◆注意な◆
当SSは「この素晴らしい世界に祝福を!」と「ニンジャスレイヤー」のクロスオーバーです。
なお、自分はアニメイシヨンからのニュービーな上、SS初心者なので色々と拙いと思われます。
時間軸等は気にしないで下さい。「あれ?軸は一部なのか二部なのか三部なのかハッキリしろよ」と言う投稿は控えて頂けると幸いです。
「このすば」に関してはWeb版、アニメの知識しかないです。ある程度ネタバレにならない様にはしますが、アニメしか見ていない人にとってはわからない事等があると思います。其れについては投稿にて質問等を御願いします。
なお、1は用事があったりとしていなかったりしますが、暇な時にでも見てやるか程度にお楽しみ下さい。
とにかく、注意としては色々危うい上ぶっつけ書き溜め無しと言う事です。
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...
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455681844
………
「此処は、一体…」
暗い闇の中、一人の男が立っている。目深に被ったハンチング帽に、トレンチコートを着ている。
其の男は思いを反芻させた。確か、自分は敵のニンジャと戦って居た…はずだ。だが、そんな彼を煩い程の静寂のみが包む。
「…ナラクよ。居ないのか」
男は自らの胸に手を当て、小さく呟いた。彼の精神に宿る不浄の存在。其れのざわめきを感じる事が出来ないのだ。
今まで出せていた力が出せない様だ。不確か乍も彼は確信した。
自分は、死んだのだ。ニンジャとのイクサに敗れ、惨たらしく死を迎えたのだと。志半ばで死んだのだと。
彼は俯き、顔を顰めた。此れが、此の静寂がジゴクなのだろうか。そう考えた時だった。
「_____ようこそ、死後の世界へ」
「…オヌシは、誰だ」
「私は女神。貴方に新しい道を示す者です」
白く煌びやかな髪の女性。女神と言うに相応しい服装をしている。そして其の胸は豊満であったが、欺瞞にも思える形であった。
「…」
「あ、信じていませんね?ホントですから。私、こう見えても其れなりに崇められてますよ?」
おどけた様に笑みを零し、首を緩く傾けた。そんな相手に、彼はこう言い放った。
「私は、死んだのか」
既に知っている事だ。そう思い乍も認めたくは無い。
「はい、貴方は…えぇと、ニンジャ…ですか。其の存在により殺害され、此処に居ます」
「そうか」
暫くの無言が場を支配した。
「…女神とやら。オヌシは何をしに来た。私をジゴクにでも送るか」
「そうですね…貴方は、多くの人を殺しました。ですが、其の成り行き等から、天界より温情の報告があります」
「温情?」
ジゴクより、多少マシな所に連れて行かれるのだろうか。彼はそう考えた。
「はい。ジゴクに行くか…其れとも、生まれ変わって人生をやり直すか。その際には、記憶などは消させて頂きます」
生まれ変わる、という言葉に彼は更に考えた。記憶が無くなるのであれば、妻子の事も忘れてしまうだろう。それも、ある意味彼にとっては辛い事だった。
「後は、記憶や姿を其の儘に、異世界で魔王軍と戦う冒険者になる事です」
「…………魔王、だと?」
突拍子もない言葉だった。思わず驚きに目を見開き、困惑の表情を浮かべてしまう。
フジキド・・・やられたのか、背中にドスを突き立てられても死ななかったのに
「えぇ、とある異世界では、魔王の侵略に悩まされています。多くの人を救う為、其の世界で…戦ってくれますか?」
「…私には、戦う理由が…もう、無い」
疲れ切ったサラリマンの様に、気怠げに息を吐いた。手を開いては握り、幾多の敵を捻り潰して来た感触を思い出す。
「ジゴクに行っても、得をする訳でもありません。記憶を無くすのも嫌なのでしょう?…それに、戦う理由ならあります」
「……何?」
「多くの人を救えます。貴方が、そう望むのなら…其の力も、与えましょう」
力。ナラク。ニンジャ。ニンジャを[ピーーー]、力。ニンジャソウル。
「よかろう」
自分は死んだ。だが、まだ生きている。否、生き延びる。生きて、元の世界に戻る為に戦う。其れが、理由だと。
「魔王を討伐した暁には、天界より何でも願いを叶えてくれるでしょう」
彼の思いを肯定するかの様に、女神は告げた。
「さぁ、選んで下さい。貴方の欲する力を」
魔剣。スキル。様々な恩恵を並べ立てる女神へと、彼は言った。
「ニンジャを[ピーーー]。妻子を殺したニンジャを全て[ピーーー]。…其れまでは、[ピーーー]ぬ。[ピーーー]ぬのだ」
目を閉じ、精神を研ぎ澄ませた。彼のニンジャに対する憎悪。其れこそが、彼の求める力の根源である。
そして、彼は呼んだ。自らを取り込もうとし、善良なる市民すらも慈悲無く[ピーーー]存在を。
「ナラクよ。もう一度、力を貸せ」
...
「えぇ、とある異世界では、魔王の侵略に悩まされています。多くの人を救う為、其の世界で…戦ってくれますか?」
「…私には、戦う理由が…もう、無い」
疲れ切ったサラリマンの様に、気怠げに息を吐いた。手を開いては握り、幾多の敵を捻り潰して来た感触を思い出す。
「ジゴクに行っても、得をする訳でもありません。記憶を無くすのも嫌なのでしょう?…それに、戦う理由ならあります」
「……何?」
「多くの人を救えます。貴方が、そう望むのなら…其の力も、与えましょう」
力。ナラク。ニンジャ。ニンジャを殺す、力。ニンジャソウル。
「よかろう」
自分は死んだ。だが、まだ生きている。否、生き延びる。生きて、元の世界に戻る為に戦う。其れが、理由だと。
「魔王を討伐した暁には、天界より何でも願いを叶えてくれるでしょう」
彼の思いを肯定するかの様に、女神は告げた。
「さぁ、選んで下さい。貴方の欲する力を」
魔剣。スキル。様々な恩恵を並べ立てる女神へと、彼は言った。
「ニンジャを殺す。妻子を殺したニンジャを全て殺す。…其れまでは、死ねぬ。死ねぬのだ」
目を閉じ、精神を研ぎ澄ませた。彼のニンジャに対する憎悪。其れこそが、彼の求める力の根源である。
そして、彼は呼んだ。自らを取り込もうとし、善良なる市民すらも慈悲無く殺す存在を。
「ナラクよ。もう一度、力を貸せ」
...
( 変換のアレを無効にするの忘れてました、ケジメは後でします。)
突如、彼をどす黒い不浄の存在が包み込んだ。
(((グググ…フジキドよ…死して尚、ワシに助けを求めるか。情けない…だが、神とやらの力は凄まじい。ワシですら抵抗出来ぬとは…)))
彼にしか聞こえない声は、彼の精神に宿った。先程まで、トレンチコートに身を包んでいた彼の姿は赤黒いニンジャ装束へと変わっていた。
「黙れナラク。オヌシは、何時からそんなに饒舌になった」
(((ワシを呼んでおいて…まぁ良い。マオウ、とやらを殺し、さっさと戻るのだ…フジキド…)))
「無論、最初から其のつもりだ…オヌシには、まだまだ力を貸して貰うぞ」
改め、フジキドと呼ばれた彼は、女神へと向き直った。
「さぁ、準備は出来た。何時でも良い」
其の様子を見守って居た女神は、目を伏せて頷き彼へと言葉を掛ける。
「では、行ってらっしゃいませ。魔王を見事打倒し、また会える日を楽しみにしていますね」
其の言葉と共に、彼は光に包まれ、やがて…。
_______________
_______
___
_
.
『始まりの街 アクセル』
「…随分と、長閑で平和そうでは無いか」
(((周囲にニンジャソウルは無い…フジキドよ、ニンジャ装束は些か目立つと思うのじゃが)))
赤黒い全身を包む服装は異世界でも珍しい様だ。街の住人と思わしき人物らがちらちらとフジキドを見遣り、囁き声で話している。
ニンジャ聴力を御持ちの読者様には聞こえただろうか。彼の姿を訝しむ声が。
「……」
ニンジャを見ても動揺すらしない住人に慣れない様なフジキドは木陰へと身を寄せ、素早くトレンチコート、目深なハンチング帽姿へと戻った。
初めての街では、どうすれば良いのか。滞在中は何処に居ればいいのかと思った彼は、近くで一番大きな建物へと向かって行った。
『冒険者ギルド』
諸々の説明を、受付嬢から受けたフジキド。彼の最初の仕事は、ギルド登録の為の金稼ぎだった。
「…ヌゥーッ…どうしたものか…」
何事にも、順序は大切である。元サラリマンの彼は其れを良く知っていた。
「異世界にて、職探しとは…と言っても、力仕事であるならば問題は無い」
彼はニンジャとしての腕力があり、少なからず自信を持っていた。
滞在中、馬小屋にて空いているスペースがある為、其処を使わせて貰えると聞いたフジキドは一度其処へ向かう事にした。
( 今日の所は此処までです。続きを書くのは、明日以降か時間が空いた時になりそうです。遅筆なので、御了承下さい… )
期待
忍殺しか知らないけど期待
面白そうだ、期待してる
シリアスになるのかギャグになるのか
予想がつかない
( 米有難う御座います。先述の通り、書き溜め無しなのでゆっくりと投下していきます。ナラクおじいちゃんの喋り方とか忘れているのはすいません。)
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「成る程。休むには悪くない」
藁山のみが置いてある馬小屋の一室へと入った彼は、不満だと感じない声を漏らした。
「…少し休んでからにしようか」
此処まで来る途中、土木作業をしている者を見掛けた。彼は暫く、其処にて金を稼ごうと思案したのだ。
何時から働けるのか…と思いもしたが、如何やら人手が足りない様で直ぐにでも手を貸して欲しいと言われ、採用された。
彼は馬小屋の一室にて胡坐をかき、目を閉じた。深呼吸する様に、息を吐いては吸い、幾度か其れを繰り返す後に目を開ける。
やがて立ち上がり、先程の場所へと向かう事にした。
________________________________
「おぉ、兄ちゃんか。早速来て貰って悪ぃな。じゃあ、先ずは使う木材とか、運んでくれるか?」
筋骨が良く発達している、どうやら親方らしき男に声を掛けられる。
「…うむ、分かった」
ニンジャ腕力の持ち主である彼には容易い作業が続いた。木材運び、つるはしでの耕し等々、其の速さに周りの作業員らを驚かせる。
暫くし、今日の作業の終了を伝える声が掛けられた。
「いや、兄ちゃんよ…案外力、あるんだな。着痩せするタイプなのか?」
「いいえ、そうでもないですよ」
奥ゆかしく其れだけ返答すれば、作業着を脱いで元の服装へと戻った。トレンチコート等は動きにくいだろうとの事で、作業前に借りた物だ。
「ちょい待ち。ほら、勤め始めって事でさ。少ないが取っときな」
男が差し出した袋には、ギルド登録に十分な位の金(単価はエリス。一円=一エリスだと思って下さい)が入っていた。
「…此れは」
「兄ちゃんも、アレだろ。冒険者になろうってクチじゃねぇの?違ってたら其れは其れでイイんだがな。ま、ただの勘だ。手伝ってくれてありがとよ?クエストとか、嫌になったらまたこっちで働いてくれるといい」
強面乍も笑顔を浮かべ、彼の肩を軽く叩いた。
「有難う御座います」
「いいって事よ」
彼も薄く微笑み返し、一礼すれば其の儘ギルドへと向かった。
>>13 シリアスより、ギャグ成分高めだと思われます!
『冒険者ギルド』
時間も良い頃故か、夕食を食べている冒険者が多い様だ。彼は辺りを見回し乍、受付へと足を運んだ。
「すみません。登録料を持って来たのですが」
「あ、はい。登録料、千エリスとなります」
先程貰った金を袋から取り出し、受付へと渡す。少し金は余ったので、後で使い道を考えようと彼は思案した。其れを懐へと仕舞えば、説明を待つ。
「では、此方の水晶に手をかざして下さい」
言われた通り、片手を水晶に向けた。すると如何言った仕組か分からない彼を他所に、水晶の下にあるカードへと次々に文字や数字が書き込まれていった。
「……はい、有難う御座います。此れでステータスがわかりますよ」
「成る程」
「其の数値に応じて、なりたい職業を選んで下さい。職業によっては、経験を積んでいけばスキルを習得出来たりしますし」
「成る…ウム?スキル…?」
「えぇと…特殊能力、と言うものです」
「フム…ジツの様なもの、か…」
頭上にクエスチョンを浮かべる受付嬢へ、何でも無いですと彼は答えた。
「…あ、中々に良いステータスですね。此れなら、幅広く職業を選べると思いますよ!」
彼のステータス記載されたカードを見ると、嬉しそうに声を漏らした。
「…ニンジャはありますか」
「?…その様な職業は、無い様です…すいません」
初めて聞いたと言いたげに首を傾げる受付嬢へ、何でも無いですと彼は答える。
「では、冒険者で」
すると彼女はきょとんと目を丸くし、不思議そうにしている。
「…どうかされましたか」
「いえ…ステータスの割には、上位職を選ばないのですね、と思いまして」
「…いえ、ただ、余り分からないもので…」
「所謂、初心に戻るってやつですね…では、登録は此れにて終わりです。態々有難う御座いました!」
礼儀正しくオジギをする彼女へと、彼もまた同じ様にオジギした。
改行(改稿)とか忘れがちです。見にくくてすいません。
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翌日、彼はギルド内の掲示板にてクエストを見繕って居た。
「…ジャイアント・トード…?カエルの一種…か。此の世界の生き物がどんなものか、見てみる必要はありそうだが」
(((フジキドよ…ニンジャは。ニンジャはおらぬのか)))
「黙れナラク。ニンジャという単語すら知られて居ない様な世界だ…そんなもの、少なくとも此処には居ない」
(((口惜しや…早く元の世界に戻るぞ、フジキド)))
落胆するナラク・ニンジャを放って、彼は『ジャイアント・トード 討伐』のクエストを受注した。
※原作、アニメでのジャイアント・トードは鳴きません。
________________________________
「イヤーッ!イヤーッ!!」
「ゲコーッ!!」
緑が覆う地にて、大きな蛙が倒れた。目標のジャイアント・トードだ。
「…どうやら、スリケン(※手裏剣)が有効らしい。殴った場合は効かぬ様だな…」
(((ワシであれば、この様なブザマにはなるまいて。いいか、フジキドよ…大人しく体をワシに…)))
「黙れ。異世界に来ても変わらん…というか、うるさくなったな」
呆れた様に肩を竦めながら、辺りを見回し残心する。
「兎に角、これで討伐目標数は達成だ」
そう独りごち、今日は休もうと街へ向かう。
そろそろ出掛けるので、引き延ばしっぽい中断の仕方ですいません。用事済ませた後、色々して寝てしまうと思われるので今日のところはちょっと進んだくらいです。書いてない間も、この後の展開を考えたりはするので、許してください。それでは。
( すいません、ちょっと世界救う合間にチョコ回収したりとかなんかするイベントやってるソーシャルゲームに時間を費やしている為、ほんかくてきな書き込みは月曜日からになります。土曜、日曜は一番忙しいのでスイマセン。)
◆更新予定な◆
ちょっと先の展開を考えてる内に、暫く練った方がいいと思い勝手ですがもう数日空けてしまいます。
ケジメは完結後にします。ドーモスイマセン。
おう、頑張れ
◆ちまちま更新していきます◆
※叫び声等、忍殺テイストになっていますが御了承を。
________________________________
赤黒のニンジャ装束に身を包んだ彼は街へと向かう途中、奇妙な物を目にした。
「…」
「アイエエエエエエ!アイエ…アイエエエエエ!!」
先程、ニンジャスレイヤーが倒したのと同じ姿をした魔物____ジャイアント・トードが人を呑んでいた。
下半身を食まれ、叫ぶ者は薄い青の髪を揺らし泣き叫ぶ形相を浮かべ蛙の口から逃れるべく無意味な抵抗を繰り返す。
(((フジキドよ。関わる事は無い…さっさと帰って今日は休めばよい)))
「…それもそうだな。何かの罠かも知れん」
目を伏せ肯定するかの様に頷けば、視線を道へと戻し街へ帰ろうと____________
「ア、アンターッ!ちょっと助けなさいよ!私は女神よ。女神がこんな危機的状況なのに助けないってどういう了見なの、エェッ!?」
運悪く見付かった彼へ助けを求める彼女。自らを女神だと吹聴…おお、ブッダ。彼女の命はロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド。死に瀕した彼女は気でも狂ったのだろう。
「……女神だと?何とも怪しい奴だ」
「アンタみたいなヘンな恰好した人に言われたかないわよっ!」
「ほう。其の状況でなおも喋るか。私の助けは要らないのではないか?」
「すみません名も知らぬ御方!えぇっとぉ…どうにか助けて頂けると嬉しいです!!」
慌てて取り繕う様に言い方改める彼女は下腹部辺りまで呑まれていた。蛙の飲み込みは遅い様だ。
「…私に得があるとは思えんのだが」
「えっ。…ひ、人助けに得を求めるのは間違っているわ!兎に角そう言う込み入った話は助けてからぁッ!」
段々と飲み込まれて行く感触に背筋を震わせ、最早彼女は形振り構わず助けを求めた。
此れ以上問答を繰り返しても終わらない。そう考えたニンジャスレイヤーは一先ず助けてやるべくスリケンを構えた。
「イヤーッ!」
「ゲコーッ!」
「アイエエエエエエ!!」
倒れる蛙の口から女神と自称する青髪の女がまろび出る。
「うぇえ…生臭いよぅ…生臭いよぅ…」
ぐすぐすと目に涙を溜め項垂れる女神(自称)を横目にニンジャスレイヤーは声を掛けた。
「オヌシは…何故かの蛙に喰われていたんだ」
当然の疑問である。彼女は蛙の粘液を纏い乍事の説明をした。
________________________________
此処は、大きな豪邸の一室。
「…アクア。何してんだ」
アクアと呼ばれた青髪の女はソファに横になり酒瓶片手にくつろいでいた。
「んー?見ればわかるでしょ。それともいちいち説明しないと駄目?プークスクス。カズマさんってば御子様なんだから」
酔っているのか、仄かに頬を紅く染めへらりと小莫迦にする様な口調で返した彼女へ、カズマと呼ばれた男は苦虫を噛み潰した様な表情でこう告げる。
「ちったぁ出稼ぎくらいしてこいよ…何で昼間っから酒呑んでんだよ。おっさんか御前は」
「なぁにー?女神である私に楯突く訳?ふーん良い度胸じゃない。今度死んでも蘇生してやらないんだから」
文句をぶつぶつと垂れる彼女の脳天へと容赦無い平手が打たれた。
「あだっ!何するのよ、バカになったらどうすんのよ!!」
「るっせぇ駄女神!!元々阿呆面の癖して何言ってやがる!…丁度、ジャイアント・トードの繁殖期だ。ちょっと数匹狩って来いよ。そしたら酒も大目に見てやるから」
「い、嫌よ!蛙は嫌!!アンタ、私のトラウマをほじくり返す気でしょ!?もっと私を甘やかして、崇めてよ!」
顔を青くして彼女はぶんぶんと首を横に振る。
「…おい。ゼル帝(鶏?)が唐揚げになってもいいのか。そうだな。御前の酒のつまみにゃなるわな」
「ッ!!ア、アンタ…私の可愛いゼル帝を人質、もとい鳥質にするつもり!?クズ!クズマ!鬼畜!!」
「何とでも言え!何なら今から晩飯の準備をしてきてもいいんだが」
更に追い打ちを掛ける様に言葉を紡ぐ彼の表情は真顔であった。
「……わかったわよ!!!あんな蛙如き、ゼル帝の代わりに唐揚げにしてやるんだから!!見てなさい、カズマ!!」
彼女は半ば泣きっ面で自らの武器である杖を引っ掴むとばたばたと出て行った。
「ふぅ…此れでちょっとは反省してくれるといいんだが」
置きっぱなしの酒瓶を片付け、祈る様に呟いた。
________________________________
「インガオホー…成る程な」
「そりゃあ、私だって酔ってたとは言え一人でクエスト受けるなんて愚かだったわ…で、でも、ジャイアント・トードくらいなら…って…」
「喰われて居たではないか」
「あっ、アレは!ゴッド・ブロー(物理技)が効かなかったのを忘れてただけ!!…たまたまよ」
(((グググ…フジキドよ…こやつが放つのはニンジャソウルとは違うモノ…だが、如何にも煩わしい…さっさと殺してしまえ…)))
「黙れ、ナラク」
目の前の女性は首を傾げ、言葉を投げ掛けた。
「アンタの中に居る其れって何。悪魔みたいなの?じゃあ祓っちゃってもいい?私、一応女神だし」
「…!!イヤーッ!」
自分の中に居る。その言葉を耳にしたフジキドはバック転し下がり、彼女へ警戒の念を向けた。
「…オヌシは何だ」
(((フジキドよ。警戒しろ…ワシの存在に気付くとは、ニンジャやもしれぬぞ)))
「…答えろ、女」
カラテを構え、彼女の答えを待つニンジャスレヤー。彼女は訝しむ様に顔を顰めた。
「だから、女神だっつってんでしょ。わかんないの?てか、私にはアクアって言う素晴らしい名前があるんですけど。アンタこそ、何その格好。ニンジャの真似?プークスクス!ダサいんですけど!ニンジャなんて居る訳無いのに、なりきっちゃってバカみたいなんですけどー!」
彼は彼女の言葉を気に留めず、一先ずカラテを解き彼女の問いに答えた。
「私の中に居る、邪悪なるソウル…。此れは、ニンジャソウル。ナラク・ニンジャの…魂だ」
「…?ニンジャなんて居ないってば。何、もしかして痛い子?」
(((なんたる屈辱か!フジキドよ、体を貸せ。ワシが直々に女神だとか言うこやつを殺す!!)))
「うわっ怖!やっぱ悪魔よ悪魔!アンタ憑かれてるのね!『ターン・アンデット』!! 」
「グワーッ!!!」
青白い光に包まれたニンジャスレイヤーはもがき苦しんだ。更に、彼のニューロンへと光は蝕み011101______________
「…イ、イヤーッ!」
辛うじて光の中から飛び出したニンジャスレイヤー。不浄のソウルは弱まり、ナラクの声も弱々しいものとなっていた。
(((ヌゥーッ…奴の、戯言は…事実だ。ワシの身を焼き切ろうとするとは…)))
「ちっ、仕留め損ねたわ!安心して。この女神が今、其の悪魔を祓ってあげるんだから!!」
忍殺語が分からない方の為。上記にあった「アクア=サン」と言う呼称は、忍殺由来の言い回しです。「○○さん」と言う意味なので、変わった意味はないです。
________________________________
「ま、待て…私の話を聞くのだ。アクア=サン…!」
「…?何よ。私に得があるの?エェッ?」
なんたるシツレイか!先程命を助けて貰ったのにも関わらず、彼女は悪びれもせず損得を要求するのだ。女神らしからぬ所業!おお、ブッダ。貴方は寝て居るのですか!
「…私は、異世界とやらから来た…と、言えば…納得するか」
「はぁ?…ああ、もしかして転生者?日本とかから来たの?」
「うむ。私はニホンのキョートからやって来た…」
やっと落ち着きを取り戻した彼女にニンジャスレイヤーは思わず安堵の息を小さく漏らした。
事の発端を説明するにあたり、ニンジャと言う存在。ナラク・ニンジャなるものについて。平安時代から時を経て復活したニンジャソウルについて…そして、彼の生い立ちを。
今日はここらへんで…またゆるりと書き込んでいきます。
オツカレサマドスエ
オツカレサマドスエ
アクア=サンのジツは、タダオのディバインカラテなんて比じゃないぐらいナラクに特攻だからな
◆ゆっくり書き込む◆
(これまでのあらすじ)
妻子を失ったサラリマン、フジキド・ケンジことニンジャスレイヤー。彼はネオサイタマにて、何らかのニンジャの干渉により殺害された。
死後の世界に落とされた彼は志半ばである事に腹を立て、もう一度ネオサイタマへと戻る為、魔王を討ち滅ぼさんと誓った。
異世界転生特典により、失ったニンジャソウル…ナラク・ニンジャの邪悪なる力を再び得た。
転生後、街のギルドに登録し冒険者として認められた彼は手始めに手頃な雑魚を狩りに出る。
ジャイアント・トード…その名の通り、スゴイオオキイなカエルである。
かのフロッグマンと言うニンジャが扱うバイオカエルよりも一回り大きなジャイアント・トードを容易く討伐した彼は一先ず街に帰ろうとする。
だが、途中でジャイアント・トードに捕食されかけている女性を見つけた彼は渋々乍も助け出した。
カエルの粘液により青少年のなんかが危ない状態の彼女の名はアクアと言うらしい。
彼女の胸は豊満であった。しかし人一倍傲慢でもあった。
女神を自称し、あまつさえ感謝の意すら述べぬ彼女は何とナラク・ニンジャの不浄を見抜き、ニンジャスレイヤー諸共灰燼に帰そうとする。
彼女のジツ(術。このすばの世界で言う「スキル」を指す)はナラクに対し効果覿面であり、彼女が本物の女神である事を知る。
命からがらジツから逃れたニンジャスレイヤーはナラク、ひいては自分の身の上を説明する。
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「…成る程ねぇ。アンタ、本物のニンジャって訳。私、一応日本担当の女神だったんだけど…もしかして、別次元から送られてきたバグかしら。聞いた事無いんですけど…」
「オヌシも本物の女神であるようだな…。先程のジツは一体…」
「ああ、あれ?あんなのアークプリーストともなれば簡単よ。ま、あれ程の威力を出せるのは此の女神アクア様だけだけど!」
口を開けば自画自賛が飛ぶ彼女に対しニンジャスレイヤーは溜息交じりに肩を竦めた。
「…まぁ、何故女神ともあろう者が、カエルなんぞに喰われて居たかはさておいて」
「ちょっとアンタ!さり気無くバカにしてない!?」
「私は魔王とやらを殺し、元の世界へ帰らねばならぬ。まだ悪しきニンジャらは…居る。ニンジャを全て殺すまで、私は死んでも死にきれぬ。こうして、またあのサツバツとしたイクサの地へと戻りたいと、死んだ後でも思って居るのだ」
「えっと…スルーされたの?私。…まぁいいけど。でも、魔王をアンタに倒されたら私が天界に戻れないじゃない!」
「……と言うか、オヌシは女神なのだろう?風体は置いておいて、天界に戻る為に魔王を自分で倒さねばならぬのか。…天界とやらも、酷な事をするな。こんなスゴイバカを送るとは…」
「なっ…ア、アンタねぇ!私の慈悲で生きてる癖に!もういっぺんやるわよ!?」
「次は無い。其れよりも早くオヌシの首をへし折る」
ニンジャスレイヤーはジュー・ジツの構えをし、ジゴクのエンマが罪人へと刑を宣告する様に彼女へとそう告げた。
彼の殺気を受け、先程まで減らず口を叩いていた彼女はしゅん、と項垂れた。二度は通じないと理解したのだろう。
「…わ、私だって…来たくて来た訳じゃないもん。あのクソニートが無理矢理引っ張って来たんだもんーっ!!」
地へと顔を塞ぎ込む様にして泣き言を喚く彼女を見て、ニンジャスレイヤーはカラテ警戒を解いた。
「……少し聞きたいのだが、私達が協力して魔王を殺せば、どちらの要望も叶えてくれる…と言う事は無いのか」
ふと思った事を口にした彼へと、アクアは見上げる様に顔を向け、一言「それよ」と呟いた。
「あーもう!心配して損した!!ったく、女神である私の仲間になりたいならちゃんと言いなさいよ、仕方無いわね!」
付着した砂を払いつつ、元気良く立ち上がるのを見ればニンジャスレイヤーはこう言った。
「いや、確信がある訳では無いぞ」
「んー?大丈夫大丈夫。そこんとこ、私女神だし」
何とも横暴な理由か!しかし、未だ此の世界について無知な彼は不服ながらも彼女の力を借りる事を決めた。
「ドーモ、アクア=サン。ニンジャスレイヤーです」
ふと、自らは名乗ったもののしっかりとしたアイサツはまだである事を思い出す。アイサツは大事だ、古事記にも書かれている。
「…えっと、どーも、ニンジャスレイヤーさん…??」
不思議そうに首傾げ、何をしているのだと言いたげな顔をする彼女へとニンジャの礼儀作法について説明をした。
「……へー、戦う前にアイサツを…メンド臭いわね。一気に叩いちゃえばいいのに」
ニンジャ同士のイクサを知らぬ彼女にとって、一連の動作は無駄と感じたのだろう。
しかし、アイサツをしないニンジャはシツレイと見做される。この説明で読者の皆も、街中でニンジャに出会ったとしても慌てずアイサツが出来る事だろう。
「体が勝手に…と言った感じが近い。実際、気付かれてない相手にはアンブッシュ(奇襲)を仕掛ける事もある」
「それってシツレイなんじゃ…」
「アンブッシュすら防げぬ奴だ。気にするな」
「ホンットにニンジャがなんなのか分からないんですけど…」
やいのやいのと何気ない、時々サツバツとした話題を練り込みつつ雑談を交えながら彼らは街へと戻って行った。
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「…で、アンタは何処に住んでるの?一応、協力関係とか結ぶ前にうちのカズマさんって人に紹介しときたいけど…もう晩御飯の時間だし、今日は解散って事で?」
「うむ、馬小屋の一間を借りている」
「あー…あそこね。慣れると良いわよね。私はもう屋敷に住んじゃってるけど、時々あの藁草が恋しくなるわ…」
「ほう、オヌシは生活の基盤を立ち上げる事はしっかり出来たのか」
「はんっ!当たり前でしょ。私は女神よ、女神?」
(((まぁ…大半はカズマのおかげだけど)))
(((ていうか、寧ろ私が色々借金したりしたせいで馬小屋生活が長引いたんだけど!)))
(((…そんな事まで言わなくても良いわよね)))
「…顔に出てるぞ。カズマ=サンとやらが其の屋敷の所有者か」
何時になく鋭い読みを口にするニンジャスレイヤー。彼の予想通り、彼女は図星其の物の表情を浮かべた。
「ア、アンタ…心読んだり出来るわけ…?」
「生憎、私にその様なジツは無い」
オヌシが単純だからだ、と一言罵倒すれば彼女は目尻に涙を浮かべ悔し気に唇を噛んだ。
「覚えてなさいよ!あ、明日のお昼ね!ギルドで集合!カズマさんに言いつけてやるんだからぁ!」
「うむ、オタッシャデー」
喚き散らしながらばたばたと忙しなく去っていく彼女を見届け、ニンジャスレイヤーは休む前に報酬を受け取りにギルドへと向かった。
「…はい、では、此方が報酬となります。御疲れ様でした」
ギルド内にて、クエスト完了の手続きを済ませたはニンジャスレイヤーは報酬を受け取る。楽な仕事だった、と声を漏らす。
そんな彼の声に受付嬢は楽し気な笑いを小さく浮かべる。
彼女の名はルナ。ニンジャスレイヤーがギルドへ登録する際に手続きを担当した。
金髪に、豊満な胸。何処となくニンジャスレイヤーが居た世界の協力者____ナンシー・リーと言うヤバイ級ハッカーを思い出させる風貌であった。
そんな彼女は、今更ながらも彼の姿に違和感を覚えて居る様だった。
「あのー…フジキドさん、でしたか?」
「ニンジャスレイヤー…は、些か呼ぶには長いか。うむ、其の名で構わぬ」
「有難う御座います。…フジキドさんは、其の仮面?…は取らないのですか?」
顔を覆うメンポ(面頬)の下が気になると言う様に彼女は尋ねた。
「…まぁ、特に問題は無い」
「そうですか…すいません、少し気になってしまって。では、今日もお疲れ様でした。またの活躍を期待してますね」
残念そうな表情も束の間、流石と言うべき速さで笑顔を浮かべ、労いの言葉を再度掛け彼を見送った。
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「…ヌゥーッ…怪しまれて居るのだろうか…」
別段そう言った意図は無い事はわかって居ながらも、異世界と言う場所に来てしまった以上警戒するに越した事は無い。
其れに、彼女が物陰からちらちらと此方を覗って居る事も気になった。
ニンジャスレイヤーは食事をすべく、カエルの唐揚げなるものを頼んだ。
食事の際にはメンポは外される。そう思ったのだろう、彼女は仕事を放置し彼の食事を見ていた。
ニンジャスレイヤーは、声を掛け仕事に戻らせるのも良いと考えたが、其れよりもある事実を見せた方が早いと思案した。
軈て、カエルの唐揚げが更に乗せられ運ばれて来た。
其れを期待の眼差しで見る彼女に、ニンジャスレイヤーは溜息を吐いた。彼女は何たる冒険者か。こんな事は気にせずとも良いと言うのに。
きっと後で仕事が山積みになるのだろうと想像しつつ、ニンジャスレイヤーは唐揚げを両手で持ち上げ_____食べた。
ギルド内では食事が出来る、と言う説明を忘れていました。ケジメ案件がこうしてどんどん溜まっていきます。
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ルナの期待の眼差しは困惑に満ちた表情へと変貌した。周りの冒険者も、彼の動作に目を見張った。
メンポ越しに食事を行うと言う不可思議な行為に唖然とし、騒がしい周りは静寂が支配した。
周りの人間の視線を受け、少し食べ辛そうにしながらも黙々と食事を続けた。
暫くし、完食し終えた彼は会計を済ませるべく席を立った。
「おいおい、兄ちゃんよ…今のはどうやったんだ?そんな仮面着けながらどうやって…」
数人居る男衆の一人がそう声を掛けた。其の後ろにはルナの姿もある。
「…このメンポには、飲食機構が備わっているからだ」
其れだけ答えれば、彼は会計分の代金を骨が残った皿の下に挟み、掻き分ける様にしてギルドから出て行った。
あれだけの説明では謎は残ったままである。だが、追い掛けて問うのも些か無礼だろうと考えた面々はメンポの飲食機構とやらを話題の種にしつつ自らの席へと戻った。
「……」
一体飲食機構とは何なのだろう。どう言った仕組があるのか…ルナを含め、数人の冒険者は眠れない夜を過ごす事となるだろう。
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そして馬小屋へと帰ったニンジャスレイヤーは、懐から汚れた写真を取り出した。死して尚、持ち続けて居られた事は彼にとって幸福だっただろう。
写真には妻子、そして自分の姿が写って居た。サラリマンだった頃の、フジキド・ケンジ。彼は今やニンジャに、しかも異世界に居る。
復讐すべき相手も居ない、ただ己が復讐を遂げる為に殺す魔王と言う存在。幾数の考えを巡らせ、明日の約束を思い出した彼は藁草に身を沈め眠りへと落ちて行った。
と、今日も全然進まず中断ドスエ。自分が更新しない間にニンジャスレイヤーとは何か、興味が湧いたと言う人は是非物理書籍「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上」を購入しよう。御金がないならニンジャスレイヤーwikiを見てもいいし、電子書籍まとめを見てもいいと思います。どのエピソードから入っても楽しめると言うニンジャスレイヤーはあなたの生活に刺激を与えてくれる事でしょう…また気が向けば書き込んで行く次第です。それでは。
よくよく考えたら冒険者登録の際はハンチング帽にトレンチコートという姿だったから顔わかっちゃってますね!やってしまいました。ここはどうか、ハンチング帽を目深に被って居た上に若干フジキドが俯きがちだったせいで見え辛かった、という事にしておいて下さい…ドーモスイマセン。
オツカレサマドスエ!
いいよいいよー、面白いよー。
◆更新未定な◆
◆ちょっと仕事忙しい◆
◆備えよう◆
何だかんだでニンジャのアニメイシヨンが今夜…でしたか。エイプリルの時点で書き込み遅れてると思いつつ再開したいと思います。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(これまでのあらすじ)
平原にて、カエルに捕食されていたアクアという女神を助けたニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジ。
協力関係を結ぶと言う提案に双方が同意した後、彼女が明日にでも仲間を紹介すると言う形でその場は解散となった。
フジキドは、この平和な街に慣れて仕舞わぬ様にニンジャへの憎悪を高めながら目を閉じた。
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「ドーモ、初めまして。ニンジャスレイヤーです」
翌日、ギルドにて集まる約束をしていたニンジャスレイヤー。一角の席に座る彼の前に、四人の人影が現れた。そして彼は、その中の一人が先日助けたアクアと言う狂人の如く理不尽極まりない性格である人物だと確認し立ち上がり、アイサツした。
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。…ほら、アンタたちもアイサツしなさいよ」
アクアはしめやかにオジギし、後ろの三人にも促す。
「…えと、初めまして、ニンジャスレイヤー…?…さん。俺、カズマって言うんだけど」
一見、シツレイな態度にも思えるが、ちょっと待って頂きたい。彼は日本人であるが、ニンジャの存在など知らず、故にニンジャ同士のアイサツすら知る由もないのだ。
「初めまして、ニンジャスレイヤーさん。…ところで、其の格好は中々いいですね。名前もいいです!…あ、私はめぐみんと言います。紅魔族随一の力を持ち、爆裂魔法を愛する_____むぐっ!」
カズマと名乗る男に口を手で塞がれ、其れを離そうともがく。
ニンジャスレイヤーは訝し気に彼を見るが「長くなるから」と伝えられると納得した様に頷いた。
最期は金髪に整った顔立ちに、身形の良さそうな装備に身を包んだ女性がアイサツをした。
「初めまして、ニンジャスレイヤーさん。私は…ダクネスと言う。…ところで、何だ…貴方の目は、とても_____んぐっ!?」
其処まで言い掛けると、急に後ろから口を手で塞がれた。カズマは両手で二人の女性の口を塞いでいる。
「お前は黙ってろ、この…変態女騎士がっ…!」
彼方にも彼方の事情がある。ニンジャスレイヤーはそう判断する事にした。
「…ドーゾ、立ち話も如何なものだろう」
彼は座り直し、座る様にと掌を向かいの席へと向ける。
「あっ、すいません…。俺が話すから、お前らは黙って大人しくしてろよ」
先程まで口を塞いでいた二人を解放すれば、向かいの席へと腰掛けた。
「ほらほら、後はカズマさんに任せてあっちで美味しいものでも食べましょ!」
めぐみんとダクネスの背を押し、彼女らに有無を言わせぬ内に連れて行ってしまった。
「…大体はアクアから聞きましたけど」
「話しやすい喋り方で構わん」
「じゃあ…遠慮なく。…コホン、大体はアクアから聞いたけど、何と言うか…日本から来たのか?」
「うむ、日本のキョート共和国から」
「…共和国って何だよ…」
困惑する様な声を漏らし頭を抱えるカズマ。彼の言う日本と、ニンジャスレイヤーの言う日本は違うからだ。
「キョートには…其処には私の敵、ニンジャが居る。其れを殺す為、私は戻らねばならん」
「それもアクアに聞いたけど、何だかな…。俺の居た日本じゃさ、聞いた通りの恐ろしい事何て無くて…ま、ニンジャなんて空想の存在っていうか…」
「カズマ=サンの居た日本は平和なのだな」
「治安国家だし」
暫くの沈黙の後、ニンジャスレイヤーは口を開いた。
「本題に入ろう」
「そうだな」
カズマは離れた場所で騒ぐアクアを見遣り、溜息を吐いた。
「あいつ、昼間っから呑むなよ…」
そして此れから先、どの様に協力していくか。魔王の城には結界が張られ、其れを破る為に、魔王軍の幹部を倒さねばならない事。既にベルディアと言う魔王軍幹部は倒した事。…話は長く、其れを記述すると読者にも負担が重点なので割愛された。
________________________________
「成る程、では…その魔王軍の幹部とやらを後いくつか殺せば結界は解除され、魔王を殺しに行ける訳だな」
「その通り…だけど、俺らとニンジャスレイヤーさん含めた五人だけじゃ…」
「では、一先ず幹部とやらを力と情報を知りたい」
「ん"-…ベルディアってのは、まぁ…強かったけど、案外アホっぽくて何とか倒せたって感じで」
「要するに、幹部について他は知らぬ…と」
「その通り」
御手上げと言う様に肩を竦めるカズマ。其の背後から_______
「カズマさんカズマさん!新しいクエストが張り出されてて、其れを見たら…魔王軍幹部らしきものの調査だって!」
駄女神でも、偶には役に立つ。そう思いながら、彼は詳細を調べる為ニンジャスレイヤーと共に掲示板へと移動した。
流れる儘に掲示板へと集まってくるパーティの面々。新しく張り出されていた紙にはこう書かれていた。
『◆調査任務な◆』
でかでかと書かれた文字の下には「森の中に怪しげな魔王軍の者らしき影あり。調査に向かった冒険者らが戻らないので調べてきてほしい」との文章もあった。
「…受けるのか?」
「当然だ。オヌシらが行かぬと言うのであれば、私一人でも行こう」
腕を組み暫し思案する様に唸った後、カズマは後ろを見て残りの面々にこう問い掛けた。
「…どうする?」
「当然行くに決まってるでしょ?女神である私が行かないで如何するのよ」
「私は…まぁ、森の中なんで爆裂魔法を使うのは厳しいですが、一応使う機会はありそうなので行きますよ?」
「私はクルセイダーだ。故に、相手が魔王軍であれば倒さないと言う選択肢は無い…それに、もし、幹部であれば…さぞ強いのだろう…?そう、私など虫けらの様に蹂躙され…想像しただけでも武者震いが止まらない!」
相変わらずな三人にカズマは呆れた。そしてニンジャスレイヤーへと向き直り、こう言った。
「じゃ、そういう事で…一緒に行きますか」
一時的にカズマのパーティへと加入したニンジャスレイヤー。彼の中に潜むナラク・ニンジャは、女神に対し嫌気を感じたのか静かだった。
数時間後、各々準備を終えた彼らは調査任務を遂行すべく、森へと向かう。
________________________________
昼間だと言うのに薄暗い森の中、カズマ率いるパーティは歩いていた。
「雑魚モンスターの影すら無い…こんな事言うべきじゃないけど、暇だな…」
「気を抜くな、カズマ=サン。何時如何なる時も、敵のアンブッシュに警戒せよ」
「アッ、ハイ」
ニンジャスレイヤーの声に体強張らせ辺りを忙しなくきょろきょろと見る。
「…ん?今、何か…」
葉が何かに擦れる音が僅かに聞こえた。ニンジャスレイヤーにも聞こえた様で、二人は足を止める。
その二人が突然止まった事により、アクア、めぐみん、ダクネスは危うくぶつかりそうになり文句を言おうとするが、二人の雰囲気に辺りを警戒し出す。
(((グググ…フジキドよ…ニンジャが、ニンジャがおるわ…)))
「何…イヤーッ!」
軈て近付く音に向け、ニンジャスレイヤーは逸早く反応しスリケンを投擲した。
「イヤーッ!」
声が重なり、金属がぶつかり合う音が響き、葉を掻き分けていた音を出している人物が姿を現した。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーは投げられたマチェーテを金属ブレーサーで防ぎ、敵の姿を見た。
「オヌシは…!」
「お前は!」
そう、現れたのは迷彩柄のニンジャ装束に編笠、狂気を醸し出す雰囲気。
彼こそはフォレスト・サワタリ。ニンジャスレイヤーと幾度か出会い、その度戦って来た…ニンジャである!
「ドーモ、フォレスト・サワタリ=サン。…何故、オヌシが此処に。オヌシも死んだか」
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン!バカ言え!俺が死んだら仲間が!ドージョーが!」
「ならば此処で殺してやろう。ニンジャ殺すべし」
サヴァイヴァー・ドージョーと言う組織を率いる彼には仲間が居る。だが、様子から察するに今は居ない様だ。
ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構え、彼をジゴクめいた双眸で見据える。
「ちょ、ちょっと待った!」
二人の間へと割り込む様にカズマが声を掛けた。
「…アンタら、知り合い?」
「奴はニンジャだ。私の世界のな」
「…ニンジャスレイヤー=サン。そいつらは」
「オヌシに説明する必要無し。死ぬがいい」
依然として警戒するニンジャスレイヤーを遮る様にカズマが目の前に立った。
「えっと、ドーモ。俺はカズマ。…サワタリさん、だっけ。アンタは如何して此処に…?」
「…まず、其処の奴を落ち着かせてからだ」
ニンジャスレイヤーは不服そうにジュー・ジツを解き、腕を組んだ。
「よし」
フォレスト・サワタリはその場にアグラし、こう告げた。
「俺にもよくわからんが、キョートから何時の間にかこの森に居たのだ」
話からすると、彼は如何やらまだ死んでおらず、何故か此処に居たと言う。それに、ニンジャスレイヤーと同じ方法で此の世界に来たとすれば先ずは『始まりの街 アクセル』に来る筈だ。カズマと其の仲間がフォレスト・サワタリの話を聞いている間、ニンジャスレイヤーはと言うと辺りを見張る様に警戒していた。
今回も時間切れです。1レス書くだけにスゴイ時間掛かるのは文才が無いからです。
半ば強引に戦闘を中断させ話に持って行かせたのはすまん。本当にすまんな。また暇が出来たら書き込みます。
オツカレサマドスエ
オツカレサマドスエ
カズマはこれからネオサイタマとのカルチャーショックに頭を悩ましそう
サワタリキター!
文章が読みやすい。応援してる
もう前回から十日経ちました。てことでいっその事sageで進行させて終わったらageたいと思います。
一応、オチ等色々頭の中で並べてはいますが何分遅筆。スイマセン。
ええんやで
ほ
◆◆◆◆◆◆◆◆
「…つまり、サワタリさんはその…バイオインゴット、って言うのを仲間と調達しに行っていると思ったら、何時の間にか此処に居たと…?」
「ウム、ナムでは如何なる時でもアンブッシュがある。だが…これは…余りにも」
サワタリに対する様に手頃な岩へと腰掛けたカズマが首を捻った。
…サワタリの目には、何時にも増して狂気が渦巻いている。仲間と離れ、今頃リーダーを失ったサヴァイヴァー・ドージョーが如何なっているのか。
「…取り敢えず、サワタリさんが見たと言う " 光 " について…教えて貰えないかな」
「いいだろう」
そう、サワタリは調達任務中、突然眩い光に包まれた後、此の森に居たと言ったのだ。
「サヴァイヴァー・ドージョーが主に活動している地下水路には似つかぬ光。一体何処から…?」
頭を抱え、打ちひしがれる彼の背から声が飛ぶ。
「…サワタリ=サン。私の境遇も聞いて貰おうか」
ニンジャスレイヤーだ。彼は喋った。自分が死に、転生を果たした事。そして、再度帰る為に魔王を討ち滅ぼすと言う事を。
「何と…お前が死んだのか。だが、フム、転生。その様なものがあったのか」
「ちょっと待った」
二人のニンジャの会話に割り込んで来たのは、中世騎士風の装備に豊満なバスト、コーカソイドを彷彿とさせる金髪。ダクネスである。
「…御二方に質問なのだが、その…転生、だの…一体…?」
二人は顔を見合わせた。そして赤黒のニンジャが口を開く。
「……アクア=サン」
彼は、ニンジャスレイヤーについての事は話した、と主張していた女神へと目を向けた。アクアは露骨に目を逸らし、吹けもしない口笛を吹いた。
「話してないのか」
「…だ、だって…この人ら、私が何言っても信じてくれないんだもん!頭のおかしいイカれた女の子扱いするんだもん!」
一応、彼の身の上は説明したとの事であるが日頃の行いから全く信じて貰えなかった様だ。
「まぁ、そうであろうな」
この際、自分らの事など知らぬ彼女にも知って貰う為にも訳を話そうとするが_______
「ちょっと待った、ニンジャスレイヤーさん」
彼の言葉を遮る様にアクアが言葉を挟む。そして彼の肩に腕を組めばニンジャ聴力でやっと聞こえる程の小声で話す。
「…この世界の人には、転生の事、黙っててくんない?何だか、後で私から説明するのも面倒だし」
「……」
最早何も言うまい。
________________________________
「ハァーッ…ハァーッ…」
カズマ率いる一行は未だ森の中を探索していた。日は高い。
ニンジャの二人は息切れも無く、辺りの警戒をしながら一行の後を着いて行く。
一先ず彼らの話は終え、サワタリの言った " 光 " だけを目当てに散策しているのだ。
「でも…こんな真昼間に…ハァ、光何て…うぅ、カズマ~…おぶってください~…」
ぐったりと杖をつきながら歩く少女の言葉等聞こえないと言いたげに黙々と散策を続ける。
「大丈夫か」
後ろに居たニンジャスレイヤーが声を掛けた。
「ア、アハハ…ダイジョブですよ。この私が、これしきで…うぅ…」
「…」
ニンジャスレイヤーは米俵めいて彼女を抱えた。其の動作に無駄は無い。
「…あの」
「構わん」
「いえ…御腹が圧迫されて苦しいので、出来ればおんぶがいいです…」
ニンジャスレイヤーは無言のまま小柄な彼女を抱き直した。
彼女はワガママであるが、まだ少女故にだろう。ニンジャスレイヤーはそう考え、何も文句は言わない。
見た目に反し、彼女がそれなりの歳である事を知るのは先の事であった。
探索の間、ニンジャの二人はサツバツ・アトモスフィアを醸していた。
おかげで時々カズマは震え、ダクネスは身悶えし荒い息を吐き、ニンジャスレイヤーに抱えられているめぐみんはニンジャの殺気を間近に受け失禁寸前であった。
「ねー、今日はもう帰りましょーよー。クエストの完了期日はまだ当分先だし、今日は休まなーい?」
疲弊しきった様子で汗を拭うアクアは、沈黙を破る様に提案する。
「…そうだな」
「ウム、それに、俺が此処に来たのは夜中だった。夜に来るべきだな、次は。光も、夜の方が見つけ易いだろう」
アクアの言葉に反する者は居らず、その日の探索は一旦終える事にした。成果はゼロだ。
「ああ、早く帰ってネロイドが呑みたい…」
ネロイドと言うのは、路地裏に居たり地獄にてペットとして飼われてたり、シャワシャワする飲み物になったりする便利な生き物である。
決してバイオテックによる生物ではないので、あんしんして呑むことが出来るとの事だ。
独り言の様に呟くカズマの背は、今日経験した新たなニンジャとの出会い。そして此れから起こる波乱万丈の出来事を嘆く様に暗かった。
________________________________
◆保守感謝◆空いた暇を使い必死に書き込む予定◆
乙。頑張れ
オツカレサマドスエ
オツカレサマドスエ
サワタリのサバイバル能力はヤバイ級なので、カズマ一行にはありがたい
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「イヤーッ!」
「くっ…!」
「イヤーッ!」
「何という力!凄く…イイッ…!」
カズマ一行の住まう大きな屋敷、その屋敷内の庭にて、ニンジャスレイヤーとダクネスが居た。
ニンジャスレイヤーは、ダクネスへと無慈悲なパンチを繰り返す。ダクネスは腕をクロスさせ拳を受け、耐える。
端から見れば、一方的にニンジャスレイヤーがサンドバッグめいて打ちのめしている様に見えるだろう。
しかし、事の発端は前日の帰りにまで遡る。
________________________________
「そう言えば、ニンジャスレイヤーさんは…物凄く強そうだ。実際の所どれくらい強いか知りたいので、また明日一緒に稽古でもどうだろうか?」
探索を打ち切り、帰る途中。ダクネスは前を歩くニンジャスレイヤーへと声を掛けた。
「何言ってんだ、ダクネス。ニンジャスレイヤーさんに迷惑だろ…」
「構わん」
カズマが訝しむと、ニンジャスレイヤーはそう答えた。
「何だ、明日は探索に不参加か」
「いや、探索は夜だろう。ならば朝に稽古を済ませればよい」
「フーム…ならばいい」
「…そう言えば、オヌシは一体何処で寝泊まりしているのだ?」
ふと、浮かんだ疑問をサワタリへと投げ掛けた。
「森の中だが?」
さも当然の如く答えるサワタリ。
「エート…サワタリさん。良ければウチに泊まります?部屋なら沢山空いてますし」
「何?」
森の中は、幾らニンジャと言えど危険だ。それも寝泊まりするとなると…そう考えたカズマは自らの家へと誘う。
「何言ってんのよカズマ。まだ今日会ったばかりの人を信用するの?」
すかさずアクアが苦言を呈する。
「御前だってニンジャスレイヤーさんと会ったばかりだろ…。それに、この人は悪い人じゃないだろうし」
「うぐ…なら、いいわよ。めぐみんも、ダクネスも、いいわね?」
こくりと頷く二人。するとサワタリは暫し思考する。
「…暫くの間、世話になろう。しかし気を付けろ。自分の家と言えど、ベトコンは何処に潜んでいるかわからんぞ!」
おそらくサワタリは、ナムの幻覚を見ているのだろう。アクアは苦笑いした。
________________________________
「…イイィイイヤァーーーッ!!」
「ンアーッ!!」
遂にダクネスの腕が弾かれ、無防備になる!
「イヤーッ!」
そして、彼女の顔をニンジャスレイヤーの拳が捉える!…と思ったその瞬間、ぴたりと眼前で拳は止まった。
「此処までだ、ダクネス=サン」
「…ハァ…ハァーッ…!」
何たるクルセイダー耐久力か!何十発もの拳を腕に受けておきながら、ダクネスは息を切らすだけだ。
例えば、カズマであればニンジャスレイヤーの拳を腕に数発受ければ骨は砕けてしまうだろう。
しかし彼女は、ステータス値を防御面に特化させている為、ニンジャスレイヤーの拳を耐えられたのだ。
「…しかし、オヌシは一体…。これでも、一発一発本気だったのだが」
「…フフ、中々良い痛みだった…少し休んだら、また御願い出来ないだろうか」
「次は俺が相手をしよう!」
現れたのはサワタリだ!両手にはマチェーテ!
「…では、私は中で休ませて貰おうか」
そしてニンジャスレイヤーは「サイゴン!…ジェロニモ!」…と、サワタリのシャウトを背に屋敷内へと入って行った。
「ニンジャでなくとも、ニンジャと渡り合える存在…か。この世界は、思ったよりも恐ろしいのかも知れんな」
独り言の様に呟きながら、ニンジャスレイヤーは客室として宛がわれた部屋へと向かった。
「アイエエエエ!助けて!」
途中、廊下の角を曲がった所でアクアが叫んでいた。片足首を縄で結ばれ、天井から宙吊りになっている。
「…何を遊んでいるのだ、アクア=サン」
「遊んでる様に見える!?何だか知らないけど、助けてよ!」
「…イヤーッ!」
彼女を吊り上げる縄へとスリケンを投擲し、容易く切り落とす!アクアは床に顔を激突させ悶絶した。
「……で、一体何が…」
「あの、サワタリって人が…!」
「…ああ」
サワタリは朝方、誰よりも早く起き、罠を設置したのだろう。しかし、何故屋敷内に仕掛けたのか、後で聞いてみると
「言っただろう。アンブッシュを警戒しろと!しかし、非常にわかりやすくしておいたのだがまさか引っ掛かるとは」
とのことだ。因みにめぐみんはまだ寝ており無事、カズマはステータスの幸運値の高さからか一度も引っ掛からず無事だった。
この後、アクアは何度も罠に掛かっては穴に落ちたり丸太に激突したりと散々な目に合う事となった。
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「さて、そろそろ探索に行くぞ!」
やがて日が沈み夜を迎えた。カズマが腰を上げ、ニンジャ二人含む皆へと声を掛ける。
「…あのー、カズマさん。明日にしませんか…」
アクアは所々ボロボロであり、疲労している。相当数の罠に掛かった様だ。
ダクネスはと言うと、非常にやる気に満ち溢れていた。めぐみんは何時も通りであり、特に変わった様子は無い。
「何言ってんだ、期日までまだあるとは言え…」
魔王軍幹部らしき者の調査クエストはまだ完了しておらず、万が一本当に幹部クラスが居た場合は大手柄。
報酬もそれなりであり、何より二人のニンジャをだらだら付き合わせる訳にもいかないとカズマは考え、アクアを諭す。
渋々頷くアクア、そしてクルセイダーとアークウィザード、二人のニンジャを連れ、昨日調査した森へと一行は向かって行った。
はよ
あ
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