の存在を確認。
戦闘レベルは最高位に位置します。その艤装は中破以上の損傷を受けても
稼働できる信頼性を得ています。空母艦娘は卓越した空間認識能力を有し、
翔鶴もその一人です。思念を射出体に乗せ、適正存在に攻撃します]
皆、今作戦における異常は見られない。しかし、歴戦をくぐり抜けた三人に、暗黒海域による戦闘の影響でフェイゾン汚染が感知されている。特に扶桑は汚染度が著しい。
「いけるのか、扶桑」
「こうして提督も戦陣に望まれておられるのです。私ばかりが妹のようにこの身に嘆いている場合ではございません。汚染を受けているとは言え、艤装の展開に問題はありません、行けます」
彼女達はフェイゾンを艤装内部の制御装置で抑えている。フェイゾン汚染は艤装に強化作用をもたらしてくれるが、その行き着く先は再び深海棲艦へと姿を変える未来だ。
浄化装置があるとは言え、たった一つでは断続的に襲撃する深海棲艦の脅威に間に合わない。この戦いを一刻もはやく終わらせて、彼女達を人間と変わらない存在にすることをサムスは願っていた。
「……むっ」
[リモートスキャン発動!
戦闘レンジ付近に高レベルのエネルギーを感知。マップに表示します]
スーツに連動したコンピューターが警告文を送信した。
私はマスクに備えられている通信機能にアクセスし、戦況オペレーターを務める大淀、香取との回線を開いた。
「今の反応の詳細を頼む、香取」
「北方海域広域に、敵性反応の展開を確認しました。いずれも深海棲艦と思われます」
「艦種は?大淀」
「高脅威の戦艦クラスを多数確認しました。いずれもクラス・フラグシップです。現在のサムス提督のアームキャノンでは……」
「全くだ。彼女達の装甲を貫くには艦娘のライト属性が有効だろう」
私は銀河連邦から万全の装備で挑むように言われていた。だが、私のアームキャノンの内蔵兵装の殆どは、暗黒海域で生まれたダーククリーチャーに有効打たり得ない。
私の装備の殆どはどちらの属性にも属していない、高エネルギー体ばかりだからだ。
せめてPEDスーツによるフェイゾンエネルギーならば、同質であるフェイゾンエネルギー注入で、ダークエネルギー飽和による自己崩壊を誘発させることができるのだが現状無いものは仕方がない。
「作戦を伝える。ブリーフィングにて伝えた侵攻ルート各員警戒を維持して進み、この海域のダークエネルギーを放出している深海棲艦を叩く。戦闘時の囮役は今まで通り私が行う。最深部に到着後、対空迎撃戦終了後、戦艦クラスは各自突貫だ」
作戦開始信号をアームキャノンを操作して鎮守府に送信し、私は背部に装備したグラビティブーストの出力を上げた。水上のホバー装甲を可能にするスーツの機能だ。(プライム2より出典)
私達7人は単縦陣を維持し、血のように赤く染まった暗黒の海を渡り続ける。
元は雪景色に彩られた、ねずみ色の海が広がる寒冷地域だったと聞くが、ここまで汚染が進行しているとは……
通常次元におけるダークエネルギーの半減期は極めて短い。敵の心臓を潰すことでこの海域をもとに戻すことができるだろう。
その時、接近警報をコンバットバイザーの情報から私は受け取った。大淀からの激しい口調が私の耳朶を突く。
「敵艦接近、二時の方向!」
「把握している。各員戦闘状況、排除開始」
アームキャノンオンライン。
私は鋼鉄の右腕を前方に構え、バリアスーツのコンバットモードを起動させた。
艦娘に指示を伝え、私を除いて単縦陣から複縦陣に移行する。
グラビティブースト出力上昇。私は海を駆け、敵の深海棲艦に接敵した。
「はっ!」
アームキャノンから私の生体エネルギーを凝縮したパワービームを射出する。毎秒9発の高エネルギー粒子が敵の装甲を焼く。が、その光は敵装甲内部の肉にまで届いていない。
私は敵性存在の全てを、攻撃を躱しながらスキャンした。すかさず、鎮守府にそのデータを転送する。
「解析が終わりました、サムス提督。彼女達はやはり、高レベルの深海戦艦です」
戦艦ル級flagship、戦艦ル級elite、空母ヲ級elite、軽巡ヘ級flagship、駆逐ロ級flagship、駆逐ハ級elite。
敵の前線部隊の情報を閲覧し、それらを後方6つの艤装へ転送する。
「陸奥、扶桑。お前達の力を見せてやるんだ」
「了解!こっちは何時でもオッケーよ!」
「戦艦扶桑、行きます」
私の指示で勇気付けられたのか、陸奥も意気込んだ調子で答えてくれる。
急増だが、陸奥が装備している試製41cm三連装砲の威力は伊達ではない。私のビームで抜けなかった敵の装甲を、いとも簡単に打ち砕いてくれる。まずは一隻。戦艦ル級elite撃破。
「摩耶。私が敵を妨害する。そのスキに敵性戦闘機の撃墜を行え」
「うぉっし!防空巡洋艦、摩耶!腕の見せ所だ!」
パワービームでは敵の装甲に対して役者不足だ。
ウェイブビームに切り替え、電撃性を帯びたアームキャノンを敵の艦隊に向ける。
「喰らえッ!」
ミサイルアモエネルギー投入。高電圧のムチを形成し、私はそれを駆逐ロ級flagship、駆逐ハ級eliteに繰り出した。薙ぎ払ったエネルギーは有効でなくても、敵艤装の機能不全を誘発させた。このスキに―――!
「翔鶴、アウトレンジ。行けるな」
「了解です提督。目標、敵駆逐クラス!」
予め積載機を発艦させた翔鶴に合図を送り、高電圧を流し込まれて動けない敵二体に攻撃命令を送る。これで敵駆逐クラス撃沈。
「暁、響。仕上げだ。私とともに雷撃距離まで接近後、残る軽巡とフラグシップ戦艦クラスを終わらせよう」
「うん!改装したばかりの新型艤装!暁が見せてあげるんだから!」
「了解、攻撃する……それとサムス提督、今の私はヴェールヌイだ。せめて戦闘中は間違えないでもらいたいかな」
「……そうだったな、済まない。行こう」
黒煙が登り沈んでゆく深海棲艦を一瞥した後、私と二人で敵との距離を詰める。陸奥達も援護してくれたことで、反撃をまともに受けることなく、私達は砲撃戦に移ることができた。
「一人前のレディは、攻めるんだから!」
「この流れ、ハラショー。いいね」
高翌揚した士気の現れだろう。二人は戦場に叫びとともに砲弾を敵に当て続ける。
私もプラズマビームの援護射撃を行い、敵の装甲を融解させて動きを封じた。艦娘のエネルギーが敵エネルギーを中和させて装甲の耐久性を低下させてくれたのだ。
「雷撃戦用意」
「このタイミング、行ける?暁!」
「もう!そうやって私を心配しない!」
艦娘の放った魚雷が射出され、動きを封じ込まれた敵艦への着弾を確認。
「よっし!敵はヘロヘロだぜ!」
「あせらないでください、摩耶さん。トドメをお願いします、扶桑さん!」
「わかりました、翔鶴」
扶桑の艤装の巨大な砲塔に、黒色を湛えた光が集う。砲塔の内部で生成されたダークエネルギーを有した実弾が、かろうじて水上に浮かんでいる戦艦ル級flagshipに着弾すると、その身体は薄い紫色に染まり、凍りついたように身体の動きを止めた。扶桑の艤装からダークエネルギーを浴びたことによるマヒ効果だった。
今なら、強度の衝撃に弱い。
「全艦砲撃!」
各々に猛る叫びをあげ、自らもまたアームキャノンから必殺の一撃を放つ。
敵戦艦は、全身に穴を穿たれて爆散した。ドロップ反応は、無し。前線部隊の壊滅を確認した。
「戦闘状況、終了」
そう、オペレーターに告げると大淀たちはわずかに明るい、安堵した声が溢れていた。各員の異常無し。その事実が、マスクの下の私もまた安心していることを気づかせてくれた。
「提督!大丈夫?」
「私のスーツはバイオ素材だ。少々の攻撃など…」
「そうじゃないさ、暁はサムス提督のことを心配しているんだ。私も、みんなもね」
無用な言葉に淡々と答えようとした私にヴェールが応じてくれる。
背後を見やると、共に戦ってくれた艦娘達が、私に笑顔を向けていた。
「よっ!提督!無事なら無事って、ちゃんと口に出せよな?」
「サムス提督…あなたから教わったアウトレンジの極意、活かすことができました。感謝です」
「提督は私に生きる勇気を与えてくれました。たとえこの力が敵と同じだとしても…私が戦えるのならば、尽くしていくだけです」
「提督、凄いじゃない…!でもそんだけ強いと、艦娘になったばかりとはいえ、私。妬いちゃうな。私もオレンジのスーツ着れば、爆発することもなさそうだしね」
自分が特別な事をしたつもりはない。だが彼女達の声は清涼剤となりえた。いくつもの戦いを超えてきた私に、長らくかけられなかったた言葉だった。
「ありがとう」
無意識に出た言葉で、最大限の想いを伝える。だがまだ気は抜けない。敵はこの海域、北方の極みに潜んでいるのだ。この地球に落ちてきた隕石の中に。異形の侵略者が、フェイゾンをこの惑星に侵食させた元凶が。
「いこう、皆。私たちで打ち破るんだ。メトロイドプライムを」
惑星フェイザより生まれし魔獣。私が倒したダークサムスとなった個体とは別に、この地球で目覚めようとしている敵の名を呟く。
今の私は、一人じゃない。
後に続く六人の戦士と共に、私は隕石の墜落地点海域、彼女達の提督がフェイゾン汚染を受けて連れ去られたインパクトクレーターへ歩みを向けて行った。
(完)
えー某所にて小説動画を投稿しているものです。この度メトロイドプライム3クリアでテンション上がりまくりで、自らを落ち着かせるために書いた一作です。ssなので長くなりすぎないよう地の文を削り、サムスの落ち着いた口調を意識した一人称にしたらなんだか銀河連邦に宛てたレポート内容見たくなってしまいました…!
一応前後篇想定で、全編はコラボ要素を打ち出してみました。好評の声がありましたら随時後編も書いてみたいかも…!
ちなみに後編は出せたら、容赦無しの汚染されまくりのハードな内容にしたいと考えております。それでは。
乙、安定のログブック無双で安心した。
アウトレンジの極意ってヤツはきっとブラストボールで身に付けたんやろね
しかし元ネタが元ネタなだけに注目はされないだろなぁ
このSSまとめへのコメント
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