前作
【ゆるゆり if】あかり「今日から京子ちゃんも中学生だね!」
【ゆるゆりif 2話】櫻子「生徒会福会長!」
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途中20分以上空いたら多分中断してるかと
でも今日中に終わらせます
ちなつ「うわぁああもうっ! なんでこんなことになるのよぉ~」カリカリ
あかり「ちなつちゃん、ファイトだよ!」
ちなつ「あかりちゃんも手伝ってよぉ~ こんなに沢山宿題出すだなんてあの人は鬼なのかぁ!」
あかり「鬼じゃなくて数学の先生でしょ。ほらほら、ちなつちゃんは頭いいんだからすぐに終わるってば」
ちなつ「くそぉ……あかりちゃんって意外とスパルタ!」
あかり「仕方ないよぉ~ ちなつちゃんの宿題はちなつちゃんがやらないといけないんだから」
ちなつ「うぅ…………いつかあいつをギャフンて言わしてやるんだからぁ!」
あかり「あははは……」
ガラガラ
京子「お待たせあかりちゃん! ちなつ先輩」
結衣「どうも」
あかり「あ、2人とも待ってたよ!」
ちなつ「京子ちゃぁああん!」ガバッ
京子「ひゃっ!!」
ちなつ「私の宿題手伝ってぇええ…… なんでもするからぁあああ…………」
京子「しゅ、宿題ですか…………でも、2年生の宿題を私なんかが……」
ちなつ「応援して頂戴! 京子が応援してくれるだけで私の潜在能力が引き出されるから!」
京子「お、応援……ですか?」
ちなつ「とりあえずほっぺたスリスリさせてねぇ~♪」スリスリ
京子「ひゃんっ!」ピクッ
結衣「おいコラ! 京子から離れろピンク!」ググッ
ちなつ「うっさいわね。お呼びでないアンタは引っ込んでなさい!」
結衣「うるさい!」グイッ
京子「ちょ、ちょっと痛い……から…………やめて……」
ちなつ「京子が痛がってんでしょが! とっとと離せゴリラ!」
結衣「お前が離せ腹黒野郎!」
ちなつ「だぁ~れが腹黒野郎よ! 口の利き方に気をつけなさい! 先輩に向かって!!」
結衣「ただ歳が上なだけだろ! 尊敬できないような奴は先輩とは言わないんだよ!!」
京子「た、助けてぇあかりちゃん!」
あかり「はいはい2人とも。とりあえず京子ちゃんの腕を離してあげて。このままじゃ腕が外れちゃうよぉ」
ちなつ「…………ちぇ」
結衣「す、すみません」
京子「うぅ、あかりちゃん………」ギュッ
あかり「はいはい。大丈夫だよぉ」ナデナデ
結衣「ご、ごめん京子! 痛くする気はなくて、そのっ…………」
ちなつ「ったく、アンタがとっとと離さないのが悪いんじゃないの!」
結衣「なっ、それはこっちのセリフだ!」
ちなつ「ふんっ」
結衣「いちいち癪にさわる態度して……」
あかり「ごめんね結衣ちゃん。でも今日ちなつちゃん、ちょっと機嫌が悪いんだぁ」
結衣「いや、あかり先輩が謝ることじゃないです。こいつが悪いに決まってる!」
ちなつ「ケッ」カリカリ
結衣「何があったんですか?」
あかり「ちなつちゃんね、宿題を持ってくるのを忘れてみんなの倍の宿題を今日出されちゃったんだぁ」
結衣「…………ふっ」
ちなつ「おいコラ?」
結衣「なんですか?」ニヤニヤ
ちなつ「シメる! こいつ一回シメる!!」ガタッ
結衣「あはは、そんなことする暇があったら早いところ宿題やったほうが良いんじゃないですか?」
ちなつ「こ、このっ!!」
あかり「はいストップ。ちなつちゃんそんなことしてる暇ないでしょ?」
ちなつ「うっ……ぐぐぐ!」プルプル
ちなつ「……………………はい」
結衣(なんだろう。初めてこの人に勝ったぞ!)
ちなつ「ちっ………朝きちんと確認さえしておけば……」カリカリ
京子「朝なにかあったんですか?」
結衣「大方寝坊でもしたんでしょ」
あかり「結衣ちゃんもそんなに突っかかっちゃダメだよ。あかりの大切なお友達をいじめないであげて。ね?」
結衣「うぐっ…………す、すみません」
あかり「でも本当にどうしたの? ちなつちゃんが宿題を忘れるなんて初めてじゃない? 何かあったの?」
ちなつ「あぁ~別に大したことじゃないのよ。ただ新生活に戸惑ってるだけっていうか」
あかり「新生活?」
ちなつ「そ」
京子「新生活って、何が変わったんですか?」
ちなつ「別にそこまで変わったことはないわ。ただ単に住んでるところが変わったくらい」
あかり「えぇ!? ちなつちゃん、お引越ししたの!?」
結衣(どうせなら地球外にでも引っ越せば良いのに)
ちなつ「引越しっていうかね、ただ1人暮らしを始めただけよ」
あかり「へ? 誰が?」
ちなつ「私が」
あかり「…………え?」
「「「えぇええええっ!?」」」
あかり「ひ、1人暮らしぃ!? ちなつちゃんが!?」
ちなつ「えぇ。いい人生経験になるかなって思って。私の家って学校から遠かったから、近場にある所にね」
京子「す、凄い……1人暮らしなんて大人みたい!」キラキラ
結衣「家族から追い出された、の間違いなんじゃないのか?」ボソッ
ちなつ「黙りなさい」
結衣「地獄耳野郎め」
ちなつ「ふんっ! まぁそんなわけで、慣れない生活のせいで持ってくるのを忘れたのよ。多分机の上にあるんだと思う」
あかり「そ、そうなんだぁ」
京子「あの、ちなつ先輩! どんな所に住んでるんですか? 1人暮らしは楽しいですか!?」キラキラ
ちなつ「なにアンタ? 予想以上に食いつくわね」
京子「な、なんか格好いいなって思って」
ちなつ「ほほぉ、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。なんなら明日あたり来る? 丁度祝日だし」
京子「え、いいんですか!?」
ちなつ「ええ。せっかく小さいながらも一国一城の主になったのだから、誰かに自慢したいと思ってたのよ。丁度いいカモよ」
京子「は、はぁ……」
ちなつ「あかりちゃんも来るでしょ?」
あかり「もちろんだよぉ!」
結衣「…………………」
ちなつ「それじゃ明日待ってるわよ。きちんと2人分のご飯作っといてあげるから」
あかり「え゛」
京子「え……あの、結衣ちゃんは……」
ちなつ「そんな奴に我が家の敷居を跨がせるわけないでしょ。玄関の外までなら来てもいいけどぉ~?」
結衣「だ、誰がアンタなんかの家にっ!!」
ちなつ「それは好都合ね。ふふふっ、今度からはアンタ抜きで活動ができるってことよねぇ」ニヤニヤ
結衣「………………っ!」ギロッ
あかり「めっ!だよちなつちゃん。結衣ちゃんに意地悪しちゃダメ! さすがに今のはちょっと度が過ぎてるよ!」
ちなつ「か、軽いジョークだってば! そんなに眉間にシワ寄せて怒らないでも良いじゃない!」
あかり「冗談でも言っていいことと悪い事があるんだよ、ちなつちゃん。ほら、結衣ちゃんに謝って!」
結衣「別に良いですよ。家に入れたくないっていうならそれでも別に」フイッ
ちなつ「アンタもなに拗ねてんのよ。バッカみたい」
結衣「私だってアンタの事家に入れたくなんて無いですし。逆の立場なら絶対に家に呼んだりなんてしませんから」
京子「ゆ、結衣ちゃん……そんな事言わないで」
結衣「いいんだよ京子。明日はあかり先輩と一緒に楽しんでおいで。あの先輩だってその方が嬉しいだろうし」
あかり「そ、そんな事無いよ! 結衣ちゃんがいないとちなつちゃんだって楽しく無いに決まってるってばぁ」
結衣「いえ、いいんです。私だってこの人の家に行ったって楽しめそうに無いですから」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」
ちなつ「あっそ、それなら別に来なくてもいいわよ」
あかり「ち、ちなつちゃん!」
ちなつ「ただね、アンタがもしも明日私の家に来なかったら…………うふふふ」
結衣「?」
ちなつ「京子、明日泊まって行きなさい」ニヤニヤ
京子「……へ?」
ちなつ「邪魔者はいないし明日は2人だけで楽しみましょう? うっふふふ」
結衣「お、お前なにするつもりだ!!」
ちなつ「えぇ? だって……」ズイッ
結衣「な、なんだよ!」
ちなつ「いつもはあんたに邪魔されるけども、やっと明日はそれがなくなるわけだから。京子は私が貰うわね?」ボソッ
結衣「なっ!?」
ちなつ「なんだかんだでアンタっていつも私の邪魔に成功してんのよ? でも明日はそれを放棄するんだから………ね? 京子は押しとけば簡単に落ちるだろうし」ニヤニヤ
結衣「な、なに考えてるんだアンタは!! そんな事させるか!!」カアァァ
ちなつ「へぇ? そんな事ってどんな事ぉ?」
結衣「あ、なっ…………う、うるさい!!」カアァァ
ちなつ「そんでどうすんの? 来るの? 来ないの? 今すぐ決めなさい」
結衣「い、行ってやる!! 絶対にアンタの思い通りにはさせないからなっ!!」
ちなつ「ほっほぉ~? やれるもんならやってみなさいな。単細胞のゴリラが私にどこまで抗えるか見ものだわ」
結衣「漂白剤をぶち込んでアンタのはらわたを漂白してやろうか!!」
ちなつ「その前にアンタを動物園送りにしてやるわよ!」
あかり「……………なんとかなったみたいだね」
京子「そうみたいだね。明日が楽しみだねあかりちゃん!」ニコニコ
あかり「えへへ、そうだね」
あかり(多分いま一番焦ってたのはちなつちゃんだったんだろうなぁ)クスッ
ー翌日ー
結衣「……………………」
from あかり先輩
本文
私と京子ちゃんは少し遅れちゃうから先にちなつちゃんのお家に行っててね!
ちなつちゃんと仲良くしてあげてね(^o^)
結衣「あかり先輩も文章では自分の事“私”って書くんだ…………」
結衣「じゃなくて!! 私1人で先に入ってろって事!? そんなの無理だってぇ!!」
結衣「で、でもあかり先輩に心配かけるわけにもいかないし………気は進まないけれど入るしか……気は進まないけど」
結衣「なんか凄い雰囲気のある建物だな。本当にここで合ってるのか不安になってきた」
結衣「と、取り敢えずオートロックを開けてもらわなくちゃ。番号を入れてっと……」
ビンポーン
「はい」
結衣「ど、どうも船見です」
『あの、何方ですか?』
結衣「え、あれ!?」
『番号を間違えてますよ』
ガチャン
結衣「あの、すみませ…………って切れちゃった。おっかしいなぁ、ちゃんと部屋番号は確認したはずなのに。間違えてたのかな」
結衣「今度は確認してキチンと押してっと……」
ピンポーン
『はい』
結衣「あ、ちなつ先輩ですか?」
『なに、またあなたですか? いい加減にしてください!!』
結衣「え、えぇ!? ま、また間違えちゃったの!? ご、ごめんなさい!!」
『あのねぇ! イタズラなら警察を呼びますよ! どこの中学なの!!』
結衣「い、いや! イタズラじゃなくて本当に間違えただけで! ご、ごめんなさい!!」
『……………ほほぉ、あんたも人に謝る事出来んのね。入んなさい』
ウィーン
結衣「はっ?」
ちなつ『ほら、開けてやったんだからとっとと入れって言ってんのよ。エレベーターで3階まで上がって左側にあるわよ』
結衣「た、タチの悪いイタズラするな!! 本当にビックリしたんぞ!!」
ちなつ『あっははは! これをしたくてあかりちゃんにわざと遅れるように言っといたんだから! あっはははは!』
結衣「こ、このクソ野郎……!!」プルプル
ちなつ「あー面白かった」
結衣「面白くなんてない!」
ちなつ「そりゃアンタはそうでしょうね。あ、それとあかりちゃんを恨むのはやめなさい? あかりちゃんは私に騙されてんだから」
結衣「騙された?」
ちなつ「そ。あんたに謝りたいから2人にさせて、って感じでメールしたの」
結衣「はっはぁ。そりゃあかり先輩ぐらい優しい心を持った人じゃないと騙せないでしょうね。なんせアンタが私に謝るだなんてあり得ないから!」
ちなつ「あ~ら、よく分かってるじゃない」
結衣「ふん」
ちなつ「取り敢えず、はいこれ。あんたみたいなもんでも一応お客なわけだし」
結衣「…………………………」
ちなつ「なによ? オレンジジュース苦手だった?」
結衣「なにか変なものでも入れたんでしょう?」
ちなつ「んなこたぁしないわよ」
結衣「………………」
ちなつ「疑うんなら飲まなくてもいいケド?」
結衣「…………頂きます」
ちなつ「それとね、ご飯作ろうと思うんだけど何か食べたいものある?」
結衣「なんで私に聞くんですか?」
ちなつ「あかりちゃんがね、昨日のお詫びにアンタの好きなもの作ってやれって言うから。仕方なくだけど作ってやろうって思ってね」
結衣「別に何でもいいです」
ちなつ「それが一番困るのよ」
結衣「本当に何でもいいです。別に嫌いなものなんて無いですし」
ちなつ「ちっ……それじゃハンバーグは?」
結衣「……別に嫌いじゃ無いです」
ちなつ「そう。それならハンバーグにするわよ。あとで文句言わないでちょうだい」
結衣「別にいいません」
ちなつ「あっそ。それじゃテーブルの上にあるお菓子、適当につまんでなさい。私は買い物に行ってくるから」
結衣「買い物?」
ちなつ「そ。ハンバーグの材料買ってこないといけないし」
結衣「それなら私も手伝います」
ちなつ「アンタは本当に馬鹿ね。2人がここを出て行ったら誰があかりちゃん達を中に入れるっていうのよ?」
結衣「あ……」
ちなつ「一応鍵は置いてくから。あかりちゃん達が迷った時は迎えに行ってやんなさい。そんじゃ」
結衣「あっ! ちょっと待って下さい!」
ちなつ「なによ?」
結衣「いや、その…………いいんですか?」
ちなつ「なにが?」
結衣「だ、だから……私を1人にして。それどころか鍵まで渡したりして」
ちなつ「あん? 何か問題でもある?」
結衣「いや、だから…………」
ちなつ「わっけわかんないわね。いいから黙って留守番してなさい。犬にだってできる事なんだから、アンタにだってギリギリ可能なはずでしょ」バタン
結衣「ど、どういう意味だ…………って、行っちゃった…………」
結衣「…………………………」
結衣「はぁ、1人っきりで他人の家でなにしろっていうんだ…………」
結衣「取り敢えず本棚の漫画でも借りて読んでよう」
結衣「うわ、少女漫画ばっかり! 少年漫画はないのかな……」
ピンポーン
結衣「ん? 先輩が帰ってきたのかな」ガチャ
結衣「はい」
『あ、ちなつちゃん? あかりだよ!』
結衣「あかり先輩!」
あかり『あれ、結衣ちゃん?』
結衣「はい、そうです。取りあえず開けますね」
あかり『ありがとう! さ、行こう京子ちゃん』
京子『はーい!』
ーーーーー
ーーー
ー
京子「うわ!うわうわぁ!! 凄い!!」キョロキョロ
京子「本棚に机にパソコン! ベッドにポスター!」キョロキョロ
京子「それにテレビとゲーム機まで置いてある!!」
京子「こっちにはハシゴまであるよ!! うわぁ高いなぁ」キラキラ
あかり「あ、ダメだよ京子ちゃん! 勝手に上ったりしちゃ!」
京子「ちょっと待ってて~ うわぁ凄い!」
あかり「京子ちゃんったら、まったくもぉ~」
結衣「なんか京子凄い活発ですね。クラスじゃこんなところ見たこと無いです」
あかり「多分結衣ちゃんに心を許してくれてるからだよぉ。あかりの前では普段からこんな感じなんだよ」
結衣「そ、そうだったんですか」
あかり「第一印象だけでは人なんてなかなか分からないものだよねぇ。京子ちゃんなんてその代表だもん」
結衣「ま、まぁそうですね」
あかり「……ふふふ、ちなつちゃんとも仲良くしてあげてね結衣ちゃん」ナデナデ
結衣「は、はぁ……その、頭を撫でるのはちょっと…………」カアァァ
あかり「あ、ごめんね。嫌だったかなぁ……?」
結衣「い、嫌というよりは恥ずかしいという感じです。あと少しは嬉しいですけど……」
あかり「えへへ、やっぱり結衣ちゃんって可愛いなぁ~」ナデナデ
結衣「あ、あうぅ…………」カアァァ
京子「あぁ! 結衣ちゃんだけずるい! 私にもナデナデして」
あかり「はいはい。それならまずは上から降りてきてねぇ」
京子「はーい」
あかり「気を付けて降りてこないとダメだよぉ」
京子「はーい!」
ピンポーン
あかり「あれ、誰だろう?」
結衣「あ、多分ちなつ先輩だと思います」
あかり「ちなつちゃん? あ、本当だ」ガチャ
ちなつ『コラ、早く開けなさいよノロマ!!』
あかり「ちなつちゃん、口が悪いよぉ~」
ちなつ『あ、その声はあかりちゃん。ごめんね、もう来てたんだ』
あかり「今着いたばっかりだよぉ。いま開けるね」
ちなつ『よろしく~』
ちなつ「あかりちゃん、京子。いらっしゃい。どう、私の城は?」
京子「凄いです! なんかとっても大人っぽいお部屋で感激です!」キラキラ
あかり「そうだねぇ。あかりのお部屋は可愛いものが沢山置いてあるからねぇ。こんな風に大人なお部屋って格好いいなぁって思うよぉ」
ちなつ「ふっふふ~ん! あったりまえでしょうが! 私とて、もう中学校2年生なんだからいつまでも子供でいられないわよ」
あかり「でもあかりはまだまだ可愛いものに囲まれてたいなぁ」
ちなつ「ま、あかりちゃんはそれでいいんじゃ無いの? 自分自身が人形みたいなマスコットキャラなんだし」
あかり「ま、マスコットキャラ………」
京子「ちなつ先輩、どこに行っていたんですか? 沢山荷物がありますけれども」
ちなつ「近くのスーパーよ。チラシが入ってたから行ってみたの」
京子「へぇ~」キラキラ
ちなつ「なによ、その輝く瞳は?」
京子「なんか大人っぽいなぁって思って!」
あかり「お母さんみたいだねぇ」
ちなつ「1人暮らしすると嫌でもそうしなくちゃいけないのよ。あーあ、ボーッとしててもご飯が出てきた我が家が懐かしいなぁ」
あかり「あはは」
ちなつ「笑うんじゃないっての。結構切実な問題なんだから」
あかり「えへへ、ごめんごめん」
ちなつ「ったく…… ちょいとこれ冷蔵庫にいれてくっから。おいゴリラ、部屋のもん勝手に触るんじゃないわよ!」
結衣「誰が触るか!!」
京子「あ、お手伝いしましょうか?」
ちなつ「客が勝手にうろちょろしないで。黙って座ってジュースでも飲んでなさい!」
京子「ご、ごめんなさい……」
ちなつ「んじゃね。よっと、結構重いなぁ、こんなに買ったっけぇ?」
京子「……………」ショボーン
結衣「京子、元気を出して」
京子「うん…………」
結衣「あかり先輩。ちなつ先輩って本当に酷い人ですね。京子がせっかく手伝おうとしてくれたのにあんな言い方するなんて」ボソッ
あかり「あはは、あれはちなつちゃんなりの優しさだよぉ」
京子「や、優しさ……?」
結衣「なにを言ってるんですかあかり先輩。あんな酷いことを言ったんですよ?」
あかり「いまの言葉を翻訳するとね、『京子ちゃんの気持ちはとっても嬉しいんだけど、お客様にそんなことをさせるわけにはいかない。私のことは気にせずゆっくり寛いでてね』みたいな感じなんだよぉ」
京子「そ、そうなの……?」
あかり「うん。だから京子ちゃんは落ち込む必要なんてないよ。ちなつちゃん、内心はとっても喜んでるもん!」
結衣「……流石にそれはあかり先輩の考えすぎなんじゃないですか?」
あかり「ううん、それは絶対に違うよ」
結衣「……………うーん」
あかり「ここだけの話ね、ちなつちゃんってすごく恥ずかしがり屋さんなんだぁ。だから素直になるのを恥ずかしがっちゃってるんだよ」
京子「そうなんだ」
あかり「結衣ちゃんも今は信じてもらえなくても大丈夫。絶対にそのうちちなつちゃんのことを好きになる日が来るから」ニコッ
結衣「は、はぁ…………絶対に来ないと思うけどなぁ」ボソッ
あかり「ところでちなつちゃん、どうしてお買い物に行ったんだろう。普段のちなつちゃんを考えると、お客さんを置いて出かけるなんてしないはずだけど」
結衣「お昼ご飯の材料の買い出しに行ったみたいです」
あかり「……え゛」
結衣「あ、あかり先輩!? なんか凄い声出しましたけど大丈夫ですか!?」
あかり「え、お昼ご飯を……作るの? ちなつちゃんが……?」
結衣「は、はい。そう言ってましたけど」
京子「ちなつ先輩、お料理もできるんだぁ!」キラキラ
あかり「………………」ダラダラ
結衣「あ、あかり先輩!?」
京子「あ、あかりちゃん! 凄い汗かいてるけどだ、大丈夫……?」
結衣「そ、それにこれってあかり先輩の提案なんですよね……? 私への謝罪のためにこうしろって」
あかり「そ、そんなわけないよぉ! そんな自殺行為あかりがするはず………………ぁ」
結衣「え?」
あかり「……………あ、あぁ~そういえばそんな事言ったような気もするかな。すっかり忘れてたよぉ~」
結衣「そ、そうですか……」
あかり「あははははは!」
ちなつ「なに笑ってんのよあかりちゃん」
あかり「あ、ちなつちゃんおかえり!」ビクッ
ちなつ「おかえりて、徒歩3秒のところなんだけど」
あかり「そ、そうだったねぇ~」ダラダラ
あかり(聞こえてなかったみたいで良かったよ~!)
結衣「あの、あかり先輩大丈夫ですか? もしかして体調悪いんじゃ……」
京子「えぇ!?」
あかり「う、ううん。大丈夫だよぉ~!」
ちなつ「一応市販の薬あるけどいる?」
あかり「う、ううん大丈夫!」
ちなつ「? とりあえずそろそろご飯の支度するわね。ハンバーグ作るけど京子もそれでいい?」
京子「は、はい!」
ちなつ「よし、そんじゃ作ってくるからーーー」
あかり「あ、あかりも手伝うよぉ!」
ちなつ「あかりちゃんはお客様なんだからそこで待っててくれればいいわよ」
あかり「そんな事言わずに! あかりとちなつちゃんの仲じゃない! ほらほら頑張って作ろう!」グイグイ
ちなつ「ちょ、ちょっと押さないでよ!!」
あかり「2人はそこで待っててね! よかったらそこの本でも読んでていいからね!」
ちなつ「か、勝手にそんな事……ちょ、あかりちゃんってば!!」
結衣「い、行っちゃったね……」
京子「あかりちゃん、ちょっと焦ってたけれど一体どうしたのかなぁ……?」
結衣「さぁ? ところでどうしよっか。漫画でも読んでる?」
京子「うわぁ、いっぱい漫画あるんだね! そう言えば結衣ちゃんって漫画とか読むの?」
結衣「うん、結構買ったりしてるよ。とは言っても少年漫画とかだけど。京子は?」
京子「私は少女漫画とかが好き。本棚にあるこの漫画とか面白いよ」
結衣「あぁ、それ? さっき読んでみたんだけどね……」
京子「あ、あんまり好きじゃなかった?」
結衣「絵がさ、今まで私が読んでた漫画とは全然違くて少し変な感じがした。それにバトルとかないし」
京子「しょ、少女漫画だからね」
結衣「それだとなんか物足りないっていうか。少し私の好きなものとは外れてるというか……」
京子「あ、それなら魔女っ子ミラクるんとかはどうかな!」
結衣「ま、魔女っ子……?」
京子「うん。私が1番大好きな漫画でアニメ化とか映画化もされてるんだ! 本当に面白いんだよ!」キラキラ
結衣「へぇ。そう言えばCMとかで見た事があるような無いような」
京子「ちなつ先輩は持ってないみたいだけど、今度私のお家に来たら見せてあげるね!」
結衣「あはは、楽しみにしてるよ」
ガタッ
ちなつ「アンタたち、言い忘れてた事があったわ」
京子「あっ、ちなつ先ぱっ…………!」
ちなつ「ほら、そのにゲーム機あんでしょ? それ勝手にやってていいから。そんだけ。んじゃ」
結衣「ど、どうも」
京子「………………」
結衣「ど、どうかしたの京子?」
京子「ちなつ先輩って凄くミラクるんに似てる…………!」
結衣「へ?」
京子「な、なんで今まで気づかなかったんだろ! ちなつ先輩ってミラクるんにそっくりだよ! まるで本人みたい!!」
結衣「あの人が?」
京子「うんっ! 性格とかは全然違うけれど……いや、ある意味似てるのかもしれないけれど! すっごーい!!」キラキラ
結衣(こ、ここまで京子のテンションが高いの初めてじゃないか? それともあかり先輩の前ではいつもこんな風なのかな)
京子「本当になんで今まで気づかなかったのかな。やっぱり表情のせい……? それともお洋服……? それなら今度私が作って持ってきてみれば……」ブツブツ
結衣「お、おーい京子ー?」
京子「あ、ごめんね結衣ちゃん。つい……」
結衣「ううん、全然平気だってば。それよりどうする? ゲームでもする?」
京子「あ、そうだね。せっかくちなつ先輩が用意してくれたんだもんね」
結衣「よーし、ちょっと頑張っちゃおうかな」
ーーーーー
ーーー
ー
京子「ねぇ、もうそろそろボスに行ってもいいんじゃないかな?」
結衣「え、もう少しレベルあげた方がいいじゃん。あと2レベくらいあげたら多分確実に勝てるから」
京子「私だったらもうそろそろ戦っちゃうなぁ。勝てるか勝てないかのところで戦いをした方が楽しいと思うから」
結衣「えー? だって負けたらお金減っちゃうしダンジョン攻略もやり直しじゃん。それならこの回復エリアの近くで雑魚敵倒してた方がいいなぁ」
あかり「2人とも楽しそうだね!」ニコニコ
京子「あかりちゃん!」
結衣「もう支度終わったんですか?」
あかり「うん。いまちなつちゃんが持ってきてくれるんだって」
結衣「そうですか」
ちなつ「待たせたわね。そんじゃ机に集合しなさい」
あかり「はいはい、2人とも一回ゲームは中断だよぉ。ご飯食べようね」
京子「はーい」
ちなつ「はい、これは京子の分。そんでこれが私ので、あかりちゃんのはこれ。余りもんはアンタの分ね」
あかり「ち、ちなつちゃん……」
結衣「………どうも」
京子「うわぁ、美味しそう! デミグラスハンバーグだ!」
ちなつ「大したもんじゃないわよ。ご飯注いでくるから待ってなさい」
あかり「あかりも手伝うよ」
ちなつ「ねぇ、あかりちゃん。なんで邪魔したのよぉ」
あかり「じゃ、邪魔なんてしてないよ!?」
ちなつ「せっかく買ってきた着色料が無駄になったじゃないの……」
あかり「ちなつちゃん。あかりの知ってるハンバーグにはね、紅花由来の着色料を使うレシピはないんだよぉ」
ちなつ「そっちの方が映えるじゃないの。デミグラスハンバーグだけじゃ全体的に茶色くて見てくれが悪いわよ」
あかり「あ、あかりの知ってるハンバーグって大抵は全体的に茶色なんだけど…………」
ちなつ「だからこそその固定概念を覆すために赤くしようとしたんじゃないの……」
あかり「固定概念を覆すのは大切だけど、常識を覆すのはよくないよ。それにちなつちゃん、ハンバーグ初めて作ったんでしょ?」
ちなつ「前に家庭科の授業で一回作ったじゃない。私のパーフェクトハンバーグを」
あかり「あ、あぁ~ あれってハンバーグだったんだぁ…………」
ちなつ「他の何に見えたのよ?」
あかり「分からなかったけど、取り敢えず青と銀色にグラデーションされた何かだった……」
ちなつ「ハンバーグよ。向日葵ちゃんなんて食べた途端感動の余り泣き出しちゃったんだから」
あかり「そ、そうだったねぇ……」
ちなつ「ま、いいわよ。あれはまた今度使うことにするわ」
あかり「そ、その時はまたあかりを呼んでねぇ………」
ちなつ「はいはい、あかりちゃんったら意外といやしんぼさんなんだから。さ、ご飯持って行きましょ」
あかり「そ、そうだね」
あかり「はーい、ご飯注いできたよ」
結衣「ありがとうございますあかり先輩」
京子「ありがとうあかりちゃん。ありがとうございます、ちなつ先輩」
ちなつ「おお~京子は偉いわねぇキチンとお礼が言えて。どっかの誰かとは大違いだわ」
結衣「ふん…………」
あかり「ほ、ほらほら美味しそうだよ! みんなで楽しく食べようよ!」
京子「そ、そうだよ。結衣ちゃん、笑って食べようよ」
あかり「ちなつちゃんも。謝る気があるんだったらそんなに刺々しくしちゃダメだよ」
ちなつ「誰がこいつに謝るもんですか。だいたい私は悪いことしてないもの」
あかり「ふ~ん」ニヤニヤ
ちなつ「何よその顔……?」
あかり「ううん、なんでもないよ。さ、冷めないうちに食べちゃおうねぇ」
京子「うん!」
結衣「はい」
「「「「いただきま~す!」」」」
あかり「2人ともどうだった?」
京子「とっても美味しかった! ね、結衣ちゃん!」
結衣「そうだね、確かに美味しかったよ」
あかり「本当? 良かったよぉ~」
京子「えへへへ、今度は私たちが何か作ってあげるね」
結衣「はは、料理の勉強しとかないとな」
京子「結衣ちゃんってお料理できないの?」
結衣「お母さんの手伝いなら少しだけ。1人でやろうとすると自信ないな」
京子「実は私も。でも結衣ちゃんと一緒ならきっと上手くできると思う!」
結衣「私も京子と一緒なら上手くできそうな気がするよ」
あかり「頑張ってね、2人とも」
結衣「はい。少し頑張ってみます」ニコッ
あかり「やっぱり結衣ちゃんはムスッとしてるよりも笑ってた方が可愛いよ」
結衣「か、可愛いって……そ、そんな事ないですよ!」
あかり「京子ちゃんはどう思う?」
京子「笑ってた方が可愛いと思うな。でもいつものキリッとしてる結衣ちゃんも素敵だよ」
結衣「あ、あぅぅ」カアァァ
あかり「あはは、結衣ちゃんったら照れてる」
結衣「か、からかうのはやめて下さい」カアァァ
京子「可愛いなぁ」
あかり「だねぇ」ニコニコ
結衣「う、うぅ……ちょっとトイレに…………あっ!」
ガタン!
結衣「冷たっ!」
京子「結衣ちゃん!」
あかり「あぁ、こぼれちゃった! 結衣ちゃん大丈夫!?」
結衣「は、はい。ズボンが濡れちゃいましたけれどもそれ以外は特に」
あかり「ご、ごめんね結衣ちゃん! あかりが結衣ちゃんの事からかっちゃったから………」
京子「ご、ごめんね……結衣ちゃん……」ウルウル
結衣「だ、大丈夫ですって! それにトイレに行こうとしてこぼしちゃっただけですから2人の責任なんかじゃないですよ!」
ちなつ「ふぃ~やっと洗い物片し終えたわよ……って、どうしたの?」
あかり「あ、ちなつちゃん良いところに! 洋服がシミになったらいけないから洗濯機貸して! あとお風呂も!」
ちなつ「はぁ?」
京子「お、オレンジジュースこぼしちゃって!」オロオロ
ちなつ「ったく、何やってんのよマヌケ……」
あかり「違うの、これはあかりたちが悪いの! それよりも早く貸してあげて、お願いちなつちゃん!」
ちなつ「はいはい。アンタ付いてきなさい。風呂なんて沸かしてたら時間かかるからシャワーだけになるけど我慢なさい」
結衣「い、いや別にシャワーなんて……! 服だけで良いですってば!」
ちなつ「ベトベトの体で家を歩き回られても迷惑なのよ。いいからこっちに来なさい!」グイッ
結衣「うわっ……!」
あかり「うわぁ!似合ってるよ結衣ちゃん!」
京子「本当だね。凄く似合ってるよ結衣ちゃん! いつもより可愛い感じがする!」
結衣「か、可愛いって……そんな事ないよ……」カアァァ
あかり「結衣ちゃんっていつもの青系の服を着ると格好良くなるけど、そういうピンク系の服を着ると可愛くなるんだねぇ」
結衣「そ、そんな事…………それに制服以外でスカートなんて履くの久しぶりで……恥ずかしい……」
京子「なんで? とても似合ってるのに。ねぇ、これからも履こうよ結衣ちゃん!」
結衣「か、勘弁して……」
ちなつ「褒めてもらってんだから素直に喜べばいいものを、本当に偏屈で卑屈なやつ」
結衣「し、仕方ないだろ! こんな服着るの久しぶりなんだから! もっと落ち着いた服はなかったのかよ!」
ちなつ「もちろんあるけど?」
結衣「それならーーー」
ちなつ「もしかしてそっちの方をよこせとか言い出すんじゃないでしょうねぇ? 貸してもらってる分際で選り好みするってわけぇ?」
結衣「ぐっ……」
ちなつ「うふふふ、そのふりふりのピンク気に入ってもらえたぁ? この私が着ると私の素材を200パーセント活かしてくれるけど、アンタは精々30パーセントってとこかしらぁ?」
あかり「そんな事ないよぉ。ちなつちゃんも可愛いけどそれに負けず劣らず結衣ちゃんだって可愛いもん」
京子「そうだよ。それに結衣ちゃんにピンクが似合うなんて気付かなかったよ。少しおかしいけれど、オレンジジュースこぼしちゃって良かったと思うな!」
ちなつ「まっ、ピンクが好きだった私に感謝なさい」
結衣「ピンクはアンタのこと大嫌いだろうけどな……」ボソッ
ちなつ「ああ?」ギロッ
結衣「あ?」
あかり「ふ、2人とも落ち着いて! ほら、ね?ね?」
京子「結衣ちゃん、写真撮っていい?」
結衣「か、勘弁してよ京子!」
京子「あははは、可愛いなぁ~」
結衣「うぅ…………」
あかり「あ、もうこんな時間……」
ちなつ「あらほんと。なんだかんだで結構時間経ってたみたいね。アンタたちとっとと帰る支度しなさい。親御さんに心配かけるんじゃないわよ」
結衣「あ、この服はどうすれば……」
ちなつ「んなもんくれてやるわよ」
結衣「は、はぁ!?」
ちなつ「丁度それ処分に困ってたのよ。わたし最近着てなかったし要らないなぁって。アンタ私と身長同じくらいだしあげるわよ」
あかり(結衣ちゃんの方が少し背が高いくらいだよね)
結衣「さ、さすがにそれは悪いですよ! 洗って返しますから!」
ちなつ「私がやるって言ってんの。先輩の行為を無下にするなんて後輩の風上にも置けないわね」
結衣「で、でも……」
ちなつ「京子、どう思う? コイツがこの服着るのって」
京子「すごく似合ってるからいいと思います!」
結衣「きょ、京子!」
あかり「あはは、結衣ちゃん。貰っちゃいなよ」ニコッ
結衣「あかり先輩までっ……!」
あかり「ちなつちゃんがせっかくプレゼントしたいって言ってるんだから。遠慮なんてしなくていいんだよぉ」
ちなつ「プレゼントじゃなくて廃棄処分! ゴミに出すのと同じよ!!」
あかり「あっ、今洗濯してる服は今度会った時に返すねぇ」
ちなつ「そうね。面倒だけど」
結衣「は、はぁ……」
京子「それじゃあみんなで一緒に帰ろ、結衣ちゃんあかりちゃん!」ニコニコ
あかり「あ、ごめん京子ちゃん。その事なんだけど」
京子「?」
あかり「あかり、今日はちなつちゃんのお家に泊まっていくんだぁ。言い忘れちゃっててゴメンね」
京子「えぇ………」
結衣「そ、そうなんですか……」
ちなつ「ま、あかりちゃんが泊まりたいって泣いて私に懇願してきたからね。断る事ができなかったわけよ」
あかり「な、泣いてはいないかなぁ……」
京子「あかりちゃんが泊まるなら私も泊まるっ!」
あかり「でも京子ちゃん、お母さんに帰る時間言っちゃったんでしょ? きっと今頃晩御飯の準備してるよ」
京子「で、でもっ……」
あかり「あかりが言い忘れちゃったのが悪いんだけど、今日だけは我慢してくれるかな。ね、お願い京子ちゃん」ポンポン
京子「……うん、分かった。我慢する」
あかり「ごめんね。あ、結衣ちゃん。京子ちゃんの事途中までお願いね」
結衣「分かりました。さ、帰ろ京子」
京子「うん………」
ちなつ「気をつけて帰んなさい。明日学校に遅れんじゃないわよ」
結衣「そっちが宿題忘れないように気を付けろっての」ボソッ
ちなつ「とっとと出てけ!!」
結衣「言われなくても!! それではあかり先輩、今日はありがとうございました。そっちの方も……まぁお邪魔しました」
京子「ちなつ先輩のハンバーグ美味しかったです。また今度遊びに来てもいいですか?」
ちなつ「もちろんよ。どんどん来なさい一人で来なさい!」
あかり「あはは、それじゃあ2人とも。また明日学校でね」
結衣「はい。さようなら」
京子「あかりちゃんまたね! ちなつ先輩もさようなら」
ちなつ「はいは~い」
バタン
あかり「2人とも帰ってお部屋が急に静かになっちゃったね」
ちなつ「そうね。どつしよっか? なんかゲームでもする?」
あかり「あはは、それじゃあなもブラでもやろっか」
ちなつ「ふふ、そうね」
ピコピコ ピコピコ
あかり「ねぇちなつちゃん」
ちなつ「なに、あかりちゃん」
あかり「結衣ちゃんにちゃんと謝れた?」
ちなつ「別に謝ろうだなんてしてないわよ」
あかり「ふ~ん、あかりにわざわざ遅れてくるようにメールしておいて? あ、やられちゃった……最後の1人だ」
ちなつ「あれは別に謝るつもりじゃなくて。単純にオートロックでからかいたかっただけよ」
あかり「それじゃあお昼ご飯を作ったのはなんで? それもわざわざ結衣ちゃんに食べたいもの聞いたんでしょ?」
ちなつ「なに作るか決めるのが面倒だっただけよ。あっ……」
あかり「ちなつちゃん自滅しちゃったね」
ちなつ「ちょっと手元が滑っただけよ」
あかり「あかり思うんだけど、ちなつちゃんはもうちょっと素直になった方がいいんじゃないかな」
ちなつ「なんの事よ?」
あかり「結衣ちゃんの事。本当はもっと仲良くなりたいんでしょ? 今のうちに謝っちゃおうよぉ」
ちなつ「そりゃ買いかぶりすぎよ。そりゃあかりちゃんの大切な後輩だからそこまで本気で嫌う事はないけど、だからと言って仲良くなんてなりたくないわ。謝るなんて絶対にない」
あかり「それじゃあお洋服の事は?」
ちなつ「ッ! そ、それは………」
あかり「あのお洋服、前にあかりが選んであげた奴だよね? それから頻繁に着てたし本当はとってもお気に入りだったんじゃないのかな」
ちなつ「………その、ごめんね」
あかり「え、なにが?」
ちなつ「あかりちゃんが一生懸命選んでくれた服を、廃棄処分だなんて言っちゃってあまつさえゴミだなんて………やっぱり怒ってるわよね」
あかり「…………………」
ちなつ「そ、そのっ……本当にゴメン! あの時は咄嗟にああ言っちゃっただけで本当はそんなこと全然思ってなんてなかったの!」
ちなつ「本当にごめんなさい!!」
あかり「ちなつちゃん」
ちなつ「ッ!」ビクッ
あかり「あかり、全然怒ってなんてないよぉ」
ちなつ「え?」
あかり「最初あのお洋服を結衣ちゃんが着てきた時、あかり嬉しかったんだよ?」
ちなつ「な、なにが?」
あかり「ちなつちゃんが本当は、結衣ちゃんのこと好きなんだなって確信できたから」
ちなつ「は、はぁ!?」
あかり「だって好きでもない人に自分のお気に入りのお洋服を着せるだなんてしないもの。あまつさえプレゼントするなんて尚更。でしょ?」
ちなつ「……………」
あかり「だからあかりは全然怒ってなんてないし、むしろ嬉しいくらいだよ。だからもう気にしないで、ちなつちゃん」ニコッ
ちなつ「…………あかりちゃんってさ」
あかり「ん?」
ちなつ「なんで、そんなに優しいのよ……バカなんじゃないの…………?」
あかり「えへへ、人に優しくなれるならおバカさんでもあかりは構わないよぉ」
ちなつ「ほ、本当にバカよ……大バカよあかりちゃんは…………」ダキッ
あかり「うわっと……!」
ちなつ「ごめん、ちょっとの間……こう、させて…………」
あかり「うん、いいよぉ。あかりの胸でよかったらいくらでも貸してあげる」ナデナデ
ちなつ「……………洋服、シミになる前に…洗濯するわ、ね」
あかり「うん、ありがとうちなつちゃん」ニコッ
ちなつ「それじゃあ電気消すわね」
あかり「うん、お願いちなつちゃん」
ちなつ「はぁ……今日は疲れたわね」
あかり「でも、それ以上に楽しかったねぇ」
ちなつ「まぁ、そうね」
あかり「ところでちなつちゃん、あかりを泊めたのってなんでなの? それも今朝急に電話してきてまで」
ちなつ「………………」
あかり「ちなつちゃん?」
ちなつ「私さ、ちゃんと先輩できてるのかな」
あかり「え?」
ちなつ「私はあかりちゃんみたいに優しいわけでもないし、向日葵ちゃんみたいに頼りになるわけでもない。そして櫻子ちゃんみたいにみんなを楽しませられるわけでもない。なんもないのよ私には」
あかり「ううん、そんな事ないよ」
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「自分が気付いてないだけでちなつちゃんにだっていいところは沢山あるよ」
ちなつ「例えばどんなよ……」
あかり「沢山あるけど1番を挙げるなら、裏からみんなを支えてるところかな」
ちなつ「え?」
あかり「ちなつちゃんは恥ずかしがり屋さんだから、真正面から人と接するのに慣れてないでしょ。だから裏からさり気なくサポートしてるんだよね?」
ちなつ「そんなこと全然ーーー」
あかり「この前の綾乃ちゃんの風邪の時」
ちなつ「それがどうかした? 結局私は何もできなかったわよ」
あかり「何言ってるのちなつちゃん。むしろ一番の功績者だったじゃない」
ちなつ「私が?」
あかり「お見舞いの品を買うためのお金を出したんでしょ?」
ちなつ「そんなもん誰だって出来るじゃない」
あかり「それに買うもののアドバイスもした」
ちなつ「あまり変なもん買って行かせるわけにはいかないじゃない」
あかり「そして3人に風邪が感染らないようにマスクを買わせた」
ちなつ「マナーを教えただけよ。風邪ひいてる奴の心配させるなんて以ての外じゃない」
あかり「更には櫻子ちゃんのお手伝いにも行ったんでしょ?」
ちなつ「あのメガネちゃんが休むってことは、櫻子ちゃんくらいしか生徒会にいなくなるだろうし。どうせヒーヒー言ってると思ってね」
あかり「ね?」
ちなつ「ね? って、なにがよ」
あかり「ちなつちゃん、本当に分からないの?」
ちなつ「全然」
あかり「いまあかりが話した行為全てが、ちなつちゃんの先輩らしい所で優しい所。そして頼りになる所なんだよぉ」
ちなつ「はぁ? んなもん先輩以前に人として当然のことじゃない。アイツらが常識知らずなだけよ」
あかり「ちなつちゃん。だってあの子達はついこの前まで小学生だったんだよ」
ちなつ「ええ、そうね」
あかり「だからあかり達よりもしっかりしてるわけがないんだよ。そしてそんなみんなに人生の常識を教えることが正に先輩としての役目なんじゃないかな」
ちなつ「……………」
あかり「あかりから言わせれば、むしろあかりの方が不安なんだよぉ? ちなつちゃんがしっかり先輩の役目をしてるのにあかりは何もできてないなって」
ちなつ「あかりちゃんが何もできてないわけないでしょ! 何もできてないならあんなに2人から好かれてないわよ! それに比べて私なんて……」
あかり「京子ちゃんは好きだよ、ちなつちゃんのこと」
ちなつ「……………え?」
あかり「最近は2人で一緒に帰るとき、必ずと言ってもいいくらいちなつちゃんのことを話すんだよ、京子ちゃん」
ちなつ「うそ………」
あかり「本当だよ。宿題教えてもらったとか褒めてくれたとか。京子ちゃん本当に嬉しそうにお話ししてくれるんだよぉ」
ちなつ「……………」
あかり「結衣ちゃんだって今はまだあんまりだけど、この先一緒に過ごしていけば絶対ちなつちゃんを好きになってくれるって」
ちなつ「……………」
あかり「だからね、自信を持ってちなつちゃん。ちなつちゃんは2人にとって本当にいい先輩なんだから!」
ちなつ「……………」
あかり「ちなつちゃん?」
ちなつ「……………」
あかり「眠っちゃったみたいだね。それじゃああかりももう眠ろうかな。お休み、ちなつちゃん」
ちなつ「……………」
あかり「……………」
ちなつ「……………」
あかり「……………」
ちなつ「……………」
あかり「…………すぅすぅ」
ちなつ「……………」
あかり「…………くぅくぅ」
ちなつ「………………あかりちゃん、寝た?」
あかり「くぅくぅ……」
ちなつ「ったく、本当に寝つきいいわねこの子ったら。ふふふっ」ナデナデ
あかり「ん……むにゅう………」
ちなつ「ありがと、あかりちゃん。わたし、もうちょっと頑張ってみるわね」ナデナデ
あかり「むにゃぁ……えへへ」
ちなつ「おやすみなさいあかりちゃん。大好きよ」ニコッ
ちなつ「このゴリラ女! なんでマイナスの計算ミスってんのよ!!」
結衣「うるさい! 人間ミスの一つや二つくらいあってもいいだろ!!」
ちなつ「こんな簡単な計算問題でミスるとかありえなさ過ぎよ。小学生からやり直せばぁ?」
結衣「そっちだって宿題忘れてきてたくせに!」
ちなつ「はんっ! 過ぎたことをいつまでもネチネチと、バッカみたい!」
結衣「な、なんだとぉ!! この人間のクズ!!」
ちなつ「そっちはゴリラのクズね」クスクス
結衣「こ、この野郎! もう我慢できない、とっとと消えろ!」
ちなつ「そっちが消えなさい。そしてわたしの前に二度と姿を表さないでくれるかしらぁ?」
結衣「お前が出ていけ!」
ちなつ「アンタが出て行きなさい!」
結衣「こうなったら腕尽くで追い出してやる!」ガタッ
ちなつ「面白い、やってやろうじゃないの!」ガタッ
京子「ふ、ふえぇ……ど、どうしようあかりちゃん…………」
あかり「はぁ、困っちゃったねぇ……」
ちなつ「このっ!」
結衣「このっ!」
ちなつ・結衣「「クソ野郎!!」」
【ゆるゆりif 3話 完】
横柄な先輩でありながらも、人並みに悩むちなつを書きたかっただけ
なんだかんだであかりとちなつのペアが好きです
おつ
乙!
待ってた!
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