男「世の中さ……欠点が欠点になってないキャラクターが多すぎる!」
女「欠点が欠点になってない? たとえば?」
男「たとえばお前だ!」ビシッ
女「えっ、いきなり私!?」
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男「お前は東大に楽勝で合格できる学力があり、運動神経も抜群、武道を習っててケンカも強い」
男「性格だっていい。困ってる人がいたら率先して助けるし、リーダーシップもあり、男女問わず人気がある」
男「そしてなにより美少女だ。お前が町を歩いてると、大抵の男が『お』ってなる程のルックスだ」
男「はっきり言って、俺ごときの彼女なのが不思議なくらいのカンペキ女だ」
女「な、なによ……いきなり。照れるじゃない。ま、まあ……悪い気はしないけどさ」
男「だが、そんなお前にも欠点がある!」
女「け、欠点……!?」
男「料理の腕が壊滅的だ」
女「!」ガーン
男「どんなにすごい食材も、お前の手にかかればあっという間に産業廃棄物に早変わり」
男「一口食えば顔が青ざめ、二口食えば泡を吹き、三口も食えば失神だ」
女「ううう……ひどい……そこまではっきり言うなんて……」
男「まあ聞け。このように、超絶ハイスペックなお前にも『料理が苦手』という欠点が用意されている」
女「用意って言葉はなにか引っかかるけど……それと欠点が欠点になってないって話となにか関係あるの?」
男「あるさ」
男「ぶっちゃけさ……お前ほどのスペックがあるなら、料理が苦手でも今さら困ることなんてないだろ」
女「!」
男「超美少女で、東大に楽勝で入れて、運動でもオリンピックを狙える女が、料理が苦手でなにか不都合ってあるか?」
男「なーんもない。自炊しなくても食事をする手段なんていくらでもあるし、そこに目をつぶる男もいくらでもいる」
男「たとえば、もしお前の将来の夢が料理人だったり、マズイ料理が原因で本当に他人を怒らせる事態になったり」
男「俺が『料理ができない女は嫌いだよ、別れよう』ってお前を拒絶するような場面があったりすれば話は別だ」
男「お前の料理が苦手という欠点は欠点であると言える」
男「だけどお前は料理人目指してないし、マズイ料理で恐れられこそすれ怒られることもないし、料理ができなくても俺はお前が好きだ」
男「ようするに、お前の『料理が苦手』って欠点は、メシマズギャグのためだけの設定で、全然デメリットになってないわけだ」
男「――いやそれどころか、お前の欠点は『超美少女の意外な一面』みたくなっちゃってるわけだな」
男「デメリットどころか、むしろプラスに作用してるわけだ!」
男「つ、ま、り!」
男「その欠点のせいで深刻な事態に陥る場面もなく、足も引っぱらず、プラスに作用する欠点のどこが欠点なんだよ!」
男「そんなケーキのイチゴみたいなトッピング欠点は欠点とは呼べねえよ!」
男「――ってことだ」
女「褒められてるんだか、けなされてるんだか……」
女「まあ、なんとなく言いたいことは分かったけどさ」
イケメン「やぁ」
女「あら、イケメン君! ……え、えぇと、相変わらず独特なファッションね」
イケメン「そうかい? このドクロと平等院鳳凰堂がプリントされたシャツ、イカしてるだろ?」
女「ア、アハハハ……」
男「ほらまた出た! 欠点になってない欠点を持ってるキャラが現れたァ!」ビシッ
イケメン「えっ!?」
男「イケメン、お前は美男子で、文武両道で、性格もよく、家だって日本有数の大金持ちだ!」
男「男なら誰だってお前を羨むし、女なら誰だってお前に抱かれたいと思うだろう」
イケメン「なんだい、いきなり? 照れるじゃないか」
男「だが、ファッションセンスは壊滅的だ。どこで手に入れたんだ、そのシャツ。イカすどころかイカれてるぞ」
イケメン「!」ガーン
女(さっきの私の時と似たような流れね……)
いやこれは欠点だろ…
男「だけどさ、お前ほどのカンペキ男なら、ファッションセンスが狂ってるぐらいで深刻な事態になることはないわけだ!」
男「むしろ『黙ってればイケメン』『残念なイケメン』だのと持てはやされるんだ!」
男「残念なイケメン? ――ハッ! 俺から言わせてもらえば『あざといイケメン』だぜ!」
イケメン「ううう……このシャツ気に入ってたのに……」
女「まあまあ、今のあいつには逆らわない方がいいわよ」
根暗「……なにしてんの?」
男「根暗ァ! ちょうどいいところに来たなァ!」
根暗「ひっ!?」
男「お前はパソコンオタクで、機械に関する知識はピカイチだが、『コミュ障』という欠点があるって設定だ!」
根暗「ひどい……」
男「だけど、もし本当にコミュ障だったらまず俺に話しかけることすらできないし、『ひどい……』とすら言えねえよ!」
男「お前のどこがコミュ障だ! 全然欠点になってねえんだよぉっ! このファッションコミュ障!」
根暗「ぼくってコミュ障じゃないの? どうもありがとう……」
男「どういたしまして!」
ワロタ
男「他にもいっぱいいるぞ! 欠点になってない欠点を持ってる奴ら!」
男「天才だけど音痴? カラオケ行かなきゃいいだけの話だろうが! どこが欠点だ!」
男「下ネタ大好き美少女? いきすぎた下ネタが原因で皆から距離を置かれる……なんてことはどうせないよね」
男「依頼が来なくて万年金欠? そのわりにオシャレな服着てるし、明らかに栄養状態よさそうだったりする!」
男「ドジな美人メイド? でも戦闘シーンだと一切ドジらずメチャクチャ強かったりするんですよねえ!」
男「世界最強だけどオバケが怖い? 最強なのにオバケが怖いだなんておっもしろーいってためだけの設定だろ!」
男「人前ではエレガントなレディだが部屋は汚い? はいはいギャップ萌えギャップ萌え」
男「モテない? おいおい、どう見ても美少女に囲まれまくってるじゃねえかよぉ! このハーレム野郎!」
男「欠点が設定だけの欠点になってたり、萌え要素や親しまれる要素になってるだけの奴多すぎぃ!」
男「その欠点のせいで深刻なトラブルにあったり、悩んだり、克服しようってなってこそ欠点だろうが!」
女「ちょ、ちょっと少し落ち着いたら?」
男「言っとくけどな……俺だってそうなんだぞ」
女「え?」
男「俺は『平凡なフツメン』って設定だけど、このとおりイケメンほどじゃないにせよ顔立ちは整ってるし」
男「なによりお前という超絶パーフェクト美少女が彼女な時点で平凡でもなんでもねえだろ!」
男「っていうか、こんだけゴチャゴチャとわめき散らしてみんなから嫌われない『平凡』がどこにいるんだよ!」
男「もし俺みたいな奴が現実にいたら、イジメの標的にされるか、村八分にされるかに決まってるぞ!」
男「くっそ……俺は怒った! 怒ったぞ!」
男「こうなりゃ、欠点になってない欠点を持ってるキャラクターを徹底的に糾弾しまくってやる!」
男「てめえら全員あざといだけなんだよ、って説教しまくってやるぅぅぅぅぅ!」
女「ねえねえ、熱くなってるとこ悪いんだけどさ」
男「なんだよ?」ギロッ
女「そろそろオチをつけなきゃまずいわよ。どうするの?」
男「あっ……(やべえ、なんにも考えてなかった……)」
女(こりゃなにも考えてなさそうね……)
それって単に作風がゆるいだけのような
男「あっ、そうだ!」
男「オチがないのがオチでーすって開き直っちゃえば、きっと『斬新なオチ!』『グダグダさが逆にいい!』ってなるに決まってる!」
男「そうすりゃ『オチがない』という欠点をプラスにすることができる……!」ニヤ…
女「……結局、あんたも似たようなことするんじゃないのよ」
<終わり>
言いたいこと分かりすぎて困る
乙
おい劣等生の悪口はやめろよ
乙
ただ
「人前ではエレガントなレディだが部屋は汚い」
これだけは事情が違うだろう
部屋は汚い(ただし書類が散らかってるだけで不衛生って訳ではない)
「これどうやって収拾つけるんだ」と思ったところでこの終わり方とは
やるじゃない
楽しかった
乙
欠点そのものよりもそれを補えるだけの長所があるかどうかが大事だな
乙
ニートだけど宇宙を救える力を持ってるって時点で欠点だけど欠点じゃないしね
乙
いいね絶望先生的なノリ
乙
なろう読んでると長所ですら単なるキャラ付けになってる時もあるからなぁ…
乙
すげー良くわかる
現実じゃそんな欠点あったら友達出来ないだろ…みたいなヤツも人気者だし
ほんこれ、ファッション欠点多すぎる
しかもその欠点とは関係なく人格に魅力がないのに周囲にちやほやされてると、もうね
乙
ワンピはあんま知らないけど悪魔の実の泳げない欠点はありなきがする
ワンピは強い能力が強すぎて覇気()で潰された
料理漫画で料理が下手っていう欠点は物語上欠点になりうると思うけど…そんな話あったっけ?
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