ブラックジャック「艦娘だと?」 (85)
BJと艦これのクロスです
BJは読み込んでるつもりですが艦これはちょっとしかやってないので設定等について間違えがあるかもしれません、ご了承ください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468671833
BJ宅
???「ブラックジャック先生のお宅はこちらでよろしいですか?」
BJ「あぁそうだ、お前さんは?」
???「私は横須賀基地で提督をやっている間久部緑朗といいます」
BJ「その提督さんがモグリの医者に何の用だい?」
間久部提督「実はある女性の手術を頼みたいのです」
BJ「ふーん……まぁ金さえあればたいていの手術はやるがね、手の施しようのない病なら別だが」
提督「いえ、病人ではないのです」
BJ「なら私に健康な人間を手術しろっていうのか?バカバカしい、お断りだね」
提督「これは国からの依頼なのです、ぜひとも引き受けて頂きたい、私も手荒な真似はしたくないのでね」カチッ
BJ「ほう、帝国海軍が銃で私を脅すか」
提督「それだけ事態は切迫しているのです」
BJ「ふん、まずは患者に会わせてもらわない限りなんとも言えん」
提督「ありがとうございます、車を用意させていますのでこちらに」
車内
BJ「それで、どんな手術を望んでいるんだ?整形手術かね」
提督「そうですね、一種の整形手術かもしれません」
BJ「随分と曖昧じゃないか、困るぜちゃんと教えてもらわないと」
提督「まずは私の鎮守府まで来ていただきたい、話はそれからです」
BJ「ふん」
横須賀鎮守府
提督「こちらです」
BJ「これは……」
提督「彼女が今回の患者です、20代女性、血液型はO型、御覧の通りの状態です」
BJ「右足と左腕が欠損、胸部にも深い傷か、心臓や肺には達していないようだが……側頭部に鉄片が刺さっている、それに脇腹が抉れている……砲撃でも食らったのか」
提督「その通りでございます」
BJ「まさか帝国海軍の誤射の尻拭いか、まぁ正規の医者にたのめる仕事ではないな」
提督「先生、それは違います、誤射ではない、彼女は敵に撃たれたのです」
BJ「敵?おいおい戦争はとおの昔に終わったじゃないか、今更何と戦ってるってんだ」
提督「これから先は極秘事項です、どうかご家族にも内密にして頂きたい」
BJ「なんだもったいぶって」
提督「先生は深海棲艦という都市伝説をご存知ですか?」
BJ「さぁ知らんね、生憎興味がないもんで」
提督「海辺の街では有名な都市伝説です、沈んだ船の怨霊とも、深海人とも言われていますが詳細は一切不明で漁船を襲うとか」
BJ「……まさか」
提督「はい、彼女は深海棲艦に襲われたのです」
BJ「何をバカなことを、私はオカルトの類は一切信じないタチでね」
提督「信じて頂けないのも無理はありません、しかし事実なのです」
BJ「じゃあアンタ方はその深海棲艦とやらと大砲でドンパチしてるっていうのか?」
提督「いえ、それも違います、深海棲艦に対抗することができるのは極秘部隊である艦娘だけなのです」
BJ「カンムス?なんだそりゃ」
提督「有体に言えば改造人間ですな、体に特殊な改造を施した者たちでしてね、不思議なことに女性しか適応できないことから艦隊娘、略して艦娘とよばれています」
BJ「深海棲艦に改造人間、まるで手塚治虫のマンガだな」
提督「しかし聞くところによれば先生はかつて幽霊や宇宙人の手術をなさったこともおありだとか」
BJ「さぁ、昔のことは覚えちゃいないね」
提督「とにかくこの世には理屈では説明のつかないことがたくさんあるのです、特に深海棲艦については我々帝国海軍にも分からないことだらけでして」
BJ「フン、とにかく彼女を治療するのか?ハッキリ言うが無駄ですぜ、今生きてることすら奇跡だ」
提督「やはり……」
BJ「もしも彼女を治療するにはそれこそもう一人分の死体が必要だ、もっと言えばもう一人分のきれいな体がね、それがあっても生きる確率は10%ってところだ」
提督「……」
BJ「いくら帝国海軍といえども、こればっかりはそう簡単に用意できまい」
提督「アテは……あるのです」
BJ「何?」
提督「彼女に分け与える体ならあるのです、とびきり新鮮できれいな体が」
BJ「お前さん、まさか誰かを殺そうってんじゃないだろうね」
提督「違います……いや、ある意味そうなのかもしれません」
BJ「ふん、罪人でも使うってのか?」
提督「いえ、罪人ではありません、しかし我々からしたら邪魔な者です」
BJ「……お前さん、まさか」
提督「かつて馬と人間の脳を入れ替えた先生にならできるはずです……
深海棲艦と人間の合体手術を」
カルテ:XX
世話のかかる兵器
BJ「どういうつもりだ」
提督「これは帝国海軍でも最重要機密実験です、驚くべきことに深海棲艦は人間と体のつくりはほとんど変わりません」
提督「特に今回捕獲に成功した戦艦ル級は被験者である彼女と背格好がほとんど変わらない」
BJ「つまり私に人体実験をしろということか」
提督「その通りでございます」
BJ「私がこんな実験に付き合うのは私の興味がわいた時だけでね」
提督「しかしね、先生、ここまで知ったからには簡単に帰ってもらうわけにはいかないのです」
BJ「断れば?」
提督「先生の娘さん、ピノコちゃんと言いましたかね、彼女にまで手を下さなければいけなくなる」
BJ「逃げ場はないか」
提督「先生お願いします、彼女は……彼女は私のフィアンセなのです」
BJ「何?」
提督「彼女もこの鎮守府の一員でした、と言っても艦娘ではありませんが」
BJ「なぜこんなことに」
提督「彼女は捕獲したル級の実験室近くで仕事をしていました、ところが先日、実験中に手違いでル級が脱走しましてね、それはまさに惨劇と呼ぶに相応しい出来事でした」
BJ「……」
提督「研究者3名、事務員2名、さらに捕獲に当たった軽巡が2名、命を落としました、惨劇の当事者で生き残ったのは彼女と捕獲した艦娘のみです」
BJ「7人の命より大事な化け物か」
提督「私は上層部になんとか救命を頼みましたが事が事だけに表沙汰にすることもできません、そこで私が掛け合ってみたのです『彼女を被検体してくれ』と」
提督「そして今朝、上層部から許可が下りました、もしこの手術が成功すれば艦娘の建造が非常に楽になりますからね」
BJ「海軍のエゴか……」
BJ「……おそらくこの手術は数回にわたり行う必要がある、まず一刻を争うのは腹部だ、そのル級とやらから左わき腹部分を丸々いただく、それから損傷した内臓を交換、側頭部の鉄片を抜き、場合によっては大掛かりな脳手術だ」
提督「引き受けて頂けるのですね」
BJ「あれだけ脅しといて今更なにを言ってるんだ」
提督「フフ、ごもっともです」
BJ「オペはすぐに開始する、患者と深海棲艦とやらを並べろ」
提督「はい!」
手術室
BJ「こいつが……肌の色以外はまるで人間だ」
提督「先生、こいつには既に強力な麻酔をかけていますが、殺しますか?」
BJ「いや、そんなことをしなくてもこいつは体の4割近くを失って死ぬんだ、せめて眠らせてやれ」
提督「では先生、あとのことはよろしく頼みます」
BJ「あぁ」
―――――
BJ「こいつはすごいな……肉体が拒否反応を起こすどころか以前からここにあったかのように馴染む……俺も随分といろんな奴を手術したがこんな不思議な体は初めてだ……」
助手A「深海棲艦の力なのでしょうか」
BJ「さぁね、とにかく腹部と胸部の手術は完了だ、縫合は任せた、1時間後に側頭部の鉄片を抜く」
―――
BJ「これは……脳が一部かけてしまっている」
助手A「先生、どうします」
BJ「よし、ファスナー式脳移植手術に術式を切り替える、ル級の脳をダムディー培養液に浸せ」
助手A「いったいどうするんですか?」
BJ「ル級の脳から一部を移植する」
助手B「馬鹿な!?そんなことできるはずがない!」
BJ「私は過去にこの術式を成功させた人間を知っている、それも赤ん坊の頭でだ」
助手A「そんな……もしそんなことが可能なら奇跡だ」
BJ「良いから黙ってやれ!!」
―――――
数時間後
BJ「術式終了、患者をベッドへ」
助手A「し、信じられない」
助手B「先生!あんな手術どこで!?」
BJ「マンガからさ」
助手B「??」ヒョウタンツギー
BJ「回復するかどうかは神のみぞ知るってところだがね」
提督「先生、ありがとうございます」
BJ「あんたの婚約者は体の半分近くと脳の一部が深海棲艦となっている、はっきり言って彼女が目覚めたらどんな影響があるかわからん」
提督「過去に成功した人がいらっしゃると先生はおっしゃってましたが、その時はどんな影響が出たんですか?」
BJ「いくつかその時の手術による副作用があった」
提督「それはどんな?」
BJ「奇妙なアレルギーや幻覚を見るようになり、さらに記憶にも影響した、移植された脳の記憶が時折蘇ってくると言っていたね」
提督「じゃあ彼女も……」
BJ「それは分からん、その患者のようにもっと酷くなることも、逆にもっとマシになることも考えられる」
ガチャ
摩耶「提督、手術は終わったのか!?」
提督「あぁ、心配をかけたね摩耶」
摩耶「ん?誰だこのツギハギ野郎」
提督「こら、そんなこと言ってはいけないよ、彼が執刀してくれた先生だ」
BJ「提督さん、この口の悪いお嬢さんは?」
摩耶「悪かったな、口が悪くて」
提督「こら摩耶!、失礼しました先生、彼女は高翌雄型の重巡洋艦、摩耶と言います、彼女がこれから先生のサポートを」
摩耶「よろしくなツギハギ先生」
BJ「ほう、これが噂の艦娘とやらか」
提督「えぇ、彼女たちこそ今現在この国を陰で守る戦士たちです」
BJ「こんな年端もいかない娘たちがねぇ」
摩耶「おいおい、見た目が若いからって舐めんじゃねえよ?」
BJ「こいつぁ失敬」
提督「過去には男性でなろうとした者もいたそうですがまともに動くことすら出来なかったと聞いています」
BJ「人体の神秘ってやつか、私はソレから何度も痛い目に合わされたよ」
提督「彼女たちが前線で戦う中、我々は見守ることしか出来ません、現場に出向ける訳ではないのでろくな指示も出せません」
摩耶「何言ってんだよ、あんたのおかげでこないだも被害を最小限にとどめられたんじゃねえか」
提督「いや……艦娘を二人も失ってしまった、私の失態だよ」
摩耶「でもよ!」
BJ「とにかく!手術は成功した、問題は術後経過だ彼女が目覚めるまで待つしかない」
提督「先生には申し訳ないですが、彼女が回復するまでは帰宅していただけません」
BJ「そんなことだろうと思ったよ、電話だけ掛けさせてくれ」
提督「えぇ、こちらに」
――――
BJ「じゃあピノコ、そういうことだから」
ピノコ『ちぇんちぇー、浮気はだめでちゅかあね?』
BJ「何言ってるんだ私は仕事だぞ」
ピノコ『なんだかちぇんちぇーの近くから女の臭いがすゆのよさ!』
BJ「あのなぁ」
ピノコ『とにかくちょんな仕事ちゃっちゃと終わらちて、帰ってきてね』
BJ「留守番頼んだぞ」ガチャ
――――
数日後
???「う……ここは?」
BJ「ようやくお目覚めかね」
???「あ、あなたは?」
BJ「私はお前さんを治療した医者さ」
???「医者……ここは病院?」
BJ「いや、それは違うね、ここは横須賀鎮守府の医療棟だ」
???「鎮守府……そうか、私は……」
BJ「思い出したかね?」
???「あ……あぁ!ああ!うわああああああああああああああ!!!!!」
BJ「!?」
???「来るな!来るなあああああああああああああ!!」
BJ「マズい、錯乱状態だ!摩耶!鎮静剤を!!」
摩耶「わかった!」
???「うっ……zzz」
BJ「ふぅ、眠ったか……それにしても……恐ろしい力だ、ベッドの手すりがまるで粘土だ」
摩耶「ありえねえ……普通の艦娘でもここまでの力を出せるのはそれこそ戦艦級の姉さんたちだけだぜ」
BJ「とにかくしばらく様子を見守るしかない」
期待
おもしろい
翌日
BJ「起きたかね、すまないが体を拘束させてもらっている」
???「私は……いったいどうなって……」
BJ「君は深海棲艦に襲われて、そりゃあもう見るも無残だったぜ」
???「あの化け物は?」
BJ「君を襲った化け物のことか?それならここにいるぜ」
???「ど、どういうこと?」
BJ「お前さんの体は今、四割近くがお前さんを襲った化け物でできてる、皮肉なもんだ」
???「え?」
BJ「お前さんを救うにあたり、上層部からの命令が出たんだよ、救うならその化け物を使えってね」
???「それじゃあ……まさか」
BJ「お前さんの手足一本ずつ、内蔵の半分、そして脳の一部はお前さんを襲った化け物から移植されたのさ」
???「化け物……私はもう人間じゃないのか?」
BJ「さてね、そこまでは私の専門じゃあない」
提督「目を覚ましましたか!」
???「提督……」
BJ「あぁ、暴れてもらっちゃ困るんで拘束してるがね」
???「提督……私は」
提督「すまない、私のせいでこんなことになってしまって」
???「いいんだ、提督が私を助けてくれるように頼んでくれたのだろ?」
提督「……だが君は最早人間ではなくなってしまった」
???「私は……艦娘になるのか?」
提督「あぁ、君は先日から長門型一番艦、長門として登録された、いずれは君にも戦場へ赴いてもらわなければならなくなる」
長門「そうか……」
提督「これからきっと辛い思いをさせることになる、私のせいだ、すまない」
長門「謝らないでくれ提督、私はむしろ嬉しいんだ、今までは彼女たちが闘う姿を後ろから眺めることしか出来なかったから」
提督「……」
BJ「まずはリハビリだ、お前さんの手足は他人のものをひっ付けたからね、思い通りに動くまでは少し時間がかかるだろう」
提督「それから近日中に上層部の会議にも出てもらう、君がどんな存在になったのか、上はそれを目的に君を助けたからね」
BJ「今日は起きたばかりだ、少し休むと良い、明日からはリハビリに励んでもらうぜ」
長門リハビリ日誌
1日目
長門は驚異的な回復を見せている、腕の方はすでに大まかな作業はできるようになっている。
足も支えにする程度は簡単なようだ、明日には歩き始めることができるかもしれない。
2日目
長門の脳を精密検査した。今のところ異常は見当たらない。本人も幻覚、幻聴などの症状は無いと言っている。
提督「彼女が先日手術を施された艦娘です」
長門「長門型一番艦に登録されました、長門です」
ランプ少将「ほう、手術から5日と経たんが、もう歩けるのか」
長門「今のところ日常生活に問題はありません」
エッグ大佐「こいつの脳内には深海棲艦の物が使われとるのだろう!?また暴れだしてはかなわん!即刻処分するべきだ」
ヒゲオヤジ中佐「まぁまぁ、彼女が艦娘として成功すれば今までのように一から育てる必要はなくなりますし」
少将「彼女が帝国海軍、牽いては日本国を守るための大きな分岐点だな」
中佐「ところでブラックジャック先生、脳を移植したといったが彼女の記憶にも影響はあるのかね?」
BJ「さぁね、この手術は私も施したのは初めてでね、ただ以前同じ手術を受けた患者を知っているが」
少将「その時はどうだった?」
BJ「記憶と人格の形成に僅かだが影響が見られた、ただしその患者は赤ん坊でね、当時の記憶は全くなかった」
中佐「長門君、何か思い出せるかね」
大佐「何か思い出せ!何でもいい!!」
長門「う……あ、頭が……ぐ!」バタン
BJ「どうした!おい長門!!」
3日目
海軍上層部の連中が鎮守府を訪れた。深海棲艦について尋ねたところ突然頭痛を訴え意識を失った。手術の後遺症と思われる。
数日後
「うるさい!私の前に現れるな!!」
BJ「ん?食堂からか」
長門「何なんだお前は!!一体何がしたいんだ!」
BJ「どうした長門」
長門「先生……いえ、何でもないんです」
BJ「嘘を言っちゃいかんね、大方深海棲艦の幻覚でも見たんだろう?」
長門「どうしてそれを……」
BJ「前にも言っただろう、君と同じ手術を施した人間も同じような幻覚にうなされていた」
長門「……話しかけてくるんだ」
BJ「ほう」
長門「アレが私に、もうお前は人間ではない、化け物だ、人とは相容れないと」
BJ「……」
長門「先生、私はどうしたらいいのだろう」
BJ「さてね、そればっかりは私にゃどうしようもない」
長門「そうか……そうだな」
BJ「ただし一つ言えるのは、お前さんの今の立場を考えてみることだ」
長門「私の立場……」
BJ「艦娘になったんだろう?ならどうしたらいいかわかるはずだぜ」
長門「……」
夜
???「結局オ前ハ兵器ニ成リ下ガッチマッタノサ」
長門「……」
???「オ前ヲ助ケル為ニ私ハ死ンダ」
長門「……」
???「ソシテ私ヲ殺ス為ニ2人ノ艦娘ガ死んだ」
長門「……」
???「オ前ニ3人分ノ命ガ背負エルノカ?」
長門「……」
???「オ前ニソノ価値ハアルノカ?」
数日後
BJ「そろそろ私もお役御免かね」
摩耶「なんだよ、もう帰っちまうのか?」
提督「ふふ、摩耶は先生を気に入ったようだね」
摩耶「ば、馬鹿か!さっさと帰れこのツギハギ野郎!」
BJ「艦娘に気に入られるたぁ光栄だね」
摩耶「アホー!」ヒョウタンツギー
提督「先生、明日の朝に車を用意しますので」
BJ「あぁ、頼んだぜ」
無線『……ら…ぁ…ぎ!……ぃ……応答……す!こちら赤城!提督!!応答願います!!』
提督「赤城か、どうした?」
赤城『非常事態です!長門型一番艦暴走!!』
提督「何!?」
BJ「なんだって!?」
摩耶「!?」
提督「状況を報告しろ!」
赤城『深海棲艦との戦闘終了後に長門さんが突然意識を失ってこちらに砲撃を!』
提督「被害状況は!?」
赤城「山城、翔鶴が大破、その他の艦も中破状態です!きゃっ!」ドォォン!!
提督「赤城!?どうした、応答しろ!!クソ!」
BJ「クソ、まだ実戦配備は早かったか!」
提督「大淀聞こえるか!第二艦隊に出撃命令だ!第一艦隊の支援に向かわせろ!演習組もすぐに補給して出撃だ!」
大淀『な!?どういうことですか!』
提督「事情はあとだ!早くしろ!!」
大淀『りょ、了解』
数時間後
赤城「第一艦隊……五名帰還しました……」バタン
提督「大丈夫か!?中破以下の艦娘はすぐに入渠だ!大破した艦娘には高速修復材を!ありったけもってこい!」
BJ「提督!山城は重傷だ!すぐに手術の用意を頼む!」
提督「わかりました!……長門、長門は!?」
摩耶「そ、それが」
長門「私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ」
BJ「おい!今は長門に構ってる暇はない!!早く手術を!!」
提督「くっ……長門を隔離営倉に入れろ……」
摩耶「んな!?」
提督「今はそれしか手がない!艤装を外してからすぐに入れるんだ!」
摩耶「でもよ!」
提督「高翌雄型三番艦摩耶!これは上官命令だ!逆らうなら貴様も営倉入りだぞ!」
摩耶「……」
提督「返事は!」
摩耶「……了解」
提督「……すまない、摩耶」
BJ「おい!早くしないと手遅れになるぞ!」
数日後
エッグ大佐「だからあの時始末しろと言ったのだ!」
ヒゲオヤジ中佐「確かに、あの時始末すればこの事態は避けれましたがね、それが正しいかどうかと言われれば」
ランプ少将「だが増援部隊を含めて大破6隻、中破9隻、扶桑型を一隻解体、流石に庇いきれん」
提督「……」
大佐「しかも扶桑型を一隻解体する羽目になったんだ!即刻廃棄処分だ!」
中佐「ま、私もその意見には反対しませんな」
少将「うむ、そうだな、長門型一番艦は廃棄だ」
提督「しかし!」
少将「間久部少尉これは命令だ、長門型一番艦長門を一両日中に廃棄処分とせよ」
提督「解体ではなく、廃棄なのですか!?」
少将「解体はあくまで艦娘としての引退だ、だが長門型一番艦はその体に深海棲艦が染みついている、廃棄のほかないだろう」
提督「……そんな」
少将「以上だ、君は鎮守府に戻りなさい」
提督「……わかりました、失礼します」ガチャ
――――
横須賀鎮守府
コンコン
提督「どうぞ」
BJ「聞いたぜ、廃棄処分たぁどういうことだい」
提督「お聞きになられましたか、先生」
BJ「あまりいい響きじゃないな」
提督「艦娘が退任あるいは引退するさいには通常『解体』、つまり艤装をすべて外し特殊な手術を受けて運動能力等を一般人と同程度にします。しかし今回長門に下されたのは『廃棄』、解体すら行わずに[ピーーー]のです」
BJ「何だと?」
提督「私もこの職についてから10年近く経ちますが今までに廃棄となった艦娘はただの一体もいません、それだけ重大な事件なのです」
BJ「ふざけなさんな!せっかく助けた患者を[ピーーー]ってのか!」
提督「……」
BJ「どうした?何か言ってみろ!」
提督「これは決定事項です、私より上の人間が廃棄と決定したのです」
BJ「結局はアンタもただの軍人か」
提督「わかっている!俺だって彼女を救いたい!!だがどうしろというんだ!」
BJ「……いくら出せる?」
手塚治虫の世界線完全再現じゃないか…
ランプはどの作品も大体悪役だけどどこか人間くさくて好き
提督「は?」
BJ「彼女を救うためにいくら出せると聞いている」
提督「先生……私の貯蓄をすべて切り崩して、6000万円」
BJ「ふん、まぁいいだろう、すぐに長門を連れてきな」
提督「わ、わかりました」
――――
手術室
BJ「やはりな……」
提督「どうしたのです?」
BJ「彼女の脳内には例の深海棲艦とやらの脳も入っている。本来なら徐々に長門の脳と同化していき最終的にはわずかな記憶以外は残らないはずだ」
提督「はず、というのは」
BJ「だが深海棲艦の脳ではそう上手くはいかなかった、長門の部分と深海棲艦の部分が互いに反発しあっている」
提督「だから……」
BJ「以前出会った患者は性格や行動にここまでの影響はなかった、案の定脳が拒絶している」
提督「ではどうすれば……」
BJ「深海棲艦の部分を丸々摘出する」
提督「か、代わりの脳は?」
BJ「残念ながら存在しない、だからこれは賭けだ」
提督「賭け?いったいどうすると?」
BJ「摘出するだけだ、残りはダムディー溶液で満たす」
提督「そ、そんな……彼女はそれで生きられるのですか?」
BJ「脳を半分摘出して生き残った例はいくつもある、しかしそのほとんどは子供だ」
提督「子供……」
BJ「しかもその子供たちも片目や片足に障害を残すことになった」
提督「で、では彼女が生き残れる確率は……」
BJ「通常の成人女性ならおよそ20%、生活に支障がない程度の障害しか残らない可能性は5%といったところだ」
提督「……」
BJ「辞めるかい?」
提督「いえ、お願いします!どうせこのままじゃ0%、なら確率が低くても彼女を救う道を選びます!」
BJ「その言葉を待っていた、術式開始」
――――
BJ「術式終了、さぁ提督さん、次はアンタの番だ」
提督「わ、私ですか?」
BJ「いいから黙って手術台に寝ろ」
――――
「ここは……」
『オ目覚メカ』
「お前……」
『ワタシハモウ消エル、オマエハモウ私ニ悩マサレルコトハナイ』
「そうか、ここは私の頭の中か」
『ダガ忘レルナ、オ前ハ兵器ダ、死ヌマデ破壊衝動ヲ抑エルコトハデキンサ』
「抑えて見せるよ、絶対にね」
『なら見ていてやろう、地獄の淵から』
「地獄の淵?違うさ、お前の体は私の体で生きている、私の中で、右足で、左腕で」
『ククク、はははははははは!!!精々頑張れよ!艦娘!!!』
「ありがとう、私の中の君」
――――
翌朝
長門「うぅ……」
BJ「お目覚めか、相変わらずすさまじい回復力だな、どうだ体に違和感は?」
長門「先生……右目が見えない、それに声も何だか変だ」
BJ「そうか、おそらく視力が戻ることはない、脳の一部を摘出したからな、それより鏡を見てみろ」
長門「……これは、私なのか?」
BJ「あぁ、事後承諾になるが整形手術をさせてもらった、『長門』としての顔は邪魔になるからな」
長門「どういう意味だ?」
BJ「説明は後だ、提督が待ってる、ここを出るぞ」
長門「あ、あぁ……」
――――
鎮守府前
摩耶「ツギハギ先生!!早くしろ!もうすぐそこまで上層部の奴らが来てる!」
BJ「わかった!長門、あのタクシーにのれ!」
長門「わ、わかった」
摩耶「長門!!」
長門「何だ」
摩耶「アイツのこと、頼んだぜ」
長門「?」
BJ「おい!早くしろ!!」
長門「わかった!じゃあな摩耶」
ブロロロロロロ
摩耶「……幸せにな」
タクシー内
BJ「ふう、なんとか逃げ切れそうだ」
長門「ど、どういうことだ?提督は?」
BJ「提督ならここにいるじゃないか」
長門「何?」
運転手「私だよ、長門」
長門「ま、まさか」
運転手(提督)「顔も声も変えたからね、でも私だ」
長門「提督……」
BJ「悪いが感動の再会は飛行機でやってくれ、これが航空券だ」
長門「は、話が読めん!」
BJ「お前さんはこのままじゃ軍の上層部に始末されるところだった、だから二人で海外に高飛びしてもらう」
長門「そんな!提督まで巻き込む必要はないだろう!!」
提督「寂しいことを言うね、お前が行くならついて行くに決まっているだろう」
長門「提督……」
BJ「いつ追いかけてくるかもわからん、飛ばしてくれ運転手さん」
提督「はい!」
――――
空港前
提督「先生、何から何までありがとうございました」
長門「助かった、貴方のおかげだ」
BJ「ふん、私は仕事をしただけさ、それより忘れものだぜ」
提督「これは?私のカバンではないですよ」
BJ「いいや、アンタのだ中身を見てみろ」
提督「これは!?」
BJ「どうせ向こうでケッコンするんだろう?手術費は返すぜ、1億入ってる、向こうで使うといい」
提督「ですがそれでも多すぎます!」
BJ「ごちゃごちゃ言うなご祝儀ってやつだ、それともいらんのか?」
提督「っ……先生本当にありがとうございます」
長門「ありがとう、ありがたくいただくよ」
BJ「三、四年もすればほとぼりも冷めるだろう、帰ってきたら私のところに来な、顔と声も戻してやるぜ」
提督「はい!」
――――
空港外
BJ「まったく、世話のかかる患者だ」
――――
数年後
ピノコ「ちぇんちぇー、ウチでしぇーけーしゅゆつやるなんて珍しいわね~」
BJ「まぁ、彼らは特別だからな」
ピノコ「でも奥たんも旦那たんも幸せそうだったのよさ~」
BJ「苦労したんだろうさ」
ピノコ「む~ちぇんちぇーテキトー……何かいてるの?」
BJ「ん?まぁカルテみたいなもんさ」
長門リハビリ日誌
1146日目
右目の視力は回復しなかったが、両手両足、そして移植した内臓機能にも異常は見られなかった。彼女たちの顔と声を戻した。これからは提督、もとい元提督が彼女のリハビリを見守ることだろう。私の日誌はこれで終わりだ。
終わり
以上です
BJのいろんな話のエッセンスをツギハギしました(BJだけに)
艦これは初期に実装されてるやつ以外全然わかりません
大淀なんて二次創作でしかしりません
たぶんつっこみどころ満載でしたが楽しんでいただけたら幸いです
良かった、おつ
乙
まさにThe王道って感じのBJの一話だったわ。
良かった乙
ただBJにしては長めの話だったな
>>65
す、過ぎ去りし一瞬も長かったから(震え
GJ!
かなり好き、乙
(これ普通に考えたらBJ側の過失なのに、なんでこんなに偉そうなんやろ)
過失?
乙
海軍カレーとボンカレーはどう食べてもうまいのだ
乙
BJは読破したつもりだけど、脳の一部を移植するトコは思い出せん…
おつ!
乙
脳移植だとBJそのものじゃないがミッドナイトとかあったなぁ
>>73
話によっては新装される際欠番にされる事は良くある
快楽の座とか
あれは
>>69
ミスではないのよ
まったく副作用・後遺症がないのはありえないしの
ましてや依頼者が、深海のを使うと要望を出してた
乙
ちょっと駆け足だったけど一話読み切りの雰囲気で良かった
>>49-50
で、もっと吹っ掛けたと思うけど、雰囲気出ててよかった。
そもそも化け物の脳を人間に移植する時点で割りと無茶だしな
登場人物の名前やらヒョウタンのおかげでさらにBJ感が増したのよかったな
乙
よかった
乙
手塚治虫の艦これアンソロがあったらこんな感じなんかな
乙
乙ーまた書いてくれよなー
このSSまとめへのコメント
面白い