ノリと勢いとパスタだけで書いた。
ど素人注意。
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【エキシビション打ち上げ終了後・夕暮】
――知波単学園移動専用SL――
シュッポ..シュポ..シュポ..シュポ..
玉田「そろそろ我らの知波単学園も見えてきましょう」
細見「いやはや、本日の模擬試合はまことに清々しいものでしたな」
名倉「全くであります。西隊長も……はて、隊長はどこへ行かれたのでありますか?」
福田「西隊長殿であれば何か思索に耽られるようで、後方車輌にいらっしゃいます」
細見「むっ、福田!」
玉田「福田がいるぞ、こっちに来い福田ぁ!」
福田「は! 不肖福田ここにおります!!」
細見「貴様はいつもいつも愛くるしくぽてぽてと歩きおってぇ、飴玉をくれてやるぞ福田ぁ!」ナデナデ!
玉田「ふわふわのお下げを揺らす愛くるしいやつめ!! たんと撫でさせろ福田ぁ!」ナデナデ!
福田「ほわわわわ!!! 恐悦であります! 恐悦至極であります!」ナデラレ!
* * *
【後方車輌】
西「…………」
西(本当にこのままで、いいのだろうか)
西(辻先輩から隊長格を拝命して数か月。誠心誠意隊長としての責務を果たさんと邁進してきたが……)
西(今日の模擬試合でも、我が知波単は私の制止を振り切ってしまった)
西(やはり、あそこで堂々と突撃の号令を放ったほうが、隊員たちが求める隊長としての姿なのだろうか)
西(しかし……、やはり結果はああなってしまう。だが隊員たちは知波単魂の体現こそを至上として……)
西(私にはやはり隊長の肩書は荷が重いのか――――)
西(いや、そんな弱気になってしまってはどうする西絹代。こんなことでは、私に隊長の任が務まると信じて下さった辻先輩のお気持ちを裏切ることになってしまう)
西(そうだ。私は先輩の元、他の隊員の誰よりも明確に結果を残し隊長と認められたではないか)
西(砲撃や操縦の腕だけなら、他校の隊長の皆様に勝るとも劣らない自負はある)
西(……腕、だけなら)
西(しかし……どうしても、比べてしまう。他校の隊長と隊員たちの―――――)
オレンジペコ『ダージリン様、お茶が入りましたよ』
アッサム『ダージリン、こんなジョークをご存じ?』
ローズヒップ『ダージンさま~~~!!』
ルクリリ『ダージリン様、こちらへ』
クラーラ『[カチューシャ様はいつもお可愛らしい]』
ニーナ『カチューシャさまー、これお飲みになるべか?』
アリーナ『カチューシャ様、用意できたべさ!』
ノンナ『カチューシャ、髪を乾かします』
磯辺『西住隊長!』
カエサル『隊長!』
ねこにゃー『西住さん……』
澤『西住隊長!』
そど子『西住隊長』
ナカジマ『西住隊長~』
会長『西住ちゃーん』
麻子『西住さん』
華『みほさん』
沙織『みぽりん!』
優花里『西住どのー!』
西(…………考え過ぎのはずだ。そうとも、私はまだ隊長になりたてだ。これから隊員たちと、隊長と隊員としての絆を深めていく他はない)
西(私が隊長として先頭に立ち、知波単を導くことで隊長としての風格が醸成されるはず)
西(しかし、このままのやり方が、本当に私の思い描く隊長像に近づいているんだろうか……)
ガチャ
寺本「西隊長、こちらでしたか」
西「………。……!」ハッ
西「寺本か、どうした?」
寺本「はっ、今しがた、大洗女子学園会長、角谷杏様より通信が入りました」
西「角谷殿……? わかった、すぐ行く」
西(気持ちを切り替えねば……『隊長 西絹代』に気落ちした姿など許されない)
ガチャ
西「お待たせしました、西です」
会長『角谷です。今日は、エキシビションに参加してくれて本当にありがとう』
会長『もしかして、まだ帰艦の途中だったかな』
西「いいえお気になさらず。こちらこそ、勉強させていただきました!」
会長『それならよかった』
西「これからも是非、学園相互に交流を深めていければ幸いです」
会長『…………』
会長『……今回連絡をとったのは、知波単学園にも知らせなくちゃいけないことがあるからなんだ』
西「……といいますと」
会長『――――大洗女子学園は、今月末日をもって廃校が決定した』
西「……!!! なん、ですって……!!」
西「しかし、角谷殿!! 全国大会の優勝を以て、廃校は免れたのでは!!!」
会長『あちらが言うには、検討はするが廃校を撤回するという確約ではなかったそうだ』
西(な……なんと――――)ギリィッ
西「なんと非道な!! それがお国の先導者として、教育に携わる者が示すべき姿ですか!!!!」ダンッ
西「角谷殿!! 不肖西絹代、今回の件真に遺憾で以て学園艦教育局に――――!!」
会長『待ってくれ!!』
西「………………っ!」
会長『西さんの気持ちは嬉しい。私もこれっぽっちも納得出来てはいない』
会長『だが……、抵抗すれば、学園艦の住民たちの再就職を斡旋しないといわれている』
西「……人質、とは……どこまでも卑怯な……!!」
会長『文科省はどこまでも徹底的だ。今、西さん、それにそちらの隊員たちが押しかけてしまったら……』
会長『知波単学園まで、文科省に目をつけられる事態にはしたくない』
会長『勿論私もこのままで終わるつもりはない。いくつかアテがあるから、そこを当たってみるつもりだ』
会長『どこまでやれるかわからない。だけど、やってみなくちゃ何も変わらないからね』
西「かしこまり、ました……っ!」
西「しかし、何かあればご一報ください。……すぐに駆けつけます故」
会長『ありがとう。助かるよ』
会長『それじゃあ、また』
ガシャン
西「…………」
《ドスリ》
西(…………)
西 ――なんだろう、体に鉄の杭を打ちつけられたような、この――
ジリリリリリリリリリリ...!
西「わっ…………角谷殿?」
ガシャ
西「知波単学園の西です」
オレンジペコ『西さんですか? こちらは聖グロリアーナ女学院、隊長代理のオレンジペコです。……覚えていらっしゃいますか』
西「オレンジペコ殿……!? え、えぇ、勿論です」
ペコ『あの、単刀直入に聞きますが……大洗の件は既にご存知ですか……?』
西「っ、はい! 私も先ほど聞いたばかりで……!!」
ペコ『その件に関して、ダージリン様より伝言を預かっております。本来ならばダージリン様から直接お話されるのですが、今は……その、お忙しくて』
西(それはもしや、聖グロリアーナも文科省に――――)
ペコ『あの、ですね。差し出がましいようで恐縮なのですが……もしも今回の件で何か行動を起こすおつもりなのだとしたら、しばらく待っていただきたいのです』
《ドズ...》
西 ――まただ――
西「……え、あ、…は、はい」
ペコ『今回の件は慎重に行動しなければなりません。今、聖グロリアーナも可能な手段を検討中です』
ペコ『ダージリン様は、知波単の皆さんが義に篤く、情け深い方々であることを知っていらっしゃいます。そして思いを真っ直ぐにぶつけられる素直で真面目な性格であることも』
ペコ『ですが、こと今回に限っては裏目に……知波単学園に悪い影響が出てしまう確率はかなり高いです』
ペコ『知波単の隊員さんたちを止められるのは、西さん。あなただけなんです』
西「承知いたしました……!」
ペコ『これからは細かに連絡を取り合っていきましょう。何かあれば、すぐにお知らせします』
西「はい。……よろしくお願いします」
ガチャン...
西「…………」
西(お二方の言うことも尤もだ。現状、文科省へ突撃してしまえばどうなるかわからない)
西(大洗の状況を隊員たちが知れば腹に据えかねるのは当然。先ほどの、私のように)
西(しかし……、今の私に隊員たちを諫めることができるのだろうか)
西(常日頃から己の身を顧みず、敵の砲弾の雨の中へと勇み駆ける彼女たちに、痛みを恐れ退けと……?)
西(そのような指示を出して……果たして彼女たちの瞳に映る私は……どう、見えるのか……)
ドクン
××『突撃の號を発せられずに何が知波単の隊長か――――』
××『痛みに怯える臆病者に我らの指揮が執られて堪るものか――――』
××『あれでは隊長に相応しくないのではないか――――』
××『やはり戦車の腕がいいだけでは――――』
ドクン
西(な、にを……馬鹿な、ことを……考えているんだ……私は……ッッ!!!)
西(我が知波単学園戦車道隊員たちに、人を蔑ろにするような考えを持つものなど居はしない!!!)
西(そうとも、辻先輩だって仰っておられたではないか)
西(先輩だって――――)
* * *
第63回戦車道全国大会終了後
【知波単学園:戦車道会議室】
ミーンミンミンミン...
ジ~~~~...
辻『絹代』
西『はっ!』
辻『私はここで、知波単学園の戦車道から離れて行ってしまうが……』
辻『あとのこと、よろしく頼んだぞ』
西『お任せください、辻隊長ッ! ……あ』
辻『ふふ、これからはお前が隊長だぞ……しっかりな……』
西『たぃ…ゴホン、先輩のご期待に沿えるよう、精進いたします!!』ビッ
辻『よろしい。まあだが安心しろ、お前も知っての通り隊員はみな素直で気持ちのいい奴らばかりだ』
辻『今はまだ隊長としての気風が目立たないかもしれんが――――』
辻『お前がひとたび突撃の號令を発すればみな―――――』
* * *
《ブヅッ...》
ドクン
西(落ち着け)
ドクンドクン...!
西「……すぅ…………はぁぁ……」
ドクン! ドクン!
西(落ち、着け……ぇ…っ!!)
ドクンドクン....
西「……すぅぅぅ………ふぅぅぅ………」
ドクン...
西(…………)
...
西(……このまま一人で考え込むのは、よくないな)
西(一時の恥を忍んで、どなたかに話を聞いてもらおう)
西(こんなこと、同じ隊長格のどなたかでもなければ……)
西(西住殿……いや、大洗はおそらく退艦作業で忙しいはず)
西(そもそも、学園が廃校になり意気消沈されていらっしゃるだろう)
西(そんな中おめおめと……出来ようはずもない)
西(ダージリン殿……は、さきほど忙しいと伺ったばかり……)
西(プラウダのカチューシャ殿、……学園艦経由でしか連絡を取っていなかったな)
西(このような私的な理由に使っては公私混同となってしまう)
西(辻……先輩……)
西(……いや! それこそ最も忌避しなくては!!)
西(先輩は私に隊長としての任が務まると信じて後任を命じて下さったのだ)
西(ここで隊長であるための相談などしたら、それこそ先輩の信頼を裏切る結果に……それだけでなく、面目を潰してしまうやもしれない)
西(…………考えが、弱気になっていただけかもしれない)
西(この程度のことで誰かに相談してしまっていては、後のためにならないだろう。おそらく)
西(これも隊長であるための試練だ。……きっと……)
西(問題を簡潔にすべきだ。今考えるべきなのは隊員たちが大洗の状況を知ってしまった後)
西(どうやって説得をすれば突撃、を……)
バ ン ッ
玉田「隊長!!! ここにいらっしゃいましたか!!!」
ドクン
細見「西隊長!!! 大洗の件でお話が!!!」
寺本「一大事であります、隊長!!!!」
隊員たち「西隊長!!」「隊長、ご決断を!!!」「許されざる暴挙であります!!!!」
隊員たち「隊長!!!!」「このままでは大洗が!!!」「西隊長!!!」
西「み、みんな……」
西(しまった、もう大洗の件を既に知って――――)
《ドズッ》 《グサ...ッ》
福田「い、今っ、アヒル…殿、のみなさんが…っ、でんわ……で…っ!!」エグ...
玉田「福田、しゃんとしろ!! 我が知波単は義憤を燃やせど涙を流す瞳は持ち合わせておらん!!」
西(……どうしたら、いい……!!)
名倉「大洗女子学園は復活し間もないにも関わらず、大会優勝という偉業を成し遂げた戦車道の新星!!」
ドクン
池田「彼女らの血の滲む努力、熱意の裏には、学園艦を守るという大義の炎が燃え盛っていたからこそだったはず!!」
池田「それをッッ!! あのようなっ、あのような所業ぅッ……みすみす許されて、なりましょうかッッ!!」
ド ク ン
浜田「西隊長!! 我らどうあってもこの処遇、納得できる道理がありません!!」
玉田「大洗は我ら知波単にとって戦列を並べともに戦った、謂わば盟友!!」
《ドス》『待ってほしい』《ドス》『知波単が危険に』《ドス》
福田「もっ、もう一度……ぁ、アヒル殿、たち…とっ、ヒック、じ、試合に……臨みだいでありまず!!!」グス
細見「盟友たる彼女たちの窮地に拳振り上げずして、知波単の義はどこにありましょう!!」
ド ク ン
誰か「突撃しか、ありますまい!!!!」
××『突撃の號を発せよ』
誰か「そうです突撃するのみ!!!」
××『知波単の隊長でありたいのならば』
誰か「義を見てせざるは勇無きなり!!」
××『臆病者に隊長を名乗る資格はない』
誰か「突撃こそが知波単の掲げる義の一本槍であります!!!」
××『突撃せよと言え』
誰か「西隊長!!!! 今こそ突撃を!!!!!!」
《ドス...ッ...ゴポ......ブツ》
西(――――突撃、だけが――――)
ドクン...
西( 突 撃 し か )
.
.
西(そうだ)
《......ピキ》
西(突撃しかない)
《......ピキピキ》
西(私も、知波単学園の一員だ)
西(突撃以外にやれることなんて、――――ない)
《...ピキピキビキビキッ!!》
西(みっともなくていい。華々しくなくていい)
西(この身、この心全てをぶつけるのみ!!)
《 ガ ッ シ ャ ァ ア ア !!!!》
西【 吶 喊 】
西「…………ッッッ!!!!」すぅぅぅぅうう……!!
西「 ッ 静 ま れ ぇ ぇ ぇ え ぇ え え え ! ! ! ! ! !」
ビリビリビリビリビリッッッ!!!!!
全隊員「「「「「 ッッ!!!! 」」」」」ビシィッ!!!
西「…………」
西「お前たちの気持ち、この西絹代がしかと受け止めた。私も話を聞いて依然、憤懣やるかたない思いで満ちている」
玉田「おぉ、では……!!」
西「しかし、今現在、学園艦教育局に突撃を敢行してしまっては、我が知波単学園に文科省がどのような手段を講じるか皆目見当がついておらず、それだけならまだしも、大洗女子学園にまでその被害が波及するかもしれん」
細見「……ぅ……」
西「先ほど、聖グロリアーナのオレンジペコ殿より協力体制の申し出があり、これを快諾した」
西「大洗の廃校撤回の不履行。確かにこのような欺瞞、糺すべく突撃してしかるべき事態だ」
西「だが、それは今ではないと、理解してほしい」
西「………」スー...
西「………」フー...
西「こんな時に、お前たちにこんな事を聞くのもおかしいかもしれないが……一つ、聞いてほしい」
西「実は、私は……伝統ある知波単の隊長として、不釣り合いではないかと不安を抱えているんだ」
福田「……な……」
名倉「隊長……!」
西「お前たちにいざというとき突撃の號を聞かせてやれないのでは、隊長と認めてもらえないのではと」
西「しかし今回の件はどうしても抑えてほしい」
西「私を……この西絹代を隊長と思ってくれるのなら」
西「今だけは、臥薪嘗胆の思いで堪え忍んではくれまいか!!」
隊員たち「………………」
西「…………」
玉田「……西隊長がお決めになったのであれば是非もなし。私が命を拒むことはありません」
細見「この細見、僭越ながら西隊長以外に知波単を導くことはできないと具申申し上げます」
名倉「隊長がお決めになったことに我々が異を唱えることがありましょうか」
池田「西隊長は、我々知波単学園を大切に考えて下さる、尊敬に値する隊長です」
福田「西隊長じゃなきゃ駄目であります!!!」
隊員たち「西隊長のご命令とあらば!」「お慕いしております!!」「韓信匍匐でありますな!!!」
隊員たち「西隊長以外誰が務まりましょう!!」「我慢するであります!!!」「同じく!!」
西「みんな…………」
西「…………ありがとう」
西「では………気を付け!!」
隊員たち「「「「「 はっ!!! 」」」」」ザッ
西「これより学園艦に帰艦したのち、来るべき時に備えみなより一層鍛錬に励むべし!!」
西「本日はこれより模擬試合の反省点を検め、戦車に搭乗し修練した後、休息とする!!!」
隊員たち「「「「「 はっ!!!! 」」」」」
西「それではいざ……学園艦に向かって――――」
西「 突 撃 !!!」
以上となります。
読んでくれた方がいたら、ありがとうございました。
エキシビションでの
「と・つ・げ・き・? ……!」パァッ
「かしこまりでございます!」
なにこのとつげき可愛いいきもの。惚れる。
乙。
福田は愛されておりますなぁ。
うーんB52ですね
乙です
知波単熱いねぇ!
乙
何気にちはたんのこういうSS初めて見たかも
西さんの「あいたーっ!」はクセになる
西さんのあのどこまでも誠実で真っ直ぐな性格は惚れるなぁ
劇場版ラストでの「こちらこそありがとうございました!」を見ると今後の知波単が楽しみで仕方なかった
このSSまとめへのコメント
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