P「成人したアイドルと飲む」 (50)
・登場人物は全員二十歳以上です
よろしくお願いします。
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P「えーっと、たしか指定された店はここだったよな……」ガラガラ
P「すいません。双海で予約していると思うんですが――」
双海亜美「おーい、兄ちゃんこっちこっち!」
P「あっ、亜美。今行くよ」
亜美「もう、遅いよ兄ちゃん!」
P「悪い悪い、仕事がなかなか終わらなくて」
亜美「兄ちゃんは仕事と亜美どっちが大事なの?」
P「仕事だな」
亜美「ガーン、亜美の心は深く傷ついたよ……。だから今日は奢ってね?」
P「はは、別にいいけどな」
亜美「あ、うそうそ。今回は亜美たちが誘ったからね。亜美たちに奢らせてよ!」
P「ところで他に誰が来てるんだ?」
亜美「今日はみんな仕事が忙しいみたいでほとんど来てないんだ。いるのは――」
如月千早「お疲れ様です。プロデューサー」
亜美「千早お姉ちゃんだけかな」
P「そうか。千早とは久しぶりに飲むな」
千早「ふふ、そうですね」
亜美「じゃあ早速注文しようよ!亜美はピーロンかな」
P「俺は生中で」
千早「わたしもそれで」
亜美「了解!おつまみはテキトーに頼むからね!すいませーん――」
亜美「それじゃ、今日という日に乾杯!」
P「乾杯!」
千早「乾杯」
亜美「ングングング、ぷはぁ~。久しぶりにお酒なんて飲んだよー」
千早「そうね。わたしも久しぶりに飲むわ」
P「俺もだな」
亜美「ところで兄ちゃん、結婚生活は順調ですかな~?」
P「当たり前だ。この俺が選んだ女性だぞ?お前たちと飲んでくると言ったときも嫌な顔せず快く送り出してくれたよ」
千早「わたしも何度か会ったことがありますけど本当に良い人ですよね」
P「ああ、自慢の女房だ」
亜美「でも意外だったなぁ~。結婚するなら事務所の誰かと思ったもん」
P「担当アイドルに手を出すほど落ちぶれちゃいないさ」
千早「でも、プロデューサーは手を出す気はなくても出されるのを期待する人はいたんですよね?」
P「……まぁな」
亜美「亜美その話久々に聞きたいな~」
P「しょうがないな……」
P「まず、登場人物は美希、あずさ、小鳥さんだ」
千早「美希はともかく音無さんとあずささんは意外でしたね」
P「そうだな」
亜美「亜美はうすうす気づいてたけどね」
P「それじゃ、美希から話そうか。俺が結婚の報告をしたとき美希はいきなり事務所から飛び出したよな」
亜美「あのときの様子は今でも鮮明に覚えてるよ~」
P「それで、これはやばいと思って急いで全力で追いかけたんだ。そして、追いついたのは事務所から遠く離れた公園だった」
千早「プロデューサーって運動神経はからきしですよね」
P「帰宅部の力をなめるなよ?」
P「俺が声をかけても何もこたえない。ただひたすら遠くを見つめてるだけだった。そして――俺は警察に職質された」
千早「ぷふっ」
亜美「いつ聞いても急展開だね」
P「傍から見たらひたすら中学生に話しかけるおっさんだからな。そこは仕方がなかったと諦めてるよ」
P「で、俺が警察に連行されそうになったそのとき、やっと美希が口を開いてくれたんだ『そこの人は美希のプロデューサーなの』って」
千早「美希が助け舟をだしてくれたんですね」
P「ああ、それで俺がお礼を言おうとしたときにその、なんだ――キスされたんだ」
亜美「これ?」
P「それはサカナのキスだ」
千早「あはは!亜美、それ面白い……っ!」
P「千早はお酒が入るとダメだな」
亜美「軽い笑い上戸だね」
P「話を戻すぞ。それで動揺してる俺に向かって『絶対トップアイドルになって後悔させてやるからね!ハニ……プロデューサー!』って」
亜美「おお……」
P「なんというか、少女が大人に成長する瞬間を見た気分だったよ」
千早「そして美希は宣言どおり押しも押されもせぬトップアイドルになりましたね。……後悔してますか?」
P「……まぁ、少しはな」
亜美「お、今の発言奥さんに伝えておくYO!」
P「しゃれにならないからやめてくれ!」
亜美「でも疑わしきは罰せよともいう――」
P「ええい、次はあずさだ!あずさは美希の騒動があった数日後だな」
P「その日俺はいつもの通り残業をしてたんだ」
千早「その『いつもの通り残業』ってワードが業務の過酷さを物語ってますね……」
P「そのときはお前たちが売れ始めた大切な時期だからな。後悔はしたくなかったんだよ」
亜美「うう……亜美たちのためにそんなに頑張ってくれてたんだね。お礼にスピリタスを注文したげるね!」
P「亜美、死んじゃう。俺死んじゃうから」
千早「それでどうなったんですっけ?」
P「ああ、あずさが俺のところに来て開口一番『好きでした』って」
亜美「ヒュー!」
P「それで驚いてる俺に向かって『やっぱり気づいてなかったんですね』って言ったんだ」
千早「プロデューサーは鈍感ですね」
P「俺だからな」
亜美「答えになってないかんね?」
P「その後『気づかなかった原因はやっぱりわたしとプロデューサーの距離が遠かったからだと思います。……これからは呼び捨てで呼んでください』って言われたんだ」
千早「そういえば、前は『あずささん』って呼んでましたね」
P「ああ、そうだな。あずさは抜けてるように見えて意外にしっかりしてるからな。尊敬の念もこめてさんづけしてたんだけどな」
亜美「まさかそれが逆効果になるとはね。目からたらこだったね」
P「目から鱗、な」
千早「ふふっ、たらこ……たらこって」プルプル
P「千早はどんどん壊れていくな」
P「それからはもう敬語を使ってないよ。あ、偉い人とかは別だぞ」
千早「知ってますよ。劇場のみんなからも『あのプロデューサーは話しやすい』って評判ですよ」
P「はは、それならよかったよ。全部あずさのおかげだな」
亜美「この幸せ者が、このこの~」
千早「ほんと皆に愛されてますよね。まぁ、プロデューサーの人柄のおかげだとは思いますが」
P「よし、それじゃあ全員話したな」
千早「音無さんは?」
P「――話さなきゃダメ?お前らもう知ってるだろ?」
亜美「兄ちゃんの口から聞きたいの!」
P「はぁ、そうか。わかった。覚悟を決めよう」
千早「そんなに嫌なんですか?」
P「小鳥さんの沽券に関わるからな」
亜美「もう手遅れっしょー」
P「確かにそうなんだけどな」
P「あれは俺が結婚の報告をした日の夜だな。俺は例のごとく残業していた」
千早「……本当にお疲れ様です」
P「気にしなくてもいいよ。俺が無能なだけだからな。――すると小鳥さんが俺の目の前に来て号泣し始めた」
亜美「いきなりだね」
P「ああ、そのときはめちゃくちゃびびったよ。本当何の脈略もなく号泣し始めたからな」
P「それで号泣しながら『グスッ、プロリュ~サ~。おめでどうございまずぅ~』って祝福してくれてその後『実ばプロデューサーのことずっど好きだっだんです――ヴぉえ゛え゛』って告白しながら吐いた」
千早「あははははは!!」
P「いや、笑いどころじゃないから。俺のスーツが吐瀉物まみれになったからな?」
亜美「そうか、それで兄ちゃんは吐瀉物フェチになったんだね!」
P「テキトーなことを言うなよ……勘弁してくれ……」
千早「ははははは!!でも、吐くって!吐く……って!」
P「千早、いい加減笑わないでくれよ。俺吐かれながら告白されたんだぞ……」
亜美「ほんと兄ちゃんはすごい体験をしてるね」
千早「ははは……はぁ、はぁ、一生で一度経験するかしないかですよね」
P「ほんとにな。しかも目がマジだからどう反応すればいいのか分からなかったよ……」
亜美「でも『吐く』って最大級の表現方法だと思うよ?悲しすぎて吐いたとか嬉しすぎて吐いたとか聞いたら『すごっ!』ってなるっしょー?それだけ愛されてたってことだね!」
P「まぁ……たしかにそうかもな」
亜美「あ、後亜美一つ噂を聞いたことがあるんだけど」
P「ん、何だ?」
亜美「兄ちゃんが枕営業してたってマジ?」
P「ぶふっ!!」
千早「そうなんですかプロデューサー!?」
P「そんなことしてない!」
亜美「ほんとに~?」
P「ぐっ、……まぁやられそうになったことはあるけどな」
千早「えぇ……」
P「あ、千早引くな。やってないから。誘われただけだから」
亜美「で、何でそういうことになったの?」
P「何か……気に入られたらしいんだよ。その、俺の――が」
千早「俺の?」
P「俺の……前歯が」
千早「あはははははは!!プロデューサー意味分からないですよ!」
P「俺だって分からなかったよ!」
亜美「前歯って……凄いフェチがいたもんだね……」
P「いきなり部屋に呼び出されて、『お前の前歯が気に入った。抱かせろ』だぞ!てめーはハムスターかよ!!」
千早「ハ、ハムスター!あっはははははは!!」
亜美「それで何でその誘い受けなかったの?」
P「受けるはずないだろ!きっぱり断ってやったよ。『うちのアイドルは全員一生懸命やってます。そこに枕だの妙な噂は流したくない』ってな」
亜美「兄ちゃん……」
千早「プロデューサー……」
亜美・千早「本音は?」
P「『こんな化け物に掘られたくねえええええ!!』だよ!悪いか!」
千早「あははははは!!」
P「笑い事じゃないんだよ……マジで……。おかげでレギュラー番組の約束がパーになったからな」
亜美「ああ、まこちんとゆきぴょんが怒ってた例の番組か。そんなことが原因だったんだね」
P「ああ、あの時はマジで頭にきたなぁ」
亜美「もう掘られちゃえば良かったんじゃない?新しい扉を開けるかもしんないよ?」
P「バカ!そんな扉誰が開くか!……それに俺が枕して番組とったとか事務所のみんなに広まればいざというときに『プロデューサーが頑張ったんだからわたしも……!』とかなりそうなやつがいるだろ」
千早「確かに……春香や我那覇さんは流されてしまいそうですね」
P「だろ?そういうことも考えた結果だ」
亜美「でも兄ちゃんはすごいよね。結局そんな卑怯な手を使わないで亜美たちをトップまで導いたんだもん」
千早「そうね。プロデューサーには感謝してます」
P「おいおい、褒められても何も出さないからな。それに、もともとお前たちに実力と意志があったからだよ」
亜美「兄ちゃん……。亜美、感動しすぎて吐きそう……」
P「もう、その話はやめよう。なっ?」
千早「でもうちの事務所もあの頃に比べたらずいぶん大所帯になりましたよね」
P「ああ、そうだな。新人アイドルもたくさん入ってきたし、うちが運営する劇場もできた」
亜美「それに新しいプロデューサーもいっぱい入ってきたね!」
P「ああ、みんないい後輩たちだよ」
千早「あ、そういえばこれは聞いた話なんですけど……プロデューサー、引退するって本当ですか?」
亜美「えっ!?」
P「……千早どこからその話を聞いた?」
千早「社長からです」
P「社長か……黙っててくれって言ったのにな……」
亜美「兄ちゃん、本当に引退するの?亜美たちのプロデュースは!?」
P「亜美、落ち着け。引退すると言っても一時的にお前たちのプロデュースから離れるだけだ」
千早「……なるほど、後輩の育成に回るということですか……」
P「さすが千早。酒を飲んでいても頭の回転ははやいな」
亜美「ん?どういうこと?」
P「そのままの意味だ。じっくりと腰を据えて後輩を育成するために一時的にお前たちのプロデュースから離れるってことだ」
亜美「えぇ~、何回か会ったことあるけどみんな良い人たちだったよ?育成する余地ないんじゃない?」
P「ああ、俺もそう思うよ。でも、人間心の奥では何を考えてるか分からないからな。邪な気持ちを抱いてうちに入ってきたやつもいるかもしれん。そのためだよ」
千早「人の気持ち、考えは理解できませんからね」
P「ああ、しかもアイドルと言ってもまだ十代の子どもも多い。幼い頃の心の傷は一生消えないからな……」
千早「そう……ですね……」
P「さ、何か湿った空気になったけどどんどん飲もう!せっかくの飲み会だ。楽しまなきゃ損だ!」
亜美「……うん、そうだね!千早お姉ちゃん何飲む?」
千早「わたし?わたしはあんまり強い方じゃないから――」
亜美「何言ってんの!飲まなきゃ損っしょー!すいませーん、ピーロンおかわり!」
P「じゃあ俺は熱燗お願いします。ほら、千早も!」
千早「……もう!どうなっても知りませんよ!」
…………
P「ほら、千早。店からでたぞ」
千早「うう、プロデューサー。恨みますからね……」
P「お、俺だけのせいじゃないぞ。亜美も調子に乗って飲ませ――」
亜美「あー、死兆星見っけ!」
P「おい、露骨に話をそらすな」
P「ごめんな千早、久しぶりにお前と飲めて舞い上がってたみたいだ。今タクシー呼んだから少し待っててくれ」
千早「はい……」
P「ふぅ……」
亜美「ごめんね、兄ちゃん。任せちゃって」
P「気にするな。世話をするのが好きでプロデューサーやってる節もあるからな」
亜美「それにしても今日は意外だったよー」
P「ん、何がだ?」
亜美「兄ちゃんが色々考えてプロデュースしてること。ほら、幼い頃の心の傷は――とか」
P「ああ、それか」
亜美「テキトーにプロデュースしてるように見えて亜美たちのこと考えてくれてたんだね」
P「当たり前だろ。それに俺は元々教師を目指してたしな」
亜美「そうなの?」
P「ああ」
亜美「じゃあ何で教師にならなかったの?」
P「……教師には向いてないと思ったからだよ」
亜美「なんで?兄ちゃん面倒見いいし、絶対生徒に好かれると思うけどなー」
P「はは、たしかに教育実習に行ったときは好かれていたと思う。自分の思い上がりじゃなければな」
亜美「じゃあなおさらなんで教師にならなかったの?」
P「教職よりアイドルに魅了されたから……かな?」
亜美「なるほど、つまりはロリコンだったと……」
P「誰もそんなこと言ってないだろ!」
亜美「ふふ、冗談だよ兄ちゃ~ん。そんなんで怒ってるようじゃ将来ハゲちゃうYO!」
P「おい、地味に気にしてるんだから言わないでくれよ……」
亜美「ふふ、亜美のプロデュースで精神的に参ってるはずだかんね!」
P「はは、たしかにお前のイタズラには手を焼いたよ。――でも、俺がプロデュースしてて一番達成感があったのは間違いなくお前だよ、亜美」
亜美「え、亜美が!?」
P「ああ、ちょうど思春期に入る頃だからな。特に気を使ったんだぞ」
亜美「うーん、そんなこと一度も思わなかったけどね」
P「だろうな。気づかれないようにしたからな」
亜美「兄ちゃん……ストーカーみたい……」
P「ぐっふぅ!今のは俺の心にクリティカルヒットだ……」
亜美「ま、亜美の知らないところで色々頑張ってくれたんだね。一応お礼はしておくよ」
P「はは、子どもがそんなこと気にするな」
亜美「む、亜美はもう子どもじゃないよ!ナイスバディの淑女だよ!」
P「たしかに良い体になったよな……」
亜美「いや~ん、兄ちゃんの変態さ~ん」
P「ま、俺の女房にゃ負けるけどな」
亜美「くぅ~、惚気られちまったYO!」
P「はは、……亜美この機会だから言っておくな。トップアイドルになってくれてありがとう」
亜美「ちょ、ちょっとどうしたの兄ちゃん。これから死んじゃうみたいだよ?」
P「おいおい、縁起でもないこと言うなよ……」
P「俺はな、一度教師という道を諦めた。だから、お前ぐらいの年齢の子どもをプロデュースするのは正直不安だったんだよ」
亜美「兄ちゃん……」
P「でも、お前は本当に前向きで俺の不安なんか吹き飛ばしてくれたよな。亜美、お前がトップアイドルになった日のこと覚えてるか?」
亜美「もちろん!覚えてるに決まってるっしょー!」
P「じゃあ、そのとき俺になんて言ったか覚えてるか?」
亜美「うーんと『トップアイドルにしてくれてありがとう!』だったかな?」
P「ああ、そうだ。その言葉で俺は自信を持てたんだよ」
P「今の俺がいるのは亜美のおかげだ。ありがとう、亜美」
亜美「兄ちゃん……うん!」
P「はは、なんだか照れるな」
亜美「ふふ、そだね!――あっ、タクシーが来たみたいだよ」
P「だな。悪いが千早を頼んだ」
亜美「うん!亜美に任せといて!」
亜美「ほら、千早お姉ちゃん。タクシーが来たよ!」
千早「ええ、分かったわ――お、ととと」フラッ
亜美「もう、千早お姉ちゃん大丈夫?」
千早「うう、足がふらつくわね……ごめんなさい亜美、肩をかしてくれないかしら」
亜美「しょうがないな~。かただけにいたしかたなし。ってね」
千早「ぷっ、あははははははははは!!かただけにいたしかたなし……はははははは!!っ!?オゲェ!!」トシャー
亜美「うわぁ、千早お姉ちゃんが笑いすぎて吐いた!ったく何やってんの!ほら、しっかりして!」サスサス
P「……亜美も立派になったなぁ」
P「よし、俺も帰るか。――ケータイ取り出しポパピプペっと」
P「あ、もしもし俺だ。――ああ、今から帰るよ」
P「ん?声が嬉しそう?ああ、実は嬉しいことがあってな――ああ、帰ってからたくさん話すよ。それじゃあな」ピッ
P「んー……それにしても今日は良い日だったなぁ!」
END
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
お目汚し失礼しました。
後、嘔吐ばっかですいませんでした……
急に嘔吐ネタに吹いたわw
面白かった 乙
もちろん全員分やるんだよな?
真美の名前が出てこない時間の流れ泣ける
嫁は真美だろ
アイドルやめて結婚
だからアイドルにはてを出さないと
それはないな。千早が何回かあったって言い方からしてまずそれはない。
それに本当にいい人って言ってるから一般人だろ。
真美なら亜美は真美とのって言うはずだしな。
そんなマジレスされても困る
乙オロロロ
小鳥ェ…
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