女「今日は愛媛県産、新物の釜揚げしらすをご紹介します」
男「いただきます!」
女「はい。聴いている皆さんも想像してみてください」
女「炊き立ての白いご飯に、ふわっふわのしらす。たまりませんよね」
男「たまんない」
女「今日はしらす丼ご用意しましたので、どうぞお召し上がりになってください」
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男「あーこれすごい!あのね、まあちょっと僕のは大盛ご飯なんですけど、その上にしらすがかかってましてね」
男「しらすも沢山のっかてるんですけど、まあこれメインですからね」
男「で、これはあれかな。大葉かな?シソかな?」
女「シソですね」
男「シソをちょっと細切りにして、さらに卵黄を上に載せてるという」
女「ええ、あとは刻み海苔をちょっとまぶしてありますね」
男「刻み海苔もまぶしてね」
女「何もかけてないんですがそのままでも自然な海水の塩分で、しょっぱさがちょうどいいので」
男「想像して。真っ白なしらすの上に緑のシソが載ってて、その上に卵黄が載ってるやつ」
男「俺にも載せてくれっていう感じですよ!」
女「ハハハハハ」
男「すみません。じゃあいただきます」
女「こちら日本有数の産地、瀬戸内海で水揚げされた愛媛県産のしらすなんです」
女「それも今年の春漁で水揚げされた新物のしらすですから、だから美味しいんですよ」
男「うまい!」
女「おいしいですか?」
男「美味い!ホント美味い!」
男「ホントだよ、ふわふわだね」
女「はい。ただ、しらすって少しの量でも結構いいお値段がすると思いませんか?」
男「たしかに」
女「実はそれにはちゃんと理由があるんですよ」
女「通常店頭に並んでいる釜揚げしらすができるまでは、まず水揚げの際に混ざっている小エビなどを取り除き」
男「うん」
女「その後サイズ別に何段階にも選別して、最後に餌の小エビを食べてお腹の部分が多少赤味がかったしらすなどを」
女「見た目だけの理由でさらにさらに選別していくという作業が行われているんです」
男「これさ、大きさそろえると全然味変わるんだってね!」
女「そう――」
男「俺、一回取材で行った事あるんだけど」
女「ええ、ええ……」
男「全然こう炊きムラみたいなのが出来ないから、めちゃめちゃ味が違うって聞いたことある!」
女「……」
飯テロかな?
女「そうなんです……そういうのもあってすごい手間がかかるんですけど」
女「この度重なる選別作業の人件費が当然なんですがお値段に上乗せされてるという」
男「まあ、そりゃそうですね」
女「ところが今日の釜揚げしらすは、そうした選別作業を省いた“粗選別”です……」
女「つまり味には関係のない選別作業を省くことでお買い得価格が実現したんです」
男「……」
男「なるほどね……」
男「なるほど!逆にってことね!そこでどんどん高くなっちゃう方を逆に防いでいくって事なんだ!」
女「そうなんですよ。で、あの、味は実際変わらない……」
女「どころか、このお腹の赤味が実はうま味成分の元だったりするので深い味わいが楽しめたりなど」
女「ね?いっそ美味しい、みたいな……感じですよ!」
男「うんうん、なるほど!なるほどね!成程!」
男「――とにかく美味い!!」
おわり
つまるところ飯テロか
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