佐城雪美「私の……声……」 (19)
声が大きくなりたい。私の声は小さいから……。
声が小さいとダメ。肝心なときに、肝心な人に届かない。
雪美「P……お話…… 薫「せんせぇ!お話しよー!」
雪美「……うん」
雪美「P……膝の上…… 仁奈「P!膝の上にのせてくだせー」
雪美「……うん」
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晶葉「それで私のところに来たのか」
雪美「晶葉……声……大きい……」
晶葉「確かに私の声はよく通るが……うむ、特に何をやったわけでもないが」
雪美「そうなの……?」
晶葉「ああ、私も元々は声が小さくてな。しかしラボは騒音だらけでな。父と話しているうちに自然と声が大きくなってな」
雪美「じゃあ……どうすれば……」
晶葉「そうだな、メガホンなんて作ってやろうか?私もアイドルになりたてステージで上手く声が出せないときは私もメガホンに頼ったものだ」
雪美「うん……だけど……それじゃダメ……声が大きく……なりたい……」
晶葉「自分の力でやるのも大切だもんな。気持ちはわかるぞ」
雪美「私の……力……大事……」
晶葉「私は困ったことがあると頼子に相談するぞ」
雪美「頼子……?」
晶葉「ああ、頼子はいつでも私を助けてくれる。お、ちょうどいいことに向こうに頼子がいるじゃないか。おーい、頼子」
頼子「どうしたの……晶葉ちゃん……」
晶葉「雪美が相談したいことがあるみたいだ」
雪美「声……大きくなりたい……どうすればいい……?」
頼子「声が大きく……私もあまり大きいほうじゃないからな……」
晶葉「私は地声が大きいから参考にならなくてな」
雪美「頼子……ライブになると……変わる……」
頼子「ライブとかではスイッチを入れるようにするよ……」
晶葉「スイッチの入った頼子はかっこいいからな」
頼子「ふふ……ありがとう」
雪美「スイッチ……入れる……?」
頼子「はい……ここぞというときに集中すると大きな声ができるものです」
雪美「頼子……やってみて……」
頼子「え……?うん……わかった……いくよ……♪~♪」
雪美「頼子……すごい……晶葉が頼るの……わかる……」
晶葉「へへん、そうだろう?頼子はすごいんだ」
頼子「そうかな……ありがとう……少し照れるな……」
雪美「これで……一歩……前進……」
頼子「そうだね……」
雪美「でも……まだ……足りない……気がする……」
晶葉「うむ、ウサミンに聞いてみたらどうか?」
雪美「菜々……?」
頼子「そうだね、菜々さんなら声を出す方法とかわかると思うよ……」
雪美「うん……晶葉、頼子……ありがとう……」
頼子「どういたしまして……頑張ってね」
晶葉「また困ったらいつでも言ってくれ」
菜々「それでナナのところに来たんですね!」
雪美「菜々……大きい声……出る……?」
菜々「ナナは声優アイドルを目指していますからね!発声には自信ありますよ」
雪美「どうやった……?」
泰葉「それ私も気になります」
菜々「えっ?泰葉ちゃん?」
泰葉「次に舞台のお仕事が入ったので私も発声練習を知りたくて」
雪美「泰葉……一緒……!」
泰葉「そうだね、一緒だね」
菜々「わかりました!二人にウサミン式発声練習を教えましょう!」
雪美「おー……!」
菜々「気合が伝わってきましたよー!じゃあまずこれを付けてください」
泰葉「これは……ウサミミ?」
菜々「そうです。でもただのウサミミじゃありませんよ。晶葉ちゃん特製のウサミミです!」
雪美「なんで……晶葉が……作った……?」
菜々「ふふふ、いい質問ですね。10ウサミンポイントあげましょう!これは頼子ちゃんの猫背改善のために作られたウサミミなのです。姿勢が悪くなるとブザーがなります」
雪美「なんで……ウサミミ……?」
菜々「ナナがデザインして晶葉ちゃんが作ったからです。照れている頼子ちゃんも可愛かったですよ」
泰葉「ははは……、それでなんでそれを使うのですか?」
菜々「発声練習は正しい姿勢でやらないと効果ないですからね。そのためにこのウサミミを使います。ささ、二人とも付けてください」
雪美「ネコミミ……ないの……?」
菜々「むむむ、雪美ちゃんはネコミミ派でしたか。しかし今日はこれを使ってください。ウサミミもいいものですよ」
泰葉「私もつけるんですか……?」
菜々「もちろんですよ。はい、泰葉ちゃん」
雪美「つけた……ぴょん……」
菜々「雪美ちゃん完璧です!可愛いですよ」
泰葉「うん、可愛いですね」
菜々「次は泰葉ちゃんですよ」
雪美「泰葉も……おそろい……」
泰葉「う、わかりました。つけますよ」
菜々「うん、泰葉ちゃんも可愛いですよ」
雪美「泰葉……可愛い……」
泰葉「うう……ありがとうございます……」
菜々「さてそれをつけて正しい姿勢を維持しますよ。背筋を伸ばして、重心を少しだけ前に出して」
雪美「こう……?」
菜々「そうです。いい感じですね。じゃあいきますよ、ナナに続いてください。大きく息吸ってー、ミンミンミン ミンミンミン ウーサミン!」
泰葉「え?!」
雪美「ミンミンミン……ミンミンミン……ウーサミン……」
泰葉「え?え?!」
菜々「ほら泰葉ちゃんもミンミンミン ミンミンミン ウーサミン!」
雪美「ミンミンミン……ミンミンミン……ウーサミン……」
泰葉「ミンミンミン ミンミンミン ウーサミン……」
菜々「声が小さいですよ!ミンミンミン ミンミンミン ウーサミン!
雪美「ミンミンミン……!ミンミンミン……!ウーサミン……!」
泰葉「ああもう、ミンミンミン ミンミンミン ウーサミン!」
菜々「おっけーです。完璧です。うん、二人とも筋がいいですね。これを毎日やれば大きくなりますよ」
泰葉「羞恥心がなくなってやけくそになるだけじゃ……」
菜々「そんなことないですよ!ちゃんと効果ありますよ……多分」
雪美「毎日……頑張る……!」
泰葉「ダメだよ雪美ちゃん、こういうのはもっとしっかりしている人……千秋さんとかに聞いてみたら?」
雪美「千秋……?」
泰葉「うん、千秋さんなら 正 し い 発声練習教えてくれるはずだから」
菜々「なんですか!まるでナナがダメみたいじゃないですか!」
泰葉「ウサミン式発声練習は私たちにあわなかったみたいなので地球の発声練習を教わるだけです」
菜々「うう、言葉に棘がある……泰葉ちゃんがいじめる……」
雪美「泰葉……ダメ……」
泰葉「……言い過ぎました。ごめんなさい」
菜々「じゃあこれから雪美ちゃんは千秋さんのところに行って泰葉ちゃんはナナと一緒に練習しましょう!」
泰葉「え?」
雪美「それが……いい……」
泰葉「え?ちょっと雪美ちゃん、ああ、菜々さん、ひっぱらないでー」
菜々「じゃあまたねです。雪美ちゃん」
雪美「またね……ありがと……」
千秋「それで私のところに来たのね」
雪美「千秋……歌……うまい……大きい声も……出る……」
千秋「確かに発声練習とかやってるから大きい声も出るわ」
雪美「だから……それ……教えて……」
千秋「わかったわ、まず足を肩幅に開いて」
雪美「足を……開く……」
千秋「背筋を伸ばして」
雪美「背筋を……伸ばす……」
千秋「それで……」
雪美「ミンミンミン……ミンミンミン……ウーサミン……」
千秋「違う!」
雪美「菜々が……」
千秋「それは一回忘れましょう」
雪美「わかった……」
千秋「それではいくわよ……」
~~~発声練習中~~~
千秋「はい、それじゃこれぐらいにしましょう」
雪美「千秋……教えるの上手い……」
千秋「そうかしら?ありがとう」
雪美「これで……伝わる……」
千秋「……。ねえ、佐城さん。一ついいことを教えてあげる」
雪美「いいこと……なに……?」
千秋「あなたの声は確かに小さいかもしれない、でもあなたにはそれを補って余りある武器があるわ」
雪美「私の……武器……」
千秋「あなたはとても澄んだ声をしているわ。綺麗な……澄んだ声。だからこそちゃんと伝えたいという意思を持てば伝わるはずだわ」
雪美「ちゃんと……伝える……最後まで……言う……」
千秋「そうね。声が大きくなることはいいことよ。だけど私はそれによってその澄んだ声が聞けなくなったりしたら少し寂しいわ」
雪美「わかった……このままで……頑張る……」
千秋「応援するわ」
雪美「あいがと……千秋……」
千秋「いいえ、どういたしまして」
声が大きくなりたかった。私の声は小さいから……。
薫「せんせぇ!お話しよー!」
雪美「……うん。ちゃんと……伝える……P……お話……しよ……」
モバP「お、雪美も一緒にお話しするか」
雪美「聞こえたの……?」
モバP「雪美の声は綺麗だからな。よく通って聞こえるよ」
薫「えへへ、雪美ちゃんも一緒だね!」
雪美「うん……一緒……」
でも、声が小さくても私はこの澄んだ声で伝えてみせる。
以上で短いけど終わりです。
雪美も晶葉も泰葉も千秋も、ぱっつんはいいものですね。
乙!
乙
乙乙
癒し
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