星輝子『シンデレラになりたい』 (6)




ここはなんの変哲もない、いたって普通の中学校

色んな生徒がいて、皆が勉強や部活を頑張っている

そんな学校の中にあるひとつのクラス…その中でも一際輝く存在がいた

誰からも愛されて、なにも言わなくても彼女のまわりに人が集まっている



幸子「ふふーん!まぁかわいいボクと話したいのは当然ですよね!!」



このお話の主人公はもちろん彼女



ではなくて




輝子「フ....フヒ.....」




クラスの隅にいるこの子である





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彼女の名前は星輝子、性格は少し暗く趣味はキノコで好きな音楽はヘビメタという変わった女の子


彼女は今日も今日とて机の中でこっそり育てているキノコを愛でていました



輝子「フヒ…だいぶ育ってきたな…いいぞ…もっと大きくなれよー…」ナデナデ


友達はキノコのみで、クラスでもすこし浮いた存在でした


しかしそんな彼女にも悩みがひとつあります
それは



小梅「ねぇ星さん…ちょっといいかな?」

輝子「フ..フヒ!!?」

小梅「あの、ノートを見せてほしくって…」

輝子「の、のーと…?あ……いやその……わ、わたしのノートなんか見ても……その…」

小梅「…ごめんね、迷惑…だったかな」

小梅「他の人に見せてもらうね…?」



輝子「あ……あう……」




彼女は人と話すのがとても苦手でした
ですから友達も出来ません


輝子「………」


彼女はいつも、皆の人気者である幸子を見ていました



幸子「まったく皆さんは本当にボクが好きなんですねぇ!!!まぁボクはかわいいですから仕方ありませんね!!!」

幸子「ほらほら!もっと近くで見てもいいですよ!そんな遠慮なさらずに!ほら!ほらほらほらぁー♪」



輝子「……ウワァ....」

少し引いてもいました


しかしそれよりも……



輝子(……私も、こんな地味な顔じゃなくて幸子さんみたいに可愛かったら少しはコミュ障も治るのかな…フヒ....)


輝子「……はぁ」





晶葉「………ふーむ、なるほどな」






ー下校中ー



輝子「きのこーのっこーのこぼっちのこー……」


輝子「……今日はクラスメイトと二回だけ話せたな……うん……」

輝子「あ……今日も…キノコの森にいこうかな…新しい友達も…見つけられるかも…フ.フヒ...」




晶葉「おっと!少し待ってもらおうか星くん!」

輝子「フヒッ!!!?」


輝子「…く、クラスメイトの池袋さん……?な、なにかごようで……?」

晶葉「おや、なんだ知ってたのか…てっきり君はキノコばかり見ているから私の事など知らないのかと思ったよ」

輝子(…キノコのことバレてた)


晶葉「単刀直入に言うぞ、星くん」

晶葉「君は『なりたい顔になれる』…と言ったらどうするかね?」

輝子「……ふ、ふひ?」

晶葉「まぁ立ち話もなんだ、この近くに私が借りているラボがあるから来たまえ」

輝子「…ラボって……?」



晶葉「ん?なにか用事でもあるのか?ならば明日でも構わないが…あ、明日は休みだから月曜日だな」

輝子「とくに用事は……ないけど…」

晶葉「ならば善は急げだ、早速むかおう」

輝子「……え、えー…」





ーラボー


輝子(な、なんだろう……?もしかして私とキノコを合成する実験とか……?)


晶葉「まぁ適当に座ってくれ、おーい!一ノ瀬助手、客人だ」

志希「はいはーい♪いらっしゃいませー!あ、これお茶ねー」

輝子「ど、どーも、です…」ズズズ...




晶葉「彼女は一ノ瀬志希、私達より年上だが私の研究をサポートしてくれている」

輝子「け、研究……って?」

晶葉「ふむ、先ほども言ったが…」



晶葉「君は『理想の顔』になりたくはないかね?」

輝子「り……理想の顔?」

晶葉「その通りだ、悪いが君が輿水幸子の顔に強い憧れを持っていることは読心マシーンで知っている」

輝子「ふ、ふひ!!?」

晶葉「そこでだ…一ノ瀬助手!」


志希「はーい♪」

志希「取り出したるは池袋博士とわたしがつくりあげた世紀の大発明!!その名も『シンデレラ薬』ー!」


輝子「シンデレラ…薬…?」

晶葉「その通り!この薬を飲むと約4時間だけだが自分の理想の顔になることができるのだ!」





晶葉「話というのは是非ともこの薬を君に飲んでほしいんだ、君にとって悪い話ではないぞ?副作用もなにもないしな」

輝子「……う、うーん…」

晶葉「まぁ怖がるのも無理はないだろう…ちなみに君がさっき飲んだお茶はこの薬だ、飲みやすいだろう?」

輝子「フヒ...確かに全然気付かなかった………ってフヒッ!!!!?」


志希「はいこれ鏡ねー」

輝子「あ……どうも……」パッ


輝子「フ...フヒ...…!!本当に輿水さんの顔になってる……!!」

晶葉「どうだ、すごい効き目だろう?」

晶葉「君は自分が人付き合いが苦手なのは顔のせいだと思っている…ならばその顔ならば思うままにコミュニケーションがとれるんじゃないか?」

輝子「た、たしかに…そうかも…」


晶葉「この薬は全て君に託そう、私達はその過程を見せてもらいたいのだ」

晶葉「内向的な君が前向きになる過程を、だ」


輝子「……ふ、ふひ…」



輝子(この顔なら……憧れてた親友…できるかも……フヒヒヒヒ....)ニヤッ


晶葉「なかなか邪悪な笑みだな」

志希「まずは笑顔の練習からだね〜」







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