八幡「俺だけがいない街」 (22)
春休み。まだ三月だというのに、妙に暑い日の部活から帰ってきた、その晩のことだった。
(……小町、出かけたのか?)
外から見た限り、部屋の明かりはどこにもついていなかった。
(今日はずっと家にいるって、部活行く前に言ってたはずだが……)
そう思いながら、バッグのサイドポケットから家の鍵を取り出し、ドアを開ける。
真っ暗な玄関が八幡を出迎えた。やはり小町は留守のようだった。
(どこ行ったんだ、あいつ)
そのまま明かりもつけないで靴を脱ぎ、廊下を上がってリビングのドアを開ける。開けた瞬間、ドアの角に何か当たったような気がしたが無視して電気のスイッチを押した。
最近替えたばかりのLED電球が、ピンと部屋の全体照らす。
夜目の効いた彼の目に、LEDの光はまだ眩しかったのだろう。八幡は思わず目を瞑った。
俗に云う明順応というやつだ。何度かその機会に遭うことがあったため彼自身もう慣れており、気にせずいつも通り、ソファーの前にバッグを下ろし、冷蔵庫から飲み物を取り出そうと、そうして、リビングの床を覆うフローリングへ一歩踏み出した。
ピタと何か冷たいものを踏んだ、気がした。濡れた雑巾を、靴下のまま踏んだ時のような嫌な感触だ。
下を見た。すでに目は光に慣れていた。だからそれが何であるか、すぐに理解することができた。
小町だった。正確に言うと、小町の死体だった。
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前に一度、更新するする詐欺してそのまま消えた前科があります。また遅筆なため、投下の間隔は長いです。
基本、名前「」のみでいきます。描写の時だけ地の文入れます。よろしくお願いしまs
しょっぱなから汚い画像貼られたので、書き溜めてきまs
八幡「じゃあ、小町。行ってくるわ」
小町「うん、いってらっしゃい! 結衣さんたちによろしく言っといてね〜。あっ、せんぱい、か」
八幡「はいはい。てか、お前も来ればいいのに」
小町「やだよ〜、まだ制服持ってないもん。だいたい、小町奉仕部入るなんて言ってないよ?――そうだ、お兄ちゃん。今日何時に帰ってくる?」
八幡「ん〜……6時ぐらい。お前、今日は家にいるんだっけ」
小町「まあ、たぶんね。みたいドラマ溜まってるし」
八幡「そっか。――じゃ」
小町「なるべく早く帰ってきてね」
八幡「……え。あ、わかった……。けど、なんかあるのか?」
小町「ううん、別に。ただ早く帰ってきて欲しいだけ」
八幡「わ、わかった。なるべく早く帰ってくるよ……じゃあな」
小町「うん、バイバイ」
キィー……バタン
八幡(なんだ、今日の小町。なんか変というか、妙に可愛いかったな、いつもより……まあいいか。――おっ、まだ時間あるな。駅前の本屋にでも寄るか)
――本屋にて
八幡(ハンターハンターの新刊でてんじゃん。買っちゃおっと)スッ
いろは「あっ、せんぱーい!」
八幡「お、一色」
いろは「きぐうですねー、こんなところで。あれ、先輩。なんで制服なんですか?」
八幡「これから部活なんだよ。お前こそ、なんで私服なんだ?」
いろは「なんでって、今春休みですよ〜? 外、出歩くときまで制服なわけないじゃないですかぁー」
八幡「いや、そういう意味じゃなくて……生徒会の仕事とか、ないのかよ」
いろは「え、あっ……あはは〜」
八幡(まさか、サボってんのかこいつ)ジッー
いろは「な、なんですか、その目は〜」
八幡(いつもと同じですが)
いろは「今日ぐらい、いいじゃないですか。今日はせっかくサッカー部がOFFなんで、みんなで遊びに来てるんですよ〜」
八幡「へー、それはそれは。――まあほどほどにしろよ。来年俺の妹が入学してくるんだ。頼んだぞ生徒会長さん」フリフリ
いろは「うわっ、結局妹さんですか……あっ、明日奉仕部活にてやってますか?」
八幡「たぶん。なんで」
いろは「いやぁ〜、またお願いできるかな〜っと思って」
八幡「……お前。いい加減、雪ノ下キレるぞ」
いろは「えぇ……雪ノ下先輩、キレるんですか?」
八幡「ああ、キレるぞあいつ。静かにな」
いろは「それ、一番怖いパターンじゃないですか〜」
八幡「まあとにかく、入学式のスピーチは自分で考えることだ。――じゃ、もう行くわ」スタスタ
いろは「そんなぁ〜……」
――学校にて
ガラガラガラ
八幡「……あれ」
シーン…
八幡(まだ来てないのか、あいつら。俺が早かっ……てわけでもないな。もう集合時間過ぎてるし。まあ、さっき買った漫画でも読んで、時間潰すか)
1時間後…
八幡(……おっそ。もう1時間は経ってるぞ、おい。――なんだ、今日もしかして休みか? でも昨日メール来てたし……まさか、いやそんなタチ悪いことあいつらが……)
ガラガラガラ
結衣「や、やっはろ〜、ヒッキー……」
八幡「……お前」
結衣「ごめんヒッキー、ちょっと寝坊しちゃってさ〜、あははー。ほら、今春休みじゃん? で、春休みボケって感じで〜」
八幡「休みボケは、休みが終わった後に発症するものだぞ、まったく……じゃあ雪ノ下はどうしたんだよ」
結衣「ゆ、ゆきのん!? えーっと……」
八幡「……」
ガラガラガラ
八幡「あ(噂をすればなんとやら)」
結衣「っ……ゆきのん」
雪乃「あら、早いのね。――特に比企谷くん」
八幡「……お前、自分の言った集合時間、もしかして勘違いしてるか?」
雪乃「いいえ、そんなことないわ。9時でしょ? もう10時だけれど」
八幡「……」
雪乃「ごめんなさい。ちょっといろいろあったのよ」
八幡「そうか……まあいいや。俺も退屈ではなかったし」
雪乃「そうなの?」
八幡「まあ」
結衣「……」
雪乃「――とりあえず、早速部活動をはじめましょう。きっとメールも溜まってると思うわ」
八幡「そうだな」
結衣「う、うん……」
春休みに入ってからだ。
以前から運営していたサイトのお悩み相談メールに、より多くの質問がされるようになった。
その内容のほとんどは、おそらく新入生による学校生活や人間関係についての質問だったが、中には奇妙なものも混じっていた。
とにかくそのせいで(実際には、平塚先生に頼まれた仕事が多かった)、春休みに入っても毎日のように部活動を行っていた。
これって、僕だけがいない街の二次創作?
今日はここまで
読んでくれた人、ありがとう
>>9
いいえ
乙です
奉仕部って春休みに学校に集まるの?
>>1の最初の文からおかしい気がするんだけと
へ?リバイバルなし?
僕街ちゃうんかい
リバイバらないんかい
小町死んだままかい
……救いはないんですか!?
八幡「……ったく、どれも同じような相談ばっかだな」カチャカチャ
雪乃「そうね。『宿題多いですか?』『通常授業のとき、何時に終わりますか?』とか、そんなの学校入ってからわかるでしょうに」
結衣「ふ、不安なんだよ〜。ほら、私だって最初は緊張してたし」
八幡「お前が?」
結衣「そ、そうだよ。ヒッキーは知らないと思うけど……あっ」
雪乃「……」
八幡「……まあ、最初は友達作りに必死だもんな」
結衣「そ、そうだよね〜!」
八幡(――なんか今日やりにくいな。由比ヶ浜はそわそわしてるし、雪ノ下は妙に落ち着いているというか……まあそれはいつものことなんだが……)
雪乃「……あら、まただわ。ほら、このメールの差出人」スッ
八幡「またか、差出人『匿名』さん……」
そう、この差出人こそ、例の奇妙なメールをしてくる人物だ。
彼のメールは、春休みの始まった3月17日から今日3月29日まで、だいたい二日に一回のペースで送られてきた。
内容はどれも、文脈はしっかりしているものの、比喩というか例えが多すぎて理解不能なものが多い。バカな由比ヶ浜は別として、あの雪ノ下でさえ頭を悩ますような相談だった。
しかし、今回のメールは、読んだ誰もが理解できるような内容であり、なおかつ、非常に直接的なものだった。
「助けて」
たった三文字の、それだけしか書かれていないそのメールは、長い間奉仕部三人の視線を、パソコンのディスプレイに釘付けた。
八幡「おいおい、まじかよ……」
結衣「ゆきのん……これって」
雪乃「……はぁ。今回は、随分と大胆なのね」
八幡「遊び半分にしても、笑えないな。助けてって……怖すぎだろ」
雪乃「そうね。第一、具体的な内容が書かれていないのだから、助けたくても助けようがないわ」
八幡「そ、そういう問題か?」
雪乃「そういう問題よ。だいたい、今までのメール自体が意味不明だったもの。何か要求しているのは確かだったのだけど……今更何を、と言いたいわ」
結衣「……」
八幡(雪ノ下のやつ、きっと今までのが解決できなくて、イライラしてたんだな)
八幡「はぁ……で、日付と時間はいつになってる?」
雪乃「昨日の、午後7時30分ね」
八幡「ちょうど夕飯時か」
雪乃「ええ」
結衣「……」
八幡「……だからなんだって話、か」
雪乃「――まあ、深く考えるのはよしましょう。今まで、何かが起きたわけでもないのだし」
八幡「そうだな。念のため、平塚先生には後で伝えておくか」
雪乃「そうね。じゃあ、作業を続けましょう」
また夜にでも。
リバイバらないって事はリーディングシュタイナー的な話かな?
乙です
あれ?いつまでまっても夜がこないんだけど
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