市原仁奈「全然ちげー!」(28)
-事務所付近、道路-
響子「わったーしが!すっきーなら♪」スタスタ…
響子(今日はお天気も良いし、気分も上々!良いことありそうです!)
響子「♪~」
\ワーワー!ギャーギャー!/
響子「…?何だろ?」
仁奈「だ~か~ら~!そうじゃねーってんですよ!」
???「わかんないよぉ…ウサギさんの気持ちなんてぇ」
仁奈「ウサギの気持ちにもなれねーのに着ぐるみなんて10年はえーでごぜーます!」
???「えぇ~!?そもそも仁奈ちゃんもまだ9歳じゃん!」
仁奈「に、仁奈はいいんですよ!着ぐるみアイドルでごぜーますから!」
???「そんなのずるい~!かおるも着ぐるみ着たい~!!」
\ギャーギャー!/
響子「…仁奈ちゃんと…誰?」
仁奈「あ、響子おねーさん!こんにちは!」
響子「こんにちは、仁奈ちゃん。学校の帰りかな?」
仁奈「今日はプロデューサーがごはん食べに行くって!張り切って来やがりました!」
響子「そっか…あの、仁奈ちゃんこの子は?」
仁奈「あ、聞いてくだせー。薫の野郎着ぐるみが着たいって言うから…」
響子「薫?薫…あ、〇△プロの龍崎薫ちゃん!」
薫「龍崎薫でぇす!よろしくおねがいしまー!」ペコッ!
響子「仁奈ちゃんのお友達なの?」
仁奈「『くされえん』ってやつでごぜーますよ!まったく!」
薫「仁奈ちゃんと同じ学校なんだー!」ニコニコ
響子「そうなんだ♪仲良しなんだね」
仁奈「動物の気持ちにもなれねー薫はヘナチョコでごぜーますね!」
薫「なんだとー!かおるだって出来るもん!」
仁奈「ならウサギの気持ちになってみやがれってんですよ!」
薫「ぴょ…ピョン!ピョン!」ピョコピョコ
仁奈「全然ちげー!」ウガー!
響子(仁奈ちゃんってこんな師匠肌だったっけ…?)
-事務所-
ガチャ!
響子「こんにちは!」
仁奈「こんにちはー!」
P「おっす。一緒に来たのか?」カタカタ…
響子「さっきそこで会ったので一緒に来ました♪」
仁奈「ほら、薫も早く入るでごぜーますよ」
薫「おじゃましまー!龍崎薫でぇす!」ペコッ!
P「あれ?君は…薫Pさんのとこの薫ちゃん?」
薫「せんせぇ知ってるの?」
P「君の『せんせぇ』にはよくお世話になってるよ。…で、なんでここに?」
響子「仁奈ちゃんが特訓をするって連れてきちゃったみたいです…」
P「あぁ…特訓ね。…特訓?何の?」
仁奈「着ぐるみを着るための特訓でごぜーますよ!」フンス!
P「お、おう…?」
薫「かおるもね!着ぐるみ着たいんだー!」
仁奈「その前に着る着ぐるみの気持ちになりやがれってんだ!薫もきかねー奴ですね!」
響子「さっき会ったときからずっとこの調子で…」
P「仁奈ちゃんも頑固者だからな…俺にも止められんぞ」
響子「硬派ですね…仁奈ちゃん」
P「〇△プロの薫Pさんには連絡を入れとくから自由にしなさい。談話コーナーで好きなだけやらせれば気が済むだろ」
響子「は、はぁ」
仁奈「よぉし!特訓だー!付いて来やがるですよ、薫!」グイグイ
薫「自分で歩けるよぉ!」ズルズル…
P「…すまん響子、面倒見てくれるか?こっちは忙しくてな」カタカタ…
響子「…分かりました!任せてください!」
-談話コーナー-
仁奈「さぁ、特訓を始めるでごぜーますよ!」
薫「わぁー!」パチパチ
響子「わ、わぁ~」パチパチ
仁奈「さっきも言ったけど、まずは着る着ぐるみの気持ちにならねーと着ぐるみを着ることは出来ねーでごぜーます」
薫「なんで~?」
仁奈「気持ちから入って行くことで初めて着ぐるみとひとつになれるんでごぜーます!」ドヤァ!
響子(仁奈ちゃんなりに信念があるんですね…)
仁奈「薫は一番簡単なウサギの気持ちにもなれねーんじゃ着ぐるみなんてまだまだはえーってことですよ!」
薫「え~!…動物じゃなければ、かおるもいっこ出来るよ!」
仁奈「ほほう!ならやってみるですよ!」
響子(なんだろう…)
響子(よくわからないけどすごく面白い)
薫「えっとね~、ウチの小梅お姉ちゃんに教えてもらったんだ!」ゴソゴソ
薫「…」スチャ
響子「…サングラス?」
薫「ワァオ!ワラマンション!」
P『ぶっは!!』
響子「?!」
P「ぶ…くくく…!」スタスタ
響子「Pさん…?どうしたんですか?しかも今の…?わ、わら、まん…?」
P「薫ちゃん、それ…小梅ちゃんに教えてもらったのか?」プルプル
薫「うん!裏切り者の役だってー!」ニコニコ
響子「な、なんの話ですか…?」
P「あぁ…まぁ、ゲームのキャラクターだよ」
響子「ゲーム?」
P「そうそう、『バイオ〇ザード』ってやつの」
響子「あの怖いやつですか…?小梅ちゃんって…あ、そういう…」
P「しかもプレステ版って…コア過ぎんだろ…くくく」プルプル
薫「えへへ!仁奈ちゃんどうだー!」
仁奈「…なかなかやるじゃねーですか」
響子(なんか対抗意識燃やしてる!)
仁奈「キャラクターのモノマネだけじゃ『気持ちになった』とはいえねーって事を見せやるですよ!」ゴソゴソ
P「対する仁奈ちゃんはどうするのか?」
響子「…Pさん、お仕事は?」
P「なんか楽しそうなことしてるのに見過ごせないだろ」
響子「そ、そうですか」
仁奈「…」スチャ
P「お、ウサミミ」
響子「ウサギの気持ちは一番簡単だって…」
仁奈「ふん!へぁ!ほいっ!」フラフラ…
響子(な、なんか急にヘロヘロなダンスを…?)
響子(どっかで見たことがあるような…)
P「ほう…菜々のレッスン中の気持ちになったか」
響子「え?!菜々さん?…そう言えばあんな時期もありましたね…」
仁奈「『菜々、頑張っちゃいますよー!ウッサミ~ン!』」クルクル~バッ!
響子「やめて!結構いざこざがあったんですよ!そのくだり!」
P「…そうね、大変だったね君達」
仁奈「このくらい出来て当然でごぜーますよ!」フンス!
薫「むむむ~!」
仁奈「…でも薫もやるじゃねーですか」
P「お?」
響子「あれ?」
仁奈「ま、まぁ…もうちょ~っとだけ特訓すれば着ぐるみを着ても良いでごぜーます」
薫「ほんとぉ!?やったー!」ピョンピョン
仁奈「まだ喜ぶにははえーですよ!ビシビシ鍛えやがりますからね!」
薫「よろしくおねがいしまー!」
P「仁奈ちゃんも素直じゃないなぁ」
響子「お友達と遊べて嬉しいんですよ♪」
仁奈「いいですか?ウサギの気持ちになるにはもっとこう…」
薫「ほぇ~、そうなんだぁ!」
―1時間後―
薫「こんな感じかなぁ!」ピョコピョコ
仁奈「そんな感じでごぜーます!やっと解って来やがりましたね!」
P「おぉ、終わったか。どうなんだ?調子は」
響子「私には理解出来ないんですけど…仁奈ちゃん的にはOKみたいです」
P「そ、そうか…」
仁奈「習得した記念にこの着ぐるみをくれてやるです!」ゴソゴソ
仁奈「はい、どーぞ!」スッ
薫「わぁ!ウサギさんの着ぐるみだぁ!ありがとう仁奈ちゃん!」
響子「あ、仁奈ちゃんそれ…」
響子(お気に入りの…)
P「響子」ポン
響子「…?」
薫「やったー!大切にするね!仁奈ちゃん!」ピョンピョン
仁奈「耳がチャームポイントでごぜーますよ!破いたらだめでごぜーますからね!」ニコニコ
薫「せんせぇに自慢しよー!」ニコニコ
響子「…ふふ♪」
P「良かったな薫ちゃん…さて、そろそろご飯食べに行くか?」
仁奈「わ〜い!行くでごぜーます!」
薫「いいなぁ仁奈ちゃん…」
P「薫ちゃんも行くかい?」
仁奈「薫も一緒に行きやがるですよ!皆で食べればうめぇです!」
薫「いいの?!やったぁ!」
P「響子もどうだ?この後予定がないなら」
響子「私もいいんですか?」
P「面倒見てくれたお礼だよ。遠慮すんな」
響子「それじゃあ…甘えちゃおうかな♪」
P「よし、お前ら食べたいものを言え~!」
仁奈「仁奈はトンカツが食いてーですよ!」
薫「かおるはハンバーグが食べた~い!」
仁奈「む?」
薫「ぬぬ?」
P「…仲良くしろよお前達」
響子「ジャンケンしましょう!ジャンケン!」クスクス
仁奈「負けねーですよ!」ググ…
薫「かおるも負けないよ!」ググ…
―数時間後、再び事務所―
コンコン、ガチャ!
薫P「こんばんは~」
ちひろ「あ、〇△プロの…」
薫P「すみません、ウチの薫がお世話になりました」ペコッ
ちひろ「いえいえ♪」
薫P「ところで薫は…」
P「あ、薫Pさん。お久しぶりです」ペコッ
薫P「Pさん、毎度お世話になってます…」ペコペコ
P「こちらこそ、仁奈が勝手に連れてきてしまったみたいで…薫ちゃんはこっちですよ」
-談話コーナー-
薫「あはは!響子お姉ちゃんかわいい~!」
仁奈「響子おねーさんもなかなか筋が良いじゃねーですか!」
響子「そ、そうかな…?でも恥ずかしい気が…」
薫「…あ、せんせぇ!」
薫P「おう、帰るぞ薫。…あれ?君、五十嵐さん?」
響子「え?!ひぇ!こ、これはその…」ワタワタ
P「…なにやってんだ響子」
響子「Pさんも?!ち、違うんです…仁奈ちゃん達が私にも着ろって…」ウサウサ
P「…どう思います?薫Pさん」
薫P「ふむ…いや、他所のアイドルながらなかなか素晴らしいかと」
響子「」
P「教育TVのような番組でジュニアアイドルと響子を共演させる、というのは?」
薫P「なるほど!…五十嵐さんの家庭的なイメージともマッチしています。いっそ他事務所のジュニアアイドルもレギュラーで登場させてはどうでしょうか?」
P「ナイスアイディアですね薫Pさん!では企画書を一度まとめてみましょうか」
薫P「よろしくお願いします。また後日詳しい打ち合わせを…」
響子「や、やりませんから!間に合ってます!」
-薫P車内-
薫「でね~仁奈ちゃん、この前一人でおつかいに行ったんだって!」
薫P「そうかそうか。…で、その着ぐるみどうしたんだ?仁奈ちゃんのだろ?」
薫「仁奈ちゃんに貰ったんだよ~!かおるも『めんきょかいでん』だよ!」
薫P「…なんだそれ?」
薫「あと仁奈ちゃんとぉ、仁奈ちゃんのせんせぇと、響子お姉ちゃんとハンバーグ食べに行ったんだぁ!」ニコニコ
薫P「何?…また今度お礼に行かなきゃな」
薫「わぁい!かおるもモコモコだぁ!」ウサウサ
薫P「あと仁奈ちゃんとの共演でも持ち掛けてみるか…」
-事務所-
P「ふぅ、これで今日の仕事終わりだぁ~」ガタッ!
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん♪お茶淹れますね!」
P「あ、いいですよ。自分で…」
コトッ
響子「はいどうぞ♪ちひろさんも」
ちひろ「あら、助かるわ響子ちゃん」ズズズ…
P「サンキュー…仁奈ちゃんは?」ズズズ
響子「仮眠室で寝てますよ。お昼にあれだけハシャいで疲れたんじゃないかと」
P「同年代のアイドルはウチにいないからなぁ…薫ちゃんがいて張り切ったんだろう」
ちひろ「何か、スカウトのアテはないんですか?プロデューサーさん」
P「いや~残念ながら…今度薫ちゃんとのコラボでも企画してみますかね?」
響子「あ、それ良いかもしれませんね♪仁奈ちゃんも喜びますよ!」
P「お前も一緒にやるか?響子」ニヤニヤ
響子「も、もうそれはいいですから!忘れてください!」アセアセ
ちひろ「なんの話ですか?随分楽しそうですね」ニコニコ
響子「なんでもありません!」
-仮眠室-
仁奈「かおるぅ、付いてきやがれ~…zzz」スヤスヤ
仁奈「…zzz」ニコニコ
おわり
終わりです。ありがとうございました
乙!
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