ナガタとイヌヅカ (28)
ナガタ「聞いて」
イヌヅカ「うん?」
ナガタ「聞いてよ」
イヌヅカ「聞かないけども」
ナガタ「えっ」
ナガタ「困る困る」
イヌヅカ「そう?」
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ナガタ「聞いて貰わなきゃ」
イヌヅカ「聞いて欲しいの?」
ナガタ「肺が出る程に」
イヌヅカ「喉からね」
ナガタ「手はどうやっても出せないから」
イヌヅカ「肺ならなんとか」
ナガタ「でしょ」
ナガタ「最近ナガタさんアレじゃん」
イヌヅカ「滑稽だよね」
ナガタ「違うよ?」
イヌヅカ「太ったよね」
ナガタ「3キロ痩せたわ」
イヌヅカ「すごい」
ナガタ「ひと月でね」
イヌヅカ「それはやるなぁ」
ナガタ「超スリム」
イヌヅカ「あぁそう」
ナガタ「心なしか身体も軽くて」
イヌヅカ「飛べちゃうね」
ナガタ「うん」
イヌヅカ「いいなぁ」
ナガタ「いやいや」
ナガタ「流さないで」
イヌヅカ「えっ?」
ナガタ「ナガタさんの話を軽く流さないで」
イヌヅカ「流しがちだよね」
ナガタ「そういうのやめて」
ナガタ「……なんだっけ」
イヌヅカ「えっとね」
イヌヅカ「おいしい親子丼を作った話じゃない?」
ナガタ「それアナタが話したい話じゃないの」
イヌヅカ「あれは店にも出せるレベル」
ナガタ「待って待って」
イヌヅカ「待たないね」
ナガタ「ナガタの話」
ナガタ「ナガタの話をだね」
イヌヅカ「そう?」
ナガタ「アナタはナガタの部屋で」
イヌヅカ「ナガタの話を聞けば良い?」
ナガタ「分かってるじゃない」
イヌヅカ「分かってた」
ナガタ「そういうとこある」
ナガタ「イヌヅカさんはそういうとこあるよね」
イヌヅカ「あるある」
ナガタ「待って」
イヌヅカ「なにさ」
ナガタ「『アルアル』、じゃないよ?」
イヌヅカ「そんな言い方してた?」
ナガタ「否定をしなさい否定を」
イヌヅカ「認めちゃったけども」
ナガタ「ナガタさん何回も言ってるよ」
イヌヅカ「えぇ」
ナガタ「否定の美学について」
イヌヅカ「聞いてあげる」
ナガタ「ありがとうございます」
ナガタ「否定ってのは無限の可能性を秘めていてね」
ナガタ「例えば、『変人』」
ナガタ「『ナガタさんって変人ですよね』と言われたとします」
ナガタ「ナガタさん知ってます」
ナガタ「変わり者だって自覚あります」
ナガタ「もう中学の頃から気付いてましたよ」
ナガタ「ただそれを認めてはいけないのです」
イヌヅカ「はいはい」
ナガタ「そうなんですよね、よく変わってるって言われるんですぅ」
ナガタ「『ですよね』」
ナガタ「終わり」
ナガタ「この会話は終わりですよ」
イヌヅカ「そうね」
ナガタ「布団の中で後悔するでしょうね」
ナガタ「今日盛り上がらなかったなぁ、と」
イヌヅカ「熟睡しちゃうけどね」
ナガタ「どうするべきか?」
ナガタ「否定をするんですよ否定」
ナガタ「『ナガタって変わってるよな』」
ナガタ「いやいや、ドが付く程の常識人ですよ」
ナガタ「『それは有り得ないだろwww』」
ナガタ「世界平均、ネリマが誇る世界平均ですもの」
ナガタ「『やっぱりコイツ変わってるよな? そう思うだろ?』」
ナガタ「広がりました」
ナガタ「会話が広がりましたね」
イヌヅカ「標準じゃない?」
ナガタ「えっ」
イヌヅカ「世界平均?」
ナガタ「わざとわざと」
イヌヅカ「はい?」
ナガタ「あえてね」
イヌヅカ「ツッコミを」
ナガタ「そうそう」
ナガタ「そういうとこある」
ナガタ「そういうとこあるからナガタさん」
イヌヅカ「そっかぁ」
ナガタ「ちょくちょく流すよね」
イヌヅカ「流してない流してない」
ナガタ「いやいやめっちゃ流してるよナガタの話」
イヌヅカ「親身になって聞いてる」
ナガタ「『そうめんかな?』ってくらい流してるよね」
イヌヅカ「竹感は出てないけども」
ナガタ「上から流してはない?」
イヌヅカ「むしろ締めのうどん並に聞いてる」
イヌヅカ「実践したね」
ナガタ「ちょっと違くない?」
イヌヅカ「否定したじゃないの」
ナガタ「そうだけども」
イヌヅカ「広がりを見せたよ」
ナガタ「そうめんを否定しろって意味ではなくてさ」
イヌヅカ「そっかぁ」
ナガタ「流すな流すな」
ナガタ「まったく」
イヌヅカ「そんなもんよ」
ナガタ「否めない」
イヌヅカ「ここは否まないんだ」
ナガタ「ナガタさんちょっと力量不足」
イヌヅカ「精進しなさい」
ナガタ「……世界標準?」
イヌヅカ「うん」
ナガタ「世界平均ではなく?」
イヌヅカ「そんな言い方はしないなぁ」
ナガタ「自分間違ってた?」
イヌヅカ「英訳はグローバルスタンダードじゃない」
ナガタ「あぁ」
ナガタ「敗北感」
イヌヅカ「痛感してるね」
ナガタ「なんも言えない」
イヌヅカ「勝っちゃったね」
ナガタ「ナガタさんの語彙力の弱さが出ちゃった」
イヌヅカ「つつかれがちだね」
ナガタ「ぱぁの音も出ない」
イヌヅカ「そうね」
ナガタ「いやだからさ」
イヌヅカ「うん?」
ナガタ「流すなと」
イヌヅカ「そういうとこぐらいは勝たせてあげたいなって」
ナガタ「ツッコまれなきゃもはや負けだよ」
イヌヅカ「イヌヅカの優しさがね」
ナガタ「心無い優しさは敗北だと言うだろうに」
イヌヅカ「言わないね」
ナガタ「んふふ」
イヌヅカ「聞いたことないよ」
ナガタ「言わない?」
イヌヅカ「言わない言わない」
ナガタ「でも聞いたことはあるでしょうに」
イヌヅカ「どこで」
ナガタ「カラオケ」
ナガタ「ナガタ歌ってたよ?」
イヌヅカ「あぁ」
ナガタ「分かるよ?」
イヌヅカ「はい?」
ナガタ「歌声に集中しちゃってたものね」
イヌヅカ「うん?」
ナガタ「美ボイスに聞き惚れてたものね」
イヌヅカ「スマホ弄ってたけども」
ナガタ「ダメでしょそれ」
イヌヅカ「良いかなって」
ナガタ「ナガタはちゃんとノるよ?」
イヌヅカ「えらい」
ナガタ「絶対弄ることないよ?」
イヌヅカ「どこを?」
ナガタ「どこを?」
イヌヅカ「なんでもない」
ナガタ「やめて」
イヌヅカ「やめたやめた」
ナガタ「アナタからなんて珍しい」
イヌヅカ「最近出がち」
ナガタ「それはむしろナガタのキャラだよね」
イヌヅカ「俺はスポンジ人間だから」
ナガタ「キャラを奪わないで」
イヌヅカ「奪いがちだね」
ナガタ「やめて」
イヌヅカ「うん」
ナガタ「はぁ」
イヌヅカ「終わり?」
ナガタ「というか思い出せない」
イヌヅカ「なんの話がしたかったのか?」
ナガタ「アナタが変な茶々いれるから」
イヌヅカ「ティーカップにね」
ナガタ「さいですか」
イヌヅカ「あれ?」
ナガタ「流してやったわ」
イヌヅカ「ちゃんと飲んで」
ナガタ「毒入ってるもん」
イヌヅカ「愛の間違いだね」
ナガタ「尚更トイレに流してやるわ」
イヌヅカ「やっぱり飲むんじゃないの」
ナガタ「待って」
イヌヅカ「飲みたがりなんだから」
ナガタ「理解しないからな」
イヌヅカ「はい?」
ナガタ「貴様の言意を朕は理解しないからな」
イヌヅカ「貴様て」
ナガタ「認められない」
イヌヅカ「そっか」
ナガタ「貴様!!」
イヌヅカ「掌の上だね」
ナガタ「もういい」
イヌヅカ「そろそろお腹が」
ナガタ「食べいこう」
イヌヅカ「良いね」
ナガタ「結局ナガタの話は出来なかった」
イヌヅカ「十分喋ったじゃないの」
ナガタ「したい話はまったく出来てないけども」
ナガタ「あれ?」
イヌヅカ「はい」
ナガタ「ナガタは何を話したがってた?」
イヌヅカ「そこ?」
ナガタ「店で話せばいいのだから」
イヌヅカ「親子丼じゃない?」
ナガタ「アナタの食べたい物じゃないの」
イヌヅカ「よし決まり」
終
イヌヅカ「うまかったね」
ナガタ「全然上手くないよ」
イヌヅカ「いや旨かったよ」
ナガタ「うるさいうるさい」
イヌヅカ「転がってるねぇ」
今度こそ終
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