【君の名は。】ムスビ。【SS】 (9)
君の名は。を観て衝動的に書きました。
少なくとも映画を鑑賞済みであることが前提となります。
超短編、駄文、原作知識浅め、もしかしたら矛盾ありかもでございます。
それでも良いという方のみ、お付き合い下さい。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1473588210
「「あの、君の名前は…!」」
初めて会ったはずのその人に、何故か俺は懐かしさを感じていた。綺麗な黒髪に、それを結い上げる組紐。ずっと、何年も探していた誰かに会えたと思った。だからだろうか、俺は無意識の内に涙していた。
「私…宮水三葉といいます…」
宮水三葉。その名前を聞いた瞬間、俺は全てを思い出した。記憶から失われていたあの頃の全てを。
「三葉…!三葉!」
「えっ…?」
「俺だ、立花瀧だよ!覚えてるだろ?」
「立花…瀧くん…!」
「そうだ三葉!俺は全部思い出した!お前のことも…あの町のことも!」
三葉の表情が一気に明るくなる。あの日、山の上で見たのと同じ笑顔だ。
「私も思い出したよ…!私、ずっと瀧くんのことを探してたんだね…!」
「三葉…!」
5年の空白を経て、ようやく俺たちは再会した。
あの再会から何度か季節が変わり、俺と三葉は恋人になった。何度もデートを重ねて、そのうち同棲が始まった。今日は俺たち2人にとって大切な日…10月4日だ。
「な、なあ三葉…?」
「ん、なに?」
「ちょっと話があるんだけど…」
「…!」
あぁ、三葉のこの表情…
気づかれてしまったようだ。俺が後ろ手でリングケースを握っている事と、俺がこれからしようとしている事に。
「な、なに…?」
一応、気づいていないフリはしてくれるんだな…。よし、腹を決める時だ!
「お、俺と…結婚して下さい!」
沈黙。もしかして…断わられる?
「…はい、よろしくお願いします」
三葉はあの笑顔でそう言った。
「三葉…!ありがとう!2人で幸せになろうな!」
「うん…」
「はぁぁ、緊張した…」
「ねえ、今日にしたのはわざとなの…?」
「え、あぁ…うん。俺らの大切な日だろ…?」
「私にとっては故郷が無くなった日でもあるのに…?」
やっちまった。そんなこと、全く考えてなかった。
「あ…ごめん…」
「まったく…」
結婚が決まって数十秒で、いきなり重苦しい空気になってしまった。完全に俺のミスだ。
「…許さないから」
「え…」
「幸せにしなかったら許さないって言ってるの!このバカっ!」
「三葉…」
俺は死ぬまで三葉の幸せを追求しなきゃいけない、とても厄介なムスビを自ら選んでしまったようだ。
でも、それも悪くないかな…
春。小さな女の子は歩く。
大きなランドセルの上で、母に結ってもらった黒髪をなびかせながら。
これから生まれて初めての学校なのだ。
「楽しみだなぁ…」
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全員が揃っても、教室は静かだった。いくら小学一年と言えど、やはり初日は緊張するものだ。
「あっ…」
緊張からか、女の子はランドセルに付けていたストラップを落としてしまった。赤い組紐が綺麗で、彼女のお気に入りのものだった。
「はい、これ落としたよ」
隣の席の男の子がそれを拾ってくれた。坊主頭の活発そうな子だった。
「ありがとう…!」
「いいのいいの、これからよろしくね!」
「うん!」
「あ、名前まだだったね!俺、勅使河原って言うんだ、珍しいでしょ!」
「うん、てしがわらなんて初めて聞いた…!」
「へへっ、それで…君の名前は?」
女の子の両親は人の名前を尊ぶ人で、何度もわが子に『自分と人の名前は大切にしなさい』と教えていた。
だから、女の子はとびきりの笑顔で名乗る。
「私、立花五葉…!よろしくね!」
おしまい。
君の名は今日見てきたばっかだから超胸熱だったありがとう。
君の名は今日見てきたばっかだから超胸熱だったありがとう。
ち ちがう これはただのビタミン剤じゃ……
ギ、ギ、ギ…
コメントありがとうございます。
もう1本くらい君の名は。でSSを書くつもりなので、是非読んで下さい。
このSSまとめへのコメント
ラ!の凛と俺くんで書いてた人か