【ゆるゆり】向日葵「ですのート?」 (168)


~通学路~

向日葵「あら、道端にノートが落ちてますわ」


向日葵「真っ黒の表紙に、題名が・・・」

向日葵「ですのート?」



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向日葵「え、ええっと・・・」

向日葵「落とし主の名前が書いてるかも知れませんから」

向日葵「ちょっと失礼して、中身を・・・」ペラ

向日葵「あら?裏表紙に何か書かれてますわね。このノートのルール?」



向日葵「・・・このノートに名前を書かれた者は」

向日葵「語尾が『ですの』または『ですわ』のお嬢様口調になる・・・?」

向日葵「・・・何ですのこれ」



~教室~

櫻子「あれ~?おかしいなぁ・・・」ゴソゴソ

あかり「どうしたの櫻子ちゃん?」

ちなつ「何か探しもの?」



櫻子「うん。昨日懐かしいもん見つけてさー」

櫻子「みんなに見せようと思ってカバンの中に入れておいたんだけど・・・あれ~?」

向日葵「・・・」



向日葵(全く、バカバカしいノートを拾ったものですわ)

向日葵(・・・櫻子の名前を書いたらお嬢様口調になったりするのかしら?)

向日葵(・・・)



向日葵(ちょっと試して見ましょうか)フフ

カリカリ・・・


      大室櫻子






櫻子「・・・やっぱり、家に忘れて来たのかも知れませんわ」

向日葵「!?」

あかり「え?」

ちなつ「さ、桜子ちゃんどうしたの?」

さくひまだけでやっとけ
つまんねー

須賀京太郎様に処女膜捧げるAA張ると死ぬ



櫻子「え?何がですの?」

あかり「く、口調が急に・・・」

ちなつ「お嬢さま・・・?」

向日葵(ま、まさか・・・)



櫻子「え・・・?お二人とも、変な冗談言ってはいけませんわ」

あかり「わぁ、いつもと雰囲気変わるねー」

ちなつ「櫻子ちゃん、何だかかわいい」

向日葵(このノート、本物?)



櫻子「もう、一体何の事ですの」

あかり「もしかして、向日葵ちゃんのが移っちゃったのかな?」

ちなつ「そうか、いつも一緒だもんねー」

向日葵(え、ええっと、元に戻す方法は・・・)

向日葵(消しゴムで名前を消せば直るかしら?)ケシケシ



櫻子「・・・まったく、二人とも何なのさー。からかうのはやめてよー」

あかり「あれ?もうやめちゃうの?」

ちなつ「せっかく、かわいかったのにー」

向日葵(・・・)



~授業中~

先生「えー、で、あるからして・・・」

向日葵(・・・)



向日葵(さっきのは、たまたま櫻子がふざけてただけかも知れませんわね)

向日葵(このノートが、本物だという事を確かめるには・・・)



先生「じゃあ、この問題を・・・赤座」

あかり「はい」

向日葵(・・・)



向日葵(・・・)

カリカリ・・・


      赤座あかり






先生「・・・平安時代、紫式部によって書かれた物語を何物語という?」

あかり「えーと・・・。源氏物語ですわ」

ちなつ「・・・え?」

櫻子「あ、あかりちゃん?」

向日葵(・・・)



先生「何だ、どうしたんだ赤座?」

あかり「え?何がですの?」



先生「急にお嬢様みたいになって」

先生「もしかして、紫式部のマネかー?」

クラスメイト「アハハハ・・・」

あかり「え?え?」



ちなつ「全然似合ってないよ、あかりちゃん」

櫻子「それじゃむしろ向日葵のマネじゃーん」

あかり「何のことですの?」


向日葵(・・・これではっきりしましたわ)ケシケシ



向日葵(やはり、このノートは本物・・・)

向日葵(これを使えば、私は世界の支配者に・・・)













~自宅~

向日葵「なれるワケがありませんわね」

向日葵「人をお嬢様口調にしたからと言って、だから何だと言うんですの」

向日葵「本当に下らないノートですわ」


向日葵「さーて、そんな事より宿題宿題・・・」

向日葵「片付けちゃいましょう」

面白い


カリカリ・・・

向日葵(・・・)



向日葵(・・・あのノートに名前を書かれれば、お嬢様口調になって)

向日葵(なおかつ、その事に本人は違和感を感じないようですわね・・・)

向日葵(いつもうるさい櫻子をお嬢様口調のままにしたら、少しはマシになるかしら?)



向日葵(・・・なんて、それは流石にかわいそうですわね)フフ

向日葵(他に、何か使い道は・・・?)

向日葵(・・・)



向日葵(・・・例えば、気に入らない子の名前をノートに書いたままにしておけば)

向日葵(その子は、一生お嬢様口調に・・・)

向日葵(・・・考えようによっては、恐ろしいですわね)



向日葵(しかも、本人はいたって普通に話してるつもりですから)

向日葵(異変には気付かないんですよね)

向日葵(・・・)



向日葵(もし、こっそり使われたなら、そのままずっと・・・)

向日葵(・・・)

向日葵(・・・なんて)

向日葵(そんな事をするメリットなんて考えても何もありませんわね)



向日葵「・・・はぁ、ダメですわ」

向日葵「全然宿題がはかどらない・・・」

向日葵「いけませんわね。集中、集中・・・」カリカリ



向日葵(・・・)

向日葵(それにしても)

向日葵(ですのートを使った時の、みなさんの反応・・・)


~回想~


あかり「もしかして、向日葵ちゃんのが移っちゃったのかな?」


櫻子「むしろ向日葵のマネじゃーん」

―――
――



向日葵(・・・)

向日葵(腑に落ちないですわ)


向日葵(私って、普段あんな口調で話してますかしら・・・?)



向日葵(・・・まさか)

向日葵(私は、気付かないうちにすでに誰かにですのートを使われていたり・・・?)



向日葵(・・・)

向日葵(・・・なんて)

向日葵(ありえませんわ)



向日葵(さっき考えた通りに、そんな事をするメリットなんて何もありませんもの)

向日葵(意味のないただの嫌がらせというならともかく・・・)



向日葵(・・・それに)

向日葵(あのノートは使用された痕跡はありませんでしたわ)

向日葵(ノートが複数あるというなら、話は別ですけれど・・・)

向日葵(・・・)



向日葵(・・・もし)

向日葵(このノートに、ルールに書かれていない効果があったとしたら・・・?)



向日葵(例えば、名前を記入された者は記入した人に絶対服従してしまうとか)

向日葵(それなら、記入するメリットはありますわね)

向日葵(それとも、他に何か・・・?)

面白い
続き期待



向日葵(・・・)

向日葵(まぁ、ノートにどんな効果があるにしても・・・)

向日葵(私にですのートが使われてるのかどうか)

向日葵(簡単に確かめる方法はありますわ)


~リビング~


向日葵「楓、楓?」

楓「ん?なあにお姉ちゃん?」

向日葵「ちょっと、お姉ちゃんの真似してみてくれないかしら?」

楓「え?」



向日葵(これで・・・私が普段無意識にお嬢様口調でしゃべっているのかどうか)

向日葵(確認できますわ・・・)



楓「急にどうしたの?」

向日葵「いえ、楓から見たらお姉ちゃんはどんな風に見えてるのかなと思いまして」

楓「変なお姉ちゃん」

向日葵「お願いしますわ。いつも一緒にいるから簡単でしょ?」

楓「うん」



楓「うーんと・・・まず胸がボヨンボヨーン」

向日葵「うん・・・。まずそこなんですのね」

楓「それから・・・。はぁ、嫌ですわ。また胸が大きくなったみたい」

向日葵「そ、そんな事言ってたかしら」



楓「困りましたわ。また櫻子にからかわれちゃう」

楓「櫻子は自分が胸がないものですから、何かといえば私に当り散らして・・・」

楓「胸も人間性も、小学校の頃からちょっとも成長してませんわ」


向日葵「け、結構ひどい事言ってますのね私」



楓「・・・櫻子!」

向日葵「ひっ!?」

楓「サボってばっかりいないで、少しは宿題やったらどうなんですの?」

楓「いつまでたっても、グータラグータラ・・・」

向日葵「わ、わかりましたわ楓。ありがとうございます」



向日葵(これで、はっきりしましたわ)

向日葵(私は、誰かにですのートを使われている・・・)

向日葵(誰が・・・?一体何のために?)



向日葵(・・・それと)

向日葵(ちょっとだけ、櫻子に対して口調を優しくしないといけませんね・・・;)

―――
――


面白くなってきたなあ

犯人はなもr……

ちょっと展開に詰って続きはもう少しかかるかも
オチは決まってるんですけどね

名前入れ忘れた

期待してる
待つよ


~翌日、教室~


あかり「おはよー」

ちなつ「おはよう、みんな」

櫻子「おっはよー」

向日葵「皆さん、おはようございます」



櫻子「ねーねー、そう言えば昨日テレビ見たー?」

あかり「テレビ?」

ちなつ「何の?」



櫻子「世界・ブキミ発見!」

あかり「あー、見た見たー」

ちなつ「毎回、ちょっと怖い話ばっかりだよねーあの番組」

向日葵「どんな話をやってましたの?」



櫻子「なんだ、向日葵は見てないのか。昨日は寄生虫の話だったよ」

向日葵「え、き、寄生虫?」

ちなつ「そうだよー」

あかり「気持ち悪かったよねー」



櫻子「そん中でも、カタツムリに寄生するレウ何とかってやつ凄かったね」

あかり「あ、そうそう。レウコ何とか、気持ち悪かったー」

ちなつ「そう?私、けっこう可愛いと思ったけど。レウコ何とか」

向日葵「何ですの?そのレウコ何とかっていうのは」



櫻子「カタツムリに寄生してさ、目をイモ虫みたくしちゃうんだよ」

あかり「そうそう。それがグニョグニョーって動くんだよね。本物みたいに」

ちなつ「綺麗だったよねー、あれ」

向日葵「そ、そうなんですの」



櫻子「そんでさ、それに寄生されたカタツムリってさ」

櫻子「なぜか、高い所に登っちゃうんだって」

あかり「鳥に食べられやすいように、知らない間に操られちゃうんだってねー」

ちなつ「すごいよね、レウコ何とか」

向日葵「お、恐ろしいですわね・・・」



向日葵(気付かない間に、自分を変えられてしまうなんて・・・)

向日葵(まるで、例のノートみたいですわね)

向日葵(それにしても、知らない間に行動まで操られてしまうなんて・・・?)

向日葵(・・・)



ちなつ「私、あのカタツムリ飼ってみたいなー」

櫻子「うえぇー?ちなつちゃん、本当にー?」

あかり「さ、さすがちなつちゃんだね・・・」

向日葵(・・・)



向日葵(もしかして、あのノートには人の行動を操る効果があるのかも知れませんわね)

向日葵(それなら、色々と辻褄が合いますわ)

向日葵(私にですのートを使ったのは、ただの嫌がらせというわけではなく)

向日葵(私の行動を、操るため・・・?)

櫻子「・・・まわり、向日葵?」



向日葵「はっ?な、何、櫻子?」

櫻子「ほら先生来たよ、授業始まるよ?」

向日葵「あ、あら本当、教科書教科書・・・」

―――
――

来てた
おつおつ


~夜、向日葵の自宅~


向日葵「ふぅ、今日1日、何だかですのートの事が気になって」

向日葵「授業も生徒会も集中できませんでしたわ」

向日葵「・・・さて、問題のですのートについてですけれど」

向日葵「もし、私の推察が当たっているのなら」

向日葵「このノートは、人を思い通りに操る効果があるのかも知れない・・・」



向日葵「そして、その推察が当たっていれば」

向日葵「私の行動は、誰かに操られている・・・」

向日葵「・・・」

向日葵「ごめんなさいね楓。少し、試させてもらいますわ」


カリカリ・・・




    古谷楓 姉の部屋にジュースを持ってくる







向日葵「・・・」


ガチャ

楓「お姉ちゃん?」

向日葵「あら楓。どうしたの?」

楓「お姉ちゃんに、ジュースを持って来ましたの」

向日葵「え?私に?」

楓「そうですの」



楓「それじゃ、失礼しますわ」

向日葵「ええ、ありがとう楓」

ガチャ



向日葵「・・・本当に、書かれた通りに行動しましたわね。口調もお嬢様でしたし」

向日葵「つまり、このノートは・・・」


ガチャ

楓「お姉ちゃん?」



向日葵「あ、あら楓?今度はどうしたの?」

楓「お姉ちゃんに、ジュースを持って来ましたの」

向日葵「また・・・?」



楓「もしかして、要りませんでした?」

向日葵「い、いえいえ。そんな事ありませんわ」

楓「良かったですわ。それじゃあ失礼しますね」

向日葵「え、ええありがとう、楓」

ガチャ


向日葵「消しておかないといけませんわね・・・:」ケシケシ



向日葵「・・・さて、これではっきりしましたわ」

向日葵「このノートは、ただ人をお嬢様口調にするだけではなく」

向日葵「ノートに書いた内容通りの行動を取らせる・・・」

向日葵「そして、私はそのノートの影響下にあって」

向日葵「誰かに、行動を操られている・・・」

向日葵「・・・」



向日葵「問題は、私が操られてどんな行動を取らされているかですわね」

向日葵「一体、私は何をさせられてますの・・・?」

向日葵「・・・」



向日葵「・・・普段の行動を思い返して見ても、特に心当たりはありませんわね」

向日葵「ノートに書かれた内容は、消されない限りくり返すみたいですから」

向日葵「私がいつもくり返してる事と言えば、櫻子とのケンカくらいですし」クス

向日葵「まぁ、冗談はさておいて」



向日葵「私が行動を操られてるのだとしても」

向日葵「今の所、特に生活に支障があるわけではないみたいですから」

向日葵「その事については後回しにしましょう」



向日葵「それより、私にデスノートを使った犯人は誰かしら・・・?」

向日葵「全くの赤の他人が、面白半分に私に使った・・・?」

向日葵「・・・いいえ、それはあり得ませんわ」

向日葵「赤の他人なら、私の名前を知りようもないはず」

向日葵「ノートに名前すら書けませんわ」



向日葵「となると、犯人は私の顔見知りの可能性が高い・・・」

向日葵「それも、恐らく小学校かそれ以下の頃の」

向日葵「小学校の低学年の頃なら、私が急にお嬢様口調になったとしても・・・」

向日葵「子供がふざけてると思われて、スルーされても不思議じゃありませんわね」



向日葵「それに、私の記憶を辿ってみても」

向日葵「周りから、急にお嬢さま口調になって心配された記憶がありませんわ」

向日葵「つまり、小学校低学年以下の頃に使われた可能性が高い・・・」



向日葵「小学校の頃の、私の知り合い・・・」

向日葵「そして、私にこんなイタズラをしそうな人物と言えば」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・何だか、約一名頭に浮かんでくる人物が」



向日葵「櫻子。まさか、櫻子が・・・?」

向日葵「いえ、そんな事って・・・」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・けれど、可能性は高そうですわね」



向日葵「そもそも、私の知らない人が私にノートを使った可能性は低いですし」

向日葵「私の親が使ったのだとしたら、理由の説明くらいはありそうですわ」

向日葵「まぁ、確認する方法はありますけれどそっちは後回しで」

向日葵「・・・それに、思い返せばノートを拾った日」


~回想~


櫻子「あれ~?おかしいなぁ・・・」ゴソゴソ

あかり「どうしたの櫻子ちゃん?」

ちなつ「何か探しもの?」


櫻子「うん。昨日懐かしいもん見つけてさー」

櫻子「みんなに見せようと思ってカバンの中に入れておいたんだけど・・・あれ~?」

―――
――



向日葵「あの時櫻子は、何か『懐かしいもの』を」

向日葵「みんなに見せようとしていた」

向日葵「そして、カバンの中に入れておいたのに」

向日葵「見つからなかった・・・」



向日葵「・・・これはつまり」

向日葵「小さい子供の頃に拾うか何かしたこのノートを、みんなに見せようとして」

向日葵「けどオッチョコチョイですから、学校に行く途中で落っことして」

向日葵「それを、たまたま私が拾った・・・」



向日葵「・・・」

向日葵「ちょっと、出来過ぎかしら」



向日葵「それに、もしそうだとすると少々辻褄の合わない点が・・・」

向日葵「ノートを使った本人の前で、それを見せようとするかしら?」

向日葵「しかもこのノートには誰の名前も書かれていませんでしたわね」



向日葵「・・・まぁともかく、櫻子を調べてみる価値はありそうですわ」

向日葵「今日はもう遅いですから、明日にでも・・・」

―――
――


~翌日、教室~


櫻子「・・・そんでさー、ペットボトルにめんつゆ入れて置いといたらさー」

櫻子「知らないで飲んじゃった姉ちゃんにめっちゃ怒られてさー」

あかり「それは櫻子ちゃんが悪いよー」

ちなつ「それは怒られても仕方ないよね」

向日葵「・・・」



向日葵(・・・櫻子。もしかして、櫻子が私にですのートを・・・?)

向日葵(一体、何の目的があって・・・?)



櫻子「ほかに入れるものなかったからちょっと入れといただけなのに」

櫻子「確認しないで飲んじゃう姉ちゃんが悪いんだよ。ねぇ、向日葵?」

向日葵「・・・」



櫻子「向日葵?」

向日葵「え?あ、え、ええ、そうですわね」



櫻子「でしょー?コーラのペットボトルにめんつゆ入れて置いておくなーってさ」

あかり「それじゃあ間違えても仕方ないよー」

ちなつ「そもそも、なんでコーラのペットボトルにめんつゆなんて入れてたのよ」

向日葵「・・・」



向日葵(出来れば、カン違いであって欲しいですわ)

向日葵(何か、理由があって私に使ったのだとしたら)

向日葵(それを知るのが、怖い・・・)

櫻子「向日葵、向日葵?」



向日葵「はっ・・・。な、何ですの?」

櫻子「どうしたの?ボーッとして」

向日葵「あ、い、いえ、何でもないですわ」



向日葵「・・・それより櫻子」

櫻子「ん?」

向日葵「今日、学校が終わったら家に寄ってくれませんかしら?」

櫻子「え?向日葵ん家に?まぁ、別にいいけど」



向日葵「宿題ちゃんとやってるか、見てあげませんとね」

櫻子「ええー?見てもらわなくてもいいよー」

あかり「いいじゃない、櫻子ちゃん」

ちなつ「宿題見てもらえるなんて、ありがたい事だよ?」

―――
――


~夕方、向日葵の部屋~


櫻子「ねぇ向日葵ー、折角来たんだからお菓子とか出ないのー?」

向日葵「全く、家に着くなりそれですか」

櫻子「チョコレートとかがいいー」

向日葵「はいはい。何かないか探して来ますわ」

ガチャ



向日葵(・・・)

向日葵(さて、このノートで・・・)

向日葵(・・・)



向日葵(本当に、いいんですのね?)

向日葵(もし、本当に櫻子が私にですのートを使っていたのなら)

向日葵(そして、それが何かとんでもない理由からだったなら)

向日葵(私は、今まで通り櫻子と接せますかしら・・・)

向日葵(・・・)



向日葵(いっそ、真実なんて知らないで、このままの方が・・・)

向日葵(・・・)



向日葵(いえ、それはいけませんわ)

向日葵(やっぱり、物事ははっきりさせるべきですわね)

向日葵(ああ、けどどうか櫻子が犯人じゃありませんように・・・)


カリカリ・・・


        大室櫻子

        どんな質問にも正直に答える

        忘れなさいと言われたら

        質問された事自体を忘れる

対象が死なないで効果が半永久的に続くならある意味デスノートより有能かも


ガチャ

向日葵「お待たせしました。クッキーがありましたわ」

櫻子「遅いですわー、何してたんですの」

向日葵「ついでですから紅茶も入れてましたの」

櫻子「あら気が利くじゃありませんの。向日葵にしては」

向日葵(口調が変わっても、中身はそのままですわね;)



櫻子「んー、クッキーんめぇ!ですわ」

向日葵「・・・」



向日葵「・・・ところで、櫻子」

櫻子「ん?」

向日葵「櫻子は、ですのートって知ってます?」

櫻子「ですのート?」

櫻子「ええ。知ってますわ」



櫻子「名前を書かれた人が、お嬢様みたいな口調になるノートですの」

向日葵(・・・)

向日葵(それを知っている、という事は・・・)



向日葵(やっぱり、櫻子。櫻子でしたのね・・・)

櫻子「どうして、向日葵がですのートの事知ってますの?」

向日葵「・・・いえ、それより聞きたいことがありますの。よろしいですか?」

櫻子「ええ」



向日葵「まず、櫻子はですのートをどこで手に入れたんですの?」

櫻子「小さいころ、道端に落ちてたのを拾ったんですの」

向日葵「そうだったんですの・・・」

向日葵「・・・それじゃ、次の質問ですけれど」



向日葵「それを学校に持って行って、みんなに見せようとして無くしました?」

櫻子「ええ。どうしてそれを知ってますの?」

向日葵(ここは予想通りでしたわね)



向日葵「それじゃあ・・・」

向日葵「櫻子。櫻子はですのートに、私の名前を書きましたか?」

櫻子「ええ」

櫻子「書きましたわ」



向日葵(・・・)

向日葵(やっぱり、そうだったんですのね)

向日葵(・・・では、聞くのは怖いですけれど)

向日葵(いよいよ核心の質問ですわ)



向日葵「・・・櫻子」

向日葵「ですのートに、私の名前を書いた目的は?」

櫻子「・・・」



向日葵「・・・?」

向日葵「どうしました?質問に答えなさいな」

櫻子「・・・」



向日葵(質問に、答えない・・・?)

向日葵(どういう事ですの?)

向日葵(まさか、何の目的もなくただ名前を書いただけ・・・?)

櫻子「聞きたい事はあとはありませんの?」

向日葵「あ、いえ、まだですわ」



向日葵「もしかして・・・」

向日葵「櫻子は、ですのートに人を操る効果がある事を知らない?」

櫻子「え?知りませんでしたわ」

櫻子「ですのートに、そんな効果があったんですの?」



向日葵(・・・知らなかったんですのね)

向日葵(考えてみれば、私がノートの効果を知ったのも偶然みたいなものですし)

向日葵(小さい頃の櫻子なら、なおさら気がつかなくても不思議じゃありませんわ)

向日葵(変な意図は、なかったんですのね・・・。ホッとしましたわ・・・)

櫻子「向日葵?どうしたんですの?」

向日葵「あ、いいえ何でも」



向日葵「・・・それじゃ、次の質問ですわ。持っていたですのートは1冊きりですの?」

櫻子「ええ、そうですわ」

向日葵(・・・)



向日葵(おかしいですわね。このノートには、誰の名前も書かれてませんでしたわ)

向日葵(櫻子が知らないだけで、実はノートは2冊ある・・・?)

櫻子「向日葵、向日葵?」

向日葵「な、何ですの?」



櫻子「食べないなら、クッキー全部貰っていいですか?」

向日葵「あ、え、ええ、いいですわ」



櫻子「やった!じゃあ、遠慮なくいただきますわ」

向日葵(謎が増えましたわね)

向日葵(このノートには、私の名前はおろか誰の名前も・・・)

向日葵(誰か、他にもノートを持ってる人がいる?)



櫻子「んー、甘くっておいしー!ですわ」

向日葵(櫻子は、ノートはこれ1冊きりと言ってましたし)

向日葵(他に持ってる人がいるかどうか、櫻子が知ってはいませんよね)

向日葵(うーん、櫻子に何て質問をすれば謎か解けるかしら・・・?)



櫻子「ん?難しい顔してどうしたんですの?」

向日葵「あ、いえ、何でもありませんわ」



向日葵(・・・まぁともかく、ですのートを悪い目的で使ったわけではないみたいですから)

向日葵(一安心ですわね)

向日葵(それがわかっただけでも今は良しとしましょうか)



向日葵「・・・さて、櫻子」

櫻子「ん?何ですの?」

向日葵「今までされた質問を忘れなさい」

櫻子「わかりましたわ」



向日葵「・・・」

櫻子「・・・」

向日葵「質問された内容、覚えてます?」

櫻子「え?何のことですの?」

向日葵「いえ、何でもありませんわ」ケシケシ



向日葵「・・・さて、おやつも食べ終わったみたいですし」

向日葵「宿題やりましょうか」

櫻子「ええー?やっぱやんのー?」

―――
――

さくらこかわいい


~その日の夜~


向日葵「ふぅ、ひとまず安心・・・といきたい所ですけれど」

向日葵「本当にそうかしら・・・?」

向日葵「また、新たな謎が現れましたわね」



向日葵「このノートは、名前を書かれないと効果が発揮されませんのに」

向日葵「誰の名前も書かれていなかった」

向日葵「にも係わらず、私にはノートの効果が現れている」

向日葵「そうなると、誰か他に所有者がいる・・・?」



向日葵「うーん・・・。それは可能性が低そうですわね」

向日葵「思い返しても、私の周りでお嬢様口調で話してる人は見かけた事ありませんし」

向日葵「イタズラが目的なら、もっと私の周りに私みたいな人がいてもいいはず」

向日葵「そうではないという事は」



向日葵「私だけにノートを使ったという事になりますけれど」

向日葵「それだとちょっと意図が理解できませんわね・・・」

向日葵「やっぱり、ノートは1冊きりで櫻子が私に使ったと考えるのが妥当ですわね」



向日葵「なのに、ノートには誰の名前も書かれていなかった」

向日葵「これは、つまり・・・」

向日葵「・・・」



向日葵「・・・」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・」



向日葵「・・・ふぅ、お手上げですわ」

向日葵「考えても、見当がつきません」

向日葵「もしかしたら、このノートにはまだ私の知らない効果が・・・?」

向日葵「・・・」



向日葵「・・・」

向日葵「よーく、このノートを見てみたら」

向日葵「ページが、破り取られた跡が・・・」



向日葵「もしかして、櫻子が私の名前が書かれたページを破り取った?」

向日葵「どういう事ですの?」

向日葵「見られたら、まずい事でも書かれていた・・・?」



向日葵「・・・そうかも知れませんわね」

向日葵「櫻子は、ノートをみんなに見せびらかそうとしてましたし」

向日葵「見られたらまずいものを隠そうとして、ページを破り取った」

向日葵「単に消さなかったのは、私を操る効果が無くなるから・・・?」



向日葵「・・・いえ、それは有り得ませんわ」

向日葵「櫻子は、ですのートが人を操る効果のある事を知らなかった」

向日葵「消さずにそのままにしておく理由がわかりませんわね・・・」

向日葵「・・・櫻子。櫻子は、一体ノートに何て書いてたんですの・・・?」



向日葵「まぁ、明日にでもですのートを使ってまた聞き出して・・・」

向日葵「・・・いえ。それよりも」

向日葵「いい方法がありますわ」



向日葵「・・・」シャッシャッ・・・

向日葵「こうやって、エンピツでノートをうっすらとなぞれば」

向日葵「以前に書かれた文字が、浮かび上がって・・・」シャッシャッ・・・





古谷




向日葵「この字、間違いなく小さい頃の櫻子のものですわね」シャッシャッ・・・





古谷向日葵ちゃんと




向日葵「私と・・・?」






古谷向日葵ちゃんと、ずっと仲良く過ごせますように





向日葵「・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

櫻子「あー、懐かしいもんめっけー」

櫻子「ちっちゃい頃に拾った、変なノート!」

櫻子「名前書かれた人が、お嬢様口調になっちゃうんだよねー」

櫻子「向日葵の名前書いたら、本当にお嬢様口調になっちゃったんだよなぁ」



櫻子「明日、みんなに見せよっと」

櫻子「・・・それにしても、昔の私はアホだなぁ」

櫻子「向日葵とずっと仲良く過ごせますようにーだって。何書いてんの。恥かしいなぁ」

櫻子「今は向日葵なんかどーだっていいし」



櫻子「さーて、見られたら恥かしいからケシゴムで消して・・・」

櫻子「・・・」

櫻子「や、やっぱり何か勿体無いから残しておこっと」

櫻子「向日葵が元通りになっても面白くないし」

櫻子「そうだ、ページを破って取っとけばいいんだ。私って天才!」

―――
――

おお


~翌日、向日葵の家の庭~


向日葵(・・・おおかた、こんな所でしょうけれど)パチ・・・パチ・・・

向日葵(全く、櫻子には呆れましたわ)

向日葵(私の前でですのートを見せたら、いくらページを破ってあっても)

向日葵(ノートに私の名前を書いたのがバレるでしょうに)

向日葵(そこまで頭が回りませんでしたのね)



櫻子「あれー?向日葵、何庭で焚き火なんてしてるの?」

向日葵「あ、いえ別に。古いプリントとかノートを処分してましたの」

櫻子「ふーん・・・?」



向日葵(・・・このノートは、危険過ぎますわ)

向日葵「持ってたら、つい誘惑に負けて使ってしまうかも知れませんし)

向日葵(それに誰かの手に渡ったら、どんな使われ方をするかわかりませんから)

向日葵(こうやって、燃やしてしまうのが一番・・・)



櫻子「じゃさ、折角だから焼き芋やろーよ!」

向日葵「・・・全く、本当に。櫻子は食べる事ばっかりですわね」

櫻子「なーんだよー。いいじゃん別に」

向日葵「大体、芋なんてありませんわよ?」

櫻子「じゃあ、今から買いに行こうよ!」



櫻子「私、今お金ないし向日葵のオゴリでー」

向日葵「・・・櫻子」

櫻子「な、何だよ?文句あるって言うの?」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・フフッ」



向日葵「仕方ありませんわね。特別ですわよ?」

櫻子「向日葵、さっすがー!それでこそ私の下僕!」

向日葵「誰が下僕ですの」



向日葵(・・・あのノートに書かれてた言葉)

向日葵(私と、ずっと仲良く過ごせますように・・・か)

向日葵(櫻子と来たら、本当に・・・)フフ



向日葵「さてと。それじゃあ出かけましょうか」

櫻子「・・・何か向日葵、今日は妙に機嫌良くない?」

向日葵「え?そうかしら?」

櫻子「あー、さては何かいい事あったんだろー」

向日葵「さーて、どうでしょう」



向日葵(もしかして、私はその言葉の影響下にあるのかも知れませんわね)

向日葵(・・・いえ、それはないですわ)

向日葵(あのノートには誰と、とは特に書かれていませんでしたから)

向日葵(・・・けど)



櫻子「何があったのか教えろ向日葵ー」

向日葵「何にもありませんわ。さて、行きますわよ」

櫻子「あ、待ってよ向日葵ー」



向日葵(私も)

向日葵(櫻子と、ずっと仲良く過ごせますように)


終わり

以上になります
完結まで、結構な時間がかかってしまいました・・・
読んでくれた方、コメントくれた方ありがとうございました

乙面白かった
また書いてくれると嬉しい

オチが弱いような気がするが緩い方がらしいかな
向日葵はよいこ
おつでした

おつおつ

おつ

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