パワプロ「完全試合の記念ボールが盗まれた」(27)

実況「パワプロ投手、甲子園決勝で前人未踏の完全試合達成ーーっ!」

ワーワー!


~ロッカールーム~


あおい「すごいね、パワプロ君!おめでとう!」

パワプロ「いやぁ、本当にみんなありがとうね!」

聖「何を言ってるんだ、完全試合をしたのはパワプロ先輩だぞ」

パワプロ「でも、みんなの守備があってこその完全試合だよ」

聖「そういう風に言えるのが、パワプロ先輩の良いところだな」

あおい「パワプロ君すごいなぁ、ボクも負けてられないよっ」

監督「お~い、パワプロ!特別に完全試合達成のボールもらったぞ」

パワプロ「えっ!?いいんですか!?」

あおい「うわぁっ、すごいっ!」

聖「一生の宝物だな」

パワプロ「うん、嬉しいよっ!」

みずき「ちょっと、パワプロ先輩!いつまで浮かれてるのよっ!」

パワプロ「あ、ごめん」

みずき「もうっ!マスコミがうんざりするほどいるわ。早くインタビュー受けてきなさいよっ!」

パワプロ「そ、そっか」

聖「パワプロ先輩、がっつだぞ」

みずき「聖もよっ」

聖「なーーっ!」

みずき「そりゃ完全試合バッテリーなんだから当然でしょ」

あおい「二人ともがんばってね!」

パワプロ「うん!でも何回受けても、インタビュー緊張するなぁ」

聖「う、うむ……上手く話せるだろうか。てれび出演など恥ずかしいぞ///」

パワプロ「あ、記念ボールは、とりあえずバッグに入れておいてと……」ゴソゴソ

あおい「せっかくだし、ボクも見にいくからねっ!」

モブたち「おれたちもーーー!」

パワプロ「別にいいのに……」

みずき「ふん、私はこの間に着替えてこよっと」


ガヤガヤ……バタン


??「……みんないなくなったでやんすね」

??「いい気になるなでやんすよ」ゴソゴソ

~インタビュー中~


聖「五回くらいで、完全試合を意識しはじめたな」

聖「今日のパワプロ先輩はとにかく球が走っていた」

聖「球威に加えて、押さえ込んでやる!という気迫が、ミットごしにドシドシ伝わったぞ」

聖「こうなるとリードする側は楽なものだ。その気迫に応えてやればいい」

聖「何?ほとんどサインに首を振らなかったがどうしてか、だと?」

聖「あぁ、パワプロ先輩はいい。私が答えよう」

聖「まぁ私たちはとても深い信頼関係で結ばれている」

聖「パワプロ先輩が望むことが私にはわかる」

聖「そして、パワプロ先輩も私の意図を読みとってくれる」

聖「恐縮ながら、パワプロ先輩と私の信頼関係が、少なからず今日の完全試合の後押しになったと言えるのではないだろうか」

マスコミ「え、え~~……で、ではパワプロ選手!パワプロ選手にお聞きしたいのですが、完全試合を達成した瞬間どんなお気持ちでしたか?」

パワプロ「あ、そうですね~、どうだったかな、え~……」

聖「私がお答えしよう!その時パワプロ先輩は~~」ペラペラ

あれこれ犯人矢部じゃね?

あおい「あはは!聖の独壇場だったね」

聖「き、緊張のあまり、しゃべりすぎてしまった」

パワプロ「いやいや、助かったよ」

みずき「そうよ、パワプロ先輩に任せるよりずっと良かったわ」

パワプロ「悔しいけど、みずきちゃんの言う通り……あれ?」

あおい「どうしたの?」

パワプロ「ボ、ボールがない」

みずき「え?ボールって…」

パワプロ「た、確かに入れたはずなのに」

聖「もしかして……」

パワプロ「完全試合の記念ボールが盗まれた……」

あおい「勘違いってことはないんだよね?」

パワプロ「うん、バッグに入れたのは確かだ」

聖「誰かが忍びこんで盗んだのでは……」

みずき「そうよ、これだけ人がいるんだもの、部外者だって入れるわ」

矢部「それはあり得ないでやんすね!」

パワプロ「矢部君!」

矢部「考えてみてほしいでやんす」

矢部「インタビューはロッカールームのすぐ近くで行われたでやんすね」

あおい「そうだったね…」

聖「だが、あれだけ人がいたら、どさくさに紛れて忍び込むことができたのではないか」

矢部「そう……だからロッカールームの入り口に、監督がそれとなく見張りとして立っていたでやんすよ!」

矢部「ゆえに部外者が忍び込むことは、ほぼ不可能だったということでやんす」

みずき「メガネ……何が言いたいのよ?」

矢部「みずきちゃん、察しが良いでやんすね」

矢部「そう、犯人はこの中にいるでやんす!」

パ あ 聖「!!」

矢部「チームメイトという立場を利用して、わずかな隙に盗んだでやんすよっ!」

パワプロ「おい、矢部君!チームメイトを疑うのか!?」

矢部「状況から導き出される事実でやんす」

矢部「まぁ、監督が犯人という可能性もあるでやんすが、真っ先に疑われるシチュエーションで盗むというのは、少し考えにくいでやんすね」

あおい「じゃあ誰だっていうのさ?」

矢部「そうでやんすね……まぁそうは言っても、犯人は限られるでやんす」

聖「盗まれたのは、いんたびゅー中なのだろう!?ならば私には、ありばいとやらがある!」

矢部「内部犯なら一瞬で盗めるでやんす。だからインタビュー中とは、限らないでやんすよ」

みずき「じゃあここにいる全員が容疑者ってこと!?」

矢部「まぁそうでやんすね」

あおい「そんな……」

聖「チームメイトを疑いたくはないぞ」

矢部「でも状況から、それしか考えられないでやんす!」

みずき「……じゃあ全員の荷物検査でもする?内部犯ならまだ持ってるでしょ」

矢部「そ、そそそんなことしなくても犯人はわかるでやんすよ!」

パワプロ「どうした矢部君?急に声がでかいよ?」

矢部「は、犯人は、動機から探すという手法があるでやんすよ!」

パワプロ「動機?」

矢部「そう、パワプロ君からボールを盗む理由がある人を探す方が早いでやんす」

矢部「その動機があるのは……」

矢部「あおいちゃん、みずきちゃん、聖ちゃんでやんすよ!」

あ み 聖「!!!」

あおい「ちょっと、矢部君!」

みずき「いい加減にしなさいよね!」

聖「言って良い冗談と悪い冗談があるぞ!」

矢部「犯人扱いするのは、謝るでやんすよ……でもまずは話を聞いてくれでやんす」

矢部「あおいちゃん」

あおい「な、なんだよ……」

矢部「パワプロ君のゴリラばりのスタミナのせいで、出番がなかったでやんすね」

パワプロ「ゴ、ゴリラ……」

あおい「それはそうだけど」

矢部「最後の甲子園で、マウンドに立てなかったでやんすね」

あおい「そ、そりゃあ、悔しさがないと言ったら嘘になるけどさぁ」

矢部「それが動機でやんす!」

あおい「なんでよっ!」

矢部「甲子園のマウンドに立てなかった腹いせに、パワプロ君を困らせてやろうと考えてもおかしくないでやんすよ!」

あおい「そんなことするわけないよ!甲子園に来られたのは、パワプロ君の力あってだし!感謝することはあっても、困らせようとなんてしないよっ」

矢部「まぁ……あくまで動機の推測でやんすよ」

矢部「次は、みずきちゃんでやんす!」

みずき「死ね!メガネのくせにいっちょ前に探偵役なんてして!」

矢部「おやぁ?何慌ててるでやんすかぁ?」

みずき「苛ついてるのよ!」

矢部「まぁそれも時間が解決してくれるでやんすよ」

矢部「みずきちゃん……なんでインタビューを見に来なかったでやんすか?」

みずき「は、はぁ?強制じゃなかったでしょ?早く着替えたかったのよ」

矢部「そのわりに着替えてないでやんすねぇ……」

みずき「っ!こ、これは、別に……」

矢部「着替えをすると言ったのに、していない……何してたでやんすかねぇ?」

みずき「そ、それは……」

矢部「人に言えないことでやんすかぁ?」

みずき「そ、そんなこと!……ないもん」

矢部「じゃあ言えるでやんすねぇ」

みずき「………」

矢部「おや?言えないんでやんすか?」

みずき「……インタビューを見に行ってたの」ボソッ

矢部「ふぁっつ?」

みずき「インタビューをこっそり見にいってたのよっ!」

パワプロ「え?みずきちゃん、俺のインタビューに興味なさそうだったのに……なんで?」

みずき「~~っっ///」

矢部「はぁ~……相変わらずパワプロ君は鈍感でやんすねぇ」

パワプロ「へ?」

矢部「こればっかりは、みずきちゃんに同情するでやんすよ」

みずき「だ、だからボールを盗んでなんかないわよっ!」

矢部「どうでやんすかねぇ……」

矢部「むしろそれが動機につながるでやんすよ」

みずき「え?……ち、違うわよっ!」

矢部「やはりみずきちゃんは、察しが良いでやんすねぇ~~」

矢部「そう……そんな想いを抱いたみずきちゃんなら、記念ボールが欲しくないわけないでやんす!」

みずき「そ、そんなことしないもん!」

矢部「顔が真っ赤でやんすよ~~?」

みずき「こ、これは違うわよ」

矢部「まぁ、オイラから言わせれば、みずきちゃんは容疑者第一候補でやんす」

パワプロ「おい、矢部君、いい加減しろよ!ボールなんてもういい!」

矢部「よくないでやんす!パワプロ君を困らせるなんて、パワプロ君が許しても、親友のオイラが許さないでやんす!」

パワプロ「矢部君……」

矢部「続けるでやんすよ。最後は聖ちゃん」

聖「な、なんだ!私には、やましいことなどないぞ」

矢部「インタビュー、聞いたでやんすよ」

聖「あ、あれがなんだと言うのだ?」

矢部「なんでやんすか、あのインタビューは。聖ちゃんばっか話してたでやんすよ」

聖「そ、それは緊張しててつい……」

矢部「まぁそれもあるのかもしれないでやんすが、言葉の節々に自分の手柄感がプンプン出てたでやんす」

聖「そんなことないぞ!完全試合はパワプロ先輩の力だ」

矢部「そうは感じなかったでやんすねぇ……」

矢部「今回の完全試合が自分の手柄だと思っていたならば、ボールも自分のものだと思うことはあるでやんすよ!」

聖「言いがかりだ!」

矢部「本当に言いがかりだったらあとで謝るでやんす。まぁそれも真実がわかってからでやんすね」

矢部「さぁ、早めに自白した方がいいでやんすよ!」

あおい「ボクは盗んでないよ!」

みずき「そうよ!推理もこじつけばかりじゃない!」

聖「いんたびゅーでしゃべりすぎたのは反省してるが、パワプロ先輩の成果を汚すことなどしないぞ!」

パワプロ「矢部君……もういいよ」

矢部「もういいとは、どういうことでやんすか?」

パワプロ「もうこの空気が耐えられないよ。それに三人が盗むなんて思えない」

矢部「……そうでやんすか」

パワプロ「たかがボールだし、そんなので揉めるの嫌だ。もうこの話はやめにしよう」

矢部「いいんでやんすか?」

パワプロ「うん、いいよ……もうこの話はおしまいだ!それより甲子園優勝だよ!みんなやったね!」

矢部「……パワプロ君の優しさは、北半球を駆け抜けるでやんすね」ニヤリ

??「ちょっと待つッス!」バーン

ほむら「ほむらは、犯人の姿を見てたッスよ!」

パワプロ「ほ、ほむらちゃん!?」

あおい「ホントッ!?」

パワプロ「……ってかほむらちゃん、なんで俺のロッカーに入っ ほむら「犯人は矢部君ッスよー!」

みずき「はぁっっ!?」

矢部「な、なななにを言ってるでやんすか!?」

ほむら「パワプロ君の鞄からボールを取って『いい気になるなでやんす!これを売ってガンダーロボを買うでやんす』と吐き捨ててたのをしっかりと聞いたッスよ!」

聖「ほう……矢部先輩、どういうことか説明してもらおうか?」

矢部「い、いや、証拠がないでやんすよ!それよりロッカーの中に隠れてたほむらちゃんが一番怪しいでやんす!」

パワプロ(確かに……)

ほむら「ふっふふー、証拠ならこのカメラの中にあるッスよ!」スチャッ

矢部「なっ、なんてことでやんすか!」

ほむら「ほら、見るといいッス。はっきりと写ってるッスよ」

パワプロ「うわぁ……」

あおい「ホントだ!」

みずき「私たちに罪をなすりつけようとしてたってわけね……」

聖「これは大変なことだぞ」

矢部「も、申し訳ないでやんす!つ、つい出来心でやってしまったでやんすよ」

あおい「覚悟出来てるんだろうね?」

みずき「さいってー!」

聖「さらば」

矢部「ひいぃぃぃーっ!」

ドガバギッ!

パワプロ「あ、あはは……ま、何にしても解決して良かったよ」

ほむら「パワプロ君!ほむら良い仕事したッスか!?」

パワプロ「ありがとね、ほむらちゃんのおかげだよ」ナデナデ

ほむら「~~っ///」

パワプロ「さ、時間食っちゃったし、早く着替えなきゃ……ん?」

パワプロ「あれ?あれ~?」

ほむら「どうしたッスか、パワプロ君?」

パワプロ「……パ、パンツがない」

パワプロ「俺のパンツが盗まれた……」


おわり

ナンバリングの13までしかプレイしたことないワイ、ほむらが誰だか分からず咽び泣く
とりあえず乙乙

雅「僕は?」

お前も誰やねん

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