西住みほ「三国志です!」2 (39)
時は漢の建安5年。
中原を制した乱世の姦雄、地吹雪のカチューシャの野望を阻むために戦う義の将、角谷杏。彼女に仕官した『臥龍』西住みほは、初陣で四倍の敵を破る大勝利を収め、諸将からの信頼を勝ち取ったのでした。
『ぞろぞろ作戦です!』
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――カチューシャ軍本拠地・許昌――
ワー! ワー! カチューシャ、ウラー!
ノンナ「さすがに、20万の大軍ともなると壮観ですね」
クラーラ「ええ。兵站を維持する身としてはたまったものではありませんが」
ノンナ「そのような苦労も、これで最後です」
クラーラ「ふふっ。そうだといいのですけれど」
カチューシャ「親愛なる同志諸君! 諸君らの働きで北方の異民族は平定されたわ!残す敵は江東、荊州のみよ! 今こそ、カチューシャに逆らう愚か者たちを粛清するための最後の戦い、南方征伐を開始することを宣言するわ!ウラー!」
ノンナ・クラーラ・カチューシャ兵「ウラー!」
――大洗軍駐屯地・新野城――
桃「……その情報に、間違いはないのか」
みほ「はい。……確かな情報です」
杏「ヤバいとは聞いていたけど、まっさかあのおケイが、このタイミングでぽっくりと死んじゃうとはね」
みほ「はい……」
杏「そのうえ跡継ぎの大野ちゃんは、外戚のアリサの傀儡状態、そんでアリサは降伏派、ときた」
柚子「最悪の場合、わが軍以外の荊州が丸々降伏してしまうということですね……」
杏「まっ、今はそんな心配をしても仕方ないか!まずは目の前のカチューシャ軍を迎え撃つ備えをしないとね」
みほ「は、はい!すでに作戦はある程度考えてあります!」
桃「そうか。……では、我々は兵の訓練へ戻るとしよう。会長、失礼します」
杏「んじゃね~」
みほ「…………」
杏「さて、西住ちゃん。話っていったい何さ?」
みほ「……会長、荊州はおそらく降伏してしまいます」
杏「ま、そうだろうね」
みほ「荊州が降伏すれば、私たちは前後から挟撃されることになります」
杏「その通り」
みほ「今なら、まだ間に合います。会長、荊州を奪ってください。策なら私が考えます」
杏「……やーっぱ、そのことかぁ。何度も言ったでしょ、西住ちゃん。大洗軍は、義に背くようなことはできない、ってさ」
みほ「義を通さなくてはならないケイさんは、もういません」
杏「それでも、だよ。おケイは大洗軍を受け入れて、この新野っていう城まで預けてくれた。だから、大洗軍が荊州に弓を向けることはできない」
みほ「……わかりました」
杏「ごめんね、西住ちゃん。だけど、これだけは曲げられないんだ。ここを曲げたら、大洗軍は大洗軍でなくなっちゃう」
みほ「……失礼します」ガタッ
杏「……あーあ、因果なもんだねぇ……」
~数日後~
――大洗軍・本陣――
みほ「敵の先鋒は、西さんです」
優花里「西殿でありますか。となると当然……」
杏「まっ、突撃だろうね」
みほ「はい。……ですが、真っ向から立ち向かう必要はありません。いったん勢いを止めてから、この間と同じように策を使って打ち破りましょう」
桃「策?どんな策だ」
みほ「この城を、焼きます」
桃・柚子・優花里「!」
みほ「住民の皆さんにはすでに避難してもらいました。今の新野城はすでに空き家状態です。西さんなら、当然この城を奪うはずです」
杏「んで、そこに火を放って一網打尽、ってわけね」
みほ「はい。ですが、今回はそれだけではありません」
柚子「まだ何か策があるの?」
みほ「はい。三方から攻めかかれば、敵は残る一方に逃げるはずです。ですので、西さんたちの逃げる方向を川の方に誘導して、渡ろうとしたところで堤を切って水攻めにします」ニコッ
優花里「おお!水攻めでありますか!その役目、ぜひ私にお任せください!」
沙織・華「…………………」
桃「待て。ここでこの城を焼いてしまったら、カチューシャ軍の後続はどう対処するんだ?城がなくては到底戦えないぞ」
みほ「ええ。……ですので、先鋒を追い払って時間を稼いだ後、この城を捨てて南下、江陵へと撤退します」
柚子「なるほど、江陵なら食料や武器の貯えもありますし、カチューシャ軍を迎え撃つことができるかもしれませんね!」
みほ「はい。大野さんやアリサさんがどうするのかはまだ分かりませんが、それでしばらくはしのげるはずです」
杏「んじゃ、それでいこっか」
みほ「ではみなさん、それぞれ配置へとお願いします。PANZER VOR!」
――カチューシャ軍先鋒・本陣――
絹代「なに!?敵の城ががら空きだと!?」
福田「はい!そのとおりです!」
絹代(敵の軍師、西住みほ殿は四倍の兵を打ち破ったという……やはり、罠だろうか?)
玉田「敵は我らに恐れをなしたに違いありません!」
細見「すでに逃げたというのなら、ここはやはり、西隊長!」
絹代(いや、しかし……、うーむ……、だが……)
福田・玉田・細見「突撃ですね!?」
絹代「……えっ?ああ、うん」
福田・玉田・細見「全軍突撃ぃぃぃ!」
杏「ありゃー、やっぱ突撃かぁ」
みほ「……はい」
杏「どったの西住ちゃん。策がうまくいってるっていうのに、暗い顔しちゃって」
みほ「会長、新野を焼くという手しか思い浮かばなくて、申し訳ありません」
杏「ああ、なーんだ、そんなことかぁ」
みほ「そんなこと……って」
杏「確かに、領民の家も含めて焼いちゃうのは、ひどいことかもしれない。だけど、もし籠城戦をやろうとしたらもっと多くの被害が出るし、この方法なら、うちの軍がいなくなれば、領民は戦いに巻き込まれないで済む。結果的に一番被害の出ない方法を選んでくれたんでしょ?お礼を言いたいくらいだよ」
みほ「そんな……、お礼だなんて」
杏「ま、久しぶりにしばらく腰を落ち着けられたあそこを焼いちゃうのはちょっと寂しいけどね。おっ、敵さんが城に入り切ったみたいだね」
みほ「……はい。河嶋先輩と小山先輩に合図を送ります」
メラメラッ
絹代「ああっ!?やっぱり罠だったのか!?」
玉田「城に誘い込まれ、火攻めにあってしまった!」
細見「周囲は火の海、かくなる上は」
玉田・細見「全軍玉砕!」
絹代「いや駄目、それは駄目だ!……ええと、全軍、囲みの薄い北側に向かって、突撃ぃ!」
ワー! ワー!
優花里(よし、敵は作戦通りこっちの方に逃げてきました……あとは、ちょうど川に差し掛かった頃を見計らって……)
優花里「今です、堤を破ってください!」
ドドドドド……
ワー! ナガサレルー!
絹代「ぜ、全軍、何か浮くものに掴まって対岸に突撃!」
優花里「ふう……これで、しばらくは時間が稼げたでしょう」
桃「西住、我々の準備は完了した。いつでも出発できるぞ」
優花里「周囲に敵影なし、であります」
みほ「二人とも、ありがとうございます。それでは、江陵に向かって……」
沙織「みぽりーん!ちょっと待って!大変なの!」
みほ「沙織さん?どうしたの?いったい何が……?」
沙織「それが……領民のみんなが、会長についていくって聞かないの!」
みほ「……わかった。沙織さん。とにかく、会長に話してみよう」
みほ「領民の皆さんは置いていきましょう」
杏「……駄目だよ西住ちゃん。連れてくしかない」
みほ「そんな!足の遅い子供や女の人を連れて、カチューシャ軍から逃げ切ることはできません」
杏「わかってる。けど、そこまでカチューシャを嫌ってる人たちをここに置いてったら、きっと酷いことになる。それがわかっていて、見捨てることはできない」
みほ「っ!それは……でも」
杏「甘すぎる、って思うでしょ?それも、わかってる。でも、そこを曲げることだけは絶対にできないんだ。もう一度、お願い。助けてほしい」
みほ「……領民の皆さんを前に出して、カチューシャ軍から守ります」
杏「……うん」
みほ「それと、小山先輩には別動隊と領民の一部を率いて、水路で江夏に向かってもらいます」
杏「江夏?……ああ、丸山ちゃんか」
みほ「はい。丸山さんなら領民を引き受けてくれるでしょうし、援軍を送ってくれるはずです」
杏「わかった。それじゃ西住ちゃん。よろしく、任せたよ」
沙織「みんな、気を付けて進んで!」
華「ご老人や体の悪い方は、周囲の人が手助けをしていただくようお願いいたします」
ガヤガヤ ガヤガヤ
桃「全く進まんじゃないか!どうなっているんだ!」
優花里「仕方ありませんよ、馬もない領民の人たちなんですから」
みほ(やっぱり、このペースだと絶対に追い付かれる。でも、会長が置いていくことを望まない以上、こうするしかない)
――カチューシャ軍・本陣――
カチューシャ「ええっ!先鋒が撃破されたの!?」
ノンナ「はい。またしても敵の軍師にしてやられたようです。おそらく、予定の進行速度に、数日の遅れが生じるかと」
カチューシャ「それじゃ、大洗軍を二重包囲して殲滅する作戦が台無しじゃない!当然、もう逃げちゃったんでしょ!?」
ノンナ「いえ。大洗軍は新野の領民を連れて退却しているようです」
カチューシャ「領民を!?……そう、舐められたものね。全速で追撃しなさい」
ノンナ「大洗軍に攻撃をかければ、連れている領民を巻き込むことになりますが」
カチューシャ「構わないわ。そうまでしてカチューシャから逃げた奴らなんて、粛清してやりなさい」
ノンナ「……はい。カチューシャの御心のままに」
みほ(あれから数日、私たちは全力で南へと進みました)
みほ(しかし、領民の皆さんの後ろを進む私たちの歩みは遅く、対してカチューシャ軍は全力で追撃をかけてきました)
みほ(そしてついにここ、長坂で追いつかれてしまったのです)
ダージリン「ごきげんよう、大洗軍の皆さん。……降伏してくださいません?」
みほ「聖グロリアーナ軍……」
桃「ふざけるな!誰が降伏なんてするか!」
ダージリン「あら、そう。ところで、あなたたちが目指しているのは南方の江陵なのでしょう?」
みほ「……ええ、そうです」
ダージリン「それは残念ね。江陵だったら、つい先ほどわが軍の別動隊が落としてしまったと知らせが来たわ」
――荊州・江陵――
ローズヒップ「来ましたでございますのよ!」
桃「……っ!それがどうした!まだその後ろの襄陽には大野の荊州軍がいる!」
ダージリン「そういえば、襄陽のアリサさんからもお手紙が届いてますのよ?」ヒラッ
――荊州・襄陽――
あや(会長に何も言わずに降伏しちゃったけど、いいのかな……)
アリサ「どうせ大洗軍じゃカチューシャ軍には勝てないんだから、いいのよ!」
みほ「……そんな」
ダージリン「……私たちも強行軍で疲れているの。明日まで攻撃を待って差し上げるわ。一晩ゆっくり話し合うことね。それでは大洗軍の皆さん、よい夢を」
――大洗軍・本陣――
桃「降伏など、絶対にありえん!」
沙織「でも、このまま戦えば領民のみんなにも被害が……」
桃「望んでついてきたんだ!ある程度の犠牲は覚悟しているだろう!」
優花里「……西住殿は、どうお考えですか?」
みほ「わ、私は……少なくとも相手が聖グロリアーナなら、おとなしく降伏すればそう酷いことにはならないと思いますけど……」
杏「降伏は、しない」
みほ「会長?」
杏「確かに大洗軍は、後々の歴史から見れば、カチューシャの統一を邪魔している悪者なのかもしれない。でも、カチューシャがこのまま統一してできる国っていうには、今こうしてついてきてくれてる皆の居場所はないんだと思う。だから、カチューシャに統一させちゃいけないんだ。負けてカチューシャから逃げるのはいい。だけど、屈することだけは絶対にできない」
みほ「…………」
杏「それをしたら、カチューシャにはもう勝てなくなるから」
みほ「…………わかりました」
杏「西住ちゃん?」
みほ「江陵も襄陽も、もうカチューシャ軍の手に落ちました。ですが、丸山さんのいる江夏は、まだ無事だと思います。進路を変更して、江夏へと向かうことにしましょう」
優花里「おお!確かに江夏なら、まだルート変更は間に合いますね!」
みほ「はい。私はルートを改めて考え直します。幸い、明日の朝までにはまだ時間もありますし……」
ワー! ワー!
華「なんでしょう?領民の皆さんの喧嘩でしょうか?」
ワー! ワー! メラメラッ!
優花里「違います!これは……敵襲です!」
沙織「そんな!朝まで待ってくれるんじゃなかったの!?」
――聖グロリアーナ軍・本陣――
ダージリン「戦争と恋愛では手段を選ばないの、私たちは」
オレンジペコ「……でも、本当にいいんでしょうか」
ダージリン「私は『明日まで』と言っただけで、『朝まで』なんて言ってないわ。それに、『攻撃を待つ』とは言ったけど、『部隊の移動もしない』なんて言ってないもの」
オレンジペコ「…………」
みほ(うかつだった……ダージリンさんがこういう手に出ることを想定していなかった私のミスだ……)
桃「ええい!敵がかなり浸透してきているぞ!」
優花里「西住殿!ここは私が防ぎます!早くお逃げください!」
みほ「優花里さん!」
みほ(どうしよう……真っ暗で、どっちに逃げれば安全なのか全然わからない……)
沙織「みぽりん!こっち!」グイッ
みほ「沙織さん!」タッ
優花里「西住殿ぉ!どこでありますかぁ!」
優花里(聖グロリアーナ軍の奇襲から数時間が立ち、私は数騎の騎兵と一緒に、西住殿を探して戦場を駆け回っていました)
優花里「西住殿ぉ!」
優花里(周囲は浸透した聖グロ兵と、逃げる避難民の人たちでひどい有様です)
沙織「ゆかりーん!」
優花里「武部殿!よかった!無事だったんですね!」
沙織「うん!だけど、みぽりんとはぐれちゃって……」
優花里「西住殿と!?武部殿、どの辺りだかわかりますか!?」
沙織「……ええと、確か、井戸の近くだったから、あっちの方だと思う」
優花里「わかりました。武部殿は私の部下と一緒に逃げてください。河嶋先輩がしんがりを務めているそうです」
沙織「ゆかりん、一人で助けに行く気!?だって、あっちの方は聖グロ兵でいっぱいだよ!?」
優花里「私は一人で大丈夫です。それに……、『一生付いていく』と決めましたので」
沙織「ゆかりん……」
優花里「そんな顔しないでくださいよぉ、私、死ぬつもりなんて全くないですよ?」
沙織「……わかった。お願い。絶対に、みぽりんと二人で生きて帰ってきて」
優花里「了解であります!武部殿も、どうかお気を付けて!」
優花里「西住殿ぉ!」
聖グロ兵「バカめ、単騎で突っ込んでくるとは!」
優花里「西住殿ぉ!」ドカッ
聖グロ兵「ええい、矢を射かけろ!」
優花里「西住殿ぉ!」
聖グロ兵「何っ!槍で防ぎ切っただと!?」
優花里「西住殿ぉ!」
優花里(見つけました!あれが武部殿の言っていた井戸ですね!)
優花里「西住殿ぉぉぉ!」
みほ「優花里……さん?」
優花里「はい!不肖秋山優花里、西住殿のもとに馳せ参じました!さあ、早く私の馬にお乗りください!」グイッ
みほ「そんな!いくら優花里さんでも、私を乗せた馬でこの中から逃げられるわけ……!」
優花里「西住殿!今は作戦も戦略も必要ありません!……どうか、しっかりと掴まっていてください!」
みほ「…………」
優花里(体に回された手、密着する西住殿の肉体……。ああ、こんな時だというのに!)
優花里「ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!」
――聖グロ軍・本陣――
ダージリン「そう。まだ敵将は捕捉できていないのね」
アッサム「申し訳ありません、ダージリン。データに基づいて、敵将角谷杏のいる可能性の高い場所に優先的に兵を送ったのですが」
ダージリン「アッサムのデータ戦法も、うまくいかないことがあるということね。まあ、いいわ。あまりあっさりと終わってしまっては、つまらないでしょう?」
アッサム「……それはこの戦いが、ということですか?それとも……乱世が、ということですか?」
ダージリン「ご想像にお任せするわ」
優花里「西住殿!また敵陣を駆け抜けます!しっかり掴まってください!」
みほ「は、はい!」
優花里「いけます!この調子なら、味方のところまでたどり着くことが……」
ガキィン!
優花里「……!」
ペパロニ「……!ちぇっ、外しちまったか」
優花里「アンツィオの……!」
ペパロニ「ペパロニ、だ!あん時の借り、返させてもらうぜ!」
優花里「くっ……!」
桃「会長!」
杏「あはは、かーしまだ」
桃「会長、よくぞ御無事で!」
杏「まー、何とかね。……皆、無事に逃げられたかな?」
桃「先ほど秋山の部下に連れられ、武部がこちらに来ました。五十鈴も無事が確認できています。……ただ、西住が敵中で孤立、秋山が単騎でそれを助けに向かったそうです」
杏「……そっか。また皆には迷惑かけちゃったね」
桃「会長はそのようなことをお気になさらないでください。……さあ、この橋をお渡りください。そうすれば一応は安全圏です」
杏「わかった。かーしまは?」
桃「私はここでしんがりを務めます。ご安心を。私がここにいる限り、敵兵は一兵たりとも橋を渡らせはしません」
杏「……よろしく。西住ちゃんと秋山ちゃんを出迎えてあげて」
桃「かしこまりました。それでは、どうぞお気を付けて……さあ、カチューシャ軍の雑兵どもめ!わが名は大洗軍広報、河嶋桃!この橋を渡りたければ、死ぬ覚悟のできた者からかかってこい!」
何故に新スレ?
ペパロニ「そらあっ!」
優花里「くっ……!」
ペパロニ「こんなもんかよ!後ろのそいつがいなけりゃ、もっと戦えるだろ!」
みほ「優花里さん、私を置いて逃げて!優花里さん一人なら逃げ切れるはず!」
優花里「それは……できません。西住殿を助けるためだから、西住殿が後ろにいてくれるから、ここまで戦えたんです」
ペパロニ「おりゃあっ!」
ガキイン! グラッ……
ペパロニ「もらったぁ!」
みほ「優花里さん!」
ペパロニ(なっ!こいつ、もじゃもじゃ頭を庇って……ちっ)
みほ「……あれっ?」
ペパロニ「やめた、やめやめ」
優花里「どういうつもりでありますか?」
ペパロニ「いや、なんつーの?急に冷めたっつーか、気が乗らなくなったっつーか、ここでお前を倒して、ドゥーチェが喜んでくれるかなー、とか考えたらなんかさー……ま、そういうことだから、ケリは次に会った時につけようぜ」
優花里「……承知したであります」
みほ「あ、あのっ、ペパロニさん」
ペパロニ「ん?」
みほ「あ、ありがとうございます!」
ペパロニ「……敵にお礼なんか言うもんじゃないよ、カノジョ。じゃ、arrivederci♪」ヒラヒラ
みほ「優花里さん、あれ!」
優花里「おお!河嶋先輩であります!」
桃「西住!秋山!」
優花里「秋山優花里、西住殿をお連れして、ただいま帰還いたしました!」
桃「うむ!ご苦労だったな。さあ、早くこの橋を渡れ」
みほ「河嶋先輩は?」
桃「お前たちが渡り終えた後、橋を落とす。それでしばらくは時間が稼げるだろう」
みほ「わかりました。ご武運を」
桃「ああ」
優花里「西住殿ぉ、もう朝ですねぇ」
みほ「うん、そうだね……なんだか、すごく長い夜だったよ」
優花里「見てください!朝日が漢水に反射して……すごく眩しいです」
みほ「うん……あれ、なにかが近づいてきてる?」
オーイ! モモチャーン!
優花里「小山先輩であります!」
柚子「会長!西住さーん!助けにきたよー!」
紗季「…………」
――聖グロ軍・本陣――
オレンジペコ「ダージリン様。江夏からの援軍が到着したようです」
アッサム「こちらに水軍はありませんが、どうなさいますか?再び攻撃に移れば、ある程度の戦果も期待できますが」
ダージリン「そうねえ……やめておきましょう。無理押しは趣味じゃないわ。それに、こんな言葉を知ってる?『戦いは五分の勝利をもって上となす』」
オレンジペコ「……武田信玄ですね」
ダージリン「私たちはすでに江陵を落とし、ケイが蓄えた物資を手に入れたわ。これ以上を求めるのは……優雅ではないもの」
アッサム「荊州軍が降伏したことで、水軍も手に入りました」
ダージリン「ええ。……となれば、この出兵は止まらないわね。このままの勢いで江東まで攻めることでしょう。『最後の戦い』、どのような結末を迎えるのかしらね」
――大洗軍新駐屯地・夏口――
杏「いやー、今回もなんとか、逃げ切ることができたねー」
みほ「はい。しかし、カチューシャ軍は荊州の水軍までも掌中に収めました。ここもいずれ攻め込まれてしまいます」
杏「まぁ、大洗軍がここにいる以上はね。じゃー軍師様、次にうちの軍は、どんな戦略をとったらいいかな?」
みほ「……船の中で考えていました。やはり、とるべき戦略は一つしかありません」
杏「やっぱりそうだろうね。せーの、で言ってみよっか。せーの」
みほ・杏「「江東との同盟」」
桃「会長。江東より使者が来ました。会長と……西住に会いたがっています」
杏「そらきた。向こうだって、猫の手も借りたい状態だろうからね。行こうか、西住ちゃん」
みほ「はい。会長」
――江東水軍本拠地・紫桑(さいそう)――
まほ「……よくここまで仕上げた。見事なものね」
エリカ「お褒めにあずかり、光栄です。隊長」
まほ「これだけの水軍は、天下にこれ一つだけだろう……江東水軍都督、逸見エリカ」
小梅「まほさん、エリカさん……、探しましたよ」
まほ「小梅、どうしたの」
小梅「新野を落ち延びた大洗軍の残党が、夏口へ逃げ込んだそうです。もともとの兵力と合わせて、その数およそ2万とのこと」
エリカ「夏口……このすぐそばじゃない。大洗軍なんて弱小勢力、カチューシャ軍に踏みつぶされておしまいかと思ったけど、悪運だけは強いのね」
小梅「それが、新しく仕官した軍師のおかげらしいですよ?」
エリカ「新しい軍師ぃ?そんなもの、どうせ眉唾物の噂でしょ」
小梅「なんでも、荊州の蝶野亜美から『臥龍』と呼ばれていたとかですよ。確か、名前は……」
まほ「西住みほ」
小梅・エリカ「「えっ?」」
まほ「彼女の名前は西住みほ……私の、妹」
みほ「次回、ガールズ&パンツァー『論戦、白熱してます!』」
以上です。
続きはなるべく早いうちに。
マジすか
前スレで普通に更新してた
前スレで進めるか新スレ立ててくかどっちがいいんだろう
乙乙
続き楽しみに待ってます
インターバルが短いのならスレ再利用の方が個人的には好きですが
まあ>>1さんのお好きなようにされたら良いと思います
ただ新スレをその都度立てていく場合、毎回HTML化依頼が必要かと
>>35
ありがとうございます。
いつまで更新速度を維持できるかわからないので、新スレ立てていきます。
HTML化依頼出してきます。
おつ
次の投下は明後日予定です。
三ツ井カリヱ先生、スピンオフ主人公決定おめでとうございます。
ダジ様は悪役ムーブが似合う。
このSSまとめへのコメント
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