女「恋と選挙とパンケーキ」 (11)

リポーター「(選挙に行かなかった理由を)教えて下さい」

女(それは……)


ちょうど今日みたいな青空の、暑い夏の日だった――――


 たとえあす国が滅んでも
  きょういまここで
   わたしはあなたと
    パンケーキが食べたい


暑い暑い夏のある日

政治サークルで知り合った彼

彼は三度のパンケーキより投票が大好きだった

まだ若かったわたしもすぐに投票行動に夢中になった

そんなふたりが恋に落ちるまでたいした時間は要らなかった

わたしたちはシロップより甘く とろけるように愛し合った


でも幸せは長くは続かなかった

男「リオまで投票に行ってくる。とても・大事な・選挙なんだ」

男「寂しい思いをさせて悪いとは思う。でもね、いいかい、もし僕が帰ってきたら……」

男「一年後のこの日、原宿でいっしょにパンケーキを食べよう」

まぶしい笑顔を残して 次の日彼はジカ熱で死んだ


しんみりとしていた そのときに
とつぜんマスコミが 土足で店に踏み込んできた

マイクを持ったリポーター
カメラを抱えたカメラマン
メガホンをぶらさげた監督
台本をめくる脚本家
汚い言葉のバックコーラス
カラスが2匹とハトが2匹
遠くでサイレンが鳴っている

目の前には パンケーキがふたつ
わたしのぶんと あなたのぶん

カメラマンが怪訝な顔で撮影している
食いしん坊だと思われたかな


リポーター「あの」


そうだよ わたしは食いしん坊だよ


そう 今日は国の未来を決める 大事な大事な選挙の日
でもわたしはこの店にいる 朝からずっとこの店にいる

食べたいものが あったから


リポーター「(選挙に行かなかった理由を)教えて下さい」


たとえあす国が滅んでも きょういまここで


女「パンケーキのほうが大事ですから」


わたしはあなたと パンケーキが食べたかったんだ


fin

その時だった
突然現れた異次元の空間に女はパンケーキとともに飲まれて異世界に飛ばされてしまったのは

女「ここは?なに?パンケーキは?」

しかしパンケーキは一見してパンケーキに見えないほど無残にもその形を留めていなかった

女「・・・パ、パ、パンケーキ!!」

女「いやぁぁぁぁぁ!!」

女の悲しい叫び声が異世界にこだました

この時間のVIPは寝てた才能が起き出すんかね

なんか行かなかったなそういえば

http://i.imgur.com/GC8wZ3D.jpg
「選挙よりパンケーキの方が大事」→「だから投票に行かなかった」はおかしいわ
100歩譲ってパンケーキより大事でなくていいから投票は行け

恋チョコ懐かしいなぁ

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