今更ながら渋谷凛ちゃん生誕祭SSです。
〇地の文あり
〇短い
〇なんか書きたいことだけ書いた感じ
です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470841003
急にスカウトしてきた、怪しい大人。
そんな印象だったのが、2人の時間が長くなる度に変わっていった。
川の水が流れて、海へ辿り着くように。
いつしか、憧れは好意へと流れていった。
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陽が強く射す朝、目覚まし代わりに届いたメール。
内容は簡単なものだった。
[誕生日おめでとう]
プロデューサーらしい簡潔な文面。
「覚えてたんだ......」
自分の誕生日を覚えていていてくれたことに、少しだけ胸が暖かくなる。
でも、それだけでは物足りないから。
寝ぼけた顔で驚くプロデューサーが見たくて、私はベッドから起き上がった。
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シャワーを浴びて、身だしなみを整えて、私に一番似合う服を選んで。
家を出て、事務所へと向かった。
前にちひろさんからこっそり借りた合鍵を使って、事務所の分厚いドアを開く。
小さい仮眠室のドアをこっそり開けて、呑気に寝ているプロデューサーの顔を覗き込む。少し焼けた頬に手を当て、何回か軽く叩いた。
「......プロデューサー、起きて」
「ん......何だよ......」
「ふふっ......」
少しラフな口調。
寝ぼけている間だけ見せてくれる素顔に、つい笑みがこぼれる。
仕事の時とは違う間抜けな顔を見て、イタズラをしたくなってしまった。
狭いベッドの中に潜り込み、プロデューサーの体を抱きしめた。
外見よりもがっしりした体つきと温かい体温を感じて、私の顔が熱くなっていくのがわかった。
「......凛......?」
照れを誤魔化す様にプロデューサーの顔を見つめると、プロデューサーが半目になりながらこっちを見ていた。
その表情に、愛しさを感じて。
「好き」という感情が、波を立てて寄せてくる。
「えっ、ちょ、お前、何して......」
もう既に意識が覚醒したらしいプロデューサーが、私を見て顔を真っ赤にしていた。大人らしくない、初心な顔。今まで彼女がいたことはあったのかな?
不意に、奈緒の言葉を思い出した。
人間は目を開けているだけでは覚醒していると言えなくて、目に写っているものを把握して、それで理解の助けになるって。
もう、一瞥。目の前には、好意を寄せている人。
大胆な行動を取った代償に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
私はまだ、目覚めていなかったみたいだ。
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「凛、急にどうしたんだ?今日は全員オフだって言ったはずだけど」
「プロデューサー、どっか連れてってよ」
「?」
「だから、どこかに連れてって。」
「とはいっても、スキャンダルになったらどうするんだ?」
「人がいないところ」
「どこか、私とプロデューサーだけしかいないところに連れてっていってよ。」
「と言われてもなぁ......。そんな所、一つしかないけど、いいか?」
「いいよ。プロデューサーが選んでくれるなら、どこでも」
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砂浜。
澄んだ海の先には、地平線が広がっていた。
「こんな所しかなかったんだけど、いいか?」
そう言いながら、プロデューサーが石段に座った。
「うん、いいよ」
私も、その隣に座った。
この海のように深くて綺麗な、2人の時間。
水面を朝の日射しが照らして、キラキラ輝いている。
海を遠い目をして見つめていたプロデューサーが、口を開いた。
言葉を選んで、伝えたいことだけを探しているのが分かった。
「凛、これからもよろしくな」
波が止まらずに、寄せては、返っていく。
2人の時間も、波のように終わらない気がして。
「ねえ、プロデューサー」
「どうした?」
「これからも、私から目を離さないでね」
「ああ、もちろん」
私、やっぱりこの人が好きだ。
爽やかで、どこまでも飛ばしてくれそうな潮風に身を委ねて。
私の、思い。
未だに、波のように寄せては返して、揺れていた。
終わり。
数時間で書いたSSなので、本当に短かったです。
モデルは、デレステのSSR渋谷凛オーバーマイセルフから。
今度は数万文字の長いssも書いてみたいと思います。
HTML依頼出しておきます。
では、さようなら
乙
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