穂乃果「いつも私の隣には」【ラブライブ】 (100)


私の隣にはいつもあなたがいてくれた

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私たちの出会いがいつだったかなんて、そんなはっきりとした瞬間なんてもう覚えていない
 

だって物心がついた時にはもう友達だったから。



気づいた時にはもう――、あなたは私の隣にいたから。


母親同士が仲良しで、私たちは赤ん坊の時から何度も顔を合わせていた。家も近いということもあって小さい頃からよく一緒だった


……と、そんな話を親から何度も聞かされてきたけれど、そんなに小さい時の事なんて正直覚えてるハズもない。


だから今の私がはっきりと言えることは、いつの間にか私たちは友達で、幼なじみで親友で、そして……
 


いつも私の隣にはあなたがいてくれた、ということ。




いつも一緒だった。いつも一緒にいてくれた。


幼稚園の時も、小学校の時も、中学でも高校でも

楽しい時も嬉しい時もそれから辛い時も


どんなときでもずっと、あなたは私の隣にいてくれた。


そして、それは私たちが少しずつ大人になっていく途中でも変わらなかった。

変わることなく、あなたとずっと一緒だった。

ずっとこの関係が壊れることはなかった。


あなたが迷ってる時には私が手を引っ張ってあげた。

私が悩んだり自信がない時はあなたが背中を押してくれた。


そうやってお互い支え合いながら一緒に成長していったよね


高校ではいきなりアイドルを始めると言い出した私に、なんだかんだ言いながらも付き合ってくれたよね。
 

それがきっかけで私たちの高校生活は大きく変わっていった


毎日がキラキラ輝いてて楽しくて、たくさんの友達とかけがえのない大切な仲間が増えていった。


学校に行けば自然と友達の環ができて、多くの人に囲まれて……

そして勿論その環の中にもあなたが居た。


本当にずっと一緒だったね。

ずっとずっと一緒にいてくれた。


あの頃の私たちは、これから先も私たちはずっと一緒だと思ってた。

どんな時もずっと一緒で、この関係が永遠に続くとさえ思っていたよね。



そう信じて疑いもしなかった。

――――――


やがて高校を卒業した私たちは違う大学に進学―――

別々の進路を進むこととなった。


今思えば、私たちが別々の学校に通うというのは初めての事で、当時の私には多少は戸惑いなんかもあった。


それでも週に何回か会って一緒に遊んだりして、私たちは大学生になってもこの関係が続いていくのだと

そう実感できて私はとても嬉しかった。


でも、それもやはり最初だけだった。

生活環境の違いから、やっぱり私たちは少しずつ疎遠になっていった。


私もあなたも、大学の授業や課題に追われて忙しくて

私はバイトを始めて、あなたも大学でまた弓道を始めて練習や遠征で忙しくなり、人付き合いの相手も変わって

だんだんお互いの都合が合わない事が多くなり、少しずつ、また少しずつ会えなくなっていった。


それに……、あなたと私とそれから――。


今まで幼なじみ三人いつも一緒だったから……

毎日会っていただけに、少しでも一緒にいないだけで違和感を覚えた。


二人が横にいないだけで心に余裕がなくなった。



あなたがいないだけで不安になった。


……でも耐えられない訳ではなかった。


確かに少しは寂しいとか心細いとか思う時もあったけれど、またあなたと会えることを想像すると、それだけで頑張れた。

それに何より、あなたと会えることが頑張った後のご褒美だと思えばぜんぜん苦じゃなかった。


それどころか、会えない日が長ければ長いほど、久しぶりに会えることが嬉しく思えたし……

それなら会えない日が続くのも悪くはないのかもとさえ思い初めていた。

――――――


でも、そんな考えも長くは続かなかった。



大学生活、最初の夏―――


私のもう一人の親友が海外に旅立っていきました。

海外留学だそうです。


私は空港へ見送りに行きました。

幼なじみのあなたと一緒に。それからμ's のメンバーも一緒だった。みんなでその親友を送り出しました。


もちろん最初は笑顔で見送ったけど、帰りの電車の中で私は泣いてしまった。


その子はもう日本にはいない


そう考えただけで寂しくて悲しくて、私は泣いちゃったんだ。


その後、自分の家に戻っても涙は止まらず私は泣き続けた。


たぶん高校を卒業してからずっと溜め込んでいたものが全部一気に爆発しちゃったんだと思う。

一度泣き始めたら涙が止まらなくなった。




それから数日もの間、泣いてばかりの日々が続いた。


今思えば、あの頃の私は泣いてばっかりだったな


ちょうど夏休みの途中だったということもあって、一人でいる時間が多くなったからというのも理由の一つだったのかもしれない。


とにかく親友に会いたくて……。

でもそれを良しとしない私がいて……

自分がどうしたいのか、どうしたらいいのか、何もかも全部分からなくなって

それで何も出来なくなって……



とにかく、あの頃の私は毎日泣いてばかりだった。


ことりちゃんに会いたい。でも、いま会っちゃったら自分の夢を叶えるために頑張ってることりちゃんの邪魔になる。

だからこの気持ちは胸の内に押さえ込んだ方がいい。

自分のワガママでことりちゃんを振り回す訳にはいかない。


……これが私の言い分。


そんな気持ちに押しつぶされて私は泣いてばかりだった。


朝起きては泣いて、アパートに一人で居ては泣いて、気分転換に散歩に出掛けては泣いて

誰かに会いたいと思えば、まず真っ先にその子の顔が浮かんできて、会いたくなってその度に何度もツラくなって


まるで何かに取り憑かれたみたいに私は毎日泣いてばかりだった


特に夜なんかは本当に辛かった。


夜一人でいるだけで淋しくなって、何度も海外にいる親友に電話を掛けようとした……。

でもいざ電話を掛けようとすると、その都度、国際電話とか時差の問題なんか気にしちゃって

それに、あんまり電話を掛け過ぎると返って心配させちゃうと思って、その度に踏みとどまって……


だからあなたに電話するしかなかった。


あなたに頼るしかなかった。


夜あなたに電話を掛けては、夜中にも関わらず話に付き合ってくれた。

時には真夜中に私を心配して家に来てくれた事もあった。


今にも泣きそうな私を慰めてくれた。


なのに私はそんなあなたに愚痴ってばかりだったね


夜中にわざわざ訪ねて来てくれたというのに、私はすぐ自分の話に付き合わせてばかりだったね


レス感謝です。
ちなみにこの更新で最後です。


それからまた数年が経ちました。


あなたの破局騒動も落ち着いて、騒がしかった周囲の人たちのほとぼりも冷めてきて、

私もあなたも、またこれからだと思った、そんな矢先―――



突然、あなたが倒れて入院しました。


仕事中に知らせを聞いた私は、仕事も何もかも全部ほっぽりだして病院に向かった。


何が起きたのかも分からないまま、ただあなたのことが心配で心配で、何も考えず走った。


病院に着いた時には既にあなたは病室で眠っていて、知り合いから口頭で病名を説明された。



専門用語だらけの難しい話を分かりやすく話してくれたけど、


けど穂乃果はバカだから全然理解出来なくて……



とにかく、その場ですぐに理解できたことは手術が必要だということ。


頭が真っ白になった


それに確率は5%だって。………本当にショックだった


本当にショックで私は思わず泣いてしまった。

あなたが死んじゃうかもしれないと思うと、涙をこらえることができなかった。



………当たり前じゃん


だって、そんなこと考えたこともなかった


あなたがこの世界からいなくなるなんて……、私の隣からいなくなるなんて……



………考えたこともなかったから……


だから私は泣くしかなかった。


病室でワンワン泣いて、人目もはばからず泣いて


そんな私を、あなたは慰さめてくれたよね。ベッドの上から私を抱き寄せてギュッて抱きしめてくれた。

その時のぬくもりは今でも良く覚えている。


本当に辛いのはあなたの方のハズなのに……

泣きたいのはあなたの方のハズなのに……



なのに、あなたは私を抱きしめてくれた。

いつもと同じように慰めてくれた。


そしたら余計に涙が止まらなくなった。


あなたがあまりにも強いから……

私がいつもあなたに頼ってばかりだから。ワガママ言ってばかりだから




………だから私は決めたの


もっと強くならなきゃって。


もしも、あなたがいなくなっても生きていけるくらい強くならなくちゃって……


そう心に決めたの――…



そして迎えた手術当日―――




手術は無事成功しました


私は歓喜の声を上げた。涙をぼろぼろと流して喜んだ。


もちろんみんなも手術の成功を喜んでる。




喜んでいる、けど……


こんなに喜んでいるのは私だけ?


確かにみんな喜んでいるけれど、どちらかというとホッとしてるといった様子で、穂乃果ほどじゃない。


あれ……?
何かがおかしい?


難しい手術が成功したというのに、みんなやけに冷静すぎる。


どうやら5%とは、失敗する確率のことだったらしい

しかも滅多な事があっても失敗することはほとんど無いんだって。




私は火が出るほど恥ずかしかった。


自分の勘違いであんなに泣き喚いてたのかと思うと、恥ずかしすぎて死んじゃいそうだった。


知り合いみんなには呆れられるわ、看護婦さんからはクスクス笑われるわ……



本当に恥ずかしかったよ



でもね……

それでも私は構わず泣いたんだよ


だってその時ほど、あなたが生きててくれて良かったと思ったことなんてないんだから


そしてその日

2人っきり病室の中で私は一つの約束を交わした




穂乃果「ねぇ海未ちゃん。穂乃果はいつもこんなだけど、それでも私の隣にいてくれる?」


海未「仕方ありませんね」




そう言って笑うあなたは、まるで子どものわがままを聞くかのように仕方ないといった感じで……


でも、どことなく嬉しそうに笑っていた。

――――――
――――


私の隣にはいつもあなたがいてくれた


物心が付く前から、子どもの頃から、それから小学生の時も中学でも高校でもずっと一緒だった。

楽しい時も悲しい時も……
どんなときでもずっと私の隣にいてくれた。



そして、それは大人になった今でも変わらない



隣を向けば そこにはあなたがいる


私の隣には あなたがいてくれる



それはたぶん……

……ううん、これからもずっと――…



~ END ~


いかがだったでしょうか?


穂乃果「いつも私の隣には」

は以上で完結になります


この作品は皆さんの想像力を掻き立てたくて少し風変わりな作風で書かせていただきました

つい途中だらだらとした文章になってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました

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