これは
「異世界に行くとモテモテになる風潮」
異世界に行くとモテモテになる風潮 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454244630/)
のたかし視点のお話です。
前作と違って、地の分が多いかもしれません。
あと、あれから、かなりの数の未完成作品を生み出してしまい申し訳ないと、ここに謝罪します。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463560816
「異世界への扉よ、我の前に開け!」
某ネットサイトで知った情報を元に、僕はある儀式を実行していた。それは異世界に行けるという、一般人から見れば眉唾物だが、僕はそれに縋るしかなかった。結局、何度試しても異世界への扉は開くことはなかったし、開いたのは、僕の部屋の扉でそこには炎使いの美少女ではなく、怒れる僕の母親と「たかし、うるさい!」という声だけだった。
「今日もダメだったか……」
僕は、パソコンのシャットダウン画面を見送ってから、部屋の電気を消してベッドの中に潜り込んだ。僕はいわゆる引きこもりというやつで、今行っている高校でいじめを受けたため、こうして登校拒否をしているというわけだ。それだというのに、僕の幼馴染と母親は毎日しつこく学校に行くようにしつこく促してくるのだ。どうして、こんな僕に期待するのだろう。構うのだろう。僕には到底理解できそうになかった。もしかすると、世間体を気にしているだけで、本当は僕の事、何とも思っていないか、死んでしまえばいいとすら思っているのかもしれない。
「神様……。どうか僕を連れて行ってくれ」
僕の命で、誰かの命が伸びるならそうしてくれ。ずっと一人でいさせてくれ。このまま生きてたって、誰の役にも立てないし、他人を否定し、汚い言葉を浴びせる僕が生きてて、有能な人たちが死んでいくのはおかしいじゃないか。
「メール? どうせスパムだろ……」
スマートフォンを開くと、そこにはたった一文だけ書かれていた。
あなたは異世界の使者に選ばれました
とだけ書かれていた。まさか、儀式が成功したのか? と一瞬期待したが、メールを下の方までスクロールするとそこには、怪しげなURLが貼られており、異世界に行くにはこちらをクリックと書かれていた。
「馬鹿にしやがって!」
僕は力任せに、スマートフォンをベッドに叩きつけて、眠りについた。
頬を風が撫で、雨が降ったあとのような香りが、僕の鼻腔をついた。頬にはチクチクとした感覚があて、僕は今大草原の上で眠っていると理解して、目が覚めた。
「とうとう、捨てられたのかな……」
辺りを見渡すが、どうもここは僕が知っている場所ではないみたいだ。横になっていた身体を起こして、辺りを見渡すと、僕の口から渇いた笑いとともに、涙があふれてきた。
「そうか……、僕は愛されてなんてなかったんだ……」
その瞬間、世界の色がすべて無くなってしまったかのように僕は感じた。僕はこの世界に最初から必要なかったんだ。いらない子だったんだ。感情が真っ黒に染まっていくのが自分でも分かった。
すいません、バイトのたかしがインフルで倒れたみたいなんで、バイトに行ってきます
続きは、明日か明後日には書きますので、どうぞこれからよろしくお願いします。
いやです
もう書かないで下さい
早く書いてください
たかしより
「そこの君、そこで何をしているのかね?」
背後から僕を呼ぶ声がして、後ろを振り向くとそこには、亜麻色の髪を風になびかせて、海のような綺麗な瞳で僕をじっと見つめる可愛い少女がそこにいた。
「ここは、魔物が出るから危ないよ」
魔物。少女は確かにそう言った。だが、残念ながらここは、現実でゲームでも小説でもない。だからそんなものいるはずがないと言おうとしたが、そんな考えはたった一つの存在に打ち消された。
「何だあれ……」
粘性の液体が、草の根を掻き分けてこちらに向かって来ていた。どういう事だ?
物理学や生物学の心得がないから、確証はないけれどあんな現象も生物も見た事がない。
「あれはスライムだよ」
スライムと言えば、最下級モンスターとして有名だという事を知っているが、僕の目の前にいるそいつは、とてもそうは見えない。
「下がって、アイツは並の人間なら攻撃五回くらい受けたら死んじゃうくらい強いんだからさ」
少女は、僕を守るように前に立つと、詠唱を始めた。周囲の空気が少女の元へ集まっていき、大気の温度が数度上がっていくのを肌で感じた。
「炎の精霊よ。我が命に従いて姿を現せ。焼き尽くしなさい!」
少女の周囲に、炎が現れ炎はまるで意思があるかのようにスライムだけを焼き払って、消滅した。
「ふう……。これで一安心ね。怪我はない?」
少女は一息つくと、僕に太陽みたいに暖かい笑顔を向けた。懐かしいその笑顔に僕は少し涙が出そうになる。
「男のくせに泣き虫なんだね」
「ごめん……。君の顔を見ているとあの人たちのことを思い出してしまったから」
どれだけ願っても、もうきっと帰ってくるはずのない笑顔を僕は頭の中に思い浮かべた。
「君、どこから来たの?」
「神奈川」
神奈川は、僕の故郷だ。東京の近くにあるがまだ僕の家の周りにはいくつか畑や田んぼがある。
「神奈川……。聞いたことないね」
さっきのスライムといい。神奈川を知らないということから、ここは僕の居た世界と違うようだ。幸い、言語が同じだったという事が救いだ。奇しくも僕の願いは達成されてしまったというわけだ。
「そういえば、私の名前教えてなかったわね。私の名前はラヌァ・クルゼカオよ」
「変わった名前だね」
少女の名前には、規則性も意味も何もないように見えた。まるでそれが適当につけられたかのように僕は感じた。
「そうね。まあそれも仕方ないんじゃない? 私たちの名前は道具によって決められるのだから」
少女は、空を仰ぎながら悲しそうにそう答えた。自分の名前をそう言われるのは不愉快だったのだろうか?
「で、君の名前は? っと聞くまでもないね」
そこで僕は困惑した。こいつは僕の名前を知っているのか? そんなはずはない。こいつはさっき神奈川を知らないと言ったのだ。
「君は、勇者なんでしょ?」
「え?」
そこで僕は、ようやく気付いた。体が同じくらい重かったから気づけなかったというべきか……。いやはや、自分の観察力の無さにはあきれてものも言えない。僕の身体は、明らかに痩せてたくましい体つきに変貌していた。鈍く光る鎧には僕の見知った顔ではなく、世間一般的にはカッコイイと持て囃されるであろう顔をした男がそこに写っていた。
「何だこれ……」
「どうかした?」
つまり、僕は今この世界の勇者と入れ替わってしまったということなのだろう。全く皮肉なものだ。誰の役にも立てなかった僕が、こっちの世界では世界中から必要とされる救世主だったなんて。心の底で僕は喜んでいたのかもしれない。ここでは、うるさいこと言う人も、いじめる人もいない。おまけに僕が欲していたもの全て僕の手の中にあるのだ。毎日願っていた甲斐もあったものだと僕は思う。
「いや、何でもないよ。それより、僕と一緒に行かないか?」
そう言うと、ラヌァは少し不思議そうな表情を浮かべていた。もしかして不味かったのだろうか? しかし、この世界の情報が一切ない以上仲間の存在は必要不可欠なのだ。起きたときに誰もいなかったし、勇者には仲間がいなかったと見ていいだろうと思ったのだ。
「嫌かな?」
「ううん。そう言うわけじゃないんだけど。すでに仲間がいると聞いていましたから」
不味い……。だが、今はいないという事は何らかの理由で別行動しているということになる。だったら、それを利用するまでだ。
「あぁ。ちょうどいま別行動しててさ。人手が必要なんだ」
「なるほど……。それならいいですよ。力を貸しましょう!」
ラヌァは、右手を僕の前に差し出した。思えば、女子に触れるのは、幼馴染と母親を含めなければ、5年ぶりくらいだろうか。確か最後に触ったのは、中学の文化祭でフォークダンスをした時の最期だっけ。皆僕と手を繋ぐのを嫌がっていたな。最後の方は、もう心が折れてそれから、文化祭には参加していない。
「よろしく」
手をがっしりと結んで固い握手を交わした。
正直、もう書かなくてもいいかなって思ってました。
とりあえず、今日はここまでしておきます
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