片桐早苗「早苗と!」川島瑞樹「瑞樹の!」(36)

早苗・瑞樹「プリティー☆ダイナマァ~イト!!」

\ド~ン☆/

早苗「フフッ、完璧ね!」

瑞樹「アダルトな魅力を出しながらもプリティーさを全面に押し出す…素晴らしいわ」

早苗「でしょ?きっと爆売れ間違いなしよ!私達の新しい未来が見えるわ!」

瑞樹「いわゆる『ギャップ萌え』、というやつね…わかるわ。」

早苗「こんな感じで売り出して行きたいんだけどどう?ちひろちゃん」

ちひろ「…」






ちひろ「」

瑞樹「あまりの素晴らしいアイディアに言葉もでないのね、ちひろちゃん」

早苗「やはり間違いないようね…早速P君に提案しましょ!」

瑞樹「善は急げ、と言うものね。行きましょう!」

ダダダダ…ガチャ!バタン!

ちひろ「」

ちひろ「…はっ!ま、待ってくださ~い!」

ちひろ(ごめんなさい…プロデューサーさん…止められませんでした)

―事務所、廊下―

友紀「てな感じでベース踏めなくてさ~チクショーって!」アハハ

響子「フフフッ!残念でしたね、友紀さん」

ダダダダ…ア、ミンナー‼

菜々「アハハ…そう言えば…んぇ?」

響子「川島さんに」

友紀「早苗さん?」

早苗「ハァ…ハァ…皆…」

瑞樹「ゼェ…P君…ゼェ…見なかったかしら?」

友紀「プロデューサーならさっきまでレッスンに付き合って貰ってたけど…」

響子「ずいぶん疲れてますね。何処から来たんですか?」

早苗「ハァ…事務所からよ」

友紀(事務所って…)

響子(階段昇ってすぐだけど…)

瑞樹「ゼェ…ゼェ…ふぅ、ということはレッスン室にまだいるのね、ありがとう」

友紀「は、はぁ…どういたしまして…」

早苗「ハァ…ハァ…見苦しいところを見せたわね、この歳になると運動もキツくて…」

菜々「」ガクガクガク

響子「菜々さん?物凄く震えてますけど」

菜々「い、いえ!た、た、た、大変ですねぇ!キャハッ!」

瑞樹「いずれわかるわ…じゃあ私達急ぐから…」

早苗「瑞樹ちゃん」

瑞樹「…何かしら」

早苗(この子達にも見せてあげましょうよ)ヒソヒソ

瑞樹(…そうね、実際に若い子達の意見も欲しいわね。やりましょう)ヒソヒソ

早苗「あー、皆?」

友紀・響子・菜々「?」

瑞樹「私達ね、二人で新しいユニットを組もうと思っているの」

友紀「え?!本当に?」

菜々「プロデューサーさんを探してるってそういう…」

早苗「そういうこと♪で、新しい路線を見てもらいたいんだけど…」

響子「自分達でそういうこと考えるってカッコいいですね!是非みたいです!」

瑞樹「そう言って貰えると嬉しいわ。じゃあやるわね、ゴホン…」

早苗「ンンッ!…早苗と!」

瑞樹「瑞樹の!」

早苗・瑞樹「プリティー☆ダイナマァ~イト!!」キャピッ!

\ド~ン☆/

友紀「」

響子「」

菜々「」ガタガタガタ

早苗「やっぱり言葉もでないほど感動してるわ!」

瑞樹「実際の若い子達にも引けをとらないのね…自分が恐ろしいわ」

早苗「早急にデビューを手配してもらいましょ!行くわよ瑞樹ちゃん!」

瑞樹「ええ、行きましょう早苗ちゃん。皆もありがとうね!」

ダダダダ…

友紀「」

響子「」

菜々「」ガタガタガタ

―レッスン室―

早苗「たのもー!P君はいるか~?」

瑞樹「道場破りみたいよ、早苗ちゃん」

マストレ「なんだなんだ、騒々しい…貴女達か…」

早苗「あ、麗ちゃん!今度飲みに行きましょ!」

マストレ「顔合わせ早々飲みに誘ってくるのは貴女だけだよ…で、今日はレッスンの予定は無かったと思うんだが…」

瑞樹「そうそうP君よ!ここにいるんでしょう?」

マストレ「プロデューサー?先程まではいたが…事務所で書類整理をすると…」

早苗「あちゃ~。入れ違いになったみたいね、…事務所に戻りましょ」

マストレ「えらくお急ぎのようだ。良ければ理由を聞いても?」

瑞樹「新しいユニットよ」キャピッ!

マストレ「は、はぁ?」

早苗「私達の新しい魅力を凝縮した渾身のユニットよ!爆売れ間違いなしの!」

マストレ「そ、それはそれは…」

瑞樹「早苗ちゃん、この際よ。青木さんにも見てもらいましょう」

マストレ「い、いや私は…」

早苗「そうね!さぁさぁ遠慮しないで!行くわよ!」

マストレ「ほ、ホントに大丈夫だから…勘弁…」

早苗「早苗と!」キャピピ!

瑞樹「瑞樹の!」キャピーン!

早苗・瑞樹「プリティー☆ダイナマァ~イト!!」キャッピピピーン‼

\ドッギャァーz_ン☆/

マストレ「」

マストレ(何だろう…)

マストレ(絶対に間違ってるはずなのに…)

マストレ(この「やめとけ」と言えない雰囲気は!!)

マストレ「い、いやぁ素晴らしいんじゃないか?」

マストレ「ただ私と同年代の貴女達にはいささか若すぎる気がするが…」

早苗「やぁ~ね、それがいいのよ!」

瑞樹「今流行りのギャップ萌えよ!ギャップ萌え」

マストレ「ぎゃ、ぎゃっぷもえ…」

早苗「そうだ!麗ちゃんも一緒にやりましょう!」

マストレ「!?」

瑞樹「いいわね!二人より三人よ!同世代トリオで更に人気は鰻登りよ!」

マストレ(まずい!私の皮肉もこの人達はポジティブに捉えている!)

マストレ「わ、私は遠慮しておくよ!貴女達だけで頑張るといい!」

早苗「遠慮なんていらないわよ~♪」グイグイ

瑞樹「私達の仲じゃない、さぁP君の所に行きましょう」グイグイ

マストレ「お、おい!やめっ…!離して…」ズルズル…

\イヤダー!!/

―再び事務所―

P「ええっと…この企画書はこっちで…」カタカタ…

ちひろ(…)チラッ

P「…?ちひろさん、さっきからチラチラこっちをみてどうしたんです?」

ちひろ「え?あ、あぁすいません!別に…」カタカタ…

P「??」

ちひろ(あの様子じゃまだ早苗さん達には会ってないみたいね)カタカタ…

ちひろ(プロデューサーさんがあの企画を通すわけないとは思うけど…)カタカタ…

ちひろ(一応止めるように報告した方が…)

ちひろ「あ、あの!プロデューサーさ…」

バァン‼

早苗「P君!おとなしくお縄にかかりなさーい!!」

ちひろ「」

P「俺なんかしましたっけ?」

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P「で、企画提案というのは?」

早苗「私達新しいユニットを組もうと思って!」ニコニコ

瑞樹「勿論P君の考えたユニットも素晴らしいものよ。でも私達がやりたい事もあるって知ってほしいの」

P「なるほど。確かに皆さんがやりたいことを楽しく、というのは俺のアイドルプロデュースで根幹とされる部分です。…ある程度限度を含め、ですが」

早苗「そうそう!話が分かるじゃない!」

瑞樹「柔軟な思考回路は会社を回していく上でも大切なものよね。わかるわ」

マストレ「…」

ちひろ「…」

P「有り難い言葉です。担当アイドルから直接賞賛の言葉をもらえると俺も励みになりますよ。…で、麗さんは今回のお話にご関係が?」

早苗「そう!私と瑞樹ちゃんと麗ちゃんでトリオユニットを組みたいのよ!」

ちひろ(な…なんか増えてる!)

マストレ(こんなはずでは…)

P「れ、麗さんも?アイドルデビューなさるんですか?」

マストレ「…そういうことになったらしいな」

P(あ、これ不本意か)

P「…分かりました。ではどのような路線でユニットを組むのか、プレゼンをお願いします」

瑞樹「あれ?ちひろちゃんに聞いてない?」

早苗「朝バッチリ見せてあげたんだけど」

P「…?いえ、聞いていませんが…」チラッ

ちひろ「…」ペコペコ

P(なるほど)

P「すみませんこちらの伝達不足です。もう一度詳しくお願いします」

早苗「そんなに畏まらなくても」キャピーン!

瑞樹「見せてあげるわよ!」キャピピ!

マストレ「…」ドヨヨーン

P・ちひろ(一人だけ雰囲気がおかしい…)

早苗「早苗と!」キャルン!

瑞樹「瑞樹!」キャピューン!

マストレ「あ、あーんど麗の!」キュワッ!

三人「プリティー☆ダイナマァ~イツ!!」

\バッキュ~ン!!☆/

ちひろ(なんかいろいろとグレードアップしてる!)

P「…なるほど」

早苗「どうかしら?このプリティーな感じ!」

瑞樹「もちろん今までのアダルトな部分も出していくわよ!」

マストレ(妹達よ…私の屍を超えていけ…)

P「ふむふむ…」

ちひろ(流石にプロデューサーさんならこの事態を打開出来…)

P「素晴らしいですね!!」

早苗「!!」

瑞樹「!!」

ちひろ「?!」

マストレ「?!」

P「なるほどなるほど~!確かに大人=セクシーだけじゃない!早苗さん達の言う通りです!」

ちひろ(ぷ、プロデューサーさん?!)

マストレ(本気で言っているのか?!)

早苗「ほ、ほんとに?!イケてる?」

瑞樹「冗談じゃないわよね?!」

P「勿論です!いや~目からウロコですよ!アリです、アリ!」

早苗「やったわね!瑞樹ちゃん!」

瑞樹「ええ!私達に狂いはなかったわ!」

ちひろ「ちょ、ちょっとプロデューサーさん…」

P「なんです?ちひろさん。なんでもっと早く言ってくれなかったんですか?!」

ちひろ「え、えぇ~…?」

麗「千川…もう何を言っても無駄だ…コイツが売れるというなら売れるのだろう…」

ちひろ「麗さんまでぇ…」

早苗「で、いつデビュー出来る?新曲も書いてくれるのよね?!」

P「勿論ですよ!1か月後のLIVEには間に合わせます!わくわくしてきたなぁ!」

瑞樹「これからね!私たちの新しい未来!!」

早苗「うふふ!そうね!」

麗「」

ちひろ(もはやこれまで…)




P「というわけで明日から1ヶ月間強化合宿期間としますね!」

早苗「…ん?」

瑞樹「…え?」

P「今日からLIVEまでの期間一分一秒でも惜しいので!ダンスの振り付けとそれに伴う体力強化メニューをこなしてもらいます」

早苗「ちょ、ちょ、なにそれ?!」

瑞樹「わからないわ…」

P「今までは『大人の路線』のみでプロデュースしてきたので。皆さんのコンディションに合わせたレッスンを行ってきたのですが…」

P「先程のプレゼンを見る限り『元気』で『活発的』な大人路線と見ましたので」

P「今回の新曲は激しいダンスを伴う歌にしようかと」

早苗「い…いいわね!ダンス!…どんな合宿になるの?」

P「申し訳ありませんが普段は見る限り友紀たちのユニットのダンスにすら敵わないので…彼女達がこなすメニューの約三倍、一日でこなす計算ですね」

瑞樹「さ、三倍を…」

早苗「一日で…?」

P「はい。幸い麗さんがユニットにいらっしゃるのでメニュー考案には問題ないかと。ですよね?」

麗「あ、あぁ…」

P「勿論食事などの健康管理もこちらでさせていただきますので…お酒なども厳禁です」

早苗「お、お酒もダメなの?」

P「はい!次の日のコンディションに関わるといけないので!LIVE後まで我慢になりますね」

瑞樹「それで…一日のスケジュールは?」

P「そうですね…先程のメニューに加えて普段のお仕事もこなしてもらうので…4時起床0時就寝が基本になると思います」

瑞樹「あ、アンチエイジング…」

P「それで構いませんよね?じゃあ明日からメニューを考えてくるので…」

早苗「あ、あの…」

瑞樹「ちょっといいかしら…?」

P「??どうしました?」

早苗「今回の件」

瑞樹「なかったことにしてくれる?」

ちひろ・マストレ「!!」

P「えっ…でも…いいんですか?」

早苗「えぇ…」

瑞樹「盛り上がった所申し訳ないけど…」

P「そうですか…残念です。…それじゃあデビュー!とまではいきませんがLIVEでの特別出演、という形で時折組み込んでみましょうか?」

早苗「…!それよ!いいわね!」

瑞樹「…一か月のレッスンは?」

P「言い方は悪いですがたまにの出演ならば直前の特訓でも十分かとおもいます。長い目でデビュー、となれば先程のようになりますが…」

瑞樹「…それでもいいわよね!」

早苗「そうね!そうしましょう!それでお願いね!P君」

P「了解しました。では、1ヶ月後は見送りで。その後検討して行きますので」

ちひろ「流石ですねプロデューサーさん」

P「なにがです?」

ちひろ「すみませんがあの路線で二人が売れ続けるとは思えなかったもので…」

P「…まぁ初めはいいかもしれないですけど『ギャップ』っていうのは慣れてしまえばギャップではなくなりますからねぇ」

P「お二人を試す様な事をしてしまったことは心苦しいですが…失敗した時のお二人を考えると…」

ちひろ「芸能界って厳しいですもんね…」

P「はい…ギャップはたまにするから刺激になるんですよね」

-事務所、屋上-

早苗「ダメだったかぁ」

瑞樹「でも全否定ではないわよ。結果オーライ、じゃない?」

早苗「そうね…そうよね!全部が全部ダメ、って訳じゃないし!」

マストレ「少しは落ち着いたかい?二人とも」

早苗「あ…麗ちゃんゴメンね。期待させるだけさせちゃって…」

瑞樹「特別出演ってなるとトレーナーじゃ出演できないし…」

マストレ(むしろプロデューサーの話術に救われたんだが…)

マストレ「いいさ。私はトレーナーだからね。私が教えたダンス、歌。それが貴女達の手で表舞台に出て行くことが私なりの『出演』なんだ」

早苗「麗ちゃん…」

瑞樹「なんか照れくさいわね。…若いころを思い出すわ。」

早苗「若いころって言うのはまだ早いんじゃない~?まだまだ若いわよ!」

マストレ「いつも通りになってよかった。…とうだ?今夜、行くかい?私の奢りだ」クイッ

早苗「いいの?!飲む!飲むわ!今日はしこたま飲むわよ~!!」

瑞樹「覚悟していたほうがいいわよ青木さん。アレは飲むことに関しては有言実行を貫くわ。」

マストレ「はっはっは!お手柔らかに頼むよ。じゃあ、一軒目に行こうか」

おわり

終わりです。ありがとうございました。

乙!面白かったよ

乙、良かった

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