穂乃果「いつも私の隣には」【ラブライブ】 (100)
私の隣にはいつもあなたがいてくれた
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465912809
私たちの出会いがいつだったかなんて、そんなはっきりとした瞬間なんてもう覚えていない
だって物心がついた時にはもう友達だったから。
気づいた時にはもう――、あなたは私の隣にいたから。
母親同士が仲良しで、私たちは赤ん坊の時から何度も顔を合わせていた。家も近いということもあって小さい頃からよく一緒だった
……と、そんな話を親から何度も聞かされてきたけれど、そんなに小さい時の事なんて正直覚えてるハズもない。
だから今の私がはっきりと言えることは、いつの間にか私たちは友達で、幼なじみで親友で、そして……
いつも私の隣にはあなたがいてくれた、ということ。
いつも一緒だった。いつも一緒にいてくれた。
幼稚園の時も、小学校の時も、中学でも高校でも
楽しい時も嬉しい時もそれから辛い時も
どんなときでもずっと、あなたは私の隣にいてくれた。
そして、それは私たちが少しずつ大人になっていく途中でも変わらなかった。
変わることなく、あなたとずっと一緒だった。
ずっとこの関係が壊れることはなかった。
あなたが迷ってる時には私が手を引っ張ってあげた。
私が悩んだり自信がない時はあなたが背中を押してくれた。
そうやってお互い支え合いながら一緒に成長していったよね
高校ではいきなりアイドルを始めると言い出した私に、なんだかんだ言いながらも付き合ってくれたよね。
それがきっかけで私たちの高校生活は大きく変わっていった
毎日がキラキラ輝いてて楽しくて、たくさんの友達とかけがえのない大切な仲間が増えていった。
学校に行けば自然と友達の環ができて、多くの人に囲まれて……
そして勿論その環の中にもあなたが居た。
本当にずっと一緒だったね。
ずっとずっと一緒にいてくれた。
あの頃の私たちは、これから先も私たちはずっと一緒だと思ってた。
どんな時もずっと一緒で、この関係が永遠に続くとさえ思っていたよね。
そう信じて疑いもしなかった。
――――――
やがて高校を卒業した私たちは違う大学に進学―――
別々の進路を進むこととなった。
今思えば、私たちが別々の学校に通うというのは初めての事で、当時の私には多少は戸惑いなんかもあった。
それでも週に何回か会って一緒に遊んだりして、私たちは大学生になってもこの関係が続いていくのだと
そう実感できて私はとても嬉しかった。
でも、それもやはり最初だけだった。
生活環境の違いから、やっぱり私たちは少しずつ疎遠になっていった。
私もあなたも、大学の授業や課題に追われて忙しくて
私はバイトを始めて、あなたも大学でまた弓道を始めて練習や遠征で忙しくなり、人付き合いの相手も変わって
だんだんお互いの都合が合わない事が多くなり、少しずつ、また少しずつ会えなくなっていった。
それに……、あなたと私とそれから――。
今まで幼なじみ三人いつも一緒だったから……
毎日会っていただけに、少しでも一緒にいないだけで違和感を覚えた。
二人が横にいないだけで心に余裕がなくなった。
あなたがいないだけで不安になった。
……でも耐えられない訳ではなかった。
確かに少しは寂しいとか心細いとか思う時もあったけれど、またあなたと会えることを想像すると、それだけで頑張れた。
それに何より、あなたと会えることが頑張った後のご褒美だと思えばぜんぜん苦じゃなかった。
それどころか、会えない日が長ければ長いほど、久しぶりに会えることが嬉しく思えたし……
それなら会えない日が続くのも悪くはないのかもとさえ思い初めていた。
――――――
でも、そんな考えも長くは続かなかった。
大学生活、最初の夏―――
私のもう一人の親友が海外に旅立っていきました。
海外留学だそうです。
私は空港へ見送りに行きました。
幼なじみのあなたと一緒に。それからμ's のメンバーも一緒だった。みんなでその親友を送り出しました。
もちろん最初は笑顔で見送ったけど、帰りの電車の中で私は泣いてしまった。
その子はもう日本にはいない
そう考えただけで寂しくて悲しくて、私は泣いちゃったんだ。
その後、自分の家に戻っても涙は止まらず私は泣き続けた。
たぶん高校を卒業してからずっと溜め込んでいたものが全部一気に爆発しちゃったんだと思う。
一度泣き始めたら涙が止まらなくなった。
それから数日もの間、泣いてばかりの日々が続いた。
今思えば、あの頃の私は泣いてばっかりだったな
ちょうど夏休みの途中だったということもあって、一人でいる時間が多くなったからというのも理由の一つだったのかもしれない。
とにかく親友に会いたくて……。
でもそれを良しとしない私がいて……
自分がどうしたいのか、どうしたらいいのか、何もかも全部分からなくなって
それで何も出来なくなって……
とにかく、あの頃の私は毎日泣いてばかりだった。
ことりちゃんに会いたい。でも、いま会っちゃったら自分の夢を叶えるために頑張ってることりちゃんの邪魔になる。
だからこの気持ちは胸の内に押さえ込んだ方がいい。
自分のワガママでことりちゃんを振り回す訳にはいかない。
……これが私の言い分。
そんな気持ちに押しつぶされて私は泣いてばかりだった。
朝起きては泣いて、アパートに一人で居ては泣いて、気分転換に散歩に出掛けては泣いて
誰かに会いたいと思えば、まず真っ先にその子の顔が浮かんできて、会いたくなってその度に何度もツラくなって
まるで何かに取り憑かれたみたいに私は毎日泣いてばかりだった
特に夜なんかは本当に辛かった。
夜一人でいるだけで淋しくなって、何度も海外にいる親友に電話を掛けようとした……。
でもいざ電話を掛けようとすると、その都度、国際電話とか時差の問題なんか気にしちゃって
それに、あんまり電話を掛け過ぎると返って心配させちゃうと思って、その度に踏みとどまって……
だからあなたに電話するしかなかった。
あなたに頼るしかなかった。
夜あなたに電話を掛けては、夜中にも関わらず話に付き合ってくれた。
時には真夜中に私を心配して家に来てくれた事もあった。
今にも泣きそうな私を慰めてくれた。
なのに私はそんなあなたに愚痴ってばかりだったね
夜中にわざわざ訪ねて来てくれたというのに、私はすぐ自分の話に付き合わせてばかりだったね
最期の一撃は、せつない。
親友に会いたい。
会いたくて……、でも邪魔になるんじゃないかと思えて、そう思うとどうしたらいいのか分からなくなって……
正反対の意見に悩まされて、私はなにも出来なくて泣き喚いて
そうやって朝から晩まで1日中泣いてばかりいたそんな私を、あなたは慰めてくれたね。
さんざん愚痴って泣いてばかりいた私の側にずっと寄り添ってくれた。
そしたら私は泣き疲れてそのまま眠っちゃって……
朝起きたらあなたが朝ご飯を作って待っていてくれて、一緒に食べてあなたは帰っていく。
そしてまた一人になるとやっぱり寂しくなって、またあなたに頼ってしまう。
それがお決まりだった。
そんな自分が情けなくて、私は何度も強くなろうと思ったよ。
なんとか強くなろうと頑張ったけれどやっぱり無理で、だからあなたの優しさに頼るしかなくて
そんな自分が不甲斐なく思えて、でもどうすることも出来なくて
だから……
また あなたに頼るしかなかった。
また あなたに泣きつくことしか出来なかった。
あなたの優しさに甘えることしか出来ない自分が本当に情けないと思った
そんな私に、あなたは何をしてくれたと思う?
なんと私に内緒でその親友を日本に呼び戻してくれたの。
そりゃあビックリしたよ
だって次に帰国するのは冬になるって聞いていたし、たぶんお正月まで会えないものだと思っていたから
それに、ちょっぴり恥ずかしかった
だって、ついこの間みんなで盛大に見送ったばかりだったから……。
空港まで見送りに行って、ひとりひとり励ましの言葉を贈ってみんなで抱き合ったりして
それにμ's 全員の予定を無理やり合わせてわざわざ送別会までしたのに……
それなのに、1ヶ月も経たない内にその親友は日本に帰ってきちゃうんだもん
なんていうか、呆れたよほんと……
本当に帰国しちゃう親友も親友なら、それを承知で呼び戻そうと思い立ったあなたもあなただよ。
でもね……
私はとっても嬉しかったんだよ
たった数日だけだったけれど、それでも3人で過ごした時間はとても楽しかった。
何も考えず、勢いのまま三人で街に繰り出したね。
一緒に買い物して、ご飯を食べて、お泊まりなんかして三人一緒に同じ布団で寝た。
それから海にも行ったよね。
でも実はその時のことはあんまり覚えてないんだ
その数日間、どこに行ったとか何を喋ったとか何を食べたかとか、そういう事はほとんど覚えてないの
だって私にとっては2人がいてくれただけで、それだけで十分だったから
三人一緒にいられるだけで私は幸せだったから
その時、私は思ったの。
この2人が友達で本当に良かったって。
そして、あっという間に親友がまた海外に戻る日がやって来た
見送りの為にまた空港へ。
つい先日、同じ人物を見送ったその場所にまた行くのはちょっぴり気恥ずかしかった
それでも前と同じように笑顔で見送った。展望デッキでは飛行機が見えなくなるまで手を振り続けた。
そして前と同じ帰りの電車の中
自然と涙は出なかった。
その代わりたくさんの感謝の気持ちが溢れてきた。
私はあなたにありがとうと言った。何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
その時ほど、ありがとうの言葉以上に感謝の気持ちを伝える言葉があればいいのにと、何度思ったことか
でもやっぱり思いつかないから……、一言で感謝の気持ちを伝えきる術を知らないから……
だから私はありがとうと言うしかなかったの。
隣の席に座るあなたに私の今の気持ちを全部伝えたくて、何度も何度もありがとうと言い続けた。
それに、今でも時々そのことを思い出しては あなたにその気持ちを伝えたくなる
本当にありがとう
――――――
終わり?
いったん区切りにさせていただきます。
尚、このSSは短編集・穂乃果の語り口調というスタイルで進めていこうと思っています。
地の文ばかりでマンネリ化しそうですがご了承ください。
楽しみにしてます!
ちょこっと更新します。
――――――
夢を見た。
私たちがまだ子どもだった頃の記憶―――
私があなたと初めてケンカをした時のことを……。
まだ小学生だった時、私たちは初めてケンカした。
理由はなんだったかな……?
確か私があなたの大事にとっておいたパンを食べちゃったとか、そんなどうでもいいような事だったと思う。
そんな些細な事が原因で私たちはケンカしちゃったっけ
あなたは『その大雑把な性格に問題があるからです!』……なんて言って……
私は私で、そんな小さな事で怒らなくても言いじゃんとか言って
でも今思えば、非を認めず言い訳ばかりで反抗的になってた私もけっこう小さかったと思う。
今では反省しております、あはは……。
ただ当時の私たちはバカとかふざけないでとか汚い言葉を初めて使って……
あなたにヒドいことを言ってしまったそんな自分に傷ついて……
でも私はケンカしちゃった事よりも、あなたともう一生口を利けないんじゃないかって想像しちゃって、そっちの方が怖くなった。
でもいざ次の日、顔を合わせると二人ともケンカしていたこと自体忘れちゃってて、いつの間にか仲直りしてて……
いつも通りお話してるところを見たもう一人の親友が困り果てていて、それがもう可笑しくて
それでね……その頃の私は気付いちゃったの。
私はあなたと一緒にいたいと思ってるんだなーって
ケンカしても、何があっても、私はあなたと一緒にいたい
きっとこれから楽しい事ばかりじゃない。時には辛い事もあるかもしれない。今回みたいにケンカしちゃうかもしれない……。
それでも私は一緒にいたい
……それに気付くことが出来た。
多分……、あなたも同じことを考えてるんじゃないかな
それからの私たちはというと、やっぱりケンカすることもあったし、あなたに何かとガミガミ言われることもあったけれど、その度に仲直りして……
ケンカと仲直りを何度も繰り返して、それでも私たちはずっーと一緒だった。
それにあなたが怒るのはいつも私の為を考えてくれてのことなんだよね。
いつも私のことを大切に考えてくれて心配してくれているからこそ、つい厳しくしちゃうんだよね。
そのくらい穂乃果はちゃんと分かってるから……
だから、有り難いよ。
有り難いと思ってるけど……
だけど……さ?
さすがにちょっと厳しすぎじゃない?
――――――
思えば私は中学生の頃もあなたに支えられてたね
あれは確か、ちょうど中3で進路のことを考えなきゃいけない時期だったかな
私の進学先は最初から音ノ木坂学院だと決まっていた。
音ノ木坂に通うことが、幼い頃からの私の目標だった。
でもそれは私にとっては簡単なことじゃなかった。
進路相談で先生に相談したら今の私の成績だと難しいと――、もしかしたら音ノ木坂に行けるかどうか分からないと言われた。
今のままの成績だと厳しいって……
私は自分の勉強不足を呪った。
自分の夢が叶わないかもしれないと思うと、悔しくて泣き出しちゃいそうだった。
だから私は慰めてほしくてそのことを話したの。
そしたらね……
私はあなたに叱られたの。
落ち込んでいる暇があったら勉強しなさい!
……だって。
さすがにムカついたよ
せめて慰めてくれてもいいじゃんと思った
でもね……、ホントは感謝してるんだよ
おかげで私は大切な事に気付くことが出来たから。
夢はただ待っているだけじゃ何も叶わない。自分の力で叶えていくものだって―――
そう教えてくれたのは あなたなんだよ。だから感謝してる。
それに~、私がちゃんと音ノ木坂に合格できるように付きっきりで勉強を教えてくれたしね、えへへ♪
ありがとね
……あれ?
私ってば昔からあなたに頼ってばかりだね……、あはは
――――――
今回はここまでにします。
うーん、このスタイルは以外に難しい。どうしても同じ言葉を使いがちになるので、大きな更新は土日のどちらかになると思います。
るてし待期待してる
――――――
あの夏からまた月日が流れました。
数年間の大学生活を経た後、私たちは大学を卒業し就職―――
海外に行ってた親友も日本に帰国。留学の経験を生かして自分のお仕事を見つけて、そして……
私たちは、また三人一緒になれた。
それから数年後―――
私もあなたも社会人の生活にようやく慣れてきた頃、ある報せが私の元に舞い込んだ。
あなたが結婚するという報告です
結婚という突然のビッグニュースに私は驚きと喜びとで胸がいっぱいになった。とっても嬉しくて、私は素直に祝福した。
だって私が望むことは、あなたに幸せでいてほしいということなんだから……、
だからあなたに『おめでとう』と言った。
それに今まで家族のように一緒に育ってきたんだもん
私は自分のことのように喜んだよ
あの時の周りの人たちの反応は凄かったね
特に家族や親戚、それからご近所さん、
町内会が総出であなたのことをお祝いしてたね。
家に買い物に来るご近所さんはみんなその話題に触れてくるし、お父さんは真っ昼間から近所の人たちと一緒にお酒を飲んでるしさ……
やっぱり大きなお家の結婚だと それだけで大きな話題になるんだね
『 結婚 』
人生のターニングポイント。
女の子が真っ白なドレスを着て、隣には大好きな人がいて、
それをたくさんの人が祝福してくれる。
まさに女の子の憧れ
人生でその時以上に幸せな事なんてあるのだろうか、……なんて、小さい頃から子どもながらにそう思っていた。
だから、もちろん私も祝福したよ。
ちょっと照れくさそうに話をするあなたは、これから始まる新しい生活に期待と喜びを膨らませながらワクワクしてるんだろうなと――…
あなたは今とても幸せなんだろうなと思ったから。
でも、その幸せな時間は長くは続かなかった。
婚約破棄だって。
婚約者から一方的に別れ話を持ち出されたんだって。
目の前で婚姻届を破られて、予定してた結婚式も披露宴も全て取り止めになった。全ての話が白紙になった。
結婚式の1週間前だった。
……理不尽だよね
その日は私と親友と二人で夜が明けるまであなたの話に付き合った。
一晩中泣き続けるあなたの側で愚痴を聞いてあげた。
今思えばあんなに取り乱したあなたを見るのは初めてだったね。
さんざん泣いて愚痴って、普段は言わない悪口を言って、物に当たって…
それから飲めもしないのに強いお酒をいっぱい飲んでさ……
……今まで見たこともないくらい取り乱してた
そんなあなたの側にいてあげた。
だってその時の私には胸を貸してあげることくらいしか……、それくらいしか出来ることがなかったから……
あなたの側にいてあげることくらいしか出来なかったから。
でもね……
不謹慎かもしれないけど、実はちょっぴり嬉しかったの
だって、ちゃんと私たちを頼ってくれたから……
言葉にはしなくても、あなたが私たちのことを信頼してくれてるんだなと感じることができたから
それが何よりも嬉しかった
……って、やっぱり不謹慎だよね、あはは……、ごめん
ねぇ……、これから先もこんな事があるのかな?
こんなに悲しい事が何度もあるのかな?
だとしてもさ、………頑張ろうね……。
別に1人で頑張れって言ってる訳じゃないよ?
当たり前かもしれないけど、あなたは一人じゃないんだよ。
私がいる。ことりちゃんがいる。
あなたはいつも1人で何もかも頑張ろうとしちゃうけれど、辛い時は私たちを頼っていいの。寄っ掛かってもいいの。
だって今までそうやって支え合いながら頑張ってきたんだから
だから今は泣いていいんだよ
ツラい時は弱音を吐いていいの。悲しい時は泣いていいの。
あんまり溜め込むと大切なモノを見失っちゃうから。親友が留学した時の私がそうだったから……
だから気の済むまで泣いてね
私はいくらでも胸を貸すから―――。
そして次の日、あなたはいつも通りのあなたに戻っていてくれた。
たぶん思いっきり泣いて、嫌な事も全部吐き出してすっきりしたみたいで、晴れやかな表情をしていて……
そして ありがとう と言ってくれた
あなたは律儀に感謝の気持ちと言ってお礼しようとしてくれたけれど……、正直そんなものは要らなかったんだよ?
誰に対してでも礼儀正しいところはあなたのいいところだけどさ、ホントはそんなの要らないの。
なぜなら私にとっては、あなたが笑顔でいてさえくれればそれで十分なんだから……
友達なんだもん、当たり前だよ
もしかしたらこれからもツラい事があるのかもしれない。理不尽な事がいっぱいあるかもしれない。
でも……
もしそうだとしても、一緒に乗り越えていこうね。
きっと何とかなるよ!
今までだってそうしてきたんだから――――
――――――
期待
レス感謝です。
ちなみにこの更新で最後です。
それからまた数年が経ちました。
あなたの破局騒動も落ち着いて、騒がしかった周囲の人たちのほとぼりも冷めてきて、
私もあなたも、またこれからだと思った、そんな矢先―――
突然、あなたが倒れて入院しました。
仕事中に知らせを聞いた私は、仕事も何もかも全部ほっぽりだして病院に向かった。
何が起きたのかも分からないまま、ただあなたのことが心配で心配で、何も考えず走った。
病院に着いた時には既にあなたは病室で眠っていて、知り合いから口頭で病名を説明された。
専門用語だらけの難しい話を分かりやすく話してくれたけど、
けど穂乃果はバカだから全然理解出来なくて……
とにかく、その場ですぐに理解できたことは手術が必要だということ。
頭が真っ白になった
それに確率は5%だって。………本当にショックだった
本当にショックで私は思わず泣いてしまった。
あなたが死んじゃうかもしれないと思うと、涙をこらえることができなかった。
………当たり前じゃん
だって、そんなこと考えたこともなかった
あなたがこの世界からいなくなるなんて……、私の隣からいなくなるなんて……
………考えたこともなかったから……
だから私は泣くしかなかった。
病室でワンワン泣いて、人目もはばからず泣いて
そんな私を、あなたは慰さめてくれたよね。ベッドの上から私を抱き寄せてギュッて抱きしめてくれた。
その時のぬくもりは今でも良く覚えている。
本当に辛いのはあなたの方のハズなのに……
泣きたいのはあなたの方のハズなのに……
なのに、あなたは私を抱きしめてくれた。
いつもと同じように慰めてくれた。
そしたら余計に涙が止まらなくなった。
あなたがあまりにも強いから……
私がいつもあなたに頼ってばかりだから。ワガママ言ってばかりだから
………だから私は決めたの
もっと強くならなきゃって。
もしも、あなたがいなくなっても生きていけるくらい強くならなくちゃって……
そう心に決めたの――…
そして迎えた手術当日―――
手術は無事成功しました
私は歓喜の声を上げた。涙をぼろぼろと流して喜んだ。
もちろんみんなも手術の成功を喜んでる。
喜んでいる、けど……
こんなに喜んでいるのは私だけ?
確かにみんな喜んでいるけれど、どちらかというとホッとしてるといった様子で、穂乃果ほどじゃない。
あれ……?
何かがおかしい?
難しい手術が成功したというのに、みんなやけに冷静すぎる。
どうやら5%とは、失敗する確率のことだったらしい
しかも滅多な事があっても失敗することはほとんど無いんだって。
私は火が出るほど恥ずかしかった。
自分の勘違いであんなに泣き喚いてたのかと思うと、恥ずかしすぎて死んじゃいそうだった。
知り合いみんなには呆れられるわ、看護婦さんからはクスクス笑われるわ……
本当に恥ずかしかったよ
でもね……
それでも私は構わず泣いたんだよ
だってその時ほど、あなたが生きててくれて良かったと思ったことなんてないんだから
そしてその日
2人っきり病室の中で私は一つの約束を交わした
穂乃果「ねぇ海未ちゃん。穂乃果はいつもこんなだけど、それでも私の隣にいてくれる?」
海未「仕方ありませんね」
そう言って笑うあなたは、まるで子どものわがままを聞くかのように仕方ないといった感じで……
でも、どことなく嬉しそうに笑っていた。
――――――
――――
私の隣にはいつもあなたがいてくれた
物心が付く前から、子どもの頃から、それから小学生の時も中学でも高校でもずっと一緒だった。
楽しい時も悲しい時も……
どんなときでもずっと私の隣にいてくれた。
そして、それは大人になった今でも変わらない
隣を向けば そこにはあなたがいる
私の隣には あなたがいてくれる
それはたぶん……
……ううん、これからもずっと――…
~ END ~
乙でした
いかがだったでしょうか?
穂乃果「いつも私の隣には」
は以上で完結になります
この作品は皆さんの想像力を掻き立てたくて少し風変わりな作風で書かせていただきました
つい途中だらだらとした文章になってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました
ほのかわいい
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません