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レーベ「初めての耳掃除」
レーベ「初めての耳掃除」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451542168/)
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私はZ1型駆逐艦、マックス・シュルツ。皆からはマックスと呼ばれているわ
この鎮守府に着任したのはつい最近のことで、ビスマルクが建造されておおよそ二週間後に建造されたみたい
日本に来たのは初めてだから戸惑うことも多々あったけど、レーベがいた事もあってこの鎮守府での生活には早く慣れることが出来た
まだまだ分からないことはたくさんあるけれど、レーベや提督、他の艦娘に聞けば解決することばかりなので、そこまで困るような事は無かった
と、思っていたのだけど――
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452687577
私が来て一ヶ月が過ぎたある日。私は遠征のメンバーとして第三艦隊に所属し、活動していた
「燃料と弾薬は……これで全部だな。よし」
天龍さんが回収した燃料と弾薬を数え、すべてあることを確認している。私達駆逐艦は終わるまで待機するよう指示されている
「それじゃあ、今からこれを運んで鎮守府まで戻るぞ」
私達ははいと返事をして、均等になるよう燃料と弾薬を積む。そして二列に整列して鎮守府目指して航行する。私は天龍さんの斜め後ろ位置している
鎮守府まで後半分くらいの距離まで来た頃、私の耳に異変を感じた。異変と言っても音が聞こえにくいとか、耳鳴りがするわけではなく、少し痒いと感じるくらいだ
しかし、痒みというのは一度気にするといつまでも気になるものだ。だからつい掻きたくなってしまう。でも、人前で耳の中を掻くのはみっともないから今は我慢する
「マックス?」
痒いのを我慢していると、隣りにいたレーベが声をかけてくる
「何かしら?」
「さっきから何かを我慢しているように見えるけど、大丈夫?」
私の事を心配して声をかけてくれたようだ。気づかぬ間に表情に出ていたらしい
「たいした事ではないわ。航行は問題なく出来るし、万が一戦闘になっても支障はないから」
「そう? でも無理しちゃダメだよ?」
「分かっているわ」
「ドイツの二人、遅れてるぞ!」
前方の天龍さんから注意されて前を見ると、私達はだいぶ遅れていることに気づいて急いで追いかけた
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鎮守府に帰投すると、回収した資材を指定の場所に運び、それから部屋に戻る
その前に天龍さんから遅れた理由について聞かれたが、その時は考え事をしていたと嘘を伝えた。耳の中が痒いのを我慢していたと言うと、大事になりそうな気がしたからだ。天龍さんは怒ることはなかったが、次は集中して取り組むよう注意された
遠征の件は次で取り返せばいいとして、とりあえず耳の方に意識を向ける
どうしても耳の中が気になって仕方ない。レーベが居ないので左耳の中に指を突っ込み、中で動かす
耳の中の痒みが多少和らぐ。でも、本当に痒い奥の方には届かなくて苛々する。逆効果だったかもしれない
夢中になって耳の中で指を動かしていると、ガチャとドアが開いてレーベが入ってきた
「ただいま……何をしてるの?」
しまった、こんなみっともない所を見られてしまった
「こ、これは……その……」
指を耳から抜いて、目を泳がせながら言い訳を考える
「……マックス、ちょっと耳の中を見させてもらうね」
レーベが近づいて耳たぶを引っ張り、私の左耳の中を覗き込む
「うーん、耳垢が溜まってるみたいだね」
覗き込んだままボソッと呟く。どうやら耳の中に何かがあるみたいだ
「私の耳の中は、大変な事になっているの?」
「うん、これじゃあ痒くて仕方無いと思う。遠征の時に気にしていたのはこれの事だよね?」
「え、ええ……」
これで遠征途中に我慢していた事がレーベにバレてしまった。みっともないところを見られた事と遠征での件、どちらも含めて恥ずかしい
「マックスは、この痒さをどうにかしたいよね?」
「ええ、勿論」
「実はね、この状況を解決する方法があるんだ」
「本当!?」
「う、うん……」
私は自分でもびっくりするくらい大声で言ってしまう
「マックスは耳掃除って知っているかい?」
「ミミソウジ?」
聞き慣れない言葉に私は首を傾げる
「やっぱり知らないよね。日本では有名な事で、耳かきという専用の道具を使って、耳の中に張り付いている耳垢を取って掃除をすることだよ」
「日本ではそんな事をしているのね。あっちでは無かった気がするわね」
「耳掃除は母国じゃ危険な行為だからね。耳の中に物を入れるから」
耳の中に物を入れるのは危険ね……記憶にはないけど確かに危険な行為と私も思う
「でも、レーベが知っているということは、したことがあるのでしょう?」
「うん」
話を聞いて、私はミミソウジに興味を持った。この痒みを解消できるならぜひとも縋りたいと思った
「……私にも、耳掃除について教えてくれるかしら?」
「もちろん。でも、ボクは自分でやっているわけじゃないんだ」
「?」
「……ちょっと確認を取ってくるから、今は我慢しててね」
私が首を傾げていると、レーベはそう言って部屋を出て行った
誰かにしてもらっているみたいだけど、相手が誰なのかは全く想像がつかなかった
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夜になり、レーべに案内され着いたのは執務室だった。何故ここなのか疑問に思ったが、その理由はすぐ分かるだろうと思ったので口には出さなかった
ドアを開けて中に入ると、提督がこちらに気づいて声をかける
「おっ、来たか」
「Guten Abend. 提督」
「Guten Abend.」
レーべは挨拶をしながら、ドアの鍵をかけた。私もレーベに倣って挨拶する
「こんばんは。話はレーべから聞いているからすぐ耳掃除をしよう」
「て、提督がするの?」
私は動揺しながら問い掛ける。提督は不思議そうに私を見つめる
「マックスには提督がするとは伝えてなかったんだ」
「なるほどな」
私が動揺している間に話がどんどん進んでいく。提督はソファに座って膝にタオルを敷き、横にティッシュを敷いた
まさか提督がレーベにミミソウジをしていたなんて思わなかった。てっきり艦娘の誰かであり、執務室に向かったのも秘書艦だったからと予想していた私には衝撃的だった
「じゃあ、膝の上に横向きで頭を乗せてくれ」
ぽんぽんと提督は自分の膝を叩くが、私はそれを躊躇う
「そ、それはみ、ミミソウジに必要なことなのかしら?」
「自分でする時以外は一般的だな」
「そ、そう……」
私が戸惑っていると、レーベは私の耳元で囁く
(ボクの時もしていたけど、少しすれば慣れてくると思うよ。それに、耳の痒さをどうにかしたいんでしょ?)
言われて耳の奥の痒みをまた意識してしまう。この痒みをどうにかしないと、落ち着いて寝られそうもない
「……分かったわ。頭を乗せればいいのね?」
「ああ」
恐る恐る、私は帽子を脱いでレーベに渡し、膝の上にあるタオルに頭を乗せ、ソファに身体を預ける。提督から見て右側に足を向け、右耳が上を向いている状態だ
「ボクはここで見ていようかな」
レーべは秘書艦が使う椅子を運び、私達の前に座る。近くにレーベがいるおかげか、心が少し落ち着いた
「まずは耳垢の確認だな」
提督は私の右耳の耳たぶを摘んで中を見る
「マックスも乾いている方か。ならレーべと同じやり方で良さそうだ。外側も別に問題無さそうだから、すぐに中に取り掛かるとしよう」
何のことかよく分からないけど、深刻な状況では無いみたいだ
「痛かったり怖かったりしたら教えてくれ」
提督は言ってから、ミミカキを私の右耳に入れて、耳壁を擦り始める。擦れる音が響いてなんだか不思議な感じ
「へ、変な感じね」
「ボクも初めての時はそう思ったよ」
「初めての時は……ね」
レーベが初めてミミソウジをした時はどうだったのか気になった。後で聞いてみることにしよう
提督が耳かきで耳壁を擦っていると、何かが取れていくような気がした。たまに耳の中から取り出しているのだからきっと耳垢を取り出しているのだろう
「痛くないか?」
「これくらいなら平気」
「そうか」
提督は耳掃除をしながらも話せるくらいに余裕があるみたいだ。やり慣れているみたいで私も安心した
しばらく無言で耳かきが耳壁を擦る感触に意識を向けていると、耳垢があった部分の痒みが少し収まり、気持ちが良いと思った。しかし、最も痒い部分にはまだ手を付けていないのでもどかしい
「うーん……手前の方はこんなものかな。ここまでは問題ないか?」
「ええ」
どうやらミミソウジは思ったより進んでいたみたいね。この様子だと早く終わりそうだ
「そうか。これから奥の方を始めるが、非常に危険だから今までのように動かないようにしてくれ」
「了解」
提督が忠告するということは、相当危険なことなのだろう。奥に感じる痒みを堪えて顔を動かさないよう気をつける
耳奥を開始して少し経つと、提督は手を止めてまた中を凝視する
「……むっ、これはもしや」
「何かあったの?」
「手前の方には無かった大物があってな。しかもほとんど剥がれていないせいで耳かきじゃ取りにくい」
聞いた限りだと、慣れている提督でも難しいもののようだ。それを聞いて少しだけ不安になる
「ボクの時は無かったけど、取れそう?」
「うーん、これに関してはあまり剥がれていないから無理して取った時に耳の中を傷つけてしまう可能性がある。だから無視して剥がれそうな耳垢を狙ったほうがいいと思うが……」
そう言いながら大物の耳垢の付近を耳かきで触れる。すると奥の方から感じた痒みが少し和らぐ感じがした。きっとそこが痒みの原因かもしれない
「提督、その部分がさっきから痒いです」
「本当か? となると原因はコイツか。でもこれはなー」
提督は取るべきか否か悩んでいる。私はこれを取って貰わないとミミソウジが終わった気がしないので説得に入る
「艦娘の私は耳の中に傷が出来てもきっと入渠ドックで治せると思います」
「確かに、治りそうな気はするけど痛い思いをさせたくないか――」
「耳の中の痛みなんて、敵戦艦の砲撃が直撃する痛みと比べたらたいしたことは無いわ。だから、心配は要りません。これを取って貰えれば痒みは収まると思うから、お願い」
提督の言葉を遮ってまで説得を続ける。少し熱くなって私らしくもないけど、この痒みの元はどうしても今無くしたいという思いが勝った
「……そこまで言うなら、やるしかないか」
説得に成功した私はよしと心の中で思う
「うーん、こうなったらあれを使ってみるかな。レーベ、机の引き出しからピンセットを持ってきてくれ」
「うん。分かったよ」
レーベが立ち上がり提督の机の引き出しを漁る。少しして戻ってきたレーベの手には奇妙な形のピンセットがあった
ミミソウジにピンセット……一体どうするつもりかしら?
「はい、提督」
「ありがとう。冷たいと思うが動かないでくれ」
レーベからピンセットを手渡されると、ゆっくりと目的の耳垢までピンセットを耳に入れていく。耳壁に当たると、ひんやりして少し気持ちがいい
「……よし、剥がれているところを何とかつまめたな。これから剥がすから、痛かったら言ってくれ」
「了解」
私の返事を合図に、ゆっくりとピンセットで剥がし始める。すると今までに無いくらい大きな音と共に少しずつ耳垢が剥がれていく。音で表せばベリベリと言った感じだ
そのまま一気に剥がすわけではなく、少し手を止めてからまた少しずつ剥がしているみたいだ。その度に身体がゾクゾクする。例えが思いつかないくらい、痒みの元の耳垢を剥がされる事に快感を覚える
「マックス、凄い表情をしているが本当に大丈夫か?」
一旦手を止めて提督が話しかけてくる。表情に出ていたことを知り、恥ずかしくなる
「へ、平気ですから……続けてください」
「そ、そうか」
提督が手を動かして耳垢剥がしを再開する。剥がれていく感触にまたゾクゾクとしているが変な表情をしないように気を張る
「…………よし、そろそろだな」
その時、大物が大きな音を立てて遂に耳壁から剥がれた。すると先ほどまで感じていた痒みが引いていき、快感が押し寄せる
「……よくこんなやつ取れたな」
「す、凄いね……これ。ボクの時はこんな大きいの見たこと無いよ」
どうやら二人が驚くくらいの物が取れたみたいだ。私も見せてもらうと、ティッシュの上にあるどれよりも大きいことがひと目で分かった
「凄いわね」
「まったくだ。来てまだ一ヶ月くらいだってのに……艦娘は代謝が違うのかね」
そう言いながらも残りの耳垢を耳かきで取っていき、仕上げの段階に入った
「こんなもんかな……じゃ、仕上げに入るぞ」
提督は耳かきを回転させて持ち替え、耳の中に入れる
「ふわふわしているわね」
「これは梵天って言って、残ってしまった細かいカスを取るためのものだ」
梵天という耳かきに付いている綿の部分が耳の中に入ると、ふわふわした感触がして気持ちがいい。クルクルと回しながら耳壁に当てているようだ
初めて見た時はよく分からないと思っていたが、これは癖になりそうね
「よし、これで右耳は終わりだな。量はそこまで多くなかったが、大物が取れて良かったな」
取った耳垢を置いているティッシュを見ると、細々とした耳垢の中に一際大きい耳垢があることが確認できた。左耳の方はどうなっているか、とても気になる
「じゃ、次は左耳だ。反対側を向いてくれ」
「了解」
言われた通り、ぐるっと身体を反転させて頭をタオルの上に乗せる
「それじゃ、始めるぞ」
と、提督は言うと私の耳の中に耳かきを入れていく
このタイミングで私は気づいてしまった。この体勢になることで男性の身体に密着させていること。そしてすぐ下には――
しかし、焦ったところで時既に遅し。提督はミミソウジを始めてしまい、身動きが取れなくなってしまった
「こっちは細かい耳垢が少し多いな」
提督は慣れた手つきで耳壁から剥がれそうになっている耳垢をどんどん取り出していく。私は頬を真っ赤に染めながら早く終われと心の中で繰り返す
心臓の鼓動が先程より早くなるのを感じる。異性にあまり慣れていない事が今になって響いていた
私から提案して身体の向きを変える事も出来たはずだが、この時の私は冷静さを欠いていたために頭の中に無かった
「…………よし、手前の方はこれで終わりと。後は奥の方をやっていくか」
恥ずかしさのせいで一杯一杯になっているうちに、半分ほど終わっていたみたいだ。耳垢が少なかったのか、はたまた提督の腕が良かったからかは分からない
「奥の方は……右耳と比べるとたいした事は無さそうだな。これならすぐに終わりそうだ」
「さっきみたいな大物はもう無いんだね」
「ああ。見たところな」
「そうなんだ、ちょっと期待していたんだけどなー」
レーベの表情は今の体勢では見れないが、声音から今の状況を楽しんでいるように感じ取れた。もしそうだとしたら、後で頬を目一杯引っ張ってあげようかしら
「それじゃ、さっさと残りを終わらせるぞ」
提督はミミカキを動かして奥の掃除を始める。しばらく恥ずかしさに耐えていると提督が耳垢を取り終わり、梵天による仕上げに入っていたのだった
終わった後にティッシュを見ると、細かい耳垢と大きな耳垢が私の耳から取れたことが分かった。ミミソウジをする前とした後では違うことを実感し、耳の中の掃除が大事なことであると言うことがよく分かった
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ミミソウジが終わり、私は提督に一言礼を言ってから部屋に戻った。もちろん、同室なのでレーベも一緒だ
今日の夜はとても冷え込んだので、二人で一緒のベッドに入り身を寄せあっている。先程まで暖かい部屋に居たおかげかすぐに身体が暖まる
「ところで、初めての耳掃除はどうだった?」
「そうね……」
思い返すと、恥ずかしかった事ばかり思い出すが、同時に大物が取れた時の快感も鮮明に思い出した
「大物が取れた時はとても良い気持ちだったわ。おかげで痒みも無くなって……してよかったと思うわね」
「そう、マックスが喜んでくれてよかったよ」
にこっとレーベは微笑む。どことなく含みのある笑みに見えたため、私は訊いてみることにした
「ねえ、レーベ」
「何かな?」
「さっき、私が提督の方を向いていた時……にやけていたでしょ?」
「えっ……そ、そんな事無いよ?」
私の質問を聞くと、レーベは動揺する
「……にやけていたのね」
「そ、そそんな事はないよ。照れてるマックスが可愛いからついニヤニヤなんてしてな――あっ」
慌てて自白したレーベの頬を私は容赦なく引っ張る
「いたたたたた!」
「こっちは恥ずかしさを我慢していたのに笑うだなんて……こうなったらレーベの時はどうだったか教えるまで寝かさないわ」
「な、何でそうなるの!?」
「私が恥ずかしい思いをしたのだから、レーベもそうじゃなきゃ吊り合わないじゃない」
「そ、そんなー!」
吐くまでしばらくの間頬を引っ張り続けたが、眠気に負けて結局聞き出すことが出来なかった
レーベがまた耳掃除してもらう時は、絶対にその場に居合わせてやると私は心に決めたのだった
終わり
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マックス編は終わりですが明日ちょっとだけ投下するのでお待ち下さい
乙です
乙
ビス子かと思ってた
こんばんは
では、これから投下します
内容は前作の15と16の間の話になります
おまけ
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結局、あの後は執務が大忙しだったので右耳の掃除は夜遅くになってしまった
夕食とお風呂を済ませたボクは執務室に向かう。ドアを開けると中で提督が待っていた
ボクはドアに鍵をかけてから提督の元へ向かう
「こんなに遅くなるとは思わなかったな。さっさと終わらせて寝てしまおうか」
「そうだね」
提督がタオルを膝に敷いて、ボクは先ほどと同じく足を左側に向け、身体は提督の方に向けた状態で頭を乗せる
「中にいっぱい残っているかな?」
耳の中を覗き込む提督にボクは訊いてみる
「細々とした物が手前側に多いな。逆に奥の方はそこまで酷くない」
「ならさっきよりは楽そうだね」
「そうだな。じゃ、入れるぞ」
提督が宣言すると、ゆっくりと耳かきが耳の中に入ってきて、耳垢を取っていく
耳壁を擦る耳かきの感触が気持ちよくて、また声が漏れそうになる。余計な心配をさせたくないからタオルの端を指で摘みぐっと堪える
「……ここに来てしばらく経つが、ここでの生活はどうだ?」
提督は耳掃除をしながら問い掛けてくる
「慣れてきたよ。ご飯も美味しいし、仲の良い艦娘もたくさん出来たから毎日が楽しいよ。出撃と遠征は大変だけどね」
「そうか……海外艦はまだお前一人しか居ないから心細くないかと心配していたんだが、良かったよ」
提督がボクの事を気にかけていた事に驚いた。いつも忙しそうで、あまり艦娘一人一人に意識を向けている印象がなかったから
「ボクが来るって知った時、鎮守府の皆はどんな反応をしていたのかな?」
「反応か……俺は言語が通じるか不安だと思ったくらいだけど、艦娘の間では背が高そうだとか、体格が良さそうだとか、厳しいイメージがあるだとか……後は覚えてないな」
「あはは、そんな感じだったんだね」
ボクは思わず苦笑する。ボクとは全く関係のないイメージだらけだったから、初めて会った時にあんなに驚かれたのも納得がいく
「でも、異国から来たボクを歓迎してくれた事はとても嬉しかったよ。もう少し距離を置かれて打ち解けるまで時間がかかると思っていたからね」
「あいつらの大半は新人が来ると興味を示してどんどん絡んでくるからな。海外からの艦娘なんて聞いたら尚更だと思うぞ」
「おかげで大変だったけどね……くすっ」
来た時の事を思い出して、思わず笑みが溢れる。何十人にも囲まれたものだから萎縮してたけど、今となってはいい思い出だ
こんな風に過去にあった事を色々と話していると、時間がどんどん過ぎていき、気づいたら耳掃除も終わっていた
「……よし、これで終わりだな」
提督が耳かきを取り出したのを確認して、ボクは起き上がってソファから降りる
「何となくだけど、いつもよりしっかり聞こえる気がするよ。Danke schon.」
「どういたしまして。他の艦娘はほとんど寝ているだろうから静かに帰れよ」
「うん」
ボクはドアの前まで歩いてから振り返る
「提督、Gute Nacht」
「おやすみ、レーベ」
挨拶をしたボクは、ドアを開けて執務室を後にした
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部屋に戻ったボクは、ベッドで横になりながら耳掃除の事を思い出していた
提督の膝枕の感触、耳壁に触れる耳かきの感触――最初は怖かったけど、終わる頃にはすっかり好きになっていた
また、提督に耳掃除をしてもらいたいな。二度も頼んでしてくれるかは分からないけどね
ちらっと時計を確認すると、もうかなり遅い時間であることが分かった。そろそろ寝ないと明日に響きそうだ
ボクは目を閉じると、すぐ眠気が来て眠りについた
終わり
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以上です
今回はマックス視点で書いてみましたが、される側の視点は難しいですね
次はビスマルクの予定です
ではHTML依頼してきます
乙です
乙
>私はZ1型駆逐艦、マックス・シュルツ。皆からはマックスと呼ばれているわ
Z1型駆逐艦3番艦って書いたつもりが忘れてました
一ヶ月経ったから保守
書いてはいるのでも少しお待ちください
次スレ誘導
ビスマルク「初めての耳掃除」マックス「drei」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456028635/)
再度依頼してくるのですぐ落ちると思う
新スレ乙です
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