兵隊「愉快な誘拐」 (19)


兵隊「あれから三ヶ月がたった」

兵隊「侍殿の衝撃の告白そして軍からの逃亡」

兵隊「目本帝国は戦争に負け平和への道を歩み始めている」

兵隊「至る現在」


侍「お餅焼けたでござるよ」

兵隊「ウマいであります」ハフハフ

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「………あいつは毎朝こんなものを」ピッ

「…馬鹿者が…再教育が必要だな」ギシィ

「……」

「機は熟した」

「…では」スク

「構わん。許可する」

「……」スゥ


男「…ぅぅ………ぁ…」

男「………ぅ…ん…?」パチ

誘拐犯のメイド「…」ジー

男「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」ゴロゴロッ ガバ

濃い紫の肌のメイド服を着た女性「お目覚めですか。おはようございます、だんな様」シュンッ

男「回り込まれた!」

メイド「うなされていらしたようなのでお顔を確認していたのですが」

男「あ、すいませ…ってあなたが変な薬を嗅がせたんでしょ!」

メイド「ご安心ください。毒ではございませんし適量を順守してありますので」

メイド「それに万が一何かあっても人工呼吸の準備はできております」

男「あぁ…この人も姉さん達と同じタイプか…というか人工呼吸の準備って「白無垢でもドレスでも対応可能です」

男「僕の意思は!?」

メイド「私としては二号さんでも」

男「そういう問題じゃなく!ていうか男の僕がそんなことしたら大変なことになるでしょ…」

メイド「一向に構いません」

男「どっちの意味で!?」


男「いや、そんなことより…つかぬことをお伺いしても?」

メイド「夕食の献立からスリーサイズ、今日の下着の色までお答えします」

男「それはダイジョウブです」

男「それでここは?」

メイド「お屋敷でございます。」

男「お屋敷って…どなたの?」

メイド「皇帝陛下とだんな様でございます」

男「皇帝ってここは帝国じゃ……ん?あれ?攫われたんだよね僕?」

メイド「左様でございます」

男「僕は寝てる間に密入国を?」

メイド「皇帝陛下の許可は頂いておりますので密入国ではございません」

男「つまりはここって」

メイド「帝国領内でございます」

男「」

メイド「これはいけません。速やかに人工呼吸を」

男「もう大丈夫です」

メイド「左様で」


男「さっきから気になってたんだけどだんな様って僕のことだよね?」

メイド「左様でございます」

男「…なにゆえ?」

メイド「?質問の意図を理解しかねます」

男「えっと、だんな様と呼ばれる理由がわからないのですが」

メイド「弟様がだんな様だからです」

男「あ、やっぱり名前知ってるのね…なら普通に名前で呼んでくれないかな?」

メイド「今の呼び方に何か問題でも?」

男「問題というか違和感というか…」

メイド「でしたら私がお呼びすることのできる呼称を挙げていきますのでその中からお選びください」

男「いや普通に名前で」

メイド「一番、だんな様」

男「流石姉さんの同類、話が通じない…!」

メイド「二番、ご主人様」

男「これはもっと恥ずかしいかな」

メイド「三番、お兄さま」

男「おっと、流れが変わってきたぞ」

メイド「四番、あにちゃ」

男「それ以上いけない」

メイド「チェキー!」

男「アウトォー!」

メイド「五番、ムゥァア○ヲー?」

男「連れ去った本人が探してどうする。というかいろんな意味で危ないからダメ」

メイド「六番、あなた」

男「やっとまともな選択肢が出たね…ちょっとよそよそしくてあんまり好きじゃないけど、六番でお願い」

メイド「では…あなた、ご飯にしますか?お風呂にしますか?それともタ・ワ・シ?」

男「よそよそしいどころか家族になっちゃったよ!というかタワシって!?食べろと?!」

メイド「つまりワタシだったら食べたと」

男「誰がうまいこと言えと、いや食べないよッ!なにこの誘導尋問!?」

メイド「なら女体盛りに」

男「そういう問題じゃなくて」



メイド「以上です」

男「ろくな選択肢ないよ!?」

メイド「私としては六番が」

男「一番でお願いします」

メイド「左様で」

男「なんで僕下着姿なの…?!」

メイド「快適にお眠り頂くため私が脱がせました」

男「そ、そうなんだ…とりあえず着替えはどこ?」

メイド「こちらにございます」スッ

男「え?!さっきそんな所に服なんて…どこから出したの?」

メイド「乙女の秘密です」

男「何かすごい使い方間違ってる気がする」

メイド「…」ピク

メイド「申し訳ありません、お呼びが掛ったので少々お傍を離れます」

男「あ、お構いなく」

メイド「変わり者が来るまでお待ちください」

男「代わりのじゃなくて!?これ以上変わり者が来たらさすがにきついんだけど!?」

メイド「ご安心ください、危害は加えませんので」

男「それ以外は保証してくれないの!?」

メイド「これ以上は私の口からはとても…」

男「メイドさんの口からさえ言えないことってなに!?」

誘拐の犯人はYOUかい?


ガチャ「……………」

男「あ、変わりの人ですか」

小柄な犬のような耳の獣人のメイド「…」コク

犬メイド「…」トトト

男「?」

犬メイド「…」ストッ

男「…」

犬メイド「…」ポスン

男「………」ナデ

犬メイド「…」パタパタ

男(変わり者というか犬だこれ)

犬メイド「……」パタパタ ピクッ

犬メイド「…」スクッ

男「?」ドドドドドド

男「って、何この音!?嫌な予感しかしないんだけど!?」

犬メイド「…」トトト ガチャ

犬メイド「…」トトト ジッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


男「あ、危ないよ!」スク

犬メイド「…」カッ!

ドンッ「ヲヲヲカカカウェウェウェリィイイイ」スロー

犬メイド「フッ!」シュッ

少し小柄な犬のような耳の獣人スパァン「ぶるゥぁぁぁぁぁ!」ドガガガガガッ

ドゴン「ゴハァ!」ゴパ

屍「」

男「」


ダダダ「な、何今の音!」

普通な犬のような耳の獣人「ちょ、ベルが死んだ!この人でなし!」ダキ

犬メイド「これはいわゆるこられたるだめーじにすぎない…」フゥ

普通なメイド「それをいうならコラテラルね。というかほんとに何やってるの!お客様の…前…で」ボト 

ベルと呼ばれた屍「」ゴンッ

犬耳メイド「兄さん!?」

男「」

犬耳メイド「い、いつお帰りに?言ってくださればお暇をいただいて迎えに」

男「え?あ、兄さん?いやあの人違いじゃ、というかその子いいんですか!?」

犬耳メイド「スーなら大丈夫でしょ特別頑丈だし」

犬耳メイド「それより兄さん何でずっと連絡くれなかったんですか!」

男「あ、あのほんとに人違いで」

犬メイド「ケル、兄はきおくそうしつ」

ケル「え!?そうなんですか?!一体向こうで何が」

男「すいません…何のことだかさっぱり」

ケル「あ、ごめんなさい。舞い上がってしまって…」

ケル「…そうですね。割り切らなきゃ」

男「?」

ケル「数々の失礼をお許しください。私が長女ケル、こちらが次女ベル」

ベル「…見知り置きを」スッ

スー「あっだぁ。あっ、たんこぶできた」

ケル「こちらが三女スー」

スー「あ、兄ちゃーん!おかえりィ!」ガバ

男「と、とりあえずたんこぶ程度でよかったよ」ナデリ

スー「へへー」スリスリ

つ、つまんねー
効果音からストーリー、作者まで全部寒いな

テス

ケル「スー、お客様に失礼でしょう。離れなさい」

ベル「おんぶ」トトト

男「お、ッと」ヒョイ

ケル「…ベル」

男「あ、大丈夫ですよ軽いですから」

ケル「そういう問題ではございません。メイドとしての品位が」

ベル「にいさんッ!」

スー「いつお帰りにッ!?」

ケル「…アンタ達覚えときなさいよ」

スー「言ってくだされば」

ベル「おひまをいただいて」

ケル「余程死にたいようね」

ベル「ケルがおこった~」

スー「助けてにーちゃーん」

男「仲が良いんだね」

「失礼致します。旦那様ご気分はいかがでしょうか」

男「え?あれ?代わりの人って」

血色の悪い色白のメイド「遅ればせながらショゴスの代わりに参りました」

ジード「ジードとお呼びください」

男「あ、どうも…そしたら君達って」

ケル「私は大きな音がしたので」

ベル「においがしたから」

スー「気配でわかった!」

男「理由になってないような…」


ジード「皆様持ち場にお戻りください」

ケル「拝承」

ベル「りょうかい」

スー「あ~い。また来んね~」


ジード「……………」

男「…」

ジード「………………」

男「…」

ジード「………………………………」

男「あの…」

ジード「何なりとご命令を」

男「め、命令と言われましても」

ジード「お館様は指揮権を旦那様に移譲されました」

ジード「ゆえに私めは旦那様に仕官させていただきます」

男「つ、つまり?」

ジード「旦那様が私めの新たな主人となりました」

男「メイドさんのお給料なんて払う余裕ないよ?!」

男「しかもなんかデジャヴを感じるんだけど!?」

ジード「私めは造魔ゆえ、糧を必要といたしません」

男「造魔?聞いたことない種族だけど」

ジード「動く土塊とでもお考え下さい」

男「…なんか凄い話だね」

ジード「私めは主人の命令のみに従います」

ジード「ご命令を」

男「命令…じゃあ待機で…」

ジード「拝承」


ジード「……………」

男「…」

ジード「………………」

男「…」

ジード「………………………………」

男「…デジャヴだ!」

男「僕が悪かったよ…」

男「質問いいかな?」

ジード「如何なさいましたか?」

男「僕は何で連れてこられたの?」

ジード「存じ上げません」

男「陛下っていうのはどんな人?」

ジード「お答えできません」

男「…えっと…じゃあショゴスさんの種族は?」

ジード「本人にお尋ねください」

男「……」

ジード「…」

男「うん誠実さはすごく伝わったよ」

ジード「お褒めに与り光栄至極」

男「その…暇なんだけどすることないかな?」

ジード「屋敷内であればご自由にお過ごしください」

ジード「外出なさる場合私めが護衛を務めさせていただきます」

男「あ!それじゃあ案内してくれない?」

ジード「拝承」

【食堂】

ジード「こちらがダイニングルームでございます」

男「おお!まさに洋館って感じだ!」

ジード「ご希望があればいつでも仰って下さい」

男「ジードさんが料理するの?」

ジード「場合によっては他の者も加わりますが、平時は私めが担当にございます」

男「楽しみにしてるよ」

ジード「ご期待を裏切らぬよう尽力致しましょう」

【遊戯場】

ジード「こちらが娯楽施設になっております」

男「色々あるね」

ジード「ダーツ・ビリヤード等ご自由にお使いください。ご希望がございましたらすぐに手配致します」

男「なんかおしゃれだ」

ジード「こちらは殆ど陛下のご趣味で用意されたもの。お暇な時にいらしております」

ジード「こちらはトレーニングルームに繋がっております。小さめですがプールや器具等ご用意しております」

男「こ、これで小さいって…」

ジード「防犯上こちらの別荘は全体的に規模が小さくなっております」

男「ここ別荘だったんだ」

ジード「ベルは器具を、スーはプールを比較的利用しております」

ジード「こちらには漫画・雑誌・小説を各種揃えてございます」

ジード「主に私めとケルが利用しております」

男「ジードさん本好きなの?」

ジード「感情の研究をしております」

男「そ、そうなんだ」

【温泉】

ジード「こちらが温泉です」

男「豪華だなぁ」

ジード「いつでもご自由にお入りください」

ジード「お一人での入浴をご希望の場合、掛札をお使いください」

【部屋】

ジード「旦那様のご入り用になるであろう施設は以上でございます」

男「ありがとう、助かったよ」

ジード「またいつでもお声掛けください」

ジード「……」スタスタッピタ

ジード「……」

男「……デジャヴだぁ」


【執務室】

軍服を着た黒いエルフ「客人か」

ショゴス「予想通りお迎えに来られたようです」

クロエ「歓迎してやれ。盛大にな」

ショゴス「拝承」


【屋敷前門】

狼姉「さて」

ヴァ姉「…」

秘書「ふむ」

理事姉「ここがあの女のハウスね」


狼姉「どうする?多分もうバレてるだろうけど」

ヴァ姉「皆殺しね」

秘書「珍しく意見が合うね」

狼姉「いやどうやって入ろうかってことだったんだが…」

理事姉「すぐにお迎えの子が来るってー」

狼姉「いやなんでインターホン押してんの?」

理事姉「え?だって留守かもしれないし」

狼姉「人攫いの住処で律儀に呼び鈴鳴らすとか何考えてんだ」

ヴァ姉「いいじゃない手間が省けて」

狼姉「あぁ…まあ確かにそうだな」

ヴァ姉「今日ばかりはこの体質が恨めしいわ」

秘書「ふっ、コミュ障の君にはお似合いの体質じゃないか」

ヴァ姉「殺すわよ?」

狼姉「殺伐とし過ぎだろ…」


【門】ギギギギッ

ショゴス「遠路遥々ようこそおいで下さいました」

ショゴス「メイド長のショゴスと申します。以後お見知りおきを」

ヴァ姉「以後なんてあると思っているの?」

ショゴス「失礼致しました。邸内へご案内します」


「「「いっらしゃいませ」」」


ケル「お久しぶりですね、吸血鬼さん」

ヴァ姉「誰だったかしらあなた」


ベル「狼姉ひさしぶり」

狼姉「おう久しぶり」


スー「理事姉ちゃーん!」ダッ

理事姉「スーちゃーん!」ヒシッ


秘書「あぶれたボクは弟君にでも構ってもらうとしようか」

ショゴス「お待ちください」

秘書「もう用はないんだけどな。それとも君が相手してくれるのかい?」

ショゴス「皆さんをおもてなしするよう主人に仰せつかっております」

秘書「へぇ」


ショゴス「ジード」

ジード「お呼びでしょうか」

ショゴス「貴方は理事長様と人狼様をご案内しなさい」

ジード「拝承」


ショゴス「ケル、ベル、スー。貴方達は三人で吸血鬼様を」

ケル「かしこまりました」

ベル「りょうかい」

スー「あいあいさー」


ショゴス「秘書様は私が」

秘書「そうかい」


ショゴス「ではお連れ致します」

【執務室】

ショゴス「お連れ致しました」コンコンコン

「入れ」

秘書「ふふっ、ボクが当たりを引いたみたいだね」

クロエルフ「貧乏くじかもしれんがな」

秘書「で、弟君はどこだい?」

クロエ「そこに居るだろう」

秘書「なに?」クルッ



男「秘書姉…助けて…」ボロ



秘書「」ブチ

秘書「あれ?」ボト


クロエ「何故お前がその首輪をしているかは知らんが」

クロエ「返してもらう、貴様には過ぎたものだ」


【執務室前扉】

コンコンコン ガチャ「あのこちらであってますか?」

男「」

男「何で生首」

男「秘書姉?」スッ

男「…」ダキッ

男「」ポロ

男「」ボロボロ

男「…ヒッグ」グズッ

男「何で…こんな…」ズズッ

クロエ「首輪を返してもらっただけだ。泣くなみっともない」

男「…酷過ぎる゛…いぐらなんでも゛……殺ずごどない゛」ヒグッ

クロエ「殺してなどおらん」

男「だっで首が…」スッ


秘書の生首「ハァハァ…良い匂いするね君ハァハァ…」スンスン


男「」ボト

ゴン「痛い」


男「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」


クロエ「うるさいぞ」

ショゴス「仕様のないことかと」

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