姫「私が行きます」(248)

姫「魔王を倒しに」

ザワッ

王「何を言い出すのだ姫よ。魔王なら勇者が倒してくれるはずじゃ」

大臣「その通り、あの勇者様ならばきっと…」

姫「そういって今月だけでもう五人も死んだわ。てか勇者って何なの、複数いたら駄目でしょ、名乗ったらOKなの?」

王「い、今までの勇者は偽物だったに違いない。今回の勇者はきっと本物だ、うむ」

大臣「あの方は今までの勇者に無いオーラのようなものを感じました。彼なら、やり遂げる筈です」

姫「ポジりすぎ。それだけ期待してたのなら、何故初期装備に木の棒しか与えなかったのよ…しかも軍資金100Gって。私の一日のお小遣いより少ないわよ」

王「ざ、財政難だし…不確定要素に大金をつぎ込むのは、って大臣がねぇ…」

チラッ

大臣「あーあー、そうやってすぐ人のせいにするー!」

王「だって大臣が…」

大臣「王様が…」

姫「もういい!醜い責任転換は見るに耐えぬわ!」

王「ひぃっ」

ビキッビキッ

王「姫が…姫が怒っておる」

大臣「筋肉は盛り上がり、顔はまさに鬼神の如く…姫は相当トサカにきておられる!」

姫「ふがいない男共に代わり、私が魔王を倒します!」



~第一話・おてんば姫ッ!~

・ ・ ・ ・ ・

王「で、姫よ」

姫「はい」

王「本当に行くのじゃな?魔王を倒す事はもちろん、その道のりも過酷で命懸けじゃ…それでも、行くのじゃな?」

キリッ

姫「いつになく真面目ですわねお父様…」

王「当たり前じゃ。可愛い可愛い娘を危険な旅に行かせたくはないわい」

姫「安心して下さいまし。私とて、生半可な気持ちで魔王討伐などとは言いませんわ」

王「姫…」

姫「決して、決して…息苦しい城での生活を抜け出したいとか、自由気ままに買い物したいとか、そんな事はこれっぽっちも、考えていませんわ」

王「オォウ隠しきれない本音ェ…」

姫「とにかく、安心して下さいまし。それに旅のお供も屈強な者を連れて行くつもりです」

王「何じゃと?その口振りではあてがあるようじゃの」

姫「えぇ、お父様もよく知っている方ですわ」

王「わしも知っている…まっ、まさか姫よ!あやつを連れて行く気か!」

姫「ふふふ…」

王「み、認めんぞ!あやつは…あやつは!」

姫「お父様が何と言おうと、あの方は私の大切なお友達。それは変わりませんわ」

王「くぅっ、姫にそう言われてはワシは何も言えん…」

大臣「相変わらず姫様には甘いですなぁ」

王「お前今月給料カットな」

大臣「横暴だぁ!ストライキしてやる!」

王「いや…正直代わりはいくらでもいるんじゃよ、マジで。幼なじみだから贔屓して大臣なんて役職をやってもらっているだけなんじゃが…」

大臣「オォウ…」

姫「とにかく、私は魔王討伐の旅に出ますから」

王「決意は固いようじゃな…分かった。ではこれを…」

ガサゴソ ドンッ

王「この宝箱の中身を持って行くがよい。旅の為の装備と軍資金じゃ」

姫「えー。このやり取り、いります?」

王「毎度の事じゃから。様式美様式美」

姫「木の棒と薬草、そして100G…ありがたくちょうだいつかまつる(棒)」

大臣「うわぁ素晴らしく棒読みィ」

姫「お前今月給料無しな」

大臣「オォウ…」

王「さぁ姫よ行くがよい。くれぐれも無理はしないでおくれ…ワシの可愛い娘よ」

姫「お父様…」

ウルウル

大臣「あーチンポジ定まらん」

イジイジ

王「お前」

姫「パイプカットな」

大臣「オォウ…」

ドピュッ



第一話・おてんば姫ッ!
おわり
第二話に続く…

姫ったらおてんばァ~!

全体に隠しきれてない本音がオォウ…

・ ・ ・ ・ ・

テクテク

姫「城の外なんて何年ぶりかしら」

テクテク

姫「と、目的の場所に着いたわ」

コンコン

姫「居るかしら?」

?「居るよ」

姫「入るわよ」

バキャッ ドアケヤブリー

姫「久しぶりね、猿」

猿「そうですね、姫」

姫「ずいぶん痩せたわね」

猿「そうですかね。一応成長して、体は大きくなったと思っているのですが」

姫「へっ! 背ばっか伸びて、ひょろひょろじゃねえか!ちゃんとメシ食ってんのか?ああん!」

!?

姫「どうせチンポも小さいままなんやろ、見せてみろや!

ムンズッ

猿「いやぁっ!」」

テポドン!

姫「でかくなったな…」

猿「いきなり来て何するんですか。マイペースなのは相変わらずですね」

姫「褒めても何も出ませんわよ」

猿「褒めてないです」

姫「そんな事より」

猿「はぃい?」

姫「旅に出るわよ、支度しなさい」

やべえよやべえよ……

猿「旅…誰が?」

姫「私と貴方が」

猿「何故?」

姫「魔王ぶっころしに」

猿「何故?」

姫「ふがいない勇者に代わって」

猿「…」

姫「理解できましたかしら」

猿「ウキキッ、理解不能!理解不能!」

姫「つべこべ言わず支度しなさい、この猿野郎!」

猿「えぇ猿ですよ猿ですとも!」

姫「貴方は私の下僕…そうだったわね?」

猿「ウキッ…」

姫「昔、野垂れ死にしそうな所を助けたのは誰だったかしら?」

猿「ひ、姫様…です…」

姫「そうよね。その命の恩人が旅の支度をしろと言っているのよ?」

猿「はい…分かりました、姫様…」

姫「はじめからそうやって素直にしていればいいのよ」

猿「…」

ギリッ

次は雉かな、犬かな?(すっとぼけ)

テキパキ

猿「一切れのパン…ナイフ、ランプ…」

姫「へぇ」

猿「あとは…ピザポテト…ピザポテトにピザポテトにピザポテト…あっ、そうそうピザポテト…おぉっと忘れちゃいけないピザポテト…ついでにピザポテト、と見せかけてピザポテト!」

姫「どんだけぇ~」

猿「俺、ピザポテト好きなんすよ」

姫「だろうな」

猿「だから、鞄に入るだけ入れるんや!」

ギュッギュッ

猿「ヌッシャ、準備できましたぜ姫様!」

姫「相変わらずの手際の良さ…感服いたしましたわ」

猿「へへっ」

猿「で、まずはどこを目指すんで?」

姫「あせんなって!」

姫「まずは王都の隣、ズルムケタウンを目指しますわ」

猿「ズルムケタウン…住人の九割が男、さらにそのうち八割がズルムケというズルムケタウン…街のキャッチコピーは…」



『チンポーを捧げよ!』

姫「チン撃の巨チィィィィィィィィィン!」

猿「チンチンチンチンうるせぁぁぁぁぁ!」

ミゾオチ ボグー

姫「はぐぁっ…」

猿「落ち着いて下さい姫様、そんなんじゃ魔王討伐なんて夢のまた夢ですよ」

姫「そうですわね…どうやら私、覚悟が足りなかったみたいですわ…」

ポロポロ…

姫「ひぐっ…ぐすっ…えうぁ~」

猿「…」

猿(今は…今は泣きなせぇ…これから始まるのは想像を絶する過酷な旅…泣くのは、これが最後ですぜ…)

姫「あぅわぁ~ひぐぅ~あぁ~んわぁぁあん…」

猿「姫様…」

姫「ひぃ~ん、ひぐっ…」

ビクッ
ビクビクビク
ケイレン

姫「あ゛ぶかむ…ぅ…う゛っ、う゛っ、う゛っ、う゛っ、う゛っ、」

ビクビクビク

ビクン
ビターンビターン

姫「あべべべべ」

クビ カクカク
シロメ グルンッ

姫「あで…」

バタリ

姫「…」

姫「死んだ」

猿「これは死んだに違いない!」

姫「…」

猿「…」

ゴクッ ジュルリ

猿「姫様って…いい体してるよな…胸はでかいし、肉付きは程良いし、何より安産型…」

ゴクッ

猿「た、たまらん、よな正直…んっ…くっ…」

ゴクッ

猿「さいわい、ここには俺と姫様(死んでる)しかいない…」

ゴクッ

猿「ど、どうする…だが、しかし…それは…いや、プライドをかなぐり捨てて…だが人として…いや、俺は猿だが…しかし…くそっ…俺はどうすればいい…」

猿「ベジータ…」

地球は君を乗せて回ってるかもしれんが
一歩も旅立ってないやんけ!

ホワワワ~ン

ベジータ「はっはっは、悩んでいるようだなナッパよ」

猿「ベジータ…って誰がナッパやねん」

ベジータ「遠慮はいらん、貴様はこの下品な女に散々バカにされてきたのだろう」

猿「あ、あぁ」

ベジータ「なら、やり返してやれ…どちらが立場が上なのか思い知らせてやるのだ!」

猿「そ、そうだ…いつも虐げられてきたんだ…これくらいは…やる…やってやる…あ゛あ゛あ゛!」

ベジータ「そうだ、その下品な女に戦闘民族の力を見せつけてやれ!」

ホワワワ~ン

猿「ベジータ…わかったぜ、やってやるぜ!」

ビィィィン
フルボッキ

いや、違う

フルバッキバキ!

猿「show time!」

フク ビリビリ

猿「姫様、お覚悟!」

ズモォッ

カキンッ

グニャリ

猿「ひぎぁぁぁぁぁ!俺のマグナムが!へしおれた!」

パチリ

姫「やれやれだぜ」

姫「寝ている女性の秘所は大切に扱えと、ママに教わらなかったのかしら?」

猿「ひ、姫様…起きていたのか…」

姫「姫たる者、そう簡単に気絶しなくってよ。演技をして貴方の本性を暴く作戦だったのよ」

猿「ちぃっ、ファッキンジャップ!」

姫「それにしても随分酷いことになっているわよ、貴方のチンポ」

ドクドク シュッケツ

猿「そうだった。何か凄く硬い壁に当たったような衝撃だった…」

姫「ンフフフフ…私の秘所はダイヤモンドより硬い壁に守られているのよ」

猿「壁?いったい何を言って…」

姫「感覚の目でよく見てみなさい…私の秘所を…」

猿「どれどれ」

ジッ

猿「…」

ボヤ~

猿「!」

!?

猿「壁…鉄のような壁が…ある…!?」

姫「これが私の異能…『処女は散ることを知らず(エネミー・ゼロ)』よ!」

このノリ嫌いじゃない

説明しよう!
異能とは、遺伝子操作によって発現した
生まれながらに持つ特殊な能力の事である!

猿「姫様、あんたは…」

姫「そう、私は国王の実の娘じゃない…とある研究所の試験管で生まれたのよ」

猿「ウキッ…」

姫「驚いた?それとも軽蔑?そうよね、機械的に生み出された命なんて、気味が悪いわよね」

姫「私が操作された遺伝子情報は『寿命』…この国の覇権を少しでも長く我が一族の手にしておきたいが為、お父様が研究所に命じたのよ」

姫「それにより私は常人の三倍近く寿命が長いわ。成人期が極端に長く、老化が遅いの…知ってた?こう見えて私、60年近く生きているのよ」

猿「うげぇっ、ババアやんけ!」

姫「酷いわね…」

猿「ウキッ…ん、待てよ…姫様が60年生きているって話ですが、なら国王様は一体…あの国王様が国を治めてからはまだ20年くらいしか…」

姫「そ、それは…」

説明しよう!
適当な設定により
辻褄が合わなくなってきたのである!

エネミーゼロ→寿命なのも追加で

何だそれは…

ぐだぐだやんけ!
まあ、なんかいろいろ後付したらいけるいける

猿「姫様、ちゃんと説明してくださいよ!」

姫「う、あああ…」

ブルブルブル

姫「あ゛あ゛あ゛っがぁ!」

シロメ グルンッ
アワ ブクブク

猿「気絶してごまかしやがったか…」

※異能は遺伝子操作による副作用みたいなもん。意図して付加した能力ではない

猿「さて、またしても姫様が気絶してしまったわけだが」

ジュルリ

猿「改めて思うけど…やっぱり姫様の体はそそるよなァ」

ビンビン

猿「さっきから俺のバスターはビンビンだぜ」

猿「俺は…どうするべきだ…い、どうしたいのだ?」

猿「本能が…俺を…突き動かす…やれよ、やるんだ…本能…本能…本能…」

猿「止めろ…嫌だ…違う…俺は…いや、姫様は…そう…宇宙は…銀河は…!」

モッサン! ゴッサン!

猿「はあぁぁぁ!」

ブワァ

猿「時の流れが数字で見える!」

パラタタタタタタ

5 53 7
6 2 57979
3 8 8 8 8 8

猿「あ…あぁ…分かるぞ…全て分かる!俺は全てを理解した!全てを理解した!」

猿「そうか…たった今、分かった…俺も遺伝子操作された生き物だったんだな…これが…これが『異能』というやつか…」

このグダグダは悪くない

猿「俺の異能は『人生大辞典(ライブラリー)』…自分の人生、過去未来が全て分かる能力…その能力自身で能力を理解した訳だ」

猿「そして俺は遺伝子操作された猿…人間並みの知性を持たせるために、人間に遺伝子を滅茶苦茶にされた哀れな猿さ!」

ムクッ

姫「そう、貴方は私と同じ。遺伝子操作された生命…異能という名の欠陥を背負った忌むべき存在よ」

猿「姫様…あんたは知っていたんだな、俺の事を」

姫「えぇ。貴方との出会いも全て、仕組まれた事よ」

猿「あぁ…それら全てが…今は分かる、理解できる」

姫「私達を産み落とした研究所…国営研究所は、生物の遺伝子を操作するという禁忌に触れた」

姫「一度手を出してしまえば、もう止まらない。研究所の奴らは次々と命の情報を…生命の箱船をいじくり倒したわ」

姫「生まれてすぐに死ぬ命もあった。姿形が酷い者もいた。もはや命は玩具に成り果てていた…そんな中、運良く生きながらえた、いくつかの個体がいた」

猿「『迷い子の三人』…」

姫「この世に望まぬ形で産み落とされた命…行き先を知らず、さまよい続ける命…それが迷い子」

猿「そのうち二人が姫様と俺…そして三人目が…」



姫「皆が『魔王』と呼ぶ者よ」

魔王。

某ドラゴンなクエストでお馴染み。
魔物を統べる王で、支配者。
人の暮らしを脅かす恐ろしい存在だ。

この世界でもそれは同じで
魔王は人々に恐れられ
また打ち倒すべきものであった。

国を治める王は
魔王を倒すために勇者を募った。
勇敢な者、つまり勇者。
魔王を倒す者、それが勇者。

だが勇者はそう簡単に見つかるものではなかった。
魔王討伐の報奨金目当てのゴロツキばかりやって来ては
皆、旅の途中で力尽きた。
すでに5人の自称勇者が死んでいる。
いまだに死亡報告が無い勇者が一人だけいるが
もはや誰も期待していないし忘れている。

そんなわけで
魔王は討伐される心配なく
安心して人間を脅かしているのだった。

姫「そんなどこにでもいる、ありふれた魔王…でもこの国の魔王には他と違う点が一つだけあった」

猿「そう」

姫「彼は…魔王は」

「「遺伝子操作をされた異能者だった」」

姫「私と同じ」

猿「俺と同じ」

「「異能者だった」」

猿「では?」

姫「魔王とは一体?」

猿「そもそも魔王という存在はいつからいた?」

姫「そもそも魔王という存在を誰が定義した?」

猿「誰が見た?誰が確認した?」

姫「本当にそんなものはいるのか?」

猿「恐らく、誰も答えられない」

姫「たぶんいるのだろう」

猿「皆が言っているからいるのだろう」

姫「その程度の曖昧な認識にすぎないのよ」

猿「異能者が魔王になったのか?魔王が異能者になったのか?」

姫「卵が先か、鶏が先か…そんな話」

猿「だから、確かめる必要がある」

姫「そう」

猿「俺は」

姫「私は」

「「確かめねばならない。知らなければならない」」

姫「私は今の魔王をよく知らない」

猿「同じく」

猿「俺は昔の魔王をおぼろげに覚えている」

姫「同じく」

猿「ただ確かな事は」

姫「私達は迷い子の三人…同じ研究所で産み落とされた異能者」

猿「そんな不確かな記憶だけ」
姫「でも…だから!」

猿「行こう!」

姫「行きましょう!」

「「そこに答えがある筈だから!」」

・ ・ ・ ・ ・

異能





魔王

キーワードは、それだけだ…

【続く】

急に舞台みたいになったな

研究所は手広く暗躍してんなー

・ ・ ・ ・ ・

人は猿か?
否、人は猿にあらず。

猿は人になりえるか?
否、猿は永遠に猿だ。

魔物は人と分かり合えるか?
否、互いに有るのは差別と憎しみ。

生物は自分と何かが違う同族を認められるか?
否、僅かな違いさえ違和感を覚え
やがて忌み嫌い、迫害する。

ならばそれを無くすには?

互いに何一つ欠点が無い完璧な生物なら?

比較する事もなく、妬むこともない。

それは真の平等なのではないか?

そんな考えを、ある一人の研究者が持ってしまった。

研究者はあらゆる技術を学び
あらゆる術式を調べた。

科学、化学、医学、魔術、錬金術、陰陽道
あとなんかいろいろ…

なんやかんやあって
その研究者は禁忌に手を出した。

遺伝子情報。
その生物がそうである為の情報
組み立て図、説明書、トリセツ

…トリセツ?

トリセツ…

一点物…

返品、交換…

永久保証…

うっ、頭が…

にし、の…

どんな理不尽も笑って許してね
広い心と深い愛で絶対遵守だぞ☆

頭が…頭痛が…
頭痛が痛い…

誰か私を助けてくれ…
それが叶わぬなら
いっそ
私を…



・ ・ ・ ・ ・

~魔王城~

ガバッ

魔王「ふわぁぁぁ!」

アセ ダラダラ

魔王「くっ、またあの夢か…」

魔王は美形である。
背も高く、顔は整っていて
つややかな長髪であった。

ただ服装にあまり関心が無いようで
高校時代のジャージを普段着にしていた。

魔王「あの夢は一体…」

ガラガラッ

?「お目覚めですか魔王様」

魔王「エルフか…あぁ、最悪の目覚めだよ」

エルフ「すごい汗…お拭きします」

スッ ヌガセー

魔王「いや~んまいっちんぐ」

エルフ「魔王様、そのような古いネタはお止め下さい」

フキフキ

魔王「いつもすまんな、君には世話ばかりかける」

エルフ「そんな、もったいないお言葉…私は魔王様の側に居たいのです…ずっと、ずっと…」

魔王「…」

魔王(やれやれ、ここまで従順だと少し心苦しい…術式による契約ってのは想像以上に絶対的だ)

エルフ。
美しい容姿に美しい金髪。
青い瞳に長い耳。
そして長寿。
精霊に愛されている種族で、魔法が得意である。

そんな彼女の首筋には
術式が刻まれている。

『絶対服従の印』

それを刻まれた者は刻んだ者に
何があっても従う。
呪いの類に近いものである。

もちろん禁断魔法であり
使える者は少ない。

エルフ「♪~」

魔王「…」

魔王(彼女が時々口ずさむ鼻歌…どこか懐かしく、気持ちが落ち着く…)

フキフキ

エルフ「はい、終わりました」

魔王「ん、あぁ。ありがとう」

エルフ「魔王様、本日のご予定は」

魔王「予定かぁ…昨日と同じく、城内でゴロゴロしよっかな…」

エルフ「…」

キッ

魔王「…分かった分かった、そう睨まないでくれ」

エルフ「魔王様は魔物を統べるお方…その強大な力を皆に示さなければいけません」

魔王「そう、だな…」

エルフ「ですから、どうか…でないと、貴方は…」

フルフル

エルフ「…」

魔王「…分かった」

ポンポン

魔王「不安にさせたな、すまない」

エルフ「いえ…私こそ取り乱してしまい…」

魔王(魔王、か…やっかいなモンになってしまったものだ、私も)

異能。
魔王が持つ異能は、その名も

『魔王(サタン)』

膨大な魔力と強靱な肉体を手に入れる代わりに
魔王らしい行動をしなければ
その存在が消滅してしまうやっかいな異能である。

魔王(魔王らしい行動…魔物に命令し、人間を襲う…)

魔王(簡単だが、簡単じゃない…私はそんな事はしたくないんだ)

魔王(だがこのままでは…私の存在は消えてしまう。魔王が魔王である為には…やらなければ…ならない)

魔王「そうだなぁ、東地区にゴブリン軍を。西地区にゾンビ軍を向かわせてくれ」

エルフ「承知いたしました」

魔王「あーあと、西地区の女騎士村にはオークの大群をな」

エルフ「はい、とびきり性に飢えたオークを送り込むとしましょう」

魔王「ンフフフフ…女騎士村は、その名の通り女騎士しか居ない村…そんな所にオークがなだれ込んだら…ふふっ、ふふふふふ…」

エルフ「さすがです魔王様、いとも簡単にえげつない事をやってのける」

どっちに対してえげつないんですかねえ…

魔王…エルフ…うっ頭痛が痛い

魔王「まぁ、今日はそんなとこかな」

エルフ「では、仰せの通りに…」

魔王「あぁ…う…くっ…」

フラッ

エルフ「魔王様!?」

魔王「大丈夫、少しめまいがしただけだ」

魔王「…」

魔王(くっ、ただの頭痛じゃない…後頭部を締め付けられるような痛み、痺れ…異能が俺に言っているようだ…もっとやれと…魔王らしく、もっと非道な行為をやれと…)

エルフ「魔王様…」

魔王「大丈夫だ、それより各軍の隊長に連絡を急いでくれ」

エルフ「は、はい…」

魔王「私は魔王だ…やるさ…やってやる」

厄介だのう

・ ・ ・ ・ ・

~魔王城、司令室~

ゴブ長「そうか、ようやく我等の出番か」

ゾンビ長「随分待機が長かったな。魔王様は何をお考えなのだ?」

エルフ「私からは何も…ただとても悩んでおられます」

ゴブ長「ハッ、人間共を殺すのに何を悩む必要がある!」

ゾンビ長「そうとも、奴らにかける慈悲は無い。ただただ蹂躙すればよいのだ!」

エルフ「…」

ガチャ

オーク長「うふふ…バカでかい声で話すあんたらみたいな野蛮な奴らには、魔王様の繊細な心は理解できないようね」

ゴブ長「オーク長…来るのが遅いぞ」

オーク長「あらぁごめんなさい」

エルフ「オーク長、貴方には西地区の女騎士村への出撃命令が出ました」

オーク長「わぁお、呼び出しがあったから出撃とは思っていたけど。まさか女騎士村とはね…」

ジュルリ

オーク長「久しぶりに楽しい戦になりそうだわぁ」

ゴブ長「さて、俺はここで失礼させてもらう。出撃の準備を急ぎたいのでな」

ゾンビ長「俺もだ。たるんだ部下共のケツを叩かねばならん」

テクテクテク ガチャリ バタン

エルフ「…」

オーク長「血気盛んな隊長は面倒だわ…貴方も大変ね」

エルフ「いえ…一番大変なのは魔王様ですから」

オーク長「貴方もあまり張りつめない事よ。貴方がいなくちゃ魔王様は…押しつぶされてしまう」

エルフ「押しつぶ…される…?」

オーク長「そう。そうならないのは貴方という支えがいるから。いい?忘れちゃ駄目よ…何があっても、何が起きても魔王様の側にいるのよ」

エルフ「オーク長…」

オーク長「あら、らしくない事言ったわね。ま、年寄りの独り言とでも思っておいて」

エルフ「ありがとう、ございます…」

オーク長「ふふ。さて、本題に入りましょ。出撃の詳細を教えてもらえるかしら」

エルフ「あ、はい。ではまずこの資料を…」

・ ・ ・ ・ ・

それから数日後
東地区と西地区は魔物による襲撃を受けた。
王の的確で迅速な対応により何とか退ける事ができたが
人間はいよいよ魔王が本気で国を攻めてくる気になったのだと恐れたのだった…

~東地区、領主~

東領主「いやはや、肝が冷えたわい…」

兵士A「なぁに、所詮ゴブリン。我等地元の者だけで追い払うことができましたな」

兵士B「しかしあんな雑魚ばかりだからよかったものの…もっと協力な魔物が来ていたらと思うと恐ろしいです」

東領主「それにしても、やはり国王といった所…敵の規模、性質をよく理解し的確な指示を下さった」

兵士A「まったくです。戦術に関しては神か悪魔か…絶対に敵には回したくないですな」

兵士B「とにかく今は、勝利を祝い乾杯といきますか」

兵士A「異議なーし」

東領主「ではキンッキンに冷えたコーラで…」

「「「かんぱ~い」」」

ビールじゃねえのかよ!?

~西地区、領主宅~

西領主「いやぁ、ゾンビはなかなか手強かったゾン」

西兵士A「まったくですゾン」

西兵士B「ですが、どうにか我々だけで追い払うことができましたなゾン」

西領主「何人かゾンビ化してしまったが、まぁ問題ないだろうゾン」

西兵士A「そうですねゾン」

西兵士B「では、とりあえず今回の勝利を祝って」

西兵士A「生の牛肉で」

「「「かんぱ~い」」」

問題ない(問題ないとは言ってない)

モグモグ

西兵士A「…」

モニュモニュ

西兵士B「…」

ガツガツ

西領主「…」

ボチュボチュ

西領主「にく…うま…」

西地区はゾンビ軍との交戦により
何人かがゾンビ化してしまった。

しかし症状は比較的軽いものだったので
日常生活に支障はなかった。

むしろそれを利用して
ゾンビハウスなるアトラクションを設置し
西地区の名物施設にしたのだった。

・ ・ ・ ・ ・

~西地区、女騎士村~

老婆女騎士「ほっほっほ…オークの大群が来た時はどうなるかと思ったが…なんとかなったの」

モブ女騎士A「はい、我々は誇り高き女騎士…命をかけてこの村を守りました!」

モブ女騎士B「日常的に魔物を逆レイプして鍛えた性技…オークどもに見せつけてやる事ができました!」

老婆女騎士「うむ。じゃが、あの巨体のオーク長は、なかなかの強敵じゃったのぅ」

モブ女騎士A「はい。8人がかりでようやく精子を絞り尽くす事ができました。あれだけの精子貯蔵量を持つ魔物は、見たことがありませんね」

モブ女騎士B「しかし、我々は勝利した!今はそれを祝いましょう!」

モブ女騎士A「うむ」

老婆女騎士「そうじゃな、では宴の準備じゃ」

ズズズ…

捕虜オーク「…」

モブ女騎士A「ほら、来い」

捕虜オーク「くっ、殺せ!」

モブ女騎士B「はっはっは、威勢がいいオークだな」

ゲシッ

モブ女騎士A「おらっ、しろいせいしだせ!」

ヤメタゲテヨォ…

捕虜オーク「うっ…」

モブ女騎士A「宴が始まるんだ、早く精子出せっ!」

ムンズ スコスコスコ

捕虜オーク「くっ、おれは誇り高きオークの戦士、そのような辱めにはくっンナッハァァァ!」

ドビュルルルルルルルルルル!

・ ・ ・ ・ ・

こうして魔王の軍勢はことごとく退けられた。

だが今回進撃してきた魔物は、どれもこれも雑魚であり
魔王軍にはまだまだ凶悪凶暴な魔物が沢山いることを

人間たちは知らないのであった…

オークと女騎士がそろえば陵辱だよね

・ ・ ・ ・ ・

一方そのころ
姫と猿は王都の隣、ズルムケタウンにいた。

ズルムケタウンについては>>22を参照の事。

姫「ここがズルムケタウン…ほのかにイカ臭い街ですわね」

猿「キキッ、それもその筈。住人のほとんどがズルムケで常に皮の汚れが臭う街ナンバーワンなんだからぁ~」

姫「なんて街なの…吐き気がしてきたですわ!」

猿「それはいけない。そのへんで休むとしましょう」

姫「えぇ。ちょうどそこに喫茶店っぽい場所があるわ、そこに入りましょンナッハァァァ!」

ダダダッ

猿「あ、姫様!そんなに急がなくても」

姫「休みたーい!一息つきたーい!」

ガチャリ カランコロンカラーン

ヌッ

?「いらっしゃいませ。私はこの喫茶店っぽい店の店主…」

クルクル シュバッ シュバッ ムキッ

筋肉「筋肉だ」

姫「ひぃぃぃぃぃ!上半身裸のムキムキなおっさんが仁王立ちしてりゅぅぅぅぅぅ!」

筋肉「誰がおっさんだ。私の事は筋肉さん、もしくは筋肉様と呼びなさい」

姫「ひぃぃぃぃぃ!黒光りした肉達磨が何か喋ってりゅぅぅぅぅぅ!」

ガタガタ ブルブル

姫「怖いですわぁぁぁぁぁ!」

ジョババババババババババハ

猿「うわっ、こいつ漏らしよった!」

筋肉「ちょっとぉ~、店の中で漏らされたら他のお客様に迷惑じゃないか!」

姫「ひぃぃぃぃぃ!筋肉達磨が怒ってりゅぅぅぅぅぅ!怖いですわぁぁぁぁぁ!」

ジョババババババババババハ
ジョババババババババババハ
ジョババババババババババハ

猿「くっ、尿しぶきが…まるで雨だぜベイベー!」

タパパパパ

客A「きゃあ!私のパスタに尿しぶきが!」

タパパパパ

客B「うっ!僕のビーフストロガノフに尿しぶきが!」

タパパパパ

客C「あら!わたくしの猫炒めに尿しぶきが!」

筋肉「私の料理に尿しぶきが…ゆ、ゆるさん!これはゆるさないに違いない!」

ビキビキッ

筋肉「私の筋肉は怒り120%を超えたぞ―!」

ビキビキビキビキ バビュリュッセル!

筋肉「筋肉が凝縮された私の右拳…この一撃に耐えられるだろうか?いや、耐えられる筈が無い!」

猿「あわわわわ…なんか強烈な一撃が放たれる予感…姫様、危険です!逃げましょう!」

姫「…逃げる?」

カチン

姫「私の辞書に逃げるって文字は無いのよ…」

ヒュオッ
ピキピキピキ

猿「!」

猿(姫様のまわりの空気が…凍てついて…)

姫「逃げる事は死よりも恥ずべき行為…誇りは失わない、決して!決してよ!」

ピキピキピキ パキンッ

姫「とくと見なさい、そして知りなさい…私が何故『氷結の姫君』と呼ばれるかを!」

ピキピキ

客A「うわぁ…か、体が凍って…わぁぁぁぁぁ!」

パキン

客B「なっ…砕け…うわぁぁぁぁぁ!」

ピキピキ パキン

客C「あ、あぁ…まるでガラス細工みたいに人間が…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

ピキピキ パキン

筋肉「なんとむごい事を…」

ヒュオオオオオオ…

猿「さ、さすが姫様…氷結の姫君の通り名は伊達じゃない…ああなったら、この街全てを凍らせるまで収まらないぞ…」

筋肉「私の大切なお客様を手にかけたのは許せない…許せないんだぁぁぁ!」

ビキビキッ

筋肉「放つ、今放つ!すぐ放つ!有無をいわさず放つ!私の怒りを込めたこの一撃!」

ビキビキッ

筋肉「筋肉爆裂拳!」

ブワァァァ!

猿「あ、あんな肉々しい一撃をくらったら、姫様は死にかねないぞ!」

筋肉「くらぇぇぇい!」

ブワァァァ!

姫「ふん、美しくない技ですわ…そんなものは…」

フッ
ピキピキピキ

筋肉「なぁっ!?」

ピキーン

筋肉「あ、足が凍らされて…う、動けない…」

唐突な放尿からのバトル展開!(恒例)

姫「大気を凍らせ、操る…これが私の異能…『フロスト・ロスト(命を奪う冷気)』よ」

筋肉「異能…なるほど、あんたは異能者か。見たのは初めてだ」

猿「ウキッ…ですが、姫様にはエネミー・ゼロの異能がすでにあるのでは…」

※エネミー・ゼロについては>>34を参照

姫「異能が一人につき一つだと、いつ言ったかしら?」

猿「なん…ばら…」

ヒルナンデスー

姫「私はいくつかの異能を持っているのよ」

猿「キキッ…そんなことがあるのか…」

姫「この異能は扱いやすいのでよく使うのよ、だから氷結の姫君なんて呼ばれる事になったのだけれど」

筋肉「おいおい、戦いの最中にお喋りはいかんなぁ」

ザザザッ

猿「あっ、筋肉がいつの間にか姫様に接近している!」

筋肉「あんな子供だましの氷で、私の足を止められると思わないことだ」

ブゥン

筋肉「筋肉爆裂拳を使わなくとも、ただの振りかぶった拳で十分な威力なのだよ、くらえぃ!」

ゴォォォォォ

猿「ひ、姫様あぶなーーー」

姫「…『エネミー・ゼロ』!」

ドギュゥゥゥン

カキィン

筋肉「ぐぬぅっ!?」

姫「ダイヤより硬いエネミー・ゼロを貫く事は誰にもできなくってよ!」

猿「ふぅ、間一髪か」

筋肉「なるほど、これが異能…拳を弾いたのは、その鉄板みたいな何かか…」

姫「あら、貴方にも見えるのね」

姫(と、いう事はこの方も異能者…まだ能力が発現していないみたいね)

筋肉「何が目的でこの店に来て、お客様方を殺めたのかは分からんが…報いは受けて貰わねばな」

ビキビキッ

姫「やれやれ…一息つきたいだけでしたのに。面倒ですわね、こいつは!」

ババッ

姫「一気にカタをつけますわよ!『エネミー・ゼロッッッ』!」

ドギュゥゥゥン

E・Z「HO―HO―HO!」

猿「なっ…エネミー・ゼロが人型に!?」

説明しよう!
つまりスタンドみたいなものである!

姫「強力な思念を使えば、異能を人型に具現化できるのよ」

筋肉「だが、それで何が出来る!」

ビキビキッ

筋肉「敵が何であろうと、私にはこの筋肉しかない、ゆえに!」

ビキビキッ

筋肉「ただ、この拳を打ち抜くのみ!」

姫「なら私は、その筋肉を…ぶち壊す!」

シュバッ

姫「ダイヤをも超える硬度の拳を、叩き込む!」

E・Z「YAA!HAA!」

ドゴゴゴゴゴゴゴ!
ズドム! ズドム! ズドム!

筋肉「がっ!ひっ!ぶへらぁ!」

猿「ひでぇ…ありゃあ即死に違いない!」

姫「やれやれですわ」

猿「って姫様!ズルムケタウンに来ていきなり殺人って何やってんすか!」

姫「し、しまった」

猿「早く逃げましょう。警察に見つかると厄介ですぜ」

姫「そ、そうですわね」

トンズラー

・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやあって
姫と猿はズルムケタウンでお尋ね者になってしまった。
一人と一匹の旅は雲行きの怪しい出だしとなったのだった…

【続く】

三人じゃ無かったのか乙

意外! それはスタンドッ!

・ ・ ・ ・ ・

~魔界~

魔界。
人間界とは違う
魔物の住む闇の世界。

人間界と似ているところもあれば
全く違うところもある。

そんな世界。

~魔界、ならず者の酒場~

ガヤガヤ ワイワイ

ゴブリン「はぁ~」

ゾンビ「どうしたよ」

ゴブリン「どうしたもこうしたもあるかよ。まさか人間ごときにしてやられるとはなぁ」

ゾンビ「あーなるほど。確かに予想を遙かに超える強さだったなぁ」

ゴブリン「俺らの隊長なんか油断しまくりでな、軽装で行ったからボロボロ。切り傷に打撲、酷い有様よ」

ゾンビ「うちの隊長も似たようなもんさ。少人数でいけるなんて言ってたら、見事に返り討ち。逃げるので精一杯だったよ。まぁゾンビ菌をばらまいて来てやったけどな」

ゴブリン「人間なんて非力な奴ばかりだと思っていたがなぁ…」

ゾンビ「ここ数年で軍備を強化したんだろうよ」

ゴブリン「あーあ、せっかくの出陣だったのになぁ。もう人間たちとは戦いたくねぇや」

ゾンビ「だなー。まぁ魔王様は好戦的な方じゃないから、しばらくは大丈夫じゃねぇの」

ゴブリン「そういえばオーク軍も出陣したんだよな」

ゾンビ「あぁ。噂によると交渉し互いに使者を送って戦いを避けたとか」

ゴブリン「使者…人質みたいなもんか?」

ゾンビ「どうだろう。よくわからん」

ゴブリン「オーク軍の隊長さんは平和主義者だからな。穏便に済む手段をとったんだろうさ」

ゾンビ「へぇ、そんな方法があるもんなんだ」

ゴブリン「よく考えたら、俺達魔物は別に人間に恨みは無いもんな」

ゾンビ「あぁ。魔王様の命令だから戦っただけで、私怨とか何も無いよな」

ゴブリン「戦わずに済むならその方がいいよなぁ」

ゾンビ「たしかに」

ガタガタ バンッ!

?「貴様等ぁ!それでも魔界の住人か!腑抜けどもがぁっ!」
ゴブリン「ひぃっ」

ゾンビ「あ、あんたは竜神族の…」

竜神「貴様等のような奴らがいるから人間がでかい面をするのだ!」

 
 
竜神。
なんていうか、リザードマンっぽいやつ。
ようするに人型の竜。
長く生きた竜は神格化し
なんやかんやで人の形を成すとかなんとか。

竜神「人間などという下等生物は滅ぼさなければならぬ!理由など無い、必要無い!ただただ滅べばよいのだ!強者が弱者を食らうのは自然の掟!竜神族はその理にのみ従い生きる!」

ゴブリン「そ、そうですね」

ゾンビ「は、はぁ」

竜神「貴様等雑魚は情けない結果になったが…見ておれ。我等竜神族が人間共を滅ぼす…魔王様の命令など関係ない!我等が行く!」

ゴブリン「魔王様の命令など関係ないって…そりゃまずいでしょう」

ゾンビ「竜神さん、そいつは魔王様への忠誠に関わりますぜ…?」

竜神「忠誠?はんっ、そもそも魔物に忠誠などという物があるというのか?それに今回の件で魔王様に不信を抱く者も多いのは事実だ」

なんだかシリアスっぽいことになった

ゴブリン「だからといってその発言は…」

竜神「ふん、どいつもこいつも魔王様魔王様と…あの方の…いや、あいつの何をそこまで慕うのか」

ゾンビ「りゅ、竜神はん!」

ダンッ ムナグラ ガシッ

竜神「…なんだこの手は」

ゾンビ「わいは…わいは魔王様に大きな恩義がある…わいだけやない、あの方に救われた魔物は大勢おるんや…それを、それをおまはんは!」

竜神「なら、どうするというのだ?」

ニマァ

竜神「貴様のような雑魚が我に喧嘩を売るか、あぁン?」

ギロッ

ゾンビ「ぐっ…」

ゴブリン「や、やめときなはれゾンビはん…悔しいが俺達じゃ竜神族にはかなわへんのや…」

竜神「だ、そうだ」

ゾンビ「ぐっ…」

ゾンビ「くっ…くそぅ…」

コブシ プルプル

竜神「早く手を離せ。いい加減ムカついてきたぜ」

ゴブリン「ゾンビはん!」

ゾンビ「ぐぬぬ…」

スゥッ

?「手を離す必要はない、それは貴方のプライド。そして魔王様への忠誠の証なのだから」

竜神「なんだ貴様は…全身を覆う真っ黒なローブなど着おって」

ゴブリン(めっちゃ説明的なセリフだ…)

?「私は通りすがりの黒魔法使い。なに、随分騒がしいから気になってね…来てみればどうだい、魔王様をDISる奴がいるじゃないか」

竜神「ふん、我の事か…それよりおい、早くこの手を離せ」

ゾンビ「ぐぬぬ…」

黒魔「いや、離しては駄目だ」

竜神「早く離せ」

黒魔「いや、離しては駄目だ」

竜神「早く離せ」

黒魔「いや、離しては駄目だ」

竜神「早く離せ」

黒魔「いや、離しては駄目だ」

ゾンビ「…」

ゾンビ(離すのか離さないのか…どうすればいい…混乱してきた…頭がフットーしそうだよぉ!)

竜神「離せと…言っているゥゥゥン!」

ブワァッ

ゾンビ「う、うわぁぁぁ!」

ヒュー バンッ

ゴブリン「気迫で吹き飛ばした!?」

竜神「我ほどの竜神になれば、気迫を武器にできるのだ」

ゾンビ「痛たたた…壁に激突しちまった」

ポロッ

ゾンビ「あ…衝撃で右腕が取れた」

ゴブリン「さすがゾンビ、脆いぜ!」

ゾンビ「最近腐敗が進んできたからなぁ…」

竜神「ふんっ、脆弱な魔物よのぅ!」

ササッ

黒魔「大丈夫ですか?」

ゾンビ「あぁ。こんな怪我は日常茶飯事だ」

黒魔「治療しますね」

パァァ…

ゴブリン「あっ、ゾンビは死者だから回復魔法は…」

黒魔「え」

パァァ…
シュワァァァァァァ…

ゾンビ「ぎいやあああ」

 
 
ゾンビは 浄化 されてしまった!
 
 

ゴブリン「ゾンビぃぃぃぃぃ!」

黒魔「う、うかつでした」

ゴブリン「まぁ悪気はなかったようだし…次からは注意してよね」

黒魔「はーいはーい(雑)」

竜神「…なんかよく分からんが、我はもう帰るぞ」

テクテクテク

ゴブリン「…」

黒魔「…」

ゴブリン「…とりあえず、何か飲む?」

黒魔「あ、はい。じゃあカルーアミルクでも注文しようかな…」

ゴブリン「いいね、じゃあ俺もそれにしようかな…ヘイマスター、カルーアミルク二つ!」

店長「ウム」

・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやで
ゾンビは召された。
出てきた途端に退場するとか
どんだけぇ~。

【続く】

たまに思うけどそれじゃあ逆にどうやって直すんだろうってさ
邪道っぽい呪いをかける的な感じでアレするんだろうか

・ ・ ・ ・ ・

~魔王城、魔王の部屋~

魔王「ぶぅーん」

魔王「どどどどど!」

魔王は自室にて
プラモデルで遊んでいた。

魔王「くそう、エンジンがやられた!」

魔王「ふはは、俺の勝ちだ!」

カチャカチャ

魔王「待てぃ!」

ガキーン

魔王「お、お前は!」

魔王「へっ、あのまま逃げたんじゃかっこ悪いまんまだからな!」

魔王「何だと…しかし、今更雑魚が増えたところで俺の勝利は揺るがない!」

カチャカチャ

魔王「雑魚かどうか…よぉく見やがれ!」

カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ

ガチャリ バタン

エルフ「…」

フゥー

エルフ「…魔王様」

魔王「ひぅぅぅぅぅ!?」

カチャ ポトリ

魔王「ええええエルフ…きゅ、急に声をかけないでくれ、驚くじゃないか」

エルフ「随分楽しそうにしておられたので」

魔王「…見てた?」

エルフ「はい」

魔王「…」

魔王「あーもー!いい歳こいてプラモで戦いごっこしたっていいじゃないか!誰かに迷惑かけたか、あぁん?」

エルフ「いえ、私は何も言ってませんが…」

魔王「でもそう思ってるんだろ?でもな、この遊びは女には分かんないんだよ!男子にしか分かんないんだよ!」

エルフ「ですから私は何も…」

・ ・ ・ ・ ・

キリッ

魔王「…で、何か用かな?」

エルフ「はい、戦果報告に参りました」

魔王「あぁ、そういやそんな指示だしたっけなぁ…で?」

エルフ「ゴブリン軍、ゾンビ軍共に撤退を余儀なくされました。死者はいませんでしたが数名は療養が必要です」

エルフ「それからオーク軍は女騎士村の長と交渉し休戦しました」

魔王「へぇ、さすがやり手のオーク長。斬り合うだけが戦じゃない事を知っている」

エルフ「ですが魔王様の許可無く休戦を勝手に決めるなど…」

魔王「いいのいいの、無駄な血が流れないのはいい事だよ、エルフ」

魔王「それより、ゾンビ軍はともかくゴブリン軍が撤退ねぇ…人間側の損害はどうだった?」

エルフ「はい。人間側にも死者は無かったようです。国王の指示が恐ろしく的確だったとか」

魔王「死人を出す名将はいくらでもいるが、誰も死なせないとなると…神がかって…いや、悪魔じみているな、人間の王は」

エルフ「はい」

魔王(何者なんだ、王というのは…調べる必要があるかもな)

ユビパッチン
シャッ

?「お呼びですか、魔王様」

魔王「ちょっと調べて欲しい事がある。頼めるかな、くのいち」

くのいち「魔王様の命令とあらば」

魔王「…くのいち、私は君を大切な友人だと思っている。君もそんなにかしこまらずに友人として接して欲しいんだがね」

くのいち「と申されましても…」

シュン

魔王「まぁ無理強いはしないよ、頭の片隅にでも置いておいてくれ。さて話を戻そうか」

・ ・ ・ ・ ・

魔王「という訳だ」

くのいち「承知しました。では早速調査に向かいます、失礼」

シュッ

魔王「相変わらず行動が早いなぁ…」

エルフ「…」

魔王「どうした、エルフ」

エルフ「…」

魔王「どうしたのってば」

エルフ「私、あの人苦手です…」

そう言ってエルフは視線を足元に落とした。
苦手、嫌い、憎い。
言い方はいろいろあれど
女性が女性に対してそんな感情をいだくという事はつまり
そういう事である。

魔王(やれやれ…絶対服従の印の副産物とでもいうのかな。悪い気はしないけど)

エルフ「そもそもあの人は人間、なのになぜ魔王様は…」

魔王「エルフ」

エルフ「…申し訳ございません、口が過ぎました」

シュン

魔王(めんどくさいな、女の子ってのは…)

ポンポン

魔王「まぁいろいろあるのさ。彼女は確かに人間だけど、そう邪険にしないでやってくれ」

エルフ「…はい」

ジッ

エルフ「ところで魔王様」

魔王「ん?」

エルフ「とりあえず頭を撫でとけば誤魔化せるって思ってません?」

魔王「うっ」

ジッ

エルフ「魔王様?」

魔王「そそそそそんな事ナイデスヨ?」

エルフ「…本当ですか?」

魔王「アッ、ハイ」

エルフ「うー…もういいです」

魔王「そ、そうか…」

エルフ「ところで魔王様、次の進軍の予定はいかがなさいます?」

魔王「ん、あぁ。しばらくは様子見だな、うかつに攻めても人間の王にしてやられるだろうからね」

エルフ「ですが、魔王様…」

魔王「今回の進軍で少しは体調もマシになった。大丈夫だ」

エルフ「…」

魔王(…っと、見抜かれてるか。実際のところ体調に変化はない。人間側に大した被害を与えられなかったからな)

なでぽスキルが足らない!

魔王(魔王としての力を維持するには…今以上にルール無用の残虐ファイトをするしかないのか…)

ギリッ

エルフ「ま、魔王様…唇から血が…」

魔王「ん、あぁ…」

タタッ フキフキ

エルフ「…」

魔王「すまないね…」

魔王(そうだ…迷うな…私はエルフの為なら…鬼になろう…)

・ ・ ・ ・ ・

~ズルムケタウン、下水道~

姫「はぁ…」

猿「ひぃ…」

「「ふっへほー!」」

フッヘホー…
フッヘホー…
ヘホー…
ホー…

姫「無理してテンション上げようとしましたが、無理でしたの図」

猿「こうやって下水道でコソコソしてるのも、姫様のせいなんですからね!」

姫「すまんな」

猿「かまわんよ」

猿「…って、構うわ!めっちゃ構うわ!」

姫「少しばかり頭に血がのぼってしまいましたわ、テヘッ」

ペローン

猿「テヘペロしてごまかそうたって、そうはイカの金玉ですからね!」

姫「だから謝ってるじゃありませんか。これだから類人猿は…」

猿「ウキー!」

姫「それより今後の計画ですわ。ズルムケタウンでは表立った行動はできなくなりました」

猿「はい」

姫「このままコソコソしていてもらちがあきませんわ。ですから…別の街に行こうと思います」

猿「別の街…いったいどこへ?」

姫「ここから一番近い街…オイルタウンですわ」

猿「オイルタウン…街中が油にまみれていて、住民も油ぎっているのが特徴。名物はバターの天ぷらオリーブオイル掛け!」

姫「通はさらに刻みラードをまぶすして追いオリーブオイルするらしいですわ」

猿「胃もたれしそうな名物ですよね」

姫「私は一度食べてみたいですわ」

猿「チャレンジャーだなぁ…」

姫「とにかく、オイルタウンなら徒歩で一時間もあれば行けます。私は行くべきだと思うのですが、貴方の意見は?」

猿「ウキッ、俺は姫様について行きますよ。どこまでも、ね」

姫「そうと決まればさっそくですわ。と、その前に…」

ダダッ

姫「!」

チューチュー

ネズミ「!」

姫「いただき!」

ネズミ「チュー!」

姫「ひひ…腹が減っては何とやらですわ。出発の前に腹ごしらえをしましょう」

ネズミ「チュー!」

猿「ウキッ、三日ぶりの食事!」

姫「仲良く半分こ、ですわよ」

猿「キキッ」

ネズミ「チュー!」

姫「ひひ…」

ネズミ「チュー…」

姫「セイッ!」

ブチュルルル バリバリッ

姫「はい猿、半分ですわよ」

ポイッ

猿「ウッキー!」

パシッ

猿「ウキ!ウキ!」

モチュモチュ

姫「ひひ、に、にく…」

モチュモチュ

猿「ウキャキャ…うまいうまい」

モチュモチュ

姫「したたる血…ひひ、ひひひひひ、ひ!」

モチュモチュ
ゴクン

姫「ひ、ひひ…う、まいうまい…うまいまいまいまいまいまいまいまいまいまいまいまいま」

猿「にく…にく…」

姫「ひ…」

猿「ひ…」

姫「…ん、いけないいけない。正気を失うところでしたわ」

猿「ひ…」

姫「あら、猿は正気を失ってしまったようですわ。世話が焼けますまねぇ…」

ブゥン

姫「軽くブン殴ってやりましょう…『エネミー・ゼロ』!」

ドギュゥゥゥン

E・Z「HOーHOーHO!」

こえーよ

姫「エネミ・ーゼロの鋼鉄の拳なら、やれる!」

ブゥン

E・Z「YAAAAA!HAAAAA!」

ドゴゴゴゴゴゴゴゴ!
ボグンッ ボグンッ ボグンッ ボグンッ

猿「ひぎゃぶへらぁぁぁ!」

姫「やれやれですわ」

姫「さぁ、早く行きますわよ」

猿「…」

姫「何をしているの。お腹も満たされた事ですし、行きますわよ」

猿「…」

姫「猿…?」

シーン

姫「うそ、でしょ…」

ダダッ ガシッ
ユサユサ

姫「猿、猿!目を開けなさい、猿!」

ユサユサ

姫「許しませんわよ、私の許可無く死ぬなんて…ゆる…しません…わ…」

ポロポロ…

姫「猿…」

猿「死んでる」

姫「嫌…嫌嫌嫌…いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

・ ・ ・ ・ ・

こうして猿は死んだ。
いったん死んだ。
どうせ生き返るんだろ、と思ったそこの君
言うねぇ…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

第二話

【猿(バカ)が全裸でやってくる】

あれから姫は
猿の亡骸を下水に投げ捨てた。
手厚く葬ろうにも葬儀屋を呼ぶわけにもいかず
こうするしかなかったのだ。

姫「猿…さようなら」

猿の亡骸は汚水に浸され
ゆるやかに流れていった。

姫「猿…」

グスッ

姫「泣いて立ち止まる訳にはいきませんわ…私は私の成すべき事を…成さねばなりません」

姫「急ぎましょう、オイルタウンに!」

ブチュッ

姫「力んだら身が出たですわ」

こうして姫はズルムケタウンを去り
オイルタウンに向かったのだった。

一方そのころ魔界では…

~魔王城、ピロティ~

魔王城にあるピロティは
魔物が自由に使える憩いの場である。
ちなみにピロティとは
壁の無い吹き抜けの空間っぽいやつ。

ゴブリン「ふぅ、こんな天気のいい日はのんびりするに限るなぁ」

黒魔「ですね」

ゾンビ「あ゛ー」

ゴブリン「ゾンビもご機嫌だな」

黒魔「あれからなんやかんやで生き返りましたね、ゾンビさん」

ゴブリン「あぁ。ちょっと幼児退行したけど、さすがゾンビ族、すごい生命力だよ」

ゾンビ「あう?」

黒魔「あらあら、涎が。拭きましょうね」

フキフキ

ゾンビ「うー!」

ゴブリン「いやー、穏やかな日々だ。こんな毎日がずっと続けばなぁ…」

黒魔「えぇ、本当」

ゾンビ「あう!」

穏やかな日々、大切な人達。
あたりまえの幸せなものがそこにある。
だが彼らはいずれ知る。
幸せを知らなければ
失う辛さを知る事も無かったと…

はかないねぇ…

・ ・ ・ ・ ・

~帝国、王の間~

王「して、大臣よ」

大臣「はっ」

王「最近の魔物の動きはどうだ?」

大臣「目立った動きは無いですね。静かすぎて不気味なくらいです」

王「そうか…だが安心は出来ない。各地の領主に警戒を怠るなと再度通達しておくのじゃ」

大臣「はっ」

王「まったく…姫が旅立った直後にこれじゃよ。気が気でないわい」

大臣「それにしても、魔物の進軍に対しての王様の采配は見事でしたな…死人が出なかったのはまさに奇跡ですよ」

王「奇跡、か…本当にそんなものがあればのぅ」

大臣「…王様?」

王「いやなに、気にせんでくれ」

大臣「?」

王「…」

王(魔王軍の…魔王の攻め方の癖はよく知っておるのよ…兵法を学んだのは、ある意味本人からじゃからのう…)

フゥーッ

王(殺さない策…死なせない策…だがそれは一歩間違えれば全滅しかねないギリギリの策…今回はたまたま誰も死ななかっただけだ)

王(次は魔王側も本気で攻めてくるじゃろう…そうしたら次こそは死人が出てしまう…それが分からぬ魔王ではあるまい…だがやるしかないのじゃろうな…)

王(どうすればよい…結局…結局今回も同じなのか…ワシは何も出来ずにまた…あの人を悲しませてしまうのか…)

王(何度繰り返せばよい…何度この史実を繰り返せばよい…同じ過去…同じ人間や魔物の生き死にを…見続ければよい…?)

王(ワシは…)

王(僕は…)

王(母さん…)

・ ・ ・ ・ ・

一方そのころ…

~オイルタウン、食堂~

ガツガツ

姫「オイルライスうまいですわ」

ゴクゴク

姫「ラード茶うまいですわ」

オイルライスとは?
白米を油でじっくり炒めたもの。サックリした歯触りが特徴。

ラード茶とは?
溶かしたラードが9に対し
ウーロン茶1の割合で混ぜた液体。
ぬるっとした口当たりが特徴。

姫「さて、デザートは」

メニュー パラパラ

姫「これにしましょうか。あのーすいますん、これ下さいな」

店員「ウィッス」

お口がてらてらになっちゃうよぅ…

カチャカチャ
チーン

トン

店員「ウッス、豚背脂の蜜漬けっス」

姫「おーいしそうですわー!」

ガシッ

姫「今、私がこのデザートを食べるのよ、今、今!」

ムンズ

姫「手が油で汚れる?それがどうした!ただそれだけの事!なら私は!」

ビチャビチャ
ブヂュブヂュ
クチャクチャ
チュバチュバ

姫「あ、う、うまい…まいまい、ばんっ、うま…が、がの…」

グルンッ

姫「意識…記憶…過去へ…ダイブ…あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

ギュワンギュワンギュワン
ブワッ ブワッ
ドリュリュリュリュリュ
モッサン! ゴッサン!

姫「これは…未来の…でも誰の意識なの…これは…一体…」

サァァ

姫「だんだんとはっきり…まるでテレビを見ているみたいに…誰かの意識が…」

姫「分かる…分かりますわ…これはきっと…誰かの未来の記憶…そして私に関係の深い未来…」

サァァ

・ ・ ・ ・ ・

そして姫の意識は
未来へ転送された。

そうしてなんやかんやあって
姫は未来の出来事を知った。
内容は
なんやかんやで割愛する。
とにかくなんやかんやあって
色々理解したとかなんとか。

そのあと姫は
オイルタウンで油料理を楽しんだのだった。

なんやかんやでゆうべはお楽しみでしたね

・ ・ ・ ・ ・

~魔王城、多目的室A~

ここは魔王城にいくつかある多目的室のひとつ

魔物たちが自由に使ってよい部屋であり
その目的は多々あるが
ホテル代をケチる若い魔物に
ラブホ代わりに使われる事が多い。

テクテク
コンコン
シーン

骸骨剣士「よし、誰も使ってないな」

ハーピー「早く入りましょうよ~ん」

骸骨剣士「ははは、あせんなって」

ガラガラッ
ピシャッ ガチャリ

骸骨剣士「鍵はちゃんとかけた。あとは楽しむだけだぜ子猫ちゃん」

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「じゃあ、俺様のマグナムセイバーをさっそく…」

ボロン

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「じゃあ脱がすぜ子猫ちゃん」

カサカサ スポーン

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「綺麗だぜ、まるで天女だぜ」

ハーピー「え、ハーピーですけど」

骸骨剣士「アッハイ」

骸骨剣士「じゃあ、いよいよいくぜ…」

ギンッ

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「ここか?」

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「ここか?」

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「ここがええのんか?」

ハーピー「あは~ん」

ヌチャヌチャ
グチュ
クルッポー クルッポー クルッポー

骸骨剣士「セェイッ」

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「ムゥンッ」

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「セッ…ンナッハァァァ!」

ビュルルルル

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「はぁ…はぁ…」

グッタリ

骸骨剣士「最高だったぜ子猫ちゃん」

ナデナデ

ハーピー「あは~ん」

骸骨剣士「さて、終わったらさっさと出ようぜ。こんな所を見つかったら…」

ガタガタガタ

?「中から鍵をかけているようですね…」

骸骨剣士「や、やばい。奴だ…奴が来た」

ハーピー「奴…ま、まさか!」

骸骨剣士「そのまさかだ…」

ガタガタ バキッ

?「そう、私だ…」

誰だっ

(骸骨がどうやってナニをナニするんだろう…?)

クルッ シュパッ バッバッ
ダダダン クルクルクル キメッ

?「魔王城の性を取り締まる…風紀委員、サキュバスよ!」

骸骨剣士「くそっ、厄介な奴に見つかっちまったな」

サキュバス「最近の魔物の性の乱れは嘆かわしい…私が取り締まらなければならないのよ!」

ハーピー「一番性が乱れてそうな魔物に言われたくないんですが…」

サキュバス「ゴタゴタうるせぁぁぁ!とにかく貴方達を…裁く!」

ハネ バサァァァ

骸骨剣士「や、やる気かよ…ならこっちも!」

ハーピー「え…マジ?」

骸骨剣士「マジもマジ、大マジだ!奴の言う裁きってのは…パイプカットなんだからな」

ハーピー「ひぃぃ」

ガサゴソ ハサミ

サキュバス「そう、私はセックスに狂った男どものチンポを切って…切って切って…切って切って切りまくっているのよぉぉぉ!」

ハーピー「にしてもハサミで切るのは危険すぎやしませんかね…」

サキュバス「大丈夫、酒で消毒するから」

ハーピー「全然大丈夫じゃないですね…」

骸骨剣士「無駄口はそこまでだ。やらなきゃやられるんなら、やってやる!」

チャキッ

骸骨剣士「俺だって剣士の端くれだ…鍛えた剣技を見せてやる!」

鍛えた剣技(意味深)

サキュバス「ふぅん…やってみなさいよ…やってみなさいよ!」

ヌギッ

サキュバス「必殺、フェロモン汗飛ばし!」

ピシュシュ

骸骨剣士「ふん、なんだこれは。全く効かんな」

ムワッ

骸骨剣士「ぬ…これは…」

サキュバス「よけなかったのは間違いね…貴方、もう私の虜よ」

骸骨剣士「ぬっ、体が…動かん…?」

ハーピー「な、なんとぉー!」

サキュバス「ふふ…私の汗には男性の神経を麻痺させる成分があるの。そして麻痺させた神経をなんやかんやで操る事ができるのよ」

ハーピー「な、なんとぉー!」

骸骨剣士「くそっ、なんて技だ…」

サキュバス「ふふ、操り人形ちゃん、右手をあげなさい」

スッ

骸骨剣士「くっ」

サキュバス「次は左手」

スッ

骸骨剣士「ぬっ」

サキュバス「あはは、意のままに操るのは楽しいわねぇ!」

骸骨剣士「だが、俺を操り人形にしてどうする気だ?」

サキュバス「そうね、例えば…」

スッ スッ ススッ

骸骨剣士「ぐぬっ、なぁっ…」

サキュバス「右手の剣を振り上げて…自分の首を斬る、なんてのは…どうかしら?」

ブゥン

骸骨剣士「ぐ、ぐわぁぁぁ、や、やめろぉぉぉ!」

ハーピー「こ、これは首が斬り落とされるに違いない!」

ザクンッ ボトリ


骸骨剣士「ぐふっ…」

ハーピー「ひ、ひぃっ…骸骨剣士の首が…こ、これは間違いなく死んだわね!」

サキュバス「あはは、あっけないものね!」

ハーピー「あ、あぁ…」

サキュバス「さぁ次は貴方よハーピー…」

ムワッ

サキュバス「私のフェロモンは死体も操れる…さぁ骸骨剣士よ、その淫乱ハーピーを斬りなさい!」

骸骨剣士「…」

サキュバス「…どうしたの、早く斬りなさい!」

骸骨剣士「…」

サキュバス「な、何故よ…私のフェロモンの効果は絶対の筈よ!?」

カタカタカタ

骸骨剣士の頭「そいつはどうかな?」

ハーピー「ひぃっ、骸骨剣士の頭が…斬り落とされた頭が喋った!」

骸骨剣士の頭「俺は骸骨だぜ、そう簡単に死ぬかよバーロー」

サキュバス「ば、化物め…」

骸骨剣士の頭「頭と体が離れたからな、フェロモンの効果が無くなったのさ」

ハーピー「なるほど…よくわらかないけど、そういう事なのね!」

サキュバス「ば、化物め…」

骸骨剣士の体「…」

ヒョイ ガシッ

骸骨剣士「ふぅ、元通りというやつだ」

サキュバス「馬鹿め…ならもう一度フェロモンで操るだけの事よ!」

バサァァァ

サキュバス「必殺、フェロモン汗飛ばし!」

ピシュシュ

骸骨剣士「…ふん」

サキュバス「ふふ…さぁこれで再び貴方は私の虜…右手を上げなさい!」

骸骨剣士「…」

サキュバス「どうしたの、右手を上げなさい!

骸骨剣士「…」」

ニヤッ

骸骨剣士「どうした、操ってみろよ?」

サキュバス「嘘…操れない…」

骸骨剣士「俺は骸骨だからな。一度受けた成分には耐性が出来るンだよ。もうお前のフェロモンは効かねぇ」

サキュバス「う、嘘よ…私のフェロモンは…私のフェロモンは絶対!最強!無敵なのよぉぉぉぉぉぉ!?」

骸骨剣士「ふん、他人の意志を奪い操るなんて汚い真似をするからさ。ツケを払う時がきたのさ、これがな」

チャキッ ブゥン

骸骨剣士「俺ァ苦しまずに殺すのには自信があってなぁ…お前にかける慈悲は無ぇが…一瞬で終わらせてやらァ」

サキュバス「あ…あぁ…わ、私を殺す…の…?」

ガクガク

骸骨剣士「先に仕掛けたのはどっちだい?」

サキュバス「…」

骸骨剣士「…だよな」

ブゥゥゥンッ!



ザシュ



ぼとり

コロコロコロ…
トンッ

サキュバスの首「…」

ハーピー「ひ、ひぃぃぃぃぃ!?」

ジョロロロロ

ハーピー「くくくく首、首首首!まだ温かい首!目が開いている首!ひぃぃぃぃぃ!」

ジョロロロロ

骸骨剣士「生首見るのは初めてかい」

ハーピー「あ、当たり前よ!」

骸骨剣士「そうかい…俺ァ、そんなモン飽きるくらい見てらァ…ハッ、自慢にゃならねェがな」

ハーピー「が、骸骨剣士…?」

骸骨剣士「さぁて、さっさとズラかるぜ。障害沙汰があったとなっちゃあ面倒だ」

タタッ

ハーピー「あっ、待ってよ…」

ハーピー「…」

ハーピー(骸骨剣士の目…なんて残酷で…なんて寂しそうな悲しい目なの…)

タッタッタ…



サキュバスの体「…」

ムクリ

サキュバスの頭「…」

パチリ

サキュバスの体「…」

ジュワジュワ…
アタマ ズババン!

サキュバスの頭「…」

ジュワジュワ…
カラダ ズババン!

サキュバスA「ふぅ…」

サキュバスB「はぁ…」

サキュバスA「わざとやられるのも嫌な気分ね…」

サキュバスB「まったくね…」

スッ

?「すまん、不快な思いをさせたな」

サキュバスA「…ほかでもない貴方の指示だからね、竜神」

竜神「どうやら奴は合格のようだな」

サキュバスB「えぇ。彼、かなり強いわ」

サキュバスA「私達の仲間になる資格アリ、ね」

※竜神については>>126あたりを参照

竜神「我等は力のある魔物を集めなければならない」

サキュバスA「えぇ」

サキュバスB「だって」

サキュバスA、B「「魔王を殺すんですもの」」

竜神「クーデターを起こすからには失敗は許されない…一度きりだ、失敗は我等の全滅を意味する」

サキュバスA「でも彼、仲間になるかしら」

サキュバスB「何だか一匹狼の感じだったわよ」

竜神「一匹狼が多目的室でセックスなどするものか。なぁに、いざとなればお前の色香の出番だ」

サキュバスB「あらあら魔物使いの荒い事で」

サキュバスA「忙しくて体がいくつあっても足りないわね」

竜神「今二つあるけどね」

切っただけ増えるとかエコノミー

竜神「ではずらかるぞ」

サキュバスA「はぁーい」

サキュバスB「じゃあ…」

クチ パカッ

サキュバスA「慣れないわぁ、コレ…」

バグンッ
グチュリグチュリ モチュモチュ バリン ゴクン

ジュワジュワ…
ブルッ

サキュバス「…ふぅ」

竜神「行くぞサキュバス、忍者走りで去るのだ」

サキュバス「ニンニン」

テケテケテケテケテケテケテケテケ

・ ・ ・ ・ ・

~魔王城、城内喫茶店【ほほえみ】~

骸骨剣士「ふぅ、ようやく一息つけるぜ」

ハーピー「そうね」

骸骨剣士「しかし危ないところだったぜ。サキュバスにセックスを見つかって殺された魔物は多いからな」

ハーピー「へぇ」

骸骨剣士「運良くサキュバスを返り討ちにしたが、風紀委員は他にもいる。多目的室以外にセックスできる場所を探さないとなぁ」

魔王城の施設、充実してんな…

ハーピー「そんな都合のいい場所…」

骸骨剣士「いや、あるぞ」

ハーピー「んあ?」

骸骨剣士「魔物が寄りつかず、かつ使われていない部屋…」

ハーピー「それは一体…」

骸骨剣士「魔王の間の隣…その名も魔王の隣室!」

ハーピー「魔王の隣室…確かに隣に魔王様がいると思うと何だか落ち着かないから使うのに敬遠されがちな部屋…」

骸骨剣士「そうだ。あそこを使う魔物はまずいない。風紀委員もまさかと思うだろう、そこが狙い目さ」

ハーピー「でも隣に魔王様が居るのにセックスなんかできないよぉ」

骸骨剣士「逆に考えるんだ。魔物の頂点に立つ魔王がすぐ近くにいる所で行う背徳感…何だか燃えるじゃないか?」

ハーピー「た、確かに」

名前そのままやんけ!

骸骨剣士「ならさっそく行くのら~!」

テケテケテケテケ

ハーピー「忍者走り!」

テケテケテケテケ

骸骨剣士「魔王の隣室へ、いざ!」

テケテケテケテケ

・ ・ ・ ・ ・

スッ

サキュバス「ふふ…どうやら彼等、魔王の隣室へ向かったようね。竜神に報告ね」

タタッ

・ ・ ・ ・ ・

竜神「ふむ、魔王の隣室か。あそこは他の魔物が近寄りたがらない場所だな」

サキュバス「どうやらそこでセクロスフロンティアらしいわ」

竜神「セクロスフロンティア…ふん、ハレンチな奴等よ」

サキュバス「私は風紀委員として一足先に行くわ。性の乱れは裁かなきゃならないのでね」

テケテケテケテケ

竜神「ふん、忍者走りで行ったか…さて、我も行くか」

・ ・ ・ ・ ・

~魔王の隣室~

骸骨剣士「着いたぜ」

ハーピー「長い間使っていなかったようね、ホコリがすごいわ」

骸骨剣士「あー眠たーい、横になりたーい!」

ハーピー「その前に掃除よ掃除。こんな汚い部屋じゃノンセクロスよ」

骸骨剣士「よし、では俺が常備しているこの…」

テテッテレー

骸骨剣士「重曹クリーナー!」

ハーピー「プッ、今時重曹?」

テテッテレー

ハーピー「今はね、これよこれ…」

ハーピー「その名を…セキス炭酸ソーダという!」

骸骨剣士「なっ…それは一体…」

ハーピー「これはセキス炭酸ソーダ…その威力をとくと見なさい!」

プシュッ プシュッ
サッ フキフキ

骸骨剣士「なっ、なんて綺麗に…」

ハーピー「確かに重曹も便利よ…でもこのセキス炭酸ソーダなら!」

プシュッ プシュッ
フキフキ
プシュッ プシュッ
フキフキ

ピカーッ

骸骨剣士「すげぇ…どんどん綺麗になっていく…」

ハーピー「どんどんいくわよ」

プシュッ フキフキ ピカーッ

ハーピー「まだよ、まだ足りない!」

プシュッ フキフキ ピカーッ

ハーピー「床が剥げるまで、やってやるわ!」

フキフキ フキフキ フキフキ

ハーピー「はぁぁぁぁぁぁっ!」

ズベラッシャァァァァァ
ドガァァァン

なんという主婦の知恵袋感
クエン酸もあるでよ!

骸骨剣士「ゆ、床をこする摩擦で膨大なエネルギーが発生した!」

ハーピー「私の掃除力を、なめるなぁぁぁ!」

フキフキフキフキ
ドガァァァン

骸骨剣士「う、うわぁぁぁ、巻き込まれるぅぅぅ!」

ブラックホォォォ
ンホォォォ
ォォォ

骸骨剣士「次元が…世界が…歪んで…きえ」

プツン

次元の壁、がばがばやんけ

・ ・ ・ ・ ・

こうして掃除力(そうじちから)の暴走によって
局所的にブラックホールが発生し
魔王城は消し飛んだ。

城にいた魔物の半数は
巻き込まれて次元の彼方へ飛ばされた。
危険を察知した魔王は可能な限り魔物を魔法で各地に転送したが
魔力切れとなり
その行方は分からないのであった。

それから数年後
ある荒れ果てた大地に
一匹の猿(裸)がいた。
白銀のような美しい体毛の
猿が、いた。

白猿「私は…必ず父さんを見つけだす…!」

・ ・ ・ ・ ・

第二話

【猿が全裸でやってくる】

おしまい。

三話に続く…

・ ・ ・ ・ ・

なんやかんやで数年たった訳で。
そのなんやかんやを
ざっくりとご紹介。

・王は実は未来人で、育ての親はエルフ
・魔王を救えなかったエルフは孤児であった王と出会い育てた
・エルフは命と引き換えに過去へ王を送り込む魔法を発動した
・王が魔王の戦術をよく知っていたのはエルフから兵法を学んだから

・過去に来た王はなんやかんやで結局魔王を救えなかった
・その自責の念で異能が発動、タイムリープみたいなやつ
・なので王は魔王を救うためにすでに何回もループしている
・魔王が死ぬ原因は竜神が起こす反乱によるもの
・何度もループするうち、姫に情が移り家族愛が芽生えてしまった

・この時点で猿は死んでいる
・白猿は猿の娘。猿はそこらじゅうに子種をばらまいており各地に子供がいる
・ゴブリンとゾンビと黒魔は家族のように仲良く暮らしている。物語にはあまり関わらない
・ハーピーと骸骨剣士はやりまくっている。こいつらも物語にはあまり関わらない

なんやかんやざっくりィ!

・ ・ ・ ・ ・

~魔王城、廃墟~

魔王「あーあ、なんやかんやで魔王城もボロボロだぁ」

エルフ「まさか竜神が裏切るとは…いや、まぁそんな気はしてましたけど」

魔王「命まではとられなかっただけよしとするかね」

エルフ「しかし竜神率いる反乱軍の引き際は不自然なくらいあっさりしてましたね…まるで他の軍勢に攻め込まれたみたいに」

魔王「…さてね」

魔王(あれからくのいちに調べてもらった…どうやら人間の王が何かしたみたいだ。どうして私達を助けるような真似をしたのかは分からないけど)

なんやかんやで
魔王が死ぬ運命は回避された。
何度か目のループの果てに
ようやく王は過去を改変することに成功したのだった。

しかし王は思った。
過去を変えて
自分に残ったのか、を。

幸せそうなエルフの顔を見ても
それはかつて自分を育ててくれた母のものとは違った。

母の悲願を叶えても
その達成を誰も褒めてはくれない。
誰も理解してくれない。

孤独。
過去にいる、孤独。
王は突然無性に寂しくなった。

・ ・ ・ ・ ・

~帝国、王の間~

王「…」

孤独を埋めるもの

それは

王「…」

スッ
エロホン パララララ
オキニイリノ ページ
クタクタニ ナッタ ページ

王「長年使ってきたお気に入りのエロ本…何回お世話になったか…いや、今までも、そしてこれからもお世話になり続ける!!!」

パララララ

壱!

弐!

参!

肆!

伍!

陸!

漆!

捌!

玖!」

スココココ

王「ふわ、ふわあああああああああああ」

ビクビク

王「あああああ」

ビュルルルルルル
ノッポン ノッポン
クニュニュ アンパス ナンパス
パールパル…

ダイデンデン!!

王「ふぅ…」

そう、孤独を埋めるものは
オナニーのみ!

【完】

わーい、ハッピーエンドだー

飽きられて捨てられる>>1のSSの登場人物がなんか可哀想だなって思ったり思わなかったり

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